JP4688634B2 - レーザ溶接方法とレーザ溶接装置 - Google Patents

レーザ溶接方法とレーザ溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、長尺の被溶接材(以下、ワークともいう)の、突起条の両側に長手方向に沿
って設けられた取付フランジを一方ずつ、下方の被溶接材(以下、ワークともいう)に対
して重ね合わせた状態で、レーザヘッドから照射されるレーザ光の焦点位置近傍に下端を位置させレーザ光線に臨む面が絞られたレーザ光に沿うよう傾斜させた押さえローラで押圧しながらレーザ光を照射して一直線状に移動させて溶接する方法と同溶接装置に関する。
上記のようなレーザ溶接装置については既に知られており、また公用されている(例え
ば、特許文献1参照)が、この種のレーザ溶接装置により、例えば車両構体の側構体を製造する際に、断面が台形状や山形形状、コの字形状などの上向きに突出する突起条で、その両側の長手方向に沿って水平に延びる取付フランジを備えた長尺で細幅のワークを、例えば長尺の板状ワーク上に幅方向(長さ方向に対し直交する方向)に一定間隔で重ね合わ
せ、レーザ光を照射し一直線状に連続して接合する場合、上下のワークを多数のクランプ装置で締め付けて挟持することで、ワーク間に隙間が生じないようにできる。しかし、ワークの長手方向の中間部分においては、クランプ装置があるとレーザ光線による連続した溶接ができない。
そこで、従来は、例えば上下のワークのフランジ同士を重ね合わせてレーザ溶接により接合する場合、下側フランジの下面に対しフランジの長さ方向全体にわたって当接する受け台を設け、この受け台の受け面に載置された上側フランジの上面に沿って加圧ローラを下向きに押圧しながら移動させ、加圧ローラの当接部近傍に向けてレーザ光を照射して接合するレーザ溶接装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、他の先行技術として、同様に上下のワークのフランジ同士を重ね合わせてレーザ溶接により接合する場合、両フランジの合わせ面とは反対側の各面にそれぞれ押し当てられることで両フランジを挟持しながら長さ方向に移動する上下の加圧ローラを設け、これらのうち一方の加圧ローラの移動に連動させ、加圧ローラの当接部近傍に向けてレーザ光を照射して接合するレーザ溶接装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−191191号公報(第2頁・第3頁および図2) 特開2004−358528号公報(第2頁〜第4頁および図1・図2) 特開2004−358529号公報(第2頁〜第5頁および図1〜図4)
上記したように長尺の、突起条の両側に沿って設けられたフランジを一方ずつ、下方の薄板状ワークともいうに対して重ね合わせた状態で、下方のワークの表面(合わせ面と反
対の面)にレーザー溶接痕が出ないように溶接する場合、通常は下方薄板状ワークの長手方向(正目)に沿ってレーザ光を照射し溶接すればよい。したがって、薄板状のワークの
長手方向に沿って突起条を備えた長尺のワークを配置し、突起条に隣接する両側のフランジのうち一方のフランジに沿ってレーザ光を照射して接合したのち、他方のフランジに沿ってレーザ光を照射して接合することになる。
しかし、突起条を備えたワークが通常5m以上の長尺になると、両端部を下方のワーク
に対しクランプ装置で挟持しただけでは、特許文献1に示すような、押さえローラをレーザヘッドに備えた加工ヘッドをもつレーザ溶接装置を用いて溶接する場合でも、ワーク間に隙間が生じ、溶接部が不完全になったり、ワークのフランジが上下に湾曲、つまり浮き上がった状態で溶接されたりする。さらに、ワークの一側方のフランジを下方の薄板状ワークに対し溶接した状態では、他側方のフランジの外縁側が下方のワークから浮き上がる(言い換えれば、跳ね上がる)ように上側のワークが傾斜し、溶接作業に支障を来すおそ
れがある。
一方、突起条を備えたワークの長手方向の中間部をこれよりかなり広い幅を有する下方のワークに対し、多数のクランプ装置を用いて挟持することは困難な上に、仮にクランプ装置により上下のワーク同士を挟持することが可能であるとしても、長手方向に沿って存在するクランプ装置がレーザ光による一直線状に連続した溶接作業の妨げになって、円滑なレーザ溶接作業ができなくなる。
また、特許文献2あるいは特許文献3に示すような、下側の受け台で下側のワークを受け上側の加圧ローラで上側のワークを押圧しながらレーザ溶接したり、あるいは上下の加圧ローラで上下のワークを挟持してレーザ溶接したりする装置では、下側のワークがかなり広い幅を有するために、受け台や下側の加圧ローラを上側に位置するワークの一方のフランジの長手方向に沿うように配置することが困難である。しかも、フランジは突起条の両側方に設けられているため、レーザヘッドの近傍に設けられる加圧ローラ、つまり突起条の片側の、レーザ溶接される側のフランジを押圧する加圧ローラだけでは、反対側のフランジを押圧できないために下側のワークから浮き上がった状態となって、精度の高い溶接作業が難しい。
さらに、本発明の対象とするレーザ溶接は、レーザヘッドの脇にレーザ光の焦点位置近傍をローラの下端で押圧する押さえローラを備えており、この押さえローラはレーザ光に対し突起条側に配置されレーザ光に臨む面が絞られたレーザ光に沿うよう傾斜しているので、上側のワーク(突起条を備えたワーク)に対しレーザ溶接されている側の取付フランジの外縁側方向へワークを移動させようとする力が作用するから、取付フランジの片側(
溶接する側)だけを押し付ける加圧ローラを備えたレーザ溶接装置では、下側のワークに対し上側の突起条を備えたワークが側方へずれを生じ、正規の溶接ラインに沿って正確な高精度のレーザ溶接ができなくなるおそれがある。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、長尺で突起条の両側に取付フランジを備えたワークを長尺で広幅のワーク上に重ね合せて接合する場合に、両側の取付フランジを確実に押圧して安定したレーザ溶接が可能で、上側ワークにずれ等が生じず、重ね合わせたワークを確実に密着させた状態で連続的に溶接できるレーザ溶接方法と同溶接装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明に係るレーザ溶接方法は、長尺(例えば5m以上)
の被溶接材の、突起条を挟んで両側長手方向に沿って設けられた取付フランジを一方ずつ、下方の被溶接材に対して重ね合わせた状態で、レーザヘッドから照射されるレーザ光の焦点位置近傍に下端を位置させレーザ光に臨む面が絞られたレーザ光に沿うよう傾斜させた押さえローラで押圧しながらレーザ光を照射して一直線状に移動させて溶接する方法であって、前記突起条を挟んで両側の取付フランジ上を走行可能な一対の補助ローラにより前記レーザヘッドの移動方向に対し前方または前後両方を押圧しながら、レーザ光を照射して溶接することを特徴とする。
上記構成を有する本発明のレーザ溶接方法によれば、レーザヘッドから照射されるレー
ザー光の焦点位置近傍を押さえローラで押圧するとともに、その少なくとも前方で突起条を挟んで両側の取付フランジ上を一対の補助ローラでそれぞれ押圧しながら溶接するので、上方のワークが長尺の細幅で軽量の小部品あっても同ワークが左右、特に押さえローラの下端側傾斜方向への位置ずれを生じず、上側ワークの両側各取付フランジはそれぞれ下側ワークに対し確実に押圧され密着状態で連続して接合される。また、レーザ光が照射される溶接部近傍のワークの平面度がより向上し、レーザヘッド脇の押さえローラによる押しつけが効果的に作用する。
請求項2に記載のように、前記下方の被溶接材が長尺で広幅の薄板材からなり、この薄板材をベッド上に載置してほぼ全面にわたり前記ベッド側に吸着させた状態で、前記薄板材上に突起条の両側に取付フランジを備えた前記被溶接材を重ね合わせ、両側の前記取付フランジ上を一対の補助ローラにより前記レーザヘッドの移動方向に対し前方または前後両方を押圧しながらレーザ光を照射して溶接することが好ましい。
このように構成することにより、下側の被溶接材である薄板材がベッド上にしっかりと保持され、同時に薄板材の平面度が全面にわたり保たれた状態で、上側に被溶接材が重ね合わされ、前方または前後両方の一対の補助ローラとレーザヘッド脇の押さえローラで押圧されて密着されつつ、取付フランジを長手方向に沿って全長にわたり連続して確実にレーザ溶接することができる。
本発明(請求項3)に係るレーザ溶接装置は、長尺の被溶接材の、突起条を挟んで両側長手方向に沿って設けられた取付フランジを一方ずつ、下方の被溶接材に対して重ね合わせた状態で、レーザヘッドから照射されるレーザ光の焦点位置近傍に下端を位置させレーザ光に臨む面が絞られたレーザ光に沿うよう傾斜させた押さえローラで押圧しながら前記レーザヘッドよりレーザ光を照射して一直線状に移動させて溶接する装置であって、前記突起条を挟んで両側の取付フランジ上を走行可能な一対の補助ローラを、前記レーザヘッドに対しその移動方向の前方および後方または前方に備えたことを特徴とする。
上記構成を有する本発明のレーザ溶接装置によれば、請求項1に関する上記したとおりの作用と同様の作用を奏するほか、構造が簡単で、溶接作業についてもクランプ装置で間欠的に挟持するなどの煩雑な準備が不要である。
請求項4に記載のように、前記各補助ローラの側方断面(突起条に臨む側の断面)を、前記突起条の一側面断面形状に対応した形状に形成することが好ましい。
このように構成することにより、突起条の断面形状の一部に歪みや変形などが発生している場合には、補助ローラの本体で形状を矯正することができるとともに、突起条の形状が異なるなどワークの種類に間違いがあった場合には、補助ローラの走行が妨げられるので、配材ミスをすぐに確認できる。
請求項5に記載のように、前記一対の補助ローラの間隔を調整可能に構成することができる。
このように構成することにより、突起条の幅が異なるワークにも対応して使用できる。
請求項6に記載のように、前記下方の被溶接材を載置可能なベッドをベース上に設置し、このベッドを跨ぐ門形フレームを、前記ベッドの長手方向に沿って走行可能に配設し、
前記レーザヘッドおよび押さえローラを備えた加工ヘッドを、前記門形フレームの水平フレーム部に沿って水平方向に横移動可能にかつ上下方向に昇降可能に設け、前記水平フレーム部に対し直交する方向に延設された支持フレームを前記水平フレーム部に沿って水
平方向に横移動可能に配設し、前記一対の補助ローラを、前記ベッドに向けて下向きに配置するとともに、前記支持フレームに前記補助ローラの下端側が上方の枢支部を中心に水平方向に旋回するように配備することができる。
このように構成することにより、ベッド上に載置した上下の被溶接材を重ね合わせた状態でこれらを跨ぐように配置されている門形フレームをベッドの長手方向に走行させ、必要に応じて加工ヘッドを水平フレーム部に沿って横移動させ、上側被溶接材の取付フランジを下側被溶接材に補助ローラと押さえローラで押圧し密着させながら、連続するレーザ溶接を円滑に且つ効率よく遂行することができる。また、下側の被溶接材が幅方向に凹状あるいは凸状に湾曲している場合にでも、加工ヘッドおよび補助ローラを水平方向に所定角度だけ旋回させて傾動させることで、被溶接材の取付フランジに対し垂直にレーザ光を照射し、かつ垂直に補助ローラで押圧しながらレーザ溶接を連続して行うことができる。
請求項7に記載のように、前記ベッド上に一定の間隔をあけて被溶接材の吸着手段を配設することが好ましい。
このように構成することで、下側の被溶接材がかなり広い幅を有し、且つ長尺であってもベッド上に確実に吸着し、全体にわたり平面度を保ちながら上下の被溶接材を密着状態で高精度のレーザ溶接を可能にする。
本発明に係るレーザ溶接方法および同装置には、つぎのような優れた効果がある。
レーザヘッドから照射されるレーザー光の焦点位置近傍を押さえローラで押圧するとともに、その少なくとも前方で突起条を挟んで両側の取付フランジ上を補助ローラでそれぞれ押圧しながら溶接するので、上方のワークが長尺であっても同ワークが左右、特に押さえローラの下端側傾斜方向への位置ずれが生じず、上側ワークの両側各取付フランジはそれぞれ下側ワークに密着状態で連続して接合される。また、レーザ光が照射される溶接部近傍のワークの平面度がより向上し、レーザヘッド脇の押さえローラによる押しつけが効果的である。しかも、装置の構造が簡単で、溶接作業についてもクランプ装置で間欠的に挟持するなどの煩雑な準備が不要である。
以下、本発明に係るレーザ溶接装置の実施の形態を図面に基づいて説明し、併せてレーザ溶接方法についても説明する。
図1は本発明のレーザ溶接装置の実施例を全体的に示す正面図、図2は図1のレーザ溶接装置の側面図、図3は図1のレーザ溶接装置の平面図である。図4はベッド(定盤)の
平面図、図5は図4のベッド上に車両の側構体用ワークを載置してレーザ溶接作業前の状態を示す平面図である。図6は図2の一部を拡大して示す側面図、図7は図6の平面図、図8(a)は加工ヘッドを拡大して示す正面図、図8(b)は同側面図、図9(a)は補助ローラの正面図、図9(b)は補助ローラを水平方向に旋回させた状態の正面図である。
図1〜図3に示すように、レーザ溶接装置1は車両の側構体製造用のベッド(定盤)9を備え、またベース2上に設置されたベッド9を挟んで両側のベース2上に軌道3が長手方向に沿って平行に敷設されている。軌道3上には、門形フレーム5が前後に車輪41を備えた走行部4を介して走行可能に配設されている。走行部4には、駆動用のサーボモータとテンションブレーキ(図示せず)とが配備されている。本例の場合、図5に示すように車両の側構体Xにおいて外板を構成する、窓部W1をあらかじめ開口した広幅で長尺の
幅方向に中間部が凹状にやや湾曲した薄板状ワークW上に、横骨部材を構成する、断面台形状からなる突起条w1の両側に取付フランジw2を備えた細幅で長尺のワークwを複数本、幅方向に間隔をあけ長手方向に沿って配置し、それぞれ両側の取付フランジw2を長手方向に連続してレーザ溶接し、さらに複数本のワークw上に跨って直交する方向に同一形態のワークw’をレーザ溶接して側構体Xが製造される。ベッド9上には、図4に示すように全体にわたり一定間隔で多数の吸着部(吸着手段)91が設けられ、また本例の場合、ワークWの窓部W1に対応した位置に開口部92を設けており、ベッド9上に載置されたワークWを窓部W1を開口部92に一致させた状態で吸着部91により一斉に吸引し、保持することができる。
門形フレーム5の水平フレーム部51の上面には、加工ヘッド7がリニアガイド22を介して水平フレーム部51の上面に横方向に敷設されたガイドレール53に沿って横移動可能に配設されている。加工ヘッド7はリニアガイド22に対して水平旋回可能に基部が支持された多関節ロボットアーム23の先端に装着され、ロボットアーム23により昇降可能に、かつ水平移動可能に装着されている。
加工ヘッド7は、図8に示すようにレーザヘッド71と円盤状の押さえローラ73とを備えている。レーザヘッド71の先端(下端)には、レーザ光rをワークwに対し照射するレーザ出射部72を備えている。押さえローラ73はレーザーヘッド71の出射部72からワークwへ照射されるレーザ光rの焦点位置付近に下端が位置するよう、5〜10°傾斜させて回転可能にブラケット74に軸着されている。本例の場合、レーザヘッド71もブラケット74に支持され、ロボットアーム23の下端に鉛直軸線中心に回転する回転部材75を介してレーザヘッド71と押さえローラ73とが同一の姿勢を保って水平に旋回可能に装着されている。また、ブラケット74はシリンダ機構77を介して支持され、レーザー71と押さえローラ73は昇降可能である。回転部材75の上方には水平軸線中心に回転する枢支部76を備え、この枢支部76はロボットアーム23の下部に介設され、レーザヘッド71と押さえローラ73を同一姿勢で回転部材75ごと水平方向に旋回させられる。
水平フレーム部51の下面にも横方向にガイドレール54が敷設され、このガイドレール54に沿って横移動可能にリニアガイド24を介して補助ローラ8の支持フレーム11が配設されている。支持フレーム11は、図3・図7に示すように平面視略「J」形からなり、水平フレーム部51に直交して前方へ延設されている。支持フレーム11の下面の前後(基端側と先端部)に、図6に示すように左右一対の補助ローラ8がそれぞれ設けられている。各補助ローラ本体81の側面は、図9に示すように上側ワークwの断面台形状の突起条w1の一側面に対応する断面に形成され、左右の補助ローラ8の間隔を突起条w1の幅に応じてシリンダ機構82で調整できるようになっている。一対の補助ローラ8は上下位置を調整可能にシリンダ機構83のピストンロッド84下端部に取り付けられるとともに、図9(b)のように一対の補助ローラ8が水平方向に旋回可能に、上方のシリンダ機構83が支持フレーム11の下面に固設されたブラケット12に支軸13により回転可能に軸着されている。これは、側構体XのワークWが水平部だけでなく、例えば長手方向に直交する方向に凹状の湾曲部を有する場合に、加工ヘッド7を回転部材76を介して水平方向に所定角度旋回させ、これに合わせて補助ローラ8も所定角度水平方向に旋回させた状態で使用するためである。つまり、レーザ溶接部(ワークw)の表面の傾きに応じて補助ローラ8が傾動するのを許容している。
以上のようにして本発明の実施例に係るレーザ溶接装置1が構成されるが、以下にそのレーザ溶接装置1を用いた溶接作業について説明する。
図4に示すベッド9上に、図5のように外板としてのワークWが載置され、複数の吸着
機構91によりワークWが窓部W1を開口部92に合わせた状態で保持される。この状態で、ワークW上には長手方向に沿って横骨部材としてのワークwが、幅方向に一定間隔で配置される。そして、ワークwの両側端部がクランプ装置93により下側のワークWに挟持して固定される。なお、ワークwと同一構造の縦骨部材が横骨部材としてのワークwに対し直交する方向に配置され、レーザ溶接されるが、それは横骨部材wが外板であるワークWにレーザ溶接により溶接されたのちである。
図5のように外板としてのワークW上に長尺の横骨部材としてのワークwが配置され、クランプ装置93で固定された状態(このとき、縦骨部材は配置されていない)で、門形フレーム5に配備されている加工ヘッド7の位置と傾斜角度が例えば第1(左端)のワークwの左側取付フランジw2の溶接ラインに沿って垂直にレーザヘッド71からレーザ光が照射されるように調整される。また、前後に一対の補助ローラ8を備えた支持フレーム1が水平フレーム部51下面を横移動し、各補助ローラ8の本体81がワークwの突起条w1を跨いで取付フランジw2上を走行するように位置調整される。このとき、ワークW端部(左端側および右端側)では内側に凸状に湾曲している場合があり、この場合には、ワークWの湾曲面に対し垂直にレーザヘッド71の出射部72から照射されるレーザ光が当たるように、また一対の補助ローラ8がそれぞれワークwの取付フランジw2上に対してローラ下端が垂直に当接されて走行するように、それぞれ上方の軸支部を中心に所定角度水平に旋回させて対応する。
このようにして、加工ヘッド7および前後の一対の補助ローラ8の位置および水平旋回角度(鉛直方向あるいは鉛直方向に対し傾斜)を調整し、レーザヘッド71から照射されるレーザ光を突起条w1片側の取付フランジw2上の溶接ラインに当てるとともに、押さえローラ73にてワークwを下側ワークWに密着させる。同時に、押さえローラ73の前後の一対の補助ローラ8にてワークwの両側の取付フランジw2上を押圧しながら、レーザヘッド71の移動に伴って走行させる。これにより、上側のワークwはレーザ溶接部を中心にしてその前後が下側のワークW上に密着し、平面度も維持される。なお、下側のワークWについては、ベッド9の複数の吸着部91にて全面にわたり均一に吸引されているため、平面度が保たれている。この状態で、門形フレーム5は両側の軌道3に沿ってゆっくりと一定速度で前方へ移動し、ワークW上の所定位置(溶接予定ライン)上に一方の取付フランジw2が連続してレーザ溶接される。
そして、一方の取付フランジw2が溶接されると、加工ヘッド7が鉛直軸線を中心に回転部材を介して水平に回転し、レーザヘッド71と押さえローラ73は左右対称位置に変わる。ここで、他方の取付フランジw2上の溶接予定ラインとレーザヘッド71からのレーザ光照射位置とにずれがあれば、ロボットアーム23を介して水平移動してレーザヘッド71の位置が修正される。しかし、前後一対の補助ローラ8の位置は突起条w1の両側の取付フランジw2上にあり、通常は位置の調整は行われない。この状態で、門形フレーム5は両側の軌道3に沿ってゆっくりと一定速度で逆方向(後方)へ移動し、ワークW上の所定位置(溶接予定ライン)上に他方の取付フランジw2が連続してレーザ溶接される。こうして、ワークwの両側の取付フランジw2が連続してワークW上に溶接されると、レーザヘッド71と押さえローラ73はガイドレールに沿って、前後の補助ローラ8はガイドレールに沿って支持フレーム11とともにそれぞれ隣のワークwの位置へ水平に横移動する。このようにして、ワークW上に配置された全てのワークwがレーザ溶接される。また、レーザ溶接に際して前後一対の補助ローラ8が突起条w1両側の取付フランジw2を走行するので、仮に突起条w1の断面形状にわずかな変形がある場合には、変形部分は補助ローラ8によって矯正される。一方、突起条の断面形状が全く異なるワークを配置するなど、配材ミスがある場合には、補助ローラ8の走行が不能になるので、確実に確認できる。
なお、横骨部材としての複数本のワークw上に跨って縦骨部材としてのワークw’をレーザ溶接する場合には、溶接跡が外板としてのワークWの表面には出ないので、通常はスポット溶接などによりワークw’をワークw上に仮止めし、補助ローラ8を使用せずに加工ヘッド7を門形フレーム5の水平フレーム部51のガイドレール54に沿って移動させながら、押さえローラ73でワークw’の取付フランジw2を押圧しつつ、レーザヘッド71からレーザ光を照射して一定間隔をあけて一定距離連続してレーザ溶接する。
上記に本発明のレーザ溶接装置1について実施例を挙げてレーザ溶接方法とともに説明したが、つぎのように実施することもできる。
・ 門形フレーム5に配備する加工ヘッド7および補助ローラ8の支持フレーム11は
1台に限るものではなく、複数台にすることもできる。
・補助ローラ8はワークwの両側の取付フランジw2上を走行するように左右に一対必要であるが、レーザヘッド71(加工ヘッド7)の前後ではなく、前方にだけ配置してもよい。ただし、加工ヘッド7の前方にだけ配置する場合には、ベッド9の長手方向に沿って加工ヘッド7を往復させてレーザ溶接する場合には、溶接方向を変換する際に一対の補助ローラ8を加工ヘッド7に対し門形フレーム5の水平フレーム部51に直交する方向に移動させるか、加工ヘッド7をロボットアーム23などのより一対の補助ローラ8に対し移動させるかする必要がある。
・上記実施例では車両の側構体Xを製作する場合について説明したが、側構体以外の部材、例えば屋根構体を製作することも可能である。
本発明のレーザ溶接装置の実施例を全体的に示す正面図である。 図1のレーザ溶接装置の側面図である。 図1のレーザ溶接装置の平面図である。 ベッド(定盤)9の平面図である。 図4のベッド9上に車両の側構体用ワークを載置してレーザ溶接作業前の状態を示す平面図である。 図2の一部を拡大して示す側面図である。 図6の平面図である。 図8(a)は加工ヘッド7を拡大して示す正面図、図8(b)は同側面図である。 図9(a)は補助ローラ8の正面図、図9(b)は補助ローラ8を水平方向に旋回させた状態の正面図である。
符号の説明
1…レーザ溶接装置
2…ベース
3…軌道
4…走行部
5…門形フレーム
7…加工ヘッド
8…補助ローラ
9…ベッド(定盤)
11…支持フレーム
12…ブラケット
13…支軸
22…リニアガイド
23…ロボットアーム
51…水平フレーム部
53…ガイドレール
71…レーザヘッド
72…レーザ出射部
73…押さえローラ
74…ブラケット
75…回転部材
76…枢支部材
77…シリンダ機構
82・83…シリンダ機構
84…ピストンロッド
91…吸着部(吸着手段)
92 …開口部
93…クランプ装置
X…側構体
w・w’…上側ワーク(被溶接材)
w1…突起条
w2…取付フランジ
W…下側ワーク(被溶接材)
W1…窓部

Claims (7)

  1. 長尺の被溶接材の、突起条を挟んで両側長手方向に沿って設けられた取付フランジを一方ずつ、下方の被溶接材に対して重ね合わせた状態で、レーザヘッドから照射されるレーザ光の焦点位置近傍に下端を位置させレーザ光に臨む面が絞られたレーザ光に沿うよう傾斜させた押さえローラで押圧しながらレーザ光を照射して一直線状に移動させて溶接する方法であって、
    前記突起条を挟んで両側の取付フランジ上を走行可能な一対の補助ローラにより前記レーザヘッドの移動方向に対し前方または前後両方を押圧しながら、レーザ光を照射して溶接することを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 前記下方の被溶接材が長尺で広幅の薄板材からなり、この薄板材をベッド上に載置してほぼ全面にわたり前記ベッド側に吸着させた状態で、前記薄板材上に突起条の両側に取付フランジを備えた前記被溶接材を重ね合わせ、両側の前記取付フランジ上を一対の補助ローラにより前記レーザヘッドの移動方向に対し前方または前後両方を押圧しながらレーザ光を照射して溶接することを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接方法。
  3. 長尺の被溶接材の、突起条を挟んで両側長手方向に沿って設けられた取付フランジを一方ずつ、下方の被溶接材に対して重ね合わせた状態で、レーザヘッドから照射されるレーザ光の焦点位置近傍に下端を位置させレーザ光に臨む面が絞られたレーザ光に沿うよう傾斜させた押さえローラで押圧しながら前記レーザヘッドよりレーザ光を照射して一直線状に移動させて溶接する装置であって、
    前記突起条を挟んで両側の取付フランジ上を走行可能な一対の補助ローラを、前記レーザヘッドに対しその移動方向の前方および後方または前方に備えたことを特徴とするレーザ溶接装置。
  4. 前記各補助ローラの側方断面を、前記突起条の一側面断面形状に対応した形状に形成したことを特徴とする請求項3記載のレーザ溶接装置。
  5. 前記一対の補助ローラの間隔を調整可能に構成したことを特徴とする請求項3又は4記載のレーザ溶接装置。
  6. 前記下方の被溶接材を載置可能なベッドをベース上に設置し、このベッドを跨ぐ門形フレームを、前記ベッドの長手方向に沿って走行可能に配設し、
    前記レーザヘッドおよび押さえローラを備えた加工ヘッドを、前記門形フレームの水平フレーム部に沿って水平方向に横移動可能にかつ上下方向に昇降可能に設け、
    前記水平フレーム部に対し直交する方向に延設された支持フレームを前記水平フレーム部に沿って水平方向に横移動可能に配設し、
    前記一対の補助ローラを、前記ベッドに向けて下向きに配置するとともに、前記支持フレームに前記補助ローラの下端側が上方の枢支部を中心に水平方向に旋回するように配備したことを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載のレーザ溶接装置。
  7. 前記ベッド上に一定の間隔をあけて被溶接材の吸着手段を配設したことを特徴とする請求項6記載のレーザ溶接装置。
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