JP3601690B2 - 磁気抵抗効果素子とその製造方法、磁気抵抗効果型ヘッド、磁気記録装置、磁気抵抗効果メモリ素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子とその製造方法、磁気抵抗効果型ヘッド、磁気記録装置、磁気抵抗効果メモリ素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は外部磁界に対して磁気抵抗変化により大きな出力を生ずる磁気抵抗効果素子と、それを用いて構成される高密度磁気記録再生に適した磁気抵抗効果型ヘッド、及びこれを用いたHDD等の磁気記録装置とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、HDD(ハードディスクドライブ)の高密度化は著しく、媒体に記録された磁化を読みとる再生磁気ヘッドの進歩も著しい。中でも巨大磁気抵抗効果を利用したスピンバルブと呼ばれる磁気抵抗効果素子(MR素子)は、現在用いられている磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)の感度を大幅に上昇されるものとして盛んに研究されている。
【0003】
スピンバルブは、非磁性層を介して2つの強磁性体層が配置され、一方の磁性層(固定層)の磁化方向を磁化回転抑制層(ピンニング層)による交換バイアス磁界で固定し(この時の強磁性体層と磁化回転抑制層を合わせて交換結合膜と呼ぶ)、もう一方の磁性層(自由層)の磁化方向を外部磁界に応じて比較的自由に動かすことにより、固定層と自由層の磁化方向の相対角度を変化させて、電気抵抗の変化を生じさせるものである。
【0004】
スピンバルブ膜に用いられる材料としては、当初、磁性膜としてNi−Fe膜、非磁性膜としてCu、磁化回転抑制層としてFe−Mnを用いたもので磁気抵抗変化率(MR比)が約2%のものが提案された(ジャーナル オブマグネティズム アンド マグネティック マテリアルズ 93 第101項 (1991年) (Journal of Magnetism and Magnetic Materials 93,p101,1991))。このように、磁化回転抑制層としてFeMn膜を用いたものはMR比が小さく、またブロッキング温度(磁化回転抑制層による固定層の磁化固定効果が無くなる温度)が十分高くなく、またFeMn自体に耐食性に難点があるので、種種の磁化回転抑制層を用いたスピンバルブ膜が提案されている。中でも、PtMn系は耐食性と熱的安定性が良く、NiOやα−Fe等の酸化物を磁化回転抑制層として用いたスピンバルブ膜は、MR比が15%以上と飛躍的に大きいものが得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、NiO膜の場合はブロッキング温度が十分高くなく、NiOスピンバルブ膜の熱的安定性には問題がある。
【0006】
また、α−Feスピンバルブ膜も金属磁性膜のピン止め効果が弱い欠点があり、特にデュアルスピンバルブ構造や固定層上にα−Feを付けた構造のスピンバルブとした場合、上部のα−Fe膜においてこの傾向が顕著である。PtMn系は、熱的安定性に優れるもののNiOやα−Feほど大きなMR比が得られない課題がある。従って、PtMn系のような熱的安定性と、NiOやα−Fe系のような大きなMR比の両立が一つの課題であった。
【0007】
更により磁気抵抗効果を示す金属膜部の総膜厚が薄く、より大きなMR比を示す磁気抵抗効果素子を得るのが課題であった。
【0008】
本発明の目的は、熱的安定性と高MR比とを有する磁気抵抗効果素子とその製造方法、磁気抵抗効果型ヘッド、磁気記録装置、磁気抵抗効果メモリ素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために本発明では以下に詳細を述べる固定層に金属磁性膜と酸化物磁性膜との積層膜を用いることを特長とする。この構成とすることにより、より大きなMR比を得るのが可能となり、例えばこの構成で磁化回転抑制層にPtMn系等を用いれば、熱的安定性と高MR比の両立が可能となる。
【0010】
本発明に係る磁気抵抗効果素子は、外部磁界により容易に磁化回転する自由層と、第1非磁性層と、該第1非磁性層に対して該自由層の反対側に設けられ、該外部磁界により容易には磁化回転しない第1固定層とを含み、該第1固定層と該自由層との少なくとも一方は、該第1非磁性層と接する第1金属磁性膜と、第1酸化物磁性膜とを含み、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】
前記第1固定層は、前記第1金属磁性膜と、前記第1酸化物磁性膜とを含んでもよい。
【0012】
前記自由層に対して前記第1非磁性層の反対側に設けられる第2非磁性層と、該第2非磁性層に対して該自由層の反対側に設けられ、該外部磁界により容易には磁化回転しない第2固定層とをさらに含んでもよい。
【0013】
前記自由層は、前記第1金属磁性膜と、前記第1酸化物磁性膜とを含んでもよい。
【0014】
前記自由層に対して前記第1非磁性層の反対側に設けられ、平坦性の良好な酸化物非磁性膜をさらに含んでもよい。
【0015】
前記第1酸化物磁性膜と磁気的に結合する磁化回転抑制層をさらに含んでもよい。
【0016】
前記自由層は、前記酸化物磁性膜に対して前記第1金属磁性膜の反対側に設けられる第2金属磁性膜をさらに含んでもよい。
【0017】
前記第1固定層と磁気的に結合するが磁化回転抑制層をさらに含んでもよい。
【0018】
前記第1固定層は、前記第1酸化物磁性膜に対して前記第1金属磁性膜の反対側に設けられる第2金属磁性膜をさらに含んでもよい。
【0019】
前記第1固定層は、前記第1酸化物磁性膜に対して前記第1金属磁性膜の反対側に設けられる第2金属磁性膜と、第3金属磁性膜と、該第2金属磁性膜と該第3金属磁性膜とを反強磁性的に交換結合する交換結合用非磁性膜とをさらに含んでもよい。
【0020】
前記第1固定層は、前記第1酸化物磁性膜に対して前記第1金属磁性膜の反対側に設けられる非磁性膜と、該非磁性膜を介して該第1酸化物磁性膜と磁気的に交換結合する第2酸化物磁性膜をさらに含んでもよい。
【0021】
前記第1酸化物磁性膜は、Fe元素を含有してもよい。
【0022】
前記第1酸化物磁性膜は、Fe元素とX元素とを含有してもよい。ただし
XはAl,Si,B,Nから成る群より選ばれる1種もしくは2種以上の元素である。
【0023】
前記第1酸化物磁性膜は、MFe(MはFe,Co,Niから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)を主成分としてもよい。
【0024】
前記第1酸化物磁性膜は、Feを主成分としてもよい。
【0025】
前記第1酸化物磁性膜は、CoFeを主成分としてもよい。
【0026】
前記磁化回転抑制層は、P−Mn系(PはPt,Ni,Pd,Ir,Rh,Ru,Crから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)合金より成ってもよい。
【0027】
前記磁化回転抑制層は、α−Fe、NiOのいずれか、もしくはこれらの積層膜から成ってもよい。
【0028】
前記該磁化回転抑制層は、(AB)層から成ることを特長とする請求項6記載の磁気抵抗効果素子。ただし(AB)とはAとB元素を足したものとO元素との比が2:Xであることを示し、Oは酸素原子2.8<X<3.2の条件を満足し、かつ原子A、B、O のイオン半径をそれぞれRa,Rb,Roとして次式
t=(Ra+Ro)/(√2・(Rb+Ro))
で定義されるtが0.8<t<0.97であることを満足するものである。
【0029】
前記(AB)層のBがFeを主成分とする遷移金属元素であってもよい。
【0030】
前記(AB)層のAが(Y,Laを含む)希土類元素から選ばれる1種もしくは2種以上の元素であってもよい。
【0031】
前記第1酸化物磁性膜は、前記第1金属磁性膜の酸化物であってもよい。
【0032】
前記第1金属磁性膜は、Co−Fe合金からなってもよい。
【0033】
特に該自由層は、非磁性膜と、前記非磁性膜を介して反強磁性的に交換結合した、膜厚または飽和磁化の異なる2つの金属磁性膜とを含んでもよい。
【0034】
前記磁気抵抗効果素子の膜面の上下に配置される電極をさらに含み、電流を前記膜面に垂直に流してもよい。
【0035】
本発明に係る磁気抵抗効果型ヘッドは、本発明に係る磁気抵抗効果素子と、シールド部とを具備し、そのことにより上記目的が達成される。
【0036】
本発明に係る他の磁気抵抗効果型ヘッドは、本発明に係る磁気抵抗効果素子と、 検知すべき磁界を前記磁気抵抗素子に導入するヨークとを具備し、そのことにより上記目的が達成される。
【0037】
本発明に係る磁気記録装置は、本発明に係る磁気抵抗効果型ヘッドと、記録媒体と該磁気抵抗効果型ヘッドとのトラッキングを制御するサーボ部と、該磁気抵抗効果型ヘッドが該記録媒体に記録再生する信号を処理する信号処理部とを備え、そのことにより上記目的が達成される。
【0038】
本発明に係る磁気抵抗効果メモリ素子は、本発明に係る磁気抵抗効果素子と、該磁気抵抗効果素子から情報を読み出すための情報読出用導体線と、該情報を記録するための情報記録用導体線とを具備し、そのことにより上記目的が達成される。
【0039】
本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法は、本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法であって、前記第1酸化物磁性膜を、酸化物ターゲットを用いてスパッタ法により形成する第1工程を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0040】
前記酸化物ターゲットはFeを含んでもよい。
【0041】
前記第1工程は、不活性ガスと酸素ガスとを用いてスパッタ法により前記第1酸化物磁性膜を形成する第2工程を包含してもよい。
【0042】
前記第1工程は、不活性ガスと酸素ガスとを用いてスパッタ法により前記第1酸化物磁性膜を形成する第2工程を包含してもよい。
【0043】
前記酸化物ターゲットはCoFeを含んでもよい。
【0044】
本発明に係る他の磁気抵抗効果素子の製造方法は、基板上に直接または下地層を介して、外部磁界により容易に磁化回転する自由層、非磁性層、外部磁界により容易には磁化回転しない固定層の金属磁性膜を順次積層する第1の工程と、該固定層の該金属磁性膜の表面を酸化させる第2の工程と、該金属磁性膜の表面上に酸化物磁性膜を形成する第3の工程と、該酸化物磁性膜の上に磁化回転抑制層を更に形成する第4の工程とを包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0045】
前記第2の工程は、プラズマ酸化法を含んでもよい。
【0046】
前記第2の工程は、酸素ラジカル源から発生した酸素ラジカルにより、前記金属磁性膜の前記表面を酸化する工程を含んでもよい。
【0047】
前記第2の工程は、自然酸化法を含んでもよい。
【0048】
前記第2の工程は、イオン源より発生した酸素イオンを用いて前記金属磁性膜の前記表面を酸化する工程を含んでもよい。
【0049】
本発明に係るさらに他の磁気抵抗効果素子の製造方法は、基板上に直接または下地層を介して、外部磁界により容易に磁化回転する自由層、非磁性層、外部磁界により容易には磁化回転しない固定層の第1金属磁性膜を順次積層する第1の工程と、該固定層の酸化物磁性膜を反応性スパッタリング法により形成する第2の工程と、該酸化物磁性膜その上に該固定層の第2金属磁性膜を形成する第3の工程と、該第2金属磁性膜上に磁化回転抑制層を更に形成する第4の工程とを包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0050】
【発明の実施の形態】
本発明のスピンバルブ膜を構成するには図1に示したように、磁性膜(自由層5)/非磁性層4/[金属磁性膜32/酸化物磁性膜31](固定層3)/磁化回転抑制層2(ピンニング層)なる構成とし、非磁性層4と固定層3の金属磁性膜32が接し、磁化回転抑制層2と固定層3の酸化物磁性膜31が接する構成とする。
【0051】
又、図2に示したように上記の非磁性層4と接しない自由層5の面に酸化物非磁性膜6を付けても良い。この時自由層5と酸化物非磁性層6の界面は平坦であることが重要である。
【0052】
更に図3に示したように磁化回転抑制層2(ピンニング層)/[酸化物磁性膜31/金属磁性膜32](固定層3)/非磁性層4/磁性膜(自由層5)/非磁性層4/[金属磁性膜32/酸化物磁性膜31](固定層3)/磁化回転抑制層2(ピンニング層)なる構成としても良い。
【0053】
また本発明は図5Aに示したように自由層5Aが該非磁性層4と接する金属磁性膜51と酸化物磁性膜52の積層膜より構成しても良い。図5Aの固定層3Dには金属磁性膜と酸化物磁性膜を積層したものを用いても良い。
【0054】
特に自由層5Bが図6に示したように[金属磁性膜51/酸化物磁性膜52/金属磁性膜51]より構成されても良い。
【0055】
これら図5A、6に示したものの固定層は図7に示すような磁化回転抑制層2と接する構成としても良い。更にその固定層3Dを図1、2,あるいは後述する図4と同様の構成としても良いし、図8に示したように固定層を[金属磁性膜32/酸化物磁性膜31/金属磁性膜32]で構成しても良い。
【0056】
なお図7、8の自由層を図5Aのような構成としても良い。
【0057】
これら酸化物磁性膜としてはFe元素を含有するものが望ましい。例えばFe元素とX元素を含有するFe−X(Xは原子%で4〜30%)系のものが軟磁気特性と高抵抗を兼ね備えている。ただしXはAl,Si,B,Nから成る群より選ばれる1種もしくは2種以上の元素である。成膜法としてはFe−Al,Fe−Si,Fe−B等をターゲットに用いて、酸素や窒素を用いた反応スパッタ法によりFeAlO, FeSiO,FeBO,FeAlON,FeSiON,FeBON,FeAlSiO,FeAlSiON等が形成出来る。以下に述べるMFe系よりは抵抗が低いが成膜条件や組成で抵抗の調整が可能である利点がある。
【0058】
又上記酸化物磁性膜はMFe(MはFe,Co,Niから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)を主成分として構成することが望ましい。
【0059】
この場合の酸化物磁性膜にはFeを主成分として構成すれば上記のFe−X系より更に高抵抗となり、CoFeを主成分とするものを用いれば更に高抵抗となり、この場合は硬質磁気特性を示すため固定層の一部として使用するのに適している。
【0060】
上記ピンニング層はP−Mn系(PはPt,Ni,Pd,Ir,Rh,Ru,Crから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)合金より成ることをが望ましいが、α−Fe、NiOのいずれか、もしくはこれらの積層膜で構成されても良いし、(AB)膜で構成されても良い。ただし(AB)とはAとB元素を足したものとO元素との比が2:Xであることを示し、Oは酸素原子で2.8<X<3.2の条件を満足し、かつ原子A、B、O のイオン半径をそれぞれRa,Rb,Roとして次式
t=(Ra+Ro)/(√2・(Rb+Ro))
で定義されるtが0.8<t<0.97であることを満足するものである。
【0061】
この場合(AB)層のBはFeを主成分とする遷移金属元素であることが望ましく、Aは(Y,Laを含む)希土類元素から選ばれる1種もしくは2種以上の元素であることが望ましい。
【0062】
これらの膜はスパッタ法等により基板上に形成されるが、図1に示したようにピンニング層が下にくる場合はピンニング層としてα−Fe、NiO、(AB)膜を用いることが望ましく、図1とは上下逆の構成でピンニング層が上に来る場合にはP−Mn系が望ましい。ただしPt−Mn系は上下どちらにも対応可能である。
【0063】
図2についても同様であり、図3においては上下のピンニング層を別々に望ましいものを用いても良い。
【0064】
特殊な場合として図4に示したように該固定層3Aが該非磁性層4と接する金属磁性膜32と、非磁性膜33を介して磁気的に交換結合をしている酸化物磁性膜31の積層膜より構成されても良い。
【0065】
更には以上述べた図1〜2,図4,図5A,図8を適当に組み合わせた図9〜13のような構成としても良い。
【0066】
図9は図8の構成の上下を逆とし、自由層5は図1〜3の構成のように単層としたものであるが、自由層5の軟磁気特性を向上させるために下地層7を設けたものである。
【0067】
図10は図8の構成を基本として、自由層5に単層膜を用い、上部に酸化物非磁性膜6を設けた構成のものである。又磁化回転抑制層2の特性を向上させるために下地層7を設けている。
【0068】
図11Aは図10の構成を基本として、磁化回転抑制層2と接する金属磁性膜32ともう一つの金属磁性膜32を非磁性膜33を介して、図4の固定層3Aのように磁気的に交換結合させているものである。通常、この交換結合は反強磁性的のものを用い、これにより磁化回転抑制層2のピンニング効果を高める効果が得られる。この場合は図4とは異なり、金属磁性膜32を用いている。なおこの場合は自由層5の上には図10と異なり酸化物非磁性膜は無いが、上部にはキャップとして酸化膜を設けても良いし、金属の保護膜を設けても良い。
【0069】
以上述べた磁気抵抗効果素子では通常膜面内に電流を流すが、酸化物磁性層を有するため、特に電極を素子の膜面の上下に配置し、電流を膜面に垂直に流す構成とすることが可能である。
【0070】
本発明の磁気抵抗効果型ヘッドは、図14A,14B、図15に示したように本発明の磁気抵抗効果素子9に、更にシールド10、15を具備してなるものと、検知すべき磁界を磁気抵抗効果素子9に導入すべく設けられたを軟磁性体を用いて構成されるヨーク16を具備してなることを特長とする2種類のものである。図14Aはハードバイアス部12を有し、図14Bは反強磁性バイアス部12Aを有する構成となっている。
【0071】
図では膜面内を電流が流れる構成としたが、図14A、14Bのリード部13をMR素子9の膜面上下につけ、上部シールド15及び下部シールド10とつなげば膜面垂直に電流が流れる構成となり、狭ギャップ化に対して有利な構造となる(ただしこの場合ハードバイアス部12と素子9を絶縁するか、ハードバイアス部12を絶縁物で構成する必要がある。)
図16は以上述べた磁気ヘッドを用いて作製される磁気記録装置1600の構成図である。磁気記録装置は情報を記録するディスク1604、記録・再生する磁気ヘッド部1601、信号処理部1603、ヘッドとディスクのトラッキングをするサーボ部1602より成り立っている。本発明の磁気ヘッドを用いたこの磁気記録装置では従来より高密度記録が可能である。
【0072】
以上に述べた磁気抵抗効果素子に、更に情報を読み出すためのセンス線23と、情報を記録するためのワード線22とを具備すれば図17に示すような磁気抵抗効果メモリ素子1700となり、これらの素子をマトリックス状に配置すれば所謂MRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリ)が構成される。
【0073】
以下本発明の磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッド、磁気抵抗メモリ素子を図面に基づいて詳細に説明する。
【0074】
図1に本発明の磁気抵抗効果素子100の構成を示す断面図の一例を示す。図1では、基板1上に、磁化回転抑制層2、固定層3(酸化物磁性膜31/金属磁性膜32)、非磁性層4、自由層5が順次積層されている。固定層3の酸化物磁性膜31の磁化は、磁化回転抑制層2による交換バイアス磁界によりピン止めされており、酸化物磁性膜33と金属磁性膜32は強磁性的に結合しているため、金属磁性膜32の磁化も酸化物磁性膜33の磁化と同じ方向にピン止めされている。一方の磁性体である自由層5は、非磁性層4により、固定層3より磁気的に分離されているので、外部からの磁界により比較的自由に動くことができる。一般的に二つの磁性層の磁化方向が反平行の場合は電子は[磁性層/非磁性層]界面で散乱され素子の抵抗は高くなる。
【0075】
これに対して磁化方向が同じ場合は界面での電子の散乱は少なく素子の抵抗は低くなる。従って、固定層3と自由層5の磁化の角度が相対的に変化し、それによって、素子の電気抵抗が変化する。磁気抵抗センサーとしては、図1の自由層5に電極を付けて電流を流し、外部からの磁界により生じた抵抗変化を電気信号として読みとることができる。又図1の基板1の上の構造(磁化回転抑制層2〜自由層5)を上下逆にしても良い。この場合は電極は上部の磁化回転抑制層2と酸化物磁性膜33を取り除き、金属磁性膜32と接する必要がある。なお図1には磁化回転抑制層2を示したが、固定層3自体が容易に磁化回転しない保磁力の大きな硬質磁性膜であれば、磁化回転抑制層2は不要である。
【0076】
なお、図1において磁化回転抑制層2は必ずしも必要ではない。例えば酸化物磁性膜31が保磁力の大きな硬質磁性膜であれば、これと金属磁性膜32が磁気的に結合して、磁化回転抑制層2無しでも固定層としての役割を十分果たし、磁気抵抗効果素子が構成出来る。
【0077】
本発明者らは、磁気抵抗を支配する要因が[磁性層/非磁性層]界面でほぼ決まり、磁性層が金属膜である場合はその膜厚が増加するとシャント効果によりRとΔRが減少することに着目して、図1に示したように非磁性層4と固定層3との界面は金属/金属界面とし、残りの固定層の部分は酸化物磁性膜としてシャント効果によるRとΔRの低減を改善している。これにより素子全体の抵抗Rを高くでき、素子の出力は抵抗変化量ΔRと素子電流Iの積:I×ΔRに比例するため、その出力の向上が可能となる。これに対して、図で酸化物磁性膜31が無い場合、スピンバルブ膜の抵抗Rは小さくなり、特に磁化回転抑制層2が金属膜である場合このRの減少は顕著であり、MR比(磁気抵抗化率):ΔR/Rが同じ値を出せたとしても出力は減少する。なお酸化物磁性膜31と金属磁性膜32の界面は凹凸が0.5nm以下の平坦性を有することが望ましい。平坦性が悪いと磁性層の磁化が平行の場合でも抵抗が高くなりMR比が低下するからである。
【0078】
一般的に磁化回転抑制層が金属膜より酸化膜の場合の方が大きなMR比が得られるが、ピン止めされる磁性膜(固定層)が金属膜の場合はそのピン止め効果が弱い欠点がある。上述のように磁化回転抑制層と接する固定層を酸化物磁性膜とすることによりこの課題は改善される。
【0079】
図2は更に自由層5の表面に平坦性に優れた酸化物非磁性膜6を設けて表面での電子を鏡面反射させ、これにより磁性層の磁化が平行な場合の抵抗をより低くして大きなMR比を得ようとする磁気抵抗効果素子200である。この場合も酸化物非磁性膜6と自由層5の界面は、凹凸が0.5nm以下の平坦性を有することが望ましく、そうでないと十分な反射効果が得られない。
【0080】
なお自由層5の軟磁気特性を劣化させないものであれば上記の酸化膜は平坦性の良好な酸化物磁性膜でも良い。又自由層5の表面に電子を鏡面反射する金属反射膜即ちAg,Au膜を設けても良い。この場合は金属反射膜は厚すぎるとシャント効果でMR比が低下するので、10nm以下、望ましくは3nm以下とするのがよい。
【0081】
この場合も金属反射膜と自由層5の界面は、凹凸が0.5nm以下の平坦性を有することが望ましく、そうでない場合には十分な反射効果は得られない。更にこの金属反射膜の上に上述の酸化物非磁性膜を設けても良い。又図2に示した構造を上下逆にしても良い。
【0082】
上下逆にした場合は電極は上部の磁化回転抑制層2と酸化物磁性膜31を取り除き、金属磁性膜32と接する必要がある。
【0083】
図3は本発明を用いたデュアルスピンバルブ構造の磁気抵抗効果素子300で、一般的に図1の構造に比べて、電子が磁気的散乱を受ける[磁性層/非磁性層]界面が増加するためより大きなMR比が得られるのがその特長である。従来の場合、酸化物磁性膜31が無かったため、素子全体の抵抗Rは減少し、ΔRはさほど増加せず出力的には大きな改善とならない課題があったが、図3に示した構造とすることにより、2つの酸化物磁性膜31で挟まれた中を主に電流は流れるためRの減少は少なく、かつMR比は増大するため大きな出力を得ることが可能となる。この場合は電極は上部の磁化回転抑制層2と酸化物磁性膜31を取り除き、金属磁性膜32と接する必要がある。
【0084】
図4は特殊な場合として固定層3Aが非磁性層4と接する金属磁性膜32と、非磁性膜33を介して磁気的に交換結合をしている二つの酸化物磁性膜31の積層膜より構成されている磁気抵抗効果素子400である。図4において酸化物磁性膜31は非磁性膜33を介して磁気的に交換結合し、外部磁界により容易には磁化回転しない。これと金属磁性膜32が磁気的に結合することにより全体として固定層3Aを構成している。更に酸化物磁性膜31と該非磁性膜33との間に新たな金属磁性膜を設けて、非磁性膜33を介した二つの酸化物磁性膜31の間の交換結合を強化しても良い。
【0085】
なお図には示さなかったが更に基板1と酸化物磁性膜31の間に図1〜図3と同様に磁化回転抑制層2を設けても良い。
【0086】
上述したものは固定層に酸化物磁性膜を用いたものであるが図5〜図8に示したように自由層に酸化物磁性膜を用いても良い。
【0087】
図5Aにおいては自由層5Aは非磁性層4と接する金属磁性膜51と酸化物磁性膜52より構成されており、自由層がすべて金属磁性膜の場合より大きなMR比が得られ、かつ素子500A全体の金属部の総膜厚を低減出来る長所がある。ただしこの場合酸化物磁性膜52は軟磁性を示すものが望ましい。また図では固定層3は単層膜で示したが、図5Bに示したように金属磁性膜32と酸化物磁性膜31との積層膜でも良い。
【0088】
図6の素子600も同様の効果が得られる長所の他、酸化物磁性膜52を2nm以下に薄くすれば、その酸化物磁性膜52の軟磁気特性は図5の場合ほど厳密に必要ではない。
【0089】
いずれの場合も酸化物磁性膜52は抵抗が高いことが望ましい。
【0090】
図7は固定層3が磁化回転抑制層2によりピンニングされているタイプの構成例で、また図8は特に固定層3Bが[金属磁性膜32/酸化物磁性膜31/金属磁性膜32]より成ることを特徴とするものである。図7の場合は磁化回転抑制層2が酸化物の方が大きなMR比が得られ、図8の場合は固定層3Bの中央の酸化物磁性膜31の抵抗が高い方が大きなMR比が得られる。
【0091】
図9は図8の構成の上下を逆とし、自由層は図1〜図3の構成のように単層としたものであるが、自由層5の軟磁気特性を向上させるために下地層7を設けたものである。
【0092】
図10は図8の構成を基本として、自由層に単層膜を用い、上部に酸化物非磁性膜6を設けた構成のものである。又磁化回転抑制層2の特性を向上させるために下地層7を設けている。この場合は上部に設けた酸化物非磁性膜6と自由層5の界面を平坦とすることにより、MR比が大きくなる効果が得られる。
【0093】
図11Aは図10の構成を基本として、磁化回転抑制層2と接する磁性層(金属磁性膜32)ともう一つの磁性層(金属磁性膜32)を非磁性膜33を介して、図4の固定層3Aのように磁気的に交換結合させてものであるが、この場合は図4とは異なり、金属磁性膜32を用いている。非磁性膜33の膜厚を適当な値(例えばRuを用いてその膜厚を0.6〜0.8nm)とすることにより、この交換結合を反強磁性的とすることが可能である。これにより磁化回転抑制層2のピンニング効果を高める効果が得られる。
【0094】
また反強磁性的結合とすることにより、この磁気抵抗効果素子1100をスピンバルブヘッドに用いた場合、固定層3C全体による自由層5へのバイアス磁界を低減出来る効果が得られる。なおこの場合は自由層5の上には図10と異なり酸化物非磁性膜6は無いが、上部にはキャップとして酸化膜を設けても良いし、金属の保護膜を設けても良い。
【0095】
図12は特に自由層5Cが非磁性膜53を介して反強磁性的に交換結合した、膜厚または飽和磁化の異なる2層の強磁性膜(金属磁性膜51)からなるものを用いた素子である。非磁性膜53を介して二つの強磁性膜は反平行となっており、自由層5C全体での磁化は二つの磁性膜の膜厚をそれぞれd1,d2とし、飽和磁化をそれぞれMs1,Ms2とするとMs1・d1−Ms2・d2となり、全体での反磁界係数を小さくすることが出来る。一般に素子幅が小さくなると反磁界係数が大きくなり、磁気抵抗素子やヘッドの場合はその感度が劣化し、メモリ素子の場合は磁化反転の際のワード線の電流を増加させる要因となるが、この構造とすることによりその課題が解決される。
【0096】
図13は図6と図12の素子構造を融合させたもので、自由層5Dの磁性膜の一方に酸化物磁性膜52を挿入し、更に大きなMR比を得ようとするものである。
【0097】
磁化回転抑制層2としては金属膜としては不規則合金系のIr−Mn,Rh−Mn,Ru−Mn,Cr−Pt−Mn等があり、磁界中で成膜することにより磁性膜と交換結合させることができ工程が簡便となる利点がある。これらの膜を用いて素子を形成する場合は図1,2とは上下逆の構成とすることが望ましく、図3では上の磁化回転抑制層2に用いることが望ましい。一方規則合金系のNi−Mn,Pt−(Pd)−Mn等は規則化のための熱処理が必要であるが、熱的安定性に優れている。一般的にはこれらも磁気抵抗効果素子に用いる場合は図1,2とは上下逆の構成が望ましく、図3では上の磁化回転抑制層2に用いることが望ましい。なおPt−Mn系は上下どちらでも使用出来き、ピンニング効果も大きく、かつ熱的にも安定なため望ましい特長を有するが、これら金属膜を磁化回転抑制層2に用いた素子は大きなMR比が得られない欠点があった。本発明はこの欠点を補い磁化回転抑制層2にこれら金属系を用いても大きなMR比を得ることが可能である。
【0098】
磁化回転抑制層2として酸化膜を用いる場合は上述したように(AB)、NiO、α−Fe等の酸化膜化膜があり、これらを用いると大きなMR比が得られ、本発明の構成とすることにより、より大きなMR比が得られる。NiOは熱的安定性にやや課題があるのでα−Feと積層構造にするとより望ましい。(AB)膜はそれ自体の耐熱性に優れるが成膜時に基板加熱が必要である。(AB)においてはAはイオン半径の大きい元素で、La,Pr,Nd,Sm,Y等の希土類元素が望ましく、Bはイオン半径が小さい遷移金属が望ましく、ピン止め効果が高温まである磁化回転抑制層としては特にFeが望ましい。
【0099】
図に示した磁気抵抗素子の自由層5としては、Ni−Co−Fe合金が適している。Ni−Co−Fe膜の原子組成比としては、NiCoFe
0.6≦x≦0.9
0≦y≦0.4
0≦z≦0.3
のNi−richの軟磁性膜、もしくは、Ni’Co’Fe
0≦x’≦0.4
0.2≦y’≦0.95
0≦z’≦0.5
のCo−rich膜を用いるのが望ましい。これらの組成の膜はセンサーやMRヘッド用として要求される低磁歪特性(1×10−5)を有する。
【0100】
自由層5の膜厚としては1nm以上10nm以下がよい。膜厚が厚いとシャント効果でMR比が低下するが、薄すぎると軟磁気特性が劣化する。より望ましくは2nm以上7nm以下がよい。
【0101】
固定層の金属磁性膜32としては、CoまたはCo−Fe,Ni−Fe,Ni−Fe−Co合金等の材料が優れている。特にCoまたはCo−Fe合金が大きなMR比を得るのに良いので非磁性層4との界面にはCo−richを用いることが望ましい。
【0102】
固定層の酸化物磁性膜31としてはMFe(MはFe,Co,Niから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)が望ましい。これらは比較的高温まで強磁性を示し、Fe−richに比べCo,Ni−richは極めて抵抗が高い。又Co−richは磁気異方性が大きい特長があるので、これらの組成比の調整により所望の特性のものが得られる。軟磁気特性や飽和磁化の観点からはFeを主成分とするものが望ましい。
【0103】
又金属磁性膜32と酸化物磁性膜31より成る固定層3、3A、3B、3Cには、磁気異方性が大きく保磁力が大きいCoFeを主成分とするものが望ましい。
【0104】
酸化物磁性膜31の作製法としては、膜厚を0.1nmのオーダーで精密にコントロールする場合はターゲットに酸化物を用い、スパッタ法により成膜することが望ましい。
【0105】
上記の場合、例えばFe、あるいはCoFeを主成分とするターゲットを用いてArガス等の不活性ガスによりスパッタすれば、FeやCoFe膜の精密な膜厚コントロールが可能であり、又スパッタ室内に酸素ガスを流す必要がないためスパッタ室を高真空に保つことが可能である。
【0106】
時としてMFeをターゲットに用いても、出来る膜中のO(酸素)が、少なくなる場合や、ターゲットからOが抜けて、膜中のOが少なくなる場合があるが、この場合はスパッタガスに適当量(通常は不活性スパッタガスとの分圧比で10%以下が望ましい)の酸素ガスを加えてスパッタすれば、所望の膜組成が得られる。
【0107】
固定層3の別の材料としては、金属磁性膜32とその酸化物を酸化物磁性膜31として用いることができる。この場合、酸化物磁性膜として新たにスパッタリングターゲットを用意する必要がなく、生産が容易となる。特に金属磁性膜32として、Co−Fe膜を用いた場合、Co−Fe−O膜は良好な酸化物磁性膜31となる。
【0108】
このとき、酸化物磁性膜31の形成方法としては、種種の方法がある。まず一つはあらかじめ金属磁性膜32を形成しておいて、その後、金属磁性膜32の表面を酸化させる方法である。金属磁性膜32の表面を酸化させる方法は、プラズマ酸化法、自然酸化法、ラジカルガンを用いる方法、イオンガンを用いる方法などがある。プラズマ酸化法とは、真空チャンバー中で酸素ガスを流しながら、金属膜表面と電極との間にrfまたはDCの電位差を与え、膜表面と電極との間にプラズマを発生させ、そのプラズマによって金属膜表面を酸化させるものである。金属膜表面のダメージも大きいが、比較的高抵抗の酸化膜が形成される。
【0109】
自然酸化法は、金属膜を一度大気に暴露するという方法もあるが、大気中では、湿度が一定でない等の問題もあり、より望ましくは、真空チャンバーに大気圧以下の圧力に酸素ガスを導入し、金属膜の表面を酸化する方法がよい。
【0110】
また、ラジカルガンを用いる方法は、ガンの内部の放電によって発生した酸素ラジカルを、金属膜表面に照射して酸化させる方法で、比較的金属膜にダメージ少なく表面だけ酸化させるのに有効な方法である。
【0111】
また、ラジカルではなくイオンを用いても膜表面を酸化することができる。イオン源としては、熱フィラメントを用いるカウフマン型、ECR放電を利用するタイプなどいろいろあるが、いずれも本発明では有効である。この場合、イオンガンで発生した酸素イオンを加速電圧を印可して、金属表面にぶつける。加速電圧としては、あまり高すぎると金属膜のダメージが大きくなるのでせいぜい500V以下、望ましくは200V以下とするのがよい。
【0112】
固定層3の全体の膜厚は1nm以上10nm以下がよい。
【0113】
また、MR比を更に大きくするために、強磁性体層(固定層3または自由層5)と非磁性層4の界面に界面磁性層を挿入するのも有効である。自由層5は軟磁気特性が必要なためNi−richが良いが、非磁性層4と接する自由層5の界面磁性層にはCo−richを用い、その他はNi−richとするれば軟磁気特性を損なうことなく高MR比とすることが可能である。又図3の様な構造では自由層5の中心には上記のNi−richを用い非磁性層4との界面にはCo−richを用いるのが望ましい。自由層5の界面磁性層の膜厚が厚いと、軟磁気特性が劣化しMR比の磁界感度が低下するので、界面磁性層の膜厚は2nm以下、望ましくは1.8nm以下とする必要がある。またこの界面磁性層が有効に働くためには、少なくとも0.2nm以上の膜厚は必要であり、望ましくは0.8nm以上の膜厚がよい。界面磁性層の材料としては、CoまたはCo高濃度のCo−Fe合金が優れている。
【0114】
図4や図11の非磁性膜33及び図12,13の非磁性膜53には磁性層間の交換結合を生じやすい非磁性金属膜が望ましく、Cu,Ag,Auでも良いが、界面の熱的安定性からはRu,Rh,Ir,Re等のほうがより望ましく、特にRuが優れている。更図4で、酸化物磁性膜31と該非磁性膜33との間に設ける場合の金属磁性膜としては、Co−richの金属磁性膜が望ましい。この金属磁性膜の挿入により非磁性膜33を介した二つの酸化物磁性膜31の間の交換結合を強化することが可能である。
【0115】
自由層5と固定層3の間の非磁性層4としては、Cu,Ag,Au,Ruなどがあるが、特にCuが優れている。非磁性層4の膜厚としては、磁性層間の相互作用を弱くするために少なくとも0.9nm以上は必要である。また非磁性層4が厚くなるとMR比が低下してしまうので膜厚は10nm以下、望ましくは3nm以下とするべきである。又この非磁性層4の膜厚が3nm以下の場合は図1〜図3の構成において、基板1からこの非磁性層4までの各層の平坦性は重要で、平坦性が悪いと、非磁性層4で磁気的に分離されているはずの二つの磁性層(金属磁性膜32と自由層5)の間に磁気的結合が生じてMR比の劣化と感度の低下が生ずる。従って磁性層/非磁性層の界面の凹凸は0.5nm以下であることが望ましい。
【0116】
基板1としては、ガラス、MgO、Si、Al2O3−TiC基板等表面の比較的平滑なものを用いる。MRヘッドを作製する場合には、Al2O3−TiC基板が適している。
【0117】
なお以上述べた各層の構成方法としては、スパッタリング法が適している。スパッタリング法としてはDCスパッタリング法、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法などがあるが、いずれの方法でも本発明の磁気抵抗効果素子を作製できる。
【0118】
以上述べたような本発明の磁気抵抗効果素子を用いて、磁気抵抗効果型ヘッドを構成することができる。図14AにMRヘッドの一例としてハード膜バイアス型のMRヘッド1400Aの構成の一例を示す。図14AではMR素子9は上部および下部のシールドギャップ11、14に挟まれるように構成されている。シールドギャップ材としては、Al、SiO、AlN等の絶縁膜が使われる。
【0119】
上部および下部シールド10、15としてはNi−Fe(−Co),Co−Nb−Zr, Fe−Ta−N合金などの軟磁性膜が使われる。Ni−Fe(−Co)系はメッキ法で作製でき、Co−Nb−Zr系は耐食性に優れ、異方性の制御性が良い。Fe−Ta−N系は高温熱処理に強く、上述の(AB)系のように基板温度を高温で成膜する必要のある磁化回転抑制層を使用する場合有効である。
【0120】
MR素子9の磁区制御には、Co−Pt合金等のハード膜より成るハードバイアス部12のバイアス磁界を用いる。MR素子9はシールドギャップ11、14によってシールド10、15等と絶縁されており、リード部13を介して電流を流すことにより、MR素子9の抵抗変化を読みとる。
【0121】
将来のハードディスクドライブの高密度化を考慮すると、記録波長を短くする必要性があり、そのためには図14Aに示したシールド間の距離dを短くする必要がある。そのためには図14Aから明らかな様に、MR素子9を薄くする必要があり、少なくとも20nm以下とするのが望ましい。酸化物の磁化回転抑制層2は、絶縁膜であるので、実質的にMR素子9と言うよりは下部シールドギャップ11の一部ととらえることができ、この目的に適した構造といえる。
【0122】
またMR素子9においては、自由層の磁化回転時にバルクハウゼンノイズの発生を押さえるために、図1,2、3、4の自由層5の磁化容易軸は、検知すべき信号磁界方向に垂直となるように、固定層3の磁化容易軸は検知すべき磁界方向と平行になるように構成されているのがよい。
【0123】
図14Aに示したものはハードバイアス部12を有するものであるが、図14Bに示すものはこれに代わって反強磁性バイアス部12Aを有するものである。高密度化にともないシールドギャップは狭くなり、ハードバイアス部12からの磁界がシールド部に吸収されMR素子9の自由層5へのバイアス磁界が弱くなる問題があるが、この反強磁性バイアス部12Aを有する構造ではこの課題が解決される長所がある。ただしこの場合はMR素子9の反強磁性膜と反強磁性バイアス部12Aの反強磁性膜を異なるものとした方が素子1400Bは形成しやすく、例えばMR素子9にはPtMn系を反強磁性バイアス部12AにはIrMn系等を使用すれば良い。
【0124】
なお、以上は従来の横型GMRヘッドについて説明したが、本発明は縦型のGMRヘッドに対しても有効である。横型GMRヘッドが検知する磁界に対して電流方向が垂直であるのに対して、縦型GMRヘッドは磁界に対して平行に電流を流すのを特徴とする。
【0125】
本発明の磁気ヘッドの一例として図14A、14Bのシールド型とは別なヨーク型ヘッド1500を図15に示す。図15において16はMR素子9に検知すべき信号磁界をガイドする軟磁性膜で構成されたヨークで、通常このヨークは導電性の金属磁性膜を用いるため、MR素子9とショートしないように絶縁膜17が設けられる。又このヘッド1500はヨーク16を用いるため感度では図14A、14Bのタイプのヘッド1400A、1400Bより劣るが、図14A、14Bのようにシールドギャップ中にMR素子9を置く必要がないため超狭ギャップ化では有利である。
【0126】
これらの磁気ヘッド1400A、1400B、1500は再生感度に優れているため、これら磁気ヘッドを用いてHDD等の磁気記録装置をすると、40Gb/inchを越えるような高密度な磁気記録装置が可能となる。
【0127】
図17は本発明の磁気抵抗効果素子を用いたメモリ素子の一例である。メモリ素子1700は本発明の[自由層/非磁性層/固定層]を有する磁気抵抗効果素子9、磁気抵抗効果素子9とは絶縁された情報記録用導体線(ワード線)22、磁気抵抗効果素子9と電極21によりつながれた情報読出用導体線(センス線)23を有する。図では本発明の磁気抵抗効果素子9の膜面の上下に電極21を有する構造のものを示しているが磁気抵抗効果素子9の左右に電極を有する構造としても良い。又固定層3の下に磁化回転抑制層を付けても良い。
【0128】
図においてワード線22に電流を流し、これにより発生する磁界により、磁気抵抗効果素子9の自由層5の磁化を反転して情報を書き込みを行う。再生は再度ワード線22に電流を流して自由層5の磁化を反転し、その時の抵抗変化をセンス線23により情報の読み出しを行う。この場合は固定層3の磁化反転を行わず、自由層5の磁化反転のみを行い、固定層3との磁化の方向が平行か反平行かで磁気抵抗効果素子9の抵抗が異なることより”1”,”0”状態の識別を行う。
【0129】
上記の場合は情報読出の際に情報が消される破壊読出であるが、ワード線22に電流を流して、固定層3も自由層5も磁化反転を起こす磁界を発生させ、固定層3に情報を記録し、読み出しはワード線22に上記より弱い電流を流して、固定層3の磁化反転は起こさず自由層5の磁化反転のみ起こす磁界を発生して自由層5の磁化反転のみを起こし、これに伴う抵抗変化により” 1”,”0”状態を識別すれば非破壊読み出しが可能である。ただしこの場合固定層3用と自由層5用の異なる反転磁界の設定が必要なため、動作はやや複雑となる。
【0130】
これら磁気抵抗メモリ素子1700を複数個マトリックス状に配置し、ワード線を各MR素子9上で直交する配置として、ワード線22から発生する合成磁界によりMR素子9への情報の書き込み、読み出しを行えば、所謂MRAMが構成される。このMRAMは従来の半導体DRAMと異なり、不揮発性で、ソフトエラーも無く次世代固体メモリとして有望である。
【0131】
【実施例】
本発明の磁気抵抗効果素子および磁気抵抗効果型ヘッド、磁気抵抗効果メモリ素子について以下具体的な実施例を用いて説明する。
【0132】
(実施例1)
多元スパッタリング装置を用いて図1に示した構成から磁化回転抑制層2の無い磁気抵抗効果素子を作製した。基板1にはSiを用い、非磁性層4用としてはCuを、自由層5用にはNi0.68Fe0.20Co0.12を主に用い、固定層3の金属磁性膜32用としてCo0.9Fe0.1の合金ターゲットを用いた。又固定層3の酸化物磁性膜31用にはCoFeを用いた。真空チャンバー内を1×10−8Torr以下まで排気した後、Arガスを約0.8mTorrになるように流しながら、ガラス基板上に、スパッタリング法を用いて、下記の実施例サンプル1Aの構成の磁気抵抗効果素子を作製した。又比較のためCoFeを用いない従来例試料も作製した。
【0133】
実施例サンプル1A NiFeCo(5)/Cu(2))/CoFe(2)/CoFe2O4(5)
(かっこ内は各層の膜厚をnm単位で示したものである)
このようにして作製した磁気抵抗効果素子のMR特性を室温で最高200kA/mの磁界を印可して、直流4端子法で評価した。その結果MR比が16%という高い値を得ることに成功した。一方CoFeを用いない従来例試料は特性のばらつきが大きく、MR比も10%を越えるものは得られなかった。以下MR比は%の値で示すこととする。
【0134】
(実施例2)
多元スパッタリング装置を用いて図1に示した構成の磁気抵抗効果素子100を作製した。基板1にはSiを用い、磁化回転抑制層2用のターゲットには焼結したNiO、α−Fe、ABO(A=La;B=Fe)を、又合金ターゲットとしてPt0.5Mn0.5、Ir0.2Mn0.8を用いた。
【0135】
非磁性層41用としてはCuを、自由層5用にはNi0.68Fe0.20Co0.12を主に用い、自由層5の界面磁性膜用と固定層3の金属磁性膜32用としてCo0.9Fe0.1の合金ターゲットを用いた。又固定層3の酸化物磁性膜31用にはFeを用いた。真空チャンバー内を1×10−8Torr以下まで排気した後、Arガスを約0.8mTorrになるように流しながら、ガラス基板上に、スパッタリング法を用いて、下記の構成の磁気抵抗効果素子を作製した。又比較のためFeを用いない試料も作製した(従来例サンプルA〜D)
従来例サンプルA NiFeCo(3)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(2.5)/PtMn(20)
従来例サンプルB NiFeCo(3)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(2.5)/IrMn(15)
従来例サンプルC NiO(10)/α−Fe(20)/CoFe(2.5)/Cu(2)/CoFe(1)/NiFeCo(3)
従来例サンプルD LaFeO(40)/CoFe(2.5)/Cu(2)/CoFe(1)/NiFeCo(3)
実施例サンプル1 NiFeCo(3)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/Fe(1.5)/PtMn(20)
実施例サンプル2 NiFeCo(3)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/Fe(1.5)/NiFeCo(3)
実施例サンプル3 NiO(10)/α−Fe(20)/Fe(1.5)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/NiFeCo(3)
実施例サンプル4 LaFeO(40)/Fe(1.5)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/NiFeCo(3)
ただし従来例サンプルA、B、実施例サンプル1,2は図1とは上下逆の構造である。また上記試料ではNiFeCo(3)/CoFe(1)が自由層5に対応し、従来例サンプルA〜DではCoFe(2.5)が固定層3に対応し、実施例サンプル1〜4ではCoFe(1)/Fe(1.5)が固定層3に対応する。
【0136】
このようにして作製した磁気抵抗効果素子のMR特性を室温で最高200kA/mの磁界を印可して、直流4端子法で評価した。素子のピン止め磁界をHpとし、測定結果を(表1)に示した。
【0137】
【表1】
Figure 0003601690
【0138】
(表1)に示した実験結果より従来例サンプルA〜Dが本発明構造とすることによりMR比が増加し、酸化物磁化回転抑制層2を用いたもののHpが改善されていることがわかる。
【0139】
(実施例3)
実施例1と同様に、多元スパッタリング装置を用い図2に示した構造の磁気抵抗効果素子200を作製した。酸化物非磁性膜6はAlターゲットを用い、ArとO2の混合ガスによる反応スパッタによりAl膜を作製した。図2に示すような磁気抵抗効果素子200を作製した。
【0140】
実施例サンプル5 PtMn(20)/Fe(1.5)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/NiFeCo(3)/Al(2)
実施例サンプル6 Al(2)/NiFeCo(3)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/Fe(1.5)/IrMn(15)
ただし実施例サンプル6は図2とは逆の構造となっている。このようにして作製した磁気抵抗効果素子のMR特性を室温で最高200kA/mの磁界を印可して、直流4端子法で評価した。素子のピン止め磁界をHpとし、測定結果を表2に示した。
【0141】
【表2】
Figure 0003601690
【0142】
(表2)の結果と表1の実施例サンプル1、2を比較するとMR比が改善されていることがわかる。
【0143】
(実施例4)
多元スパッタリング装置を用いて図5B及び図7に示した構成の磁気抵抗効果素子500A、700を作製した。基板1にはSiを用い、ターゲットとして非磁性層4用としてはCuを、自由層5A、5Bの金属磁性膜51用にはNi0.68Fe0.20Co0.12を、酸化物磁性膜52用にはFeを用いた。
【0144】
図5Bの固定層3用にはCo0.9Fe0.1とCoFeの積層膜を用い、図7の固定層3D用にCo0.9Fe0.1を、また磁化回転抑制層2用にα−Feを用いた。
【0145】
真空チャンバー内を1×10−8Torr以下まで排気した後、Arガスを約0.8mTorrになるように流しながら、ガラス基板上に、スパッタリング法を用いて、下記の構成の磁気抵抗効果素子500B、700を作製した。
【0146】
実施例サンプル7 CoFe(50)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(4)/Fe(1)
実施例サンプル8 α−Fe(50)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(2)/Fe(1)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(3)
このようにして作製した磁気抵抗効果素子500B、700のMR特性を室温で最高200kA/mの磁界を印可して、直流4端子法で評価した。素子のピン止め磁界をHpとし、測定結果を(表3)に示した。
【0147】
【表3】
Figure 0003601690
【0148】
(表3)に示したHpの特性を更に改善するには固定層3をRu等の非磁性膜を介して交換結合した磁性膜を用いることが有効である。
【0149】
この場合酸化物磁性膜31の膜厚を低減することも可能となる。又上記実施例では感度の観点から自由層5BにNiFeCo膜を用いているが、CoFeを用いれば更に大きなMR比が得られる。
【0150】
この観点から更にタ−ゲットにRuを用いて以下の構成の磁気抵抗効果素子を同様に作製した。
【0151】
実施例サンプル9 α−Fe(30)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/CoFe(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(4)/Fe(1)このようにして作製した磁気抵抗効果素子のMR特性を室温で最高200kA/mの磁界を印可して、直流4端子法で評価した。素子のピン止め磁界をHpとし、測定結果を(表4)に示した。
【0152】
【表4】
Figure 0003601690
【0153】
このようにMR比もHpも更に改善できることがわかった。
【0154】
(実施例5)
多元スパッタリング装置を用いて図7及び図8に示した構成の磁気抵抗効果素子700、800を作製した。基板1にはSiを用い、ターゲットとして非磁性層4用としてはCuを、自由層5Bの金属磁性膜51用にはNi0.8Fe0.2とCo0.9Fe0.1を、酸化物磁性膜52用にはFeを用いた。図7の固定層3D用にはCo0.9Fe0.1を、磁化回転抑制層2にはα−Feを用い、図8の固定層3B用にCo0.9Fe0.1とFeを、磁化回転抑制層2用にPtMnを、またPtMnと基板1の間のバッファ層としてTaを用いた。真空チャンバー内を1×10−8Torr以下まで排気した後、Arガスを約0.8mTorrになるように流しながら、ガラス基板上に、スパッタリング法を用いて、下記の構成の磁気抵抗効果素子を作製した。
【0155】
実施例サンプル10 α−Fe(50)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(1)/Ni0.8Fe0.2(3)
実施例サンプル11 Ta(5)/PtMn(15)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(5)
実施例サンプル12 Ta(5)/PtMn(15)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(1) /Ni0.8Fe0.2(3)
このようにして作製した磁気抵抗効果素子のMR特性を室温で最高200kA/mの磁界を印可して、直流4端子法で評価した。素子のピン止め磁界をHpとし、測定結果を(表5)に示した。
【0156】
【表5】
Figure 0003601690
【0157】
(実施例6)
多元スパッタリング装置を用い図4に示した構造の磁気抵抗効果素子400を作製した。
【0158】
基板1にはSiを用い、非磁性層4用としてはCuを、自由層5用にはNi0.68Fe0.20Co0.12を主に用い、固定層3Aの金属磁性膜32用としてCo0.9Fe0.1の合金ターゲットを用いた。又固定層3Aの酸化物磁性膜31用にはFeを用いた。真空チャンバー内を1×10−8Torr以下まで排気した後、Arガスを約0.8mTorrになるように流しながら、ガラス基板上に、スパッタリング法を用いて、下記の構成の磁気抵抗効果素子を作製した。
【0159】
実施例サンプル13 NiFeCo(4)/Cu(2)/CoFe(2)/Fe(2)/Ru(0.7)/Fe(3)
実施例サンプル14 NiFeCo(4)/Cu(2)/CoFe(2)/Fe(2)/CoFe(2)/Ru(0.7)/CoFe(2)/Fe(3)
このようにして作製した磁気抵抗効果素子のMR特性を室温で最高200kA/mの磁界を印可して、直流4端子法で評価した。測定結果を(表6)に示した。
【0160】
【表6】
Figure 0003601690
【0161】
大きなMR比が両者で、また実施例サンプル14ではより大きなHpが得られることがわかった。
【0162】
実施例サンプル13、14のFe(3)に更に磁化回転抑制層としてPtMnを付加することによりHpは、それぞれ約60,80kA/mと更に大きくなることがわかった。
【0163】
(実施例7)
次に本発明の実施例サンプル1、5、10の磁気抵抗効果素子をMR素子9として用いて、図14Aに示すようなMRヘッド1400Aを構成して、特性を評価した。この場合、基板としてはAl−TiC基板を用い、シールド10、15材にはNi0.8Fe0.2合金を用い、シールドギャップ11、14にはAlを用いた。
【0164】
またハードバイアス部12にはCo−Pt合金を用い、リード部13をAuで構成した。
【0165】
また、自由層5の磁化容易方向が検知すべき信号磁界方向と垂直になるように、固定層3の磁化容易軸の方向が検知すべき信号磁界方向と平行になるように磁性膜に異方性を付与した。この方法は、磁気抵抗効果素子を作成後、まず、磁界中280℃で熱処理して、固定層3の容易方向を規定した後、更に、200℃で熱処理して、自由層5の容易軸を規定して行った。
【0166】
これらのヘッドに、センス電流として直流電流を流し、約3kA/mの交流信号磁界を印加してヘッドの出力を評価し、本発明のMR素子を用いたMRヘッドの出力を、従来例サンプルAの磁気抵抗効果素子をMR素子部9に用いて同様に試作したヘッドの出力と比較した。その結果を以下に示す。
【0167】
【表7】
Figure 0003601690
【0168】
この様に本発明磁気ヘッドは従来のものに比較して大きな出力が得られることがわかった。
【0169】
(実施例8)
実施例1と同様の方法で、図3に示すデュアル構造の磁気抵抗素子300を作成した。
【0170】
実施例サンプル15 PtMn(20)/Fe(1.5)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/NiFeCo(3)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/Fe(1.5)/PtMn(20)
実施例サンプル16 NiO(10)/α−Fe(20)/Fe(1.5)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/NiFeCo(3)/CoFe(1)/Cu(2)/CoFe(1)/Fe(1.5)/IrMn(15)
以上の磁気抵抗効果素子に関して、実施例1と同様の方法でMR効果を測定した。
【0171】
その結果を表8に示す。
【0172】
【表8】
Figure 0003601690
【0173】
表より極めて大きなMR比が得られることがわかる。
【0174】
(実施例9)
上記の実施例サンプル15のMR素子を用いて図15に示したヨーク型ヘッド1500を作製した。この場合図15の絶縁膜17にはプラズマ酸化法で作製した厚さ2nmのAl−O超薄膜を用いた。又ヨーク16には高透磁率のCoNbZr系アモルファス合金膜を用いた。このようにして作製したヘッドの出力と実施例1の表1の従来例サンプルAのMR素子を用いたヘッド出力を比較したところ約+6dBの出力アップが実現されることがわかった。
【0175】
(実施例10)
実施例1と同様のスパッタリング装置を用いて、図9に示す磁気抵抗効果素子900を作成した。この場合、基板1には表面に約100nmの熱酸化膜を有するSiを用い、下地層7としてTa、自由層5および固定層3Bの金属磁性膜32としてCo0.9Fe0.1、非磁性層4としてCu、磁化回転抑制層2として、Pt0.5Mn0.5膜を用いた。真空チャンバー内を1×10−8Torr以下となるまで排気した後、排気しながらArガスを約0.8mTorrになるように流量を調節した。まず基板1上にTa(5nm)膜を形成した後、第1の工程として、自由層5Co0.9Fe0.1(2nm)、非磁性層4Cu(2nm)、金属磁性膜32Co0.9Fe0.1(3nm)をスパッタ法で順次形成した。次に、第2の工程として、いったんスパッタ放電を停止させ、Arガスに加えて、約1/8の酸素ガスを流し、ラジカルガンに約100Wの電力を投入して、酸素ラジカルを発生させ、それを金属膜の表面に照射して、金属磁性膜の表面約1nmを酸化させて酸化物磁性膜31を形成した。
【0176】
次に、第3の工程として、いったんガスフローを停止して放電を停止した後、再びArガスを導入して金属磁性膜32としてCo0.9Fe0.1(2nm)をスパッタリング法で形成した。
【0177】
さらに、第4の工程として、磁化回転抑制層2としてPt0.5Mn0.5(20nm)膜をスパッタリング法で形成した。最後に表面に酸化物非磁性膜6としてTa酸化膜を形成した。このあと、試料は更に真空中で1kOeの磁界を印加しながら、260℃の温度に3時間保持した。また、従来例サンプルEとして、上記第2の工程がない以外は全く実施例サンプル17と同様に作成した。
【0178】
実施例サンプル17 Ta(5)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(2)/Co−Fe−O(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Pt0.5Mn0.5(20)/Ta−O(3) (Co−Fe−Oの膜厚は酸化する前で示してある)
従来例サンプルE Ta(5)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(5)/Pt0.5Mn0.5(20)/Ta−O(3)
なお、以上は金属磁性膜32を酸化させる方法として、ラジカルガンを用いる方法を用いた実施例サンプル17について説明したが、その他は全く同様にして酸化物を作成する手段だけ他の方法を用いた膜も作成した。
【0179】
自然酸化法を用いた場合には、第1の工程までは全く実施例サンプル17と同様の方法で作成し、その後、チャンバー内をいったん排気した後、第2の工程としてチャンバー内が約20Torrになるまで酸素ガスを導入して、適当な時間保持して実施例サンプル17と同様、Co0.9Fe0.1膜の表面1nmを酸化させた。次に真空チャンバーを再び1×10−8Torr以下となるまで排気して、第3,第4の工程、熱処理を経て、実施例サンプル17と全く同じ構成の実施例サンプル18を作成した。
【0180】
プラズマ酸化法を用いる場合には、実施例サンプル17と同様の方法で作成し、その後、第2の工程としてチャンバー内をいったん排気した後、3mTorr程度になるまで酸素ガスを導入し、基板ホルダー側に0.01W/cmのrf電力を印加して金属磁性膜表面を酸化させた。次に真空チャンバーを再び1×10−8Torr以下となるまで排気して、第3,第4の工程、熱処理を経て、実施例サンプル17と全く同じ構成の実施例サンプル19を作成した。
【0181】
また、イオンガンを用いる方法としては、イオンガンとしてECRプラズマを使用したイオンガンを用いた。第1の工程までは全く実施例サンプル17と同様の方法で作成し、その後、チャンバー内をいったん排気した後、第2の工程として、イオンガンに2GHzのマイクロ波を導入し、酸素ガスを4sccm, Arガスを0.5sccm流して、イオンガン中にプラズマを発生させた。このプラズマから約50Vの加速電圧で酸素ガスを引きだして、金属磁性膜表面に照射した。次に真空チャンバーを再び1×10−8Torr以下となるまで排気して、第3,第4の工程、熱処理を経て、実施例サンプル17と全く同じ構成の実施例サンプル20を作成した。
【0182】
次に、酸化物磁性膜を形成する方法として反応性スパッタリング法を用い、その他は実施例サンプル17と同じ方法で作成した膜も作成した。この場合は、第1の工程で金属磁性膜Co0.9Fe0.1(2nm)を作成した後、チャンバー内に酸素ガスとArガスを8:2の割合で0.8mTorrになるまで導入してCo0.9Fe0.1(2nm)をスパッタリングしてCo−Fe−O膜をほぼ実施例サンプル17と同じ厚さになるように形成した。その後は実施例サンプル17と同様に第3,第4の工程、熱処理を経て、実施例サンプル17と全く同じ構成の実施例サンプル21を作成した。
【0183】
このようにして作成した本発明の磁気抵抗効果素子を、室温で400kA/mの磁界を印可して磁気抵抗効果を評価した。その結果を表9に示す。
【0184】
【表9】
Figure 0003601690
【0185】
(表9)からわかるように、本発明の実施例サンプル17〜21は従来例サンプルEに比べてHpでは遜色なくMR比が大きいことが分かる。
【0186】
(実施例11)
実施例10と同様のスパッタリング装置を用いて、図10に示す磁気抵抗効果素子1000を作成した。図10は、図9で自由層5/非磁性層4/固定層3B/磁化回転抑制層2の積層順を逆にした以外は同じである。
【0187】
また、作成方法に関しても、工程の順番が変わるだけで、図9と同様の方法で作成できる。本実施例の場合、基板1として熱酸化膜付きのSi,自由層5としてNi0.8Fe0.2/Co積層膜、固定層3BとしてCo0.8Fe0.2/Co−Fe−O/Co0.8Fe0.2膜、磁化回転抑制層2としてPt0.5Mn0.5膜を用いて、以下の構成の磁気抵抗効果素子を作成した。なお、この場合、実施例サンプル17と同様にラジカルガンを使う方法で、Co−Fe−O膜を形成した。このようにして作成した実施例サンプル22と比較のために酸化物磁性膜31のない従来例サンプルFを実施例10と同様の方法で評価した。
【0188】
その結果を表10に示す。
【0189】
実施例サンプル22 Ta(5)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.8Fe0.2(2)/Co−Fe−O(1)/Co0.8Fe0.2(2)/Cu(2)/Co(0.5)/Ni0.8Fe0.2(3)/Ta−O(3) (Co−Fe−Oの膜厚は酸化する前で示してある)
従来例サンプルF Ta(5)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.8Fe0.2(5)/Cu(2)/Co(0.5)/Ni0.8Fe0.2(3)/Ta−O(3)
【0190】
【表10】
Figure 0003601690
【0191】
(表10)からわかるように、本発明の実施例サンプル22は従来例サンプルFに比べてMR比が大きいことが分かる。
【0192】
(実施例12)
実施例10と同様のスパッタリング装置を用いて、図11Aに示す磁気抵抗効果素子1100Aを作成した。図11Aは、固定層3Cがいわゆる積層フェリ(synthetic antiferromagnet)構造をしている場合である。図11Aで、非磁性膜33には通常Ruが用いられる。非磁性膜33が0.4nm−1nmの膜厚の時、これに接した金属磁性膜32に反強磁性的な交換結合が生じる。この交換結合磁界は非常に強いので、結局固定層3Cの反転磁界は非常に大きくなる。図11Aの磁気抵抗効果素子1100Aの構成は、基本的に図9に比べて非磁性膜33が増えるだけなので、その製造方法も工程が一部増加するだけで、本発明は有効である。本実施例の場合、基板1として熱酸化膜付きのSi,自由層5としてNi0.8Fe0.2/Co積層膜、固定層3CとしてCo0.9Fe0.1(2)/Co−Fe−O(1)/Co0.9Fe0.1(2)膜、磁化回転抑制層2としてIr0.2Mn0.8膜またはα−Fe膜を用いて、以下の構成の磁気抵抗効果素子を作成した。
【0193】
なお、この場合、実施例サンプル17と同様にラジカルガンを使う方法で、Co−Fe−O膜を形成した。このようにして作成した実施例サンプル23、24と比較のために酸化物磁性膜32のない従来例サンプルGを実施例10と同様の方法で評価した。その結果を(表11)に示す。
【0194】
実施例サンプル23 Ta(3)/Ni0.8Fe0.2(5)/Ir0.2Mn0.8(10)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/Co−Fe−O(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co(0.5)/Ni0.8Fe0.2(3)/Ta−O(3)
(Co−Fe−Oの膜厚は酸化する前で示してある)
実施例サンプル24 α−Fe(20)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/Co−Fe−O(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co(0.5)/Ni0.8Fe0.2(3)/Ta−O(3)
従来例サンプルG Ta(3)/Ni0.8Fe0.2(5)/Ir0.2Mn0.8(10)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co(0.5)/Ni0.8Fe0.2(3)/Ta−O(3)
【0195】
【表11】
Figure 0003601690
【0196】
(表11)からわかるように、本発明の実施例サンプル23、24は従来例サンプルGに比べてMR比が大きいことが分かる。また、磁化回転抑制層2にα−Fe膜を用いた場合には、Hpはやや小さくなるが、より大きなMR比が得られる。
【0197】
(実施例13)
次に図10に示した構成の磁気抵抗効果素子1000を、実施例1と同様の方法で、作成した。ただし、この場合自由層5に非磁性層4(この場合Ru)を介して反強磁性的に交換結合した膜厚または飽和磁化の異なる2つの強磁性層(積層フェリ自由層)を用いる。積層フェリ自由層は自由層の膜厚を、実質的に2つの自由層の膜厚(磁化)の差に下げる効果があり、ヘッドを作成した場合高感度化に効果がある。本実施例では自由層5の強磁性膜としてCo0.9Fe0.1膜を用いた。作成した膜の構成を以下に示す。この場合酸化物磁性膜31としFe膜を用い、固定層3Bの金属磁性膜32にCo0.9Fe0.1(2)膜、磁化反転抑制層2としてPt0.5Mn0.5(20)膜、非磁性層4としてCuを用いた。
【0198】
実施例サンプル25 Ta(5)/Pt0.5Mn0.5(20)/Co0.9Fe0.1(1)/Fe(1.5)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(1)/Co0.9Fe0.1(3)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(4)/Ta−O(3)
実施例サンプル26 Ta(5)/Pt0.5Mn0.5(20)/Co0.9Fe0.1(1)/Fe(1.5)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(3)/Ta−O(3)
従来例サンプルH Ta(5)/Pt0.5Mn0.5(20)/Co0.9Fe0.1(3)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(5)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(4)/Ta−O(3)
MR素子9として用いて、図14Aに示すようなMRヘッド1400Aを構成して、特性を評価した。この場合、基板としてはAl−TiC基板を用い、シールド10、15材にはNi0.8Fe0.2合金を用い、シールドギャップ11、14にはAl2O3を用いた。
【0199】
またハードバイアス部12にはCo−Pt合金を用い、リード部13をAuで構成した。
【0200】
また、自由層5の磁化容易方向が検知すべき信号磁界方向と垂直になるように、固定層3の磁化容易軸の方向が検知すべき信号磁界方向と平行になるように磁性膜に異方性を付与した。この方法は、磁気抵抗効果素子を作成後、まず、磁界中280℃で熱処理して、固定層3の容易方向を規定した後、更に、200℃で熱処理して、自由層5の容易軸を規定して行った。
【0201】
これらのヘッドに、センス電流として直流電流を流し、約3kA/mの交流信号磁界を印加してヘッドの出力を評価し、本発明のMR素子を用いたMRヘッドの出力を、従来例サンプルAの磁気抵抗効果素子をMR素子部9に用いて同様に試作したヘッドの出力と比較した。その結果を以下に示す。
【0202】
【表12】
Figure 0003601690
【0203】
この様に本発明磁気ヘッドは従来のものに比較して大きな出力が得られることがわかった。
【0204】
(実施例14)
次に図11Aに示した構成の磁気抵抗効果素子1100Aを、実施例1と同様の方法で、作成した。本実施例では自由層5の強磁性膜としてCo0.9Fe0.1膜を用いた。作成した膜の構成を以下に示す。この場合酸化物磁性膜31としFe膜を用い、金属磁性膜32にCo0.9Fe0.1膜、磁化反転抑制層2としてPt0.5Mn0.5膜、非磁性層4としてCuを用い、交換結合用非磁性膜33としてRuを、保護膜用としてTaを用いた。作製した膜の構成は以下のとおりである。
【0205】
実施例サンプル27 Ta(5)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(1.2)/Co0.9Fe0.1 (2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(2)/Ta−O(3)
実施例サンプル28 Ta(3)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1 (2)/Fe(1)/Co0.9Fe0.1 (2)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(2)/Ta−O(3)
従来例サンプルI Ta(5)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.9Fe0.1 (2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1 (2)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2) /Co0.9Fe0.1(2)/Ta−O(3)
このようにして作製したMR素子を用いて、実施例13と同様にして磁気ヘッドを作製した。
【0206】
これらのヘッドに、センス電流として直流電流を流し、約3kA/mの交流信号磁界を印加して両ヘッドの出力を評価し、本発明のMR素子を用いたMRヘッドの出力を、従来例サンプルIの磁気抵抗効果素子をMR素子9に用いて同様に試作したヘッドの出力と比較した。その結果を(表13)に示す。
【0207】
【表13】
Figure 0003601690
【0208】
このように本発明磁気ヘッドは従来のものと比較して大きな出力が得られることがわかった。
【0209】
この磁気ヘッド1400A、1400B、1500を用いて図16に示した構成のHDDドライブ1600を試作したところ、20Gb/inch以上の記録密度が達成可能なことがわかった。
【0210】
(実施例15)
次に実施例13と14の構造を併せ持つ図11Aに示した構成の磁気抵抗効果素子1100Aを作成した。本実施例では自由層5の強磁性膜としてNi0.68Fe0.2Co0.12膜を用い、酸化物磁性膜31としてはFe0.8Al0.2,Fe0.8Si0.2をターゲットに用いて反応スパッタでFeAlO, FeSiO膜としたものを用い、金属磁性膜32にCo0.9Fe0.1膜、磁化反転抑制層2としてPt0.5Mn0.5膜、非磁性層4としてCu、交換結合用非磁性膜33としてRu、保護膜用としてTaを用いた。作成した膜の構成を以下に示す。
【0211】
実施例サンプル29 Ta(3)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.9Fe0.1(3)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/FeAlO(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2.2)/NiOFeCo(3)/Ru(0.7)/NiFeCo(2)/Ta(3)
実施例サンプル30 Ta(3)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.9Fe0.1(3)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/FeSiO(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2.2)/NiOFeCo(3)/Ru(0.7)/NiFeCo(2)/Ta(3)
図17を参照して、この様にして作成した磁気抵抗効果素子を0.5μm角にパターニングして、膜の左右にCu/Ptから成る電極21を付けセンス線23を構成し、これらをAlで絶縁した後、その上にCuより構成されるワード線22を設けて磁気抵抗効果メモリー素子1700を作成した。
【0212】
ワード線22に電流を流してNiFeCo/Ru/NiFeCoより成る自由層5を磁化反転して情報を書き込んた。次にワード線22に同じ方向に電流を流し、センス線23の抵抗変化を測定しても変化は観測されなかったが、電流を逆方向に流したところセンス線23には明確な抵抗変化が観測された。このように本発明の磁気抵抗素子9を用いてメモリー素子1700が構成出来ることがわかった。
【0213】
(実施例16)
次に自由層5Dにも酸化物磁性膜52を挿入した図13に示した構成の磁気抵抗効果素子1300を基板上に電極用のCu/Pt膜を付けた後作成した。本実施例では自由層5Dの金属磁性膜51としてNi0.68Fe0.2Co0.12膜を用い、酸化物磁性膜52にはFe膜、金属磁性膜32にCo0.9Fe0.1膜、磁化反転抑制層2としてPt0.5Mn0.5膜、非磁性層4としてCuを用い、交換結合用非磁性膜33としてRuを、保護膜用としてTaを、上部電極用としてPtを用いた。作成した膜の構成を以下に示す。
【0214】
実施例サンプル31 Cu(100)/Pt(10)/Ta(3)/Pt0.5Mn0.5(15)/Co0.9Fe0.1(3)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/Fe(0.6)/Co0.9Fe0.1(2)/Cu(2.2)/NiFeCo(2)/Fe(0.6)/NiFeCo(1)/Ru(0.7)/NiFeCo(2)/Ta(3)/Pt(10)
このようにして作成した磁気抵抗効果素子をCu/Pt下部電極を残して0.3μm角にパターニングした後、全体をAl膜で絶縁し、上部電極21と、下部電極11とのスルーホールを開け、Cuより成るセンス線23を別々に上部と下部電極21、22に接続し、更にAl膜で絶縁して、Cuより成るワード線22を設け、図17に示したような構成のメモリー素子1700とした。実施例15と同様にワード線22に電流を流してNiFeCo/Ru/NiFeCoより成る自由層5Dを磁化反転して情報を書き込み、次にワード線22に電流を流しセンス線23の抵抗変化を測定してその動作を確認し、メモリー素子1700が構成出来ることがわかった。このように本発明の磁気抵抗素子9を用いたメモリー素子1700は0.3μm角のセルサイズでも動作することが確認され、かつ実施例15,16で作成したメモリー素子は不揮発性であることが確認された。
【0215】
(実施例17)
多元のスパッタカソードを有する成膜装置を用いて、スパッタ法により、図11Bの構成の磁気抵抗効果素子1100Bを作成した。この場合、ターゲットとしては、磁化回転抑制層2用としてPt0.5Mn0.5,下地層7としてTa,金属磁性層32としてCo0.9Fe0.1、非磁性膜33用としてRu、酸化物磁性膜31、52用としてFe、非磁性層4としてCu、金属磁性膜51としてはCo0.9Fe0.1およびNi0.8Fe0.2を用いた。スパッタリング用の不活性ガスとしては、Ar,Kr,Xe等があるが、この場合にはArガスを用いた。また酸化物磁性膜31、52を作成するときだけ、約1%のOガスをArガスと一緒に導入した。この酸素ガスを添加する目的は、長期間高真空中でスパッタしたためFeターゲットのO量が比較的低くなっている場合や高真空中でスパッタリングを行う場合等に成膜された酸化物磁性膜の酸素量を調整するためである。導入する酸素量としては全ガス圧の10%以下程度が適当である。
【0216】
上述の長期間高真空中でスパッタしたためFeターゲットのO量が比較的低くなっているFeターゲットを用い、チャンバー内を1×10−9Torr以下に排気した後、スパッタリングガスを0.8mTorrになるまで導入して、Si基板上に次の構成の磁気抵抗効果素子を作成した。
【0217】
実施例サンプル32 Ta(3)/Pt0.5Mn0.5(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(1.5)/Fe(1)/Co0.9Fe0.1(1.5)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(1)/Ni0.8Fe0.2(2)/Fe(1)/Ta(3)
また比較のために酸化物磁性膜の層がない従来例サンプルJを作成した。
【0218】
従来例サンプルJ Ta(3)/Pt0.5Mn0.5(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(3)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(1)/Ni0.8Fe0.2(2)/Ta(3)
このようにして作成した磁気抵抗効果素子の特性を実施例12と同様の方法で比較した。その結果を表14に示す。
【0219】
【表14】
Figure 0003601690
【0220】
表14の結果から分かるように、本発明の実施例サンプル32は酸化物磁性膜31、52の効果でHpの大きさは従来例と変わらないのに、大きなMR比を示していることが分かる。
【0221】
また、実施例サンプル32で、酸化物磁性膜52の代わりにA1ターゲットを用いて酸化物非磁性膜であるA1膜を形成した実施例サンプル33も作成した。
実施例サンプル33 Ta(3)/Pt0.5Mn0.5(1)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(1.5)/Fe(1)/Co0.9Fe0.1(1.5)/Cu(2)/Co0.9Fe0.1(1)/Ni0.8Fe0.2(2)/Al(1)/Ta(3)
この場合、MR比は12.8%と実施例サンプル32と同等であったが、自由層5Aの軟磁気特性が劣化し、実施例サンプル32の自由層5Aの反転磁界(保磁力)が約3Oeであるのに対して、実施例サンプル33では10Oeに増大した。これは、酸化物磁性膜52に、単に電子の鏡面反射効果だけでなく、軟性磁気特性を改善する効果もあるためと考えられる。
【0222】
【発明の効果】
本発明の磁気抵抗効果素子は従来のものに比べて大きなMR比を実現し、これを用いることにより高出力の磁気抵抗効果型ヘッドを可能とし、更にはこのヘッドを用いて超高密度の磁気記録装置を可能するものである。又本発明の磁気抵抗効果素子を用いれば不揮発性で高密度の磁気抵抗効果メモリー素子が作成出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図2】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図3】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図4】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図5A】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図5B】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図6】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図7】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図8】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図9】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図10】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図11A】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図11B】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図12】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図13】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図14A】本発明の磁気抵抗効果型ヘッドの一例を示す図。
【図14B】本発明の磁気抵抗効果型ヘッドの一例を示す図。
【図15】本発明のヨーク型磁気抵抗効果型ヘッドの一例を示す図。
【図16】本発明の磁気記録装置の説明図。
【図17】本発明の磁気抵抗効果メモリー素子の一例を示す図。
【符号の説明】
1 基板
2 磁化回転抑制層(ピンニング層)
3 磁性膜(固定層)
31 酸化物磁性膜
32 金属磁性膜
33 非磁性膜
4 非磁性層
5 磁性層(自由層)
51 金属磁性膜
52 酸化物磁性膜
6 酸化物非磁性膜
7 下地膜
9 MR素子部
10 下部シールド
11 下部シールドギャップ
12 ハードバイアス部
13 リード部
14 上部シールドギャップ
15 上部シールド
16 ヨーク部
17 絶縁膜
18 記録ポール部
19 巻き線部
20 記録兼再生ギャップ部
21 電極部
22 情報記録用導体線(ワード線)
23 情報読出用導体線(センス線)

Claims (29)

  1. 外部磁界により容易に磁化回転する自由層と、
    第1非磁性層と、
    該第1非磁性層に対して該自由層の反対側に設けられ、該外部磁界により容易には磁化回転しない第1固定層とを含み、
    該第1固定層は、該第1非磁性層と接する第1金属磁性膜と、第1酸化物磁性膜とを含み、
    前記第1固定層は、前記第1酸化物磁性膜に対して前記第1金属磁性膜の反対側に設けられる第2金属磁性膜をさらに含み、
    前記第1固定層と磁気的に結合する磁化回転抑制層をさらに含み、
    前記磁化回転抑制層は、P−Mn系(PはPt,Ni,Pd,Ir,Rh,Ru,Crから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)合金より成る、
    磁気抵抗効果素子。
    (ここで、該第1固定層が、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)およびシリコン(Si)を含むものを除く。
    また、磁化回転抑制層がIrMnからなるものを除く)
  2. 前記自由層に対して前記第1非磁性層の反対側に設けられる第2非磁性層と、
    該第2非磁性層に対して該自由層の反対側に設けられ、該外部磁界により容易には磁化回転しない第2固定層とをさらに含む、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記自由層は、第1金属磁性膜と、第1酸化物磁性膜とを含む、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記自由層は、前記自由層に含まれる第1酸化物磁性膜に対して前記自由層に含まれる第1金属磁性膜の反対側に設けられる第2金属磁性膜をさらに含む、請求項3記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記第1固定層は、前記第1酸化物磁性膜に対して前記第1金属磁性膜の反対側に設けられる第2金属磁性膜と、
    第3金属磁性膜と、
    該第2金属磁性膜と該第3金属磁性膜とを反強磁性的に交換結合する交換結合用非磁性膜とをさらに含む、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第1固定層は、前記第1酸化物磁性膜に対して前記第1金属磁性膜の反対側に設けられる非磁性膜と、
    該非磁性膜を介して該第1酸化物磁性膜と磁気的に交換結合する第2酸化物磁性膜をさらに含む、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記第1酸化物磁性膜は、Fe元素を含有する、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記第1酸化物磁性膜は、MFe24(MはFe,Co,Niから選ばれる1種もしくは2種以上の元素)を主成分とする、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記第1酸化物磁性膜は、Fe34を主成分とする、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 前記第1酸化物磁性膜は、CoFe24を主成分とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 前記第1酸化物磁性膜は、前記第1金属磁性膜の酸化物である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 前記第1金属磁性膜は、Co−Fe合金からなる、請求項11に記載の磁気抵抗効果素子。
  13. 特に該自由層は、非磁性膜と、
    前記非磁性膜を介して反強磁性的に交換結合した、膜厚または飽和磁化の異なる2つの金属磁性膜とを含む、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  14. 前記磁気抵抗効果素子の膜面の上下に配置される電極をさらに含み、
    電流を前記膜面に垂直に流す、請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  15. 請求項1記載の磁気抵抗効果素子と、
    シールド部とを具備する磁気抵抗効果型ヘッド。
  16. 請求項1記載の磁気抵抗効果素子と、
    検知すべき磁界を前記磁気抵抗素子に導入するヨークとを具備する磁気抵抗効果型ヘッド。
  17. 請求項15記載の磁気抵抗効果型ヘッドと、
    記録媒体と該磁気抵抗効果型ヘッドとのトラッキングを制御するサーボ部と、
    該磁気抵抗効果型ヘッドが該記録媒体に記録再生する信号を処理する信号処理部とを備える磁気記録装置。
  18. 請求項1記載の磁気抵抗効果素子と、
    該磁気抵抗効果素子から情報を読み出すための情報読出用導体線と、
    該情報を記録するための情報記録用導体線とを具備する磁気抵抗効果メモリ素子。
  19. 請求項1記載の磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    前記第1酸化物磁性膜を、酸化物ターゲットを用いてスパッタ法により形成する第1工程を包含する磁気抵抗効果素子の製造方法。
  20. 前記酸化物ターゲットはFe34を含む、請求項19に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  21. 前記第1工程は、不活性ガスと酸素ガスとを用いてスパッタ法により前記第1酸化物磁性膜を形成する第2工程を包含する、請求項19に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  22. 前記第1工程は、不活性ガスと酸素ガスとを用いてスパッタ法により前記第1酸化物磁性膜を形成する第2工程を包含する、請求項19に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  23. 前記酸化物ターゲットはCoFe24を含む、請求項19に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  24. 基板上に直接または下地層を介して、外部磁界により容易に磁化回転する自由層、非磁性層、外部磁界により容易には磁化回転しない固定層の金属磁性膜を順次積層する第1の工程と、
    該固定層の該金属磁性膜の表面を酸化させる第2の工程と、
    該金属磁性膜の表面上に酸化物磁性膜を形成する第3の工程と、
    該酸化物磁性膜の上に磁化回転抑制層を更に形成する第4の工程とを包含する磁気抵抗効果素子の製造方法。
  25. 前記第2の工程は、プラズマ酸化法を含む、請求項24記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  26. 前記第2の工程は、酸素ラジカル源から発生した酸素ラジカルにより、前記金属磁性膜の前記表面を酸化する工程を含む、請求項24記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  27. 前記第2の工程は、自然酸化法を含む、請求項24記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  28. 前記第2の工程は、イオン源より発生した酸素イオンを用いて前記金属磁性膜の前記表面を酸化する工程を含む、請求項24記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  29. 基板上に直接または下地層を介して、外部磁界により容易に磁化回転する自由層、非磁性層、外部磁界により容易には磁化回転しない固定層の第1金属磁性膜を順次積層する第1の工程と、
    該固定層の酸化物磁性膜を反応性スパッタリング法により形成する第2の工程と、
    該酸化物磁性膜その上に該固定層の第2金属磁性膜を形成する第3の工程と、
    該第2金属磁性膜上に磁化回転抑制層を更に形成する第4の工程とを包含する磁気抵抗効果素子の製造方法。
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