JPH1148720A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
リットにおいてクラックや割れの発生を阻止し、また偏
摩耗の発生を押さえて、さらには排水性の向上を図る。 【解決手段】 タイヤ踏面部1に周方向溝21、22、
23、24によって区画された陸部31、32、33、
34、35を備え、上記陸部31、32、33に、両端
が陸部31、32、33の内領域に形成された窪み部9
内部で行き止まり状になっているスリット41を配置
し、上記スリット41の周囲にはタイヤ周方向に延び、
かつ互いに平行に形成された複数本の縁溝8を形成す
る。上記陸部32、33、34、35の溝壁には一端が
周方向溝21、22、23、24に開口し他端が陸部3
2、33、34、35の内領域に形成された窪み部11
内部で行き止まり状になっているスリット53を配置
し、上記スリット53の周囲にはタイヤ周方向に延び、
かつ互いに平行に形成された複数本の縁溝10を形成す
る。
Description
いて、特にそのタイヤ踏面部の陸部に形成されたスリッ
トの改良に関する。
区画された陸部を備え、上記陸部に、少なくとも一端が
陸部の内領域で行き止まり状になっているサイプ或は幅
の狭い溝等のスリットを有する空気入りタイヤが提供さ
れている。
りタイヤは、上記のスリット、特にスリット端にスリッ
ト周辺の剪断力が集中するため、歪みが大きくなり、そ
こからクラックや割れが生じやすく、偏摩耗が起こり易
いという問題があった。また、特にサイプの場合、走行
時にその開口部が閉塞し、排水性が低下することから、
湿潤路制動性能が低下する問題もあった。
陸部に形成されたスリットにおいてクラックや割れの発
生を阻止し、また偏摩耗の発生を押さえて、さらには排
水性の向上を図ることができる空気入りタイヤを提供す
るところにある。
め、本発明は、タイヤ踏面部に周方向溝によって区画さ
れた陸部を備え、上記陸部に、少なくとも一端が陸部の
内領域で行き止まり状になっているスリットを有する空
気入りタイヤにおいて、上記スリットの周囲に当該スリ
ットと交差する方向に延びる複数の縁溝を形成した空気
入りタイヤを採用した。
タイヤトレッドゴム表面の剪断力、即ちスリットの閉鎖
された端部に働く剪断力を、スリットの周辺に設置され
た複数の縁溝で緩和することができる。すなわち、従
来、スリット回り、特にスリット端に集中していた剪断
力が、上記のスリットの周辺に設置された複数の縁溝で
分散されるため、スリット周辺の歪みを可及的に押さえ
ることができ、スリット回り、特にスリット端のクラッ
クや割れの発生を阻止し、また偏摩耗の発生を押さえる
ことができる。
当該スリットと交差する方向に形成していることによ
り、湿潤路走行時に、当該スリットの閉塞を防止するこ
とができ、しかも複数の縁溝の形成によって、排水性が
向上する。また、湿潤路走行時に、多数の縁溝がそれぞ
れの縁溝同士の間で前記剪断力によって変形することか
ら、湿潤路面上に形成された水膜を破壊して行き、因っ
て、制動性、駆動性、ハンドリング等の性能によって総
合的に評価される操縦安定性が改善される。
接続しており、他端が陸部の内領域で行き止まり状にな
っているものや、一端及び他端とも陸部の内領域で行き
止まり状になっているものも含まれる。一端がスリット
に接続しており、他端が陸部の内領域で行き止まり状に
なっている縁溝の場合は、縁溝がスリットに開口してい
るため、一端及び他端とも陸部の内領域で行き止まり状
の縁溝と比較して、排水性がよく、従って湿潤路制動性
能が一層向上する。
ットと交差する方向に延びるものであれば限定されな
い。例えば、スリットの傾斜によっては、複数の縁溝が
タイヤ幅方向に延び、かつ互いに平行に形成され又は互
いに平行に形成されていなくても差し支えない。但し、
複数の縁溝が周方向に延び、かつ互いに平行に形成され
ている縁溝が格別好ましい。かかる縁溝の場合、タイヤ
の回転方向に沿った配置であるため、縁溝の剪断力発生
抑止効果に加え、タイヤ幅方向の表面運動を押さえて、
その結果、周方向の摩擦力の低下を防止する。従って、
タイヤトレッドゴム表面の陸部に働く剪断力の分散効果
が大きく、またすべりが少なくなるので偏摩耗の発生も
抑止することができる。
浅くすることが必要である。これは、縁溝がスリットの
効果の向上とスリット端部のクラック防止を目的として
いるためである。縁溝の深さがスリットの深さ近くにな
るか又は越えるとき、スリット周辺の剛性が低くなりす
ぎ、耐摩耗性への寄与が減少する。具体的には、縁溝の
溝深さは、スリットの溝深さの0.10〜0.40倍の
割合で実施できる。但し、本発明の縁溝の溝深さは、か
かる範囲に限定されるものではない。
は、陸部表面にそれぞれ形成することもできるが、陸部
に形成された窪み部内部にスリット及び当該スリットを
取り囲む縁溝を両者形成することもできる。かかる場
合、陸部表面にスリット及び当該スリットを取り囲む縁
溝を形成した場合と比較して、窪み部自体が幅の広いス
リットとして路面の水膜破壊効果を発揮するとともにそ
の剪断力分散効果も加わる点で好ましい。
溝を形成する」とは、スリットを取り囲む状態で全周に
縁溝を形成することのみならず、周囲の一部に連続的又
は断続的に縁溝を形成することも含まれる。例えば、ス
リット端の周囲だけに縁溝を形成する場合等である。ま
た、一端が周方向溝や横溝等に開口し、他端が陸部の内
領域で行き止まりとなっているいわゆる一端クローズド
のスリットの場合では、スリット開口端を除いて全周に
縁溝を形成する場合のほか、行き止まりのスリット端だ
けに縁溝を形成する場合も含まれる。
切り込み、幅の狭い溝等が含まれるが、格別限定される
ものではない。また本発明でいう縁溝としては、サイ
プ、切り込み、窪み、波形溝、凹凸形状等が含まれる。
踏面部に周方向溝によって区画された陸部を備えていれ
ばよく、横溝等のタイヤ幅方向溝の区画によってブロッ
ク状であるかどうかは問わない。従って、例えば、リブ
パターン、ブロックパターンのほか、リブ・ブロックの
パターン等が含まれる。
ヤ踏面部の陸部に配置されたすべてのスリットでなくて
も差し支えない。例えば、タイヤ周方向に延びるタイヤ
センター領域の陸部、タイヤショルダー領域の陸部、タ
イヤセンター領域の陸部とタイヤショルダー領域の陸部
の間に位置する中間領域の陸部うちのいずれかに形成さ
れたスリットに縁溝を形成することも可能である。
施形態を示すタイヤ踏面部のパターン図である。図2は
図1における要部拡大平面図である。図3は図2におけ
るX−X線断面からみた概略斜視図である。
22、23、24はタイヤ踏面部1をタイヤ周方向に延
びる周方向溝、31は周方向溝22と周方向溝23で区
画されたタイヤ中央領域の陸部、32は周方向溝21で
区画されたタイヤショルダー領域の陸部、33は周方向
溝24で区画されたタイヤショルダー領域の陸部であ
る。34は周方向溝21と周方向溝22で区画された中
間領域の陸部、35は周方向溝23と周方向溝24で区
画された中間領域の陸部である。
された稲妻形状のスリット、42、43はそれぞれショ
ルダー領域の陸部32、33の内領域に形成された稲妻
形状のスリットである。いずれのスリット41、42、
43も陸部の内領域の中央部にタイヤ周方向に間隔を置
いて形成されており、その両端は陸部内領域において行
き止まり状となっている両端クローズド型のスリットの
場合を示している。
に形成され、それぞれ周方向溝21と周方向溝22に一
端が開口し他端が陸部内領域で行き止まり状となってい
るタイヤ幅方向に延びるスリットである。53、54は
いずれも中間領域の陸部35に形成され、それぞれ周方
向溝23と周方向溝24に一端が開口し他端が陸部内領
域で行き止まり状となっているタイヤ幅方向に延びるス
リットである。55、56はいずれもショルダー領域の
陸部32、33に形成され、それぞれ周方向溝21と周
方向溝24に一端が開口し他端が陸部内領域で行き止ま
り状となっているタイヤ幅方向に延びるスリットであ
る。なお、図1中、6、7はそれぞれタイヤのショルダ
ー端部である。
は、いずれも同一の構成からなる。すなわち、スリット
41を例にとって説明すると、図2に示す様に、タイヤ
中央領域の陸部31に形成されたスリット41は、タイ
ヤ幅方向に延びる横スリット部411と、当該横スリッ
ト部411の両端からそれぞれ互いにタイヤ周方向側に
て反対方向に延び、かつタイヤ周方向に対してわずかに
周方向溝22、23寄りにそれぞれ傾斜して延びる傾斜
スリット部412、413から構成されている。
示す様に、その周囲には多数本の縁溝8がスリット41
を取り囲む状態で配置されている。この縁溝8は、図示
の如く、タイヤ円周方向に延び、かつ互いに平行に形成
されており、波形形状の谷部として構成されている。ま
た縁溝8の一端はスリット41に接続して開口してお
り、他端は陸部31の内領域で行き止まり状になってい
る。またこの縁溝8は、スリット41の溝深さよりも浅
く形成されている。具体的には、この縁溝8の溝深さh
2、即ち本実施例でいえば波形形状の山部と谷部との高
さは、格別限定されるものではないが、スリット41の
溝深さh1、即ち陸部31表面からスリット41の溝底ま
での深さに対して0.10〜0.40倍の範囲内で実施
できる。
8は、図3に示す様に、陸部31に形成された窪み部9
内部に形成されている。窪み部9は、図2に示す通り、
スリット41の形成位置に沿って縁溝8の周囲を取り囲
む構造となっている。従って、縁溝8他端は窪み部9の
内壁で行き止まり状態となっている。
形状の溝として構成されている。この縁溝8のピッチP
は、前記縁溝8の溝深さと同様に格別限定されるもので
はないが、前記と同様にスリット41の溝深さh1に対し
て0.10〜0.40倍の範囲内にて実施できる。
41の溝深さh1に対して0.05〜0.20倍の範囲内
にて実施できるが、特に限定されない。またこの窪み部
9の幅はスリット41の溝深さh1に対して3〜10倍の
範囲内にて実施可能であるが、これも特に限定されな
い。
上記の通り、窪み部9内部に形成されているが、窪み部
9内部に形成されずに陸部31表面にそのまま形成する
ことも可能である。但し、本実施形態のスリット41及
び縁溝8を窪み部9内部に形成した場合は、窪み部9自
体が幅の広いスリットとして路面の水膜破壊効果ととも
にその剪断力分散効果も加わる点で好ましい。
41の端部に行くに従い窪み部9の幅が狭くなり、縁溝
8の周方向の長さが短くなっているが、格別かかる形状
に限定されるものではない。
れたスリット41を例にとって説明したが、タイヤショ
ルダー領域の陸部32、33に形成されたスリット4
2、43についても同様の構成からなることは前述した
通りである。
間領域の陸部34、35及びショルダー領域の陸部3
2、33にはそれぞれの溝壁から切り込まれたスリット
51、52、53、54、55、56が形成されてい
る。このスリット51、52、53、54、55、56
にも前記スリット41と同様に縁溝が形成されている。
中間領域の陸部35を例にとって説明すれば、図2に示
す様に、タイヤ幅方向に対して平行に延びるスリット5
3に対してほぼ直角方向、すなわちタイヤ周方向に対し
て平行な角度にて複数本の縁溝10がスリット53の周
囲を取り囲む状態にて互いに平行に形成されている。そ
して、前記タイヤ中央領域の稲妻形状のスリット41と
同様に、このスリット53及び縁溝10も窪み部11内
部に形成されており、縁溝10は波形形状として構成さ
れている。また、本実施形態では、このスリット53及
び縁溝10の深さ並びに窪み部11の深さ及び縁溝10
のピッチも、前記のスリット41、縁溝8及び窪み部9
と同様に設定しているが、格別限定されない。
10は、上記の通り、窪み部11内部に形成されている
が、窪み部11内部に形成されずに陸部35表面にその
まま形成することも可能である。
び図3に示すスリット及び当該スリットを取り囲む縁溝
を備えたタイヤサイズ11R22.5のタイヤを試作
し、走行後のクラックや割れの発生を評価した。また同
時に、スリットの偏摩耗の発生及び湿潤路制動性能を評
価した。表1はその結果を示す。
を除いて上記タイヤと同様の構造のタイヤを試作し、上
記と同様に、走行後のクラックや割れの発生、偏摩耗の
発生及び湿潤路制動性能をそれぞれ評価した。
車として使用されるトラックの前輪に上記試作タイヤを
装着し、2万km走行した後、スリット(サイプ)端部
のクラック発生の有無によって評価した。
や割れを評価した実施例タイヤ及び比較例タイヤそれぞ
れについて、更にそのショルダー側の周方向溝21、2
4の両岸に設定された一端開口他端クローズドのスリッ
ト51、54、55、56における偏摩耗の強さを官能
評価した。
ドテストコース内で定積状態で全輪に実施例タイヤ及び
比較例タイヤを装着し、速度40km/hで走行後、全
輪ロックしたときの車両のスリップ長さを測定して評価
した。表1では比較例タイヤのスリップ長さを100と
して実施例タイヤの湿潤路制動性能を評価している。値
が小さいほど湿潤路制動性能が優れ、排水性が良好であ
ることを示す。
ト(サイプ)端のクラックの発生が防止されると共に、
耐偏摩耗性及び排水性(湿潤路制動性能)も向上してい
ることが認められる。
周方向溝によって区画された陸部を備え、上記陸部に、
少なくとも一端が陸部の内領域で行き止まり状になって
いるスリットを有する空気入りタイヤにおいて、上記ス
リットの周囲に当該スリットと交差する方向に延びる複
数の縁溝を形成した空気入りタイヤであるので、タイヤ
踏面部に働くタイヤトレッドゴム表面に働く剪断力を、
スリットの周辺に設置された複数の縁溝で緩和すること
ができる。従って、従来、スリット回り、特にスリット
端に集中していた剪断力が、上記のスリットの周辺に設
置された複数の縁溝で分散されるため、スリット周辺の
歪みを可及的に押さえることができ、スリット回り、特
にスリット端のクラックや割れの発生を阻止し、また偏
摩耗の発生を押さえることができる。
すタイヤ踏面部のパターン図である。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 タイヤ踏面部に周方向溝によって区画さ
れた陸部を備え、上記陸部に、少なくとも一端が陸部の
内領域で行き止まり状になっているスリットを有する空
気入りタイヤにおいて、上記スリットの周囲に当該スリ
ットと交差する方向に延びる複数の縁溝を形成したこと
を特徴とする空気入りタイヤ。 - 【請求項2】 縁溝は、一端がスリットに接続されてお
り、他端が陸部の内領域で行き止まり状になっている請
求項1記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項3】 複数の縁溝が互いに平行に形成されてい
る請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項4】 縁溝の溝深さは、スリットよりも浅い請
求項1、2又は3記載の空気入りタイヤ。
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