JP3603935B2 - 分別廃棄性の良好なヒンジキャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器口部壁に嵌合固定されるキャップ本体を備えたヒンジキャップの分別廃棄性の改善に関するものであり、より詳細には、格別の工具を用いることなく、手による引き裂きによって容易に容器口部からキャップ本体を取り除くことが可能なヒンジキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近になって、ゴミ廃棄処理や省資源の見地からゴミの分別廃棄が要求されるようになり、特に容器口部に装着されているプラスチックキャップについても分別廃棄が求められている。
ところで、多くのプラスチックキャップは、容器口部に嵌合固定されるキャップ本体と、キャップ本体に開閉可能にヒンジ連結された上蓋とから成っている。即ち、この種のキャップは、キャップ本体が容器口部に嵌合固定されているため、使用済みのキャップを容器口部から除去するには、一般に栓抜きの様な工具が必要なため、その除去作業が極めて面倒であり、分別廃棄性が極めて不満足であった。
【0003】
このため、この種のキャップの分別廃棄性の改善について、多くの提案がなされている。
例えば、実開平7−11559号公報や実開平5−34151号公報には、上述したヒンジキャップについて、キャップ本体の筒状側壁部に、上蓋とのヒンジ連結部の近傍から下方に延びているスコアを形成させて成るヒンジキャップが開示されている。これらのヒンジキャップは、上蓋を手で持って下方に押し下げることにより筒状側壁部のスコアを引き裂き、これによって筒状側壁部が破壊されるので、格別の工具を用いることなく容易にキャップを容器口部から除去できるというものである。
【0004】
然しながら、これらの先行技術に開示されているキャップでは、筒状側壁部のスコアの引き裂きが容易でないという問題がある。即ち、筒状側壁部は、容器口部に嵌合固定されるため、比較的厚肉に形成されており、しかも、容器口部にしっかりと固定するために、容器口部外面と係合する突起が形成されている。従って、この部分に形成されているスコアを引き裂くためには、かなり大きな力を要する。また、このスコアの引き裂きを容易に行うためには、スコアを深く形成し、スコア形成部分の肉厚を薄くすることが考えられる。しかし、この場合には、キャップ本体を容器口部に装着するキャッピング工程時に、筒状側壁部が破断し易くなってしまう。
【0005】
さらに、筒状側壁部に形成されているスコアの引き裂きを容易に行うためには、例えば、筒状側壁部上端に連なる頂板部或いは筒状側壁部の該スコア近傍に適当な摘み片を設けるのがよく、この摘み片を手で引っ張ることによりスコアの引き裂きを容易に行うことが可能となる。この場合、筒状側壁部にスコア引き裂き用の摘み片を設けるのは、使用中のキャップについて、一般の使用者が誤ってスコアの引き裂きを行ってしまうというトラブルを引き起し易いので好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、格別の摘み片を設けることなしに、筒状側壁部に形成されたスコアの引き裂きが容易であり、しかもキャッピング時における筒状側壁部の破断が有効に防止された分別廃棄性の良好なヒンジキャップを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部と頂板部周縁から垂下している筒状側壁とを有するキャップ本体と、該キャップ本体の筒状側壁上端部にヒンジ連結された上蓋とから成り、前記筒状側壁の内面には、容器口部の外面と係合し得る係合突起が形成されており、該筒状側壁内に容器口部が嵌め込まれることにより、キャップ本体が容器口部に装着されるヒンジキャップにおいて、
前記上蓋とのヒンジ連結部が形成されている筒状側壁の厚み部分には、その上端から下方に向かって延びているスリットが筒状側壁の下端近傍にまで深く形成されており、このスリットにより、ヒンジ連結部の筒状側壁は内側壁と外側壁とに分割されており、
前記ヒンジ連結部の両端部においては、前記スリットの両端に沿って外側壁に第1のスコアが形成され、且つ第1のスコアに対面する様に、第2のスコアが少なくとも内側壁に形成されている係合突起に刻設されていることを特徴とするヒンジキャップが提供される。
【0008】
概説すると、本発明のヒンジキャップの重要な特徴は、
(1)キャップ本体の筒状側壁の厚み部分には、上蓋とのヒンジ連結部分において、上端から下方に延びているスリット(以下、第1のスリットと呼ぶ)が設けられていること、
(2)第1のスリットは、筒状側壁の下端近傍にまで深く形成され、
(3)前記ヒンジ連結部の両端部、即ち、第1のスリットの両端部において、外側壁には、第1のスリットに沿って第1のスコアが設けられており、少なくとも内側壁の係合突起には、第2のスコアが刻設されていること、
という点にある。
【0009】
このようなスリット及びスコアが設けられている本発明のヒンジキャップにおいては、キャッピング(打栓)によりキャップ本体が容器口部に挿入されていくと、筒状側壁内面(内側壁内面)に形成された係合突起が容器口部の外面に乗り上げるため、ヒンジ連結部に設けられた第1のスリットにより形成された薄肉の内側壁は外側に広がっていくが、ヒンジ連結部の両端に形成されている第1のスコアと内側壁との間には第1のスリットが介在している。この結果、キャッピング時における第1のスコアの破断は有効に防止される。また、第1のスリットの部分で内側壁は外側壁に密着し、外側壁によって、内側壁がそれ以上外方に広がることが抑制される。従って、内側壁に形成されている第2のスコアの破断も有効に防止される。更に、キャッピング後においては、ヒンジ連結部の内側壁は、外側壁に密着してタガ締めされているため、十分な密封性が確保される。
【0010】
更に、上蓋のヒンジ連結部を下方に引っ張り下ろすことにより、第1のスコアが引き裂かれるが、この引き裂きにより、ヒンジ連結部の内側壁は外側壁のタガ締め力から開放され、且つヒンジ連結部では、それ自体薄肉の内側壁のみがキャップ本体と係合しているため、ヒンジ連結部での係合突起と容器口部外面との係合力は著しく低下する。この状態において、上蓋は、破断した外側壁の下端を介して内側壁、即ち,容器口部に装着されているキャップ本体と連なっている。従って、この上蓋を摘片として引っ張り上げることにより、筒状側壁を捲り上げることができるが、特に少なくとも内側壁内面に形成されている係合突起には第2のスコアが刻設されているため、この係合突起が容易に引き裂かれ、外側壁のタガ締め力が解除されていることと相まって、係合突起と容器口部外面との係合力が著しく弱められているため、更に上蓋を引っ張り上げることにより、容易にキャップ本体を容器口部から引き抜くことが可能となる。
【0011】
また本発明においては、筒状側壁のヒンジ連結部以外の部分にも、第1のスリットと同様、上端から下方に向かって延びている第2のスリットを設けることができる。この第2のスリットは、第1のスリットに連続して形成され、且つ第1のスリットよりも浅く形成され、しかも、少なくとも前記係合突起にかかる部分にまで、最も好ましくは、該係合突起の頂部よりも下側部分にまで形成されているのがよい。このような第2のスリットを形成することにより、キャップ本体の容器口部からの引き抜きを一層容易に行うことができる。
即ち、上蓋を引き降ろしての第1のスコアの引き裂きにより、第2のスリットにより形成された内側壁も外側壁のタガ締め力から開放され、ヒンジ連結部以外の部分での係合突起と容器口部との係合力が弱められるため、キャップ本体の容器口部からの引き抜きを一層容易に行うことができるわけである。
また、このような第2のスリットを形成した場合においても、第2のスリットによる内側壁は、外側壁により保護され且つ外側壁によってタガ締めされるため、容器口部との嵌合力の低下が有効に防止され、十分な密封性を確保することができる。
【0012】
本発明において、第1のスリットがヒンジ連結部に形成されている限り、第2のスリットは、筒状側壁の残る部分の全体に形成されていてもよいし(即ち、第1及び第2のスリットは、筒状側壁の全周に設けられる)、ヒンジ連結部以外の部分の一部にのみ第2のスリットを形成してもよい。但し、通常は、第1及び第2のスリットは、両者を合わせて少なくとも筒状側壁の半周以上にわたって形成されていることが望ましい。即ち、第2のスリットが形成されている領域があまり小さいと、第2のスリットを設けた意味がなくなり、例えば上蓋を引っ張り下ろしてスコアを引き裂いたとしても、キャップ本体(筒状側壁)と容器口部との嵌合力は、第2のスリットが設けられていない場合と比較してもあまり変わらない。
【0013】
また本発明において、筒状側壁には、第1のスリット或いは第2のスリットと連通し且つ下端にまで延びている水抜き孔が少なくとも1個設けられていることが好ましい。即ち、容器口部にキャップが装着された後、必要により水洗、或いはシャワー冷却が行われることがある。この際、ヒンジキャップのスリット内に水が溜まった場合にも、上記の様な水抜き孔を設けておくことにより、スリット内に侵入した水を容易に除去することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のヒンジキャップの上蓋が開栓状態にある時の上面平面図、図2は、図1のヒンジキャップの上蓋が開栓状態にある時の側断面図、図3は、図1のヒンジキャップの上蓋が開栓状態にある時の底面図、図4は、図1のヒンジキャップの上蓋を閉じた状態での側面図であり、図5は、図1のヒンジキャップにおけるヒンジ連結部両端部近傍(第1のスリットと第2のスリットとの境界部)を拡大して示す図であり、図6は、図1のヒンジキャップにおいて、上蓋を引き下ろしてスコアを引き裂いた時の状態を容器口部と共に示す側断面図、及び図7は、図6の状態から上蓋を引っ張り上げた状態を示す側断面図である。
【0015】
図1乃至図4において、このヒンジキャップは、キャップ本体1と上蓋2とから成る。
キャップ本体1は、大まかに言って、頂板部5と、頂板部5の周縁部から垂下している筒状側壁6とから成っており、上蓋2は、筒状側壁6の上端にヒンジ連結(ヒンジ連結部7)されており、このヒンジ連結部7の両端には、上蓋2を開栓した時、その開栓状態が確保される様に連結バンド7a,7aが設けられており、上蓋2を旋回して閉じると、頂板部5が完全に覆われる。
【0016】
キャップ本体1の筒状側壁6の内面には、周状の係合突起8が形成されており、また頂板部5の内面の周縁部には、筒状側壁6とは間隔をおいて下方に延びているインナーリング9が形成されている。即ち、このインナーリング9と筒状側壁6との間の空間に容器口部(図示せず)が嵌め込まれ、且つ周状突起8によってキャップ本体1は、容器口部にしっかりと固定される。
【0017】
キャップ本体1の頂板部5には、注出用開口を形成するためのスコア15が形成されていると共に、頂板部5の上面側には、スコア破断用のタブリング16が設けられており、このタブリング16を引っ張ることによりスコア15が破断され、注出用の開口が形成されるようになっている。尚、このスコア15は、内容液注出用の開口を形成するためのものであり、後述するキャップ本体を容器口部から取り除くために設けられるスコアとは全く別のものである。
頂板部5の上面側には、スコア15を取り囲む様にして注出液案内用の筒状突起17が形成されており、注出用開口を介して注ぎ出された内容液は、この筒状突起17に沿って案内される。
【0018】
また、上蓋2は、天板20と、天板20の周縁部から延びているスカート21とから形成されており、天板20の内面には、シール用の周状突起22が形成されている。即ち、上蓋2を閉じたとき、この周状突起22の外面が筒状突起17の内面に密着する様になっており、この密着により、スコア15を破断しての注出用開口形成後のシール性が確保される。
この場合、図2に明示されている様に、筒状突起17は、ヒンジ連結部7側の背を低くしておくことが好ましい。このようにすれば、周状突起22の長さを比較的大きく設定しても上蓋2を有効に閉じることができ、注出用開口形成後のシール性確保の点で有利となる。
【0019】
頂板部5の上面側周縁部には、比較的背の低い上蓋係止用の周状突起25が形成され、また上蓋2の周状端縁部には、凹部26が形成されている。即ち、上蓋2を閉じたとき、周状突起25と凹部26とが互いに係合し、これにより、上蓋2の閉栓状態が保持される。
また、上蓋2の天板20の内面には、スカート21と周状突起22との間の位置に、上蓋2を閉じた状態で先端が頂板部5に接触するか又はその近傍に位置するような長さを有する弧状突起27が形成されている。この弧状突起27は、上蓋2を閉じた時、筒状突起17の外側に位置するようになっている。即ち、上蓋2を閉じた状態で上部から外力が加わって上蓋2が変形すると、この変形によって周状突起27が頂板部5に食い込み、この結果、注出用開口形成用のスコア15が破断するおそれがある。しかるに、上記の様な弧状突起27を設けておけば、上蓋2が変形した時、この弧状突起27が筒状突起17の外側(スコア15の外側)の頂板部5の上面に当接するため、周状突起27の頂板部5の食い込みが防止され、スコア15の破断というトラブルを有効に防止することができるのである。
更に上蓋2のスカート21の下端には、ヒンジ連結部7とは反対側部分に、開封用タブ28が設けられており、開封用タブ28に指で引っかけて上蓋2を容易に開栓し得る様になっている。
【0020】
本発明のヒンジキャップにおいては、筒状側壁6の厚み部分中間部に、上端から下方に延びているスリット30を設ける。このスリット30は、図1から理解されるように、筒状側壁6の全周にわたって形成されており、ヒンジ連結部7に形成されている第1のスリット30aと、ヒンジ連結部7以外の部分に形成されている第2のスリット30bとが連続して連なったものである。これら第1のスリット30a及び第2のスリット30bによって、筒状側壁6は、内側壁6aと外側壁6bとに分割されており、内側壁6aと外側壁6bとは、下方部分で一体に連なっている。
また図2に明示されている様に、ヒンジ連結部7に形成されている第1のスリット30aは、筒状側壁6の上端から深く形成されており、該スリット30aの下端は、筒状側壁6の下端近傍にまで延びている。一方、ヒンジ連結部7以外の部分に形成されている第2のスリット30bは、第1のスリット30aよりも浅く形成されているが、筒状側壁6の内面に形成されている係合突起8の最頂部8aよりも下方まで延びている。
【0021】
更に、図1の上面図及び図4の側面図に示されている通り、連結部7の両端部近傍、即ち、第1のスリット30aと第2のスリット30bとの境界部においては、第1のスリット30aの端部から外側壁6bの外面に向かって第1のスコア31,31が形成されており、この第1のスコア31によって外側壁6bは、上記境界部で薄肉となっている。
また、上記第1のスリット30aと第2のスリット30bとの境界部(連結部7の両端部近傍)を拡大して示す図5及び図3の底面図から明らかな通り、この境界部においては、内側壁6aの内面に形成されている係合突起8には、第2のスコア32が刻設されている。即ち、この第2のスコア32は、内側壁6aの内表面から外側壁6b側に向かって形成されており、第1のスコア31に対面している。尚、第2のスコア32は、係合突起8よりも下方の内側壁6aにまで延びていてもよい。
【0022】
本発明のヒンジキャップは、上記の様な第1及び第2のスリット30a,30b、並びに第1及び第2のスコア31,32を有していることから、キャッピング時におけるキャップ本体1の破損が有効に防止され、またキャップ本体1と容器口部との係合力を低下させることなく且つ格別の摘片を設けず、しかも格別の工具を用いることなく、このヒンジキャップを容易に容器口部から取り外すことが可能となる。
【0023】
例えば、キャップ本体1を、容器口部にキャッピング(打栓)すると、容器口部の上端が筒状側壁6とインナーリング9との間の空間に挿入されていくにしたがって、筒状側壁6の内面に形成されている係合突起8が、容器口部の外面に形成されている大径の凸部(100,図6参照)に乗り上げる。この時に、内側壁6aが外側に広がるが、第1のスコア31と内側壁6aとの間には第1のスリット30aが介在しているため、第1のスコア31の破断は有効に防止される。また、外側に広がった内側壁6aは、直ちに外側壁6bに密着するため、内側壁6aが過度に広がることが防止され,この結果、第2のスコア32の破断も有効に防止される。
また、キャッピング後においては、内側壁6aは、外側壁6bに密着しているため、外側壁6bよってタガ締めされ、係合突起8と容器口部外面の凸部100との係合力が補強され、十分なシール性が確保される。
【0024】
また、図6に示されている様に、キャップ本体1が容器口部に装着されている状態で、上蓋2を開け、この上蓋2を手で持って下方に引き下ろすと、ヒンジ連結部7の両端部近傍(第1のスリット30aと第2のスリット30bとの境界部)に設けられているスコア31,31に沿って外側壁6aが引き裂かれ、上蓋2は、第1のスリット30aの下側部分で内側壁6aに繋がった状態となる。
この状態では、外側壁6bが引き裂かれているため、外側壁6bによるタガ締め力が解除されており、係合突起8と容器口部外面の凸部100との係合力が著しく弱められている。
【0025】
更に図7に示す様に、上記の上蓋2を手で持って上方に引っ張り上げると、内側壁6aが下端から捲り上げられるが、係合突起8には第2のスコア32が刻設されているため、この第2のスコア32に沿って内側壁6aは容易に上方に引き裂かれていく。従って、連結部7の部分でキャップ本体1の筒状側壁6は、完全に容器口部から開放された状態となり、残る部分は容器口部に装着された状態にあるが、上記で説明した様に、外側壁6bによるタガ締め力が解除されているため、その係合力は著しく弱められている。このため、更に上蓋2を引っ張り上げることにより、キャップ本体1を容器口部から容易に引き抜くことができるわけである。
【0026】
このように本発明によれば、格別の摘み片を設けることなしに、上蓋2を持っての引き下ろし、引っ張り上げにより、第1及び第2のスコア31,32に沿っての引き裂きが容易に行われ、キャップ本体1を容器口部から取り除くことができる。
しかも、容器口部から取り除かれたキャップ本体1は、上蓋2と一体であるため、その廃棄も極めて容易である。
【0027】
上記の説明から明らかな通り、第1及び第2のスリット30a,30bは、何れも、少なくとも筒状側壁6の内面に形成されている係合突起8の最頂部8aよりも下方に延びていることが好ましい。即ち、この最頂部8aの部分で、キャッピングに際して筒状側壁6は、最も外側に広げられ、且つキャッピング後における係合突起8と容器口部の凸部100との係合力は最も大きい。従って、これらのスリット30a,30bが最頂部8aまで延びていれば、第1のスコア31に沿って外側壁6bを引き裂いてタガ締め力を解除することにより、キャップ本体1を容器口部から容易に取り除くことができる。
【0028】
また、第1のスリット30aは、一定の強度が確保される範囲で筒状側壁6の下端の近傍まで延びていることが必要である。即ち、第1のスリット30aの下端が筒状側壁6の下端から必要以上に離れていると、第1のスリット30aの両端に存在する第1のスコア31に沿って外側壁6bを引き裂いた後、図7に示す様に上蓋2を引っ張り上げようとしても、筒状側壁6の下端を捲り上げることが困難となり、第2のスコア32をスムーズに引き裂くことができなくなるからである。
【0029】
一方、第2のスリット30bは、第1のスリット30aよりも浅く形成されていることが必要である。即ち、第2のスリット30bが、第1のスリット30aと同様に筒状側壁6の下端近傍まで延びていると、筒状側壁6の強度が低下し、キャッピング等に際して筒状側壁6の破断や変形を生じやすくなるためである。但し、先にも述べた様に、この第2のスリット30bも、筒状側壁6の内面に形成されている係合突起8の最頂部8aよりも下方に延びていることが好ましく、通常は、第2のスリット30bの下端を、係合突起8の下端の裾部あたりの部分に位置せしめるのがよい。
【0030】
上述した様に、本発明のヒンジキャップは、第1のスリット30a及び第2のスリット30bが設けられているため、図6の様に、上蓋2を引き下ろして第1のスコア31に沿って外側壁6bを引き裂いた状態で、上蓋2を引っ張り上げることにより容器口部からキャップ本体1を取り除くことができるが、ヒンジ連結部7に第1のスリット30aが形成されている限り、第2のスリット30bが設けられていなくとも、図6の状態からキャップ本体1の引き抜きを行うことは可能である。しかし、この場合には、図6のようにして第1及び第2のスコア31,32を引き裂いても、ヒンジ連結部7以外の部分では係合突起8と容器口部との係合力は十分に弱められない。従って、キャップ本体1の容器口部からの引き抜き性を更に高めるために、ヒンジ連結部7以外の部分に第2のスリット30bを設けることが好適である。
【0031】
また上述した例では、第2のスリット30bは、ヒンジ連結部7以外の部分の筒状側壁6の全てにわたって形成されているが、ヒンジ連結部7に形成されている第1のスリット30aに連続している限り、ヒンジ連結部7以外の部分の一部の筒状側壁6に第2のスリット30bを設けることも可能である。しかし、第2のスリット30bが形成されている領域があまりにも小さいと、第2のスリット30bを設けても、これが設けられていない場合と比較して、さほどキャップ本体1の引き抜き性を高めることができない。従って、この第2のスリット30bは、第1のスリット30aとの合計で、筒状側壁6の半周以上にわたって形成されていることが好ましい。
【0032】
また本発明において、キャップ本体1の連結部7が形成されている筒状側壁6には、水抜き孔35が設けられている(特に図3及び図4参照)。この水抜き孔35は、第1のスリット30aが形成されていない下方部分、即ち,内側壁6aと外側壁6bとが一体に連なっている部分に形成されており、筒状側壁6の下端まで延びており且つその上端は、第1のスリット30aに連通している。従って、水洗や冷却などによって、第1のスリット30a内に水が侵入した場合にも、この水は容易に除去され、また乾燥効率も向上する。また、第1のスリット30aと第2のスリット30bとは連通しているため、第2のスリット30b内に侵入した水の除去も、上記水抜き孔35を介して有効に行うことができるし、更に第2のスリット30bの乾燥効率も向上する。
【0033】
また、特に図3の底面図から理解される様に、水抜き孔35は2個設けられているが、スリット30からの水抜き及び乾燥が有効に行われる限り、この数は特に限定されず、例えば1個でもよいし、また3個以上の水抜き孔35を設けることも可能である。さらに、この水抜き孔35を、ヒンジ連結部7以外の部分に形成し、第2のスリット30bと水抜き孔35とを連通させることもできる。
更に第1のスリット30a或いは第2のスリット30bの下端を水抜き孔35に向けて下方に傾斜をつけた形状とすることにより、水抜き効果を向上させることもできる。
【0034】
本発明において、上述したヒンジキャップの成形に用いる樹脂としては、各種プラスチック、例えば、低−,中−又は高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ABS樹脂等が一般に使用される。このような樹脂を用いての射出成形、圧縮成形等の一体成形により、本発明のヒンジキャップを製造することができる。また、上述したスリットやスコアは、一体成形により形成することもできるが、場合によっては、カッテイング加工等の後加工により形成することもできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、キャップ本体の筒状側壁に上端からスリットを形成して内側壁と外側壁とに分断し、この外側壁に上蓋をヒンジ連結させることにより、格別の工具を用いることなく、キャップ本体を上蓋と一体的に容器口部から取り除くことが可能となり、分別廃棄性が極めて良好である。しかも、キャップ本体の容器口部からの取り除きに際して行われる第1及び第2のスコアに沿っての外側壁及び内側壁(係合突起)の引き裂きは、上蓋を持って行われるため、この引き裂きのために格別の摘み片を設ける必要がない。
また、上記スリットで分断されている内側壁は、外側壁によって覆われているため、キャップ本体が容器口部に装着されている状態で内側壁が外側壁によってタガ締めされ、従って、容器口部とキャップ本体との間に十分な嵌合力が確保される。しかもキャッピングに際しては内側壁が外側に広がるが、この内側壁は外側壁によって保護されているため、必要以上の内側壁の変形や破断も有効に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒンジキャップの上蓋が開栓状態にある時の上面平面図。
【図2】図1のヒンジキャップの上蓋が開栓状態にある時の側面断面図。
【図3】図1のヒンジキャップの上蓋が開栓状態にある時の底面図。
【図4】図1のヒンジキャップの上蓋が閉栓状態にある時の側面図。
【図5】図1のヒンジキャップにおけるヒンジ連結部両端部近傍(第1のスリットと第2のスリットとの境界部)を拡大して示す図。
【図6】図1のヒンジキャップにおいて、上蓋を引き下ろしてスコアを引き裂いた時の状態を容器口部と共に示す側断面図。
【図7】図6の状態から上蓋を引っ張り上げた状態を示す側断面図。
【符号の説明】
1:キャップ本体 2:上蓋
5:頂板部 6:筒状側壁
6a:外側壁 6b:内側壁
7:連結バンド 30:スリット
30a:第1のスリット 30b:第2のスリット
31:第1のスコア 32:第2のスコア
35:水抜き孔
Claims (4)
- 頂板部と頂板部周縁から垂下している筒状側壁とを有するキャップ本体と、該キャップ本体の筒状側壁上端部にヒンジ連結された上蓋とから成り、前記筒状側壁の内面には、容器口部の外面と係合し得る係合突起が形成されており、該筒状側壁内に容器口部が嵌め込まれることにより、キャップ本体が容器口部に装着されるヒンジキャップにおいて、
前記上蓋とのヒンジ連結部が形成されている筒状側壁の厚み部分には、その上端から下方に向かって延びているスリットが筒状側壁の下端近傍にまで深く形成されており、このスリットにより、ヒンジ連結部の筒状側壁は内側壁と外側壁とに分割されており、
前記ヒンジ連結部の両端部においては、前記スリットの両端に沿って外側壁に第1のスコアが形成され、且つ第1のスコアに対面する様に、第2のスコアが少なくとも内側壁に形成されている係合突起に刻設されていることを特徴とするヒンジキャップ。 - ヒンジ連結部以外の筒状側壁の厚み部分には、その上端から下方に向かって、前記ヒンジ連結部のスリットよりも浅いが、少なくとも前記係合突起にかかる部分にまで延びている第2のスリットが、前記ヒンジ連結部のスリットに連続する様に形成されている請求項1に記載のヒンジキャップ。
- 前記筒状側壁には、前記ヒンジ連結部のスリット又は第2のスリットと連通して下端にまで延びている水抜き孔が少なくとも1個形成されている請求項1又は2に記載のヒンジキャップ。
- 前記第2のスリットは、ヒンジ連結部以外の筒状側壁の全ての部分にわたって形成されている請求項2に記載のヒンジキャップ。
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