JP2004358528A - レーザ溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2つの被接合部材1,2のフランジ1a,2a同士をレーザ溶接により接合するレーザ溶接装置において、フランジ1a,2a長さ方向全体に亘って均一でかつ良好な溶接品質が得られるようにする。
【解決手段】合せ面が互いに合わされた2つのフランジ1a,2aが載置される受面6を有し、該載置状態で該受面6がフランジ2aの下面に対しフランジ長さ方向全体に亘って当接するように構成された受台5と、この受台5の受面6に載置されたフランジ1aの上面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ長さ方向に転がって移動するように構成された加圧ローラ18と、この加圧ローラ18の移動に連動してフランジ1aの上面に沿ってフランジ長さ方向に移動するように構成され、該面における上記加圧ローラ当接部近傍に向けてレーザ光を出射するレーザヘッド21とを備えるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】合せ面が互いに合わされた2つのフランジ1a,2aが載置される受面6を有し、該載置状態で該受面6がフランジ2aの下面に対しフランジ長さ方向全体に亘って当接するように構成された受台5と、この受台5の受面6に載置されたフランジ1aの上面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ長さ方向に転がって移動するように構成された加圧ローラ18と、この加圧ローラ18の移動に連動してフランジ1aの上面に沿ってフランジ長さ方向に移動するように構成され、該面における上記加圧ローラ当接部近傍に向けてレーザ光を出射するレーザヘッド21とを備えるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ溶接装置に関し、特に燃料タンク等のように互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士をレーザ溶接により接合するものの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士を溶接する方法としては、抵抗溶接法によるシーム溶接やスポット溶接がよく知られている。例えば、車両等に搭載されるような燃料タンクは、2つの有底筒状部材同士が、該両有底筒状部材の開口縁全周に径方向外側に突出するようにそれぞれ設けたフランジで接合されてなっており、このような燃料タンクを製造する際には、抵抗溶接法によるシーム溶接機を用いて、上記2つの有底筒状部材のフランジ同士を接合するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記抵抗溶接法では、電極表面の冷却効率を高めて安定した溶接品質を得るためには、大径で幅の広い溶接電極が必要であるとともに、抵抗溶接中の応力により溶接軌跡のズレが生じるため、上記フランジの幅(突出量)を例えば20mm程度と比較的大きくしておく必要がある。このため、燃料タンクの場合には、単位面積当たりの燃料貯蔵効率が悪化するという問題がある。
【0004】
また、抵抗溶接法によるシーム溶接では、上記のように大きな電極が必要であり、駆動装置も大きくなるため、溶接装置と被接合部材との干渉が生じる可能性がある。例えばフランジ形成箇所が凹んでいる場合には、そのような凹部内に電極等が入らず、その凹部におけるフランジの溶接が困難となる。このため、燃料タンク等の設計自由度が低下するという問題がある。
【0005】
さらに、抵抗溶接法では、電極がフランジと接触するため、電極へのメッキ付着(フランジにメッキがなされている場合)や電極の摩耗が生じ、このため、電極と該電極が当接するフランジの面との高さ調整や、電極表面の形状管理、無効分流対策による過剰電流消費等といった多数の管理項目が生じる。
【0006】
そこで、例えば特許文献2に示されているように、2つの被接合部材のフランジ同士をレーザ溶接により接合するようにすることが考えられる。すなわち、両フランジの合せ面を互いに合わせた状態で、一方のフランジの合せ面と反対側の面にレーザ光をフランジ長さ方向(フランジ突出方向(幅方向)と垂直な方向)に連続的に照射することで、フランジ長さ方向全体に亘ってレーザ溶接を行えば、上記の諸問題を解決することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−241684号公報
【特許文献2】
特開2003−21012号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記レーザ溶接法において良好な溶接品質を得るためには、重ね合わせた2つの加工部材間の隙間をかなり小さくする(例えば0.1mm以下にする)とともに、レーザヘッド内のレーザ集光レンズと加工面との間の距離を、常にレーザ集光レンズの焦点距離と略同じ一定にし、しかも、加工面へのレーザ光の入射角度を一定に維持しなければならない。
【0009】
しかしながら、燃料タンクの有底筒状部材等に設けたフランジの面精度は、通常、それ程高くはないので、上記の条件をフランジ長さ方向全体に亘って満たすようにすることは非常に困難である。このため、単にレーザ溶接を行うだけでは、溶接品質がばらついて、フランジ長さ方向全体に亘って均一で良好な溶接品質が得られないという問題がある。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つの被接合部材のフランジ同士をレーザ溶接により接合する場合に、上記のようなレーザ加工上の問題点を克服し、フランジ長さ方向全体に亘って均一でかつ良好な溶接品質が得られるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士を、該両フランジの合せ面を互いに合わせた状態でレーザ溶接により接合するレーザ溶接装置を対象として、上記合せ面が互いに合わされた2つのフランジが載置される受面を有し、該載置状態で該受面が一方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に対しフランジ長さ方向全体に亘って当接するように構成された受台と、上記受台の受面に載置された他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ長さ方向に転がって移動するように構成された加圧ローラと、上記加圧ローラの移動に連動して上記他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に沿ってフランジ長さ方向に移動するように構成され、該面における上記加圧ローラ当接部近傍に向けてレーザ光を出射するレーザヘッドとを備えた構成とした。
【0012】
上記の構成により、2つのフランジが加圧ローラに押圧されることによって、加圧ローラ当接部ないしその近傍において合せ面同士が互いに密着した状態となる。そして、その加圧ローラ当接部近傍にレーザ光を照射して溶接を行うので、両フランジ間の隙間が大きいことに起因して溶接品質が低下するということはない。また、レーザヘッドは、加圧ローラの移動に連動して、該加圧ローラが当接する面に沿ってフランジ長さ方向に移動するので、常に加圧ローラ当接部近傍にレーザ光を照射することができるとともに、レーザヘッド内のレーザ集光レンズと加圧ローラが当接する面(レーザ光が照射される加工面)との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度を一定に維持することができる。したがって、レーザヘッドからレーザ光を出射しながら、加圧ローラをフランジ長さ方向全体に亘って移動させると、フランジ長さ方向全体に亘ってレーザ溶接が行われ、この溶接品質がフランジ長さ方向全体に亘って均一でかつ良好なものとなる。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、加圧ローラの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、上記回転速度検出手段により検出された回転速度に応じて、レーザヘッドから出射されるレーザ光の出力を変化させるように構成されているものとする。
【0014】
このことにより、加圧ローラの移動速度が一定でなくても、加工点の実速度をリアルタイムでレーザ出力にフィードバックすることができ、加工点での発生熱量を一定にすることができる。よって、溶接品質をより一層均一で高レベルなものにすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ溶接装置を概略的に示し、このレーザ溶接装置は、2つの被接合部材にそれぞれ設けたフランジ同士をレーザ溶接により接合するものである。この実施形態では、上記被接合部材を、車両等に搭載される燃料タンクを構成する2つの有底筒状部材1,2とする。
【0017】
上記燃料タンクは、該燃料タンクの上半部を構成する下方に開口された上側有底筒状部材1と、燃料タンクの下半部を構成する上方に開口された下側有底筒状部材2とが、該両有底筒状部材1,2の開口縁全周に径方向(水平方向)外側に突出するようにそれぞれ設けたフランジ1a,2aで接合されてなる。すなわち、両有底筒状部材1,2の開口同士が互いに向き合うように、上側有底筒状部材1のフランジ1aの下面と下側有底筒状部材2のフランジ2aの上面とが互いに合わされて、この状態で、該両フランジ1a,2a同士がレーザ溶接により接合される。このことで、上側有底筒状部材1のフランジ1aの下面及び下側有底筒状部材2のフランジ2aの上面は、それぞれ該各フランジ1a,2aの合せ面となる。尚、上記両有底筒状部材1,2は共に金属板からなり、各フランジ1a,2aは、塑性加工により、有底筒状部分である本体部と一体形成されたものである。
【0018】
上記レーザ溶接装置は、上記合せ面が互いに合わされた2つのフランジ1a,2aが上下に重なった状態で載置される受面6を有する受台5を備えている。この受台5は、ベースプレート7と、このベースプレート7の上面における周縁部から上方に延びる筒状壁部8とを有し、この筒状壁部8の上面全周が上記受面6とされている。この受面6は、上記載置状態で上記下側有底筒状部材2のフランジ2aにおける合せ面とは反対側の面(下面)に対し全周(フランジ長さ方向全体)に亘って当接するようになっている。但し、受面6の径方向中央部には、フランジ2aの下面の溶接部と当接しないようにするための溝6aが全周に亘って形成されており、この溝6aが形成された部分は、フランジ2aの下面とは当接していない。尚、上記載置状態においては、下側有底筒状部材2の本体部が上記筒状壁部8の内部に入り込んだ状態となる。
【0019】
また、上記レーザ溶接装置は、図示を省略する多軸ロボットのアームの先端部に取り付けられた取付部材11を備えている。この取付部材11には、シリンダ12が固定されており、このシリンダ12のシリンダロッド12aが上下方向に伸縮作動するようになっている。
【0020】
上記シリンダ12のシリンダロッド12aの先端(下端)は、取付部材11の下面よりも下側に位置しており、その先端には、可動部材13が連結されている。この可動部材13は、該シリンダロッド12aの上下方向の伸縮作動により、取付部材11に対して相対的に上下方向に移動するようになっている。尚、上記取付部材11の側方には、ガイド部材15が固定されて一方、可動部材13の上面には、このガイド部材15に案内されて上下方向に移動するガイド部13aが設けられており、このことで、可動部材13はスムーズに上下移動するようになっている。
【0021】
上記可動部材13の下面には、該下面から下方に延びるローラ支持部材17が取付固定されている。このローラ支持部材17の下端部には、上記受台5の受面6に載置された上側有底筒状部材1のフランジ1aにおける合せ面とは反対側の面(上面)に押し当てられる加圧ローラ18が回転可能に支持されている。すなわち、この加圧ローラ18は、外周面全周に溝18bが形成されたものであって、該加圧ローラ18の中心部に突出形成された回転軸18aが、ローラ支持部材17の下端部に配設した軸受19により軸支されることで、該回転軸18a回りに回転可能になっているとともに、上記シリンダ12により、可動部材13及びローラ支持部材17を介して、上記上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に一定の押圧力(加圧ローラ18によって押圧されている部分ないしその近傍部分において2つのフランジ1a,2a間の隙間がなくなる程度の押圧力)でもって押し当てられるようになっている。そして、上記多軸ロボットのアームにより、上記取付部材11が上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に対して上側に所定距離(加圧ローラ18を上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に押し当てることが可能な距離)だけ離れた位置で該上面に沿ってフランジ周方向(フランジ長さ方向)に移動するように構成されており、この取付部材11の移動により、加圧ローラ18は、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ周方向に転がって移動することになる。
【0022】
上記可動部材13の側面には、レーザ光を出射するレーザヘッド21が取付固定されている。このレーザヘッド21内には、レーザ集光レンズ22とこのレーザ集光レンズ22を移動させて焦点を調節する焦点調節機構(図示せず)とが配設されており、この焦点調節機構によって、予め、レーザ集光レンズ22と上記上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面との間の距離が、該レーザ集光レンズ22の焦点距離と略同じになるように調節されている。これにより、光ファイバ23によりレーザヘッド21内に導入されたレーザ光が、レーザ集光レンズ22を通って該レーザヘッド21から出射されて、大凡、上記上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に焦点を結ぶことになる(図1の二点鎖線参照)。
【0023】
上記レーザヘッド21は、上記加圧ローラ18と共に可動部材13に取付固定されていることから、加圧ローラ18の移動に連動して上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に沿ってフランジ周方向に移動することになる。そして、レーザヘッド21は、加圧ローラ18と共にフランジ周方向に移動しながら、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面のフランジ幅方向略中央部(受台5の受面6における溝6aの上側部分)における上記加圧ローラ当接部近傍(この実施形態では、加圧ローラ18の移動方向後側の位置)に向けてレーザ光を出射して、フランジ周方向に連続的に溶接していくようになっている(図2参照)。これにより、加圧ローラ18の押圧によって2つのフランジ1a,2aの合せ面同士が密着している部分に常にレーザ光が照射されることになる。尚、加圧ローラ18がフランジ1aの上面を1周したとき、該加圧ローラ18の溝18bによりフランジ1aの上面の溶接部(ビード)を押圧しないようになされているとともに、受台5の受面6における溝6aによりフランジ2aの下面の溶接部(ビード)が受面6に当接しないようになされている。
【0024】
また、上記可動部材13には、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面における上記レーザ光の照射部分にシールドガスを供給するガス供給管27が取付固定されており、このガス供給管27の上流端は、不図示のシールドガス供給源に接続されている一方、下流端は、上記レーザ光の照射部分近傍に位置するようになされている。
【0025】
上記加圧ローラ18の回転軸18aの先端部には、該加圧ローラ18の回転速度を検出する回転速度検出機構25(回転速度検出手段)が取り付けられており、この回転速度検出機構25により検出された回転速度に応じて、レーザヘッド21から出射されるレーザ光の出力が変化するようになさている。すなわち、加圧ローラ18の回転速度が遅くて移動速度が遅い場合には、レーザ光の出力を低下させる一方、加圧ローラ18の回転速度が速くて移動速度が速い場合には、レーザ光の出力を増大させる(つまり、加圧ローラ18の回転速度が速いほどレーザ光の出力を増大させる)ことで、加工点での発生熱量を一定にするようにしている。
【0026】
上記レーザ溶接装置を用いて、2つの有底筒状部材1,2のフランジ1a,2a同士をレーザ溶接するには、先ず、受台5の受面6に、下側有底筒状部材2のフランジ2aの下面全周が当接するように該フランジ2aを載置し、このフランジ2aの上側に、上側有底筒状部材1のフランジ1aを載置して、両フランジ1a,2aの合せ面を互いに合わせた状態にする。尚、この両フランジ1a,2aを受台5の受面6に載置するときには、多軸ロボットのアームにより取付部材11を受台5からかなり離れた位置に退避させて、加圧ローラ18等が両フランジ1a,2aの載置の邪魔にならないようにしておく。
【0027】
続いて、多軸ロボットのアームにより取付部材11を上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に対して上側に所定距離離れた所定位置に移動させるとともに、シリンダ12のシリンダロッド12aを伸長作動させて、加圧ローラ18を上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面(フランジ周方向のどの部分であってもよい)に押し当てる。
【0028】
次いで、多軸ロボットのアームにより取付部材11を上記所定位置から上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に沿ってフランジ周方向に移動させるとともに、レーザヘッド21からレーザ光を出射する。これにより、加圧ローラ18が、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ周方向に転がって移動するとともに、該面の加圧ローラ当接部近傍にレーザ光が照射されて、フランジ周方向に連続して溶接される。
【0029】
このとき、レーザ光は、加圧ローラ18の押圧により2つのフランジの合せ面同士が確実に密着している部分である加圧ローラ当接部近傍に照射されるので、両フランジ1a,2a間の隙間が大きいことに起因して溶接品質が低下するということはない。また、レーザヘッド21が加圧ローラ18と連動して上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に沿ってフランジ周方向に移動するので、常に加圧ローラ当接部近傍にレーザ光を照射することができるとともに、レーザヘッド21内のレーザ集光レンズ22と上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面(加工面)との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度(この実施形態では、加工面に対して直角にレーザ光が入射するようにしている)を一定に維持することができる。この結果、上記距離や入射角度が変化することに起因して溶接品質がばらつくということもない。
【0030】
そして、取付部材11が元の所定位置に戻ったところで、取付部材11の移動及びレーザ光の出射を停止する。以上の動作により、2つのフランジ1a,2a同士がフランジ1a,2a全周(フランジ長さ方向全体)に亘って溶接されたことになる。
【0031】
したがって、上記実施形態では、2つの有底筒状部材1,2のフランジ1a,2a同士をレーザ溶接するようにしたので、従来の抵抗溶接に比べて各フランジ1a,2aの幅(径方向の突出量)を小さくすることができて、材料費を低減したり単位面積当たりの燃料貯蔵効率を向上させたりすることができる。また、溶接装置と燃料タンクとの干渉が生じ難く、燃料タンクの設計自由度を向上させることができる。さらに、レーザ出力によっては、抵抗溶接に比べて溶接速度を向上させることができるとともに、低入熱で済み、熱による有底筒状部材1,2の変形を抑制することができる。また、電極を接触させる抵抗溶接とは異なり、メッキ等の影響により溶接条件(電極先端部の抵抗)が変化することなく安定した溶接品質が得られる。
【0032】
一方、レーザ溶接は、上記のように抵抗溶接に比べて有利ではあるものの、単にレーザ溶接を行うのみでは、フランジ1a,2aの面精度が比較的低いことから、フランジ1a,2a間に隙間が生じたり、レーザヘッド21内のレーザ集光レンズ22と加工面との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度が変化したりして、フランジ1a,2a全周に亘って均一で良好な溶接品質が得られない可能性が高くなる。
【0033】
しかし、上記実施形態では、加圧ローラ18によりフランジ1a,2a間の隙間をなくした部分にレーザ光を照射するとともに、レーザヘッド21を加圧ローラ18に連動させることで、レーザ集光レンズ22と加工面との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度を一定に維持するようにしているので、溶接品質が低下する要因がなくなり、フランジ1a,2a全周に亘って均一でかつ良好な溶接品質が得られる。
【0034】
尚、上記実施形態では、レーザ溶接装置に1つの加圧ローラしか設けなかったが、複数の加圧ローラを設けるようにしてもよい。例えば、上記実施形態の加圧ローラと共に、レーザ光の照射部分を挟むように、もう1つの加圧ローラを設けてもよい。つまり、2つの加圧ローラをレーザヘッドをフランジ周方向に挟むように設け、上側有底筒状部材のフランジの上面における2つの加圧ローラ当接部の中間に、レーザ光を照射するようにする。こうすれば、レーザ光の照射部分における2つのフランジ1a,2aの合せ面の密着性をより向上させることができる。
【0035】
また、上記実施形態では、上側有底筒状部材1のフランジ1aを上側に、下側有底筒状部材2のフランジ2aを下側にして受台5の受面6に載置したが、これとは上下関係を逆にして溶接を行うようにしてもよい。
【0036】
さらに、上記実施形態では、レーザ溶接装置により、燃料タンクを構成する2つの有底筒状部材1,2のフランジ1a,2a同士をレーザ溶接するようにしたが、互いにフランジで接合される2つの被接合部材は、燃料タンクを構成する2つの有底筒状部材1,2に限らず、どのようなものであってもよく、全周に亘ってフランジが形成されたものでなくてもよい。そして、シール性を必要としない場合には、レーザヘッド8をフランジ長さ方向に移動させているときに断続的にレーザ光を照射(パルス照射)することにより、ステッチ状に溶接を行うこともでき、従来の連続スポット溶接法に比べて、溶接速度を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレーザ溶接装置によると、合せ面が互いに合わされた2つのフランジが載置される受面を有し、該載置状態で該受面が一方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に対しフランジ長さ方向全体に亘って当接するように構成された受台と、この受台の受面に載置された他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ長さ方向に転がって移動するように構成された加圧ローラと、この加圧ローラの移動に連動して上記他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に沿ってフランジ長さ方向に移動するように構成され、該面における上記加圧ローラ当接部近傍に向けてレーザ光を出射するレーザヘッドとを備えるようにしたので、互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士を、フランジ長さ方向全体に亘って均一でかつ良好にレーザ溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザ溶接装置を示す概略図である。
【図2】加圧ローラとレーザヘッドとの位置関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 上側有底筒状部材
1a フランジ
2 下側有底筒状部材
2a フランジ
5 受台
6 受面
18 加圧ローラ
21 レーザヘッド
25 回転速度検出機構(回転速度検出手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ溶接装置に関し、特に燃料タンク等のように互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士をレーザ溶接により接合するものの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士を溶接する方法としては、抵抗溶接法によるシーム溶接やスポット溶接がよく知られている。例えば、車両等に搭載されるような燃料タンクは、2つの有底筒状部材同士が、該両有底筒状部材の開口縁全周に径方向外側に突出するようにそれぞれ設けたフランジで接合されてなっており、このような燃料タンクを製造する際には、抵抗溶接法によるシーム溶接機を用いて、上記2つの有底筒状部材のフランジ同士を接合するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記抵抗溶接法では、電極表面の冷却効率を高めて安定した溶接品質を得るためには、大径で幅の広い溶接電極が必要であるとともに、抵抗溶接中の応力により溶接軌跡のズレが生じるため、上記フランジの幅(突出量)を例えば20mm程度と比較的大きくしておく必要がある。このため、燃料タンクの場合には、単位面積当たりの燃料貯蔵効率が悪化するという問題がある。
【0004】
また、抵抗溶接法によるシーム溶接では、上記のように大きな電極が必要であり、駆動装置も大きくなるため、溶接装置と被接合部材との干渉が生じる可能性がある。例えばフランジ形成箇所が凹んでいる場合には、そのような凹部内に電極等が入らず、その凹部におけるフランジの溶接が困難となる。このため、燃料タンク等の設計自由度が低下するという問題がある。
【0005】
さらに、抵抗溶接法では、電極がフランジと接触するため、電極へのメッキ付着(フランジにメッキがなされている場合)や電極の摩耗が生じ、このため、電極と該電極が当接するフランジの面との高さ調整や、電極表面の形状管理、無効分流対策による過剰電流消費等といった多数の管理項目が生じる。
【0006】
そこで、例えば特許文献2に示されているように、2つの被接合部材のフランジ同士をレーザ溶接により接合するようにすることが考えられる。すなわち、両フランジの合せ面を互いに合わせた状態で、一方のフランジの合せ面と反対側の面にレーザ光をフランジ長さ方向(フランジ突出方向(幅方向)と垂直な方向)に連続的に照射することで、フランジ長さ方向全体に亘ってレーザ溶接を行えば、上記の諸問題を解決することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−241684号公報
【特許文献2】
特開2003−21012号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記レーザ溶接法において良好な溶接品質を得るためには、重ね合わせた2つの加工部材間の隙間をかなり小さくする(例えば0.1mm以下にする)とともに、レーザヘッド内のレーザ集光レンズと加工面との間の距離を、常にレーザ集光レンズの焦点距離と略同じ一定にし、しかも、加工面へのレーザ光の入射角度を一定に維持しなければならない。
【0009】
しかしながら、燃料タンクの有底筒状部材等に設けたフランジの面精度は、通常、それ程高くはないので、上記の条件をフランジ長さ方向全体に亘って満たすようにすることは非常に困難である。このため、単にレーザ溶接を行うだけでは、溶接品質がばらついて、フランジ長さ方向全体に亘って均一で良好な溶接品質が得られないという問題がある。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つの被接合部材のフランジ同士をレーザ溶接により接合する場合に、上記のようなレーザ加工上の問題点を克服し、フランジ長さ方向全体に亘って均一でかつ良好な溶接品質が得られるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士を、該両フランジの合せ面を互いに合わせた状態でレーザ溶接により接合するレーザ溶接装置を対象として、上記合せ面が互いに合わされた2つのフランジが載置される受面を有し、該載置状態で該受面が一方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に対しフランジ長さ方向全体に亘って当接するように構成された受台と、上記受台の受面に載置された他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ長さ方向に転がって移動するように構成された加圧ローラと、上記加圧ローラの移動に連動して上記他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に沿ってフランジ長さ方向に移動するように構成され、該面における上記加圧ローラ当接部近傍に向けてレーザ光を出射するレーザヘッドとを備えた構成とした。
【0012】
上記の構成により、2つのフランジが加圧ローラに押圧されることによって、加圧ローラ当接部ないしその近傍において合せ面同士が互いに密着した状態となる。そして、その加圧ローラ当接部近傍にレーザ光を照射して溶接を行うので、両フランジ間の隙間が大きいことに起因して溶接品質が低下するということはない。また、レーザヘッドは、加圧ローラの移動に連動して、該加圧ローラが当接する面に沿ってフランジ長さ方向に移動するので、常に加圧ローラ当接部近傍にレーザ光を照射することができるとともに、レーザヘッド内のレーザ集光レンズと加圧ローラが当接する面(レーザ光が照射される加工面)との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度を一定に維持することができる。したがって、レーザヘッドからレーザ光を出射しながら、加圧ローラをフランジ長さ方向全体に亘って移動させると、フランジ長さ方向全体に亘ってレーザ溶接が行われ、この溶接品質がフランジ長さ方向全体に亘って均一でかつ良好なものとなる。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、加圧ローラの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、上記回転速度検出手段により検出された回転速度に応じて、レーザヘッドから出射されるレーザ光の出力を変化させるように構成されているものとする。
【0014】
このことにより、加圧ローラの移動速度が一定でなくても、加工点の実速度をリアルタイムでレーザ出力にフィードバックすることができ、加工点での発生熱量を一定にすることができる。よって、溶接品質をより一層均一で高レベルなものにすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ溶接装置を概略的に示し、このレーザ溶接装置は、2つの被接合部材にそれぞれ設けたフランジ同士をレーザ溶接により接合するものである。この実施形態では、上記被接合部材を、車両等に搭載される燃料タンクを構成する2つの有底筒状部材1,2とする。
【0017】
上記燃料タンクは、該燃料タンクの上半部を構成する下方に開口された上側有底筒状部材1と、燃料タンクの下半部を構成する上方に開口された下側有底筒状部材2とが、該両有底筒状部材1,2の開口縁全周に径方向(水平方向)外側に突出するようにそれぞれ設けたフランジ1a,2aで接合されてなる。すなわち、両有底筒状部材1,2の開口同士が互いに向き合うように、上側有底筒状部材1のフランジ1aの下面と下側有底筒状部材2のフランジ2aの上面とが互いに合わされて、この状態で、該両フランジ1a,2a同士がレーザ溶接により接合される。このことで、上側有底筒状部材1のフランジ1aの下面及び下側有底筒状部材2のフランジ2aの上面は、それぞれ該各フランジ1a,2aの合せ面となる。尚、上記両有底筒状部材1,2は共に金属板からなり、各フランジ1a,2aは、塑性加工により、有底筒状部分である本体部と一体形成されたものである。
【0018】
上記レーザ溶接装置は、上記合せ面が互いに合わされた2つのフランジ1a,2aが上下に重なった状態で載置される受面6を有する受台5を備えている。この受台5は、ベースプレート7と、このベースプレート7の上面における周縁部から上方に延びる筒状壁部8とを有し、この筒状壁部8の上面全周が上記受面6とされている。この受面6は、上記載置状態で上記下側有底筒状部材2のフランジ2aにおける合せ面とは反対側の面(下面)に対し全周(フランジ長さ方向全体)に亘って当接するようになっている。但し、受面6の径方向中央部には、フランジ2aの下面の溶接部と当接しないようにするための溝6aが全周に亘って形成されており、この溝6aが形成された部分は、フランジ2aの下面とは当接していない。尚、上記載置状態においては、下側有底筒状部材2の本体部が上記筒状壁部8の内部に入り込んだ状態となる。
【0019】
また、上記レーザ溶接装置は、図示を省略する多軸ロボットのアームの先端部に取り付けられた取付部材11を備えている。この取付部材11には、シリンダ12が固定されており、このシリンダ12のシリンダロッド12aが上下方向に伸縮作動するようになっている。
【0020】
上記シリンダ12のシリンダロッド12aの先端(下端)は、取付部材11の下面よりも下側に位置しており、その先端には、可動部材13が連結されている。この可動部材13は、該シリンダロッド12aの上下方向の伸縮作動により、取付部材11に対して相対的に上下方向に移動するようになっている。尚、上記取付部材11の側方には、ガイド部材15が固定されて一方、可動部材13の上面には、このガイド部材15に案内されて上下方向に移動するガイド部13aが設けられており、このことで、可動部材13はスムーズに上下移動するようになっている。
【0021】
上記可動部材13の下面には、該下面から下方に延びるローラ支持部材17が取付固定されている。このローラ支持部材17の下端部には、上記受台5の受面6に載置された上側有底筒状部材1のフランジ1aにおける合せ面とは反対側の面(上面)に押し当てられる加圧ローラ18が回転可能に支持されている。すなわち、この加圧ローラ18は、外周面全周に溝18bが形成されたものであって、該加圧ローラ18の中心部に突出形成された回転軸18aが、ローラ支持部材17の下端部に配設した軸受19により軸支されることで、該回転軸18a回りに回転可能になっているとともに、上記シリンダ12により、可動部材13及びローラ支持部材17を介して、上記上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に一定の押圧力(加圧ローラ18によって押圧されている部分ないしその近傍部分において2つのフランジ1a,2a間の隙間がなくなる程度の押圧力)でもって押し当てられるようになっている。そして、上記多軸ロボットのアームにより、上記取付部材11が上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に対して上側に所定距離(加圧ローラ18を上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に押し当てることが可能な距離)だけ離れた位置で該上面に沿ってフランジ周方向(フランジ長さ方向)に移動するように構成されており、この取付部材11の移動により、加圧ローラ18は、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ周方向に転がって移動することになる。
【0022】
上記可動部材13の側面には、レーザ光を出射するレーザヘッド21が取付固定されている。このレーザヘッド21内には、レーザ集光レンズ22とこのレーザ集光レンズ22を移動させて焦点を調節する焦点調節機構(図示せず)とが配設されており、この焦点調節機構によって、予め、レーザ集光レンズ22と上記上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面との間の距離が、該レーザ集光レンズ22の焦点距離と略同じになるように調節されている。これにより、光ファイバ23によりレーザヘッド21内に導入されたレーザ光が、レーザ集光レンズ22を通って該レーザヘッド21から出射されて、大凡、上記上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に焦点を結ぶことになる(図1の二点鎖線参照)。
【0023】
上記レーザヘッド21は、上記加圧ローラ18と共に可動部材13に取付固定されていることから、加圧ローラ18の移動に連動して上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に沿ってフランジ周方向に移動することになる。そして、レーザヘッド21は、加圧ローラ18と共にフランジ周方向に移動しながら、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面のフランジ幅方向略中央部(受台5の受面6における溝6aの上側部分)における上記加圧ローラ当接部近傍(この実施形態では、加圧ローラ18の移動方向後側の位置)に向けてレーザ光を出射して、フランジ周方向に連続的に溶接していくようになっている(図2参照)。これにより、加圧ローラ18の押圧によって2つのフランジ1a,2aの合せ面同士が密着している部分に常にレーザ光が照射されることになる。尚、加圧ローラ18がフランジ1aの上面を1周したとき、該加圧ローラ18の溝18bによりフランジ1aの上面の溶接部(ビード)を押圧しないようになされているとともに、受台5の受面6における溝6aによりフランジ2aの下面の溶接部(ビード)が受面6に当接しないようになされている。
【0024】
また、上記可動部材13には、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面における上記レーザ光の照射部分にシールドガスを供給するガス供給管27が取付固定されており、このガス供給管27の上流端は、不図示のシールドガス供給源に接続されている一方、下流端は、上記レーザ光の照射部分近傍に位置するようになされている。
【0025】
上記加圧ローラ18の回転軸18aの先端部には、該加圧ローラ18の回転速度を検出する回転速度検出機構25(回転速度検出手段)が取り付けられており、この回転速度検出機構25により検出された回転速度に応じて、レーザヘッド21から出射されるレーザ光の出力が変化するようになさている。すなわち、加圧ローラ18の回転速度が遅くて移動速度が遅い場合には、レーザ光の出力を低下させる一方、加圧ローラ18の回転速度が速くて移動速度が速い場合には、レーザ光の出力を増大させる(つまり、加圧ローラ18の回転速度が速いほどレーザ光の出力を増大させる)ことで、加工点での発生熱量を一定にするようにしている。
【0026】
上記レーザ溶接装置を用いて、2つの有底筒状部材1,2のフランジ1a,2a同士をレーザ溶接するには、先ず、受台5の受面6に、下側有底筒状部材2のフランジ2aの下面全周が当接するように該フランジ2aを載置し、このフランジ2aの上側に、上側有底筒状部材1のフランジ1aを載置して、両フランジ1a,2aの合せ面を互いに合わせた状態にする。尚、この両フランジ1a,2aを受台5の受面6に載置するときには、多軸ロボットのアームにより取付部材11を受台5からかなり離れた位置に退避させて、加圧ローラ18等が両フランジ1a,2aの載置の邪魔にならないようにしておく。
【0027】
続いて、多軸ロボットのアームにより取付部材11を上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に対して上側に所定距離離れた所定位置に移動させるとともに、シリンダ12のシリンダロッド12aを伸長作動させて、加圧ローラ18を上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面(フランジ周方向のどの部分であってもよい)に押し当てる。
【0028】
次いで、多軸ロボットのアームにより取付部材11を上記所定位置から上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に沿ってフランジ周方向に移動させるとともに、レーザヘッド21からレーザ光を出射する。これにより、加圧ローラ18が、上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ周方向に転がって移動するとともに、該面の加圧ローラ当接部近傍にレーザ光が照射されて、フランジ周方向に連続して溶接される。
【0029】
このとき、レーザ光は、加圧ローラ18の押圧により2つのフランジの合せ面同士が確実に密着している部分である加圧ローラ当接部近傍に照射されるので、両フランジ1a,2a間の隙間が大きいことに起因して溶接品質が低下するということはない。また、レーザヘッド21が加圧ローラ18と連動して上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面に沿ってフランジ周方向に移動するので、常に加圧ローラ当接部近傍にレーザ光を照射することができるとともに、レーザヘッド21内のレーザ集光レンズ22と上側有底筒状部材1のフランジ1aの上面(加工面)との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度(この実施形態では、加工面に対して直角にレーザ光が入射するようにしている)を一定に維持することができる。この結果、上記距離や入射角度が変化することに起因して溶接品質がばらつくということもない。
【0030】
そして、取付部材11が元の所定位置に戻ったところで、取付部材11の移動及びレーザ光の出射を停止する。以上の動作により、2つのフランジ1a,2a同士がフランジ1a,2a全周(フランジ長さ方向全体)に亘って溶接されたことになる。
【0031】
したがって、上記実施形態では、2つの有底筒状部材1,2のフランジ1a,2a同士をレーザ溶接するようにしたので、従来の抵抗溶接に比べて各フランジ1a,2aの幅(径方向の突出量)を小さくすることができて、材料費を低減したり単位面積当たりの燃料貯蔵効率を向上させたりすることができる。また、溶接装置と燃料タンクとの干渉が生じ難く、燃料タンクの設計自由度を向上させることができる。さらに、レーザ出力によっては、抵抗溶接に比べて溶接速度を向上させることができるとともに、低入熱で済み、熱による有底筒状部材1,2の変形を抑制することができる。また、電極を接触させる抵抗溶接とは異なり、メッキ等の影響により溶接条件(電極先端部の抵抗)が変化することなく安定した溶接品質が得られる。
【0032】
一方、レーザ溶接は、上記のように抵抗溶接に比べて有利ではあるものの、単にレーザ溶接を行うのみでは、フランジ1a,2aの面精度が比較的低いことから、フランジ1a,2a間に隙間が生じたり、レーザヘッド21内のレーザ集光レンズ22と加工面との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度が変化したりして、フランジ1a,2a全周に亘って均一で良好な溶接品質が得られない可能性が高くなる。
【0033】
しかし、上記実施形態では、加圧ローラ18によりフランジ1a,2a間の隙間をなくした部分にレーザ光を照射するとともに、レーザヘッド21を加圧ローラ18に連動させることで、レーザ集光レンズ22と加工面との間の距離及び加工面へのレーザ光の入射角度を一定に維持するようにしているので、溶接品質が低下する要因がなくなり、フランジ1a,2a全周に亘って均一でかつ良好な溶接品質が得られる。
【0034】
尚、上記実施形態では、レーザ溶接装置に1つの加圧ローラしか設けなかったが、複数の加圧ローラを設けるようにしてもよい。例えば、上記実施形態の加圧ローラと共に、レーザ光の照射部分を挟むように、もう1つの加圧ローラを設けてもよい。つまり、2つの加圧ローラをレーザヘッドをフランジ周方向に挟むように設け、上側有底筒状部材のフランジの上面における2つの加圧ローラ当接部の中間に、レーザ光を照射するようにする。こうすれば、レーザ光の照射部分における2つのフランジ1a,2aの合せ面の密着性をより向上させることができる。
【0035】
また、上記実施形態では、上側有底筒状部材1のフランジ1aを上側に、下側有底筒状部材2のフランジ2aを下側にして受台5の受面6に載置したが、これとは上下関係を逆にして溶接を行うようにしてもよい。
【0036】
さらに、上記実施形態では、レーザ溶接装置により、燃料タンクを構成する2つの有底筒状部材1,2のフランジ1a,2a同士をレーザ溶接するようにしたが、互いにフランジで接合される2つの被接合部材は、燃料タンクを構成する2つの有底筒状部材1,2に限らず、どのようなものであってもよく、全周に亘ってフランジが形成されたものでなくてもよい。そして、シール性を必要としない場合には、レーザヘッド8をフランジ長さ方向に移動させているときに断続的にレーザ光を照射(パルス照射)することにより、ステッチ状に溶接を行うこともでき、従来の連続スポット溶接法に比べて、溶接速度を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレーザ溶接装置によると、合せ面が互いに合わされた2つのフランジが載置される受面を有し、該載置状態で該受面が一方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に対しフランジ長さ方向全体に亘って当接するように構成された受台と、この受台の受面に載置された他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ長さ方向に転がって移動するように構成された加圧ローラと、この加圧ローラの移動に連動して上記他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に沿ってフランジ長さ方向に移動するように構成され、該面における上記加圧ローラ当接部近傍に向けてレーザ光を出射するレーザヘッドとを備えるようにしたので、互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士を、フランジ長さ方向全体に亘って均一でかつ良好にレーザ溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザ溶接装置を示す概略図である。
【図2】加圧ローラとレーザヘッドとの位置関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 上側有底筒状部材
1a フランジ
2 下側有底筒状部材
2a フランジ
5 受台
6 受面
18 加圧ローラ
21 レーザヘッド
25 回転速度検出機構(回転速度検出手段)
Claims (2)
- 互いにフランジで接合される2つの被接合部材の該フランジ同士を、該両フランジの合せ面を互いに合わせた状態でレーザ溶接により接合するレーザ溶接装置であって、
上記合せ面が互いに合わされた2つのフランジが載置される受面を有し、該載置状態で該受面が一方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に対しフランジ長さ方向全体に亘って当接するように構成された受台と、
上記受台の受面に載置された他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に押し当てられた状態で、該面上をフランジ長さ方向に転がって移動するように構成された加圧ローラと、
上記加圧ローラの移動に連動して上記他方のフランジにおける合せ面とは反対側の面に沿ってフランジ長さ方向に移動するように構成され、該面における上記加圧ローラ当接部近傍に向けてレーザ光を出射するレーザヘッドとを備えていることを特徴とするレーザ溶接装置。 - 請求項1記載のレーザ溶接装置において、
加圧ローラの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
上記回転速度検出手段により検出された回転速度に応じて、レーザヘッドから出射されるレーザ光の出力を変化させるように構成されていることを特徴とするレーザ溶接装置。
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