JPH11320153A - レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法 - Google Patents

レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法

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JPH11320153A
JPH11320153A JP10129014A JP12901498A JPH11320153A JP H11320153 A JPH11320153 A JP H11320153A JP 10129014 A JP10129014 A JP 10129014A JP 12901498 A JP12901498 A JP 12901498A JP H11320153 A JPH11320153 A JP H11320153A
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roller
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welding
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laser beam
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隆久 長谷川
Takuma Nakamura
卓磨 中村
Kiyokazu Mori
清和 森
Hiroshi Tarui
大志 樽井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2枚の板材の重ね合わせ部の幅がより狭いも
のであっても、レーザ溶接を容易に行えるようにする。 【解決手段】 自動車におけるルーフパネル1およびサ
イドパネル3の各端部相互の重ね合わせ部5を押圧し
て、両パネル1,3相互間の隙間を矯正しつつ溶接線に
沿って回転しながら移動するローラ9の側方の加工点P
に、加工ヘッド13からレーザビーム11を照射して仮
止め溶接を行う。仮止め溶接後、ローラ9が設けられた
移動体39を加工ヘッド13が固定されたヘッド本体1
5側の支持ブラケット25に対し、溶接線に対し所定角
度ずれた方向に移動させて、加工点Pをローラ9の移動
方向後方側に位置させ、この状態でヘッド本体15を、
ローラ9および加工ヘッド13とともに溶接線に沿って
移動させて溶接作業を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば2枚の板
材の端部相互を重ね合わせて溶接接合する際に、重ね合
わせた板材に対し、ローラを押圧しつつ溶接線に沿って
回転移動させながら、前記ローラによる押圧部付近の加
工点に向けてレーザビームを照射するレーザ溶接装置お
よびレーザ溶接方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、2枚の板
材の重ね合わせ部の幅がより狭いものであっても、レー
ザ溶接を可能とすることを目的としている。
【0003】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、加工点に向けてレーザビームを
照射する加工ヘッドと、前記加工点付近のワークを押圧
しつつ溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとと
もに移動するローラとを備えたレーザ溶接装置におい
て、前記加工ヘッドをヘッド本体に固定する一方、前記
ローラを移動体に装着し、この移動体を、前記溶接線に
対し所定角度ずれた方向に前記ヘッド本体に対して移動
可能に設けた構成としてある。
【0004】このような構成のレーザ溶接装置によれ
ば、加工点がローラの側方に位置する状態でレーザビー
ムを照射して仮止め溶接を行い、その後移動体をローラ
の移動方向前方へ溶接線と所定角度ずれた方向へ移動さ
せることで、加工点がローラの後方に位置し、これによ
りその後のレーザビームによる溶接作業は、ローラの移
動軌跡をならうことになる。
【0005】請求項2の発明は、請求項1の発明の構成
において、移動体は、ヘッド本体に対し、ローラの側方
に加工点が位置する溶接開始位置と、ローラの移動方向
後方側に加工点が位置する継続溶接位置との間を移動可
能に設けられている。
【0006】上記構成によれば、移動体が溶接開始位置
にあるとき、加工点はローラの側方にあり、この状態で
仮止め溶接を行い、移動体が継続溶接位置にあるとき、
加工点はローラの後方にあり、この状態で仮止め溶接後
の溶接を継続して行う。
【0007】請求項3の発明は、請求項2の発明の構成
において、レーザビームは、溶接開始位置にあるローラ
に対し加工点側の側方から傾斜した状態で照射され、前
記ローラの加工点側の側面は、前記傾斜したレーザビー
ムとほぼ平行となるよう傾斜面に形成されている。
【0008】上記構成によれば、レーザビームをローラ
の傾斜面に沿って照射することで、加工点を、ローラに
よるワークへの押圧部のより近接した位置に設定可能と
なる。
【0009】請求項4の発明は、請求項1または2の発
明の構成において、移動体に、ワークへのローラの押圧
方向が回転中心軸線となる回転軸を回転可能に設け、こ
の回転軸の先端側に前記ローラを回転可能に設けた。
【0010】上記構成によれば、ローラは、移動体の移
動時に、ワークを押圧した状態でその移動方向に向けて
回転移動可能なように、回転軸を中心として回転し、移
動体の移動に追従しやすいものとなる。
【0011】請求項5の発明は、ワークを押圧しつつ溶
接線に沿って回転しながら移動するローラの側方の加工
点に、前記ローラの移動停止状態で加工ヘッドからレー
ザビームを照射して仮止め溶接を行い、その後前記ロー
ラが装着された移動体を前記加工ヘッドが固定されたヘ
ッド本体に対して溶接線に対し所定角度ずれた方向に移
動させて、前記加工点を前記ローラの移動方向後方側に
位置させ、この状態で前記ヘッド本体をローラおよび加
工ヘッドとともに溶接線に沿って移動させて溶接作業を
行う。
【0012】上記溶接方法によれば、加工点がローラの
側方に位置する仮止め溶接から、移動体を移動させて、
加工点をローラの移動方向後方側とすることで、例えば
2枚の板材の端部相互を重ね合わせて溶接接合を行う重
ね合わせ部の幅が狭いワークに対し、レーザ溶接が容易
となる。
【0013】請求項6の発明は、加工点に向けてレーザ
ビームを照射する加工ヘッドと、前記加工点付近のワー
クを押圧しつつ溶接線に沿って回転しながら前記加工ヘ
ッドとともに移動するローラとを備えたレーザ溶接装置
において、前記加工点は前記ローラによるワークへの押
圧部の直下に位置し、前記ローラは、側面から加工点に
対向する押圧部にわたり前記レーザビームが貫通する貫
通孔を備えている。
【0014】上記構成によれば、レーザビームは、ロー
ラの貫通孔を通ってワークへの押圧部の直下の加工点に
照射される。
【0015】請求項7の発明は、請求項6の発明の構成
において、ローラの回転角度を検出する角度検出手段を
設け、この角度検出手段が、前記ローラの貫通孔が加工
点に整合している状態を検出しているとき、レーザビー
ムを照射する。
【0016】上記構成によれば、角度検出手段が、ロー
ラの貫通孔が加工点に整合する状態を検出していると
き、レーザビームが貫通孔を通して加工点に照射され
る。
【0017】請求項8の発明は、請求項6または7の発
明の構成において、貫通孔の加工点に対向する開口部の
円周方向両端相互間の角度αと、前記貫通孔が設けられ
ていない部位の円周方向の角度βとの関係は、α/β=
0.4である。
【0018】上記構成によれば、非溶接部の溶接線に沿
う長さを例えば50mmとすると、溶接部の溶接長さを2
0mmに設定すれば、スポット溶接と同等以上の強度が得
られ、このような非溶接部と溶接部との関係は、α/β
=0.4、すなわち、α:β0=2:5とすることで達
成される。
【0019】請求項9の発明は、請求項6の発明の構成
において、ローラは、ヘッド本体側に固定された回転支
持軸に対して回転可能に設けられ、この回転支持軸内
に、ローラ外部のアシストガス供給源と、加工点に向け
て開口している貫通孔とを連通するガス連絡通路を設け
てある。
【0020】上記構成によれば、アシストガス供給源か
ら回転支持軸内のガス連絡通路にアシストガスを供給す
ることで、このアシストガスは、レーザビームが照射さ
れている加工点に向けて貫通孔を通って吹き付けられ
る。
【0021】請求項10の発明は、請求項6の発明の構
成において、加工点に向けて照射されるレーザビーム
は、2系統設けられ、これら2系統のレーザビームにそ
れぞれ対応する貫通孔は、側面の開口部が半径方向につ
いて相互にずれ、円周方向については相互に連続した状
態で設けられている。
【0022】上記構成によれば、一方のレーザビーム
が、対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射され、
この状態からローラが回転して他方のレーザビームが、
これに対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射され
る。
【0023】請求項11の発明は、請求項10の発明の
構成において、ローラの回転角度を検出する角度検出手
段を設け、この角度検出手段が、いずれかの貫通孔が加
工点に整合している状態を検出したとき、その貫通孔に
対応するレーザビームを照射する。
【0024】上記構成によれば、角度検出手段が、ロー
ラの一方の貫通孔が加工点に整合する状態を検出してい
るとき、これに対応する一方のレーザビームがこの貫通
孔を通して加工点に照射され、同様にして他方の貫通孔
が加工点に整合する状態を検出しているとき、これに対
応する他方のレーザビームがこの貫通孔を通して加工点
に照射される。
【0025】請求項12の発明は、ローラを、ワークに
対して押圧しつつ溶接線に沿って回転させながら移動さ
せ、前記ローラのワークへの押圧部と側面とを貫通する
貫通孔を通してレーザビームを照射して溶接作業を行
う。
【0026】上記溶接方法によれば、レーザビームは、
ローラに設けた貫通孔を通ってローラによる押圧部に対
応する位置にある加工点に向けて照射されるので、例え
ば2枚の板材の端部相互を重ね合わせて溶接接合を行う
重ね合わせ部の幅が狭いワークに対し、レーザ溶接が容
易となる。
【0027】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1の発
明によれば、加工点がローラの側方に位置する状態でレ
ーザビームを照射して仮止め溶接を行った状態から、移
動体をローラの移動方向前方へ、溶接線と所定角度ずれ
た方向へ移動させて、加工点をローラの後方に位置させ
ることで、レーザビームによる溶接位置が、ローラの移
動軌跡をならうことになり、これにより2枚の板材の重
ね合わせ部の幅が狭いワークに対する溶接が容易とな
る。
【0028】請求項2の発明によれば、移動体が溶接開
始位置にある状態での仮止め溶接から、移動体を継続溶
接位置に移動させることで、加工点はローラの移動方向
後方側に位置することになるので、重ね合わせ部の幅が
狭いワークに対する溶接が容易となる。
【0029】請求項3の発明によれば、レーザビームは
ローラの傾斜面に沿って照射できるので、加工点を、ロ
ーラによるワークへの押圧部のより近接した位置に設定
でき、加工点がローラの側方に位置する仮止め溶接を行
う際においての重ね合わせ部の幅が狭いワークに対して
溶接が容易となる。
【0030】請求項4の発明によれば、ローラは、移動
体の移動時に、ワークを押圧した状態でその移動方向に
向けて回転移動可能となるよう、回転軸を中心として回
転するので、移動体の移動に対する追従動作が容易とな
る。
【0031】請求項5の発明によれば、加工点がローラ
の側方に位置する仮止め溶接から、移動体を移動させる
ことで、加工点をローラの移動方向後方側に設定できる
ので、重ね合わせ部の幅が狭いワークに対する溶接が容
易となる。
【0032】請求項6の発明によれば、レーザビーム
は、ローラの貫通孔を通ってワークへの押圧部の直下に
照射されるので、重ね合わせ部での幅が狭いワークに対
して溶接が容易となる。
【0033】請求項7の発明によれば、ローラの貫通孔
が加工点に整合する状態を、角度検出手段が検出するの
で、レーザビームの貫通孔を通しての加工点への照射を
確実に行うことができる。
【0034】請求項8の発明によれば、貫通孔の加工点
に対向する開口部の円周方向両端相互間の角度αと、貫
通孔が設けられていない部位の円周方向の角度βとの関
係を、α/β=0.4としたため、スポット溶接と同等
以上の強度を得ることができる。
【0035】請求項9の発明によれば、ローラを回転可
能に支持する回転支持軸内に、アシストガスが通過する
ガス連絡通路を設けたため、装置全体のコンパクト化に
寄与することができる。
【0036】請求項10の発明によれば、一方のレーザ
ビームが、対応する貫通孔を通して加工点に向けて照射
され、この状態からローラが回転して他方のレーザビー
ムが、これに対応する貫通孔を通して加工点に向けて照
射されるので、貫通孔を通しての溶接作業を連続して行
うことができる。
【0037】請求項11の発明によれば、角度検出手段
が、いずれかの貫通孔が加工点に整合している状態を検
出したとき、これに対応するレーザビームを照射するよ
うにしたため、貫通孔を通してのレーザビームの照射を
連続して確実に行うことができる。
【0038】請求項12の発明によれば、レーザビーム
は、ローラに設けた貫通孔を通ってローラによる押圧部
に対応する位置にある加工点に向けて照射されるので、
重ね合わせ部の幅が狭いワーク対して溶接が容易なもの
となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づき説明する。
【0040】図1は、この発明の第1の実施の形態を示
すレーザ溶接装置の正面図、図2は図1のA−A断面
図、図3は図1のレーザ溶接装置の全体構成を示す斜視
図である。このレーザ溶接装置は、自動車におけるルー
フパネル1の車幅方向の端部とサイドパネル3の上端部
との重ね合わせ部5に対してレーザ溶接を行い、これら
ワークを構成する両パネル1,3相互を溶接接合するも
のであり、この重ね合わせ部5には、図示しない例えば
ルーフモールを嵌め込む溝7が形成されている。この溝
7内にてローラ9が、重ね合わせ部5を押圧して両パネ
ル1,3相互の隙間を矯正しつつ図1中で左方向に向け
て回転移動し、レーザビーム11が溝7内の所定の加工
点Pに向けて照射されて溶接作業がなされる。
【0041】レーザビーム11を照射する加工ヘッド1
3は、ヘッド本体15側に固定され、ヘッド本体15は
ロボットアーム17の先端に取り付けられている。ヘッ
ド本体15は、ロボットアーム17が連結具18を介し
て取り付けられるベース板19を備え、ベース板19の
上端には上板21が固定されるとともに、連結具18と
反対側の面には、ガイド部材23を介して上下方向に移
動可能な支持ブラケット25が設けられている。
【0042】支持ブラケット25は、ガイド部材23に
直接取り付けられる側板27と、側板27の下端にてガ
イド部材23と反対側の面に固定される底板29と、底
板29の側板27と反対側の端部に設けられるヘッド支
持部材31とから構成されている。このヘッド支持部材
31に加工ヘッド13が固定されている。
【0043】上板15の下面には、加圧シリンダ33が
装着され、加圧シリンダ33のピストンロッド35の先
端は、支持ブラケット25の底板29に固定されてい
る。すなわち、加圧シリンダ33の作動によるピストン
ロッド35の下方への移動により、支持ブラケット25
が下方へ押圧される。
【0044】支持ブラケット25の底板29の下面に
は、一対のガイド部37を介して移動体39が移動可能
に設けられている。この移動体39は、その周辺の簡略
化した平面図である図4(a)に示すように、溶接線L
に対し、図4(a)中で矢印Bで示す溶接方向に対し、
その溶接方向に向かって左側に所定角度θだけずれた矢
印Cで示す方向に移動可能である。移動体39の図2中
で左側面には、ラック39aが形成され、このラック3
9aにはピニオン41が噛合しており、ピニオン41
は、支持ブラケット25の側板27に固定されたアクチ
ュエータ43の駆動軸45に連結されている。
【0045】すなわち、移動体39は、アクチュエータ
43の駆動により移動するもので、、図1および図2に
示すように、レーザビーム11が、ローラ9の側方(回
転中心の側方)に位置する加工点Pに対して照射される
仮止め溶接を行う溶接開始位置と、図5に示すように、
レーザビーム11が、ローラ9の回転中心より右側(ロ
ーラ9の移動方向後方側)でかつローラ9の移動軌跡上
に位置する加工点Pに対して照射される継続溶接位置と
の間を移動可能である。
【0046】移動体39の、図1中で左右方向のほぼ中
央位置には、ローラ9のワークに対する押圧方向が回転
中心軸線となる回転軸47がベアリング49を介して回
転可能に設けられている。回転軸47の下端には、図1
に示すように、上端がローラ9の移動方向前方側に位置
するよう傾斜しているローラ支持部材51の上端が固定
されている。ローラ支持部材51の下端の側部には、ロ
ーラ9を回転可能に支持する回転支持軸53が設けられ
ている。
【0047】加工ヘッド13は、図2に示すように、ヘ
ッド支持部材31に対し、レーザビーム11が溶接開始
位置にあるローラ9に対して加工点P側の側方から傾斜
した状態で照射されるよう傾斜して取り付けられてお
り、この傾斜して進行するレーザビーム11に対応して
ローラ9の加工点P側の側面は、傾斜面9aに形成され
ている。
【0048】ヘッド支持部材31の図1中で右側の下面
には、第1支持アーム55が下方に向けて取り付けら
れ、第1支持アーム55の下端には第2支持アーム57
が傾斜した状態で取り付けられている。第2支持アーム
57の上下両端には、加工点Pから発生するプラズマの
強度を監視して溶接状態を管理する品質保証装置に用い
る光センサ59が装着されるとともに、中央には加工点
Pの酸化防止のための不活性ガスであるアシストガスを
吐出するアシストガスノズル61が装着されている。
【0049】次に、作用を説明する。ロボットアーム1
7を作動させてヘッド本体15を、ローラ9が、ルーフ
パネル1とサイドパネル3との重ね合わせ部5の溝7内
に入り込むよう移動させる。このときローラ9は、溝7
内のワーク表面に近接した位置にあるものとする。この
状態で、加圧シリンダ33を、支持ブラケット25が下
方に移動するよう作動させ、これによりローラ9は重ね
合わせ部5に対して所定の圧力で加圧することになり、
各パネル1,3の端部相互が密着して隙間が矯正され
る。
【0050】上記した隙間が矯正された状態でレーザ溶
接を開始するが、この溶接開始時には、移動体39は図
1に示す位置にあり、このときローラ9は、図1および
図2に示すように、加工点Pがローラ9の回転中心の側
方に位置している。この状態で、加工ヘッド13からレ
ーザビーム11を加工点Pに向けて照射し、仮止め溶接
を行う。
【0051】仮止め溶接を行う際には、レーザビーム1
1は、ローラ9の傾斜面9aに沿って近接した状態で進
行させることができ、これにより、重ね合わせ部5の
幅、すなわち溝7の幅がより狭いワークに対して容易に
レーザ溶接が可能となる。
【0052】仮止め溶接後は、アクチュエータ43を作
動させて、移動体39を、図1の位置から図5の位置と
なるよう、図4中の矢印C左方向に移動させる。このと
きローラ9は、移動体39に対して回転軸47を介して
回転可能であり、かつ傾斜しているローラ支持部材51
に支持されているので、移動体39の移動方向に向けて
回転移動可能となるよう、回転軸47を中心に図4
(a)中で矢印D方向に回転し、図4(a)の状態とな
る。このため、ローラ9のワーク上での回転移動が、移
動体39の移動方向に沿ったものとなって容易となる。
【0053】移動体39の図5の状態への移動後の平面
図を図4(b)に示す。ここでの加工点Pは、ローラ9
の移動方向後方側に位置している。この状態からロボッ
トアーム17の作動により、ヘッド本体15を溝7内の
溶接線Lに沿って移動させると、ローラ9は、重ね合わ
せ部5のワーク表面上を押圧しながら回転して移動す
る。この移動の際においても、ローラ9は、図4(b)
の状態から回転軸47を中心に前記とは逆の矢印E方向
に回転してヘッド本体15の進行方向に向いた状態とな
り、ローラ9のワーク上での回転移動が容易となる。
【0054】上記ローラ9の回転移動と同時に、加工ヘ
ッド13からレーザビーム11を加工点Pに向けて照射
し、仮止め溶接を行った部位から継続してレーザ溶接を
行う。この継続溶接の際には、ローラ9の移動軌跡上を
レーザビーム11がならい溶接を行うことになる。これ
により、ローラ9によるワークへの押圧部とレーザビー
ム11によるワークに対する加工点Pとが、同一の溶接
線L上に位置することになるので、重ね合わせ部5の
幅、つまり溝7の幅が狭い、例えば12mmを下回る8mm
程度のものであってもレーザ溶接を容易に行うことが可
能である。
【0055】図6は、この発明の第2の実施の形態を示
すレーザ溶接装置の溶接方向前方側から見た動作説明
図、図7は図6のF−F断面図、図8は図6のレーザ溶
接装置の全体構成を示す斜視図である。この実施の形態
は、前記第1の実施の形態におけるものと同様なヘッド
本体15の支持ブラケット25の底板29の下面に、ロ
ーラ支持板63が固定され、このローラ支持板63の下
部に、ローラ支持アーム65を介してローラ67が取り
付けられている。
【0056】ローラ支持アーム65は、下端側がロボッ
トアーム17から離れる位置となるよう傾斜しており、
この傾斜と平行にローラ67も傾斜した状態で、ローラ
支持アーム65に固定された回転支持軸69を中心に回
転可能となっている。傾斜状態のローラ67の外周面6
7aは、溝7内のワーク表面に対する押圧時に、ワーク
表面と平行となるよう形成されている。
【0057】上記ローラ67内には、レーザビーム11
が通過する貫通孔71が形成されている。この貫通孔7
1は、ローラ支持アーム65と反対側の側面の開口部7
1aと、外周面67aに形成された開口部71bとを連
通するもので、図7に示すように、円周方向等間隔に4
箇所設けられている。そして、貫通孔71の加工点Pに
対応する開口部71bの円周方向両端相互間の角度α
と、貫通孔71が設けられていない部位の円周方向の角
度βとの関係は、α/β=0.4としてある。すなわち
これは、ローラ67の回転に伴ってレーザビーム11が
照射される部位と照射されない部位との比が、2:5で
あることを意味している。
【0058】また、ローラ支持アーム65のローラ支持
板63側の端部には、ローラ67の外周面67aに近接
して配置される角度検出手段としてのローラ回転角度セ
ンサ73が装着されている。ローラ回転角度センサ73
は、ローラ67の回転角度を検出するものであり、ロー
ラ67の貫通孔71が加工点Pに整合している状態を検
出したとき、レーザビーム11を照射するよう図示しな
いレーザ発振器に信号を送る。
【0059】ローラ67を回転支持する回転支持軸69
内には、加工点Pに向けて供給するアシストガスが流れ
るガス連絡通路75が形成されている。ガス連絡通路7
5のローラ支持アーム65側には、図示しないアシスト
ガス供給源に連通するガス供給管77が、ガス吸入口7
9を介して連通するとともに、加工点Pに開口している
状態の貫通孔71に、連通路81を介して連通してい
る。
【0060】次に、作用を説明する。前述した第1の実
施の形態と同様に、ロボットアーム17を作動させてヘ
ッド本体15を、ローラ67がルーフパネル1とサイド
パネル3との重ね合わせ部5の溝7内に入り込むよう移
動させる。このときローラ67は、溝7内のワーク表面
に近接した位置にあり、この状態で加圧シリンダ33
を、支持ブラケット25が下方に移動するよう作動さ
せ、これによりローラ67は重ね合わせ部5に対して所
定の圧力で加圧することになり、各パネル1,3の端部
相互が密着して隙間が矯正される。
【0061】上記した隙間が矯正された状態で、ローラ
67がワーク表面上を回転移動し、ローラ回転角度セン
サ73が、貫通孔71の開口部71bが加工点Pに整合
する状態を検出したときに、レーザビーム11を貫通孔
71を通して加工点Pに照射してレーザ溶接を行う。ま
た、このときガス連絡路75から連通路81を通してア
シストガスが加工点Pに向けて吐出される。
【0062】レーザビーム11は4カ所に設けた貫通孔
71を通して加工点Pに照射されるので、ローラ67の
回転に伴って、溶接部分は、一定間隔をおいて間欠的に
形成されるが、非溶接部分に対して2/5としてあり、
これによりスポット溶接と同等以上の強度が確保されて
いる。
【0063】上記したレーザ溶接装置によれば、ローラ
67によるワークに対する押圧部の直下に、レーザビー
ム11を照射する加工点Pが位置しているので、重ね合
わせ部5の幅、つまり溝7の幅が狭い、例えば5mm程度
のものであってもレーザ溶接が可能なものとなる。ま
た、溶接部分の表面が三次元形状を呈しているワークに
対しても、ローラ67による押圧部と加工点Pとが一致
しているため、容易に追従してレーザ溶接が可能であ
る。
【0064】また、加工点Pに供給するアシストガス
を、ローラ67を回転支持する回転支持軸69内に設け
たガス連通路75を通して吐出するようにしたため、装
置全体のコンパクト化が達成され、溝7の幅が狭いワー
クに対する溶接作業に適したものとなっている。
【0065】図9および図10は、前記第2の実施の形
態の変形例で、図10は図9のG矢視図である。この実
施の形態は、2系統のレーザビーム11a,11bを、
ローラ83内の別々の貫通孔85,87を通して同一の
加工点Pに、交互に照射するようにしたものである。レ
ーザビーム11aに対応する貫通孔85は、ローラ支持
アーム65と反対側の側面の開口部85aが、ローラ8
3の半径方向内側に位置し、レーザビーム11bに対応
する貫通孔87は、ローラ支持アーム65と反対側の側
面の開口部87aが開口部85aより外周側に位置し、
これにより各開口部85a,87aは半径方向に相互に
ずれた位置に形成されるものとなる。そして、これら各
貫通孔85,87は、円周方向については交互に配置さ
れ、かつ開口部85a,87aが円周方向に向けて相互
に連続した状態となるよう設けられている。
【0066】図9においては、各貫通孔85,87は、
同一のものとして図示しているが、これらは互いに別々
の、側面の開口部85a,87aと、外周面83aに形
成された開口部85b,87bとをそれぞれ連通するも
のである。
【0067】ローラ支持板63の先端下部に取り付けら
れる角度検出手段としてのローラ回転角度センサ89
は、貫通孔85,87のいずれかが加工点Pに整合して
いる状態を検出したとき、対応するレーザビーム11
a,11bのいずれかを照射するよう図示しないレーザ
発振器に信号を送る。
【0068】上記した構成のレーザ溶接装置は、ローラ
83がワークを押圧しつつ回転移動する際に、一方の例
えば貫通孔85が加工点Pに整合した状態では、レーザ
ビーム11aが加工点Pに照射されてレーザ溶接がなさ
れ、また他方の貫通孔87が加工点Pに整合した状態で
は、レーザビーム11bが加工点Pに照射されてレーザ
溶接がなされる。
【0069】このようなレーザ溶接装置は、前記図6〜
図8のものと同様に、溝7の幅が狭いワークに対しても
レーザ溶接が容易に行えるとともに、溶接部分の表面が
三次元形状を呈しているワークに対しても、容易に追従
してレーザ溶接が可能である。また、レーザビーム11
a,11bがそれぞれ通過する貫通孔85,87が、ロ
ーラ83の回転方向に沿って交互に連続して形成されて
いるので、加工点Pには常にどちらかのレーザビーム1
1a,11bが照射されることになり、溶接線に沿った
レーザ溶接が連続して行え、溶接部分の強度向上に寄与
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すレーザ溶接
装置の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のレーザ溶接装置の全体構成を示す斜視図
である。
【図4】図1のレーザ溶接装置における移動体周辺の簡
略化した平面図で、(a)は溶接開始時でのもの、
(b)は溶接開始後の継続溶接時でのものである。
【図5】継続溶接時でのレーザ溶接装置の正面図であ
る。
【図6】この発明の第2の実施の形態を示すレーザ溶接
装置の溶接方向前方から見た動作説明図である。
【図7】図6のF−F断面図である。
【図8】図6のレーザ溶接装置の全体構成を示す斜視図
である。
【図9】第2の実施の形態の変形例を示す動作説明図で
ある。
【図10】図9のG矢視図である。
【符号の説明】
P 加工点 L 溶接線 1 ルーフパネル(ワーク) 3 サイドパネル(ワーク) 9,67,83 ローラ 9a 傾斜面 11,11a,11b レーザビーム 13 加工ヘッド 15 ヘッド本体 39 移動体 47 回転軸 69 回転支持軸 71,85,87 貫通孔 71b 加工点に対向する開口部 73,89 ローラ回転角度センサ(角度検出手段) 75 ガス連絡通路 85a,87a 側面の開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樽井 大志 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工点に向けてレーザビームを照射する
    加工ヘッドと、前記加工点付近のワークを押圧しつつ溶
    接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動
    するローラとを備えたレーザ溶接装置において、前記加
    工ヘッドをヘッド本体に固定する一方、前記ローラを移
    動体に装着し、この移動体を、前記溶接線に対し所定角
    度ずれた方向に前記ヘッド本体に対して移動可能に設け
    たことを特徴とするレーザ溶接装置。
  2. 【請求項2】 移動体は、ヘッド本体に対し、ローラの
    側方に加工点が位置する溶接開始位置と、ローラの移動
    方向後方側に加工点が位置する継続溶接位置との間を移
    動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載
    のレーザ溶接装置。
  3. 【請求項3】 レーザビームは、溶接開始位置にあるロ
    ーラに対し加工点側の側方から傾斜した状態で照射さ
    れ、前記ローラの加工点側の側面は、前記傾斜したレー
    ザビームとほぼ平行となるよう傾斜面に形成されている
    ことを特徴とする請求項2記載のレーザ溶接装置。
  4. 【請求項4】 移動体に、ワークへのローラの押圧方向
    が回転中心軸線となる回転軸を回転可能に設け、この回
    転軸の先端側に前記ローラを回転可能に設けたことを特
    徴とする請求項1または2記載のレーザ溶接装置。
  5. 【請求項5】 ワークを押圧しつつ溶接線に沿って回転
    しながら移動するローラの側方の加工点に、前記ローラ
    の移動停止状態で加工ヘッドからレーザビームを照射し
    て仮止め溶接を行い、その後前記ローラが装着された移
    動体を前記加工ヘッドが固定されたヘッド本体に対して
    溶接線に対し所定角度ずれた方向に移動させて、前記加
    工点を前記ローラの移動方向後方側に位置させ、この状
    態で前記ヘッド本体をローラおよび加工ヘッドとともに
    溶接線に沿って移動させて溶接作業を行うことを特徴と
    するレーザ溶接方法。
  6. 【請求項6】 加工点に向けてレーザビームを照射する
    加工ヘッドと、前記加工点付近のワークを押圧しつつ溶
    接線に沿って回転しながら前記加工ヘッドとともに移動
    するローラとを備えたレーザ溶接装置において、前記加
    工点は前記ローラによるワークへの押圧部の直下に位置
    し、前記ローラは、側面から加工点に対向する押圧部に
    わたり前記レーザビームが貫通する貫通孔を備えている
    ことを特徴とするレーザ溶接装置。
  7. 【請求項7】 ローラの回転角度を検出する角度検出手
    段を設け、この角度検出手段が、前記ローラの貫通孔が
    加工点に整合している状態を検出しているとき、レーザ
    ビームを照射することを特徴とする請求項6記載のレー
    ザ溶接装置。
  8. 【請求項8】 貫通孔の加工点に対向する開口部の円周
    方向両端相互間の角度αと、前記貫通孔が設けられてい
    ない部位の円周方向の角度βとの関係は、α/β=0.
    4であることを特徴とする請求項6または7記載のレー
    ザ溶接装置。
  9. 【請求項9】 ローラは、ヘッド本体側に固定された回
    転支持軸に対して回転可能に設けられ、この回転支持軸
    内に、ローラ外部のアシストガス供給源と、加工点に向
    けて開口している貫通孔とを連通するガス連絡通路を設
    けたことを特徴とする請求項6記載のレーザ溶接装置。
  10. 【請求項10】 加工点に向けて照射されるレーザビー
    ムは、2系統設けられ、これら2系統のレーザビームに
    それぞれ対応する貫通孔は、側面の開口部が半径方向に
    ついて相互にずれ、円周方向については相互に連続した
    状態で設けられていることを特徴とする請求項6記載の
    レーザ溶接装置。
  11. 【請求項11】 ローラの回転角度を検出する角度検出
    手段を設け、この角度検出手段が、いずれかの貫通孔が
    加工点に整合している状態を検出したとき、その貫通孔
    に対応するレーザビームを照射することを特徴とする請
    求項10記載のレーザ溶接装置。
  12. 【請求項12】 ローラを、ワークに対して押圧しつつ
    溶接線に沿って回転させながら移動させ、前記ローラの
    ワークへの押圧部と側面とを貫通する貫通孔を通してレ
    ーザビームを照射して溶接作業を行うことを特徴とする
    レーザ溶接方法。
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