JP3601136B2 - クロロプレンゴムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なクロロプレンゴムの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、淡色性の非常に優れた色相及び接着剤として用いた場合の接着剤塗布後に粘着性を長期間保持できるタック性を備えたクロロプレンゴムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロプレンゴムは結晶性が高く、凝集力が大きいために接着剤原料として一般によく用いられている。種々の接着剤用途の中でもクロロプレンゴムをトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解し、メタクリル酸メチル等の単量体を添加し、ベンゾイルパーオキサイド等のラジカル重合開始剤を用いてグラフト重合反応を行った、いわゆる溶液グラフト化クロロプレンゴム接着剤は軟質塩ビ系素材の接着に有用であることは公知であり、その優れた接着性ゆえに、従来から合成靴の接着剤として広く利用されている。
【0003】
クロロプレンゴムの製造方法は、古くから知られており、公知の方法としては、例えば、Encyclopedia of Polymer Scienceand Engineering,2nd ed.,Vol.3,Wiley−Interscience,New York,1985,p447−449等に記載されている。まず、第一段階において、ラテックスを生成する乳化重合を、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩からなる乳化剤として機能する石鹸と乳化分散剤、例えば、ナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のアルカリ金属塩との存在下で行う。次に、未反応の単量体を、例えば、スチームフラッシュ法、即ち、50℃の温度及び100トールの絶対圧力のような条件の水蒸気蒸留によって除去する。最後に、凍結凝固又は塩析等の方法で仕上げ処理を行いクロロプレンゴムを得るものである。
【0004】
仕上げ工程は、重合においてpH12〜13で生成したラテックスを、希酢酸の添加によってpH5〜7に調整する。この酸性化により、乳化剤である不均化ロジン酸はアルカリ金属塩から酸型になるためにその乳化効力を失う。この時、ラテックスに安定性を付与することのできる界面活性剤、即ち、乳化分散剤をラテックス中に存在させない限りは、ラテックスは凝固してしまい、凍結凝固等の次の処理が実施できない状況になる。そこで、例えば、ナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のアルカリ金属塩のような乳化分散剤を使用することにより、ラテックスを安定化することができ、回転冷却ドラムの表面での凍結凝固が可能になる。凍結凝固物を解凍し、洗浄した後、機械的に圧縮しフィルム状とし、ベルト乾燥機中で熱風により乾燥する。
【0005】
このようにして得られたクロロプレンゴムは、一般に黄褐色を呈しており、Lab反射法による測色でL値、a値及びb値が各々65〜75、−2.0〜−3.0、10.0〜16.0を示す。このようなクロロプレンゴムを使用して作成した接着剤では、接着剤溶液は吸光度による黄色性の測定で0.4〜0.6の値を示し、合成靴接着に要望される透明で無色の優れた色相を充分に満足することはできない。
【0006】
そのため、その改良を目的として、特公昭57−34844号公報には、乳化剤として、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩と付加的な界面活性剤とを使用して乳化重合を実施する方法が開示されている。特に、付加的な界面活性剤として特定の界面活性剤を使用するところに特徴がある。例えば、C12〜15のアルキルスルホン酸アルカリ塩、1,3−ビス−(2−エチルヘキシル)グリセリンエーテル硫酸エステルアルカリ塩、α−ヒドロキシ−オクタデカンスルホン酸アルカリ塩、第二鉄−C12〜14アルキル硫酸エステルアルカリ塩、モノラウリン酸グリセリド硫酸エステルアルカリ塩、N−オクタデシルスルホコハク酸アミドアルカリ塩等の記載がある。
【0007】
この方法によると、色相は充分改良されるが、ナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のアルカリ金属塩を用いた場合の特徴であるタック性が不十分となり、クロロプレンゴム接着剤としての魅力が消失する。
【0008】
以上のような状況下で、色相とタック性とを兼ね備えたクロロプレンゴム接着剤の開発が急務となっているが、現状、市場の要求を充分に満足できる材料の提供にまでは至っていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のクロロプレンゴム接着剤では得られなかった淡色の極めて優れた色相とタック性とを具備したクロロプレンゴムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、クロロプレン又はクロロプレン及びそれと共重合可能な単量体との混合物を水性ラジカル乳化重合する際に、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩とともに、付加重合及び/又は付加重合後高分子反応により導入されたスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子を分散剤として用いることを特徴とするクロロプレンゴムの製造方法である。特に、分散剤としての水溶性高分子が、スチレンスルホン酸構造を有している場合、さらに、スチレンスルホン酸と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸アミドとの共重合体の水溶性塩の場合に、本発明の特徴を最も効果的に発揮できるクロロプレンゴムの製造方法である。
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明におけるゴム重合体原料として使用される単量体としては、クロロプレン単独又はクロロプレンの50重量%までの範囲で、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸化合物、スチレン、ビニルトルエン等のビニル置換型芳香族化合物、ブタジエン、1−クロロブタジエン、2,3−ジクロロブタジエン等の共役ジエン化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の極性基含有ビニル化合物等を含む単量体等が挙げられる。
【0013】
本発明における不均化ロジン酸のアルカリ金属塩としては特に限定するものではなく、クロロプレン乳化重合時の乳化分散剤として充分な機能を発揮できるものであればよい。不均化ロジン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、不均化ロジン酸のナトリウム塩及びカリウム塩等が挙げられ、これらは、例えば、木材樹脂、ウッドロジンの不均化等によって得ることができる。このアルカリ金属塩の成分である不均化ロジン酸としては、ロジン酸自体が淡色であるため、分子量500以下の成分からなる不均化ロジン酸を使用することが好ましく、本発明の色相改良効果をより一層顕著にできるために、窒素シール下に減圧下で蒸留を行った不均化ロジン酸を使用することがさらに好ましい。また、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩の添加量は特に限定するものではないが、例えば、ゴム重合体原料として使用される単量体100重量部あたり2〜6重量部が好ましく、3〜5.5重量部がさらに好ましい。この範囲内においては、乳化重合時のラテックス粒子安定性が充分確保できるとともに仕上げ工程における物理的な外圧によっての固体ゴムの析出も認められず、かつ色相も非常に優れた領域となる。
【0014】
本発明では、付加重合及び/又は付加重合後高分子反応により導入されたスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子の分散剤としての使用が大きな効果を示す点である。特に、水溶性高分子がスチレンスルホン酸構造を有している場合、さらに、スチレンスルホン酸と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸アミドとの共重合体の水溶性塩の場合に最も効果が現れる。すなわち、付加重合及び/又は付加重合後高分子反応により導入されたスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基のような淡色で、強アニオン性水溶性高分子の使用により、色相及びタック性が同時に満足されるようになるのである。
【0015】
本発明における付加重合及び/又は付加重合後高分子反応により導入されたスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合可能な不飽和二重結合を有する単量体を単独又は共重合することにより得られる。スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基の導入は単量体の段階で含有している化合物を選択しても、重合後高分子反応にて導入する方法を用いてもよい。また、スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基の導入率は、本発明の効果を充分発揮でき、水溶性である範囲においては限定されるものではないが、10mol%以上、好ましくは30mol%以上、さらに好ましくは50mol%以上がより一層効果を顕著に示すために好適である。スチレンスルホン酸と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸アミドとの共重合体においても同様で、スチレンスルホン酸の導入率は、10mol%〜90mol%、好ましくは50mol%〜90mol%が好適である。さらに、スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子の分子量においても、効果が充分発揮できる範囲内で限定されるものではないが、重量平均分子量において、1×103〜1×105が好ましく、1×103〜1×104が特に好ましい。この範囲内においては、分散効果が顕著に現れ、凝集効果が認められないために、少量の添加量にて非常に優れた特性を示すようになる。スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子の添加量についても、スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基の導入率、分子量及び構造の種類の相違により各々最適量が存在するようになり、効果が充分発揮できる範囲内で限定されるものではないが、仕上げ工程におけるpH調整時のラテックス安定性が充分付与できるとともに色相、タック性等の特性が優れているために、単量体100重量部あたり0.1〜2重量部が好ましく、0.2〜1重量部がさらに好ましい。
【0016】
本発明の付加重合及び/又は付加重合後高分子反応により導入されたスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子を得るための単量体としては、例えば、以下の例を示すことができる。スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する単量体として、例えば、アリルスルホン酸及びその水溶性塩、メタリルスルホン酸及びその水溶性塩、ビニルスルホン酸及びその水溶性塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその水溶性塩、p−ビニルベンジルスルホン酸及びその水溶性塩、スルホエチルメタクリレート及びその水溶性塩、スルホプロピルメタクリレート及びその水溶性塩、スチレンスルホン酸及びその水溶性塩、アルキルアリル硫酸塩、o−プロペニル−p−アルキルポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル水溶性塩等が挙げられる。また、付加重合後スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を導入できる単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、プロピルアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド化合物、スチレン、ビニルトルエン等のビニル置換型芳香族化合物が挙げられる。さらに、共重合できる単量体として、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、プロピルアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド化合物、スチレン、ビニルトルエン等のビニル置換型芳香族化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のような極性基含有ビニル化合物等を例示できる。スチレンスルホン酸構造を有する重合体、特に、スチレンスルホン酸と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸アミドとの共重合体の水溶性塩は、疎水性と親水性とがバランスよく保たれていることにより、少量の添加で分散効果が優れ、かつ色相、タック性も良好であるために好適である。以上の単量体は本発明の特性を発揮できる範囲内で単独又は共重合を選択できる。また、水溶性塩の例としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
【0017】
本発明のスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子の合成方法は、常法のラジカル重合、イオン重合に従うことができる。例えば、スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する単量体のラジカル重合の場合には、水、水/アルコール混合溶媒又はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような極性溶媒中にて、過硫酸塩、アゾ系化合物のようなラジカル開始剤、メルカプタンのような分子量調節剤を添加して、溶液重合により実施できる。また、例えば、高分子反応にてスルホン酸基を導入する場合、ポリスチレンのような樹脂を二塩化エチレンのような溶剤に溶解し、液体三酸化イオウを溶液中にフィードすることにより合成できる。
【0018】
本発明の付加重合及び/又は付加重合後高分子反応により導入されたスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子の添加方法は、乳化重合時に不均化ロジン酸のアルカリ金属塩と同時に添加しても乳化重合後ラテックス中に後添加してもよく、本発明の目的は充分達成できる。不均化ロジン酸のアルカリ金属塩と同時に添加した場合には乳化重合時の沈殿析出物の発生を一段と抑制できるためにより好ましい。
【0019】
また、本発明の目的を維持できる範囲内で他の乳化剤、分散剤を添加してもよい。例えば、アニオン型の乳化剤、分散剤、ノニオン型の乳化剤、分散剤等が挙げられ、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリルスルホン酸アルカリ金属塩等のスルホン酸型界面活性剤、アルキル硫酸エステルアルカリ金属塩、ポリエチレングリコールエーテル硫酸エステルアルカリ金属塩等の硫酸エステル型界面活性剤、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物、ビスフェノールスルホン酸縮合物、メラミンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物等のスルホン酸含有重縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル等のノニオン型界面活性剤等を例示できる。
【0020】
本発明における乳化重合は公知の方法に従って、水、単量体、乳化剤、分散剤、重合開始剤、分子量調節剤等を乳化し、所定温度にて重合を行えばよい。各原料はいずれも一括添加、逐次添加、分割添加してもよい。重合転化率は、単量体回収の容易さ、適度な粘度の維持等の生産性に優れた50〜80%が好ましく、重合停止剤を添加することにより所定転化率に制御できる。
【0021】
重合時に用いる重合開始剤としては、公知のフリーラジカル生成物質、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキサイド等の無機又は有機の過酸化物、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)塩酸塩等のアゾ化合物等が挙げられる。また、これらは単独又は還元性物質、例えば、チオ硫酸塩、チオ亜硫酸塩、有機アミン等との併用レドックス系で用いることができる。重合温度は0〜80℃の範囲で行うことができる。重合停止剤としては、通常ラジカル重合に用いられる停止剤、例えばフェノチアジン、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシアミン、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等が使用できる。分子量調節剤としては、連鎖移動剤の添加が有効であり、例えば、アルキルメルカプタン、ハロゲン化炭化水素、アルキルキサントゲンジスルフィド、イオウ等が挙げられる。
【0022】
未反応の単量体及びその他の有機化合物は、例えばスチームフラッシュ法、即ち、50℃の温度及び100トールの絶対圧力における水蒸気蒸留によって除去できる。その後、ラテックスは、pH等の調節後、例えば、回転冷却ドラムにより凍結凝固し、洗浄した後機械的に圧縮してフィルム状とする。フィルムは、例えば、ベルト乾燥機中での熱風乾燥で仕上げ処理を行い、クロロプレンゴムを得ることができる。
【0023】
本発明で得られるクロロプレンゴムは通常の溶液グラフト化クロロプレンゴム接着剤、1液型接着剤及び2液型接着剤の基材として使用可能である。本発明で得られるクロロプレンゴムを基材とした溶液グラフト化クロロプレンゴム接着剤は優れた色相及びタック性を有する。本発明における優れた色相を有する溶液グラフト化クロロプレンゴム接着剤とは、そのグラフト後の接着剤溶液の440nmの吸光度が0.2〜0.4を示すものである。溶液グラフト化クロロプレンゴム接着剤の製造方法としては、公知の方法であるクロロプレンゴム溶液中でのメタクリル酸メチル等のアクリレートのグラフト化反応等が用いられる。
【0024】
溶液グラフト化反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、芳香族系炭化水素、ケトン類を挙げることができ、これらを単独又は混合して使用できる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が例示でき、ケトン類等としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン等が例示できる。また、溶液グラフト化反応開始剤としては、種々のラジカル開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が使用できる。反応温度は特に限定できるものではなく、例えば、60〜120℃の範囲で行われる。グラフト反応の終了は反応停止剤の添加により行うことができる。停止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系化合物を使用できる。
【0025】
また、本発明で得られるクロロプレンゴムを基材とし、これに亜鉛華やマグネシア等の金属酸化物、変性フェノール樹脂、有機溶剤及び種々の添加剤を常法に従って添加することにより、色相、タック性、粘着性、接着性の優れた1液型接着剤を得ることができる。その際の色相の値として、例えば、クロロプレンゴムをトルエンに5%濃度になるように溶解させた溶液の440nmにおける吸光度は0.03〜0.2を示す。
【0026】
更に、本発明で得られるクロロプレンゴムを基材としたゴム溶液及びポリイソシアネート類からなる2液型接着剤も、また、色相、タック性、粘着性、接着性の優れた接着剤になる。ポリイソシアネート類としては、平均官能基数が2以上のポリイソシアネートであればよく、例えば、トリレンジイソシアネート(以下TDIと略す)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフェート、TDI2量体、TDI3量体等がある。その添加量は、クロロプレンゴム及び/又は他の接着剤成分を含むクロロプレンゴム接着剤溶液100重量部に対してポリイソシアネートの有効成分を基準にして0.1〜5重量部の範囲で添加することができる。
【0027】
本発明のクロロプレンゴムから得られる接着剤には、主成分とするクロロプレンゴムの他、種々の添加剤、例えば、フェノール樹脂、ロジン類、クマロン樹脂、金属酸化物、老化防止剤、充填剤等を添加できる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
実施例において、得られたクロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相及びクロロプレンコムのタック性は、以下の方法で測定及び評価した。
【0030】
(a)クロロプレンゴムの色相の評価方法
得られたクロロプレンゴムの色相の評価を行うために、クロロプレンゴムを神藤金属工業(株)製シンドー式SF型油圧プレスで100℃×120kg/cm2×5分で2mmの厚さのシートに成形し、さらに、20℃×5分で冷却を行う。
【0031】
作成したサンプルシートを日立製作所(株)製607カラーアナライザーでLab法(反射法)を用いて測色を行い、b値の程度にて色相を評価した。b値は (+)側では黄色の度合、(−)側では青色の度合を示し、(+)側でゼロに近づく程、淡色になる。
【0032】
(b)クロロプレンゴム溶液の色相の評価方法
クロロプレンゴムをトルエンに5%濃度になるよう溶解させ、日立製作所(株)製U−1000スペクトロフォトメーターを用いて440nmの波長の吸光度測定により色相(黄色性)を評価した。数値が小になる程淡色になる。
【0033】
(c)色相の耐熱老化性の評価方法
クロロプレンゴムの色相の耐熱老化性は、クロロプレンゴムをギアオーブン中に70℃×3日加熱後、(a)及び(b)の方法にて色相を評価した。
【0034】
(d)色相の耐紫外線性の評価
クロロプレンゴムの色相の耐紫外線性は、クロロプレンゴムを254nmの紫外線を20℃で4、10時間照射した後のクロロプレンゴム表面の色相を目視により評価した。評価は、○;薄い黄色、△;黄褐色、×;濃い黄褐色で示した。
【0035】
(e)接着剤の色相の評価方法
溶液グラフト化クロロプレンゴム接着剤の色相の測定は、グラフト後の接着剤溶液を、(b)の方法にて色相を評価した。
【0036】
(f)クロロプレンゴムのタック性の評価
クロロプレンゴムをトルエンに15%濃度になるよう溶解させて、EVA(エチレン/酢酸ビニル共重合体)フォーム上に塗布し、室温放置後、EVA同士が接着可能である放置時間の長短にてタック性の良否を判断した。評価は、○;非常に良好(60min.以上放置後接着可能)、△;普通、×;不良(10min.放置後接着不可能)で示した。
【0037】
実施例1
表1に示した組成割合のクロロプレン、n−ドデシルメルカプタン、不均化ロジン酸カリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)、ハイドロサルファイトナトリウム、水酸化ナトリウム及び水を撹拌機付10 lオートクレーブ中に仕込み、窒素雰囲気下、撹拌を開始し、0.35%濃度過硫酸カリウム水溶液を12℃で連続的に滴下して重合を開始した。重合転化率70%で重合停止剤として、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)を0.05重量部添加して重合を停止させた。ラテックス中には沈殿析出物は全く認められなかった。
【0038】
【表1】
【0039】
残存する未反応単量体をスチームフラッシュ法で除去した後、重合ラテックスを希酢酸にてpHを6に調節、凍結凝固、水洗、熱風乾燥を行い、クロロプレンゴムに仕上げた。仕上げ工程において、全く異常は認められなかった。
【0040】
溶液グラフト化クロロプレンゴム接着剤は、クロロプレンゴム100重量部、トルエン460重量部、メチルエチルケトン115重量部、メタクリル酸メチル90重量部、ベンゾイルパーオキサイド0.5重量部の組成割合でメタクリル酸メチルのグラフト反応を行い、作成した。反応は、温度を90℃に昇温後、ベンゾイルパーオキサイドを添加して開始した。約6時間反応を行った後、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール2重量部を添加して反応を停止させた。メタクリル酸メチルの転化率は約35%であった。
【0041】
クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性の評価結果は表2に示した。表より明らかなように、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例2
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)の添加量を0.7重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0044】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0045】
実施例3
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)を重合停止剤添加後に添加することに変更した以外は実施例2と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は撹拌機にわずかに観察されたが、仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0046】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0047】
実施例4
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.1重量部及びナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物(デモールN(商標)、花王(株)製)0.1重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。
【0048】
各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0049】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0050】
実施例5
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)の添加量を1.5重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、水洗時にわずかにゴムの流出が観察されたが、充分クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0051】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0052】
実施例6
不均化ロジン酸カリウムの添加量を2重量部に変更した以外は実施例2と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は撹拌機にわずかに観察されたが、仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0053】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0054】
実施例7
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)の添加量を0.05重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は撹拌機にわずかに観察され、しかも仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にゴムの析出は多かったが、クロロプレンゴムを仕上げることはできた。
【0055】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0056】
実施例8
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)の添加量を3.0重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかったのに対し、仕上げ工程においては、水洗時にゴムの流出が多く観察されたが、クロロプレンゴムを仕上げることはできた。
【0057】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0058】
実施例9
不均化ロジン酸カリウムの添加量を1重量部に変更した以外は実施例2と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。重合中に沈殿析出物は多数発生したが、仕上げ工程においては問題はなく、クロロプレンゴムを仕上げることはできた。
【0059】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0060】
実施例10
不均化ロジン酸カリウムの添加量を7重量部に変更した以外は実施例2と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0061】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相は、不均化ロジン酸カリウム4重量部の添加量と比較すると、黄色化する色相、色相の変化が大きいという結果であったが、使用できる範囲であった。
【0062】
実施例11
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量10,000)0.5重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0063】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0064】
実施例12
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量50,000)0.5重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にわずかにゴムの析出が観察されたが、充分クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0065】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0066】
実施例13
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量500,000)0.5重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかったが、仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にゴムの析出は多かったが、クロロプレンゴムを仕上げることはできた。
【0067】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0068】
実施例14
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量10,000)0.5重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にわずかにゴムの析出が観察されたが、充分クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0069】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0070】
実施例15
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリスチレンスルホン酸型高分子アニオン系界面活性剤(ポリティPS(商標)−1900、ライオン(株)製)0.5重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0071】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0072】
実施例16
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリビニル硫酸カリウム(和光純薬(株)製)0.1重量部及びナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物(デモールN(商標)、花王(株)製)0.1重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にわずかにゴムの析出が観察されたが、充分クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0073】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0074】
実施例17
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸メチル共重合体(NaSS/MMA=70/30mol%、重量平均分子量6,000)1.0重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表1に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0075】
表2に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0076】
実施例18
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体(NaSS/MAA=50/50mol%、重量平均分子量3,000)0.3重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0077】
【表3】
【0078】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0079】
【表4】
【0080】
実施例19
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体の重量平均分子量を7,000に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0081】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0082】
実施例20
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体の重量平均分子量を10,000に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際に若干ゴムの析出が観察されたが、充分クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0083】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0084】
実施例21
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体の重量平均分子量を50,000に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にゴムの析出が観察されたが、クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0085】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0086】
実施例22
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体の添加量を0.2重量部に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際に若干ゴムの析出が観察されたが、充分クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0087】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0088】
実施例23
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体の添加量を0.7重量部に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0089】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0090】
実施例24
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体(NaSS/MAA=20/80mol%、重量平均分子量3,000)に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にゴムの析出が観察されたが、クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0091】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0092】
実施例25
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体(NaSS/MAA=80/20mol%、重量平均分子量3,000)に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0093】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0094】
実施例26
スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリルアミド共重合体(NaSS/MAAM=50/50mol%、重量平均分子量5,000)に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかった。仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際に若干ゴムの析出が観察されたが、充分クロロプレンゴムを仕上げることができた。
【0095】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0096】
実施例27
不均化ロジン酸カリウムの添加量を2重量部に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物は撹拌機に若干観察されたが、仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0097】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相、色相の変化が小さく、タック性が良好という結果であった。
【0098】
実施例28
不均化ロジン酸カリウムの添加量を6重量部に変更した以外は実施例18と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0099】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相、クロロプレンゴムのタック性は、淡色の色相は良好、色相の変化は若干大きい、タック性が良好という結果であった。
【0100】
比較例1
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物(デモールN(商標)、花王(株)製)0.7重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0101】
表4に示したように、クロロプレンゴムのタック性は良好であったが、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相に関しては黄色度、色相の変化の面で劣っていた。
【0102】
比較例2
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物及び仕上げ工程における異常は全く認められなかった。
【0103】
表4に示したように、クロロプレンゴムの色相、クロロプレンゴム溶液の色相、色相の耐熱老化性、色相の耐紫外線性、接着剤の色相は淡色の色相、色相の変化が小さいという優れた結果であった。しかしながら、クロロプレンゴムのタック性は非常に劣っていた。
【0104】
比較例3
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.2重量部の添加を、ポリメタクリル酸ナトリウム(重量平均分子量7,000)0.5重量部の添加に変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。各原料の組成割合は表3に示した。ラテックス中の沈殿析出物は全く認められなかったが、仕上げ工程においては、希酢酸にてpHを6に調節した際にゴムの析出が非常に多く、クロロプレンゴムを仕上げることができなかった。
【0105】
【発明の効果】
本発明の製造法により製造したクロロプレンゴムは、従来のクロロプレンゴムにはない優れた淡色の色相、耐熱老化性、耐紫外線性を有するとともに接着剤として用いた場合の接着剤塗布後に粘着性を長期間保持できるタック性を同時に備えているため、木材、皮革、布、ゴム、プラスチック、金属等の種々の用途の接着剤として好適である。
【0106】
Claims (4)
- クロロプレン又はクロロプレン及びそれと共重合可能な単量体との混合物を水性ラジカル乳化重合する際に、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩とともに、付加重合及び/又は付加重合後高分子反応により導入されたスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子を分散剤として用いるクロロプレンゴムの製造方法であって、スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子が、スチレンスルホン酸と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸アミドとの共重合体の水溶性塩であることを特徴とするクロロプレンゴムの製造方法。
- スチレンスルホン酸と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸アミドとの共重合体中のスチレンスルホン酸導入率が、10〜90mol%であることを特徴とする請求項1記載のクロロプレンゴムの製造方法。
- スルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子の重量平均分子量が、1×103〜1×105であることを特徴とする請求項1記載のクロロプレンゴムの製造方法。
- 全単量体100重量部あたり、2〜6重量部の不均化ロジン酸のアルカリ金属塩並びに0.1〜2重量部のスルホン酸基及び/又は硫酸エステル基を含有する水溶性高分子を用いることを特徴とする請求項1記載のクロロプレンゴムの製造方法。
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