JP3614201B2 - 抽斗のダブルサスペンション装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、抽斗を抽斗収納筐体から大きく前方へ引き出せるようにした抽斗のダブルサスペンション装置に関するものであり、より詳しくは、抽斗を大きく前方へ引き出したときに抽斗をガタつきなくしっかりと保持出来るようにした抽斗のダブルサスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、キャビネット、事務机等のスチ−ル家具においては、抽斗を抽斗収納筐体から大きく前方へ引き出せるようにするため、ダブルサスペンション装置(オ−バスライド機構と呼ばれることもある)を採用したものがある。このダブルサスペンション装置にあっては、実公昭56−1242号公報に示すように、基本的に、抽斗収納筐体の内側面に固定レールが設けられ、抽斗の外側面に抽斗レールが設けられ、前記固定レールと抽斗レールとを、該固定レールと抽斗レールとにそれぞれスライド可能とされた移動レールによって連結してなる構造とされる。そして、抽斗レールには、略水平に伸びる水平部が形成されて、この水平部が、移動レールに複数設けられたローラ等のガイド部材によって滑らかに案内されるようになっている。
【0003】
上述のようなダブルサスペンション装置にあっては、抽斗を大きく前方へ引き出した際、抽斗がしっかりと保持されるように、移動レールには、抽斗レールの水平部後端部を上下方向から挟持するための上下一対のローラを設けることが行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記上下一対のローラは、回転可能ではあるが、上下方向の距離が一定不変状態で移動レールに取付けられている一方、製作上の寸法誤差や、抽斗レールの水平部を上下一対のローラ間に挿入可能にする等のため、当該上下一対のローラ間の上下方向距離は、抽斗レールの水平部の厚さよりもかなり大きいものとなる。この結果、抽斗を大きく前方へ引出した状態では、抽斗レールの水平部後端部が、上下一対のローラ間で遊びを生じてしまい、この遊びが、抽斗のガタつきを発生させる原因となり、抽斗をしっかりと保持しておく上での問題となる。このような問題を解消すべく、上下一対のローラのうち特に下ローラを前後方向に間隔をあけて複数設けることも考えられるが、上述の上下方向の遊びを解消することは不可能である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、抽斗を大きく前方へ引出したときに、抽斗をガタつきなくしっかりと保持できるようにした抽斗のダブルサスペンション装置を提供することにある。
【0006】
前記課題を解決するために、本発明にあっては以下の構成としてある。すなわち、
抽斗収納筐体の内側面に固定レールが設けられ、
抽斗の外側面に抽斗レールが設けられ、
前記固定レールと抽斗レールとを、該固定レールと抽斗レールとにそれぞれスライド可能とされた移動レールによって連結してなる抽斗のダブルサスペンション装置において、
前記抽斗レールが、略水平に伸びる水平部を有し、
前記移動レールが、前記抽斗を前記抽斗収納筐体から大きく前方へ引き出した位置において、前記水平部の後端部上方に位置する上ガイド部材と、該水平部の後端部下方に位置して上下方向に揺動自在とされた単品ブラケットの保持部材とを有し、
前記保持部材は、その揺動中心よりも前方位置において、前記固定レールの下方部に当接して該保持部材の所定以上の下方への揺動を規制するストッパ部を有し、
前記保持部材には、前記ストッパ部よりも前方位置において、前記上ガイド部材と共働して前記水平部を上下方向から挟持するための下ガイド部材が保持されている、
ような構成としてある。
【0007】
好ましくは、前記上ガイド部材とストッパ部と下ガイド部材とがそれぞれ、ローラにより構成される。
好ましくは、前記上ガイド部材が、前記抽斗レールの前後方向の移動に応じて前後方向に移動される遊びローラとして構成される。
【0008】
【作用】
上述のような構成の抽斗のダブルサスペンション装置にあっては、抽斗を大きく前方へ引き出した際、抽斗の重量によって、固定レールに対して、移動レールの前端部が下方へまた後端部が上方へ変位するようなモ−メントを受け、ストッパ部が固定レールの前端部下面に強く当接されることになる。この状態で、固定レールは下方への移動が規制されているので、結局のところ、保持部材は、その揺動中心を中心にして、固定レールからストッパ部を介して上方へ持ち上げられるような力、つまり下ガイド部材が上方へ持ち上げられる力を受けることになり、上下のガイド部材同士でガタつきなく抽斗レールの水平部を挟持することになる。
【0009】
また、下ガイド部材は、ストッパ部よりも前方つまり保持部材の揺動中心よりも遠い位置にあるので、下ガイド部材の上方への変位量が十分確保されることになり、上下のガイド部材同士で抽斗レールの水平部をしっかと挟持する上でより一層好ましいものとなる(保持部材の揺動角度が同じであれば、揺動中心から遠い位置ほど上下方向の変位量が大きくなる)。
【0010】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例につき詳細に説明する。
【0011】
図1、図2において、1は固定レール、2は抽斗レール、3は移動レールである。固定レール1は抽斗収納筐体4の内側面に固定され、抽斗レール2は抽斗5の外側面に固定されている。そして、移動レール3は、固定レール1および抽斗レール2に対してそれぞれスライド可能に係合されて、該両レール1と2とを連結している。
【0012】
固定レール1は、上下方向に伸びて抽斗収納筐体4に固定される取付片部1aと、取付片部1aの上下方向各端から略水平に延設された上下一対の水平部1b、1cと、各水平部1b、1cの先端から互いに近づくように上下方向に伸びる一対の折返し片部1d、1eと、を有する。このような固定レール1は、鉄板等の金属プレ−トを折曲することにより構成される。
【0013】
抽斗レール2は、抽斗5の外側面に固定される上下方向に伸びる取付片部2aと、取付片部2aの下端から略水平に伸びる水平部2bと、水平部2b先端から下方へ伸びる折返し片部2cとを有する。このような抽斗レール2は、鉄板等の金属プレ−トを折曲することにより構成される。
【0014】
移動レール3は、断面形状は固定レール1とほぼ同様に形成されているが、固定レール1内に嵌合される構造のため、固定レール1よりも断面が小さいものとして構成されている。この移動レール3は、上下方向にのびる本体片部3aと、本体片部3aの上下方向各端から略水平に延設された上下一対の水平部3b、3cと、各水平部3b、3cの先端から互いに近づくように上下方向に伸びる一対の折返し片部3d、3eと、を有する。このような移動レール3は、鉄板等の金属プレ−トを折曲することにより構成される。
【0015】
前記各レール1〜3は、それぞれ、抽斗5つまり抽斗収納筐体4の前後方向(抽斗4の引出し、収納方向)長さとほぼ等しい長さとされている。なお、固定レール1、移動レール3は、それぞれその側方開口部が抽斗5側を向くように配設される。
【0016】
移動レール3には、複数のローラ11〜16が設けられている。ローラ11は、移動レール3の前端部下部に位置されて、固定レール1の下水平部1c上を転動可能とされ、抽斗5を大きく前方へ引き出した図1の状態では、固定レール1から離脱される。ローラ12は、移動レール3の後端部上部に位置されて、固定レール1の上水平部1bの下面に対して転動可能とされる。ローラ13は、ローラ12よりも若干前方に位置されて、固定レール1の下水平部1c上を転動可能とされる。
【0017】
ローラ14〜16はそれぞれ、ローラ11と13との間の後述する所定位置に配設される。このうち、ローラ14は、抽斗レール3の水平部3bの上方に位置され、ローラ15と16とは、水平部3bの下方に位置される。そして、下方の2つのローラ15と16とはそれぞれ、ブラケット17に回転可能に保持され、このブラケット17は、取付ピン18によって、上下方向に揺動自在として移動レール3に取付けられている。上記ローラ14が特許請求の範囲における上ガイド部材を構成し、ローラ15が、特許請求の範囲における下ガイド部材を構成し、ローラ16が特許請求の範囲におけるストッパ部を構成し、ブラケット17が特許請求の範囲における保持部材を構成する。
【0018】
前記ローラ15、16、ブラケット17の組立体が、図3に示される。ブラケット17は、鉄板等の金属プレ−トを折曲することにより、上方へ向けて開口された断面略コ字状として形成されて、下面17aと、左右一対の側壁部17b、17cとを有する。側壁部17b、17cの後端部に取付孔17dが形成されて、この取付孔17dに挿入された前記取付ピン18の各端が、移動レール3の本体部3aと下折返し部3eに保持される。これにより、ブラケット17は、取付ピン18を中心として、上下方向に揺動可能とされている。
【0019】
ローラ15は、ブラケット17の前端部において、取付ピン19によって回転可能に取付けられている。また、ローラ16は、ローラ15と揺動中心としての取付ピン18との間において、取付ピン20によって回転可能に取付けられている。ローラ15、16の位置に対応して、ブラケット17の下面17aに、開口17e、17fが形成されている。ローラ15は、開口17eを通して、下面17aよりも若干下方へ突出されている。ローラ16は、開口17fを通して、下面17aよりもかなり大きく下方へ突出されている。そして、各ローラ15、16は、ブラケット17の上端よりも上方へ突出されている。
【0020】
ブラケット17に対応して、移動レール3の下水平部3cには切欠開口3fが形成されている(図1参照)。また、ブラケット17の自由端部側には、切欠開口3fの開口縁部に当接して、ブラケット17が所定以上下方へ揺動するのを規制するための係止段部17gが形成されている(図1、図3参照)。そして、係止段部17gが切欠開口3fの開口縁部に当接した状態では、ローラ15、16の下端が、移動レール3の下水平部3cよりも若干下方へ突出するように設定されている。
【0021】
各ローラ15、16は、図4に示すように、円筒状の外輪部材31と、該外輪部材31の内孔31aに回転可能に嵌合された円筒状の内輪部材32とから構成されて、内輪部材32の内孔32aに取付ピン19あるいは20がきつく嵌合される。外輪部材31と内輪部材32とは、摩擦係数の小さいプラスチックにより構成されている。
【0022】
ここで、抽斗5を大きく前方へ引き出した図1の状態において、上ガイド部材としてのローラ14および下ガイド部材としてローラ15はそれぞれ、固定レール1の前端よりも若干前方に位置され、各ローラ14と15との前後方向位置はほとんど同じとなるようにされている。また、ストッパ部としてのローラ16は、固定レール1の前端よりも若干後方に位置される。
【0023】
なお、実施例では、上ガイド部材としてのローラ14は、いわゆる遊びローラとされて、移動レール3に対して前後方向に移動可能とされている。すなわち、抽斗5を大きく前方へ引き出したときは、図1の状態とされるが、この状態から抽斗5を抽斗収納筐体4内へ収納すべく後方へ移動させると、抽斗レール2の後方への移動に伴ってローラ14が後方へ移動されることになる。なお、このような遊びローラ14の案内機構は、従来より種々提案されているので、図示を略してある。
【0024】
また、移動レール3は、所定ストロ−クだけ固定レール1に対して前後方向に移動可能であり、後方への所定以上の移動は、移動レール3の前端部に取付けたストッパ部材21が固定レール1の前端面に当接することにより規制される。移動レール3の固定レール1に対する後方向への所定以上の移動を規制するストッパ機構は、図示を略してある。さらに、抽斗レール2は、移動レール3から所定以上前方へ相対移動するのが規制されるが、このためのストッパ機構も従来から種々提案されているので、図示を略してある。
【0025】
次に、以上のような構成の作用について説明する。いま、抽斗5を大きく前方へ引き出した図1の状態においては、抽斗5の重量により、移動レール3には、図1中矢印Aで示すようなモ−メントが発生する。このモ−メントは、移動レール3が固定レール1に対して、前端部が下方へ後端部が上方へ変位するような動きとなる。これにより、ストッパ部としてのローラ16が、固定レール1(における下水平部1c)の前端部に強く押し付けられる。一方、固定レール1は上下方向に不動であるので、ブラケット17は、ローラ16を介して固定レール1から相対的に上方への力を受けることになり、ブラケット17は、図1矢印Bで示すように、取付ピン18を中心にしてその前端部が上方へ変位するような揺動を行う。
【0026】
ブラケット17が、その前端部が上方へ変位するような揺動を行うことにより、下ガイド部材としてのローラ15が、上方へ変位して、抽斗レール2の水平部2bを上方へつまり上ガイド部材としてのローラ14に押し付ける。このようにして、抽斗レール2の水平部2bが、上下一対のローラ14と15とによりしっかりと挟持されることになる。
【0027】
抽斗5を抽斗収納筐体4へ収納するときは、ローラ15と16とは、固定レール1の下水平部1cを転動して、移動レール3を固定レール1に対して滑らかに案内する。移動レール3の前端部に設けたストッパ部材21が固定レール1の前端面に当接することにより、移動レール3の所定以上の後方への移動が規制される。
【0028】
以上実施例について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。
【0029】
(1)上ガイド部材としてのローラ14は、図1に示す位置において固定して、前後方向には移動不能として取付けてもよい。
【0030】
(2)ローラ14〜16のうち、任意の1つ、あるいは任意の2つ、さらには3個全て、摩擦係数の小さい例えばプラスチック等のブロック材により構成するようにしてもよい(摺動案内となる)。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、抽斗を大きく前方へ引出したときに、抽斗をガタつきなくしっかりと保持できる抽斗のダブルサスペンション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、図2のX1−X1線相当断面図。
【図2】図1のX2−X2線相当断面図。
【図3】ストッパ部と下ガイド部材と保持部材との組立体を示す斜視図。
【図4】保持部材に取付けられるガイド部材としてのローラ部分を示す分解斜視図。
【符号の説明】
1:固定レール
1c:下水平部(下面)
2:抽斗レール
2b:水平部
3:移動レール
4:抽斗収納筐体
5:抽斗
14:ローラ(上ガイド部材)
15:ローラ(下ガイド部材)
16:ローラ(ストッパ部)
17:ブラケット(保持部材)
18:取付ピン(揺動中心)
Claims (3)
- 抽斗収納筐体の内側面に固定レールが設けられ、
抽斗の外側面に抽斗レールが設けられ、
前記固定レールと抽斗レールとを、該固定レールと抽斗レールとにそれぞれスライド可能とされた移動レールによって連結してなる抽斗のダブルサスペンション装置において、
前記抽斗レールが、略水平に伸びる水平部を有し、
前記移動レールが、前記抽斗を前記抽斗収納筐体から大きく前方へ引き出した位置において、前記水平部の後端部上方に位置する上ガイド部材と、該水平部の後端部下方に位置して上下方向に揺動自在とされた単品ブラケットの保持部材とを有し、
前記保持部材は、その揺動中心よりも前方位置において、前記固定レールの下方部に当接して該保持部材の所定以上の下方への揺動を規制するストッパ部を有し、
前記保持部材には、前記ストッパ部よりも前方位置において、前記上ガイド部材と共働して前記水平部を上下方向から挟持するための下ガイド部材が保持されている、
ことを特徴とする抽斗のダブルサスペンション装置。 - 前記上ガイド部材とストッパ部と下ガイド部材とがそれぞれ、ローラにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の抽斗のダブルサスペンション装置。
- 前記上ガイド部材が、前記抽斗レールの前後方向の移動に応じて前後方向に移動される遊びローラとされていることを特徴とする請求項1又は2記載の抽斗のダブルサスペンション装置。
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JP05716295A JP3614201B2 (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 抽斗のダブルサスペンション装置 |
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