JP3135117B2 - 磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果型ヘッドおよび磁気抵抗効果素子の製造方法

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    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低磁界で大きな磁気
抵抗変化をおこす磁気抵抗効果素子、およびそれを用い
て構成される、高密度磁気記録再生に適した磁気抵抗効
果型ヘッドおよび磁気抵抗効果素子の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より磁気抵抗効果素子(以下MR素
子とも記す)を用いた磁気抵抗センサ−(以下MRセン
サ−という)、磁気抵抗ヘッド(以下MRヘッドとい
う)の開発、実用化が進められており、磁性体には主に
Ni0.8Fe0.2のパ−マロイやNi0.8Co0.2合金膜が
用いられている。これら磁気抵抗効果材料の場合は磁気
抵抗変化率(以下MR比と記す)が2%程度であり、よ
り高感度な磁気抵抗素子を得るためにはよりMR比の大
きなものが求められている。近年Cr,Ru等の金属非
磁性薄膜を介して反強磁性的結合をしている[Fe/C
r],[Co/Ru]人工格子膜が強磁場(1〜10
kOe)で約100%の大きな抵抗変化(巨大磁気抵抗
効果)を示すことが発見された(フィジカル レヴュー
レター 61 第2472頁(1988年);同64
第2304頁(1990)(Physical Rev
iew Letter Vol.61,p2472,1
988;同Vol.64,p2304,1990))。
しかしながらこれらの人工格子膜は大きなMR変化を得
るのに数kOe〜数10kOeの磁界を必要とし、磁気
ヘッド等の用途には実用的でない。
【0003】微小印加磁界で動作するものとしては反強
磁性材料のFe−MnをNi−Fe/Cu/Ni−Fe
につけたスピンバルブ型のものが提案されている(ジャ
ーナル オブ マグネティズム アンド マグネティッ
ク マテリアルズ 93第101頁(1991年)(J
ournal of Magnetism andMa
gnetic Materials 93,p101,
1991))。このタイプのスピンバルブ膜において
は、反強磁性材料に接した強磁性膜(ピン層)は、交換
結合により一方向異方性を与えられ、磁化方向が一方向
に固定される。これに対して、ピン層と非磁性層を介し
て設けられた強磁性層(フリー層)においては、外部か
らの信号磁界に対して比較的自由に磁化方向を回転でき
るので、ピン層とフリー層の相対的磁化方向が変化し、
電気抵抗が変化する。このタイプのMR材料は、動作磁
界は確かに小さく、直線性も良いもののMR比は約2%
と小さい点や、Fe−Mn膜の耐蝕性の問題点、Fe−
Mn薄膜のネ−ル温度が低いために素子の特性の温度依
存性が大きい等の欠点があった。
【0004】スピンバルブ膜に用いられる反強磁性体と
しては、NiO(日本応用磁気学会誌 18 第355
頁、1994)、α−Fe23等(特開平8−2791
17,特開平9−92904)の酸化物反強磁性体を用
いることも提案されている。NiO膜を用いたスピンバ
ルブ膜の場合、MR比は4−5%と、Fe−Mnを用い
たものより大きいが、作成上の困難、交換バイアス磁界
の熱安定性の悪さなどの難点もあり、実用化には至って
いない。α−Fe23膜を用いたスピンバルブ膜は、ピ
ン層に発生する一方向異方性が弱く、保磁力が大きいの
で、後述の保磁力差タイプのスピンバルブ膜となりやす
い。また、成膜後熱処理をしないと、十分なMR比を得
られない等の問題があった。
【0005】反強磁性体を用いず、代わりにCo−Pt
等の硬質磁性材料を用いた、Ni−Fe/Cu/Co−
Pt等の構成の硬質磁性膜と軟磁性膜の保磁力差を利用
したタイプのスピンバルブ膜も提案されている。この場
合は硬質磁性膜の保磁力以下で、軟磁性層(Ni−Fe
膜)の磁化を回転することにより磁化の平行、反平行状
態を作り出すものである。ただしこの場合も軟磁性層の
特性をよくするのは難しく、実用化には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のスピンバルブ型
のMR素子は、MR比が十分高くなかった。また、MR
比の高いNiOを用いたスピンバルブ膜については、熱
安定性やMR曲線のヒステリシスの問題、およびピン止
め磁界が十分大きくない問題があった。また従来のα−
Fe23膜を用いたスピンバルブ膜の場合、NiOを用
いたものに比べてMR比が低く、作成後の熱処理が無い
と十分な特性が得られにくい問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気抵抗効果素
子は、非磁性基板上に直接または下地層を介して反強磁
性体膜、第1の強磁性膜、非磁性膜および第2の強磁性
膜を順次積層してなる多層膜から成る磁気抵抗効果素子
であって、該反強磁性体膜は、α−Fe23膜を含んで
おり、該多層膜の表面粗さが0.5nm以下であり、そ
のことにより上記目的が達成される。該第1の強磁性膜
は、Co1-XFeX合金(0<x≦0.5、xは原子組成
比)層を含んでもよい。該第1の強磁性膜は、Ni−F
e合金またはNi−Fe−Co合金層上にCo1-XFeX
合金(0<x≦0.5、xは原子組成比)層を積層して
構成されていてもよい。該下地層は、PtまたはAuを
主成分としてもよい。該α−Fe23膜の膜厚は、5n
m以上40nm以下であってもよい。該第2の強磁性膜
の磁化容易軸は、検知すべき信号磁界方向に垂直となる
ように構成されていてもよい。本発明に係る他の磁気抵
抗効果素子は、非磁性基板上に直接または下地層を介し
て反強磁性体膜、第1の強磁性膜、非磁性膜および第2
の強磁性膜を順次積層してなる多層膜から成る磁気抵抗
効果素子であって、該反強磁性体膜は、α−Fe23
と他の反強磁性体との積層体を含んでおり、 該他の反強
磁性体は、NiO膜またはCoO膜を含んでおり、その
ことにより上記目的が達成される。該NiO膜は、該α
−Fe23膜上に積層されていてもよい。該α−Fe2
3膜は、該NiO膜上に積層されていてもよい。該第
2の強磁性膜の磁化容易軸は、検知すべき信号磁界方向
に垂直となるように構成されていてもよい。非磁性基板
上に直接または下地層を介して第1の反強磁性体膜、第
1の強磁性膜、第1の非磁性膜、第2の強磁性膜、第2
の非磁性膜、第3の強磁性膜および第2の反強磁性体膜
を順次積層してなる多層膜から成る磁気抵抗効果素子で
あって、該第1の反強磁性体膜は、α−Fe23膜を含
んでおり、該多層膜の表面粗さが0.5nm以下であっ
てもよい。該第2の強磁性膜の磁化容易軸は、検知すべ
き信号磁界方向に垂直となるように構成されていてもよ
い。本発明に係る他の磁気抵抗効果素子は、非磁性基板
上に直接または下地層を介して第1の反強磁性体膜、第
1の強磁性膜、第1の非磁性膜、第2の強磁性膜、第2
の非磁性膜、第3の強磁性膜および第2の反強磁性体膜
を順次積層してなる多層膜から成る磁気抵抗効果素子で
あって、該第1の反強磁性体膜は、α−Fe23膜と他
の反強磁性体との積層体を含んでおり、 該他の反強磁性
体は、NiO膜またはCoO膜を含んでおり、そのこと
により上記目的が達成される。該第2の強磁性膜の磁化
容易軸は、検知すべき信号磁界方向に垂直となるように
構成されていてもよい。該第1の強磁性膜と該第3の強
磁性膜との少なくとも一方は、間接交換結合膜を含んで
てもよい。本発明に係るさらに他の磁気抵抗効果素子
は、非磁性基板上に直接または下地層を介してα−Fe
23を主成分とする反強磁性体膜、間接交換結合膜、第
1の非磁性膜および第1の強磁性膜を順次積層してなる
多層膜から成り、そのことにより上記目的が達成され
る。該一対の強磁性層は、Coを主成分としていてもよ
い。該第2の非磁性層は、Ruを主成分していてもよ
い。本発明に係る磁気抵抗効果型ヘッドは、本発明に係
る磁気抵抗効果素子と、該磁気抵抗効果素子とシールド
部とを絶縁するシールドギャップ部とを備え、そのこと
により上記目的が達成される。本発明に係る磁気抵抗効
果素子の製造方法は、非磁性基板上に直接または下地層
を介して反強磁性体膜、第1の強磁性膜、非磁性膜およ
び第2の強磁性膜を順次積層してなる多層膜から成る磁
気抵抗効果素子の製造方法であって、該非磁性基板上に
直接または下地層を介して、膜厚が5nm以上40nm
以下である該反強磁性体膜を形成する第1工程と、該多
層膜の表面粗さが0.5nm以下となるように、該反強
磁性体膜上に該第1の強磁性膜、該非磁性膜および該第
2の強磁性膜を順次積層する第2工程とを含んでおり、
該第1工程は、主な成分がα−Fe23から成るターゲ
ットをスパッタリングする工程を包含し、そのことによ
り上記目的が達成される。本発明に係る他の磁気抵抗効
果素子の製造方法は、非磁性基板上に直接または下地層
を介して第1の反強磁性体膜、第1の強磁性膜、第1の
非磁性膜、第2の強磁性膜、第2の非磁性膜、第3の強
磁性膜および第2の反強磁性体膜を順次積層してなる多
層膜から成る磁気抵抗効果素子の製造方法であって、該
非磁性基板上に直接または下地層を介して該第1の反強
磁性体膜を形成する第1工程と、該多層膜の表面粗さが
0.5nm以下となるように、該反強磁性体膜上に該第
1の強磁性膜、該第1の非磁性膜、該第2の強磁性膜、
該第2の非磁性膜、該第3の強磁性膜および該第2の反
強磁性体膜を順次積層する第2工程とを含んでおり、該
第1工程は、主な成分がα−Fe23から成るターゲッ
トをスパッタリングする工程を包含し、そのことにより
上記目的が達成される。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【発明の実施の形態】以下本発明の磁気抵抗効果素子お
よび磁気抵抗効果型ヘッドを図面に基づいて説明する。
【0032】図1、2に本発明の磁気抵抗効果素子の構
成を示す。本発明の磁気抵抗効果素子は、基板1上に反
強磁性体膜3、第1の強磁性膜4、非磁性膜5、第2の
強磁性膜6を順次積層した構成となっている。図1で
は、第1の強磁性体膜4は反強磁性体膜3から交換バイ
アス磁界を受け、磁化方向は一方向に固定される。一
方、非磁性膜5を介して形成された第2の強磁性膜6
は、外部からの磁界に応じて比較的自由に磁化方向を変
えるので、第2の強磁性膜(フリー層)6と第1の強磁
性膜(ピン層)4の磁化方向の相対的角度が変化し、電
気抵抗(磁気抵抗)が変化する。MRセンサーとして
は、外部からの磁界により生じた抵抗変化を電気信号と
して読みとることができる。
【0033】反強磁性体膜3としてはNiO,CoO,
α−Fe23膜等の酸化物反強磁性体膜が優れており、
中でもα−Fe23膜は最も優れた特性を示す。従来酸
化物反強磁性体の中ではNiOを用いたスピンバルブ膜
のMR比が、Fe−Mn等の金属反強磁性体を用いたも
のに比べて高いことが知られている。この原因は、Ni
Oを用いたスピンバルブ膜の場合、反強磁性体膜3と第
1の強磁性膜4(ピン層)との界面で伝導電子の鏡面反
射が起こることで説明される(フィジカル レヴュー
B第53巻第9108頁(1996年)(Physic
al Review B Vol.53,p9108,
1996−II)。界面で鏡面反射が起こる条件として
は、伝導電子の波長(数オングストローム)から見て反
強磁性体膜3と第1の強磁性膜4との界面が平滑になっ
ている必要がある。本発明では、従来、高いMR比を示
すスピンバルブ膜が作製されなかったα−Fe23膜を
用いたスピンバルブにおいて(特開平8−27911
7,特開平9−92904)、界面の平滑性を向上させ
ることにより、大きなMR比を得ることが出来た。
【0034】反強磁性体膜と強磁性膜との界面の平滑性
を評価する場合、直接界面あるいは反強磁性体の平面の
平滑性が評価できればより望ましいが、それが困難な場
合には、多層膜表面の平滑性で評価しても良い。多層膜
表面の平滑性としては、全表面にわたって完全に平滑で
あれば申し分ないが、例えば数百オングストロームの大
きな凹凸があったとしても、表面の一部分がオングスト
ローム単位の平滑な部分が形成されていればよい。具体
的には、0.5nm以下の凹凸の平滑な表面が10nm
×10nm以上の領域で形成されている部分が、概略全
表面の10%以上、望ましくは20%以上必要である。
【0035】図1、2では反強磁性体膜として、α−F
23膜を用いた例について示している。酸化物反強磁
性体膜が、Fe−Mn,Ni−Mn,Pd−Mn,Pt
−Mn,Ir−Mn,Fe−Ir,等の金属反強磁性体
膜に比べて優れている点は、一般にMR比が高いことが
あげられる。他に酸化物反強磁性体の優れている点は、
MR素子をMRヘッドとして用いた場合、酸化物反強磁
性体は絶縁膜なので、下地の絶縁膜(シールドギャッ
プ)の一部としてとらえることが出来るため、シールド
ギャップ材を含めたMR素子全体の厚み(図6のシール
ドギャップ間距離dに当たる距離)を薄く押さえること
が出来る点である。シールド間ギャップ距離dの小さい
MRヘッドは将来の高密度記録に適する。
【0036】図1(a)に示すようにα−Fe23膜を
単独で用いる場合には、少なくとも5nm以上の膜厚が
望ましい。また、最高でも40nm以下とすることが望
ましい。
【0037】一方、α−Fe23膜とNiO,CoO等
の他の反強磁性体を積層する事により、α−Fe23
を単独で用いる場合よりも有効に、交換バイアス磁界を
ピン層に働かせることが出来る。従って同一の膜厚で比
較した場合には、積層膜を用いた方が交換バイアス磁界
が大きくなったり、MR比が大きくなる等のメリットが
ある。また、同等のMR特性を得るためには積層した方
が全体の膜厚を薄くできるメリットがある。
【0038】NiO,CoO膜の上にα−Fe23膜を
積層する場合、α−Fe23膜の膜厚を5nm以上−4
0nm以下、望ましくは10nm以上−40nm以下の
膜厚で、大きな交換バイアス磁界をピン層(第1の強磁
性層)に与えることが出来る。このときのNiO,Co
O膜の膜厚は5nm以上40nm以下、望ましくは10
nm以上30nm以下とするのがよい。また、α−Fe
23膜の膜厚は少なくともNiO,CoO膜の膜厚と同
じかそれ以上にする必要がある。
【0039】また、反強磁性体膜としては、α−Fe2
3膜の上にNiO膜を積層したものも優れている。こ
の場合は、積層順を逆にしたものに比べて、若干MR比
が低下する傾向があるが、交換バイアス磁界を大きくで
きる。従って全体の膜厚を薄くすることが出来るメリッ
トがある。具体的には併せて20nmの膜厚でも十分な
交換バイアス磁界を得ることが出来る。この場合、α−
Fe23膜の膜厚は5nm以上30nm以下、NiO膜
の膜厚は5nm以上20nm以下とするのが望ましい。
【0040】またピン層に与えるバイアス磁界をさらに
大きくするために、言い換えるとピン層の磁化方向をよ
り安定にするために図2(a)に示すような、間接交換
結合膜50を用いるのも有効である。この間接結合膜
は、強磁性膜51,53の中間に適当な非磁性膜52を
挿入したものである。例えば、非磁性膜52として0.
7nmのRu、強磁性膜51,53としてCoを用いれ
ば、二つの強磁性膜51、53の間に強い間接交換相互
作用が働き、ピン層の磁化方向が安定化される。これ
に、さらにα−Fe23膜3により、強磁性膜53の磁
化方向が固定されればより強くピン層の磁化方向が安定
化される。
【0041】図2(a)で、強磁性膜51、53として
はCoだけでなくCo−Fe,Ni−Fe−Co等も良
い。また強磁性膜の膜厚としては少なくとも1nm以上
は必要で、4nm以下とするのがよい。この時、強磁性
膜51と53の膜厚は同じであるよるよりも、少なくと
も0.5nm以上異なっている方がよい。また非磁性層
としては、Ruの他に、Cu,Agなども良い。非磁性
層の膜厚としては0.3nm以上1.2nm以下が適当
である。
【0042】基板1としては、Si,ガラス、サファイ
ア、MgO等があるが、通常、磁気抵抗ヘッド用として
は、Al23−TiC基板が用いられる。
【0043】第1および第2の強磁性膜4,6として
は、Co1-XFeX合金(0<x≦0.5、xは原子組成
比)を用いることにより、大きなMR比が得られる。特
に、第2の強磁性膜6に関しては、軟磁気特性が重要で
あるために、主に、Ni−Fe,Ni−Fe−Co合金
を用いるのが有効であるが、第1の強磁性膜4に関して
は、MR比を最大にするために、Co1-XFeX合金を用
いるのがよい。Co1-XFeX合金は、特に非磁性膜とし
てCuを用いた場合、スピンに依存した散乱が大きく、
結果としてMR比が大きくなるためである。また、α−
Fe23膜と接して交換バイアスを受ける膜に関して
は、Ni−Fe膜またはNi高濃度のNi−Fe−Co
膜が優れているので、第1の強磁性膜4に関しては、α
−Fe23膜側は、Ni−FeまたはNi−Fe−Co
膜、非磁性層側はCo−Fe膜と積層構造にするのがよ
り望ましい。第1の強磁性膜の総膜厚としては薄すぎる
とMR比が低下し、厚すぎると交換バイアス磁界が低下
するので、2nm以上10nm以下、より望ましくは5
nm以下とするのが望ましい。
【0044】第2の強磁性膜6としては、Ni−Feま
たはNi−Co−Fe合金が適している。Ni−Co−
Fe膜の原子組成比としては、NiXCoYFeZ 0.6≦x≦0.9 0≦y≦0.4 0≦z≦0.3 のNi−richの軟磁性膜、もしくは、NiX’C
Y’FeZ’ 0≦x≦0.4 0.2≦y≦0.95 0≦z≦0.5 のCo−rich膜を用いるのが望ましい。これらの組
成の膜はセンサーやMRヘッド用として要求される低磁
歪特性(1×10 -5 )を有する。また他の第2の強磁性
膜6の材料としては、Co−Mn−B、Co−Fe−
B,Co−Nb−Zr,Co−Nb−B等のアモルファ
ス膜も良い。
【0045】第2の強磁性膜6の膜厚としては1nm以
上10nm以下がよい。膜厚が厚いとシャント効果でM
R比が低下するが、薄すぎると軟磁気特性が劣化する。
より望ましくは2nm以上5nm以下とするのがよい。
【0046】また、MR比を更に大きくするために、第
2の強磁性膜6と非磁性膜5との界面に界面磁性層とし
てCo−Fe合金を挿入するのも有効である。界面磁性
層の膜厚が厚いと、MR比の磁界感度が低下するので、
界面磁性層の膜厚は2nm以下、望ましくは1nm以下
とする必要がある。またこの界面磁性層が有効に働くた
めには、少なくとも0.4nm以上の膜厚は必要であ
る。
【0047】非磁性膜5としては、Cu,Ag,Au,
Ruなどがあるが、特にCuが優れている。非磁性膜5
の膜厚としては、磁性層間の相互作用を弱くするために
少なくとも1.5nm以上、望ましくは1.8nm以上
は必要である。また非磁性層5が厚くなるとMR比が低
下してしまうので膜厚は10nm以下、望ましくは3n
m以下とするべきである。
【0048】図1(b)に示す下地膜2としてはPt,
Auなどが優れている。このような下地膜上にα−Fe
23膜を形成すると、α−Fe23膜の結晶性が改善さ
れて、第1の強磁性膜4にかかる交換バイアス磁界の大
きさが大きくなり、MR特性の向上につながる。また下
地膜2のもう一つの効果としては、薄膜表面の平坦化の
効果である。この効果のために、反強磁性膜3と第1の
強磁性膜4との界面が平坦化され、鏡面反射効果が現れ
てMR比が増加する。下地層の膜厚としては少なくとも
1nm以上、望ましくは10nm以上がよい。また厚す
ぎると生産性が低下するので、50nm以下、望ましく
は20nm以下がよい。
【0049】また以上はピン層が1つであるいわゆるシ
ングルスピンバルブ膜について説明したが、ピン層が2
つであるいわゆるデュアルスピンバルブ膜の場合にも本
発明は有効である。この場合の構成を図2(b)に示
す。図2(b)に示すように、デュアルスピンバルブ膜
の場合はシングルスピンバルブ膜の構成に加えて、非磁
性層5を介して、第3の強磁性膜7及び反強磁性体膜8
がさらに形成された構成となっている。この場合の第3
の強磁性体膜の材料は第1の強磁性体膜の材料と全く同
様である。ただし、反強磁性体膜の材料は、α−Fe2
3膜やNiO膜ではなくFe−Mn,Ni−Mn,P
d−Mn,Pt−Mn,Ir−Mn,Cr−Al,Cr
−Mn−Pt,Fe−Mn−Rh,Pd−Pt−Mn,
Ru−Rh−Mn,Mn−Ru,Cr−Al等の金属膜
が優れている。その理由は、このように上層として形成
する場合には、酸化物よりも金属反強磁性体膜の方が交
換バイアスが作用しやすいためである。このうちFe−
Mnは従来のスピンバルブ膜でもっともよく用いられて
いたが、耐食性などの観点から実用に問題がある。この
面からは、Ir−Mnが特に優れている。IrZMn1-Z
膜の適当な組成としては、原子組成比で、 0.1≦z≦0.5 がよい。
【0050】なお以上述べた各層1ー8の構成方法とし
ては、スパッタリング法または蒸着法との併用で作製で
きる。スパッタリング法としてはDCスパッタリング
法、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリン
グ法などがあるが、いずれの方法でも本発明の磁気抵抗
効果素子を作製できる。ただし、α−Fe23膜やNi
O膜を作製する場合にはRFスパッタリング法がよい。
【0051】以上述べたような本発明の磁気抵抗効果素
子を用いて、磁気抵抗効果型ヘッドを構成することがで
きる。図4にMRヘッドの構成の一例を示す。図4を矢
印Aの方向から見た図が、図3であり、点線Bで示した
平面で切った断面が図5に示してある。以下、図3を中
心にして説明する。
【0052】図3ではMR素子部9は上部および下部の
シールドキャップ14、11に挟まれるように構成され
ている。シールドキャップ材としては、Al23、Si
2等の絶縁膜が使われる。シールドキャップ11、1
4の更に外側は上部および下部のシールド10、15が
あるがこれはNi−Fe合金などの軟磁性膜が使われ
る。MR素子の磁区制御のためにCo−Pt合金等のハ
ードバイアス部12によるバイアス磁界を加える。ここ
では、バイアスの印加方法としてはハード膜を用いる場
合について説明したが、Fe−Mn等の反強磁性体を用
いた場合も同様である。MR素子部9はシールドキャッ
プ11、14によってシールド10、15等と絶縁され
ており、リード部13を介して電流を流すことにより、
MR素子部9の抵抗変化を読みとる。
【0053】またMRヘッドは読みとり専用ヘッドなの
で、通常書き込み用の誘導型ヘッドと組み合わせて用い
られる。図5および図6には再生ヘッド部32だけでな
く、書き込みヘッド部31も併せて描かれている。図3
にさらに書き込みヘッド部を形成した場合の図が、図6
である。書き込みヘッド部としては、上部シールド15
上に記録ギャップ膜40を介して形成された上部コア1
6がある。
【0054】なお、図6は従来のアバティッド接合(a
butted junction)によるMRヘッド構
造について説明したが、高密度化による狭トラック化に
伴い、よりトラック幅41規制が精密にできる、図7に
示したオーバーレイ(overlaid)構造を用いた
ものも有効である。
【0055】次に、MRヘッドの記録再生のメカニズム
を同5を用いて説明する。図5に示すように、記録する
際には、コイル17に流した電流により発生した磁束
が、上部コア16と上部シールド15の間より漏れ、磁
気ディスク21に記録することができる。ヘッド30
は、ディスク21に対して相対的に矢印cの方向に進む
ので、コイル17に流す電流を反転させることにより、
記録磁化の方向23を反転させることができる。また、
高密度化に伴い、記録長22が短くなるので、それにと
もない記録キャップ長19を小さくする必要がある。
【0056】再生する場合には、磁気ディスク21の記
録磁化部から漏れた磁束24が、シールド10、15に
挟まれたMR素子部9に作用して、MR素子の抵抗を変
化させる。MR素子部9には、リード部13を介して電
流が流されているので、抵抗の変化を電圧の変化(出
力)として読みとることができる。
【0057】次に、MRヘッドの作成方法は概略、図8
のように説明できる。
【0058】すなわち、図3に示すように、まず、基板
上に適当な処理を施した後、下部シールド膜10を形成
する(S801)。さらに、下部ギャップシールド11
を形成した後(S802)、MR素子部9を形成する
(S803)。次に、MR索子部9を図3に示すように
パターニングした後(S804)、ハードバイアス部1
2、リード膜13を形成する(S805、S806)。
次に上部シールドキャップ14、上部シールド膜15を
形成する(S807、S808)。この後、図6に示す
ような記録ヘッド部を形成して、MRヘッドが完成する
(S809)。
【0059】図9を参照して、S803で説明したMR
素子部9の製造方法をさらに詳しく説明する。図1
(a)に示すように非磁性基板1上にα−Fe23より
成るターゲットをスパッタリングすることにより、反強
磁性体膜3が形成される(S901)。次に、反強磁性
体膜3上に、第1の強磁性膜4、非磁性膜5および第2
の強磁性膜6が順次積層され、MR素子部9が形成され
る(S902)。
【0060】なお、図2(b)に示すMR素子を製造す
る場合は、第2の強磁性膜6上にさらに非磁性膜5A、
第3の強磁性膜7および反強磁性体膜8が順次積層さ
れ、MR素子部が形成される。
【0061】将来のハードディスクドライブの高密度化
を考慮すると、記録波長を短くする必要性があり、その
ためには図3に示したシールド間の距離d(図5の距離
18)を短くする必要がある。そのためには図3から明
らかな様に、MR素子部9を薄くする必要があり、反強
磁性体膜を除いたMR素子部9の膜厚は少なくとも20
mm以下とするのが望ましい。また本発明の反強磁性体
α−Fe23は絶縁膜なので、絶縁膜の一部として図3
でギャップシールド11の一部として存在する場合に
は、膜厚に関する制限は少ない。しかし、MR素子部9
の一部として存在する場合、なるべく薄いのが望まし
く、40nm以下、望ましくは20nm以下とするべき
である。
【0062】またMR素子部においては、軟磁性膜の磁
化反転時にバルクハウゼンノイズの発生を押さえるため
に、図1,2の第2の強磁性膜(フリー層)6の磁化容
易軸は、検知すべき信号磁界方向に概略垂直となるよう
に構成されているのがよい。
【0063】
【実施例】本発明の磁気抵抗効果素子および磁気抵抗効
果型ヘッドについて以下具体的な実施例を用いて説明す
る。
【0064】(実施例1)ターゲットとして、α−Fe
23、Co、Co0.85Fe0.15、Ni0.68Fe0.2 0CO
0.12、Cu、Fe0.5Mn0.5を備えたスパッタ装置を用
い、真空チャンバー内を1×10-8Torr以下まで排
気した後、Arガスを約0.8mTorrになるように
流しながら、ガラス基板上に、スパッタリング法を用い
て、図1(a)の構成のMR素子を作製した。第1の強
磁性層4としてはCo0.85Fe0.15合金を用い、非磁性
膜5としてはCu、第2の磁性層6としてはCo0.85
0. 15/Ni0.68Fe0.20Co0.12の積層とした。ま
た、保護層としてさらにCu層を表面に形成した。各層
の膜厚等の試料の詳細は以下に示す。ここで、かっこ内
は各層の膜厚をnm単位で示している。比較のために、
反強磁性体としてFe−Mn膜を用いたものも作製して
いる。この場合には、反強磁性体をピン層の後で作製す
る必要性があるために、α−Fe23膜の場合とは逆
に、フリー層から先に形成した。カソードとしては、α
−Fe23膜の場合にはrfカソードを用い、その他の
場合にはDCカソードを用いた。
【0065】Al:α−Fe23(50)/Co0.85
0.15(2)/Cu(2)/Co0.45Fe0.15(1)/
Ni0.68Fe0.20Co0.12(2)/Cu(0.4) A2:α−Fe23(50)/Co(2)/Cu(2)
/Co(1)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(2)/Cu
(0.4) A3:Ni0.88Fe0.20Co0.12(2)/Co0.85Fe
0.15(1)/Cu(2)/Co0.85Fe0.15(2)Fe
0.5Mn0.5(10)/Cu(0.4) A4:α−Fe23(50)/Ni0.8Fe0.20(1)
Co0.85Fe0.15(1)/Cu(2)Co0.85Fe0.15
(1)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(2)/Cu(0.
4) できた膜の組成は、それぞれ単層膜を作製して分析した
ところ、ほぼターゲット組成に近い組成であった。α−
Fe23膜に関しては、α−Fe23本来の組成では Fe/O=1.5 であるが、分析組成は、 Fe/O=1.45 であった。実際この割合が正確に1.5でなくて
も、ターゲットとして、α−Fe23を用いた場合に
は、スパッタ圧力等の作製条件を多少変化させても、優
れたMR特性が得られた。また、この時の組成比は、 Fe/O=1.35〜1.55 の範囲に入っており、この範囲であれば本発明は有効で
ある。
【0066】このようにして作製したMR素子の特性を
室温、直流4端子法にて最大40kA/m(500O
e)の磁界を印加して評価した。
【0067】このようにして評価した試料A1のMR曲
線を図10に示す。図10で横軸は印加磁界であり、縦
軸は40kA/mの磁界を印加して測定した電気抵抗を
基準とした抵抗の変化率(MR比)を%単位で示す。図
10ではMR曲線91の(a),(b),(c)の各ポ
イントでのピン層(第1の強磁性層4)とフリー層(第
2の強磁性層6)の大まかな磁化方向を併せて示してい
る。図10より本発明のMR素子は非常に大きなMR比
を示していることがわかる。−40kA/m磁界を印加
するとピン層、フリー層の磁化方向は一方向に揃えられ
る(a)。そして、磁界をだんだん減少させて更に+側
に反転させると、第2の強磁性膜6(フリー層)の磁化
反転により、MR比が大きく増加する(b)。さらに+
側の大きな磁界をかけるとピン層も反転してMR比は低
下する(c)。図10より、α−Fe23膜の交換バイ
アス磁界の大きさを評価する目安として、MR比が
(b)点で最大値を取り、さらに磁界を印加していった
時にMR比が半分になる点での磁界の大きさをピン層に
働いている交換バイアス磁界の大きさHpとして定義す
る。一般に、交換バイアス磁界の大きさは大きい方が、
ピン層の磁化方向の安定性が大きく、よりMR素子に適
しているといえる。A1−A4の試料についてこの様に
して測定した、MR比及びHpの値を表1に示す。
【0068】
【表1】 表1に示すようにα−Fe23を用いた本発明のMR素
子A1は従来のFe−Mn合金を用いたものA3に比べ
て、大きな磁気抵抗変化を示すことがわかる。また、強
磁性層としてCoを用いたMR素子に比べてCo−Fe
合金を用いたMR素子はより大きなMR比を示すことが
わかる。さらに、第1の磁性層をNi−Fe/Co−F
e合金と2層構造とすることにより、MR比はほとんど
変化無いが、交換バイアス磁界の強さが約2倍になって
おり、より外部磁界に対して安定なMR素子が形成され
ていることがわかる。
【0069】次に、ピン層のCo1-XFeX層(xは原子
組成比)の組成依存性を調べるために以下の試料を作成
して、MR特性を評価した。
【0070】A5:α−Fe23(60)/Co1-X
X(2)/Cu(3)/Co0.85Fe0.15(5)/C
u(0.4) 図11にA5の試料のMR比の原子組成比に対する依存
性を示す。Co1-XFeXの組成によってMR比が大きく
変化しているのが分かる。0<x≦0.5の組成でMR
比が大きな値を示している。
【0071】次に本発明A1および比較例A2,A3の
膜をMR素子9として用いて、図3に示すようなMRヘ
ッドを構成して、特性を評価した。この場合、基板とし
てはAl23−TiC基板を用い、シールド10、15
材にはNi0.8Fe0.2合金を用い、シールドギャップ1
1、14にはAl23を用いた。またハードバイアス部
12にはCo−Pt合金を用い、リード部13をAuで
構成した。また、フリー層(第2の強磁性膜6)の磁化
容易軸の方向が検知すべき信号磁界方向と垂直になるよ
うに、ピン層(第1の強磁性膜4)の磁化容易軸の方向
が検知すべき信号磁界方向と平行になるように磁性膜に
異方性を付与した。この方法では、磁性膜を成膜する
際、膜面内で異方性を付与したい方向に、永久磁石で磁
界を付与して成膜した。これらのヘッドに約50Oeの
交流信号磁界を印加して両ヘッドの出力を評価したとこ
ろ、本発明のA1のMR素子を用いたMRヘッドの出力
はA2,A3を用いた従来のMRヘッドに比べてそれぞ
れ約50%、100%の高出力であった。
【0072】(実施例2)図1(b)の構成のMR素子
を、実施例1と全く同様の方法で作製した。以下にその
構成を示す。
【0073】B1:Pt(10)/α−Fe23(4
0)/Co0.85Fe0.15(2)/Cu(2.1)/Co
0.85Fe0.15(1)/Ni0.8Fe0.20(5)/Cu
(0.4) B2:Au(10)/α−Fe23(40)/Co0.85
Fe0.15(2)/Cu(2.1)/Co0.85Fe
0.15(1)/Ni0.8Fe0.20(5)/Cu(0.4) B3:α−Fe23(40)/Co0.85Fe0.15(2)
/Cu(2.1)/Co0.85Fe0.15(1)/Ni0.8
Fe0.20(5)/Cu(0.4) また、実施例1と同じ方法で評価したところ以下の結果
を得た。
【0074】
【表2】 表2に示すように、Pt,Au下地層を用いることによ
りα−Fe23層が薄い場合にも大きな交換バイアス磁
界Hpが得られることが分かる。下地のない場合にはα
−Fe23層が薄いと、交換バイアス磁界の効き方が悪
く、交換バイアス磁界が小さい。この場合、ピン層とフ
リー層の完全な磁化の反平行状態が実現できないため、
MR比が低下する。
【0075】(実施例3)図1(a)のタイプのMR素
子において、反強磁性体として、積層した酸化物反強磁
性体を用いたMR素子を、実施例1と全く同様の方法で
作製した。この場合、NiO,CoO膜に関してはrf
カソードを用いた。以下にその構成を示す。
【0076】C1:NiO(10)/α−Fe23(3
0)/Co(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15
(1)/Ni0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C2:NiO(10)/α−Fe23(20)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C3:NiO(10)/α−Fe23(10)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C4:CoO(10)/α−Fe23(30)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C5:α−Fe23(30)/Co(2)/Cu(2.
5)/Co0.85Fe0. 15(1)/Ni0.8Fe
0.20(5)/Cu(2) C6:α−Fe23(40)/NiO(10)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C7:α−Fe23(30)/NiO(10)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C8:α−Fe23(20)/NiO(10)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C9:α−Fe23(10)/NiO(10)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C10:NiO(40)/Co(2)/Cu(2.5)
/Co0.85Fe0.15(1)/Ni0.8Fe0.20(5)/
Cu(2) C11:NiO(10)/α−Fe23(8)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) C12:α−Fe23(40)/NiO(4)/Co
(2)/Cu(2.5)/Co0.85Fe0.15(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Cu(2) また、実施例1と同じ方法で評価したところ以下の結果
を得た。
【0077】
【表3】 表3から明らかなように、C1−C4,C6−C9の積
層酸化物反強磁性体を用いた本発明のMR素子は、従来
の単層反強磁性体からなるMR素子C5に比べてMR比
が大きくなっている。この原因はC5の試料において
は、第1の強磁性層に対する交換バイアス磁界が小さい
ために、十分な磁化の反平行状態が実現されずMR比が
低いのに対して、反強磁性体を積層する事により、良好
な交換バイアスが強磁性層に印加され、磁化の反平行状
態が実現されたためと考えられる。
【0078】また、C1−C3と、C6−C9を比較す
ることにより、α−Fe23/NiOの積層順に関して
は、NiO膜を先に形成したC1−C3の場合には、M
R比は高いがHpはやや下がる傾向があり、α−Fe2
3膜を先に形成したC6−C9の場合にはMR比が若
干劣るが、薄くとも大きな交換バイアス磁界Hpが得ら
れる傾向にある。又NiO膜を単独で反強磁性体膜とし
て作製した場合C10よりも,α−Fe23/NiO膜
積層の反強磁性体を用いた場合C6−C9の方がより大
きなMR比、交換バイアス磁界Hpが得られる。
【0079】さらに、NiO/α−Fe23をこの順番
で積層する反強磁性体の場合は、実施例C1−C3と比
較例C11の比較で分かるようにNiO膜の膜厚に比べ
てα−Fe23膜の膜厚を同等かまたはそれ以上にする
のが望ましい。
【0080】また、α−Fe23/NiOをこの順番で
積層する反強磁性体の場合は、C6,C12の比較によ
り明らかなように、NiO膜の膜厚を少なくとも5nm
以上とするのが望ましい。
【0081】(実施例4)実施例1と同様の方法で、図
2に示すタイプのMR素子を作製した。
【0082】D1:α−Fe23(60)/Co0.85
0.15(2)/Cu(2)/Co0. 85Fe0.15(0.
4)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(5)/Co0.85Fe
0.15(0.4)/Cu(2)/Co0.85Fe0.15(2)
/Ir0.2Mn0.8(8) D2:NiO(10)/α−Fe23(30)/Co
0.85Fe0.15(2)/Cu(2)/Co0.85Fe
0.15(0.4)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(5)/C
0.85Fe0.15(0.4)/Cu(2)/Co0.85Fe
0.15(2)/Ir0.2Mn0.8(8) D3:α−Fe23(20)/NiO(10)/Co
0.85Fe0.15(2)/Cu(2)/Co0.85Fe
0.15(0.4)/Ni0.68Fe0.20Co0.12(5)/C
0.85Fe0.15(0.4)/Cu(2)/Co0.85Fe
0.15(2)/Ir0.2Mn0.8(8) D4:α−Fe23(60)/Co0.85Fe0.15(2)
/Cu(2)/Co0. 85Fe0.15(0.4)/Ni0.68
Fe0.20Co0.12(5)/Co0.85Fe0.15(0.4)
/Cu(2)/Co0.85Fe0.15(2)/FeMn
(8) D5:α−Fe23(60)/Co0.85Fe0.15(2)
/Cu(2)/Co0. 85Fe0.15(0.4)/Ni0.68
Fe0.20Co0.12(5)/Co0.85Fe0.15(0.4)
/Cu(2)/Co0.85Fe0.15(2)/α−Fe23
(60) D6:Ir0.2Mn0.8(8)/Co0.85Fe0.15(2)
/Cu(2)/Co0. 85Fe0.15(0.4)/Ni0.68
Fe0.20Co0.12(5)/Co0.85Fe0.15(0.4)
/Cu(2)/Co0.85Fe0.15(2)/Ir0.2Mn
0.8(8) 実施例1と同様の方法で測定した試料D1のMR曲線を
図12に示す。非常に大きなMR比と、十分なバイアス
磁界の試料が作成されていることが分かる。その他の試
料の測定結果を含めて、MR比の値を表4に示す。
【0083】
【表4】 表4に示すように、本発明の実施例D2,D3は、D1
とMR比は大差がないが、反強磁性体を積層する事によ
り、薄い膜厚でD1と同程度のMR比を実現できている
ことが分かる。従来例D4−6と異なり、大きなMR比
を示す。第2の反強磁性体としてFeMnを用いたもの
(D4),第1第2の反強磁性体ともにIr−Mnを用
いたもの(D6)はMR比が低くなっていることが分か
る。また、第1、第2の反強磁性体ともにα−Fe23
膜を用いたもの(D5)は、MR比は大きいが、D1と
比較すると交換バイアス磁界Hpが約半分となってい
る。この原因は第2の反強磁性体として用いたα−Fe
23膜のピン止め効果が小さいためであり、第2の反強
磁性体としてはIr−Mn等の金属反強磁性体が優れて
いる。
【0084】(実施例5)まず、ガラス基板を様々な条
件でイオンビームを用いて表面処理し、表面粗さを変化
させた。この様にして処理したガラス基板上に実施例1
と全く同様の方法で、以下に示すMR素子を作製した。
【0085】E:Au(20)/α−Fe23(20)
/Co0.85Fe0.15(2)/Cu(2)/Ni0.68Fe
0.20Co0.12(3) 作成した試料の表面粗さとMR比を表5に示す。この場
合の表面粗さは、STM(Scanning Tunneling microsc
ope)を用いて評価した。10mm角の試料の表面上
で、無作為に10nm×10nmのエリアを10カ所選
び、各エリアで最も高い点と低い点の差をそのエリアの
表面粗さとし、それを10カ所で平均してその試料の表
面粗さとした。
【0086】
【表5】 表5の結果から、表面粗さが0.5nm以下のものは大
きなMR比を示すことが分かる。
【0087】(実施例6)基板としてシリコン基板を用
い、まず、2×10-6Torr以下に基板前処理室を真
空排気した後、Arガスを約4,5×10-4Torrに
なるまで導入し、ECRイオン源を用いて、約100V
の加速電圧で、基板表面を約20分クリーニングした。
その後、基板を基板前処理室と連続した成膜室に移し
て、実施例1と同様の方法を用いて、以下の結成のMR
素子を作製した。
【0088】F:α−Fe23(t)/Co(2)/C
u(2)/Co0.90Fe0.10(1)/Ni0.8Fe0.20
(5)/Ta(3) Fの試料で、α−Fe23の膜厚t=10の試料のMR
曲線を図13に示す。図13は、約6kA/mの小さな
磁界を印加して測定したMR曲線であり、ピン層の磁化
は固定されたまま、フリー層の磁化のみの反転によるM
R比の変化が測定できる。図13のMR曲線で、図に示
すように、磁化曲線の保磁力に相当するものをHc、M
R曲線の中心の0磁界からのシフト量をHdと定義す
る。MR素子の動作に関しては、Hc、Hdが小さいほ
ど、0磁界付近で抵抗変化が大きいことを示しており、
感度が高くデバイスとして望ましい。
【0089】Fの試料で、α−Fe23層の膜厚、tを
変化させたときのMR比、図10で定義された、Hp、
Hd、Hcを図14に示す。図14で明らかなように、
この範囲でα−Fe23層の膜厚を変化させても、MR
比は大きく変わらない。HPに関しては、α−Fe23
層の腹厚が大きいほどHpが大きくなる。これは、α−
Fe23層の膜厚を薄くしたときの問題点ではあるが、
ただし、次の実施例7でも分かるように、この試料を4
0kA/mの磁界中で300℃で処理することにより、
40kA/m以上のHpを確保することができた。従っ
て、Hpは決定的な問題ではないといえる。これに対し
て、HcやHdはα−Fe23層の膜厚が小さくなるに
従い、低下する。以上、図14から、α−Fe23層の
膜厚を10nm以上40mm以下程度とした本発明のM
R素子は、従来の50mm以上の膜厚のものに比べて、
磁界感度が優れており、高感度MR素子として最適であ
ることが分かる。
【0090】(実施例7)基板としてガラス基板を用
い、実施例1と同様の方法を用いて、以下の構成のMR
素子を作製した。
【0091】G:α−Fe23(t)/Co(2)/C
u(2)/Co(5)/Cu(0.4) GのMR素子を10-5Torr以下の真空中で、約40
kA/mの磁界を印加しながら、30分間熱処理した。
熱処理した後に測定したMR曲線より求めた、MR比と
Hpを図15に示す。この図より、300℃の熱処理に
より、MR比は、α−Fe23層の膜厚tが、50nm
の場合、熱処理前(グラフ上では温度25℃の時の値)
の約30%低下するが、tが30nmの場合には10%
しか低下しないことが分かる.またα−Fe23層の膜
厚が10nmの場合には、熱処理前にはMR比が低い
が、熱処理に伴ってMR比が増加することが分かる。結
局、300℃の熱処理後には、α−Fe23層の膜厚が
10nmや30nmの試料の方が、MR比が高く、熱安
定性が高いことが分かる。
【0092】以上は、30分の熱処理について説明した
が、実際のMRヘッドの製造工程ではさらに長時間の熱
処理が必要とされる。実際、3時間の長時間の熱処理で
はt=50nmのものはMR比が約70%低下したが、
t=10、30nmのものでは、MR比の低下は20%
以下であった。つまり、MR比の熱安定性の観点から、
α−Fe23層の膜厚が50nm以上あるものに比べ
て、α−Fe23層の膜厚が、10nm以上40nm以
下のものがMR素子として、優れている。
【0093】また、Hpは40kA/mの磁界でMR比
を測定しているので、図15で、40kA/mの値は実
際はそれ以上のHpの試料であることを示している。こ
の図より、300℃程度の熱処理で、Hpが40kA/
m以上となるので、Fの試料では300℃程度の熱処理
後に用いればHpは実用上十分であることが分かる。
【0094】(実施例8)実施例6と同様の方法で、以
下のMR素子を作製した。この中で、H2は図2(a)
に示す、間接交換結合膜を有するMR素子である。 H1:α−Fe23(20)/Co(2)/Cu(2)
/Co0.90Fe0.10(1)/Ni0.6Fe0.20(5)/
Ta(5) H2:α−Fe23(20)/Co(1)/Ru(0.
7)/Co(2)/Cu(2)/Co0.90Fe
0.10(1)/Ni0.8Fe0.20(5)/Ta(5) H3:NiO(20)/Co(1)/Ru(0.7)/
Co(2)/Cu(2)/Co0.90Fe0.10(1)/N
0.8Fe0.20(5)/Ta(5) 上記MR素子の磁気抵抗変化を実施例1と同様の方法で
評価した。
【0095】
【表6】 以上に示したように、本発明の実施例H2は、間接交換
結合膜を用いないH1に比べて、MR比は低下するが大
きなバイアス磁界Hpを有しており、磁気抵抗効果素子
として安定した動作が期待できることがわかる。
【0096】またH3は本発明の比較例であり、反強磁
性体としてNiOを用いた場合である。H3は室温での
特性ではほとんどH2と違いがないが、MR特性を20
0℃で比較したところ、H2はMRが7.1%、Hpが
52kA/mであるのに対し、H3はMR比2.2%、
Hp 5kA/mと大きく低下していた。
【0097】なお、以上は、間接交換結合膜50に用い
る磁性層51,53としてCoを用いた場合について述
べたが、Co−Fe、Co−Ni−Fe合金もCoの代
わりに用いることができる。またこのときの磁性層の膜
厚は、1nm以上4nm以下とするのがよい。また2つ
の磁性層の膜厚は例に示すように少なくとも0.5nm
以上異なっているのがよい。
【0098】次に、間接交換結合膜50に用いる非磁性
層52としては、Cu,Ru,AgなどがあるがRuが
もっとも適している。非磁性層の膜厚としては0.3n
m以上1.2nm以下とするのがよい。
【0099】また、基本的に図2(b)の構成の場合に
も、強磁性膜4、7の少なくとも一方を間接交換結合膜
とすることにより、より大きなバイアス磁界を得ること
ができる。
【0100】図2(b)の基本構成の以下の膜を作製し
た。 H4:α−Fe23(20)/Co(2)/Cu(2)
/Co0.90Fe0.10(1)/Ni0.2Fe0.20(5)/
Co0.90Fe0.10(1)/Cu(2)/Co(2)/P
0.50Mn0.50(25)/Ta(5) H5:α−Fe23(20)/Co(2)/Ru(0.
7)/Co(3)/Cu(2)/Co0.90Fe
0.10(1)/Ni0.8Fe0.20(5)/Co0.90Fe
0.10(1)/Cu(2)/Co(2)/Pt0.50Mn
0.50(25)/Ta(5)
【0101】
【表7】 表7に示すように間接交換結合膜Co/Ru/Co膜を
用いることにより、MR比は単層のCo膜を用いた場合
よりも多少低下するが、大きなHpを示す膜を作製でき
る。
【0102】なお、以上は図2(b)の強磁性膜4に間
接交換結合膜を用いる場合について説明したが、強磁性
膜7に間接結合膜を用いる場合も本発明は有効である。
また、強磁性膜4、7ともに、間接結合膜を用いるのも
良い。
【0103】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、反強磁
性体としてα−Fe23膜またはα−Fe23膜/Ni
O積層膜を用い、界面の表面荒さを緻密に制御すること
により、大きなMR比を示す磁気抵抗効果素子を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果素子の断面の模式図。
【図2】本発明の別の磁気抵抗効果素子の断面の模式
図。
【図3】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの断面図の
一例を示す図。
【図4】本発明のMRヘッドの立体図。
【図5】本発明のMRヘッドと磁気ディスクの一断面
図。
【図6】本発明の記録ヘッド一体型MRヘッドの一断面
図。
【図7】本発明の別のMRヘッドの一断面図。
【図8】本発明のMRヘッドの製造工程を示すフローチ
ャートの一例。
【図9】本発明のMR素子部9の製造工程を示すフロー
チャートの一例。
【図10】本発明の磁気抵抗効果素子のMR曲線の一例
を示す図。
【図11】Co1-XFeX合金を第1の強磁性層として用
いた本発明の磁気抵抗効果素子のMR比の組成依存性を
示す図。
【図12】本発明の磁気抵抗効果素子のMR曲線の一例
を示す図。
【図13】本発明のMR素子のMR曲線の一例。
【図14】本発明のMR素子におけるα−Fe23膜の
膜厚tと、MR比、Hp、Hc,Hdの相関を表す図。
【図15】本発明の一MR素子における熱処理温度とM
R比、HPの相関を表す図。
【符号の説明】
1 基板 2 下地膜 3 α−Fe23層 4 第1の強磁性膜(ピン層) 5 非磁性膜 6 第2の強磁性膜 7 第3の強磁性膜 8 反強磁性体膜 9 MR素子部 10 下部シールド 11 下部シールドギャップ 12 ハードバイアス部 13 リード部 14 上部シールドギャップ 15 上部シールド 16 上部記録コア 40 記録ギャップ部 50 間接交換結合膜 51、53 強磁性膜 52 非磁性膜
フロントページの続き (72)発明者 杉田 康成 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 榊間 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−297465(JP,A) 特開 平9−148651(JP,A) 特開 平9−92904(JP,A) 特開 平9−50612(JP,A) 特開 平8−204253(JP,A) 特開 平7−169026(JP,A)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に直接または下地層を介し
    て反強磁性体膜、第1の強磁性膜、非磁性膜および第2
    の強磁性膜を順次積層してなる多層膜から成る磁気抵抗
    効果素子であって、 該反強磁性体膜は、α−Fe23膜を含んでおり、 該多層膜の表面粗さが0.5nm以下である磁気抵抗効
    果素子。
  2. 【請求項2】 該第1の強磁性膜は、Co1-XFeX合金
    (0<x≦0.5、xは原子組成比)層を含む、請求項
    1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 該第1の強磁性膜は、Ni−Fe合金ま
    たはNi−Fe−Co合金層上にCo1-XFeX合金(0
    <x≦0.5、xは原子組成比)層を積層して構成され
    ている、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 該下地層は、PtまたはAuを主成分と
    する、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 該α−Fe23膜の膜厚は、5nm以上
    40nm以下である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素
    子。
  6. 【請求項6】 該第2の強磁性膜の磁化容易軸は、検知
    すべき信号磁界方向に垂直となるように構成されてい
    る、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 非磁性基板上に直接または下地層を介し
    て反強磁性体膜、第1の強磁性膜、非磁性膜および第2
    の強磁性膜を順次積層してなる多層膜から成る磁気抵抗
    効果素子であって、 該反強磁性体膜は、α−Fe23膜と他の反強磁性体と
    の積層体を含んでおり、 該他の反強磁性体は、NiO膜またはCoO膜を含んで
    いる 磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 該NiO膜は、該α−Fe23膜上に積
    層されている、請求項7に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 該α−Fe23膜は、該NiO膜上に積
    層されている、請求項7に記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 【請求項10】 該第2の強磁性膜の磁化容易軸は、検
    知すべき信号磁界方向に垂直となるように構成されてい
    る、請求項7に記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】 非磁性基板上に直接または下地層を介
    して第1の反強磁性体膜、第1の強磁性膜、第1の非磁
    性膜、第2の強磁性膜、第2の非磁性膜、第3の強磁性
    膜および第2の反強磁性体膜を順次積層してなる多層膜
    から成る磁気抵抗効果素子であって、 該第1の反強磁性体膜は、α−Fe23膜を含んでお
    り、 該多層膜の表面粗さが0.5nm以下である磁気抵抗効
    果素子。
  12. 【請求項12】 該第2の強磁性膜の磁化容易軸は、検
    知すべき信号磁界方向に垂直となるように構成されてい
    る、請求項11に記載の磁気抵抗効果素子。
  13. 【請求項13】 非磁性基板上に直接または下地層を介
    して第1の反強磁性体膜、第1の強磁性膜、第1の非磁
    性膜、第2の強磁性膜、第2の非磁性膜、第3の強磁性
    膜および第2の反強磁性体膜を順次積層してなる多層膜
    から成る磁気抵抗効果素子であって、 該第1の反強磁性体膜は、α−Fe23膜と他の反強磁
    性体との積層体を含んでおり、 該他の反強磁性体は、NiO膜またはCoO膜を含んで
    いる磁気抵抗効果素子。
  14. 【請求項14】 該第2の強磁性膜の磁化容易軸は、検
    知すべき信号磁界方向に垂直となるように構成されてい
    る、請求項13に記載の磁気抵抗効果素子。
  15. 【請求項15】 該第1の強磁性膜と該第3の強磁性膜
    との少なくとも一方は、間接交換結合膜を含んでいる
    請求項13に記載の磁気抵抗効果素子。
  16. 【請求項16】 非磁性基板上に直接または下地層を介
    してα−Fe23を主成分とする反強磁性体膜、間接交
    換結合膜、第1の非磁性膜および第1の強磁性膜を順次
    積層してなる多層膜から成る磁気抵抗効果素子。
  17. 【請求項17】 該一対の強磁性層は、Coを主成分と
    している、請求項16に記載の磁気抵抗効果素子。
  18. 【請求項18】 該第2の非磁性層は、Ruを主成分し
    ている、請求項17に記載の磁気抵抗効果素子。
  19. 【請求項19】 請求項6、請求項10、請求項12
    請求項14、請求項15または請求項18のいずれかに
    記載の磁気抵抗効果素子と、 該磁気抵抗効果素子とシールド部とを絶縁するシールド
    ギャップ部とを備えている磁気抵抗効果型ヘッド。
  20. 【請求項20】 非磁性基板上に直接または下地層を介
    して反強磁性体膜、第1の強磁性膜、非磁性膜および第
    2の強磁性膜を順次積層してなる多層膜から成る磁気抵
    抗効果素子の製造方法であって、 該非磁性基板上に直接または下地層を介して、膜厚が5
    nm以上40nm以下である該反強磁性体膜を形成する
    第1工程と、 該多層膜の表面粗さが0.5nm以下となるように、該
    反強磁性体膜上に該第1の強磁性膜、該非磁性膜および
    該第2の強磁性膜を順次積層する第2工程とを含んでお
    り、 該第1工程は、主な成分がα−Fe23から成るターゲ
    ットをスパッタリングする工程を包含する磁気抵抗効果
    素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 非磁性基板上に直接または下地層を介
    して第1の反強磁性体膜、第1の強磁性膜、第1の非磁
    性膜、第2の強磁性膜、第2の非磁性膜、第3の強磁性
    膜および第2の反強磁性体膜を順次積層してなる多層膜
    から成る磁気抵抗効果素子の製造方法であって、 該非磁性基板上に直接または下地層を介して該第1の反
    強磁性体膜を形成する第1工程と、 該多層膜の表面粗さが0.5nm以下となるように、該
    反強磁性体膜上に該第1の強磁性膜、該第1の非磁性
    膜、該第2の強磁性膜、該第2の非磁性膜、該第3の強
    磁性膜および該第2の反強磁性体膜を順次積層する第2
    工程とを含んでおり、 該第1工程は、主な成分がα−Fe23から成るターゲ
    ットをスパッタリングする工程を包含する磁気抵抗効果
    素子の製造方法。
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