JP3613855B2 - フッ素樹脂溶液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液安定性に優れ、基材に塗布した際に優れたフッ素表面機能を与えるコーティング適性に優れたフッ素樹脂溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フッ素樹脂は、その優れた表面特性や物性、即ち撥水撥油性、非粘着性、潤滑性、防湿性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性等を保有していることから、撥水撥油剤、剥離剤、離型剤、潤滑剤、耐摩耗剤、表面改質剤、シール剤、ガスケット、電気・電子部品等の絶縁コート剤及び/又は防湿コート剤、ハンダフラックスの侵入防止剤、オイルバリヤー剤、界面活性剤等に使用されている。
【0003】
また従来フッ素樹脂は、耐候安定性、耐光性、耐薬品性等に優れていることから、屋外建築用等の耐候性塗料として使用されてきた。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】
ところで、フッ素樹脂は一般に、ハロゲン系以外の溶剤には溶解し難いために、炭素原子、フッ素原子、塩素原子から成るフロン系溶剤、炭素原子、フッ素原子、塩素原子、水素原子や炭素原子、フッ素原子、水素原子から成る代替フロン溶剤、炭素原子、フッ素原子、臭素原子から成るハロン系溶剤、トリクロルエタン等の塩素系溶剤が可溶性溶剤として好んで使用されてきた。しかしこれ等のフロン系溶剤、ハロン系溶剤、塩素系溶剤、そして代替フロン溶剤の一部についてはオゾン破壊性があり、又生体に対する影響の大きいものもあって、その使用に際しては注意しなければならない状況となっている。
【0005】
ハロゲン系溶剤の中でも、オゾン破壊性や引火性の問題がない炭素原子、フッ素原子のみ、炭素原子、フッ素原子、酸素原子のみ、炭素原子、フッ素原子、窒素原子のみ、または炭素原子、フッ素原子、酸素原子、窒素原子のみからなるフッ素系溶剤に溶解しようとすると、該溶剤は溶解性に乏しいためにフッ素樹脂の溶解が非常に困難であり、もし溶けたとしても溶解安定性が乏しかったり、フッ素樹脂溶液を基材に塗布した際に塗布むらやブツを発生し表面状態が劣悪になったり、溶解できるフッ素樹脂の種類は非常に限られてしまうという問題があった。更にフッ素樹脂中のフッ素含有量を低下させるとフッ素系溶剤に対する該フッ素樹脂の可溶化は、従来の方法では不可能であるという問題があった。
【0006】
一方、非ハロゲン系溶剤にフッ素樹脂を溶解させようとしたり溶解安定性を保とうとすると、溶解度パラメーター等を考慮しフッ素樹脂中のフッ素含有量を低下させたり、フッ素樹脂の分子量を下げたりしなければならなかった。この場合には、フッ素樹脂中のフッ素含有量が低下するために、溶剤溶解性や溶解安定性は向上するものの、フッ素樹脂の撥水撥油性、非粘着性、潤滑性、防湿性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性等の本来の特性が低下するという問題があった。また、フッ素樹脂の分子量を低下させることにより皮膜形成性が悪化し、更にそれが原因でフッ素樹脂としての所期の性能を発揮できないという問題があった。
【0007】
以上の様に、オゾン破壊性や引火性の問題がない溶剤にフッ素系樹脂を溶解させ、更にその溶解安定性を向上させ、更にまたフッ素樹脂の所期の性能を発揮できる方法がないのが現状であった。
【0008】
本発明は、オゾン破壊性や引火性の問題がなく、更に生体に対する安全性の高いフッ素系溶剤を使用し、フッ素樹脂を該溶剤に安定的に溶解させることができ、かつそのフッ素樹脂溶液が優れた塗工性や優れたフッ素機能を与えるフッ素樹脂溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、炭素原子とフッ素原子のみから構成されている溶剤、炭素原子とフッ素原子と酸素原子のみから構成されている溶剤、炭素原子とフッ素原子と窒素原子のみから構成されている溶剤、及び炭素原子とフッ素原子と酸素原子と窒素原子のみから構成されている溶剤からなる群から選ばれる1種以上のフッ素系溶剤を使用し、そこにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、または該フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とからなる単量体組成物を滴下しながら重合すると上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、炭素原子とフッ素原子のみから構成されている溶剤、炭素原子とフッ素原子と酸素原子のみから構成されている溶剤、炭素原子とフッ素原子と窒素原子のみから構成されている溶剤、及び炭素原子とフッ素原子と酸素原子と窒素原子のみから構成されている溶剤からなる群から選ばれる1種以上のフッ素系溶剤に、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、または該フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とからなる単量体組成物を滴下しながら重合することを特徴とするフッ素樹脂溶液の製造方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
尚本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、塩素化アクリレートを総称するものとする。
【0012】
本発明において、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体(A)としては公知慣用のものをいずれでも使用することが可能であるが、具体的には下記一般式(a)にて表される化合物が挙げられる。即ち
【0013】
【化1】
[式中、Rfは炭素数1〜20のパーフロオロアルキル基、または部分フッ素化アルキル基であり、直鎖状、分岐状、または主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば−(OCF2CF2)2CF(CF3)2等でも良く、R1はH,CH3,Cl,またはFであり、Xは2価の連結基で、具体的には−(CH2)n−,
【化2】
(但し、nは1〜10の整数であり、R2はHまたは炭素数1〜6のアルキル基である。)、
【0014】
【化3】
等であり、aは0または1である。]
にて表わされる化合物や、一般式(b)
【化4】
の如き分子中にパーフルオロアルキル基を複数個有する化合物[式中、lは1〜14の整数である。]である。フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレ−トの具体例としては、以下の如きものが挙げられる。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
また、分子中にフッ素化アルキル基を2個以上有する、例えば以下のようなフッ素化合物もフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体として使用することが可能である。
【化9】
【0020】
尚、本発明が上記具体例によって、何等限定されるものでないことは勿論である。
フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であってもよい
【0021】
本発明に係わるフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体以外のエチレン性不飽和単量体としては、分子中にエチレン性不飽和基を含有し、且つ前記のフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体以外のものであれば何等制限無く使用することができる。
【0022】
フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体以外のエチレン性不飽和単量体の具体例としては以下の如きものが挙げられる。
【0023】
即ち、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル、またα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、即ちアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の一価ないし二価のカルボン酸、またα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体として、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以後この表現はアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの両方を総称するものとする。)、即ち(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステル等、また(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のヒドロキシアルキルエステル、即ち2−ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステル等、また(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアミノアルキルエステル即ちジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステル等、また(メタ)アクリル酸の、炭素数が3〜18のエーテル酸素含有アルキルエステル、例えばメトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステル等、更に橋状結合含有モノマーとしては、例えばジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等、更に重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100の、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、またアルキル炭素数が1〜18のアルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等、(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル、即ちグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等、またサートマー社製スチレンマクロモノマー4500、新中村化学工業(株)NKエステルM−230G等のマクロモノマー等、更にγ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメチキシシラン等のシランカップング基含有単量体、そして分子中に極性基、とりわけアニオン性基や水酸基を含有するモノマーとして、アクリル酸、メタアクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、部分スルホン化スチレン、モノ(アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(メタクリロキシエチル)アシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体以外のエチレン性不飽和単量体の具体例として、更に以下の如きシリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体が挙げられる。
【0025】
シリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体とは、ポリシロキサン鎖の片末端あるいは両末端に2価の連結基を介してα,β−不飽和基、即ちビニル基、アクリロイル基、あるいはメタクリロイル基のいずれかが連結されたものであり、その具体例としては、一般式(c−1)
【0026】
【化10】
〔式中、R3及びR4は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、それら同一でも異なっていてもよく、又シロキシ単位毎に同一でも異なっていてもよくpは3〜520の整数であり、qは0又は1であり、X2は2価の連結基で、−CH2CH(OH)CH2OCO−、−(CH2)n1NHCH2CH(OH)CH2OCO−、−(CH2)n1OCO−、−(CH2)n1−O−(CH2)m1OCO−、又は−OCH2CH(OH)CH2OCO−[但し、n1、m1は2〜6の整数である。]であり、R1は前記と同じであり、Z1はメチル基、フェニル基、又はCH2=C(R1)−(X2)q−である。]にて表される化合物、又は一般式(c−2)
【0027】
【化11】
[式中、R5、R5’、R5”、R6、R6’、R6”、R7、R7’、R7”は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、これらは同一でも異なっていても良く、r,s,tは0または1〜200の整数で、これらは同一でも異なっていても良く、X2,q,R1は前記と同意義である。]にて表わされる化合物が挙げられる。
【0028】
シリコ−ン鎖を含有する単量体のより具体的なものとして以下の如きものが例示される。
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】
【0033】
【化17】
【0034】
【化18】
【0035】
但し、Me,Phはそれぞれメチル基、フェニル基を表わす。
シリコ−ン鎖含有エチレン性不飽和単量体のエチレン性不飽和基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基のいずれも可能であるが、重合反応性の点でアクリロイル基又はメタクリロイル基が優れているため、これらを含有するものが特に好ましい。
【0036】
シリコ−ン鎖含有エチレン性不飽和単量体は、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であっても良い。
【0037】
本発明に係るフッ素系溶剤とは、前記の様に炭素、フッ素原子のみ、炭素、フッ素、酸素原子のみ、炭素、フッ素、窒素原子のみ、または炭素、フッ素、窒素、酸素原子のみから成るフッ素系溶剤であれば、何等制限無く使用することができ、これらの具体例として以下のものが挙げられる。
【0038】
炭素、フッ素原子のみから成るフッ素系溶剤としては、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状、環状、またこれらの分子形状を組み合わせた構造のパーフルオロアルカン、また炭素、フッ素、酸素原子のみから成るフッ素系溶剤としては、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状、環状、またこれらの分子形状を組み合わせた構造のパーフルオロポリエーテル、また炭素、フッ素、窒素原子のみから成るフッ素系溶剤としては、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、環状、またこれらの分子形状を組み合わせた構造のパーフルオロアルキル基が窒素原子に結合したパーフルオロ3級アミン化合物、また炭素、フッ素、窒素、酸素原子のみから成るフッ素系溶剤としては、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状、環状、またこれらの分子形状を組み合わせた構造のパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、鎖中に酸素原子を有するパーフルオロアルキル基、鎖中に酸素原子を有するパーフルオロアルキレン基を有する3級のモノアミンもしくはポリアミン化合物が挙げられる。
【0039】
これらの具体例としては、パーフルオロブタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロペンタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロデカン、パーフルオロエイコサン、炭素数1から20のパーフルオロアルキル基もしくは鎖中に酸素原子及び/又は窒素原子を含有する炭素数1から20のパーフルオロアルキル基を含有する直鎖状、分岐状、環状、またこれらの分子形状を組み合わせた構造のパーフルオロエーテルもしくはパーフルオロポリーテル化合物、パーフルオロトリエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロイソプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロトリイソブチルアミン、パーフルオロトリペンチルアミン、分岐型パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、分岐状パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロトリエイコシルアミン、分岐状パーフルオロトリエイコシルアミン等が挙げられる。本発明にいうフッ素系溶剤としては、これらの2種以上を混合して使用しても良い。
尚、本発明が上記具体例によって何等制限されるもので無いことは勿論である。
【0040】
本発明に係る製造方法において、重合機構としては公知公用のものを何等制限無く使用することができ、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合等を使用でき、特にラジカル重合法が簡便であり、工業的にも好ましい。
【0041】
このラジカル重合の場合、重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等のケトンパーオキサイド化合物、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のパーオキシケタール化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−トリメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンビス−ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド化合物、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等のジアルキルパーオキサイド化合物、イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド化合物、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ−ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート化合物、ビス(ネオデシルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシデカノエート、t−ヘキシルパーオキシデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシエチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル化合物等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物、Mn(acac)3等の金属キレート化合物等が挙げられる。
【0042】
また必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、エチルチオグリコール酸、オクチルチオグリコール酸等の連鎖移動剤や、更にγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のカップリング基含有チオール化合物等の連鎖移動剤を併用することが可能である。また光増感剤や光開始剤の存在下での紫外線等による光重合あるいは放射線や熱をエネルギー源とする重合によっても本発明に係るフッ素樹脂溶液を得ることが可能である。
【0043】
エネルギー源として紫外線等の光を利用する場合には、当業界公知の光重合開始剤、例えばベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、アゾビスイソブチロニトリル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等を光開始剤として使用することができる。
【0044】
この際必要に応じてアミン系化合物、又はリン化合物等の光増感剤を添加し、重合をより迅速化することができる。本発明に係るフッ素樹脂溶液は以下の方法にて得ることができる。
【0045】
すなわち反応釜に本発明に係るフッ素系溶剤を入れ、反応釜層を攪拌しながらそこに本発明に係るフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、またはフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とから成る単量体組成物を滴下し重合する、或いはフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のフッ素系溶剤溶液、またはフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とから成る単量体組成物のフッ素系溶剤溶液を、反応釜層のフッ素系溶剤に滴下し重合する。
【0046】
重合開始剤及び/又は光開始剤を使用する場合は、それ等を反応釜のフッ素系溶剤に溶解しておくことが可能であり、反応釜層に注入するフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、またはフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とから成る単量体組成物やこれらのフッ素系溶剤溶液に重合開始剤及び/又は光開始剤を溶解しておくこと、或いは反応釜のフッ素系溶剤と、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、またはフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とから成る単量体組成物やこれらのフッ素系溶剤溶液との両方に重合開始剤及び/又は光開始剤を溶解して重合することも可能である。
【0047】
以後、反応釜層に滴下するフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、またはフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とから成る単量体組成物やこれらのフッ素系溶剤溶液に重合開始剤及び/又は光開始剤を溶解させたものを単量体層と称する。
【0048】
反応釜の温度は、重合開始剤の分解温度等を考慮して任意に決定することができるが、通常50〜200℃が好適に使用される。光開始剤を使用して重合する場合には、低温での重合も可能であり、フッ素系溶剤溶液が凍結せず撹拌可能な低温、例えばマイナス150℃程度に反応釜の温度を下げて重合することも可能である。勿論、光開始剤を使用した重合においても200℃等の高温反応も可能である。
【0049】
本発明に係る、反応釜に注入する単量体層の温度は、単量体層に重合開始剤を含有する場合はその分解温度を考慮し任意の温度に設定することが可能であり、また単量体層が凍結しない程度の、例えばマイナス150℃程度の低温に設定することも可能である。
【0050】
また、重合開始剤及び/又は光開始剤を単量体層と別の層にして、反応釜への単量体層の滴下と共に、重合開始剤及び/又は光開始剤層を反応釜中に注入することも可能である。また反応釜への単量体層の滴下と同期にさせずに重合開始剤及び/又は光開始剤層を注入することも可能である。
【0051】
更にまた、本発明に係る単量体組成物中には、複数の単量体を使用することになるが、これらの単量体を複数に層別したり個別にし、これらを単量体層として同期させて反応釜に滴下することも可能であるし、またこれら複数の単量体層を同期させずにずらして反応釜に滴下し重合することも可能である。
【0052】
本発明に係るフッ素樹脂溶液の製造方法において、重合開始剤や光開始剤の量は何等制限されるものではないが、単量体組成物100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.03〜7重量部が特に好ましい。
【0053】
また本発明に係るフッ素樹脂溶液の製造方法において、単量体とフッ素系溶剤との比率は何等制限無く任意に調製することが可能であるが、通常重量比で5:95〜70:30が好ましく、10:90〜60:40が特に好ましい。
【0054】
本発明に係るフッ素樹脂溶液の製造方法によれば、透明なフッ素樹脂溶液を得ることも可能であるし、また半透明から青白色、そして白色の均一なフッ素樹脂の分散溶液としてフッ素樹脂溶液を得ることが可能である。
【0055】
また本発明に係るフッ素樹脂溶液の製造方法によれば、フッ素樹脂の分子量は、重合温度、連鎖移動剤の量、重合開始剤や光開始剤の量、反応釜に対する単量体層の滴下速度、そして反応釜層の撹拌速度等の設定で制御が可能である。また本発明に係るフッ素樹脂溶液の製造方法によれば、数平均分子量として500万程度の高分子量のフッ素樹脂を得ることも可能である。
【0056】
本発明に係るフッ素樹脂溶液は、ピンホールの無い成膜性の良いフッ素樹脂皮膜を形成できることから、プリント配線基板、セラミック素子等の電気電子部品の防湿絶縁コ−ト剤、カメラ、時計、ロボット、ガラスやプラスチック等で形成された光学部品等の精密部品のオイルバリヤー剤、フックスイッチ等の電気部品のハンダフラックスの侵入・はい上がり防止剤、繊維、衣服、糸、プラスチック、金属、セラミックス、木材、紙、ガラス、フィルム、天然皮革、人皮合皮、その他各種の基材の撥水撥油剤、防汚コート剤、指紋付着防止剤、潤滑剤、耐摩耗剤、防錆剤、非粘着剤、離型剤、剥離剤、帯電防止剤、水切り剤、油切り剤、接着剤等に使用でき、更に光ファイバのクラッド(鞘)材、光学材料、反射防止膜、光学接着剤、自動車フロントガラス・リヤウィンド等のガラス表面や熱交換機等の金属表面の水滴・油的付着防止剤または水滴・油的転落剤、磁気テープ、蒸着テープ、蒸着ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、金属蒸着膜表面の防錆剤・潤滑剤、金属粉、SiO2粉、TiO2粉等の防水・撥水撥油剤・流動性改良剤、複写機キャリヤーの帯電調製コ−ト剤、プラスチック成形時の離型剤、界面活性剤、表面改質剤、電気電子部品やプラスチックや繊維・衣服や金属部品等の洗浄剤、CFC代替洗浄剤、ドライクリーニングのソープ剤、繊維の柔軟仕上げ剤、そしてフッ素樹脂フィルム形成用溶液、更にフッ素系溶剤中で各種有機反応や重合反応を実施する際の媒体等に使用することができる。また本発明に係るフッ素樹脂溶液は各種基材を侵すことなく欠落のない均一な皮膜を形成出来ることから、上記以外の基材、物品の表面処理剤、コート剤等に使用することができる。
【0057】
【実施例】
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本具体例によって本発明が何等制限されるものではないことは勿論である。
【0058】
実施例1
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素系溶剤としてパーフルオロオクタンを140g秤取し、攪拌下、窒素気流下で85℃まで昇温した。一方、滴下ロートにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体としてC8F17CH2CH2OCOCH=CH2(a−1)を90g、(CF3)2CHOCOCH=CH2を10g、そして重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)を2gを秤取し、均一化した後、10℃に保持した。上記の様にして調製した単量体層を、攪拌下、窒素気流下で85℃に保持した反応釜に滴下ロートより4時間かけて滴下した。その後90℃まで昇温、保持し、窒素気流下で8時間反応した。
【0059】
ガスクロマトグラフィー並びに不揮発分法によって反応率を測定した結果、反応は定量的に進行していた。この様にして得られたフッ素樹脂のパーフルオロオクタン溶液は、23℃で無色透明の液体であった。
【0060】
サンプリングしパーフルオロオクタンを留去して得たフッ素樹脂をヘキサフルオロイソプロピルアルコール(以下HFIPAと記す。)に溶解し、溶媒としてHFIPAを使用し、Shodex HFIPA−80Mカラムを装着したGPCを用い、流速0.5ml/分、温度23℃で分子量を測定した。その結果、数平均分子量は180,000であった。
【0061】
実施例2
攪拌装置、コンデンササー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素系溶剤としパーフルオロオクタンを140g秤取し、攪拌下、窒素気流下で85℃まで昇温した。一方、滴下ロートにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体としてC8F17CH2CH2OCOCH=CH2(a−1)を80g、(CF3)2CHOCOCH=CH2を3g、これ以外のエチレン性不飽和単量体としてジメチルアダマンチルアクリレートを17g、そして重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソブチラート(日本油脂製「パーブチルIB」)を2gを秤取し、均一化した後、10℃に保持した。上記の様にして調製した単量体層を、攪拌下、窒素気流下で85℃に保持した反応釜に滴下ロートより4時間かけて滴下した。その後90℃まで昇温、保持し、窒素気流下で8時間反応した。
【0062】
ガスクロマトグラフィー並びに不揮発分法によって反応率を測定した結果、反応は定量的に進行していた。この様にして得られたフッ素樹脂のパーフルオロオクタン溶液は、23℃で無色透明な液体であった。
【0063】
サンプリングしパーフルオロオクタンを留去して得たフッ素樹脂をヘキサフルオロイソプロピルアルコールに溶解し、溶媒としてHFIPAを使用し、Shodex HFIPA−80Mカラムを装着したGPCを用い、流速0.5ml/分、温度23℃で分子量を測定した。その結果、数平均分子量は、130,000であった。
【0064】
実施例3
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素系溶剤としてパーフルオロオクタンとパーフルオロヘプタンとの重量比7:3の混合液を80g秤取し、攪拌下、窒素気流下で85℃まで昇温した。一方、滴下ロートにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体としてC8F17CH2CH2OCOCH=CH2(a−1)を72g、(CF3)2CHOCOCH=CH2を8g、これ以外のエチレン性不飽和単量体としてアダマンチルメタクリレートを30g、そして重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)を1gを秤取し、均一化した後、10℃に保持した。上記の様にして調製した単量体層を、攪拌下、窒素気流下で85℃に保持した反応釜に滴下ロートより4時間かけて滴下した。その後90℃まで昇温、保持し、窒素気流下で8時間反応した。
【0065】
ガスクロマトグラフィー並びに不揮発分法によって反応率を測定した結果、反応は定量的に進行していた。この様にして得られたフッ素樹脂のフッ素系溶剤溶液は、23℃で微白濁の均一な液体であった。
【0066】
サンプリングしパーフルオロオクタン並びにパーフルオロヘプタンを留去して得たフッ素樹脂をヘキサフルオロイソプロピルアルコールに溶解し、溶媒としてHFIPAを使用し、Shodex HFIPA−80Mカラムを装着したGPCを用い、流速0.5ml/分、温度23℃で分子量を測定した。その結果、数平均分子量は、200,000であった。
【0067】
実施例4
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素系溶剤としてパーフルオロトリ−n−ブチルアミンを70g秤取し、攪拌下、窒素気流下で85℃まで昇温した。一方、滴下ロートにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体としてC8F17SO2N(C2H5)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(a−54)を100g、そして重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)を1g、更にパーフルオロトリ−n−ブチルアミンを50g秤取し、均一化した後、20℃に保持した。上記の様にして調製した単量体層を、攪拌下、窒素気流下で85℃に保持した反応釜に滴下ロートより4時間かけて滴下した。その後90℃まで昇温、保持し、窒素気流下で8時間反応した。
【0068】
ガスクロマトグラフィー並びに不揮発分法によって反応率を測定した結果、反応は定量的に進行していた。この様にして得られたフッ素樹脂のパーフルオロトリ−n−ブチルアミン溶液は、23℃で微白濁の均一な液体であった。
【0069】
サンプリングしパーフルオロトリ−n−ブチルアミンを留去して得たフッ素樹脂をヘキサフルオロイソプロピルアルコールに溶解し、溶媒としてHFIPAを使用し、Shodex HFIPA−80Mカラムを装着したGPCを用い、流速0.5ml/分、温度23℃で分子量を測定した。その結果、数平均分子量は、100,000であった。
【0070】
実施例5
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素系溶剤としてパーフルオロオクタンとパーフルオロ−3−ブチルテトラヒドロフランとの重量比8:2の混合液を140g秤取し、攪拌下、窒素気流下で85℃まで昇温した。一方、滴下ロートにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体としてC8F17CH2CH2OCOCH=CH2(a−1)を18g、これ以外のエチレン性不飽和単量体としてシリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(c−2−1、r=s=t=0)を21g、分子量400のポリエチレンオキシドのモノメタクリレート化合物を28g、n−ブチルメタクリレート33g、ラウリルメルカプタンを2g、そして重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)を1gを秤取し、均一化した後、20℃に保持した。上記の様にして調製した単量体層を、攪拌下、窒素気流下で85℃に保持した反応釜に滴下ロートより3時間かけて滴下した。その後90℃まで昇温、保持し、窒素気流下で8時間反応した。
【0071】
ガスクロマトグラフィー並びに不揮発分法によって反応率を測定した結果、反応は定量的に進行していた。この様にして得られたフッ素樹脂のフッ素系溶剤溶液は、23℃で沈澱の無い乳白色の均一な液体であった。
【0072】
サンプリングしパーフルオロオクタン/パーフルオロ−3−ブチルテトラヒドロフランを留去して得たフッ素樹脂をヘキサフルオロイソプロピルアルコールに溶解し、溶媒としてHFIPAを使用し、Shodex HFIPA−80Mカラムを装着したGPCを用い、流速0.5ml/分、温度23℃で分子量を測定した。その結果、数平均分子量は、26,000であった。
【0073】
実施例6
実施例1の反応において、単量体層から重合開始剤のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)2gを別の滴下層に移し、単量体層からの単量体の滴下と同期させてこの重合開始剤を4時間かけて反応釜に滴下し、重合した。
【0074】
実施例1と同様の操作にて分子量を測定した結果、数平均分子量は実施例1と同じく180,000であった。この様にして得られたフッ素樹脂のパーフルオロオクタン溶液は、室温で無色透明の液体であった。
【0075】
実施例7
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素系溶剤としてパーフルオロオクタンとパーフルオロ−3−ブチルテトラヒドロフランとの重量比8:2の混合液を90g秤取し、攪拌下、窒素気流下で85℃まで昇温した。一方、滴下ロートにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体としてC8F17CH2CH2OCOCH=CH2(a−1)を60g、これ以外のエチレン性不飽和単量体としてシリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(c−1−10、n=20)を6g、イソステアリルアクリレート25g、n−ブチルメタクリレート1g、4−ヒドロキシブチルアクリレート6g、ラウリルメルカプタンを2g、そして重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)を1gを秤取し、均一化した後、20℃に保持した。上記の様にして調製した単量体層を、攪拌下、窒素気流下で85℃に保持した反応釜に滴下ロートより3時間かけて滴下した。その後90℃まで昇温、保持し、窒素気流下で8時間反応した。
【0076】
ガスクロマトグラフィー並びに不揮発分法によって反応率を測定した結果、反応は定量的に進行していた。この様にして得られたフッ素樹脂のフッ素系溶剤溶液は、23℃で沈澱の無い乳白色の均一な液体であった。サンプリングしパーフルオロオクタン/パーフルオロ−3−ブチルテトラヒドロフランを留去して得たフッ素樹脂をヘキサフルオロイソプロピルアルコールに溶解し、溶媒としてHFIPAを使用し、Shodex HFIPA−80Mカラムを装着したGPCを用い、流速0.5ml/分、温度23℃で分子量を測定した。その結果、数平均分子量は、340,000であった。
【0077】
比較例1
実施例1に相当する比較例を以下に示す。撹拌装置、コンデンサ−、温度計を備えたガラスフラスコにトリクロルエタンを140g秤取し、撹拌下、窒素気流下で85℃まで昇温した。一方、滴下ロートにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体としてC8F17CH2CH2OCOCH=CH2(a−1)を90g、(CF3)2CHOCOCH=CH2を10g、そして重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)を2gを秤取し、均一化した後、10℃に保持した。上記の様にして調製した単量体層を、撹拌下、窒素気流下で85℃に保持した反応釜に滴下ロートより4時間かけて滴下した。その後90℃まで昇温、保持し、窒素気流下で8時間反応した。
【0078】
ガスクロマトグラフィー並びに不揮発分法によって反応率を測定した結果、反応は定量的に進行していた。トリクロルエタンを留去して得たフッ素樹脂をヘキサフルオロイソプロピルアルコールに溶解し、溶媒としてHFIPAを使用し、Shodex HFIPA−80Mカラムを装着したGPCを用い、流速0.5ml/分、温度23℃で分子量を測定した。その結果、数平均分子量は、173,000であった。
【0079】
また、得られたフッ素樹脂のトリクロルエタン溶液より、減圧下70℃でトリクロルエタンを留去し、得られたフッ素樹脂に140gのパーフルオロオクタンを加え、70℃で7時間攪拌し、溶解した。この様にして得られたフッ素樹脂のパーフルオロオクタン溶液は、23℃で無色透明の液体であった。
【0080】
比較例2〜7
実施例2〜7に相当する比較例として、それぞれのフッ素系溶剤をトリクロルエタンに置き換え、比較例1の同様にして合成して得たフッ素樹脂の分子量と、それぞれの実施例に対応するフッ素系溶剤で溶解して得たフッ素樹脂溶液の23℃での性状を、実施例1と比較例1の結果も含めて表1にまとめて示す。
【0081】
【表1】
【0082】
応用例1〜5、比較応用例1〜5
実施例1、2、3、4、6と比較例1、2、3、4、6のフッ素樹脂溶液について、それぞれ同種のフッ素系溶剤で希釈し不揮発分20wt%のフッ素樹脂溶液を調整した。厚さ1.0mmのステンレス板を各フッ素樹脂溶液に浸漬塗布し、107℃で10分間乾燥した。表面の外観を観察すると共に、JIS K6911の方法に準拠し、各フッ素樹脂皮膜の体積抵抗率、誘電率、誘電正接、絶縁破壊電圧を測定した。測定結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例1、2、3、4、6のフッ素樹脂溶液は、比較例1、2、3、4、6のフッ素樹脂溶液に比べ表面が均一で電気絶縁特性に優れる皮膜を形成することが判った。
【0085】
応用例6〜9、比較応用例6〜10
実施例1、2、3、5、比較合成例1、2、3、5について、それぞれのフッ素樹脂溶液のフッ素系溶剤で希釈し、有効成分0.1wt%のフッ素樹脂溶液を調製した。
【0086】
29.8mm×49.8mm×3.0mm厚のSUS304テストピース1枚を切削油に浸漬した後、上記0.1wt%のフッ素樹脂溶液300cc中に浸漬し、温度40℃で液全体を200rpmで撹拌した後取出した。テストピース1g当たりに残存付着している切削油の重量を測定し、洗浄度を調べた。洗浄度の結果を表3にまとめて示す。
【0087】
【表3】
【0088】
実施例1、2、3、5のフッ素樹脂溶液は、比較例並びにパーフルオロオクタンに比べ、格段に優れた洗浄性を発揮することが判った。本発明に係るフッ素樹脂溶液は、洗浄基材を綿、ウール等の天然繊維や、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維に代えても、優れた洗浄性を発揮した。
【0089】
応用例10、比較応用例11
実施例7と比較例7のフッ素樹脂溶液を、パーフルオロオクタンとパーフルオロ−3−ブチルテトラヒドロフランとの重量比8:2の混合液で希釈し、有効成分0.8wt%のフッ素樹脂溶液を調整し、未染色のナイロンタフタ布並びに未染色のポリエステルトロピカル布を浸漬し、1Dip1Nipで絞り、
予備乾燥:100℃× 2分
キュア−:170℃×30秒
にて、キュアーした。加工布の撥水撥油試験結果を表4に示す。
【0090】
【表4】
注)アイロン150℃×30秒
【0091】
本発明に係る方法で製造したフッ素樹脂溶液は、従来の方法で調整したフッ素樹脂溶液に比べ、各種繊維に処理した際、格段に優れた撥水撥油性を発揮することが判った。
【0092】
【発明の効果】
本発明に係るフッ素樹脂溶液の製造方法により、オゾン破壊性の問題がなく、溶解安定性の良いフッ素樹脂溶液を得ることができると共に、優れた皮膜特性や表面特性を与えるフッ素樹脂溶液並びに界面特性等に優れたフッ素樹脂溶液を得ることができる。
Claims (2)
- 炭素原子とフッ素原子のみから構成されている溶剤、炭素原子とフッ素原子と酸素原子のみから構成されている溶剤、炭素原子とフッ素原子と窒素原子のみから構成されている溶剤、及び炭素原子とフッ素原子と酸素原子と窒素原子のみから構成されている溶剤からなる群から選ばれる1種以上のフッ素系溶剤に、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、または該フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とからなる単量体組成物を滴下しながら重合することを特徴とするフッ素樹脂溶液の製造方法。
- 前記フッ素系溶剤に、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、または該フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体とこれ以外のエチレン性不飽和単量体とからなる単量体組成物の前記フッ素系溶剤溶液を滴下しながら重合することを特徴とするフッ素樹脂溶液の製造方法。
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