JP3619473B2 - 半導体素子収納用パッケージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は信号入出力部として同軸コネクタを具備した半導体素子収納用パッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野で用いられたり、マイクロ波帯、ミリ波帯等の高周波信号を用いる各種半導体素子を収納する半導体素子収納用パッケージ(以下、半導体パッケージという)には、半導体素子と外部電気回路基板とを電気的に接続するための入出力端子として同軸コネクタが設けられている。この同軸コネクタを具備した半導体パッケージを図5に断面図で示す。同図において、21は基体、22は枠体、23は同軸コネクタ、24は蓋体である。
【0003】
基体21は鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)の焼結材等から成る略四角形状の板状体であり、その上側主面の略中央部には、IC、LSI、半導体レーザ(LD)、フォトダイオード(PD)等の半導体素子25を搭載して成る回路基板26を載置する載置部21aが設けられており、載置部21aには半導体素子25が、例えばアルミナ(Al2O3)質セラミックスから成る回路基板26に搭載された状態で載置固定される。
【0004】
なお、回路基板26に搭載された半導体素子25は、その電極が回路基板26に被着形成されている線路導体26aにボンディングワイヤ27等を介して電気的に接続されている。
【0005】
基体21の上側主面の外周部には載置部21aを囲繞するようにして枠体22が立設されており、枠体22は基体21とともにその内側に半導体素子25を収容する空所を形成する。この枠体22は基体21と同様にFe−Ni−Co合金やCu−Wの焼結材等から成り、基体21と一体成形されることによって、あるいは基体21に銀ろう等のろう材を介してろう付けされたり、シーム溶接法等の溶接法により接合されることによって基体21の上側主面の外周部に立設される。
【0006】
同軸コネクタ23は、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る円筒状の外周導体23aの中心軸部分にFe−Ni−Co合金等の金属から成る棒状の中心導体23bが絶縁体23cを介して固定されて成る。
【0007】
枠体22の側面には同軸コネクタ23が外側より挿着される貫通孔22aが形成されている。貫通孔22a内に外周導体23aを挿入するとともに半田等の封着材28を挿入し、しかる後、加熱して封着材28を溶融させ、溶融した封着材28を毛細管現象により外周導体23aと貫通孔22aの内面との隙間に充填させることによって、同軸コネクタ23が枠体22の貫通孔22a内に半田等の封着材28を介して挿着される。接地電位部としての外周導体23aが封着材28を介して枠体22に電気的に接続され、また中心導体23bが半田等から成る導電性接着材26bを介して回路基板26の線路導体26aに電気的に接続される。
【0008】
この同軸コネクタ23を備えた半導体パッケージは、内周面にネジ切りを有する貫通孔22bに同軸コネクタプラグ29のネジ状の外周面がネジ止めされ、外部電気回路に接続された同軸ケーブル30が同軸コネクタプラグ29に装着されることによって、内部に収納された半導体素子25が同軸コネクタ23の中心導体23bを介して外部電気回路に電気的に接続される。
【0009】
枠体22の上面に蓋体24をろう付け法やシームウエルド法等の溶接法で接合し、基体21、枠体22および蓋体24から成る容器内部に半導体素子25を収容し気密に封止することによって製品としての半導体装置となる。
【0010】
この半導体パッケージは、基体21の対向する端部に貫通孔21bが設けられており、貫通孔21bにネジを通して外部回路基板等にネジ止めすることにより実装されることとなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半導体パッケージでは、貫通孔21bにネジを通して外部回路基板等にネジ止めして実装する際に、半導体パッケージの製造時に反りが発生していた基体21の反りが矯正されることとなり、反った状態で基体21に載置固定されていた回路基板26にクラックが入り、線路導体26aが寸断され、高周波信号を伝送できなくなるという問題があった。
【0012】
基体21の反りが矯正されると、枠体22が歪み、貫通孔22aに挿着された外周導体23aに応力が加わることとなり、外周導体23aと中心導体23bとの間に介在させた絶縁体23cにクラックが入ってしまい、半導体パッケージの気密性を損なうとともに、同軸コネクタ23の中心導体23bを伝送する高周波信号の伝送効率を劣化させるという問題点があった。さらに、枠体22の歪みにより貫通孔22aの位置が本来あるべき位置からずれることとなり、貫通孔22aに挿着された外周導体23aがずれてしまい、同軸コネクタ23の全体の位置もずれてしまう。そのため、中心導体23bが導電性接着材26bから外れ、高周波信号の伝送ができなくなる原因となっていた。
【0013】
中心導体23bのずれ量が少なく、中心導体23bと導電性接着材26bの接続が保たれたとしても、回路基板26は基体21上に載置され、同軸コネクタ23は枠体22の側面に設けられた貫通孔22aに挿着されていることから、半導体パッケージの製造時において、基体21の上側主面に枠体22を接合する位置がずれて、中心導体23bと線路導体26aとの接続部の位置がずれることがあった。そのため、接続部におけるインピーダンスが安定せず、接続部において高周波信号の伝送効率が劣化することがあった。
【0014】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、高周波信号の伝送効率に優れた半導体パッケージを提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体パッケージは、上側主面に半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、前記上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するように接合され、かつ側部に同軸コネクタの保持部材を嵌着させる切欠き部が形成された枠体と、前記切欠き部に嵌着された保持部材と、筒状の外周導体およびその中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在させた絶縁体から成るとともに前記切欠き部に前記保持部材に保持された同軸コネクタとを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記切欠き部は前記枠体の下側に形成されており、前記保持部材は、その下面が前記基体の上側主面に接合されるとともに、前記枠体内外を貫通するように嵌着され、前記枠体の外側より前記同軸コネクタが挿着されるように前記枠体内外を貫通する貫通孔が形成されているとともに前記枠体内側の面の前記貫通孔の下方の部位に回路基板を上面に設置した棚部が設けられ、さらに前記回路基板の表面に前記枠体内側の面より突出した前記中心導体の端部と前記半導体素子とを電気的に接続する線路導体が形成されており、前記保持部材の厚みが前記枠体より肉厚にされていることを特徴とする。
【0016】
本発明の半導体パッケージによれば、同軸コネクタの挿着部と回路基板の設置部を保持部材に設け、保持部材を基体および枠体に嵌着している。保持部材の厚みは枠体に比べ厚くすることにより保持部材の体積を大きくすることができ、半導体パッケージをネジ止め等により外部回路基板等に装着する際の枠体に加わる歪みが、保持部材で分散および吸収され、同軸コネクタと回路基板に不要な応力および歪みが伝わることを防止できる。
【0017】
従来基体の上側主面に載置固定されていて、基体の貫通孔を通してネジ止めし外部電気回路に装着する際に、クラックが入り高周波信号の伝送線路を寸断させていた回路基板は、保持部材上に設置固定されることにより、回路基板にはほとんど歪みが加わらない状態になり、回路基板のクラック発生を有効に防止できる。
【0018】
また、従来枠体の側面に挿着されていた同軸コネクタも、保持部材に挿着させることにより、半導体パッケージ製造時の中心導体と線路導体の位置ずれの低減と、半導体パッケージを外部回路基板に実装する際に同軸コネクタに伝わる応力を低減することが可能となる。中心導体と線路導体の位置ずれを低減させることで、中心導体と線路導体の接続部における高周波信号の伝送特性を向上でき、同軸コネクタに伝わる応力を低減させることで、同軸コネクタの絶縁体へのクラック発生を防止することができる。同時に同軸コネクタに伝わる歪みを有効に防止し、同軸コネクタの位置ずれが無くなり、中心導体が線路導体から外れるのを有効に防止できる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記保持部材は、前記枠体内側の端面と下面との間の稜部が切り欠かれて成る段差が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明は、この構成により、基体と保持部材間をろう付けにより接合する際、ろう材が、保持部材の下面から基体の上側主面の枠体内側の面に流れ出て不要なろう材溜まりを形成するのを防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体パッケージを以下に詳細に説明する。図1は本発明の半導体パッケージについて実施の形態の一例を示す断面図であり、1は基体、2は枠体、3は同軸コネクタ、6は回路基板、11は保持部材である。
【0022】
基体1はFe−Ni−Co合金やCu−Wの焼結材等から成り、そのインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すか、または射出成形と切削加工を施すことによって所定の形状に製作される。その上側主面の略中央部には、IC,LSI,LD,PD等の半導体素子5を載置するための載置部1aが設けられており、載置部1aには半導体素子5が半田等の接合材により載置固定される。半導体素子5は、その電極が回路基板6に被着形成されている線路導体6aにボンディングワイヤ7等を介して電気的に接続される。
【0023】
また、基体1の上側主面の外周部には載置部1aを囲繞するようにして枠体2が接合され立設されており、枠体2は基体1とともにその内側に半導体素子5を収容する空所を形成する。この枠体2は基体1と同様にFe−Ni−Co合金やCu−Wの焼結材等から成り、基体1と一体成形されることによって、または基体1に銀ろう等のろう材を介してろう付けされたり、シーム溶接法等の溶接法により接合されることによって基体1の上側主面の外周部に立設される。
【0024】
枠体2の側面の下側には保持部材11が嵌着される切欠き部2aが形成されている。切欠き部2aは、枠体2内外を貫通して形成され、例えば枠体2の基体1との接合面(枠体2の下側)を逆U字形等に切り欠いて枠体2内外を貫通する切欠き部である。この切欠き部2aには、Fe−Ni−Co合金等の金属からなる保持部材11が嵌入されるとともに、保持部材11の外周面と切欠き部2aの内周面とが銀ろう等のろう材を介して接合される。また、保持部材11の下面は基体1の上側主面に銀ろう等のろう材を介して接合される。
【0025】
同軸コネクタ3は、半導体パッケージ内部に収容する半導体素子5を外部の同軸ケーブル10に電気的に接続するものであり、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る円筒状の外周導体3aの中心軸に、同じくFe−Ni−Co合金等の金属から成る中心導体3bが絶縁体3cを介して固定された構造である。
【0026】
保持部材11には、回路基板6を上面に設置するための棚部11aと、同軸コネクタ3を外側より挿着するための貫通孔11bが設けられている。棚部11aには半田等の接合材6dを載置し、接合材6dの上に線路導体6aと接地導体6cとを具備した回路基板6を、接地導体6cの面が接合材6d側になるようにして設置する。貫通孔11bは、枠体2の内外を貫通するように形成され、同軸コネクタ3を挿入するとともに外周導体3aとの間に半田等の封着材8を挿入する。中心導体3bの先端部は、回路基板6の上面に突出させ、中心導体3bの先端部と線路導体6aの上面との間に半田等の導電性接着材6bを載置する。その後、加熱して接合材6dと封着材8および導電性接着材6bを溶融させ、接合材6dにより回路基板6が棚部11aに強固に固定され、溶融した封着材8は毛細管現象により外周導体3aと貫通孔11b内面との隙間に充填されることにより、外周導体3bが貫通孔11b内に半田等の封着材8を介して挿着され、導電性接着材6bにより中心導体3bと線路導体6aとが接続される。
【0027】
かくして、接地電位部としての外周導体3aが保持部材11に封着材8を介して電気的に接続され、また信号線路としての中心導体3bが回路基板6の線路導体6aに半田等から成る導電性接着材6bを介して電気的に接続される。
【0028】
中心導体3bを伝送する高周波信号は、貫通孔11b,11c部において貫通孔11b,11cの中心軸を伝送することで同軸線路を伝送することとなり、保持部材11の枠体2内側の面から出て線路導体6aの一端の半田等の導電性接着材6bに達した後は、マイクロストリップ線路となっている線路導体6a上を伝送する。この同軸線路とマイクロストリップ線路は、所定の特性インピーダンス値に整合されている。導電性接着材6bによる接続部において、中心導体3bの先端部の位置、線路導体6aの位置、および導電性接着材6bの量により、信号線路のインピーダンスが所定の値に設定される。このようにして、半導体パッケージ内において反射損失や透過損失等の伝送損失の小さい良好な信号線路が形成される。
【0029】
保持部材11の貫通孔11c内に挿入固定される同軸コネクタプラグ9は、外部電気回路に接続された同軸ケーブル10と保持部材11に挿着された同軸コネクタ3とを接続するためのプラグであり、その外周面はネジ状となっており、内周面にネジ切りを有する貫通孔11cにネジ止めされる。
【0030】
そして、本発明の半導体パッケージは、半導体素子5の電極と回路基板6の上面に被着された線路導体6aとをボンディングワイヤ7により電気的に接続し、しかる後、枠体2の上面にFe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体4を半田付け法やシームウエルド法により接合することにより製品としての半導体装置となる。この半導体装置は、基体1の対向する端部に設けられた貫通孔1bをネジ止めすることにより外部回路基板に実装される。また、同軸コネクタプラグ9と外部電気回路に接続された同軸ケーブル10とを接続することにより、内部に収容する半導体素子5が外部電気回路に電気的に接続され、半導体素子5が高周波信号で作動することとなる。
【0031】
基体1の貫通孔1bを外部回路基板にネジ止めして実装する際、半導体パッケージ製造時のろう付け工程において発生していた基体1の反りが矯正され、基体1および枠体2に余計な応力や歪みが加わることとなる。本発明の半導体パッケージにおいては、保持部材11は枠体2の切欠き部2aに嵌着されるとともに基体1の上側主面に接合されており、保持部材11の棚部11aから下部は厚みが略同一である。即ち、保持部材11は棚部11aから下部が枠体2の内側に突出する構造となり、保持部材11の下部において枠体2より肉厚となることから、保持部材11が枠体2を補強することとなる。その結果、基体1の反りが矯正される際に、枠体2を変形しにくくさせ、枠体2に伝わる歪みを抑えることが可能となる。
【0032】
また、同軸コネクタ3および回路基板6が保持部材11を介して枠体2に設けられているため、枠体2に余計な応力や歪みが加わった場合においても、保持部材11において分散および吸収される。枠体2を補強し、かつ保持部材11で応力や歪みを分散させるためには、即ち保持部材11の単位体積当たりの変形を少なくさせかつ歪みを吸収させるためには、保持部材11の体積が大きい方がよく、従って上述したように保持部材11の厚みを枠体2より肉厚にして体積を大きくする。
【0033】
従来、枠体2の側面に設けられた貫通孔に挿着されていた同軸コネクタ3は、本発明では保持部材11の貫通孔11bに挿着され、また従来基体1の上側主面の載置部1aに載置されていた回路基板6は、本発明では保持部材11の棚部11aに設置され、同軸コネクタ3と回路基板6はともに保持部材11に設けられることとなる。従って、枠体2と基体1の接合位置がずれることによる同軸コネクタ3と回路基板6の位置ずれが解消され、同軸コネクタ3の中心導体3bと回路基板6の線路導体6aとの接続部の位置を安定させることができる。
【0034】
本発明において、図2に示すように、回路基板6の線路導体6aの線路方向の長さをA、線路方向に略垂直な方向の幅をB、保持部材11の棚部11aの線路方向の長さをX、線路方向に略垂直な方向の幅をYとした場合、A+0.1mm≦X≦2AかつB+0.1mm≦Y≦2Bであるようにするのがよい。この場合、半導体パッケージを外部回路基板に実装する際に枠体2より同軸コネクタ3の外周導体3aの挿着部に伝わる歪みを保持部材11で有効に吸収し、同軸コネクタ3の中心導体3bが位置ずれして線路導体6aから外れることを確実に防止することができる。
【0035】
X<A+0.1mmかつY<B+0.1mmとした場合、回路基板6が棚部11aからとび出す場合があり、回路基板6に割れやクラックが発生し易くなる。また回路基板6を接合するためのろう材のメニスカスが形成されなくなる為、接合強度が弱くなってしまう。また、保持部材11側面へろう材が流れ出て、不要なろう材溜まりが形成される場合がある。
【0036】
X>2AかつY>2Bとした場合、基体1と保持部材11の接合面積が大きくなり、熱膨張係数の歪により半導体パッケージの製造時の反りが大きくなり、外部回路基板にネジ止めして実装する際、基体1および枠体2に余計な応力や歪みが加わることになる。そのため、保持部材11に伝わってくる歪みを保持部材11で十分に吸収できず、同軸コネクタ3に歪みが加わり、中心導体3bが位置ずれを起こす。その結果、半導体パッケージを外部回路基板に実装する際に基体1の反りが矯正されると、中心導体3bの先端部が導電性接着材6bから外れることがあり、中心導体3bと線路導体6aとの接続の信頼性が低下することになる。
【0037】
また、本発明では、図3に示すように、保持部材11の枠体2内側の端面と下面との間の稜部が切り欠かれて成る段差12が形成されていることが好ましい。この場合、基体1と保持部材11をろう付け等により接合する際に、ろう材が保持部材11の下面から基体1の上側主面の枠体2内側の面に流れ出て不要なろう材溜まりを形成するのを段差12により防止できる。
【0038】
この段差12は、図3のように、保持部材11の接合部2a(保持部材11の下部)の枠体2内側の端面と下面との間の稜部を階段状に切り欠いて形成したり、図4のように、保持部材11の接合部2aの枠体2内側の端面と下面との間の稜部を面取り加工して斜面状にして形成することができる。この段差12は、基体1と保持部材11を接合するためのろう材が、保持部材11の下面から基体1の上側主面の枠体2内側の面に流れ出て不要なろう材溜まりを形成するのを防止し、載置部1aの有効面積を確保するために形成される。従って、段差12は少なくとも保持部材11の枠体2内側の端面下端に設ければよい。
【0039】
段差12の上下方向の深さは0.1mm以上、基体1の上側主面の面方向の長さは0.2mm以上、幅は棚部11aの幅Yであれば良い。深さが0.1mm未満の場合、段差12の深さが浅いため、段差12を越えてろう材が保持部材11の下面から基体1上側主面の枠体2内側の面に流れ出易くなる。長さが0.2mm未満の場合、同じく段差12を越えてろう材が保持部材11の下面から基体1上側主面の枠体2内側の面に流れ出易くなる。段差12の幅が棚部11aの幅Y未満であると、保持部材11の下面から基体1上側主面の枠体2内側の面にろう材が流れ出易くなる。
【0040】
このようにして、保持部材11の下面から基体1上側主面の枠体2内側の面へのろう材の流れ込みを防いで、結果として基体1上側主面の半導体素子を載置するための載置部1aの有効面積を確保することができる。また、ろう材が流れ出して半導体素子に接触し短絡等が発生するのを防止できる。
【0041】
本発明においては、高周波信号の周波数は5〜50GHz程度がよく、この場合に高周波信号の伝送特性を良好なものとすることができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行なうのは何等差し支えない。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、同軸コネクタの保持部材は、枠体の下側に形成された切欠き部に枠体内外を貫通するように嵌着され、枠体の外側より同軸コネクタが挿着されるように枠体内外を貫通する貫通孔が形成されているとともに枠体内側の面の貫通孔の下方の部位に回路基板を上面に設置した棚部が設けられ、さらに回路基板の表面に枠体内側の面より突出した中心導体の端部と半導体素子とを電気的に接続する線路導体が形成されていることにより、同軸コネクタと回路基板が保持部材を介して枠体に嵌着されていることから、半導体パッケージをネジ止め等によって外部回路基板等に装着する際に枠体に加わる歪みが、保持部材において分散および吸収され、保持部材に設置固定された回路基板と挿着された同軸コネクタにはほとんど歪みが発生しない状態になる。従って、回路基板のクラックを有効に防止できるとともに、同軸コネクタの絶縁体のクラックを防止することができる。
【0044】
回路基板のクラック防止により、回路基板上面に形成した線路導体の断線が防止され、高周波信号を効率良く伝送させることが可能となる。また、同軸コネクタの絶縁体へのクラックを防止することにより、半導体パッケージ内を気密に保つことと、中心導体を伝送する高周波信号の同軸線路のモードを保つことが可能となり高周波信号を効率良く伝送させることができる。また、同軸コネクタと回路基板が保持部材に設けられることから、半導体パッケージの製造の際に中心導体と線路導体の位置ずれを従来よりも低減させることができる。従って、中心導体と線路導体の接続部におけるインピーダンスのばらつきを抑えることができ、高周波信号の伝送特性を向上させ得る。
【0045】
さらに、半導体パッケージを外部回路基板に実装する際に枠体に歪みが加わった場合においても、同軸コネクタの挿着部に伝わる歪みを有効に防止することになるため、同軸コネクタの位置ずれが無くなり、中心導体が線路導体から外れることも有効に防止できる。
【0046】
このようにして、回路基板のクラック防止、同軸コネクタの絶縁体のクラック防止、中心導体の線路導体に対する位置ずれ防止、中心導体の線路導体からの外れの防止を実現できるものとなる。また、これら効果によって、高周波信号の伝送効率に優れかつ気密性に優れた信頼性の高い半導体パッケージを提供できる。本発明は、好ましくは、保持部材は、枠体内側の端面と下面との間の稜部が切り欠かれて成る段差が形成されていることにより、基体と保持部材をろう付け等により接合する際に、ろう材が、保持部材の下面から基体の上側主面の枠体内側の面に流れ出て不要なろう材溜まりを形成するのを防止できる。その結果、基体の上側主面の半導体素子の載置部を確保することが可能となる。また、ろう材が流れ出て半導体素子に接触するのを防ぐことができる。
【0047】
従って、本発明は5〜50GHz程度の高周波信号の伝送特性に優れかつ気密性に優れた半導体パッケージを構成し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】図1の半導体パッケージにおける保持部材と回路基板を上方からみた部分平面図である。
【図3】本発明の半導体パッケージについて実施の形態の他の例を示す保持部材部の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の半導体パッケージについて実施の形態の他の例を示す保持部材部の要部拡大断面図である。
【図5】従来の半導体パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
2:枠体
2a:切欠き部
3:同軸コネクタ
3a:外周導体
3b:中心導体
3c:絶縁体
5:半導体素子
6:回路基板
6a:線路導体
11:保持部材
11a:棚部
11b:貫通孔
12:段差
Claims (2)
- 上側主面に半導体素子を載置するための載置部を有する基体と、前記上側主面の外周部に前記載置部を囲繞するように接合され、かつ側部に同軸コネクタの保持部材を嵌着させる切欠き部が形成された枠体と、前記切欠き部に嵌着された保持部材と、筒状の外周導体およびその中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在させた絶縁体から成るとともに前記切欠き部に前記保持部材に保持された同軸コネクタとを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記切欠き部は前記枠体の下側に形成されており、前記保持部材は、その下面が前記基体の上側主面に接合されるとともに、前記枠体内外を貫通するように嵌着され、前記枠体の外側より前記同軸コネクタが挿着されるように前記枠体内外を貫通する貫通孔が形成され、前記枠体内側の面の前記貫通孔の下方の部位に回路基板を上面に設置した棚部が設けられ、さらに前記回路基板の表面に前記枠体内側の面より突出した前記中心導体の端部と前記半導体素子とを電気的に接続する線路導体が形成されており、前記保持部材の厚みが前記枠体より肉厚にされていることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
- 前記保持部材は、前記枠体内側の端面と下面との間の稜部が切り欠かれて成る段差が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体素子収納用パッケージ。
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