JP3597920B2 - 粉体塗料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、粉体塗装ガンに粉体塗料を供給する粉体塗料供給装置に係り、特に粉体塗料の色替えを容易に行うことができる粉体塗料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗装は、溶剤を使用しないことから環境に優しい無公害型の塗装方法として注目され開発されてきた。この粉体塗装においては、塗料搬送ホースを介して塗料タンクから吸引された粉体塗料が粉体塗装ガンに供給され、粉体塗装ガンから被塗物に吹き付けられて被塗物の表面に堆積される。
【0003】
このような粉体塗装における従来の色替えシステムを図5に示す。それぞれA色及びB色の粉体塗料用の塗料タンク51及び52ごとに専用の供給機53及び54が設けられ、これらの供給機53及び54にそれぞれ対応する塗料搬送ホース55及び56を介してカラーチェンジャー57が接続されている。カラーチェンジャー57には共通の塗料搬送ホース58を介して塗装ガン59が接続されている。また、双方の供給機53及び54にはタンクセレクタ60を介して図示しないコントローラが電気的に接続されている。
【0004】
カラーチェンジャー57は塗料搬送ホース55及び56のうちの一方を機械的に共通の塗料搬送ホース58に接続するものであり、タンクセレクタ60は塗料タンク51の供給機53及び塗料タンク52の供給機54のうちの一方を電気的にコントローラに接続するものである。
【0005】
例えば、A色の塗装を行う場合には、塗料タンク51に対応する供給機53及び塗料搬送ホース55が選択されるようにタンクセレクタ60及びカラーチェンジャー57を設定する。この状態でコントローラにより供給機53を駆動させると、塗料タンク51内のA色の粉体塗料が塗料搬送ホース55、カラーチェンジャー57及び共通の塗料搬送ホース58を介して塗装ガン59に供給され、塗装ガン59から被塗物に吹き付けられる。
【0006】
一方、A色からB色へ色替えを行う場合には、共通の塗料搬送ホース58及び塗装ガン59に付着しているA色の粉体塗料を清掃した後、タンクセレクタ60及びカラーチェンジャー57を切り替えてB色の塗料タンク52に対応する供給機54及び塗料搬送ホース56を選択し、この状態でコントローラにより供給機54を駆動させる。これにより、塗料タンク52内のB色の粉体塗料が塗料搬送ホース56、カラーチェンジャー57及び共通の塗料搬送ホース58を介して塗装ガン59に供給される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして色替えを行うことができるが、色数分の塗料タンク、供給機及び塗料搬送ホースが必要になる上、カラーチェンジャーとタンクセレクタとが必要になるので、色替えシステム全体が大型化且つ複雑化して大きな設置スペースを要すると共に製造コストが高くつくという問題点があった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、小さな設置スペース且つ簡単な構造で、容易に粉体塗料の色替えを行うことができる粉体塗料供給装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る粉体塗料供給装置は、前方が外部に向かって開放されると共にその前方から粉体塗料を収容した塗料タンクを受け入れるための本体フレームと、本体フレームの上部から下方に垂下された吸上げノズルと、吸上げノズルに連結され且つ吸上げノズルの下端部から粉体塗料を吸上げて粉体塗装ガンに供給するための供給機と、本体フレームの下部に配置され且つ外部から吸上げノズルの下方に搬入された塗料タンクを保持しつつ昇降させる昇降リフターと、昇降リフター上で且つ吸上げノズルの直下に上方を向けて配設されると共に吸上げノズルの内面をエアブローによりクリーニングするための内面パージノズルと、本体フレーム内に浮遊する粉塵を吸引するための集塵装置とを備え、粉体塗料の供給時には搬入された塗料タンクを昇降リフターにより上昇させて吸上げノズルの下端部を塗料タンクの粉体塗料内に差し込み、色替え時には塗料タンクを搬入せずに昇降フレームを上昇させて内面パージノズルにより吸上げノズルの内面をクリーニングするものである。
【0009】
なお、塗料タンクを保持すると共に塗料タンクを振動させるための振動テーブルを昇降リフターに設けることもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1にこの発明の一実施形態に係る粉体塗料供給装置の斜視図を示す。本体フレーム1はほぼ筺体形状を有しており、その前方が外部に向かって開放されている。本体フレーム1の天井部2には計6本の吸上げノズル3がそれぞれ鉛直下方に垂下するように固定されている。これらの吸上げノズル3は、本体フレーム1の前後方向に3本ずつ、2列にわたって配列され、各吸上げノズル3の下端部3aには粉体塗料を吸上げるための開口が形成されている。各吸上げノズル3の上端部は本体フレーム1の天井部2の上部に配置された供給機4に接続され、さらに図示しない塗料搬送ホースを介して塗装ガンに接続されている。
【0011】
図2〜図4を用いて粉体塗料供給装置の構造を詳細に説明する。本体フレーム1の下部には、昇降リフター5の上に水平に固定されたコモンベット6が配置されており、コモンベット6は昇降リフター5により上下動自在に構成されている。コモンベット6内には、2本のプレートベヤ7が本体フレーム1の前後方向に互いに平行に配列され、それぞれ対応するシリンダ8によりコモンベット6に対して昇降自在に設けられている。各プレートベヤ7には塗料タンク9を搬送するための複数のボールベアリング10が固定されている。また、コモンベット6内には、各吸上げノズル3の直下に位置する箇所にそれぞれ上方を向けて内面パージノズル11が設けられている。これらの内面パージノズル11は図示しないエア供給装置に接続されている。コモンベット6内の前部には、シリンダ12により上下動するタンクストッパ13が設けられている。さらに、コモンベット6の上には防振ゴム14を介して振動テーブル15が配置され、振動テーブル15の後端部にバイブレータ16が取り付けられている。
【0012】
各プレートベヤ7のボールベアリング10及びタンクストッパ13の直上に位置する箇所には振動テーブル15に開口部が形成されており、ボールベアリング10及びタンクストッパ13が上昇したときにこれらの先端部が振動テーブル15の上に突出するようになっている。同様に、内面パージノズル11の直上に位置する箇所にも振動テーブル15に開口部が形成されており、塗料タンク9を載せずに昇降リフター5を上昇させたときに各内面パージノズル11が振動テーブル15の開口部を通して対応する吸上げノズル3の下端部3aに近接あるいは当接したり、吸上げノズル3の下端部3a内に挿入し得るようになっている。
【0013】
本体フレーム1の後部には、多数の集塵孔が形成された壁面17を有する集塵装置18が配置されている。また、本体フレーム1の外側部には、この粉体塗料供給装置の運転を行うための操作盤19が設けられている。
【0014】
次に、この実施形態に係る粉体塗料供給装置の動作について説明する。まず、操作盤19の操作により、昇降リフター5を最下段まで下げ、シリンダ8を伸ばしてプレートベヤ7を上昇させる。このとき、プレートベヤ7上の各ボールベアリング10は振動テーブル15の開口部を介して振動テーブル15の上に突出する。この状態で、塗装しようとする色の粉体塗料が収容された塗料タンク9を本体フレーム1の前方から振動テーブル15上に搬入する。塗料タンク9は、ボールベアリング10の上に乗って滑らかに搬入される。なお、塗料タンク9として、塗料メーカーから納入される段ボールの塗料箱をそのまま使用することもできる。
【0015】
次に、ボールベアリング10が振動テーブル15の下に引っ込むまでシリンダ8によりプレートベヤ7を降下させて塗料タンク9を振動テーブル15上に載置させた後、シリンダ12を伸ばしてタンクストッパ13を振動テーブル15の上に突出させる。これにより、バイブレータ16を駆動して振動テーブル15を振動させても、振動テーブル15上で塗料タンク9の位置がずれることが防止される。
【0016】
このようにして塗料タンク9を振動テーブル15上に載置すると、図2及び図3に仮想線で示されるように各吸上げノズル3の下端部3aが塗料タンク9の粉体塗料内に差し込まれるまで昇降リフター5を上昇させる。この状態で、バイブレータ16及び各供給機4を駆動させることにより塗料タンク9内の粉体塗料を吸上げノズル3の下端部3aから吸上げ、図示しない塗装ガンに供給する。
【0017】
塗装の色替え時には、昇降リフター5を最下段まで下げ、プレートベヤ7を上昇させることにより塗料タンク9をボールベアリング10上に保持させて塗料タンク9を本体フレーム1の前方から搬出する。次に、振動テーブル15上に塗料タンク9を載せない状態のまま昇降リフター5を上昇させる。コモンベット6内には各吸上げノズル3の直下に位置する箇所にそれぞれ上方を向けて内面パージノズル11が設けられているため、昇降リフター5を上昇させることにより内面パージノズル11の上端部をそれぞれ対応する吸上げノズル3の下端部3aに当接させることができる。この状態で、図示しないエア供給装置から高圧エアを各内面パージノズル11に供給すると、高圧エアが内面パージノズル11から吸上げノズル3、供給機4及び図示しない塗料搬送ホースを介して図示しない塗装ガンに至り、塗装ガンから外部へ噴出する。この高圧エアの供給によって吸上げノズル3、供給機4、塗料搬送ホース及び塗装ガンの内部に付着していた粉体塗料が吹き飛ばされる。なお、内面パージノズル11を対応する吸上げノズル3の下端部3a内に挿入するようにしてもよい。さらに、内面パージノズル11を対応する吸上げノズル3の下端部3aに近接するだけでも高圧エアを吸上げノズル3内に供給することができる。
【0018】
また、内面パージノズル11からのエアブローと同時にあるいは前後して、本体の後部に設けられた集塵装置18を駆動しつつエアブローにより吸上げノズル3の外面をクリーニングする。このとき、集塵装置18が駆動されているので、エアブローにより吸上げノズル3の外面から吹き飛ばされ本体フレーム1内で浮遊する粉体塗料等の粉塵は本体フレーム1後部の壁面17の集塵孔を通って集塵装置18に吸引され、本体フレーム1外部への粉塵の飛散は防止される。
【0019】
このようにしてクリーニングを完了した後、次に塗装しようとする色の粉体塗料が収容された新たな塗料タンクを本体フレーム1内に搬入し、上述したように塗装を行う。
【0020】
以上説明したように、本願発明に係る粉体塗料供給装置によれば、カラーチェンジャー及びタンクセレクタ等の装置を必要とせず、1台の粉体塗料供給装置に塗料タンクを交換するだけで、容易に多色に対応することが可能となる。
【0021】
なお、上記の実施形態では、6本の吸上げノズル3を設けたが、これに限るものではなく、例えば10個の塗装ガンに対応して10本の吸上げノズルを設けてもよい。
【0022】
また、複数のボールベアリング10が設けられたプレートベヤ7をシリンダ8により上昇させて塗料タンク9の搬送路を形成したが、平滑な表面を有する帯状部材を樹脂、金属等から形成し、この帯状部材を本体フレーム1の前後方向に沿って振動テーブル15の上に貼設し、帯状部材上を滑らせて塗料タンク9を搬送することもできる。このような帯状部材を用いれば、さらに粉体塗料供給装置の構造が簡単になる。
【0023】
上記の実施形態では、集塵装置18が本体フレーム1の後部に配設されていたが、本体フレーム1の側部等に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る粉体塗料供給装置を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る粉体塗料供給装置を示す側面図である。
【図3】実施形態に係る粉体塗料供給装置を示す正面図である。
【図4】実施形態に係る粉体塗料供給装置を示す平面図である。
【図5】従来の色替えシステムを示す図である。
【符号の説明】
1 本体フレーム
2 天井部
3 吸上げノズル
3a 下端部
4 供給機
5 昇降リフター
11 内面パージノズル
15 振動テーブル
18 集塵装置
19 操作盤
Claims (2)
- 前方が外部に向かって開放されると共にその前方から粉体塗料を収容した塗料タンクを受け入れるための本体フレームと、
前記本体フレームの上部から下方に垂下された吸上げノズルと、
前記吸上げノズルに連結され且つ前記吸上げノズルの下端部から粉体塗料を吸上げて粉体塗装ガンに供給するための供給機と、
前記本体フレームの下部に配置され且つ外部から前記吸上げノズルの下方に搬入された塗料タンクを保持しつつ昇降させる昇降リフターと、
前記昇降リフター上で且つ前記吸上げノズルの直下に上方を向けて配設されると共に前記吸上げノズルの内面をエアブローによりクリーニングするための内面パージノズルと、
前記本体フレーム内に浮遊する粉塵を吸引するための集塵装置と
を備え、粉体塗料の供給時には搬入された塗料タンクを前記昇降リフターにより上昇させて前記吸上げノズルの下端部を塗料タンクの粉体塗料内に差し込み、色替え時には塗料タンクを搬入せずに前記昇降フレームを上昇させて前記内面パージノズルにより前記吸上げノズルの内面をクリーニングすることを特徴とする粉体塗料供給装置。 - 前記昇降リフターは、塗料タンクを保持すると共に塗料タンクを振動させるための振動テーブルを有することを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料供給装置。
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