JP3587274B2 - キャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はキャップに関し、詳しくは、容器体等の口頚部に嵌着させるキャップ本体の頂壁に薄肉破断部で囲成された切り取り蓋を設けてなる蓋体付きのキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
容器体等の口頚部外周に嵌合させる周壁上端縁より口頚部上端開口を閉塞する頂壁を延設し、頂壁上面中央部には注出筒を立設し、更に、注出筒内の頂壁に薄肉破断部で囲成された切り取り蓋を設けてなるキャップ本体と、該本体後部に後部を回動可能に連結して、キャップ本体上面を開閉可能に閉塞する蓋体とからなる合成樹脂製のキャップが知られている。
【0003】
これらキャップは、例えば、その切り取り蓋上面より立設した棒状突起を介して切り取り蓋上方に水平に位置するプルリングを延設し、このプルリングを引き上げることにより薄肉破断部が破断してキャップ本体が開口し、液の注出が可能となる如く構成している。
【0004】
また、従来のこの種キャップに於いて切り取り蓋の形状は一般に、注出筒の内周縁に沿った円形に形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した注出筒内周縁に沿った円形の開口では、液の注出に当たり液が勢いよく飛び出してあらぬ方向に漏出してしまうという不都合が生じる虞があった。特にこの種キャップでは、かなり大型の容器体に取り付ける場合も多く、その結果キャップ自体も大型化し、従って開口も極めて大きいものとなり、上記不都合も生じ易い。
【0006】
切り取り蓋の面積を極めて小さいものとすればこれらの不都合も解消するが、今度は液の注出量が少なくなるという問題がある。
【0007】
本発明はこの様な点に鑑み、注出量を其ほど減じることなく注出時の液の暴出を極力防止出来、しかも合成樹脂の一体成形を容易に行えて安価に製造出来るキャップを提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本請求項1発明のキャップは上記課題を解決するため、周壁4上端縁より延設した頂壁5の中央部に注出筒6を立設するとともに、注出筒6内の頂壁5に薄肉破断部9により囲成された切り取り蓋10を設けてなるキャップ本体2と、該本体2の後部上端に後部下端を回動可能に連結してキャップ本体上面を開閉可能に被覆した蓋体3とからなる液体注出用のキャップに於いて、上記薄肉破断部9外側縁部の頂壁5裏面より、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成した水勢抑止板22を、薄肉破断部9を囲繞して周方向複数垂設してなることを特徴とする合成樹脂製のキャップとして構成した。
【0009】
また、請求項2発明のキャップは、上記各水勢抑止板22が、中心に向かって平坦状面を向け且つ下面を外方から中心に向かって下降する傾斜面に形成した半円柱状をなす支持突起23を介して垂設するとともに、各支持突起23の下面湾曲縁に上端縁を折り曲げ可能に連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成することにより、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成してなる水勢抑止板22a である請求項1記載のキャップとして構成した。
【0010】
また、請求項3発明のキャップは、上記各水勢抑止板22が、中心側に開口するアーチ状に下面を凹設した支持突起24を介して垂設するとともに、各支持突起24下面湾曲面に下から見て中心から外方へ突出する円弧状に且つ折り曲げ可能に上端縁を連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成することにより、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成してなる水勢抑止板22b である請求項1記載のキャップとして構成した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
図示例の如く本発明のキャップ1は、キャップ本体2と、蓋体3とを備えており、合成樹脂の一体形成品として構成している。
【0012】
キャップ本体2は、容器体の口頚部等に嵌着固定させるもので、口頚部等の外周に嵌合させる周壁4上端縁より口頚部等の上端開口を閉塞する頂壁5を延設し、頂壁5上面中央から上方に注出筒6を立設している。周壁4の内周には図示例の如く口頚部等の外周に周設した突条と係合して簡単に外れないようにするための突条7を周設しても良く、或いは螺条等を周設して口頚部等外周に螺着させても良い。また、頂壁5裏面中央部には、図示例の如く口頚部等の内面上端に液密に嵌合してその部分からの液の漏出を防止するためのシール筒8を垂設すると良い。
【0013】
また、注出筒6内の頂壁5には薄肉破断部9により囲成された切り取り蓋10を設けており、この切り取り蓋10を薄肉破断部9の部分で破断して取り除き開口させて、この開口部より注出筒6を介して容器体内の液を注出させる如く構成している。
【0014】
本発明に於いて、切り取り蓋10の形状は特に限定されないが、図示例の如く円筒状をなす注出筒6の形状に合わせ、その内径より若干小さい円形とするのが一般的である。
【0015】
また、この切り取り蓋10を切断除去するために、切り取り蓋10上面より指掛け部11を一体に突設する。指掛け部11として、図示例の如く、切り取り蓋10後部中央より起立させた棒状突起12の上端に後端部を一体に連結して注出筒6内上部に水平状に延設したプルリング13を設けている。尚、この指掛け部11は上記プルリングに限らず、単に棒状突起を起立したものであっても良く、従来のこの種キャップに使用されている指掛け部の形状を採用できる。
【0016】
蓋体3は、キャップ本体2の後部上端に後部下端を回動可能に連結してキャップ本体上面を開閉可能に被覆するもので、図示例の如く、キャップ本体2後部中央上端に薄肉ヒンジ14を介して一体に周壁15の後部下端中央部を連結し、周壁15上端縁より上記注出筒6上方を被覆する頂壁16を延設して構成している。また、頂壁16裏面中央部より上記注出筒6内面上端に密に嵌合するシール用の突条17を突設すると良く、周壁18先端部には指掛け用の突起18を突設すると良い。更に、周壁15内面下端部には、周方向等間隔に横長の係止突起19を突設し、キャップ本体周壁4上の注出筒6周囲に設けた係止枠20の係止突条21と係合可能に構成して、蓋体3の閉蓋状態の維持を図っている。
【0017】
本発明では、上記薄肉破断部9外側縁部の頂壁5裏面より、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成した水勢抑止板22を、薄肉破断部9を囲繞して周方向複数垂設している。この水勢抑止板22を設けることにより、注出量を其ほど減じることなくしかも注出時の液の不用意な暴出を防止する如く構成している。更に、各水勢抑止板22はキャップ成形時垂直状に垂設しているので、その部分の型抜きに無理がなく、その結果、合成樹脂の一体成形を無理なく行える如く構成している。
【0018】
また、ここでいう弾性反転は、弾性板が外力により弾性変形しつつ回動し、一つの安定状態から他の安定状態に移行する動きをいい、これらの動きは弾性板の形状及び連結部位の形状等に起因する。但し、本発明では、弾性板の一つの安定状態が垂直状に位置し、他の安定状態が中心側に突出した状態である必要がある。
【0019】
図1乃至図4は一実施例を示し、本実施例では各水勢抑止板22を、中心から外方へ向かって平坦状面を向け且つ下面を外方から中心側に向かって下降する傾斜面に形成した半円柱状をなす支持突起23を介して垂設するとともに、各支持突起23の下面湾曲縁に上端縁を折り曲げ可能に連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成することにより、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成してなる水勢抑止板22a として構成している。各水勢抑止板22a の上端縁は、その連結部分を薄肉に形成して折り曲げ可能に構成し、或いは抑止板22a 自体の厚みが薄い場合には特別の加工を施さなくても折り曲げが可能となる。
【0020】
この水勢抑止板22a は、図5(a) に示す如き垂直状に位置する状態で形成され、この状態から、キャップ本体の中心方向へ強制的に回動させると、図5(b)に示す如く、水勢抑止板22a が長手方向に沿った中心部を対称として裏側にひっくり返った略水平状態で安定状態となる。これら水勢抑止板22a は、キャップを容器体等に装着する前に、図2の2点鎖線で示す如く、中心側へ反転させて使用する。
【0021】
図5乃至図7は他の実施例を示し、本実施例では各水勢抑止板22を、中心に向かって開口するアーチ状に下面を凹設した支持突起24を介して垂設するとともに、各支持突起24下面湾曲面に下から見て中心から外方へ突出する円弧状に且つ折り曲げ可能に上端縁を連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成することにより、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成してなる水勢抑止板22b として構成したものである。また、折り曲げ可能な連結部分は上記実施例と同様の構成を採用できる。
【0022】
本実施例の場合、上記実施例と同様図7(a) に示す垂直状態から、図7(b) に示す長手方向に沿った中心部を対称として裏側にひっくり返った略水平状体で安定状態となる。
【0023】
また、水勢抑止板22の形状は上記したものに限らず、本発明の上記基本構成を維持できる範囲で種々選択できる。例えば、図示しないで説明するが、中心に向かって開口した半円筒状をなし、上下方向中央部所定位置を横断する山形円弧状をなすとともに、薄肉に形成する等して折り曲げ可能に構成した折り曲げ部を形成することにより、弾性反転して中心側へ突出する如く構成したものが挙げられる。
【0024】
また、水勢抑止板22の周方向に垂設する数もキャップの大きさ,各抑止板の大きさ等を考慮して適宜選択することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明キャップは、薄肉破断部の外側縁部の頂壁裏面より、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成した水勢抑止板を、薄肉破断部を囲繞して周方向複数垂設したので、キャップ成形時には各水勢抑止板が垂直状に垂設されているため型抜きに無理が生じることはなく、合成樹脂の一体成形を無理なく行える。また、使用に当たって各水勢抑止板を中心側へ反転させれば、開封後の液の注出の際に、液が暴出して意に反する部分に液が漏出する等の不都合を極力防止でき、しかも、液の単位時間当たりの注出量を其ほど減じることなく円滑な液の注出を行えるいとう優れた効果を発揮でき、特に、大型の容器体に装着するためのキャップとしてより効果を発揮できるものである。また、合成樹脂の一体成形が容易であるため、製造上の困難も少なく、安価に製造できる利点を兼ね備えている。
【0026】
また、中心から外方へ向かって平坦状面を向け且つ下面を外方から中心に向かって下降する傾斜面に形成した半円柱状をなす支持突起を介して垂設するとともに、各支持突起の下面湾曲縁に上端縁を折り曲げ可能に連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成してなる水勢抑止板を設けたものにあっては、上記効果に加え、支持突起の剛性により水勢抑止板を安定的に反転させることができ、反転後の抑止板も安定的に支持できる利点を兼ね備えている。
【0027】
また、中心側に開口するアーチ状に下面を凹設した支持突起を介して垂設するとともに、各支持突起下面湾曲面に下から見て中心から外方へ突出する円弧状に且つ折り曲げ可能に上端縁を連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成してなる水勢抑止板を設けたものも同様に、支持突起の剛性により水勢抑止板を安定的に反転させることができ、反転後の抑止板も安定的に支持出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】同実施例の底面図である。
【図3】同実施例の水勢抑止板の弾性反転を説明する説明図である。
【図4】同実施例の水勢抑止板部分を示す要部拡大縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す縦断面図である。
【図6】同実施例の底面図である。
【図7】同実施例の水勢抑止板の弾性反転を説明する説明図である。
【符号の説明】
2…キャップ本体,3…蓋体,4…周壁,5…頂壁,6…注出筒,
9…薄肉破断部,10…切り取り蓋,22,22a ,22b …水勢抑止板,
23…支持突起,24…支持突起
Claims (3)
- 周壁4上端縁より延設した頂壁5の中央部に注出筒6を立設するとともに、注出筒6内の頂壁5に薄肉破断部9により囲成された切り取り蓋10を設けてなるキャップ本体2と、該本体2の後部上端に後部下端を回動可能に連結してキャップ本体上面を開閉可能に被覆した蓋体3とからなる液体注出用のキャップに於いて、上記薄肉破断部9外側縁部の頂壁5裏面より、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成した水勢抑止板22を、薄肉破断部9を囲繞して周方向複数垂設してなることを特徴とする合成樹脂製のキャップ。
- 上記各水勢抑止板22が、中心から外方へ向かって平坦状面を向け且つ下面を外方から中心に向かって下降する傾斜面に形成した半円柱状をなす支持突起23を介して垂設するとともに、各支持突起23の下面湾曲縁に上端縁を折り曲げ可能に連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成することにより、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成してなる水勢抑止板22a である請求項1記載のキャップ。
- 上記各水勢抑止板22が、中心側に開口するアーチ状に下面を凹設した支持突起24を介して垂設するとともに、各支持突起24下面湾曲面に下から見て中心から外方へ突出する円弧状に且つ折り曲げ可能に上端縁を連結し、且つ、下方に垂下する円弧板状に形成することにより、垂直状で且つ弾性反転して中心側へ突出する如く構成してなる水勢抑止板22b である請求項1記載のキャップ。
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