JP3588389B2 - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、地下鉄、モノレ−ルなどの車両に装着される重荷重用空気入りタイヤの偏摩耗低減と、耐ウエットスキッド性の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地下鉄、モノレ−ルなど新交通車両用タイヤのトレッドには、駆動・制動性能、その他一般耐摩耗、耐発熱などを考慮して周方向に延びるジグザグ状の主溝が設けられている。
即ち上記新交通車両用タイヤにおいては、図2に赤道面より片側トレッドの平面図として示すように、トレッド20は周方向に延びる複数、例えば5本のジグザグ振幅の大きい主溝21とこれら主溝によって区分されたジグザグリブ22によって構成されている。この場合、タイヤの骨格部分はラジアルカ−カスと非伸長性ベルト層による補強構造である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなジグザグタイプのトレッドは、リブの幅方向に突出した山23の突端に始まりリブの側縁に沿って周方向に拡大する比較的浅い(2mm前後)リバ−ウエアと呼ばれる偏摩耗A がタイヤの走行初期から中期にかけて発生し、走行中期以降になると深が増し幅方向に成長して隣の側縁に生じた偏摩耗の部分との繋がりが周方向に断続的に生じることとなる。
このような偏摩耗が発生すると外観が悪化するばかりではなく、駆動・制動性能に悪影響を及ぼすと共に、振動の原因にもなる。
本発明は上記事実に鑑み、偏摩耗を充分に抑制し、同時に耐ウエットスキッド性優れる新交通車両用タイヤを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、周方向に延びる複数のジグザグ状主溝とこれら主溝によって区分された陸部を含み、この陸部に上記主溝と交わる方向に延びるサイプを有するトレッドを備えたタイヤにおいて、上記主溝はその幅と同等以下のジグザグ振り幅をもって連なり、上記陸部のうちタイヤ幅方向最外側を除く陸部は、左右の主溝に両端が開いたオ−プンサイプによって分割した多数ブロックの列をなし、これらブロックは各々上記オ−プンサイプに沿って延び、且つ両端がブロック内に止まるクロ−ズドサイプを有し、上記陸部のうちタイヤ幅方向最外側の両陸部がタイヤ周方向に延びるリブであると共に、上記両陸部に形成されているサイプは、主溝に開口して軸方向に延びるショートサイプのみであることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤである。
請求項2に係る発明は、上記主溝によって区分された陸部の各頂点に該ショートサイプが形成されていることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤである。
請求項3に係る発明は、上記ブロック列は少なくとも4本の主溝によって区分された中央ブロック列と両側ブロック列をなし、これらのうち少なくとも両側ブロック列に含まれる上記クロ−ズドサイプはその端部が残余の部分の実質上2倍の幅を有し、且つその先端がサイプの上記残余の部分の幅に相当する R によって丸まった形状を形成していることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤである。
【0005】
本発明における好ましい態様として、上記ブロック列は少なくとも4本の主溝によって区分された中央ブロック列と両側ブロック列をなし、これらのうち少なくとも両側ブロック列に含まれる上記クロ−ズドサイプはその端部が残余の部分の実質上2倍の幅を有し、且つその先端はサイプの上記残余の部分の幅に相当するR によって丸まった形状をなすものである。
【0006】
【作用】
本発明は、周方向に延びる複数の主溝とこれら主溝によって区分された陸部につき、この陸部にその左右主溝に両端が開いたオ−プンサイプによって分割された多数ブロックの列をなし、これらブロックの夫々が上記オ−プンサイプに沿って延び、且つ両端がブロック内に止まるクロ−ズドサイプを有することを構成上の特徴とする。
【0007】
上記偏摩耗は、走行時にジグザグリブに対しサイドフォ−スを主体とする外力が作用したとき、接地面内においてリブのジグザグ突端部が他の部分より過剰に動くことによって局部的に摩耗し、この局部摩耗がリブの側縁に沿って周方向に拡大するものであるが、本発明におけるジグザグリブ、または陸部は、オ−プンサイプによって各々独立したブロックに分割されているため、リブに横向きの成分を含む外力が作用したとき、隣のブロックよりの影響が両者間に介在するオ−プンサイプによって遮断され、ブロックは夫々独立して外力に対応する一方、リブのジグザグの振幅、即ち山の高さが低いため頂部の過剰な接地面内での動きが軽減し、その結果偏摩耗を有利に抑制することができるのである。
【0008】
またトレッドに駆動・制動力のような前後方向の力の作用に対しては、各ブロックを隔てるサイプは幅が著しく狭いために容易に閉じて連続リブとして機能し、クロ−ズドサイプとの併用と相俟って過剰な動きが抑制される。その結果陸部のブロック化による耐摩耗性の低下を来すことはない。
【0009】
またブロックは夫々それらを隔てるオ−プンサイプに沿って延びるクロ−ズドサイプを有することによって、これらオ−プンおよびクロ−ズドサイプの壁面とブロック表面が交わる稜線部によるエッジ効果によって前後方向の耐ウエットスキッド性が向上する。
【0010】
上記クロ−ズドサイプはその端部を残余の部分の実質上2倍の幅とし、且つその先端をサイプの上記残余の部分の幅に相当するR を付け丸めることによって、この種のサイプの先端に生じがちなブロックの亀裂を効果的に防止することができる。
【0011】
なお、ここでオープンサイプの幅は1.0〜3.0mm、特に2.0mm前後が好ましく、クローズドサイプにおいては幅が0.5〜1.5mm、特に0.7〜1.0mmであることが本発明においては効果的である。
これは各種のサイプの幅が上記より小さいと摩擦係数向上効果小さく、またサイプの幅が上記より大きくなり過ぎると、個々のブロックの動きが大きくなり、偏摩耗が発生しやすいからである。
【0012】
【実施例】
以下図面に基づき説明する。図1は本発明における一実施例を示すタイヤのトレッド平面図である。
本発明においてタイヤのトレッド1 は、周方向に延びる複数のジグザグ主溝2 とこれら主溝によって区分された陸部3 を含み、この陸部3 に主溝2 と交わる方向に延びるサイプを備えている。
そして主溝2 はその幅v と同等以下のジグザグ振り幅w をもって連なり、また陸部3 の左右の主溝2 に両端が開いたオ−プンサイプ4 にて分割した多数のブロック5 の列をなし、これらブロック5 は各々オ−プンサイプ4 に沿って延び、且つ両端がブロック5 内に止まるクロ−ズドサイプ6 を有するものとする。
なお図示を省略しているが、本発明においてタイヤは円筒状クラウン部の両端から径方向内側に夫々サイドウォ−ルが連なり、上記クラウン部にトレッド1 を備える。そしてサイドウォ−ルの一方からクラウン部を通り、他方サイドウォ−ルに亙ってラジアルカ−カスを、またこのカ−カスとトレッド間に非伸長性ベルト層を配置することによって補強した公知の構造を適用することができる。
【0013】
ブロック5 の列は主溝2 によって区分された3本以上(多くて5本)の列をなし、少なくとも両側ブロック52の列に含まれるクロ−ズドサイプ6 はその端部m が残余の部分n の実質上2倍の幅をを有し、その先端は残余の部分n の幅に相当するR を設け丸まった形状を与えることが望ましい。
【0014】
図1に示す実施例は13.50/85R16 サイズの新交通車両用ラジアルタイヤの例で、トレッド1 は赤道面O 上にセンタ主溝21、その両側に順次中間主溝22、ショルダ−主溝23を設け、これら主溝21、22、23とトレッド端E との間にほぼ等幅の陸部3 を区分し、ショルダ−主溝23とトレッド端E に挟まれた陸部3 はオ−プン、クロ−ズドサイプ共に備えず、周方向にエンドレスで延びるリブをなしている。
【0015】
この実施例において主溝2 の1/2ピッチに相当するジグザグ要素7 は赤道面O に対する傾斜角が15°、赤道面O と平行な方向の長さは9mmであり、また主溝の幅v およびジグザグの振り幅w は夫々6.7mmおよび2.5mmである。なお上記ジグザグ要素7 の上記赤道面O に対する角度は10〜25°、1/2ピッチ長さは7〜11mm(周長の0.22〜0.35% )、主溝の幅v は3〜10mmそしてジグザグの振り幅w は2〜3mmの範囲で夫々適用することができる。また図示を省略しているが、主溝の側壁はトレッド表面に立てた法線と平行に深さ方向へ延びるU字状断面をなしている。溝壁の法線に対する角度は0°±5°の範囲が好ましい。
【0016】
陸部3 を分割するオ−プンサイプは2.0mmの幅を有し、ジグザグの凡そ1.5ピッチ毎に主溝深さ(8mm)の1/2の深さにより赤道面O 対して72.5°の傾斜角度で配置し、多少縦長の中央ブロック51と両側ブロック52を区画している。そして各ブロック5 はジグザグ、またはS字状に屈折したクロ−ズドサイプ6 を、ブロック幅のほぼ1/2に相当する長さをもってブロック中央部に1本、オ−プンサイプ4 とほぼ等しく傾斜させ設けている。クロ−ズドサイプ6 の幅は0.7mm、深さは主溝の深さと等しい8mmである。なおサイプの幅は0.5〜1.5mmの範囲で適用することができる。
サイプ4 、6 は配置に当たって、赤道面O に対し60〜85°の角度で傾け、またブロック列相互間において周方向に位相差を設ける(周方向にずらす)ことが好ましい。
【0017】
中間ブロック52に設けたクロ−ズドサイプ6 は、加硫金型のサイプ形成のための金属ブレ−ドの両端部を折り曲げ二重にしたものを用いて形成したもので、従ってサイプの端部m の幅は1.4mm(部分n の幅の2倍)、サイプの先端は曲率半径0.7mmで丸まっている。この種のクロ−ズドサイプは、両側リブに近接した中間ブロック以外赤道面側の他のブロックにも設けることもできることは勿論である。
【0018】
符号8 は軸方向に延びるショ−トサイプで、ショルダ−主溝23に面した陸部3 の縁部につきジグザグの頂点に1本、ジグザグ要素7 のほぼ中央に各々1本設け、センタ−および中間主溝21、22に面した陸部3 の縁部にはジグザグの頂点にのみ1本設けている。
【0019】
【効果】
本発明にに成るタイヤの効果を確かめるべく、13.50/85R16 サイズの新交通車両用タイヤに、図1に沿って述べた実施例のタイヤと、図2に示すトレッドを適用した比較例のタイヤとの間で地下鉄(平滑な鉄板を敷き詰めた路面)での20万粁走行による偏摩耗(リバ−ウエア)テスト、およびトレ−ラ−によるウエット路(平滑鉄板路)上での制動摩擦係数を測定し評価した。
なおこの場合、比較例のタイヤはジグザグの振り幅とピッチ長さを比較的大きくとり、サイプを省いた点を除いて実施例のタイヤと同一構造とした。
テストタイヤは16×9.00V リムに組み11.7Kgf/Cm2 の内圧を充填し、荷重は偏摩耗テストにつき5000Kgf 、摩擦係数の測定には5000Kgf を適用した。テスト結果は表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
このように周方向ジグザグ主溝に区分された陸部をオ−プンサイプによって更に多数のブロックに分割し、分割されたブロックの夫々にオ−プンサイプに沿って延び、両端がブロック内に止まるクロ−ズドサイプを設けて成るトレッドを備えた本発明のタイヤは、優れた耐偏摩耗性並びに耐ウエットスキッド性を兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施例を示すタイヤのトレッド平面図。
【図2】比較例のタイヤのトレッド平面図。
【符号の説明】
1 トレッド
2 ジグザグ周方向主溝
3 陸部
4 オ−プンサイプ
5 ブロック
6 クロ−ズドサイプ
v 主溝の幅
w ジグザグの振り幅
Claims (3)
- 周方向に延びる複数のジグザグ状主溝とこれら主溝によって区分された陸部を含み、この陸部に上記主溝と交わる方向に延びるサイプを有するトレッドを備えたタイヤにおいて、
上記主溝はその幅と同等以下のジグザグ振り幅をもって連なり、
上記陸部のうちタイヤ幅方向最外側を除く陸部は、左右の主溝に両端が開いたオ−プンサイプによって分割した多数ブロックの列をなし、これらブロックは各々上記オ−プンサイプに沿って延び、且つ両端がブロック内に止まるクロ−ズドサイプを有し、
上記陸部のうちタイヤ幅方向最外側の両陸部がタイヤ周方向に延びるリブであると共に、上記両陸部に形成されているサイプは、主溝に開口して軸方向に延びるショートサイプのみであることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。 - 上記主溝によって区分された陸部の各頂点に該ショートサイプが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- 上記ブロック列は少なくとも4本の主溝によって区分された中央ブロック列と両側ブロック列をなし、これらのうち少なくとも両側ブロック列に含まれる上記クロ−ズドサイプはその端部が残余の部分の実質上2倍の幅を有し、且つその先端がサイプの上記残余の部分の幅に相当するR によって丸まった形状を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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