JP4155452B2 - 複式ガイドレール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビネット等のオフィス用家具や家庭用家具等の引出体の出し入れを行う際の摩擦低減用に用いるガイドレールに関し、所謂、複式ガイドレールに関する。本願の引出体とは、引き出される物一般を表現しており、抽斗や引き出されるテーブル等が含まれる。
【0002】
【従来の技術】
複式ガイドレールを使用したキャビネット等において、抽斗を引き出す場合に、常にまず中間レール部材が引き出され、次ぎに抽斗側レール部材が引き出され、収納させる場合には、抽斗側レール部材が収納され、次ぎに中間レール部材が収納されるというように、順序が定まっていると、製品に対する信頼性や安心感が高まるものである。
また、抽斗を引き出す場合に、中間レール部材が引き出される前に、既に該中間レール部材に対して抽斗側レール部材が引き出されていると、後から中間レール部材が引き出される際に、抽斗等の荷重が抽斗側レール部材がオーバーハングしている長さに応じたモーメント負荷として、中間レール部材と収納体側レール部材との間に介在するボール等の転動体に対して作用する。このため、転動体に対する動負荷が大きくなり、耐久性に問題が生じる。収納させる場合も同様である。こうした観点から、下記特許文献1には、引き出す場合には、まず、抽斗側レール部材(インナーレール)と共に中間レール部材を引き出し、それから、抽斗側レール部材を引き出し、収納の際は、まず、中間レール部材に対して抽斗側レール部材を収納させ、その後から、抽斗側レール部材と共に中間レール部材を収納させるように規定した構造が開示されている。
【特許文献1】
特公平8−1213号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1では、弾性力の大小、即ち、摩擦力の大小によってレール部材のスライド順序を規定している。従って、その規制力の調節は必ずしも簡便ではなく、より簡便で、確実な規制手法が好ましい。
依って本発明は、簡便かつ確実な構造で、レール部材のスライド順序を規定できる複式ガイドレールの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて本発明の請求項1では、キャビネット等の家具の引出体と収納体との間に設けられ、収納体側に装着された収納体側レール部材と、該レール部材に対して相対移動する中間レール部材と、該中間レール部材に対して相対移動すると共に引出体側に装着された引出体側レール部材とを有する複式ガイドレールであって、横断面における中間レール部材の一端側に引出体側レール部材が配設されると共に、他端側に収納体側レール部材が配設され、中間レール部材に取り付けられて枢軸回りに回動可能な規制連結部材を有し、該規制連結部材の収納体側レール部材側の部位に凸部を有しており、引出体側レール部材と中間レール部材がほぼ完全に引き出された状態から、中間レール部材を収納体側レール部材に対して押し込み移動させようとする場合、前記凸部は、該凸部の後側側面に収納体側レール部材前端部が干渉しつつ収納体側レール部材に乗り上がることができる形状であるが、引出体側レール部材によって乗り上がりが規制されており、引出体側レール部材は、該引出体側レール部材が中間レール部材に対してほぼ完全に収納された状態において、前記規制連結部材を少なくとも部分的に受け入れて退避させることのできる凹所を有しており、規制連結部材が該凹所に退避すると前記乗り上がり規制が解除され、中間レール部材は引出体側レール部材と共に収納方向に移動できる他、引き出し時にも共に引き出され、中間レール部材がほぼ完全に引き出された位置では規制連結部材が凹所から出られることを特徴とする複式ガイドレールを提供する。
【0005】
引出体側レール部材と中間レール部材がほぼ完全に引き出された状態から、中間レール部材を収納体側レール部材に対して押し込み移動させようとする場合、上記凸部は、該凸部の後側側面に収納体側レール部材前端部が干渉しつつ収納体側レール部材に乗り上がることができる形状であるが、引出体側レール部材によって乗り上がりが規制されているため、引出体を収納させようとした場合、中間レール部材は収納移動が規制されており、中間レール部材に対して引出体側レール部材(と引出体)のみが収納移動する。そして、引出体側レール部材が中間レール部材に対してほぼ完全に収納された位置まで来ると、引出体側レール部材の凹所に規制連結部材を受け入れて退避させることができるので、中間レール部材にも伝達されている引出体を押し込む力によって、規制連結部材を押し上げて凹所に退避させることができる。規制連結部材が凹所に退避すると前記乗り上がり規制が解除されて中間レール部材は引出体側レール部材と共に収納方向に移動できる。
引き出す場合も、凹所に入った規制連結部材の作用で中間レール部材は引出体側レール部材と共に引き出される。そして、中間レール部材がほぼ完全に引き出された位置に来れば規制連結部材は凹所から出られるため、引出体側レール部材は中間レール部材との連結を解除できて更に引き出すことができる。
従って、簡便な構造でレール部材が確実に順序良くスライドすることになる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る複式ガイドレールの側面図であり、幾分引き出した状態の図である。図2はその要部拡大図、図4は図1の矢視線D−Dによる拡大横断面図である。分かり易くするために、図1と図2では一部破線にすべきところを実線表示している。この形態例では、引出体は抽斗であり、図4に横断面を示すように、抽斗側レール部材14の横断面形状は、4つの平面状壁部で矩形状に囲まれ、その一部に開口部14Kを有している。収納体側レール部材10の横断面L字形部材10Bに固定されたレール部材10Aも、抽斗側レール部材14と同様な矩形状横断面を成しており、その一部に開口部10Kを有している。この例では、抽斗側レール部材14と収納体側レール部材10のレール部材10Aとは上下方向配置関係に配設されており、前者部材の下面14Sと、後者部材の上面10Uとが対面している。この両部材14,10Aとが左右方向に配設されていてもよい。
【0007】
一方、中間レール部材12は、横断面における一端部12A(図4では上側部)が卍形に折り曲げられた折曲壁部に形成されており、他端部12B側も同様である。各端部12A,12Bを、抽斗側レール部材と収納体側レール部材の各開口部から矩形状壁部の内部に挿入している。この形態例では、極めて滑らかに互いにスライド可能にするため、各レール部材を互いに離隔させ、収納体側レール部材と中間レール部材の端部12Bとの間にローラーを装着したユニット体U1を介在させている。また、抽斗側レール部材と中間レール部材の端部12Aとの間にローラーを装着したユニット体U2を介在させている。図4では、これらユニット体が切断面から離れているため図示を省略している。
【0008】
中間レール部材12の所定位置には、前記2つの端部12A,12Bを連結する横断面中央部の壁部(前記下面14Sと上面10Uとの間)にアーム状の規制連結部材20が取り付けられている。この規制連結部材は、この壁部を貫通した枢軸20J回りに回動自在である。一方、抽斗側レール部材の所定位置には、規制連結部材の前端部の抽斗側レール部材側の凸部20Pが退避できる凹所としての切欠部14Hが設けられている。単なる孔部でもよい。
【0009】
規制連結部材20の前記凸部20Pの反対側(収納体側レール部材の側)にも凸部20Tが形成されている。この凸部の後側側面20TSはなだらかな傾斜状に形成されている。中間レール部材12が最も引き出された状態(図3)においては、収納体側レール部材10の前端10Eの直ぐ前に規制連結部材20の凸部20Tが下がっている。従って、中間レール部材12を収納する方向に移動させようとすると、規制連結部材凸部の後側側面20TSが前記前端10Eと干渉する。
【0010】
更には、抽斗側レール部材14を中間レール部材12に対して最も引き出した状態を図3に示しており、この状態においても、抽斗側レール部材下面14Sの後端領域が規制連結部材の一部(この例では凸部20P)と対面している。しかも、その対面離隔距離は、図3の規制連結部材20の凸部20Tの頂部(下端)と、収納体側レール部材10の上面(抽斗収納状態において前記下面14Sと対面関係となる収納体側レール部材の面)10Uとの高さの差よりも小さい。従って、抽斗を収納させる場合に、その押し込み力が中間レール部材12にも伝達されるが、規制連結部材(の凸部20P)の上方への回動が抽斗側レール部材下面14Sに規制されつつ、規制連結部材の前記後側側面20TSと収納体側レール部材10の前端とが干渉し、中間レール部材の移動が規制される。
【0011】
中間レール部材12の収納方向への移動が規制されている間に、レール部材では抽斗側レール部材14だけが収納方向に移動し、中間レール部材に対してほぼ完全に収納された位置に来ると、前記切欠部14Hが規制連結部材の凸部20Pと対面するように構成されている。この間の抽斗収納中は、規制連結部材と収納体側レール部材前端10Eとの干渉作用によって、規制連結部材(の凸部20T)は常に収納体側レール部材の上面10Uの高さを越える方向(この例では上方)に回動する作用を受けている。従って、凸部20Pが抽斗側レール部材の切欠部14Hと対面するようになれば、即、切欠部内に侵入退避する。
【0012】
これにより規制連結部材は収納体側レール部材の上面10Uに乗り上がることができ、中間レール部材12は収納体側レール部材に対して収納方向に移動可能となる。また、この際、抽斗側レール部材は適宜な度あたり手段によって(場合によっては規制連結部材の凸部20Pとの係合によって)中間レール部材と共に収納方向に移動する。こうして、抽斗を収納しきることができる。中間レール部材が収納体側レール部材に対して完全に収納される位置の規定は適宜な度あたり手段によって行われる。また、切欠部14Hの前後方向長さ等の大きさが規制連結部材凸部20Pより大きくて、収納操作中に抽斗側レール部材の切欠部の孔壁が凸部20Pに当接しなくても本発明の範囲には影響を与えない。この場合、既述のように抽斗側レール部材が中間レール部材に対して完全に収納しきった状態を規定する適宜な度あたり手段を設けている。
【0013】
抽斗収納状態の場合、規制連結部材20の凸部20Pが切欠部14Hに侵入退避しているため、抽斗側レール部材を引き出す場合、抽斗側レール部材の切欠部孔壁が、規制連結部材の侵入部分である凸部20Pの後側側面20Kに当接して中間レール部材と抽斗側レール部材とが連結された状態となる。なお、抽斗側レール部材の切欠部壁面が、規制連結部材の凸部後側側面20Kに当接することにより、規制連結部材が押し出し回動されようとするが、規制連結部材の他の凸部20Tが収納体側レール部材10の上面10Uに規制されて回動できない。
【0014】
従って、中間レール部材がほぼ完全に引き出された位置(図3)に来て、規制連結部材の凸部20Tが収納体側レール部材の前端10Eから前側に位置して凸部20Pが切欠部14Hから抜け出るまでは、抽斗側レール部材と中間レール部材とは一緒に引き出される。この位置において,凸部20Pが切欠部14Hから円滑に抜け出るためには、前記凸部後側側面20Kが前方に向かって傾斜していて、抽斗側レール部材を引き出すことにより切欠部14Hの孔壁が当接して規制連結部材を押し出すか、或いは、規制連結部材が枢軸20Jの回りに回動して切欠部14Hから抜け出る方向(図3では反時計回り方向)に常に付勢力を付与するバネ等の付勢手段を設けていてもよい。
【0015】
適宜な度あたり手段によって中間レール部材の完全引き出し位置を規定しており、この状態から更に抽斗を引き出せば、抽斗と共に、レール部材では抽斗側レール部材14のみが引き出される。該抽斗側レール部材の完全引き出し位置は、適宜な度あたり手段によって規定されている。
以上のように、収納時に抽斗側レール部材と中間レール部材とが共に収納移動されて収納操作が完了する機構としたので、収納操作の完了間際になって作用する自動引き込み装置を、抽斗側レール部材と中間レール部材の何れに作用するように構成しても有効となる。
【0016】
以上の説明では、各レール部材を円滑にスライドさせるために、転動体を有するユニット体を設けているが、こうした転がり摩擦を使用する機構の形態は任意であると共に、こうした機構は無くてもよい。
以上は抽斗を例に説明したが、引出体は引き出されるテーブル等であってもよい。
夫々の所で述べた変形形態は、互いに矛盾の無い限り、他の形態においても適用できる。
【0017】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、簡便かつ確実な構造で、レール部材のスライド順序を規定できる複式ガイドレールが提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る複式ガイドレールの側面図である。
【図2】図2は図1の要部拡大図である。
【図3】図3は図1の複式ガイドレールの異なる状態の側面図である。
【図4】図4は図1の矢視線D−Dによる拡大横断面図である。
【符号の説明】
10 収納体側レール部材
10E 収納体側レール部材前端
12 中間レール部材
14 抽斗側レール部材
14H 凹所(切欠部)
20 規制連結部材
20J 枢軸
20T 凸部
20TS 規制連結部材凸部の後側側面

Claims (1)

  1. キャビネット等の家具の引出体と収納体との間に設けられ、収納体側に装着された収納体側レール部材と、該レール部材に対して相対移動する中間レール部材と、該中間レール部材に対して相対移動すると共に引出体側に装着された引出体側レール部材とを有する複式ガイドレールであって、
    横断面における中間レール部材の一端側に引出体側レール部材が配設されると共に、他端側に収納体側レール部材が配設され、
    中間レール部材に取り付けられて枢軸回りに回動可能な規制連結部材を有し、該規制連結部材の収納体側レール部材側の部位に凸部を有しており、引出体側レール部材と中間レール部材がほぼ完全に引き出された状態から、中間レール部材を収納体側レール部材に対して押し込み移動させようとする場合、前記凸部は、該凸部の後側側面に収納体側レール部材前端部が干渉しつつ収納体側レール部材に乗り上がることができる形状であるが、引出体側レール部材によって乗り上がりが規制されており、
    引出体側レール部材は、該引出体側レール部材が中間レール部材に対してほぼ完全に収納された状態において、前記規制連結部材を少なくとも部分的に受け入れて退避させることのできる凹所を有しており、規制連結部材が該凹所に退避すると前記乗り上がり規制が解除され、中間レール部材は引出体側レール部材と共に収納方向に移動できる他、引き出し時にも共に引き出され、中間レール部材がほぼ完全に引き出された位置では規制連結部材が凹所から出られる
    ことを特徴とする複式ガイドレール。
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