JP3596286B2 - レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば2枚の板材の端部相互を重ね合わせて溶接接合する際に、重ね合わせた板材に対し、ローラを押圧しつつ溶接線に沿って回転移動させながら、前記ローラによる押圧部付近の加工点に向けてレーザビームを照射するレーザ溶接装置およびレーザ溶接方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、2枚の板材の重ね合わせ部の幅がより狭いものであっても、レーザ溶接を可能とすることを目的としている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、加工点に向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、前記加工点付近のワークを押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動するローラとを備えたレーザ溶接装置において、前記加工ヘッドをヘッド本体に固定する一方、前記ローラを移動体に装着し、この移動体を、前記溶接線に対し所定角度ずれた方向に前記ヘッド本体に対して移動可能に設けた構成としてある。
【0004】
このような構成のレーザ溶接装置によれば、加工点がローラの側方に位置する状態でレーザビームを照射して仮止め溶接を行い、その後移動体をローラの移動方向前方へ溶接線と所定角度ずれた方向へ移動させることで、加工点がローラの後方に位置し、これによりその後のレーザビームによる溶接作業は、ローラの移動軌跡をならうことになる。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、移動体は、ヘッド本体に対し、ローラの側方に加工点が位置する溶接開始位置と、ローラの移動方向後方側に加工点が位置する継続溶接位置との間を移動可能に設けられている。
【0006】
上記構成によれば、移動体が溶接開始位置にあるとき、加工点はローラの側方にあり、この状態で仮止め溶接を行い、移動体が継続溶接位置にあるとき、加工点はローラの後方にあり、この状態で仮止め溶接後の溶接を継続して行う。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明の構成において、レーザビームは、溶接開始位置にあるローラに対し加工点側の側方から傾斜した状態で照射され、前記ローラの加工点側の側面は、前記傾斜したレーザビームとほぼ平行となるよう傾斜面に形成されている。
【0008】
上記構成によれば、レーザビームをローラの傾斜面に沿って照射することで、加工点を、ローラによるワークへの押圧部のより近接した位置に設定可能となる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2の発明の構成において、移動体に、ワークへのローラの押圧方向が回転中心軸線となる回転軸を回転可能に設け、この回転軸の先端側に前記ローラを回転可能に設けた。
【0010】
上記構成によれば、ローラは、移動体の移動時に、ワークを押圧した状態でその移動方向に向けて回転移動可能なように、回転軸を中心として回転し、移動体の移動に追従しやすいものとなる。
【0011】
請求項5の発明は、ワークを押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら移動するローラの側方の加工点に、前記ローラの移動停止状態で加工ヘッドからレーザビームを照射して仮止め溶接を行い、その後前記ローラが装着された移動体を前記加工ヘッドが固定されたヘッド本体に対して溶接線に対し所定角度ずれた方向に移動させて、前記加工点を前記ローラの移動方向後方側に位置させ、この状態で前記ヘッド本体をローラおよび加工ヘッドとともに溶接線に沿って移動させて溶接作業を行う。
【0012】
上記溶接方法によれば、加工点がローラの側方に位置する仮止め溶接から、移動体を移動させて、加工点をローラの移動方向後方側とすることで、例えば2枚の板材の端部相互を重ね合わせて溶接接合を行う重ね合わせ部の幅が狭いワークに対し、レーザ溶接が容易となる。
【0013】
請求項6の発明は、加工点に向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、前記加工点付近のワークを押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動するローラとを備えたレーザ溶接装置において、前記加工点は前記ローラによるワークへの押圧部の直下に位置し、前記ローラは、側面から加工点に対向する押圧部にわたり前記レーザビームが貫通する貫通孔を備え、前記加工点に向けて照射されるレーザビームは、2系統設けられ、これら2系統のレーザビームにそれぞれ対応する前記貫通孔は、側面の開口部が半径方向について相互にずれ、円周方向については相互に連続した状態で設けられている。
【0014】
上記構成によれば、レーザビームは、ローラの貫通孔を通ってワークへの押圧部の直下の加工点に照射される。
また、一方のレーザビームが、対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射され、この状態からローラが回転して他方のレーザビームが、これに対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射される。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6の発明の構成において、ローラは、ヘッド本体側に固定された回転支持軸に対して回転可能に設けられ、この回転支持軸内に、ローラ外部のアシストガス供給源と、加工点に向けて開口している貫通孔とを連通するガス連絡通路を設けてある。
【0020】
上記構成によれば、アシストガス供給源から回転支持軸内のガス連絡通路にアシストガスを供給することで、このアシストガスは、レーザビームが照射されている加工点に向けて貫通孔を通って吹き付けられる。
【0023】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明の構成において、ローラの回転角度を検出する角度検出手段を設け、この角度検出手段が、いずれかの貫通孔が加工点に整合している状態を検出したとき、その貫通孔に対応するレーザビームを照射する。
【0024】
上記構成によれば、角度検出手段が、ローラの一方の貫通孔が加工点に整合する状態を検出しているとき、これに対応する一方のレーザビームがこの貫通孔を通して加工点に照射され、同様にして他方の貫通孔が加工点に整合する状態を検出しているとき、これに対応する他方のレーザビームがこの貫通孔を通して加工点に照射される。
【0025】
請求項9の発明は、ローラを、ワークに対して押圧しつつ溶接線に沿って回転させながら移動させ、前記ローラのワークへの押圧部と側面とを貫通し、この側面の開口部が半径方向について相互にずれ、円周方向については相互に連続した状態で設けられた貫通孔を通して、この半径方向に相互にずれた貫通孔それぞれに対応する2系統のレーザビームを照射して溶接作業を行う。
【0026】
上記溶接方法によれば、レーザビームは、ローラに設けた貫通孔を通ってローラによる押圧部に対応する位置にある加工点に向けて照射されるので、例えば2枚の板材の端部相互を重ね合わせて溶接接合を行う重ね合わせ部の幅が狭いワークに対し、レーザ溶接が容易となる。
また、一方のレーザビームが、対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射され、この状態からローラが回転して他方のレーザビームが、これに対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射される。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、加工点がローラの側方に位置する状態でレーザビームを照射して仮止め溶接を行った状態から、移動体をローラの移動方向前方へ、溶接線と所定角度ずれた方向へ移動させて、加工点をローラの後方に位置させることで、レーザビームによる溶接位置が、ローラの移動軌跡をならうことになり、これにより2枚の板材の重ね合わせ部の幅が狭いワークに対する溶接が容易となる。
【0028】
請求項2の発明によれば、移動体が溶接開始位置にある状態での仮止め溶接から、移動体を継続溶接位置に移動させることで、加工点はローラの移動方向後方側に位置することになるので、重ね合わせ部の幅が狭いワークに対する溶接が容易となる。
【0029】
請求項3の発明によれば、レーザビームはローラの傾斜面に沿って照射できるので、加工点を、ローラによるワークへの押圧部のより近接した位置に設定でき、加工点がローラの側方に位置する仮止め溶接を行う際においての重ね合わせ部の幅が狭いワークに対して溶接が容易となる。
【0030】
請求項4の発明によれば、ローラは、移動体の移動時に、ワークを押圧した状態でその移動方向に向けて回転移動可能となるよう、回転軸を中心として回転するので、移動体の移動に対する追従動作が容易となる。
【0031】
請求項5の発明によれば、加工点がローラの側方に位置する仮止め溶接から、移動体を移動させることで、加工点をローラの移動方向後方側に設定できるので、重ね合わせ部の幅が狭いワークに対する溶接が容易となる。
【0032】
請求項6の発明によれば、レーザビームは、ローラの貫通孔を通ってワークへの押圧部の直下に照射されるので、重ね合わせ部での幅が狭いワークに対して溶接が容易となる。
また、一方のレーザビームが、対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射され、この状態からローラが回転して他方のレーザビームが、これに対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射されるので、貫通孔を通しての溶接作業を連続して行うことができる。
【0035】
請求項7の発明によれば、ローラを回転可能に支持する回転支持軸内に、アシストガスが通過するガス連絡通路を設けたため、装置全体のコンパクト化に寄与することができる。
【0037】
請求項8の発明によれば、角度検出手段が、いずれかの貫通孔が加工点に整合している状態を検出したとき、これに対応するレーザビームを照射するようにしたため、貫通孔を通してのレーザビームの照射を連続して確実に行うことができる。
【0038】
請求項9の発明によれば、レーザビームは、ローラに設けた貫通孔を通ってローラによる押圧部に対応する位置にある加工点に向けて照射されるので、重ね合わせ部の幅が狭いワーク対して溶接が容易なものとなる。
また、一方のレーザビームが、対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射され、この状態からローラが回転して他方のレーザビームが、これに対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射されるので、貫通孔を通しての溶接作業を連続して行うことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0040】
図1は、この発明の第1の実施の形態を示すレーザ溶接装置の正面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のレーザ溶接装置の全体構成を示す斜視図である。このレーザ溶接装置は、自動車におけるルーフパネル1の車幅方向の端部とサイドパネル3の上端部との重ね合わせ部5に対してレーザ溶接を行い、これらワークを構成する両パネル1,3相互を溶接接合するものであり、この重ね合わせ部5には、図示しない例えばルーフモールを嵌め込む溝7が形成されている。この溝7内にてローラ9が、重ね合わせ部5を押圧して両パネル1,3相互の隙間を矯正しつつ図1中で左方向に向けて回転移動し、レーザビーム11が溝7内の所定の加工点Pに向けて照射されて溶接作業がなされる。
【0041】
レーザビーム11を照射する加工ヘッド13は、ヘッド本体15側に固定され、ヘッド本体15はロボットアーム17の先端に取り付けられている。ヘッド本体15は、ロボットアーム17が連結具18を介して取り付けられるベース板19を備え、ベース板19の上端には上板21が固定されるとともに、連結具18と反対側の面には、ガイド部材23を介して上下方向に移動可能な支持ブラケット25が設けられている。
【0042】
支持ブラケット25は、ガイド部材23に直接取り付けられる側板27と、側板27の下端にてガイド部材23と反対側の面に固定される底板29と、底板29の側板27と反対側の端部に設けられるヘッド支持部材31とから構成されている。このヘッド支持部材31に加工ヘッド13が固定されている。
【0043】
上板15の下面には、加圧シリンダ33が装着され、加圧シリンダ33のピストンロッド35の先端は、支持ブラケット25の底板29に固定されている。すなわち、加圧シリンダ33の作動によるピストンロッド35の下方への移動により、支持ブラケット25が下方へ押圧される。
【0044】
支持ブラケット25の底板29の下面には、一対のガイド部37を介して移動体39が移動可能に設けられている。この移動体39は、その周辺の簡略化した平面図である図4(a)に示すように、溶接線Lに対し、図4(a)中で矢印Bで示す溶接方向に対し、その溶接方向に向かって左側に所定角度θだけずれた矢印Cで示す方向に移動可能である。移動体39の図2中で左側面には、ラック39aが形成され、このラック39aにはピニオン41が噛合しており、ピニオン41は、支持ブラケット25の側板27に固定されたアクチュエータ43の駆動軸45に連結されている。
【0045】
すなわち、移動体39は、アクチュエータ43の駆動により移動するもので、、図1および図2に示すように、レーザビーム11が、ローラ9の側方(回転中心の側方)に位置する加工点Pに対して照射される仮止め溶接を行う溶接開始位置と、図5に示すように、レーザビーム11が、ローラ9の回転中心より右側(ローラ9の移動方向後方側)でかつローラ9の移動軌跡上に位置する加工点Pに対して照射される継続溶接位置との間を移動可能である。
【0046】
移動体39の、図1中で左右方向のほぼ中央位置には、ローラ9のワークに対する押圧方向が回転中心軸線となる回転軸47がベアリング49を介して回転可能に設けられている。回転軸47の下端には、図1に示すように、上端がローラ9の移動方向前方側に位置するよう傾斜しているローラ支持部材51の上端が固定されている。ローラ支持部材51の下端の側部には、ローラ9を回転可能に支持する回転支持軸53が設けられている。
【0047】
加工ヘッド13は、図2に示すように、ヘッド支持部材31に対し、レーザビーム11が溶接開始位置にあるローラ9に対して加工点P側の側方から傾斜した状態で照射されるよう傾斜して取り付けられており、この傾斜して進行するレーザビーム11に対応してローラ9の加工点P側の側面は、傾斜面9aに形成されている。
【0048】
ヘッド支持部材31の図1中で右側の下面には、第1支持アーム55が下方に向けて取り付けられ、第1支持アーム55の下端には第2支持アーム57が傾斜した状態で取り付けられている。第2支持アーム57の上下両端には、加工点Pから発生するプラズマの強度を監視して溶接状態を管理する品質保証装置に用いる光センサ59が装着されるとともに、中央には加工点Pの酸化防止のための不活性ガスであるアシストガスを吐出するアシストガスノズル61が装着されている。
【0049】
次に、作用を説明する。ロボットアーム17を作動させてヘッド本体15を、ローラ9が、ルーフパネル1とサイドパネル3との重ね合わせ部5の溝7内に入り込むよう移動させる。このときローラ9は、溝7内のワーク表面に近接した位置にあるものとする。この状態で、加圧シリンダ33を、支持ブラケット25が下方に移動するよう作動させ、これによりローラ9は重ね合わせ部5に対して所定の圧力で加圧することになり、各パネル1,3の端部相互が密着して隙間が矯正される。
【0050】
上記した隙間が矯正された状態でレーザ溶接を開始するが、この溶接開始時には、移動体39は図1に示す位置にあり、このときローラ9は、図1および図2に示すように、加工点Pがローラ9の回転中心の側方に位置している。この状態で、加工ヘッド13からレーザビーム11を加工点Pに向けて照射し、仮止め溶接を行う。
【0051】
仮止め溶接を行う際には、レーザビーム11は、ローラ9の傾斜面9aに沿って近接した状態で進行させることができ、これにより、重ね合わせ部5の幅、すなわち溝7の幅がより狭いワークに対して容易にレーザ溶接が可能となる。
【0052】
仮止め溶接後は、アクチュエータ43を作動させて、移動体39を、図1の位置から図5の位置となるよう、図4中の矢印C左方向に移動させる。このときローラ9は、移動体39に対して回転軸47を介して回転可能であり、かつ傾斜しているローラ支持部材51に支持されているので、移動体39の移動方向に向けて回転移動可能となるよう、回転軸47を中心に図4(a)中で矢印D方向に回転し、図4(a)の状態となる。このため、ローラ9のワーク上での回転移動が、移動体39の移動方向に沿ったものとなって容易となる。
【0053】
移動体39の図5の状態への移動後の平面図を図4(b)に示す。ここでの加工点Pは、ローラ9の移動方向後方側に位置している。この状態からロボットアーム17の作動により、ヘッド本体15を溝7内の溶接線Lに沿って移動させると、ローラ9は、重ね合わせ部5のワーク表面上を押圧しながら回転して移動する。この移動の際においても、ローラ9は、図4(b)の状態から回転軸47を中心に前記とは逆の矢印E方向に回転してヘッド本体15の進行方向に向いた状態となり、ローラ9のワーク上での回転移動が容易となる。
【0054】
上記ローラ9の回転移動と同時に、加工ヘッド13からレーザビーム11を加工点Pに向けて照射し、仮止め溶接を行った部位から継続してレーザ溶接を行う。この継続溶接の際には、ローラ9の移動軌跡上をレーザビーム11がならい溶接を行うことになる。これにより、ローラ9によるワークへの押圧部とレーザビーム11によるワークに対する加工点Pとが、同一の溶接線L上に位置することになるので、重ね合わせ部5の幅、つまり溝7の幅が狭い、例えば12mmを下回る8mm程度のものであってもレーザ溶接を容易に行うことが可能である。
【0055】
図6は、この発明の第2の実施の形態を示すレーザ溶接装置の溶接方向前方側から見た動作説明図、図7は図6のF−F断面図、図8は図6のレーザ溶接装置の全体構成を示す斜視図である。この実施の形態は、前記第1の実施の形態におけるものと同様なヘッド本体15の支持ブラケット25の底板29の下面に、ローラ支持板63が固定され、このローラ支持板63の下部に、ローラ支持アーム65を介してローラ67が取り付けられている。
【0056】
ローラ支持アーム65は、下端側がロボットアーム17から離れる位置となるよう傾斜しており、この傾斜と平行にローラ67も傾斜した状態で、ローラ支持アーム65に固定された回転支持軸69を中心に回転可能となっている。傾斜状態のローラ67の外周面67aは、溝7内のワーク表面に対する押圧時に、ワーク表面と平行となるよう形成されている。
【0057】
上記ローラ67内には、レーザビーム11が通過する貫通孔71が形成されている。この貫通孔71は、ローラ支持アーム65と反対側の側面の開口部71aと、外周面67aに形成された開口部71bとを連通するもので、図7に示すように、円周方向等間隔に4箇所設けられている。そして、貫通孔71の加工点Pに対応する開口部71bの円周方向両端相互間の角度αと、貫通孔71が設けられていない部位の円周方向の角度βとの関係は、α/β=0.4としてある。すなわちこれは、ローラ67の回転に伴ってレーザビーム11が照射される部位と照射されない部位との比が、2:5であることを意味している。
【0058】
また、ローラ支持アーム65のローラ支持板63側の端部には、ローラ67の外周面67aに近接して配置される角度検出手段としてのローラ回転角度センサ73が装着されている。ローラ回転角度センサ73は、ローラ67の回転角度を検出するものであり、ローラ67の貫通孔71が加工点Pに整合している状態を検出したとき、レーザビーム11を照射するよう図示しないレーザ発振器に信号を送る。
【0059】
ローラ67を回転支持する回転支持軸69内には、加工点Pに向けて供給するアシストガスが流れるガス連絡通路75が形成されている。ガス連絡通路75のローラ支持アーム65側には、図示しないアシストガス供給源に連通するガス供給管77が、ガス吸入口79を介して連通するとともに、加工点Pに開口している状態の貫通孔71に、連通路81を介して連通している。
【0060】
次に、作用を説明する。前述した第1の実施の形態と同様に、ロボットアーム17を作動させてヘッド本体15を、ローラ67がルーフパネル1とサイドパネル3との重ね合わせ部5の溝7内に入り込むよう移動させる。このときローラ67は、溝7内のワーク表面に近接した位置にあり、この状態で加圧シリンダ33を、支持ブラケット25が下方に移動するよう作動させ、これによりローラ67は重ね合わせ部5に対して所定の圧力で加圧することになり、各パネル1,3の端部相互が密着して隙間が矯正される。
【0061】
上記した隙間が矯正された状態で、ローラ67がワーク表面上を回転移動し、ローラ回転角度センサ73が、貫通孔71の開口部71bが加工点Pに整合する状態を検出したときに、レーザビーム11を貫通孔71を通して加工点Pに照射してレーザ溶接を行う。また、このときガス連絡通路75から連通路81を通してアシストガスが加工点Pに向けて吐出される。
【0062】
レーザビーム11は4カ所に設けた貫通孔71を通して加工点Pに照射されるので、ローラ67の回転に伴って、溶接部分は、一定間隔をおいて間欠的に形成されるが、非溶接部分に対して2/5としてあり、これによりスポット溶接と同等以上の強度が確保されている。
【0063】
上記したレーザ溶接装置によれば、ローラ67によるワークに対する押圧部の直下に、レーザビーム11を照射する加工点Pが位置しているので、重ね合わせ部5の幅、つまり溝7の幅が狭い、例えば5mm程度のものであってもレーザ溶接が可能なものとなる。また、溶接部分の表面が三次元形状を呈しているワークに対しても、ローラ67による押圧部と加工点Pとが一致しているため、容易に追従してレーザ溶接が可能である。
【0064】
また、加工点Pに供給するアシストガスを、ローラ67を回転支持する回転支持軸69内に設けたガス連絡通路75を通して吐出するようにしたため、装置全体のコンパクト化が達成され、溝7の幅が狭いワークに対する溶接作業に適したものとなっている。
【0065】
図9および図10は、前記第2の実施の形態の変形例で、図10は図9のG矢視図である。この実施の形態は、2系統のレーザビーム11a,11bを、ローラ83内の別々の貫通孔85,87を通して同一の加工点Pに、交互に照射するようにしたものである。レーザビーム11aに対応する貫通孔85は、ローラ支持アーム65と反対側の側面の開口部85aが、ローラ83の半径方向内側に位置し、レーザビーム11bに対応する貫通孔87は、ローラ支持アーム65と反対側の側面の開口部87aが開口部85aより外周側に位置し、これにより各開口部85a,87aは半径方向に相互にずれた位置に形成されるものとなる。そして、これら各貫通孔85,87は、円周方向については交互に配置され、かつ開口部85a,87aが円周方向に向けて相互に連続した状態となるよう設けられている。
【0066】
図9においては、各貫通孔85,87は、同一のものとして図示しているが、これらは互いに別々の、側面の開口部85a,87aと、外周面83aに形成された開口部85b,87bとをそれぞれ連通するものである。
【0067】
ローラ支持板63の先端下部に取り付けられる角度検出手段としてのローラ回転角度センサ89は、貫通孔85,87のいずれかが加工点Pに整合している状態を検出したとき、対応するレーザビーム11a,11bのいずれかを照射するよう図示しないレーザ発振器に信号を送る。
【0068】
上記した構成のレーザ溶接装置は、ローラ83がワークを押圧しつつ回転移動する際に、一方の例えば貫通孔85が加工点Pに整合した状態では、レーザビーム11aが加工点Pに照射されてレーザ溶接がなされ、また他方の貫通孔87が加工点Pに整合した状態では、レーザビーム11bが加工点Pに照射されてレーザ溶接がなされる。
【0069】
このようなレーザ溶接装置は、前記図6〜図8のものと同様に、溝7の幅が狭いワークに対してもレーザ溶接が容易に行えるとともに、溶接部分の表面が三次元形状を呈しているワークに対しても、容易に追従してレーザ溶接が可能である。また、レーザビーム11a,11bがそれぞれ通過する貫通孔85,87が、ローラ83の回転方向に沿って交互に連続して形成されているので、加工点Pには常にどちらかのレーザビーム11a,11bが照射されることになり、溶接線に沿ったレーザ溶接が連続して行え、溶接部分の強度向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すレーザ溶接装置の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のレーザ溶接装置の全体構成を示す斜視図である。
【図4】図1のレーザ溶接装置における移動体周辺の簡略化した平面図で、(a)は溶接開始時でのもの、(b)は溶接開始後の継続溶接時でのものである。
【図5】継続溶接時でのレーザ溶接装置の正面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態を示すレーザ溶接装置の溶接方向前方から見た動作説明図である。
【図7】図6のF−F断面図である。
【図8】図6のレーザ溶接装置の全体構成を示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態の変形例を示す動作説明図である。
【図10】図9のG矢視図である。
【符号の説明】
P 加工点
L 溶接線
1 ルーフパネル(ワーク)
3 サイドパネル(ワーク)
9,67,83 ローラ
9a 傾斜面
11,11a,11b レーザビーム
13 加工ヘッド
15 ヘッド本体
39 移動体
47 回転軸
69 回転支持軸
71,85,87 貫通孔
71b 加工点に対向する開口部
73,89 ローラ回転角度センサ(角度検出手段)
75 ガス連絡通路
85a,87a 側面の開口部
Claims (9)
- 加工点に向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、前記加工点付近のワークを押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動するローラとを備えたレーザ溶接装置において、前記加工ヘッドをヘッド本体に固定する一方、前記ローラを移動体に装着し、この移動体を、前記溶接線に対し所定角度ずれた方向に前記ヘッド本体に対して移動可能に設けたことを特徴とするレーザ溶接装置。
- 移動体は、ヘッド本体に対し、ローラの側方に加工点が位置する溶接開始位置と、ローラの移動方向後方側に加工点が位置する継続溶接位置との間を移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接装置。
- レーザビームは、溶接開始位置にあるローラに対し加工点側の側方から傾斜した状態で照射され、前記ローラの加工点側の側面は、前記傾斜したレーザビームとほぼ平行となるよう傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項2記載のレーザ溶接装置。
- 移動体に、ワークへのローラの押圧方向が回転中心軸線となる回転軸を回転可能に設け、この回転軸の先端側に前記ローラを回転可能に設けたことを特徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接装置。
- ワークを押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら移動するローラの側方の加工点に、前記ローラの移動停止状態で加工ヘッドからレーザビームを照射して仮止め溶接を行い、その後前記ローラが装着された移動体を前記加工ヘッドが固定されたヘッド本体に対して溶接線に対し所定角度ずれた方向に移動させて、前記加工点を前記ローラの移動方向後方側に位置させ、この状態で前記ヘッド本体をローラおよび加工ヘッドとともに溶接線に沿って移動させて溶接作業を行うことを特徴とするレーザ溶接方法。
- 加工点に向けてレーザビームを照射する加工ヘッドと、前記加工点付近のワークを押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動するローラとを備えたレーザ溶接装置において、前記加工点は前記ローラによるワークへの押圧部の直下に位置し、前記ローラは、側面から加工点に対向する押圧部にわたり前記レーザビームが貫通する貫通孔を備え、前記加工点に向けて照射されるレーザビームは、2系統設けられ、これら2系統のレーザビームにそれぞれ対応する前記貫通孔は、側面の開口部が半径方向について相互にずれ、円周方向については相互に連続した状態で設けられていることを特徴とするレーザ溶接装置。
- ローラは、ヘッド本体側に固定された回転支持軸に対して回転可能に設けられ、この回転支持軸内に、ローラ外部のアシストガス供給源と、加工点に向けて開口している貫通孔とを連通するガス連絡通路を設けたことを特徴とする請求項6記載のレーザ溶接装置。
- ローラの回転角度を検出する角度検出手段を設け、この角度検出手段が、いずれかの貫通孔が加工点に整合している状態を検出したとき、その貫通孔に対応するレーザビームを照射することを特徴とする請求項6または7記載のレーザ溶接装置。
- ローラを、ワークに対して押圧しつつ溶接線に沿って回転させながら移動させ、前記ローラのワークへの押圧部と側面とを貫通し、この側面の開口部が半径方向について相互にずれ、円周方向については相互に連続した状態で設けられた貫通孔を通して、この半径方向に相互にずれた貫通孔それぞれに対応する2系統のレーザビームを照射して溶接作業を行うことを特徴とするレーザ溶接方法。
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