JP3137288B2 - 交換結合膜、磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

交換結合膜、磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気抵抗効果素子の製造方法

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JP3137288B2
JP3137288B2 JP10327327A JP32732798A JP3137288B2 JP 3137288 B2 JP3137288 B2 JP 3137288B2 JP 10327327 A JP10327327 A JP 10327327A JP 32732798 A JP32732798 A JP 32732798A JP 3137288 B2 JP3137288 B2 JP 3137288B2
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博 榊間
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強磁性体の磁化方向
を固定するための交換結合膜、それを用いて構成される
低磁界で大きな磁気抵抗変化をおこす磁気抵抗効果素
子、それを用いて構成される高密度磁気記録再生に適し
た磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気抵抗効果素子の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスクドライブの高密度
化は著しく、媒体に記録された磁化を読みとる再生磁気
ヘッドの進歩も著しい。中でも巨大磁気抵抗効果を利用
したスピンバルブと呼ばれる磁気抵抗効果素子(以下
「MR素子」という。)は、現在用いられている磁気抵
抗効果型ヘッド(以下「MRヘッド」という。)の感度
を大幅に向上させるものとして盛んに研究されている。
【0003】MR素子は、非磁性層を介して2つの強磁
性体層が配置され、一方の強磁性体層(以下「固定層」
ともいう。)の磁化方向を磁化回転抑制層による交換バ
イアス磁界で固定し(この時の強磁性体層と磁化回転抑
制層とを合わせて「交換結合膜」という。)、他方の強
磁性体層(以下「自由層」ともいう。)の磁化方向を外
部磁界に応じて比較的自由に動かすことにより、固定層
の磁化方向と自由層の磁化方向との相対角度を変化させ
て、電気抵抗の変化を生じさせるものである。
【0004】MR素子に用いられる材料に関しては、強
磁性体層としてNiFe、非磁性層としてCu、磁化回
転抑制層としてFe−Mnを用いたもので磁気低抗変化
率(以下「MR比」という。)が約2%のものが提案さ
れた(ジャーナル オブ マグネティズム アンド マ
グネティック マテリアルズ 93 第101頁(19
91年)(Journal of Magnetism
and Magnetic Materials 9
3、p101、1991))。このように、磁化回転抑
制層としてFeMnを用いたものはMR比が小さく、ま
たブロッキング温度(磁化回転抑制層による固定層の磁
化固定効果が無くなる温度)が十分高くなく、またFe
Mn自体の耐食性に難点があるので、FeMn以外の種
々の磁化回転抑制層を用いたMR素子が提案されてい
る。
【0005】中でも、NiOや、α−Fe23等の酸化
物を磁化回転抑制層として用いたMR素子は、MR比が
15%以上と飛躍的に大きいものが期待できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、NiO
はブロッキング温度が十分高くない。このため、NiO
を用いたMR素子の熱的安定性には問題がある。
【0007】また、α−Fe23から成る磁化回転抑制
層を用いたMR素子は、その磁化回転抑制層の厚さが薄
い場合は固定層の反転磁界が十分大きくならない。特に
デュアルスピンバルブ構造を有するMR素子の場合や固
定層上にα−Fe23層を形成した構造を有するMR素
子の場合には、上部のα−Fe23層において固定層の
反転磁界が十分大きくならないという傾向が顕著であ
る。又、NiOと同様の熱的安定性の課題があり、さら
に磁界中での成膜時や低温での磁界中熱処理における異
方性制御の課題があり実用的でない。
【0008】本発明の目的は、熱的安定性が良好であ
り、大きなMR比を示す交換結合膜、MR素子、MRヘ
ッドおよびMR素子の製造方法を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る交換結合膜
は、基板と多層膜とから成り、該多層膜は、強磁性体層
と該強磁性体層に隣接して設けられ該強磁性体層の磁化
回転を抑制する磁化回転抑制層とを含んでいる交換結合
膜であって、該磁化回転抑制層は、(Fe 1-X X 2 3
層(M=Al、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)を
含んでおり、そのことにより上記目的が達成される。該
磁化回転抑制層は、NiO層をさらに含んでいてもよ
い。該磁化回転抑制層は、Fe−M’−O層(M’=A
l、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V)をさらに含ん
でおり、該Fe−M’−O層と該Fe−M−O層とは元
素の組成が異なっていてもよい。該多層膜の表面粗さが
概略0.5nm以下であってもよい。本発明に係る磁気
抵抗効果素子は、基板と多層膜とから成り、該多層膜
は、少なくとも2つの強磁性体層と非磁性層と該強磁性
体層の1つの磁化回転を抑制する磁化回転抑制層とを含
んでおり、該強磁性体層は該非磁性層を挟んで積層され
ており、該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、該1
つの該強磁性体層に対して該非磁性層の反対側に他方の
該強磁性体層と接して設けられた該磁化回転抑制層によ
って磁化方向が固定された固定層であり、該強磁性体層
のうちの少なくとも1つは、磁化方向が自由に回転でき
る自由層であり、該固定層の磁化方向と該自由層の磁化
方向との相対角度の変化により電気抵抗が変化する磁気
抵抗効果素子であって、該磁化回転抑制層は、(Fe
1-X X 2 3 層(M=Al、Ti、Cr、0.01≦x
≦0.4)を含んでおり、そのことにより上記目的が達
成される。該磁化回転抑制層は、NiO層をさらに含ん
でいてもよい。該磁化回転抑制層は、Fe−M’−O層
(M’=Al、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V)を
さらに含んでおり、該Fe−M’−O層と該Fe−M−
O層とは元素の組成が異なっていてもよい。該多層膜の
表面粗さが概略0.5nm以下であってもよい。該多層
膜は、基板上に第1の磁化回転抑制層と、第1の固定層
と、第1の非磁性層と、強磁性体から成る自由層と、第
2の非磁性層と、第2の固定層と、第2の磁化回転抑制
層とを順次積層して成り、該第1の磁化回転抑制層は、
Fe−M−O層(M=Al、Ti、Co、Mn、Cr、
Ni、V)を含んでおり、該第1の磁化回転抑制層は、
該第1の固定層の磁化方向を固定し、該第2の磁化回転
抑制層は、該第2の固定層の磁化方向を固定し、該第1
の磁化回転抑制層は、(Fe 1-X X 2 3 層(M=A
l、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)を含んでいて
もよい。該第2の磁化回転抑制層は、NiOまたはFe
−M−O層(M=Al、Ti、Co、Mn、Cr、N
i、V)のいずれかを含んでいてもよい。該自由層は、
第3の非磁性層と、該第3の非磁性層を挟んで積層され
た2層以上の磁性層とを含んでもよい。該自由層は、第
3の非磁性層と、該第3の非磁性層を挟んで積層された
2層以上の磁性層とを含んでもよい。該固定層は、第3
の非磁性層と、該第3の非磁性層を介して反強磁性的に
交換結合した2つの磁性層とを含んでもよい。該少なく
とも一方の固定層は、第3の非磁性層と、該第3の非磁
性層を介して反強磁性的に交換結合した2つの磁性層と
を含んでもよい。本発明に係る磁気抵抗効果型ヘッド
は、本発明に係る磁気抵抗効果素子と、該磁気抵抗効果
素子とシールド部とを絶縁するシールドギャップ部とを
備え、そのことにより上記目的が達成される。本発明に
係る他の磁気抵抗効果型ヘッドは、本発明に係る磁気抵
抗効果素子と、該磁気抵抗効果素子へ検知すべき磁界を
導入するヨーク部とを備え、そのことにより上記目的が
達成される。本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法
は、基板と多層膜とから成り、該多層膜は、少なくとも
2つの強磁性体層と非磁性層と該強磁性体層の磁化回転
を抑制する磁化回転抑制層とを含んでおり、該少なくと
も2つの強磁性体層は該非磁性層を挟んで積層されてお
り、該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、該強磁性
体層に対して該非磁性層の反対側に該強磁性体層と接し
て設けられた該磁化回転抑制層によって、磁化方向が固
定された固定層であり、該強磁性体層のうちの少なくと
も1つは、磁化方向が自由に回転できる自由層であり、
該固定層の磁化方向と該自由層の磁化方向との相対角度
の変化により電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子の製
造方法であって、基板上に該磁化回転抑制層を形成する
第1工程と、該磁化回転抑制層上に該固定層、該非磁性
層および該自由層を順次積層する第2工程とを含んでお
り、該第1工程は、主な成分が(Fe 1-X X 2 3
(M=Al、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)から
成るターゲットをスパッタリングする工程を包含し、そ
のことにより上記目的が達成される。本発明に係る他の
磁気抵抗効果素子の製造方法は、基板上に第1の磁化回
転抑制層と、第1の固定層と、第1の非磁性層と、強磁
性体から成る自由層と、第2の非磁性層と、第2の固定
層と、第2の磁化回転抑制層とを順次積層して成る多層
膜を含み、該第1の磁化回転抑制層は該第1の固定層の
磁化方向を固定し、該第2の磁化回転抑制層は該第2の
固定層の磁化方向を固定し、該第1の固定層の磁化方向
および該第2の固定層の磁化方向と該自由層の磁化方向
との相対角度の変化により電気抵抗が変化する磁気抵抗
効果素子の製造方法であって、該基板上に該第1の磁化
回転抑制層を形成する第1工程と、該第1の磁化回転抑
制層上に該第1の固定層、該第1の非磁性層、該自由
層、該第2の非磁性層および該第2の固定層を順次積層
する第2工程と、該第2の固定層上に該第2の磁化回転
抑制層を形成する第3工程とを含んでおり、該第1工程
および該第3工程は、主な成分が(Fe 1-X X 2 3
(M=Al、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)から
成るターゲットをスパッタリングする工程を包含し、そ
のことにより上記目的が達成される。
【0010】該磁化回転抑制層は、(Fe1-XX23
層(M=Al、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V、
0.01≦x≦0.4)を含んでいてもよい。
【0011】該磁化回転抑制層は、NiO層をさらに含
んでいてもよい。
【0012】該磁化回転抑制層は、Fe−M’−O層
(M’=Al、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V)を
さらに含んでおり、該Fe−M’−O層と該Fe−M−
O層とは元素の組成が異なっていてもよい。
【0013】該多層膜の表面粗さが概略0.5nm以下
であってもよい。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】本発明に係る磁気抵抗効果素子は、基板と
多層膜とから成り、該多層膜は、少なくとも2つの強磁
性体層と非磁性層と該強磁性体層の1つの磁化回転を抑
制する磁化回転抑制層とを含んでおり、該強磁性体層は
該非磁性層を挟んで積層されており、該強磁性体層のう
ちの少なくとも1つは、該1つの強磁性体層に対して該
非磁性層の反対側に他方の該強磁性体層と接して設けら
れた該磁化回転抑制層によって磁化方向が固定された固
定層であり、該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、
磁化方向が自由に回転できる自由層であり、該固定層の
磁化方向と該自由層の磁化方向との相対角度の変化によ
り電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子であって、該磁
化回転抑制層は、Fe−M−O層(M=Al、Ti
を含んでおり、これにより上記目的が達成される。
【0018】該磁化回転抑制層は、(Fe1-XX23
層(M=Al、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V、
0.01≦x≦0.4)を含んでいてもよい。
【0019】該磁化回転抑制層は、NiO層をさらに含
んでいてもよい。
【0020】該磁化回転抑制層は、Fe−M’−O層
(M’=Al、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V)を
さらに含んでおり、該Fe−M’−O層と該Fe−M−
O層とは元素の組成が異なっていてもよい。
【0021】該多層膜の表面粗さが概略0.5nm以下
であってもよい。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】該多層膜は、基板上に第1の磁化回転抑制
層と、第1の固定層と、第1の非磁性層と、強磁性体か
ら成る自由層と、第2の非磁性層と、第2の固定層と、
第2の磁化回転抑制層とを順次積層して成り、該第1の
磁化回転抑制層は、Fe−M−O層(M=Al、Ti、
Co、Mn、Cr、Ni、V)を含んでおり、該第1の
磁化回転抑制層は、該第1の固定層の磁化方向を固定
し、該第2の磁化回転抑制層は、該第2の固定層の磁化
方向を固定してもよい。
【0026】該第1の磁化回転抑制層は、(Fe
1-XX23層(M=Al、Ti、Co、Mn、Cr、
Ni、V、0.01≦x≦0.4)を含んでいてもよ
い。
【0027】該第2の磁化回転抑制層は、NiOまたは
Fe−M−O層(M=Al、Ti、Co、Mn、Cr、
Ni、V)のいずれかを含んでいてもよい。
【0028】該自由層は、第3の非磁性層と、該第3の
非磁性層を挟んで積層された2層以上の磁性層とを含ん
でいてもよい。
【0029】該自由層は、第3の非磁性層と、該第3の
非磁性層を挟んで積層された2層以上の磁性層とを含ん
でいてもよい。
【0030】該固定層は、第3の非磁性層と、該第3の
非磁性層を介して反強磁性的に交換結合した2つの磁性
層とを含んでいてもよい。
【0031】該固定層は、第3の非磁性層と、該第3の
非磁性層を介して反強磁性的に交換結合した2つの磁性
層とを含んでいてもよい。
【0032】本発明に係る磁気抵抗効果型ヘッドは、請
求項9に記載の磁気抵抗効果素子と、該磁気抵抗効果素
子とシールド部とを絶縁するシールドギャップ部とを備
えており、これにより上記目的が達成される。
【0033】本発明に係る他の磁気抵抗効果型ヘッド
は、請求項9に記載の磁気抵抗効果素子と、該磁気抵抗
効果素子へ検知すべき磁界を導入するヨーク部とを備え
ており、これにより上記目的が達成される。
【0034】本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法
は、基板と多層膜とから成り、該多層膜は、少なくとも
2つの強磁性体層と非磁性層と該強磁性体層の磁化回転
を抑制する磁化回転抑制層とを含んでおり、該少なくと
も2つの強磁性体層は該非磁性層を挟んで積層されてお
り、該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、該強磁性
体層に対して該非磁性層の反対側に該強磁性体層と接し
て設けられた該磁化回転抑制層によって、磁化方向が固
定された固定層であり、該強磁性体層のうちの少なくと
も1つは、磁化方向が自由に回転できる自由層であり、
該固定層の磁化方向と該自由層の磁化方向との相対角度
の変化により電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子の製
造方法であって、基板上に該磁化回転抑制層を形成する
第1工程と、該磁化回転抑制層上に該固定層、該非磁性
層および該自由層を順次積層する第2工程とを含んでお
り、該第1工程は、主な成分がFe−M−O(M=A
l、TiCrから成るターゲットをスパッタリング
する工程を包含しており、これにより上記目的が達成さ
れる。
【0035】本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法
は、基板上に第1の磁化回転抑制層と、第1の固定層
と、第1の非磁性層と、強磁性体から成る自由層と、第
2の非磁性層と、第2の固定層と、第2の磁化回転抑制
層とを順次積層して成る多層膜を含み、該第1の磁化回
転抑制層は該第1の固定層の磁化方向を固定し、該第2
の磁化回転抑制層は該第2の固定層の磁化方向を固定
し、該第1の固定層の磁化方向および該第2の固定層の
磁化方向と該自由層の磁化方向との相対角度の変化によ
り電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子の製造方法であ
って、該基板上に該第1の磁化回転抑制層を形成する第
1工程と、該第1の磁化回転抑制層上に該第1の固定
層、該第1の非磁性層、該自由層、該第2の非磁性層お
よび該第2の固定層を順次積層する第2工程と、該第2
の固定層上に該第2の磁化回転抑制層を形成する第3工
程とを含んでおり、該第1工程および該第3工程は、主
な成分がFe−M−O(M=Al、TiCrから成
るターゲットをスパッタリングする工程を包含してお
り、これにより上記目的が達成される。
【0036】
【発明の実施の形態】以下本発明に係る交換結合膜、M
R素子およびMRヘッドを図面に基づいて説明する。
【0037】図1に本発明の交換結合膜100の構成を
示す。図1では、基板1上にFe−M−O層2、強磁性
体層3が順次積層されている。本発明の特徴は、強磁性
体層3に交換バイアス磁界を作用させる磁化回転抑制層
として、Fe−M−O層2を用いる点である。
【0038】本発明に係るFe−M−O層は、磁化回転
抑制層であるFe−Oに、第三元素Mを添加したもので
あって、金属(FeとMを加えたもの)と酸素(O)の
原子組成比が1対1.2〜1.6であるものと定義す
る。
【0039】磁化回転抑制層であるFe−Oに第三元素
Mを原子組成比(Fe+M)/O1/1.2〜1/
1.6となるように添加することにより、低温の熱処理
で、固定層の磁化のピン止め効果が良くなる。原子組成
(Fe+M)/O は、望ましくは1/1.35〜
1.55の範囲とする。
【0040】金属(FeとMを加えたもの)と酸素
(O)の原子組成比(Fe+M)/O1/1.2〜
1.6の範囲外であると、固定層の磁化のピン止め効
果は良くない。原子組成比(Fe+M)/O1/
1.2以上ではピン止め効果が劣化する。原子組成比
(Fe+M)/O1/1.6以下ではFe−M−O
層が弱い強磁性体となりMRヘッドに用いる場合好まし
くない。
【0041】次に、交換結合膜100を用いたMR素子
についてより詳しく説明する。
【0042】図2に本発明のMR素子200の構成を示
す断面図の一例を示す。図2では、基板1上に、Fe−
M−O層2、固定層3、非磁性層4および自由層5が順
次積層されている。強磁性体である固定層3の磁化方向
は、Fe−M−O層2による交換バイアス磁界によりピ
ン止めされている。一方の強磁性体である自由層5の磁
化方向は、非磁性層4により、固定層3から磁気的に分
離されているので、MR素子200の外部からの磁界に
より比較的自由に動くことができる。
【0043】従って、固定層3の磁化方向と自由層5の
磁化方向の角度が相対的に変化することにより、MR素
子200の電気抵抗が変化する。MR素子200を磁気
抵抗センサーとして用いるときは、MR素子200の外
部からの磁界により生じた電気抵抗の変化を電気信号と
して読みとることができる。
【0044】本発明の特徴は、磁化回転抑制層として、
Fe−M−O層2を用いる点である。従来例で述べたよ
うに、α−Fe23を用いたMR素子は大きなMR比を
示す。しかしながら、α−Fe23を用いたMR素子で
は、固定層3のピン止め磁界の大きさが不十分で(特に
デュアル構造や上に固定層がある構造とした場合の上部
ピン止め用のα−Fe23層で著しい。)、かつ低温磁
界中熱処理による特性改善が容易ではない。
【0045】この問題点を解決するために本発明では、
磁化回転抑制層として、Feの酸化層であるFe−O層
においてFe原子の一部をAl、Ti、Co、Mn、C
r、Ni、V等の原子で置換したFe−M−O層を用い
る。
【0046】この時、金属(FeとMを加えたもの)と
酸素(O)の原子組成比が概略1対1.2〜1.6とな
っているのが望ましい。Fe原子の一部をAl、Ti、
Mn、V等で置換すると、150℃から350℃程度の
温度の熱処理後において、固定層3の磁化方向のピン止
め効果がより大きくなる。又Fe原子の一部をCo、N
i等で置換すると、MR素子の作製時や熱処理後におい
てより大きなピン止め磁界を有するMR素子が得られ
る。
【0047】上記において特にMn、Coはより大きな
MR比を得るのに有効である。より大きなピン止め磁界
を得るのにはCoが特に有効である。より大きなピン止
め磁界を得るのに望ましい組成は、 (Fe1-xx23(M=Al、Ti、Co、Mn、C
r、Ni、V、0.01≦x≦0.4) である。
【0048】xが小さすぎると効果がないし、あまり大
きくすると、かえってピン止め効果が低下したりして良
くない。また、Fe原子を上記したAl、Ti、Co、
Mn、Cr、Ni、V以外の他の元素で置換するとフェ
リ磁性体となり、Fe−M−O層に自発磁化を発生させ
るので、問題がある。
【0049】Fe−M−O層2の厚さがあまり薄すぎる
と固定層3の磁化方向のピン止め効果が弱くなるため、
Fe−M−O層2の厚さは少なくとも5nm以上は必要
である。また、Fe−M−O層2の厚さが厚すぎると表
面があれて、自由層5と固定層3との間に磁気的な結合
が発生しやすくなるので、Fe−M−O層2の厚さは1
00nm以下、望ましくは50nm以下とするのがよ
い。この条件は特にデュアル構造のMR素子の場合に重
要である。
【0050】なお、磁化回転抑制層は通常反強磁性体で
あるが、Fe−M−O層2の役割としては、固定層3の
磁化方向を一定方向に固定できれば良く、磁化回転抑制
層の全体が完全な反強磁性体とならなくてもよい。例え
ば磁化回転抑制層の一部が弱い強磁性体、常磁性体、フ
ェリ磁性体となっても、固定層3の磁化方向の固定効果
が有ればよい。
【0051】通常、MRヘッドの自由層5としては、N
i−Co−Fe合金が適している。Ni−Co−Fe層
の原子組成比としては、NixCoyFeZ 0.6≦x≦0.9 0≦y≦0.4 0≦z≦0.3 のNi−richの軟磁性層、もしくは、Nix'Coy'
Fez' 0≦x’≦0.4 0.2≦y’≦0.95 0≦z’≦0.5 のCo−rich層を用いるのが望ましい。これらの組
成の層はセンサーやMRヘッド用として要求される低磁
歪特性(1×10-5)を有する。
【0052】また自由層5の他の材料としては、Co−
Mn−B、Co−Fe−B、Co−Nb−Zr、Co−
Nb−B等のアモルファス層、あるいはこのアモルファ
ス層と上記のNi−Co−Fe層との積層膜でも良い。
【0053】自由層5の厚さは1nm以上10nm以下
がよい。自由層5が厚いとシャント効果でMR比が低下
する。自由層5が薄すぎると軟磁気特性が劣化する。よ
り望ましくは2nm以上7nm以下がよい。
【0054】固定層3としては、CoまたはCo−F
e、Ni−Fe−Co合金等の材料が優れている。特に
CoまたはCo−Fe合金が大きなMR比を得るのに良
い。又大きな交換結合を得るにはNi−Fe、Ni−F
e−Co系が望ましい。従ってFe−M−O層2との界
面にはNi系膜を、Cu等の非磁性層4との界面にはC
o系膜を用いるのが望ましい。
【0055】固定層3の厚みは1nm以上10nm以下
がよい。固定層3が厚すぎても薄すぎてもMR比が低下
する。より望ましくは1nm以上5nm以下とするのが
よい。
【0056】固定層3には非磁性層4を介して反強磁性
的に交換結合した2つの磁性層より成る多層膜を用いて
も良い。具体的にはCo/Ru/Coがその一例として
あげられる。ただしこの時Ruの厚みは2つのCoが反
強磁性的に交換結合する厚みとする必要があり、この場
合は約0.6nmである。通常のMR素子ではMR素子
が極めて小さくなった場合固定層3の端面に発生する磁
極により自由層5に好ましくないバイアス磁界が印加さ
れる問題がある。固定層3を反強磁性的に交換結合した
2つの磁性層よりなる構成とすることにより、バイアス
磁界は自由層5には印加されず、上記の問題が解決され
る。
【0057】自由層5と固定層3との間の非磁性層4と
しては、Cu、Ag、Au、Ruなどがあるが、特にC
uが優れている。非磁性層4の厚みは、強磁性体層(固
定層3と自由層5)間の相互作用を弱くするために少な
くとも0.9nm以上は必要である。また非磁性層4が
厚くなるとMR比が低下してしまうので、非磁性層4の
厚みは10nm以下、望ましくは3nm以下とするべき
である。
【0058】また、MR比を更に大きくするために、強
磁性体層(固定層3または自由層5)と非磁性層4の界
面に界面磁性層を挿入するのも有効である。界面磁性層
が厚いと、MR比の磁界感度が低下するので、界面磁性
層の厚みは2nm以下、望ましくは1.8nm以下とす
る必要がある。またこの界面磁性層が有効に働くために
は、少なくとも0.2nm上の厚みは必要であり、望ま
しくは0.8nm以上の厚みがよい。界面磁性層の材料
としては、CoまたはCo高濃度のCo−Fe合金が優
れている。
【0059】基板1としては、ガラス、MgO、Si、
A123−TiC基板等表面の比較的平滑なものを用い
る。MRヘッドを作製する場合には、A123−TiC
基板が適している。
【0060】また、MR比を更に大きくする方法の一つ
としては、自由層5の上に更に金属反射層を形成するの
もよい。金属反射膜の材料としては、Ag、Auなどが
優れている。
【0061】金属反射層が厚すぎるとシャント効果でM
R比が低下するので、10nm以下、望ましくは3nm
以下とするのがよい。また薄すぎると効果がないので少
なくとも0.5nm以上の厚み、望ましくは1nm以上
とするのがよい。
【0062】以上、図2の場合には、Fe−M−O層2
から順に積層する場合について述べたが、逆に基板上に
直接または下地層を介して自由層5/非磁性層4/固定
層3/Fe−M−O層2の順に積層しても良い。この構
造は、図2の構成に比べるとピン止め効果はやや小さく
なるが、素子の構成によってはこのような構成が有効な
場合があり、MR素子として用いることが可能である。
【0063】また以上は通常のMR素子の場合について
説明したが、更に大きなMR比を得るためには図3に示
すようなデュアルスピンバルブの構成を有するMR素子
300もよい。この場合、最上層の磁化回転抑制層6と
してはFe−M−O層またはNiOあるいはこれらの複
合層(積層膜)を用いてもよい。望ましくはより大きな
MR比を得るためにはFe−M−O層を用いるのが適当
である。MR素子の電極形成やMRヘッド形成の観点か
らはFe−Mn、Ni−Mn、Pd−Mn、Pt−M
n、Ir−Mn、Fe−lr等の金属反強磁性体を用い
るのが適当である。この中では熱安定性の観点からPt
−Mnが最もよい。PtZMn1-Z層の適当な組成として
は、原子組成比で、0.4≦z≦0.6がよい。
【0064】一方、図3の構成例ではFe−M−O層2
から構成する場合について説明したが、Fe−M−O層
2と磁化回転抑制層6とを逆に構成してもよい。
【0065】上記においてNiOとα−Fe23を用い
る場合は基板1上にNiOを形成し、NiO上にα−F
23を形成し、固定層3はα−Fe23によりピン止
めされているのが熱的安定性や膜の平坦性の観点から望
ましい。更にこの場合NiO膜は10nm程度で良い
が、α−Fe23膜はこれより厚いことが望ましい。
【0066】なお以上述べた各層の形成方法としては、
スパッタリング法が適している。スパッタリング法とし
てはDCスパッタリング法、RFスパッタリング法、イ
オンビームスパッタリング法などがあるが、いずれの方
法でも本発明のMR素子を作製できる。
【0067】以上述べたような本発明のMR素子を用い
て、MRヘッドを構成することができる。図5にMRヘ
ッド30の構成の一例を示す。図5を矢印Aの方向から
見た図が、図4であり、点線Bで示した平面で切った断
面が図6に示してある。以下、図4を中心にして説明す
る。
【0068】図4ではMR素子部9は上部および下部の
シールドギャップ14、11に挟まれるように構成され
ている。シールドギャップ材としては、Al23、Si
2等の絶縁膜が使われる。シールドギャップ14、1
1の更に外側は上部および下部のシールド15、10が
あるがこれはNi−Fe合金などの軟磁性膜が使われ
る。MR素子部9の磁区制御のためにCo−Pt合金等
のハードバイアス部12によるバイアス磁界を加える。
ここでは、バイアスの印加方法としてはハード膜を用い
る場合について説明したが、Fe−Mn等の反強磁性体
を用いた場合も同様である。MR素子部9はシールドキ
ャップ11、14によってシールド10、15等と絶縁
されており、リード部13を介して電流を流すことによ
り、MR素子部9の抵抗変化を読みとる。
【0069】またMRヘッドは読みとり専用ヘッドなの
で、通常書き込み用の誘導型ヘッドと組み合わせて用い
られる。図6および図7には読みとりヘッド部32だけ
でなく、書き込みヘッド部31も併せて描かれている。
図4にさらに書き込みヘッド部31を形成した場合の図
が、図7Aである。書き込みヘッド部31としては、上
部シールド15上に記録ギャップ層40を介して形成さ
れた上部コア16がある。
【0070】なお、図7Aでは従来のアバティッド接合
(abutted junction)によるMRヘッ
ド構造について説明したが、高密度化による狭トラック
化に伴い、トラック幅41の規制がより精密にできる、
図7Bに示したオーバーレイ(overlaid)構造
を用いたMRヘッド構造も有効である。
【0071】次に、MRヘッド50の記録再生のメカニ
ズムを図6を用いて説明する。図6に示すように、記録
する際には、コイル17に流した電流により発生した磁
束が、上部コア16と上部シールド15との間より漏
れ、磁気ディスク21に記録することができる。MRヘ
ッド30は、ディスク21に対して相対的に矢印cの方
向に進むので、コイル17に流す電流を反転させること
により、記録磁化の方向23を反転させることができ
る。また、高密度化に伴い、記録長22が短くなるの
で、それにともない記録キャップ長19を小さくする必
要がある。
【0072】再生する場合には、磁気ディスク21の記
録磁化部から漏れた磁束24が、シールド10、15に
挟まれたMR素子部9に作用して、MR素子部9の抵抗
を変化させる。MR素子部9には、リード部13を介し
て電流が流れているので、抵抗の変化を電圧の変化(出
力)として読みとることができる。
【0073】図8は、本発明のMR素子を用いたヨーク
型ヘッドの構成を示す。ヨーク型ヘッド80は、MR素
子部9とヨーク部81と絶縁膜部82と記録ポール部1
8と巻き線部83とを備えている。ヨーク部81と記録
ポール部18とは記録再生ギャップ20を形成してい
る。
【0074】次に、MRヘッドの製造方法は概略、図9
のように説明できる。
【0075】すなわち、図4に示すように、まず、基板
上に適当な処理を施した後、下部シールド膜10を形成
する(S801)。さらに、下部シールドギャップ11
を形成した後(S802)、MR素子部9を形成する
(S803)。次に、MR索子部9をパターニングした
後(S804)、ハードバイアス部12、リード部13
を形成する(S805、S806)。次に上部シールド
ギャップ14、上部シールド15を形成する(S80
7、S808)。この後、図7Aに示すような書き込み
ヘッド部31を形成して、MRヘッド30が完成する
(S809)。
【0076】図10を参照して、S803で説明したM
R素子部9の製造方法をさらに詳しく説明する。図2に
示すように非磁性基板1上にFe−M−Oより成るター
ゲットをスパッタリングすることにより、Fe−M−O
層2が形成される(S901)。次に、Fe−M−O層
2上に、固定層3、非磁性層4および自由層5が順次積
層され、MR素子部9が形成される(S902)。
【0077】なお、図3に示すMR素子300を製造す
る場合は、自由層5上にさらに非磁性層4、固定層3お
よび磁化回転抑制層6が順次積層され、MR素子部が形
成される。
【0078】将来のハードディスクドライブの高密度化
を考慮すると、記録波長を短くする必要性があり、その
ためには図4に示したシールド間の距離d(図6の距離
18)を短くする必要がある。そのためには図4から明
らかな様に、MR素子部9を薄くする必要があり、反強
磁性体層を除いたMR素子部9の膜厚は少なくとも20
nm以下とするのが望ましい。また本発明に係る反強磁
性体であるFe−M−O層2は絶縁体なので、絶縁体の
一部として図4でシールドギャップ11の一部として存
在する場合には、厚みに関する制限は少ない。しかし、
Fe−M−O層2がMR素子部9の一部として存在する
場合、なるべく薄いのが望ましく、40nm以下、望ま
しくは20nm以下とするべきである。
【0079】またMR素子部9においては、軟磁性膜の
磁化反転時にバルクハウゼンノイズの発生を押さえるた
めに、図2、3の自由層5の磁化容易軸は、検知すべき
信号磁界方向に概略垂直となるように構成されているの
がよい。
【0080】
【実施例】本発明の交換結合膜、MR素子およびMRヘ
ッドについて以下具体的な実施例を用いて説明する。
【0081】(実施例1)実施例1に示すような交換結
合膜の作製には、多元スパッタリング装置を用いた。タ
ーゲットには、Fe23およびCo0.9Fe0.1を用い
た。Fe23ターゲットの上にTi23のチップを置き
(Fe1-XTiX23膜を形成した。
【0082】真空チャンバー内を1×10-8Torr以
下まで排気した後、Arガスを約0.8mTorrにな
るように流しながら、ガラス基板上に、スパッタリング
法を用いて図1の構成の交換結合膜100を作製した。
各層の厚み等の試料の詳細は以下に示す。ここで、かっ
こ内は各層の厚みをnm単位で示している。カソードと
しては、Fe23の場合にはrfカソードを用い、その
他の場合にはDCカソードを用いた。
【0083】作製した交換結合膜を、真空中約80kA
/m(1kOe)の磁界を印加しながら250℃の温度
に1時間保持した。その後、室温で、振動試料型磁力計
を用い、磁化曲線を測定した。
【0084】A1:(Fe1-XTiX23(50)/C
0.9Fe0.1(10)測定された磁化曲線の形状を模式
的に図11に示す。磁化回転抑制層の(Fe 1-XTiX
23層は殆ど磁化がないので、Co0.9Fe0.1は交換結
合膜100の磁化曲線を見ていることになる。図11の
磁化曲線では原点より重心がシフトしているがこのシフ
ト量をHuaとする。シフト量Huaは、交換バイアス
の強さを表している。また、磁化曲線の印加磁界軸との
交点の幅の半分で、シフト量Hcを定義する。シフト量
Hcも、酸化物の磁化回転抑制層を用いた場合には交換
バイアス磁界により大きくなる傾向がある。
【0085】交換結合膜100の磁化曲線より求めたH
uaおよびHcの値を図12に示す。横軸のxは、(F
1-xx23における原子組成比xを示す。しかも、
M=Tiである。
【0086】図12より、Tiを導入することにより、
Huaが増大していることがわかる。これはTiの導入
により、比較的低温の熱処理でも、一方向異方性が誘起
されるようになったことを意味している。ただし、Ti
を過度に導入すると逆にHuaは低下している。
【0087】又、以上は(Fe1-XTiX23膜の製膜
方法として、Fe23ターゲットの上にTi23のチッ
プを置く場合について説明したが、合金ターゲットを用
いることも可能である。又、TiのチップをFe23
ーゲットの上におく方法でもよい。ただしこの場合に
は、原子組成比(FeTi)/Oが概略1/1.2〜
1/1.6となるように、スパッタガスとしてArガス
だけでなく酸素ガスを混ぜるなどして、とくに注意する
必要がある。
【0088】図11で、x>0.4の組成領域でHu
a、Hcともに大きく低下しているがこの原因の一つ
は、(Fe1-XTiX23層に磁化が発生し、フェリ磁
性体となっている可能性がある。
【0089】原子組成比(FeTi)/Oが1/1.
2〜1/1.6からずれている場合も磁化が発生する可
能性があり、この時にもHuaが低下する。また、(F
1-XTiX23膜が磁化を持つと、そこから磁束が発
生し、交換結合膜100の利用に支障を来すことがあ
る。
【0090】以上はTiを置換元素として添加した場合
について説明したが、α−Fe23膜のFe原子をA
l、Co、Mn、Cr、Ni、V等で置換した膜の試料
A2も同様に作製した。また熱処理もTiの場合と同様
に行った。
【0091】A2:(Fe0.90.123(50)/C
0.9Fe0.1(10) この交換結合膜のHuaおよびHcの値をAlと同様に
して評価した。その結果を、(表1)に示す。
【0092】
【表1】
【0093】(表1)に示すように、Fe23膜のFe
原子をAl、Co、Mn、Cr、Ni、V等で置換する
ことにより、Huaが増加していることがわかる。
【0094】また、同様にして、比較例として、Fe2
3膜のFe原子をSn、Sb、Geで置換した交換結
合膜100を作成した。ただしこの場合も(FeM)
/O=1/1.2〜1.6(MはSn、Sb、Geの内
いすれか)となるように組成を調整した。
【0095】この結果、Huaは増加せず、Hcが低下
しただけで、固定層である強磁性体層3のピン止め効果
は低下した。
【0096】(実施例2) 実施例1と同様に、多元スパッタリング装置を用い、図
2に示すようなMR素子を作製した。基板1としてSi
基板を用い、磁化回転制御層としてFe−Al−O層
2、固定層3の強磁性層としてCo、非磁性層4として
Cu、自由層5としてNi0.58Fe0.20Co0.12を用い
た。この場合、Fe−Al−O層の原子組成比として
は、Al/(Fe+Al)=0.05/1とし、概略
(Fe+Al)/O=1/1.2〜1/1.6となるよ
うにした。各層の厚み等は以下のようにした。
【0097】B1:Fe−Al−O(35)/Co
(2)/Cu(2)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(5) このようにして作製したMR素子を実施例1と同様の方
法で、250℃で30分熱処理した。
【0098】このようにして作製したMR素子B1のM
R特性を室温で最高40kA/mの磁界を印加して、直
流4端子法で評価した。その結果を表2に示す。比較の
ために、Fe−Al−O層の代わりにFe23層を用
い、全く同様にして作成したMR素子の試料B0も、同
様の方法でMR特性を評価した。
【0099】
【表2】
【0100】(表2)の試料のMR曲線は、概略、図1
3に示すような形となる。図13で最初マイナス側に大
きな磁界を印加すると自由層5と固定層3の磁化方向は
ともに揃った方向を向く(a)。これより次第に磁界を
減少させていき、+側に反転すると、まず自由層5の磁
化方向が反転し、抵抗が上昇する(b)。更に外部磁界
を増加させると、今度は固定層3の磁化方向も反転し、
(c)の状態となり、抵抗は低下し、もとのレベルとな
る。この反転磁界をHpとし、上記の試料について測定
した結果を表2にMR比と併せて示す。
【0101】(表2)の結果より、本発明の試料B1は
従来例の試料B0に比べて、MR比の点では遜色なく、
かつ高いピン止め磁界HPを有していることがわかる。
【0102】また、試料B1と全く同様にして、自由層
5が非磁性層4を介した複数の磁性層からなる試料B2
を作成する。
【0103】B2:Fe−Al−O(35)/Co
(2)/Cu(2)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(2)
/Cu(1)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(2) 試料B2を試料B1と同様の方法にて評価した。その結
果、本発明の試料B2は、試料B1に比べてMR比やH
pは殆ど変化がないが、自由層5の軟磁気特性が改善さ
れ、軟磁性層の保磁力が、約800A/mから400A
/mまで下がった。このように、自由層5を非磁性層4
を介して積層された2層以上の磁性層から構成すること
により、自由層5の軟磁気特性を改善し、MR素子の磁
界感度を向上させることができる。
【0104】また試料B1と全く同様にして、固定層3
としてCo(2)のかわりに反強磁性交換結合したCo
(2)/Ru(0.6)/Co(2)を用いたB3:F
e−Al−O(35)/Co(2)/Ru(0.6)/
Co(2)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(5) を作製し、試料B1と同様の方法にて評価した。この本
発明の試料B3は試料B1に比べてMR比は2.1%低
下したが、Hpは40kA/m以上となり、かつ固定層
3の端面に発生する磁極による自由層5へのバイアスの
影響がまったく無いことがわかった。
【0105】次に本発明の試料B1および比較例の試料
B0をMR素子9を用いて、図5に示すようなMRヘッ
ド30を構成して、特性を評価した。この場合、基板と
してはAl23−TiC基板を用い、シールド10、1
5材にはNi0.8Fe0.2合金を用い、シールドギャップ
11、14にはAl23を用いた。またハードバイアス
部12にはCo−Pt合金を用い、リード部13をAu
で構成した。また、自由層5の磁化容易方向が検知すべ
き信号磁界方向と垂直になるように、固定層3の磁化容
易軸の方向が検知すべき信号磁界方向と平行になるよう
に磁性層(自由層5および固定層3)に異方性を付与し
た。この方法は、MR素子を作成後、まず、磁界中27
0℃で熱処理して、固定層3の磁化容易軸の方向を規定
した後、更に、180℃で熱処理して、自由層5の磁化
容易軸の方向を規定して行った。
【0106】これらのMRヘッドに、センス電流として
直流電流を流し、約3kA/mの交流信号磁界を印加し
て両ヘッドの出力を評価した。その結果、本発明の試料
B1のMR素子を用いたMRヘッドの出力は、試料B0
のMR素子を用いた従来のMRヘッドとほぼ同等であっ
た。ただし、測定中15kA/mの直流磁界をいったん
印加して取り除くと、比較例の試料B0を用いたMRヘ
ッドは出力が不安定になったのに対し、本発明のB1を
用いた磁気ヘッドは直流磁界印加後も出力が安定であっ
た。
【0107】(実施例3)実施例2と同様の方法で、図
2の構成のMR素子200を作成した。ただし、Al/
(Fe+Al)=0.1/1、Ti/(Fe+Ti)=
0.1/1、Mn/(Fe+Co)=0.2/1、Cr
/(Fe+Co)=0.2/1、Cr/(Fe+Cr)
=0.1/1とした。この場合、磁化回転抑制層とし
て、以下に示すような複合タイプのものも作成した。最
後に付けたCu層は酸化防止膜である。 C1:Fe−Al−O(20)/Co0.85Fe
0.15(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Cu(1) C2:Fe−Co−O(20)/Co0.85Fe
0.15(2)/Cu(2.2)/Co0.85Fe0.15(1)
/Ni0.8Fe0.2/Cu(1) C3:Fe−Cr−O(20)/Co0.85Fe
0.15(2)/Cu(2.2)/Co0.85Fe0.15(1)
/Ni0.8Fe0.2(5)/Cu(1) C4:NiO(10)/Fe−Al−O(10)/Co
0.85Fe0.15(2)/Cu(2.2)/Co0.85Fe
0.15(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Cu(1) C5:Fe−Ti−O(10)/Fe−Co−O(1
0)/Co0.85Fe0.15 (2)/Cu(2.2)/Co
0.85Fe0.15(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Cu
(1) C6:Fe−Mn−O(20)/Co0.85Fe
0.15(2)/Cu(2.2)/Co0.85Fe0.15(1)
/Ni0.8Fe0.2(5)/Cu(1) C7:Fe−Ti−O(10)/Fe−Al−O(1
0)/Co0.85Fe0.15 (2)/Cu(2.2)/Co
0.85Fe0.15(1)/Ni0.8Fe0.2 (5)/Cu
(1) C8:Fe23(20)/Co0.85Fe0.15(2)/C
u(2.2)/Co0.85Fe0.15(1)/Ni0.8Fe
0.2(5)/Cu(1) C9:NiO/Co0.85Fe0.15(2)/Cu(2.
2)/Co0.85Fe0.15(1)/Ni0.8Fe0.2/Cu
(1) C10:(Fe0.9Al0.123(10)/NiO(1
0)/Co0.85Fe0.15(2)/Cu(2.2)/Co
0.85Fe0.15(1)/Ni0.8Fe0.2/Cu(1) 作成したMR素子を実施例1と同様の方法で250℃で
30分間熱処理した。
【0108】実施例2と全く同様の方法でMR特性を評
価した。その結果を表3に示す。
【0109】
【表3】
【0110】以上示したように、本発明の試料C1−C
7およびC10は、従来例の試料C8、C9に比べて、
交換バイアス磁界Hpが大きいため、磁化の反平行状態
を実現できやすく、MR比が大きくなる。特にMR比で
はFe−Mn−O層、Fe−Co−O層が有効である。
また試料C1およびC10に比べて試料C2−C7はH
pが大きい。特にHpではFe−Co−O層が有効であ
る。
【0111】以上は本発明のMR素子について説明した
が、上記実施例から、MR素子を構成する交換結合膜に
おいても、本発明の交換結合膜は、従来の交換結合膜よ
りも優れた交換バイアス特性を示すことは明らかであ
る。
【0112】(実施例4)実施例1と同様の方法で、図
3に示すデュアルスピンバルブ膜のMR素子300を作
成した。
【0113】この場合、概略、Al/(Fe+Al)=
0.05/1、(Fe+Al)/0=1.2〜1.6、
Ti/(Fe+Ti)=0.05/1、(Fe+Ti)
/0=1.2〜1.6、Mn/(Fe+Mn)=0.0
2/1、Co/(Fe+Co)=0.2/1とした。 D1:Fe23(30)/Co(3)/Cu(2.5)
/Co(1)/Ni0.8 Fe0.2/Co(1)/Cu
(2.5)/Co(3)/Ir−Mn(8) D2:Fe−Al−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Co
(1)/Cu(2.5)/Co(3)/Ir−Mn
(8) D3:Fe−Al−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Co
(1)/Cu(2.5)/Co(3)/Fe−Co−O
(30) D4:Fe−Mn−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Co
(1)/Cu(2.5)/Co(3)/Fe−Co−O
(30) D5:NiO(10)/Fe−Co−O(20)/Co
(3)/Cu(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2
/Co(1)/Cu(2.5)/Co(3)/Fe−C
o−O(30) D6:Fe−Ti−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2/Co(1)
/Cu(2.5)/Co(3)/Ir−Mn(8) D7:Fe−Ti−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Co
(1)/Cu(2.5)/Co(3)/Fe−Ti−O
(30) D8:Fe−Ti−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Co
(1)/Cu(2.5)/Co(3)/Fe−Co−O
(30) D9:Fe−Ti−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Co
(1)/Cu(2.5)/Co(3)/NiO(30) D11:Fe−Al−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(5)/Co
(1)/Cu(2.5)/Co(3)/PtMn(2
0) 以上のMR素子に関して、実施例1と同様の方法で熱処
理した後、実施例2と同様の方法でMR効果を測定し
た。その結果を表4に示す。
【0114】
【表4】
【0115】従来例の試料D1に比べて、本発明の実施
例のMR素子の試料D2−D10は大きなMR比を示
す。
【0116】これは図3でFe−M−O層2の磁化回転
抑制層のピン止め効果が大きいため固定層3の磁化方向
が固定され、自由層5との間で磁化の反平行状態が良く
実現されるためと考えられる。また試料D2、D6、D
11はMR比がやや小さいが試料D3−D5、試料D7
−D9に比べて磁化回転抑制層6のピン止め効果が大き
い。
【0117】また、試料D3と全く同様にして、自由層
5が非磁性層4を介した3層の磁性層からなるタイプの
以下に示すMR素子を作成した。 D10:Fe−Al−O(30)/Co(3)/Cu
(2.5)/Co(1)/Ni0.8Fe0.2(1.5)/
Cu(0.6)/Ni0.8Fe0.2(1.5)/Cu
(0.6)/Ni0.8Fe0.2(1.5)/Co(1)/
Cu(2.5)/Co(3)/Fe−Co−O(30) 試料D10を試料D3と同様の方法にて評価した。その
結果、本発明の試料D10は、試料D3に比べてMR比
やHpは殆ど変化がないが、自由層5の軟磁気特性が改
善され、軟磁性層の保磁力が、約800A/mから25
0A/mまで下がった。このように、自由層5を非磁性
層4を介して積層された2層以上の磁性層から構成する
ことにより、自由層5の軟磁気特性を改善し、MR素子
の磁界感度を向上させることができる。
【0118】また試料D11と全く同様にして固定層と
してCo(3)のかわりに反強磁性結合したCo(2)
/Ru(0.7)/Co(3)を用いた下記のD12を
作成し、試料D11と同様に評価したところ、MR比
は、3.5%低下したが、HpはD11の約3倍となっ
た。 D12:Fe−Al−O(30)/Co(2)/Ru
(0.7)/Co(3)/Cu(2.5)/Co(1)
/Ni0.8Fe0.2(5)/Co(1)/Cu(2.5)
/Co(3)/Ru(0.7)/Co(2)/Pt−M
n(20)
【0119】(実施例5)まず、ガラス基板を様々な条
件でイオンビームを用いて表面処理し、表面粗さを変化
させた。この様にして処理したガラス基板上に実施例2
と全く同様の方法で、以下に示すMR素子を作製した。
【0120】E:Fe−Co−O(8)/Co0.85Fe
0.15(2)/Cu(2)/Ni0. 68Fe0.20Co
0.12(3) 作成した試料の表面粗さとMR比を表5に示す。この場
合の表面粗さは、STM(Scanning Tunneling microsc
ope)を用いて評価した。10mm角の試料の表面上
で、無作為に10nm×10nmのエリアを10カ所選
び、各エリアで最も高い点と低い点の差をそのエリアの
表面粗さとし、それを10カ所で平均してその試料の表
面粗さとした。
【0121】
【表5】
【0122】表5の結果から、表面粗さが0.5nm以
下のものは大きなMR比を示すことが分かる。
【0123】(実施例6)実施例4で前述した試料D7
を用いて図8に示したヨーク型MRヘッド80を作製し
た。
【0124】この場合図8の絶縁膜17にはプラズマ酸
化法で作製した厚さ2nmのAl−O超薄膜を用いた。
又ヨーク部16には高透磁率のCo−Nb−Zr系アモ
ルファス合金膜を用いた。このようにして作製したヨー
ク型MRヘッドの出力と、MR素子として実施例5の試
料D1を用いて、全く同様の方法で作成したMRヘッド
との出力を比較したところ約+3dbの出力アップが実
現されることがわかった。
【0125】
【発明の効果】本発明の酸化物の磁化回転抑制層を用い
た交換結合膜は従来のものに比べて大きな交換バイアス
磁界を強磁性体に与える。その結果、固定層の磁化方向
が安定し、熱的安定性が良好で大きなMR比を示す交換
結合膜、MR素子およびMRヘッドを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の交換結合膜の断面の模式図。
【図2】本発明のMR素子の断面の模式図。
【図3】本発明の別のMR素子の断面の模式図。
【図4】本発明のMRヘッドの断面図の一例を示す図。
【図5】本発明のMRヘッドの立体図。
【図6】本発明のMRヘッドと磁気ディスクの一断面
図。
【図7A】本発明の記録ヘッド一体型MRヘッドの一断
面図。
【図7B】本発明の他のMRヘッドの一断面図。
【図8】本発明のさらに他のMRヘッドの断面図。
【図9】本発明のMRヘッドの製造工程を示すフローチ
ャートの一例。
【図10】本発明のMR素子部9の製造工程を示すフロ
ーチャートの一例。
【図11】本発明の交換結合膜の磁化曲線の一例を示す
図。
【図12】(Fe1-xTix23(50)/Co0.9
0.1(10)膜のHcとHuaのx依存性を示す図。
【図13】本発明のMR素子のMR曲線の一例を示す
図。
【符号の説明】
1 基板 2 Fe−M−O層 3 強磁性体層(固定層) 4 非磁性層 5 自由層 6 磁化回転抑制層 9 MR素子部 10 下部シールド 11 下部シールドギャップ 12 ハードバイアス部 13 リード部 14 上部シールドギャップ 15 上部シールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 康成 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−262529(JP,A) 特開 平6−223336(JP,A) 特開 平7−169026(JP,A) 特開 平9−205234(JP,A) 特開 平7−220246(JP,A) 特開 平10−98219(JP,A) 特開 平9−275233(JP,A) 特表 平7−509811(JP,A) 特表 平7−509812(JP,A) 国際公開97/5664(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/08 G11B 5/39 H01F 10/08

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と多層膜とから成り、 該多層膜は、強磁性体層と該強磁性体層に隣接して設け
    られ該強磁性体層の磁化回転を抑制する磁化回転抑制層
    とを含んでいる交換結合膜であって、該磁化回転抑制層は、(Fe 1-X X 2 3 層(M=A
    l、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)を含んでいる
    交換結合膜。
  2. 【請求項2】 該磁化回転抑制層は、NiO層をさらに
    含んでいる、請求項1に記載の交換結合膜。
  3. 【請求項3】 該磁化回転抑制層は、Fe−M’−O層
    (M’=Al、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V)を
    さらに含んでおり、 該Fe−M’−O層と該Fe−M−O層とは元素の組成
    が異なっている、請求項1に記載の交換結合膜。
  4. 【請求項4】 該多層膜の表面粗さが概略0.5nm以
    下である、請求項1に記載の交換結合膜。
  5. 【請求項5】 基板と多層膜とから成り、 該多層膜は、少なくとも2つの強磁性体層と非磁性層と
    該強磁性体層の1つの磁化回転を抑制する磁化回転抑制
    層とを含んでおり、 該強磁性体層は該非磁性層を挟んで積層されており、 該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、該1つの該強
    磁性体層に対して該非磁性層の反対側に他方の該強磁性
    体層と接して設けられた該磁化回転抑制層によって磁化
    方向が固定された固定層であり、 該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、磁化方向が自
    由に回転できる自由層であり、 該固定層の磁化方向と該自由層の磁化方向との相対角度
    の変化により電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子であ
    って、該磁化回転抑制層は、(Fe 1-X X 2 3 層(M=A
    l、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)を含んでいる
    磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 該磁化回転抑制層は、NiO層をさらに
    含んでいる、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 該磁化回転抑制層は、Fe−M’−O層
    (M’=Al、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V)を
    さらに含んでおり、 該Fe−M’−O層と該Fe−M−O層とは元素の組成
    が異なっている、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 該多層膜の表面粗さが概略0.5nm以
    下である、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 該多層膜は、基板上に第1の磁化回転抑
    制層と、第1の固定層と、第1の非磁性層と、強磁性体
    から成る自由層と、第2の非磁性層と、第2の固定層
    と、第2の磁化回転抑制層とを順次積層して成り、 該第1の磁化回転抑制層は、Fe−M−O層(M=A
    l、Ti、Co、Mn、Cr、Ni、V)を含んでお
    り、 該第1の磁化回転抑制層は、該第1の固定層の磁化方向
    を固定し、 該第2の磁化回転抑制層は、該第2の固定層の磁化方向
    を固定し、 該第1の磁化回転抑制層は、(Fe 1-X X 2 3 層(M
    =Al、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)を含んで
    いる 、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 【請求項10】 該第2の磁化回転抑制層は、NiOま
    たはFe−M−O層(M=Al、Ti、Co、Mn、C
    r、Ni、V)のいずれかを含んでいる、請求項に記
    載の磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】 該自由層は、第3の非磁性層と、該第
    3の非磁性層を挟んで積層された2層以上の磁性層とを
    含む、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 【請求項12】 該自由層は、第3の非磁性層と、該第
    3の非磁性層を挟んで積層された2層以上の磁性層とを
    含む、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  13. 【請求項13】 該固定層は、第3の非磁性層と、該第
    3の非磁性層を介して反強磁性的に交換結合した2つの
    磁性層とを含む、請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  14. 【請求項14】 該少なくとも一方の固定層は、第3の
    非磁性層と、該第3の非磁性層を介して反強磁性的に交
    換結合した2つの磁性層とを含む、請求項に記載の磁
    気抵抗効果素子。
  15. 【請求項15】 請求項に記載の磁気抵抗効果素子
    と、 該磁気抵抗効果素子とシールド部とを絶縁するシールド
    ギャップ部とを備えている磁気抵抗効果型ヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項に記載の磁気抵抗効果素子
    と、 該磁気抵抗効果素子へ検知すべき磁界を導入するヨーク
    部とを備えている磁気抵抗効果型ヘッド。
  17. 【請求項17】 基板と多層膜とから成り、 該多層膜は、少なくとも2つの強磁性体層と非磁性層と
    該強磁性体層の磁化回転を抑制する磁化回転抑制層とを
    含んでおり、 該少なくとも2つの強磁性体層は該非磁性層を挟んで積
    層されており、 該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、該強磁性体層
    に対して該非磁性層の反対側に該強磁性体層と接して設
    けられた該磁化回転抑制層によって、磁化方向が固定さ
    れた固定層であり、 該強磁性体層のうちの少なくとも1つは、磁化方向が自
    由に回転できる自由層であり、 該固定層の磁化方向と該自由層の磁化方向との相対角度
    の変化により電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子の製
    造方法であって、 基板上に該磁化回転抑制層を形成する第1工程と、 該磁化回転抑制層上に該固定層、該非磁性層および該自
    由層を順次積層する第2工程とを含んでおり、 該第1工程は、主な成分が(Fe 1-X X 2 3 層(M=
    Al、Ti、Cr、0.01≦x≦0.4)から成るタ
    ーゲットをスパッタリングする工程を包含する磁気抵抗
    効果素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 基板上に第1の磁化回転抑制層と、第
    1の固定層と、第1の非磁性層と、強磁性体から成る自
    由層と、第2の非磁性層と、第2の固定層と、第2の磁
    化回転抑制層とを順次積層して成る多層膜を含み、 該第1の磁化回転抑制層は該第1の固定層の磁化方向を
    固定し、 該第2の磁化回転抑制層は該第2の固定層の磁化方向を
    固定し、 該第1の固定層の磁化方向および該第2の固定層の磁化
    方向と該自由層の磁化方向との相対角度の変化により電
    気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子の製造方法であっ
    て、 該基板上に該第1の磁化回転抑制層を形成する第1工程
    と、 該第1の磁化回転抑制層上に該第1の固定層、該第1の
    非磁性層、該自由層、該第2の非磁性層および該第2の
    固定層を順次積層する第2工程と、 該第2の固定層上に該第2の磁化回転抑制層を形成する
    第3工程とを含んでおり、 該第1工程および該第3工程は、主な成分が(Fe 1-X
    X 2 3 層(M=Al、Ti、Cr、0.01≦x≦
    0.4)から成るターゲットをスパッタリングする工程
    を包含する磁気抵抗効果素子の製造方法。
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