JP3619134B2 - ボンネットの通気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の作業車両に適したボンネットの通気構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタ等の作業車両は、一般に、車体の前部にエンジン、ラジエータ、バッテリ等を搭載してこれらをボンネットにて覆い、このボンネットに、ラジエータに対する冷却空気を取り入れるための通気口を形成したものとなっている。
特に、ボンネットのフロントグリルは、進行方向前方に向いて冷却空気を取り入れ易いことから、比較的大きな通気口が形成されるようになっており、その反面、大きな通気口によってフロントグリルの強度低下が問題となるために、また、デザイン上の観点からも、通気口には複数の縦桟及び横桟が架設されるようになっていた。
【0003】
そして、通気口の裏側には空気の流通が可能な金網等の多孔部材が取り付けられ、この多孔部材によってボンネット内にゴミや塵、虫等が侵入するのを防止するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のボンネットでは、多孔部材を横桟及び縦桟の裏側に密着して取り付けるようにしていたため、該多孔部材が横桟及び縦桟によって部分的に塞がれ、実質的な通気面積を減少してしまうという不都合があった。これは、ラジエータによる冷却効率を低下させ、オーバーヒートを招来する原因となるものであった。
また、横桟の上面に埃等が貯まりやすくなることから、多孔部材の横桟との境界部分に目詰まりを生じやすく、これは通気抵抗を増大させる原因となり、また、これを解消するためには頻繁な清掃が必要であった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてされてたものであり、通気口の裏側に設けた多孔部材が桟部材によって塞がれるようなことを防止することで、通気面積を可及的に確保してラジエータの冷却効率向上を図ったボンネットの通気構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明は、エンジン、ラジエータ等を覆うボンネットに、通気口と、該通気口に架設された桟部材と、通気口の裏面側に設けられた防塵用の多孔部材とを備えてなるボンネットの通気構造において、
前記多孔部材が、桟部材の裏面側から離間して設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
これによって、多孔部材が桟部材によって塞がれることもほとんどなく、該多孔部材の通気面積を可及的に確保することができるようになり、よってラジエータによる冷却効率を向上することができるのである。
上記構成は、桟部材の裏面側にスペーサ部材を介して多孔部材を設けることで容易に実現することができ、桟部材との間にスペーサ部材を介在させることで多孔部材のガタつき等を防止できるものとなる。
多孔部材としては、金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の通気孔を有した各種部材を採用することができるが、特にパンチングメタルを用いるのが好ましい。これによって、多孔部材自体の強度が高められたものとなることからその形状を好適に保持でき、ガタつきや変形等が防止できるものとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図4に示すように、本発明の実施形態にかかるボンネット2は、トラクタ1の前部に配設されたものとなっており、このボンネット2の後側にはキャビン3が搭載され、ボンネット2内にはエンジン4、ラジエータ5及びバッテリ6等の各種機器が配設されている。
前記ラジエータ5はエンジン4の前方に配設されており、ラジエータファン7によってその前方から冷却空気を取り入れるとともに後方へ掃き出す形式(後方掃き出し式)とされている。
【0009】
ボンネット2は、エンジン4等の上方を覆う上部カバー10と、左右両側方を覆う側部カバー11と、前方を覆うフロントグリル12とによって分割構成されている。
フロントグリル12には、ラジエータ5に対する冷却空気をボンネット2内に取り入れるための通気口(本発明にかかる通気口)13が形成されており、側部カバー11におけるラジエータ5より前側の部分にも冷却空気取入用の通気口14が形成されている。
【0010】
また、側部カバー11におけるラジエータ5より後側の部分には、ラジエータ通過後の排風をボンネット2外へ排出するための通気口15が形成されている。
フロントグリル12は、図1〜図3に示すように、合成樹脂材等によって平面視で略コ字状を呈するものとなっており、その上部側に前記通気口13を有し、下部側に左右一対のヘッドライト17を備えている。また左右ヘッドライト17間には、その製品を種別するためのシンボルマーク(ヘッドマーク)等の銘板18が設けられている。
【0011】
通気口13の左右縁部20の間には上下複数の横桟21が間隔をあけて架設されており、上下縁部22の間には左右複数の縦桟23が設けられている。
各横桟21は、図1に示すように、前壁21aと該前壁21aの上下端から後方へ延びる上下壁21bとを有した断面視コ字形を呈しており、各縦桟23は、上下に隣接する横桟21の上下壁21b,21b後端を互いに連結しつつ縦一列に配列されたものとなっている。
また、左右中央に設けられた縦桟23Aは、図2に示すように、断面視コ字状を呈して比較的広幅に形成され、左右側部に設けられた縦桟23B,23Cは、これよりも細幅に形成されている。
【0012】
前記通気口13の裏面側には、ボンネット2内への塵や埃、虫等の吸込を防止する(本明細書では単に防塵用と称する)多孔部材30が設けられている。
本実施形態にかかる多孔部材30は、薄板材の略全面に多数の通気孔35を穿設したパンチングメタルを採用したものとなっている。
また、この多孔部材30は、フロントグリル12の裏面側に略沿った平面視コ字形を呈しており、その左右両端部が左右外側へ屈曲され、左右中央部が前方へ屈曲し、膨出した形状とされている。
【0013】
左右の屈曲部30Aは、通気口11の左右縁部20にピンやネジ等の固定具31を介して取り付けられ、膨出部30Bは、中央部の縦桟23Aに対して固定具31を介して取り付けられれている。
また、フロントグリル12の左右各前面の略中央に配設された縦桟23Bの裏面側には、スペーサ部材33が上下複数箇所に突設されており、多孔部材30における膨出部30Bと屈曲部30Aの間の部分がこのスペーサ部材33に対して固定具31を介して取り付けられるようになっている。
【0014】
スペーサ部材33は、多孔部材30と縦桟23及び横桟21(以下総称して桟部材という)とを離間して隙間tを形成するものであり、したがって、多孔部材30は、その大部分において桟部材21,23と直接的に接触せず、該桟部材21,23によってほとんど塞がれることがないことから、通気面積を可及的に確保することができ、ボンネット内への冷却空気の流入を円滑にするとともにラジエータの冷却効率を向上できるものとなっている。
また、横桟21の後方が開放しているために該横桟21上に埃等がたまることも少なくなることから、多孔部材30が部分的に目詰まりして通気抵抗を増大させるようなことを防止でき、清掃頻度も少なくて済むようになる。
【0015】
なお、本実施形態において、桟部材21,23と多孔部材30との隙間tは約5〜10mm(好ましくは約7mm)に設定されている。この程度の隙間とすることで、桟部材21,23が障害とならない程度に多孔部材30の通気面積を十分に確保でき、且つボンネット内のスペースを侵食することもほとんどないのである。但し、隙間tの寸法はこれに限定されることなく適宜変更可能である。
多孔部材30としてパンチングメタルを使用することで、それ自体の形状を保持するための強度を十分に有したものとなり、桟部材21,23から離間して設けたとしてもガタつきや変形等を防止できるようになっている。
【0016】
また、屈曲部30A及び膨出部30Bは、通気口13に対する取付部とされるだけでなくリブとしての機能を有し、より一層多孔部材30の強度が高められるものとなる。
なお、パンチングメタル30は、図1に示すように、通気孔35の孔径Xが板厚の2倍と略同じかやや大きく設定され、各通気孔35の間隔Yが板厚と略同じかやや小さく設定されたものとなっている。
より具体的には、厚さ約0.6mmの薄板材に対して、孔径Xが約2mmの通気孔35を約2.6mmピッチ(P)で形成することで、各通気口35の間隔Yを約0.6mmに設定し、開孔率を約52%としたものとなっており、従来のパンチングメタル(多孔部材)に比べて通気孔35が小径、小ピッチで形成されたものとなっている。
【0017】
このように構成した理由は、多孔部材30の通気抵抗を減少させるために単に通気孔35の径を大きくして開孔率を増大させたとすると、大きな塵等が侵入してしまうとともに、通気孔35を通過する冷却空気の流速が増大して塵等を吸い込み易くなり、却って冷却効果を阻害する恐れがあるが、通気孔35を小径、小ピッチPで形成すれば、開孔率を増大し通気抵抗を減少させたとしても、孔径Xより大きな塵等の侵入を阻止でき、各通気孔35を通過する冷却空気の流速を減退して塵や虫等の吸込みを好適に防止できるからである。
【0018】
なお、多孔部材30の各寸法X、Y、P等についても適宜変更できるものである。
本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。
例えば、上記実施形態では、多孔部材35は、その左右中央部において縦桟23Aに接触するものとなるが、この部分をもスペーサ部材等により離間して設けても良く、また、横桟21に対してスペーサ部材33を介して取り付けても良い。
【0019】
また、多孔部材30として、エキスパンドメタルや金網を採用することも可能であり、桟部材は、横桟21のみ又は縦桟23のみの構成であってもよい。
スペーサ部材33は、フロントグリル2(縦桟又は横桟)と一体に形成するに限らず別体としても良く、多孔部材30を部分的に前面側へ突出することによってスペーサ部材を構成してもよい。
本発明にかかる通気構造は、ボンネットのフロントグリルに採用するのが最も好適であるが、これに限らずボンネット側部等にも採用することができ、トラクタ以外の他の作業車両にも採用することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、多孔部材の通気面積を可及的に確保してラジエータの冷却効率の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるフロントグリルの側面断面図(図3のA−A矢示図)である。
【図2】同フロントグリルの平面断面図(図3のB−B矢示図)である。
【図3】フロントグリルの正面図である。
【図4】ボンネットの側面図である。
【符号の説明】
2 ボンネット
4 エンジン
5 ラジエータ
12 フロントグリル
13 通気口
21 横桟
23 縦桟
30 多孔部材
33 スペーサ部材
35 通気孔
Claims (2)
- エンジン(4)、ラジエータ(5)等を覆うボンネット(2)に、通気口(13)と、該通気口(13)に架設された桟部材(21,23)と、前記通気口(13)の裏面側に設けられていて薄板材に多数の通気孔(35)を形成したパンチングメタルによって構成された防塵用の多孔部材(30)とを備え、前記桟部材(21、23)の裏面側の複数箇所にスペーサ部材(33)が一体形成され、前記多孔部材(30)が、桟部材(21、23)と直接接触せずにボンネット(2)内への冷却空気の流入を円滑にすべく、前記スペーサ部材(33)を介して桟部材(21、23)の裏面側から離間して設けられていることを特徴とするボンネットの通気構造。
- エンジン(4)、ラジエータ(5)等を覆うボンネット(2)に、通気口(13)と、該通気口(13)に架設された桟部材(21,23)と、前記通気口(13)の裏面側に設けられていて薄板材に多数の通気孔(35)を形成したパンチングメタルによって構成された防塵用の多孔部材(30)とを備え、前記多孔部材(30)を部分的に前面側へ突出することでスペーサ部材(33)が構成され、前記多孔部材(30)が、桟部材(21、23)と直接接触せずにボンネット(2)内への冷却空気の流入を円滑にすべく、前前記スペーサ部材(33)を介して桟部材(21、23)の裏面側から離間して設けられていることを特徴とするボンネットの通気構造。
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