JP3610606B2 - プレス用カム型 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、傾斜したカム面を有するカムを利用してプレス機械の下向き等の方向の加圧力を、これと交差する横下向き等の方向の加圧力に変えて、孔明け、剪断、曲げ等の加工を行うプレス用カム型に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種のプレス用カム型では、斜め下方に面して傾斜したカム面を有したカムスライドをプレス機械の上型に移動自在に支持し、斜め上方に面して傾斜したカム面を有したカムドライバをプレス機械の下型に固着し、カムスライドをカムドライバに向かって下降させて、カムスライドのカム面をカムドライバのカム面に当接させて、カムドライバのカム面に対するカムスライドのカム面の摺動により、カムスライドを下向き方向と交差する斜め横下向きに移動させて、カムスライドの先端に取り付けられた工具により孔明けなどの作業をプレス中の被加工物に同時に行うようにしている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記のようなプレス用カム型では、カムスライドをプレス機械の上型に移動自在に支持する支持機構と、カムスライドを初期位置に戻すコイルばねとが設けられるが、これら支持機構及びコイルばねは、上下二段に配されて設けられているため、カムスライド側が高くなり、それだけプレス用カム型の設置空間が大きくなり、狭い設備空間に配置し難い等の問題を有している。
【０００４】
本発明は前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、全体を低くすることができ、狭い設備空間にでも容易に設置することができるプレス用カム型を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、傾斜したカム面を有したカムスライドと、カムスライドを移動自在に支持する支持手段と、カムスライドを初期位置に付勢するばね手段と、カムスライドのカム面と摺動自在に面接触する傾斜したカム面を有したカムドライバとを具備したプレス用カム型であって、カムスライドには貫通孔が設けられており、支持手段は、基台と、カムスライドの貫通孔を貫通して、基台に支持されたガイドバーとを具備しており、ばね手段は、カムスライドを初期位置に付勢するように、支持手段のガイドバーの周りに巻かれて配されたコイルばねを具備しているプレス用カム型によって達成される。
【０００６】
本発明の好ましい例では、ガイドバーが貫通するカムスライドの貫通孔に、外周面がカムスライドに固着されて内周面がガイドバーの外周面と摺動自在に接するブッシュが配される。ガイドバーとしては、円柱（丸）ガイドバー、角ガイドバー若しくは楕円ガイドバー等又はカムスライドに形成されたダブテール溝若しくはダブテール突条に摺動自在に嵌合するダブテール突条若しくはダブテール溝を有したもの等のいずれであってもよく、角ガイドバー、楕円ガイドバー又はダブテール突条若しくはダブテール溝を有したものによりガイドバーを構成する場合、カムスライド自体の回転をこれにより阻止し得るが、これに代えて、カムスライドの上面又は下面等の一端面が摺動自在に接してカムスライドの移動を案内すると共にカムスライドのガイドバー周りでの回転を阻止する案内面を基台に形成してもよい。
【０００７】
好ましい例では、基台は、前壁部と、後壁部と、これら前壁部及び後壁部を連結する連結壁部とを具備しており、ガイドバーは、一端が前壁部に、他端が後壁部にそれぞれ取り付けられており、前壁部に対面するカムスライドの前面に凹所が形成されており、コイルばねは、この凹所の底面と前壁部との間に配されている。
【０００８】
基台は上型側に固定しても、下型側に固定してもよく、これに対応してカムドライバは下型側又は上型側に固定される。また、ガイドバーは水平でも或いは斜めに配されてよい。なお、本発明によれば、上記構成に更に強制戻し機構を設けてもよく、この強制戻し機構は、孔明けなどの作業後、カムスライドが確実に初期位置に戻るように作用する。
【０００９】
【作用】
本発明に従うプレス用カム型では、例えば、カムドライバが下型の基盤等に固定され、カムスライドが上型に支持手段を介して取り付けられて、カムスライドはプレス機械のラムの作動と共にカムドライバに向かって下降される。この下降において、カムスライドがカムドライバに当接する。この当接で、ばね手段により初期位置に配されたカムスライドは、カムドライバのカム面に案内されて斜め下方に滑動され、これによりカムスライドの先端に設けられた工具により例えば孔明けが行われる。孔明け後、カムスライドが上昇されると、上記当接が解除されて、カムスライドはばね手段に付勢されて初期位置に戻される。
【００１０】
次に本発明を、図面に示す好ましい具体例を参照して更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら具体例に何等限定されないのである。
【００１１】
【具体例】
図１から図４において、本例のプレス用カム型１は、斜め下方に面して傾斜したカム面２を有したカムスライド３と、上型４にカムスライド３をＡ方向に移動自在に支持する支持手段５と、カムスライド３を初期位置に付勢するばね手段６と、カムスライド３のカム面２と摺動自在に面接触する、斜め上方に面して傾斜したカム面７を有したカムドライバ８と、カムスライド３を強制的に初期位置に戻す強制戻し機構９とを具備している。
【００１２】
支持手段５は、前壁部２１、後壁部２２及びこれら前壁部２１及び後壁部２２を連結する連結壁部としての上壁部２３を一体的に有して、ボルト２４により上壁部２３において上型４に固定された基台２５と、両端２６及び２７がそれぞれ前壁部２１及び後壁部２２に形成された貫通孔２８及び凹所２９に挿入、嵌装されてねじ３０等により前壁部２１及び後壁部２２に取り付けられた丸ガイドバー３１とを具備しており、ガイドバー３１は、カムスライド３に形成された貫通孔３５を貫通して、カムスライド３をＡ方向に移動自在に支持している。貫通孔３５には、外周面３６がカムスライド３に固着されて内周面３７がガイドバー３１の外周面３８と摺動自在に接するブッシュ３９が配されている。なお、ガイドバー３１が基台２５に対して回動しないように、ガイドバー３１の一端２７には平坦面４０が形成されており、凹所２９の底面４１も平坦面４０に対応して平坦面に形成されている。
【００１３】
カムスライド３は、基台２５の上壁部２３の平坦な傾斜して伸びる案内面５１と摺動自在に接する一端面として平坦な傾斜して伸びる上面５２を有しており、作動において、案内面５１に案内されてカムスライド３はＡ方向に移動される。尚、本例では、Ａ方向は水平に対して若干斜め上方に向いているが、本発明はこれに必ずしも限定されず、図５に示すように、ガイドバー３１、案内面５１及び上面５２等を水平に配置し、カムスライド３を水平であるＨ方向に移動させるようにしてもよい。カムスライド３の先端には、孔明け工具５３等が取り付けられるようになっている。
【００１４】
ばね手段６はガイドバー３１の周りに巻かれてガイドバー３１と同心に配されたコイルばね６１からなり、コイルばね６１は、その一端６２が、基台２５の前壁部２１に、その他端６３が、カムスライド３の前面に形成された円形凹所６４の底面６５にそれぞれ当接して、凹所６４の底面６５と前壁部２１との間に配されている。カムスライド３はコイルばね６１のばね力により初期位置では基台２５の後壁部２２に当接している。カムドライバ８は、下型の基盤６６にねじ６７等により固定されている。
【００１５】
強制戻し機構９は、カムスライド３の両側面６８及び６９にそれぞれ形成された傾斜長溝７０及び７１と、カムドライバ８の両側面７２及び７３にそれぞれ形成された曲折溝７４及び７５と、長溝７０及び７１に嵌合された突起７６及び７７をそれぞれ一端に有し、他端に曲折溝７４及び７５に係合可能な突起７８及び７９をそれぞれ有し、かつねじ８０及び８１によりカムスライド３の両側面６８及び６９にそれぞれ固定された係合部材８２及び８３とを具備している。曲折溝７４及び７５はそれぞれ、カムドライバ８のカム面７で開口する縦溝部８５及び８６と、縦溝部８５及び８６にそれぞれ連通した傾斜溝８７及び８８とからなる。
【００１６】
以上のように形成されたプレス用カム型１の動作を説明すると、まず、図４に示す初期位置では上型４及びカムスライド３は上方に配されており、カムスライド３はコイルばね６１に付勢されて基台２５の後壁部２２に当接されている。この状態でプレス機械のラムが作動されると、上型４及びカムスライド３は下降され、この下降により、まず係合部材８２及び８３のそれぞれの突起７８及び７９が縦溝部８５及び８６に入り込み、更に下降されると、カムスライド３のカム面２がカムドライバ８のカム面７に当接し、この結果、カムスライド３は、カム面２及び７同志の面接触によりカム面７に案内されて下降しつつコイルばね６１の弾性力に抗してＡ方向に滑動して、図１に示すように、孔明け工具５３を被加工物に向かって押しだし、而して孔明け工具５３により被加工物に孔明けが行われる。なお、カムスライド３の下降とＡ方向の滑動とにより、係合部材８２及び８３の突起７８及び７９のそれぞれは、縦溝部８５及び８６のそれぞれを通って次に傾斜溝８７及び８８のぞれぞれに配される。
【００１７】
この孔明け後、プレス機械のラムの前記と逆作動により、前記と逆の動作が行われて上型４及びカムスライド３は上昇され、この上昇中、コイルばね６１に付勢されるカムスライド３は、案内面５１に案内されて初期位置に復帰される。以上の動作が新たな被加工物に対して繰り返される。
【００１８】
ところでプレス用カム型１では、ばね手段６のコイルばね６１がガイドバー３１の周り巻かれてガイドバー３１と同心に配されているため、従来のプレス用カム型に比較してその高さを低くすることができ、加えてコイルばね６１の案内ピンをガイドバー３１によって代用し得るため、コスト低減を図り得る。
【００１９】
以上の例は、上型４側にカムスライド３を、下型側にカムドライバ８を取り付けて、孔明け工具５３を斜め下方に突き出すようにしたプレス用カム型であるが、これに代えて、図６に示すように、上型４側にカムドライバ８を、下型側にカムスライド３を取り付けて、孔明け工具５３を水平方向であるＨ方向に突き出すようにしたプレス用カム型１０１に本発明を適用してもよい。すなわち、図６に示すプレス用カム型１０１は、斜め上方に面して傾斜したカム面２を有したカムスライド３と、下型側の基盤６６にカムスライド３をＨ方向に移動自在に支持する支持手段５と、カムスライド３を初期位置に付勢するばね手段６と、カムスライド３のカム面２と摺動自在に面接触する、斜め下方に面して傾斜したカム面７を有して、上型４に固定されたカムドライバ８と、カムスライド３を強制的に初期位置に戻す強制戻し機構（図示せず）とを具備し、支持手段５の丸ガイドバー３１は、水平に伸びて配されており、カムスライド３に形成された貫通孔３５を貫通して、カムスライド３をＨ方向に移動自在に支持しており、基台２５は、連結壁として前壁部２１と後壁部２２との間に底壁部２３ａを有しており、カムスライド３は、底壁部２３ａの平坦な水平に伸びる案内面５１と摺動自在に接する一端面として平坦な水平に伸びる下面５２ａを有している。プレス用カム型１０１のその他の構成は前記例と同様であって、したがって同一構成部位には同一符号を付して説明を省略する。
【００２０】
そしてプレス用カム型１０１においても、プレス用カム型１と同様に作動し、また、ばね手段６のコイルばね６１がガイドバー３１の周り巻かれてガイドバー３１と同心に配されているため、従来のプレス用カム型に比較してその高さを低くすることができ、加えてコイルばね６１の案内ピンをガイドバー３１によって代用し得るため、コスト低減を図り得る。
【００２１】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、全体を低くすることができて、狭い設備空間にでも容易に設置することができ、加えて、ばね手段のコイルばね自体の案内ピンを省くことができ、また、コイルばねの全体をガイドバーでその形状を保持し得るため、作動中にコイルばねの一部が案内ピンとカムスライド等との間に挟まれて、コイルばねが損傷されるような事態をもなくし得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好ましい一具体例の断面説明図である。
【図２】図１に示す具体例のＩＩ−ＩＩ矢視図である。
【図３】図１に示す具体例のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。
【図４】図１に示す具体例の動作説明図である。
【図５】本発明の好ましい他の具体例の断面説明図である。
【図６】本発明の好ましい更に他の具体例の断面説明図である。
【符号の説明】
１ プレス用カム型
２ カム面
３ カムスライド
５ 支持手段
６ ばね手段
７ カム面
８ カムドライバ
３１ ガイドバー
６１ コイルばね
【産業上の利用分野】
本発明は、傾斜したカム面を有するカムを利用してプレス機械の下向き等の方向の加圧力を、これと交差する横下向き等の方向の加圧力に変えて、孔明け、剪断、曲げ等の加工を行うプレス用カム型に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種のプレス用カム型では、斜め下方に面して傾斜したカム面を有したカムスライドをプレス機械の上型に移動自在に支持し、斜め上方に面して傾斜したカム面を有したカムドライバをプレス機械の下型に固着し、カムスライドをカムドライバに向かって下降させて、カムスライドのカム面をカムドライバのカム面に当接させて、カムドライバのカム面に対するカムスライドのカム面の摺動により、カムスライドを下向き方向と交差する斜め横下向きに移動させて、カムスライドの先端に取り付けられた工具により孔明けなどの作業をプレス中の被加工物に同時に行うようにしている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記のようなプレス用カム型では、カムスライドをプレス機械の上型に移動自在に支持する支持機構と、カムスライドを初期位置に戻すコイルばねとが設けられるが、これら支持機構及びコイルばねは、上下二段に配されて設けられているため、カムスライド側が高くなり、それだけプレス用カム型の設置空間が大きくなり、狭い設備空間に配置し難い等の問題を有している。
【０００４】
本発明は前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、全体を低くすることができ、狭い設備空間にでも容易に設置することができるプレス用カム型を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、傾斜したカム面を有したカムスライドと、カムスライドを移動自在に支持する支持手段と、カムスライドを初期位置に付勢するばね手段と、カムスライドのカム面と摺動自在に面接触する傾斜したカム面を有したカムドライバとを具備したプレス用カム型であって、カムスライドには貫通孔が設けられており、支持手段は、基台と、カムスライドの貫通孔を貫通して、基台に支持されたガイドバーとを具備しており、ばね手段は、カムスライドを初期位置に付勢するように、支持手段のガイドバーの周りに巻かれて配されたコイルばねを具備しているプレス用カム型によって達成される。
【０００６】
本発明の好ましい例では、ガイドバーが貫通するカムスライドの貫通孔に、外周面がカムスライドに固着されて内周面がガイドバーの外周面と摺動自在に接するブッシュが配される。ガイドバーとしては、円柱（丸）ガイドバー、角ガイドバー若しくは楕円ガイドバー等又はカムスライドに形成されたダブテール溝若しくはダブテール突条に摺動自在に嵌合するダブテール突条若しくはダブテール溝を有したもの等のいずれであってもよく、角ガイドバー、楕円ガイドバー又はダブテール突条若しくはダブテール溝を有したものによりガイドバーを構成する場合、カムスライド自体の回転をこれにより阻止し得るが、これに代えて、カムスライドの上面又は下面等の一端面が摺動自在に接してカムスライドの移動を案内すると共にカムスライドのガイドバー周りでの回転を阻止する案内面を基台に形成してもよい。
【０００７】
好ましい例では、基台は、前壁部と、後壁部と、これら前壁部及び後壁部を連結する連結壁部とを具備しており、ガイドバーは、一端が前壁部に、他端が後壁部にそれぞれ取り付けられており、前壁部に対面するカムスライドの前面に凹所が形成されており、コイルばねは、この凹所の底面と前壁部との間に配されている。
【０００８】
基台は上型側に固定しても、下型側に固定してもよく、これに対応してカムドライバは下型側又は上型側に固定される。また、ガイドバーは水平でも或いは斜めに配されてよい。なお、本発明によれば、上記構成に更に強制戻し機構を設けてもよく、この強制戻し機構は、孔明けなどの作業後、カムスライドが確実に初期位置に戻るように作用する。
【０００９】
【作用】
本発明に従うプレス用カム型では、例えば、カムドライバが下型の基盤等に固定され、カムスライドが上型に支持手段を介して取り付けられて、カムスライドはプレス機械のラムの作動と共にカムドライバに向かって下降される。この下降において、カムスライドがカムドライバに当接する。この当接で、ばね手段により初期位置に配されたカムスライドは、カムドライバのカム面に案内されて斜め下方に滑動され、これによりカムスライドの先端に設けられた工具により例えば孔明けが行われる。孔明け後、カムスライドが上昇されると、上記当接が解除されて、カムスライドはばね手段に付勢されて初期位置に戻される。
【００１０】
次に本発明を、図面に示す好ましい具体例を参照して更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら具体例に何等限定されないのである。
【００１１】
【具体例】
図１から図４において、本例のプレス用カム型１は、斜め下方に面して傾斜したカム面２を有したカムスライド３と、上型４にカムスライド３をＡ方向に移動自在に支持する支持手段５と、カムスライド３を初期位置に付勢するばね手段６と、カムスライド３のカム面２と摺動自在に面接触する、斜め上方に面して傾斜したカム面７を有したカムドライバ８と、カムスライド３を強制的に初期位置に戻す強制戻し機構９とを具備している。
【００１２】
支持手段５は、前壁部２１、後壁部２２及びこれら前壁部２１及び後壁部２２を連結する連結壁部としての上壁部２３を一体的に有して、ボルト２４により上壁部２３において上型４に固定された基台２５と、両端２６及び２７がそれぞれ前壁部２１及び後壁部２２に形成された貫通孔２８及び凹所２９に挿入、嵌装されてねじ３０等により前壁部２１及び後壁部２２に取り付けられた丸ガイドバー３１とを具備しており、ガイドバー３１は、カムスライド３に形成された貫通孔３５を貫通して、カムスライド３をＡ方向に移動自在に支持している。貫通孔３５には、外周面３６がカムスライド３に固着されて内周面３７がガイドバー３１の外周面３８と摺動自在に接するブッシュ３９が配されている。なお、ガイドバー３１が基台２５に対して回動しないように、ガイドバー３１の一端２７には平坦面４０が形成されており、凹所２９の底面４１も平坦面４０に対応して平坦面に形成されている。
【００１３】
カムスライド３は、基台２５の上壁部２３の平坦な傾斜して伸びる案内面５１と摺動自在に接する一端面として平坦な傾斜して伸びる上面５２を有しており、作動において、案内面５１に案内されてカムスライド３はＡ方向に移動される。尚、本例では、Ａ方向は水平に対して若干斜め上方に向いているが、本発明はこれに必ずしも限定されず、図５に示すように、ガイドバー３１、案内面５１及び上面５２等を水平に配置し、カムスライド３を水平であるＨ方向に移動させるようにしてもよい。カムスライド３の先端には、孔明け工具５３等が取り付けられるようになっている。
【００１４】
ばね手段６はガイドバー３１の周りに巻かれてガイドバー３１と同心に配されたコイルばね６１からなり、コイルばね６１は、その一端６２が、基台２５の前壁部２１に、その他端６３が、カムスライド３の前面に形成された円形凹所６４の底面６５にそれぞれ当接して、凹所６４の底面６５と前壁部２１との間に配されている。カムスライド３はコイルばね６１のばね力により初期位置では基台２５の後壁部２２に当接している。カムドライバ８は、下型の基盤６６にねじ６７等により固定されている。
【００１５】
強制戻し機構９は、カムスライド３の両側面６８及び６９にそれぞれ形成された傾斜長溝７０及び７１と、カムドライバ８の両側面７２及び７３にそれぞれ形成された曲折溝７４及び７５と、長溝７０及び７１に嵌合された突起７６及び７７をそれぞれ一端に有し、他端に曲折溝７４及び７５に係合可能な突起７８及び７９をそれぞれ有し、かつねじ８０及び８１によりカムスライド３の両側面６８及び６９にそれぞれ固定された係合部材８２及び８３とを具備している。曲折溝７４及び７５はそれぞれ、カムドライバ８のカム面７で開口する縦溝部８５及び８６と、縦溝部８５及び８６にそれぞれ連通した傾斜溝８７及び８８とからなる。
【００１６】
以上のように形成されたプレス用カム型１の動作を説明すると、まず、図４に示す初期位置では上型４及びカムスライド３は上方に配されており、カムスライド３はコイルばね６１に付勢されて基台２５の後壁部２２に当接されている。この状態でプレス機械のラムが作動されると、上型４及びカムスライド３は下降され、この下降により、まず係合部材８２及び８３のそれぞれの突起７８及び７９が縦溝部８５及び８６に入り込み、更に下降されると、カムスライド３のカム面２がカムドライバ８のカム面７に当接し、この結果、カムスライド３は、カム面２及び７同志の面接触によりカム面７に案内されて下降しつつコイルばね６１の弾性力に抗してＡ方向に滑動して、図１に示すように、孔明け工具５３を被加工物に向かって押しだし、而して孔明け工具５３により被加工物に孔明けが行われる。なお、カムスライド３の下降とＡ方向の滑動とにより、係合部材８２及び８３の突起７８及び７９のそれぞれは、縦溝部８５及び８６のそれぞれを通って次に傾斜溝８７及び８８のぞれぞれに配される。
【００１７】
この孔明け後、プレス機械のラムの前記と逆作動により、前記と逆の動作が行われて上型４及びカムスライド３は上昇され、この上昇中、コイルばね６１に付勢されるカムスライド３は、案内面５１に案内されて初期位置に復帰される。以上の動作が新たな被加工物に対して繰り返される。
【００１８】
ところでプレス用カム型１では、ばね手段６のコイルばね６１がガイドバー３１の周り巻かれてガイドバー３１と同心に配されているため、従来のプレス用カム型に比較してその高さを低くすることができ、加えてコイルばね６１の案内ピンをガイドバー３１によって代用し得るため、コスト低減を図り得る。
【００１９】
以上の例は、上型４側にカムスライド３を、下型側にカムドライバ８を取り付けて、孔明け工具５３を斜め下方に突き出すようにしたプレス用カム型であるが、これに代えて、図６に示すように、上型４側にカムドライバ８を、下型側にカムスライド３を取り付けて、孔明け工具５３を水平方向であるＨ方向に突き出すようにしたプレス用カム型１０１に本発明を適用してもよい。すなわち、図６に示すプレス用カム型１０１は、斜め上方に面して傾斜したカム面２を有したカムスライド３と、下型側の基盤６６にカムスライド３をＨ方向に移動自在に支持する支持手段５と、カムスライド３を初期位置に付勢するばね手段６と、カムスライド３のカム面２と摺動自在に面接触する、斜め下方に面して傾斜したカム面７を有して、上型４に固定されたカムドライバ８と、カムスライド３を強制的に初期位置に戻す強制戻し機構（図示せず）とを具備し、支持手段５の丸ガイドバー３１は、水平に伸びて配されており、カムスライド３に形成された貫通孔３５を貫通して、カムスライド３をＨ方向に移動自在に支持しており、基台２５は、連結壁として前壁部２１と後壁部２２との間に底壁部２３ａを有しており、カムスライド３は、底壁部２３ａの平坦な水平に伸びる案内面５１と摺動自在に接する一端面として平坦な水平に伸びる下面５２ａを有している。プレス用カム型１０１のその他の構成は前記例と同様であって、したがって同一構成部位には同一符号を付して説明を省略する。
【００２０】
そしてプレス用カム型１０１においても、プレス用カム型１と同様に作動し、また、ばね手段６のコイルばね６１がガイドバー３１の周り巻かれてガイドバー３１と同心に配されているため、従来のプレス用カム型に比較してその高さを低くすることができ、加えてコイルばね６１の案内ピンをガイドバー３１によって代用し得るため、コスト低減を図り得る。
【００２１】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、全体を低くすることができて、狭い設備空間にでも容易に設置することができ、加えて、ばね手段のコイルばね自体の案内ピンを省くことができ、また、コイルばねの全体をガイドバーでその形状を保持し得るため、作動中にコイルばねの一部が案内ピンとカムスライド等との間に挟まれて、コイルばねが損傷されるような事態をもなくし得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好ましい一具体例の断面説明図である。
【図２】図１に示す具体例のＩＩ−ＩＩ矢視図である。
【図３】図１に示す具体例のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。
【図４】図１に示す具体例の動作説明図である。
【図５】本発明の好ましい他の具体例の断面説明図である。
【図６】本発明の好ましい更に他の具体例の断面説明図である。
【符号の説明】
１ プレス用カム型
２ カム面
３ カムスライド
５ 支持手段
６ ばね手段
７ カム面
８ カムドライバ
３１ ガイドバー
６１ コイルばね
Claims (5)
- 傾斜したカム面を有すると共に貫通孔が設けられたカムスライドと、カムスライドを移動自在に支持する支持手段と、カムスライドを初期位置に付勢するばね手段と、カムスライドのカム面と摺動自在に面接触するカム面を有したカムドライバとを具備したプレス用カム型であって、支持手段は、基台と、カムスライドの貫通孔を貫通していると共に基台に支持された円柱ガイドバーとを具備しており、ばね手段は、カムスライドを初期位置に付勢するように、支持手段のガイドバーの周りに巻かれて配されたコイルばねを具備しており、基台は、前壁部と、後壁部と、これら前壁部及び後壁部を連結する連結壁部とを具備しており、ガイドバーの一端は、前壁部に形成された貫通孔に挿入されて前壁部に取り付けられており、ガイドバーの他端は、後壁部に形成された凹所に嵌装されてねじにより後壁部に取り付けられており、基台の連結壁部には、カムスライドの一端面が摺動自在に接してカムスライドの移動を案内する案内面が形成されており、前壁部に対面するカムスライドの前面に凹所が形成されており、コイルばねは、カムスライドの前面の凹所の底面と前壁部との間に配されているプレス用カム型。
- ガイドバーが貫通するカムスライドの貫通孔には、外周面がカムスライドに固着されて内周面がガイドバーの外周面と摺動自在に接するブッシュが配されている請求項１に記載のプレス用カム型。
- 基台は上型側に固定されており、カムドライバは下型側に固定されている請求項１又は２に記載のプレス用カム型。
- 基台は下型側に固定されており、カムドライバは上型側に固定されている請求項１又は２に記載のプレス用カム型。
- ガイドバーは水平又は斜めに配されている請求項１から４のいずれか一項に記載のプレス用カム型。
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