JP3619478B2 - 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号入出力部に同軸コネクタを用いた半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野で用いられる半導体素子や、マイクロ波帯,ミリ波帯等の高周波信号で駆動する各種半導体素子を収納する半導体素子収納用パッケージ(以下、半導体パッケージという)には、半導体素子と外部電気回路基板とを電気的に接続するための入出力端子として同軸コネクタが用いられている。この同軸コネクタを具備した半導体パッケージを図5に断面図で示す。同図において、21は基体、22は枠体、23は同軸コネクタ、24は蓋体、26は回路基板である。
【0003】
基体21は鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)等の金属から成る略四角形の板状体であり、その上側主面の略中央部には、IC,LSI,半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の半導体素子25を搭載して成る回路基板26を載置する載置部21aが形成されている。載置部21aには、半導体素子25が、例えばアルミナ(Al2O3)質セラミックス等から成る回路基板26に搭載された状態で載置固定される。
【0004】
なお、回路基板26に搭載された半導体素子25は、その電極が、回路基板26に被着形成されている線路導体26aにボンディングワイヤ27等を介して電気的に接続されている。
【0005】
基体21の上側主面の外周部には載置部21aを囲繞するようにして枠体22が立設されており、枠体22は基体21とともにその内側に半導体素子25を収容する空所を形成する。この枠体22は基体21と同様にFe−Ni−Co合金やCu−Wの焼結材等から成り、基体21と一体成形される、または基体21に銀ろう等のろう材を介してろう付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることによって基体21の上側主面外周部に立設される。
【0006】
枠体22の側部には同軸コネクタ23が嵌着される貫通孔22aが形成されており、貫通孔22a内に同軸コネクタ23を嵌め込むとともに半田等の封着材28を貫通孔22a内の隙間に挿入し、しかる後、加熱して封着材28を溶融させ、溶融した封着材28を毛細管現象により同軸コネクタ23と貫通孔22aの内面との隙間に充填させることによって、同軸コネクタ23が貫通孔22a内に封着材28を介して嵌着接合される。
【0007】
同軸コネクタ23は、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る円筒状の外周導体23aの中心軸部分に、信号線路としてFe−Ni−Co合金等の金属から成る棒状の中心導体23bが絶縁体23cを介して固定されて成る。そして、接地導体としての外周導体23aが封着材28を介して枠体22に電気的に接続されており、特性インピーダンスに整合された同軸線路モードの信号線路を形成している。また、中心導体23bが半田等から成る導電性接着材26bを介して回路基板26の線路導体26aに電気的に接続される。線路導体26aは、所定の特性インピーダンスに整合されたマイクロストリップ線路となっている。
【0008】
そして、枠体22の上面に蓋体24をろう付け法やシームウエルド法等の溶接法によって接合し、基体21、枠体22および蓋体24から成る容器内部に半導体素子25を収容し気密に封止することによって製品としての半導体装置となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の半導体パッケージでは、同軸コネクタ23の中心導体23bと回路基板26の線路導体26aとの接続部において、中心導体23bと線路導体26aとを導電性接着材26bで接続することによって、線路導体26aの表面に中心導体23bが載置されることから、接続部の容量成分が付加されて容量成分が増加し、接続部において信号線路のインピーダンスが低下していた。その結果、接続部でインピーダンスの整合がとれなくなり、半導体パッケージ内の信号線路の接続部で高周波信号の反射損失が大きくなり、高周波信号を効率よく伝送するのが困難になるという問題があった。
【0010】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、高周波信号の伝送効率に優れた半導体パッケージを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体素子収納用パッケージは、上側主面に半導体素子および回路基板を載置するための載置部を有する基体と、該基体の前記上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔が形成された枠体と、筒状の外周導体およびその中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在させた絶縁体から成るとともに前記貫通孔に嵌着された同軸コネクタとを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記回路基板は、その上面に一端側が前記中心導体に導電性接着材により電気的に接続され、他端側が前記半導体素子に電気的に接続された線路導体が形成され、下面の少なくとも前記線路導体に対向する部位に接地導体層が形成され、かつ内部の前記中心導体直下以外の前記線路導体の下方の部位に前記導電性接着材のメニスカスの先端下方の位置を起点として内層接地導体層が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の半導体素子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記中心導体は、その先端が凸型曲面になっていることを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体パッケージによれば、線路導体と中心導体との接続部における線路導体から接地導体層までの距離は、非接続部における線路導体から接地導体層までの距離に比べて大きくなり、その結果、接続部における線路導体のインピーダンスを非接続部に比べて高くすることができる。従来、線路導体と中心導体との接続部で信号線路の容量成分が増加し、接続部のインピーダンスが低下してインピーダンス不整合を生じていたが、本発明では以下のようにしてインピーダンスが整合される。即ち、回路基板の線路導体の非接続部の下方に導電性接着材のメニスカスの先端下方の位置を起点として内層接地導体層を形成し、かつ接続部の下方に接地導体層を形成することにより、非接続部での線路導体のインピーダンスを特性インピーダンスに整合させ、接続部での線路導体のインピーダンスを特性インピーダンスより高い値とする。これにより、線路導体と中心導体との接続部のインピーダンスが電気的な容量増加により低下しても、接続部のインピーダンスを特性インピーダンスに整合させることが可能となる。
【0013】
また、本発明の半導体装置は、上記本発明の半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置固定されて前記同軸コネクタに前記回路基板の線路導体を介して電気的に接続された前記半導体素子と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする。
【0014】
本発明は、この構成により、上記本発明の半導体パッケージを用いた信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の半導体パッケージを以下に詳細に説明する。図1は本発明の半導体パッケージについて実施の形態の一例を示す断面図であり、1は基体、2は枠体、3は同軸コネクタ、4は蓋体、6は回路基板である。
【0016】
本発明の基体1はFe−Ni−Co合金等の金属やCu−Wの焼結材等から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法、または射出成形と切削加工等を施すことによって、所定の形状に製作される。基体1の上側主面の略中央部には、IC,LSI,半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の半導体素子5を載置するための載置部1aが設けられており、載置部1aには半導体素子5を搭載して成る回路基板6が載置固定される。半導体素子5は、その電極が、回路基板6の上面に被着形成されている線路導体6aにボンディングワイヤ7等を介して電気的に接続されている。つまり、線路導体6aは、その一端側が中心導体3bに、他端側が半導体素子5にそれぞれ電気的に接続されている。
【0017】
また、基体1の上側主面の外周部には載置部1aを囲繞するようにして枠体2が立設接合されており、枠体2は基体1とともにその内側に半導体素子5を収容する空所を形成する。この枠体2は、基体1と同様にFe−Ni−Co合金やCu−Wの焼結材等から成り、基体1と一体成形される、または基体1に銀ろう等のろう材を介してろう付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることによって基体1の上側主面の外周部に立設される。
【0018】
枠体2の側部には同軸コネクタ3が嵌着される貫通孔2aが形成されている。貫通孔2a内に同軸コネクタ3を嵌め込むとともに半田等の封着材8を貫通孔2aとの隙間に挿入する。しかる後、加熱して封着材8を溶融させ、溶融した封着材8は毛細管現象により同軸コネクタ3と貫通孔2aの内面との隙間に充填されることによって、同軸コネクタ3が貫通孔2a内に封着材8を介して嵌着接合される。
【0019】
同軸コネクタ3は、内部に収容する半導体素子5を外部の同軸ケーブル10に電気的に接続するものであり、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る円筒状の外周導体3aの中心軸に同じくFe−Ni−Co合金等の金属から成る中心導体3bが絶縁体3cを介して固定された構造をしている。
【0020】
中心導体3bを伝送する高周波信号は、貫通孔2a,2b部において貫通孔2a,2bの中心軸を同軸線路のモードで伝送し、特性インピーダンス値に整合されている。中心導体3bが枠体2の内面から突出して線路導体6aと半田等の導電性接着材6bにより接続された部分以降では、高周波信号は回路基板6の上面に被着形成された線路導体6a上を伝送する。
【0021】
本発明において、回路基板6の下面の少なくとも線路導体6aに対向する部位に接地導体層6cが形成され、かつ内部の中心導体3b直下以外の線路導体6aの下方の部位に内層接地導体層6dが形成されている。これにより、線路導体6aに対向する接地導体として、中心導体3bとの接続部(以下、単に「接続部」といえば線路導体6aと中心導体3bとの接続部をいうこととする)では接地導体層6cが、非接続部では内層接地導体層6dが設けられる。この内層接地導体層6dは、図2に示すように、接地導体層6cと同一の電位とするために、ビアホール等の貫通導体により接地導体層6cと電気的に接続されているのがよい。
【0022】
図2は回路基板6の部分断面図であるが、同図に示すように、接地導体層6cと線路導体6aとの距離をh1、内層接地導体層6dと線路導体6aとの距離をh2とするとh1>h2となっている。これにより、中心導体3bが接続されない非接続部での線路導体6aを特性インピーダンス値に整合させ、中心導体3bとの接続部においては線路導体6aを特性インピーダンス値よりも高いインピーダンス値とする。
【0023】
また、本発明では、0.05mm≦h1−h2≦1mmとするのがよい。h1−h2<0.05mmでは、接地導体層6cと内層接地導体層6dが接近しすぎて線路導体6aの接続部と非接続部におけるそれぞれのインピーダンス値が略同一となってしまい、線路導体6aに中心導体3bを接続した後の接続部のインピーダンスを特性インピーダンス値に整合させることが困難となる。1mm<h1−h2では、接地導体層6cと内層接地導体層6dが大きく離れて線路導体6aの接続部におけるインピーダンス値が特性インピーダンス値に比して大きくなりすぎてしまい、線路導体6aに中心導体3bを接続した後の接続部のインピーダンスを特性インピーダンス値に整合させることが困難となるとともに、回路基板6が厚くなり、線路導体6aを伝送する高周波信号の誘電体損失が大きくなって、高周波信号を無駄なく伝送できなくなる。
【0024】
なお、内層接地導体層6dの線路導体6aの線路方向に垂直な方向における幅は、線路導体6aの幅以上であることがよい。
【0025】
図3は、図2の中心導体3bと線路導体6aとの接続部における線路方向に垂直な断面での断面図であるが、線路導体6aと中心導体3bとを接続することにより、接続部では信号線路が中心導体3b,線路導体6aおよび導電性接着材6bとなっている。線路導体6a単体が信号線路である場合と比べて、信号線路の容量成分が増加し、接続部のインピーダンスが低下することとなる。従って、接続部における線路導体6aに対向する接地導体を接地導体層6cとして、接続部における線路導体6a単体のインピーダンス値は特性インピーダンスより高い値としている。これにより、線路導体6aに中心導体3bを接続して接続部のインピーダンスが容量増加により低下しても、接続部を特性インピーダンスに整合させることができる。
【0026】
また接続部では、導電性接着材6bの量を適宜調整して信号線路のインピーダンスを整合することもできる。また、内層接地導体層6dの起点は、図2のように中心導体3bの先端の下方付近であるが、図4のように導電性接着材6bのメニスカスの先端下方付近に位置させ、その位置を線路方向に前後させて信号線路のインピーダンスを整合するように調整する。このようにして、半導体パッケージ内において、反射損失や透過損失等の伝送損失の小さい良好な伝送特性の信号線路が形成される。また、図4に示すように、円柱状の中心導体3bの先端は略半球面状等の凸型曲面になっている。この場合、中心導体3bの先端に形成される導電性接着材6bのメニスカスがなだらかな斜面を形成し、そのメニスカス部での高周波信号の損失が小さくなる。
【0027】
枠体2の貫通孔2b内に挿入固定される同軸コネクタプラグ9は、外部電気回路に接続された同軸ケーブル10と枠体2に嵌着された同軸コネクタ3とを接続するためのプラグである。
【0028】
そして、本発明の半導体パッケージは、半導体素子5の電極と回路基板6の上面に形成された線路導体6aとを電気的に接続し、線路導体6aと中心導体3bとを半田等の導電性接着材6bを介して電気的に接続し、しかる後、枠体2の上面にFe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体4を半田付け法やシームウエルド法により接合することにより製品としての半導体装置となる。
【0029】
この半導体装置は、基体1が外部電気回路基板に実装され、同軸コネクタプラグ9と外部電気回路に接続された同軸ケーブル10とを接続することにより、内部に収容する半導体素子5が外部電気回路に電気的に接続され、半導体素子5が高周波信号で作動することとなる。
【0030】
本発明における高周波信号の好ましい周波数は5〜50GHz程度であり、この場合に高周波信号の伝送特性を良好なものとすることができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、半導体パッケージ内に載置された回路基板は、その上面に一端側が中心導体に導電性接着材により電気的に接続され、他端側が半導体素子に電気的に接続された線路導体が形成され、下面の少なくとも線路導体に対向する部位に接地導体層が形成され、かつ内部の中心導体直下以外の線路導体の下方の部位に導電性接着材のメニスカスの先端下方の位置を起点として内層接地導体層が形成されていることにより、線路導体と中心導体との接続部における線路導体から接地導体層までの距離は、非接続部における線路導体から接地導体層までの距離に比べて大きくなり、その結果、接続部における線路導体のインピーダンスを非接続部に比べて高くすることができる。即ち、回路基板の線路導体の非接続部の下方に導電性接着材のメニスカスの先端下方の位置を起点として内層接地導体層を形成し、かつ接続部の下方に接地導体層を形成することにより、非接続部での線路導体のインピーダンスを特性インピーダンスに整合させ、接続部での線路導体のインピーダンスを特性インピーダンスより高い値とする。これにより、線路導体と中心導体との接続部のインピーダンスが電気的な容量増加により低下しても、接続部のインピーダンスを特性インピーダンスに整合させることが可能となる。
【0033】
このようにして、半導体パッケージ内部において同軸コネクタおよび回路基板の線路導体から成る信号線路が特性インピーダンスに整合され、高周波信号の反射損失を低減して伝送効率を良好とした信号線路を形成できる。
【0034】
以上の効果により、5〜50GHzの高周波信号の伝送特性に優れた半導体パッケージとして有効に機能することとなる。
【0035】
本発明の半導体装置は、本発明の半導体素子収納用パッケージと、載置部に載置固定されて同軸コネクタに回路基板の線路導体を介して電気的に接続された半導体素子と、枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことにより、上記本発明の作用効果を有する半導体パッケージを用いた信頼性の高い半導体装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体パッケージ内に収容された回路基板の部分断面図である。
【図3】図2の回路基板の線路方向の垂直な方向における部分断面図である。
【図4】図2の回路基板の線路方向における部分断面図である。
【図5】従来の半導体パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
2:枠体
2a:貫通孔
3:同軸コネクタ
3a:外周導体
3b:中心導体
3c:絶縁体
5:半導体素子
6:回路基板
6a:線路導体
6c:接地導体層
6d:内層接地導体層
Claims (3)
- 上側主面に半導体素子および回路基板を載置するための載置部を有する基体と、該基体の前記上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に貫通孔が形成された枠体と、筒状の外周導体およびその中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在させた絶縁体から成るとともに前記貫通孔に嵌着された同軸コネクタとを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記回路基板は、その上面に一端側が前記中心導体に導電性接着材により電気的に接続され、他端側が前記半導体素子に電気的に接続された線路導体が形成され、下面の少なくとも前記線路導体に対向する部位に接地導体層が形成され、かつ内部の前記中心導体直下以外の前記線路導体の下方の部位に前記導電性接着材のメニスカスの先端下方の位置を起点として内層接地導体層が形成されていることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
- 前記中心導体は、その先端が凸型曲面になっていることを特徴とする請求項1記載の半導体素子収納用パッケージ。
- 請求項1または請求項2記載の半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置固定されるとともに前記同軸コネクタに前記回路基板の線路導体を介して電気的に接続された前記半導体素子と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする半導体装置。
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