JP3587167B2 - 電子楽器 - Google Patents

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  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アコースティックピアノのように表現力豊かな発音を可能にした電子楽器に関するものであり、とりわけ、キーオフタッチに応じて自然なキーオフ音を得ることができるようにした電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
アコースティックピアノを始めとする自然楽器では、離鍵により消音する際に、ダンパーのような消音部材を使って発音を強制的に押さえ付けるようになっており、消音時の音波形は、押鍵で生じた弦振動による原波形から歪んだものになる。このような発音抑制作用は離鍵タッチに応じて変化するので、離鍵タッチを異ならせることにより、消音時の音を微妙に変化させて演奏表現を高めることができる。
【0003】
従来より、電子楽器においては、これに対応して、離鍵時のベロシティを検出し、検出されたベロシティのレベルに応じて楽音信号を制御して、演奏表現を高めるようにしたものがある(例えば、特公昭63−34473号公報参照。)。また、アコースティックピアノのダンパ効果を考慮し、キーオフ波形にリミッタをかけるようにして演奏表現を高めたものもある(例えば、特開平5−134671号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の主たる目的は、アコースティックピアノのように、キー操作の態様に応じた豊かな演奏表現を可能にすると共に、キーオンタッチ及びキーオフタッチを含む鍵操作により、キーオン時の音とキーオフ時の音に変化をつけて、発生する楽音の演奏表現を向上し、特に、キーオフ操作の態様に応じて消音波形を様々に制御することができるように、キーオフに関する楽音制御の処理機能を高め、キーオフ時の演奏表現をさらに向上させた電子楽器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の主たる特徴に従うと、演奏操作するための操作子と、この操作子のタッチを検出しタッチ情報を発生するタッチ情報発生手段と、発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御する楽音発生制御手段とを備えた電子楽器であって、タッチ情報発生手段は、第1及び第2キーオフタッチ情報を発生するキーオフ情報発生手段を含み、楽音発生制御手段は、第1キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ制御情報の発生を開始し、これによってキーオフ楽音を発生させ、第2キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ楽音を速やかに停止させる電子楽器が提供される。
【0006】
この発明の別の特徴に従うと、演奏操作するための操作子と、この操作子のタッチを検出しタッチ情報を発生するタッチ情報発生手段と、発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御する楽音発生制御手段とを備えた電子楽器であって、タッチ情報発生手段は、第1及び第2キーオフタッチ情報を発生するキーオフ情報発生手段を含み、楽音発生制御手段は、楽音波形を記憶した楽音波形記憶手段と、これを読み出す読出し手段とを備え、第1キーオフタッチ情報に応じてキーオフ制御情報の発生を開始し、これによって、楽音波形記憶手段からの楽音波形に基づくキーオフ楽音を発生させ、第2キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ楽音を速やかに停止させるようにした電子楽器が提供される。
【0007】
この発明の他の特徴に従うと、演奏操作するための操作子と、この操作子のタッチを検出しタッチ情報を発生するタッチ情報発生手段と、発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御する楽音発生制御手段とを備えた電子楽器であって、タッチ情報発生手段は、キーオン情報とキーオフタッチ情報とを発生するキー情報発生手段を備え、楽音発生制御手段は、第1及び第2音源ソースを備え、キーオン情報によって第1音源ソースに基づく楽音の発生を制御し、キーオフタッチ情報によって第2音源ソースに基づく楽音の発音を制御し、キーオフタッチ情報に応じて、第2音源ソースに基づき発生される楽音の音長を制御するようにした電子楽器が提供される。
【0008】
この発明の更に他の特徴に従うと、演奏操作される鍵と、この鍵の演奏操作に連動して鍵動作より大きく揺動駆動される質量体と、鍵及び該鍵に対応する質量体を揺動自在に支持する支持部と、鍵の演奏操作に応じて楽音の発音と消音とを指示する楽音指示手段と、鍵の演奏操作に応じて発生される楽音発生手段とを備えた電子楽器において、楽音発生手段は、第1及び第2楽音波形メモリとそれらの読出し手段とからなり、楽音指示手段は、鍵の演奏操作に応じて鍵の鍵ストローク前半途中でイベントを発生させる第1センサと、質量体の揺動に応じて鍵ストロークの後半途中でイベントを発生させる第2センサとを含んでなり、第2センサのイベント検出により第1楽音波形メモリから該メモリに対応する読出し手段によってキーオン楽音波形を読み出すことで、キーオン楽音を発生するようにし、第1センサのイベント検出により第2楽音波形メモリから該メモリに対応する読み出し手段によってキーオフ楽音波形を読み出すことで、キーオフ楽音を発生するようにした電子楽器が提供される。
【0009】
〔作用〕
一般に、ピアノのキーオフ操作を微細に観察すると、弦はダンパフェルトに触れるか触れないかの状態でも弦振動を小さくしながら振動し続ける。これによって、微妙な高調波音を含むキーオフ楽音を発生しつつ、徐々にダンパフェルトが当てられて行き、最後に押え付けられてキーオフ楽音を消音する。従って、ピアノ演奏者がキーオフタッチを緩急に変化させることにより、種々の態様のキーオフ楽音が発生され、意図するキーオフ演奏効果が得られる。
【0010】
この発明の主たる特徴によれば、演奏操作用操作子のタッチを検出して発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御するようにした電子楽器において、操作子の演奏操作に応じて第1及び第2キーオフタッチ情報を発生させ、第1キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ制御情報の発生を開始し、これによってキーオフ楽音を発生させ、第2キーオフタッチ情報の発生に応じて、キーオフ制御情報の少なくとも一部を停止すると共に、キーオフ楽音を速やかに停止させるようにしている。つまり、この発明では、キーオフ操作時における演奏操作子の状態を第1及び第2キーオフタッチ情報で把握し、先ず、第1キーオフタッチ情報に応じてキーオフ制御情報を生成し、キーオフ操作時の微妙な高調波音を含むキーオフ楽音を発生させ、その後、第2キーオフタッチ情報に応じてキーオフ制御情報を停止すると共にキーオフ楽音を速やかに停止させて、ダンパフェルトの当接から押付けに至る急速消音過程を模擬するようにキーオフ楽音を制御し、演奏者の意図する微妙なキーオフ楽音を生成することができる。
【0011】
また、この発明の別の特徴によれば、演奏操作用操作子のタッチを検出して発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御するようにした電子楽器において、楽音波形を記憶した楽音波形記憶手段を備え、操作子の演奏操作に応じて第1及び第2キーオフタッチ情報を発生させ、第1キーオフタッチ情報によってキーオフ情報の発生を開始し、これによって、楽音波形記憶手段からの楽音波形に基づくキーオフ楽音を発生させ、第2キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ楽音を速やかに停止させるようにしている。従って、キーオフ操作時の微妙な高調波音を含むキーオフ楽音波形を楽音波形記憶手段に予め記憶させ、このキーオフ楽音波形を用いて、キーオフ時の微妙な高調波音が忠実に反映されたキーオフ楽音を発生することができる。
【0012】
なお、楽音波形記憶手段には、グランドピアノ(GP)等の自然楽器におけるキーオフ音の全波形をサンプリングしたものが好ましい。また、キーオフ楽音波形は、ルーピング読出しができるように構成しておくと、波形メモリの容量を節減し制御を簡単にすることができる。
【0013】
さらに、この発明の他の特徴によれば、演奏操作用操作子のタッチを検出して発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御するようにした電子楽器において、第1及び第2音源ソースを備え、操作子の演奏操作に応じてキーオン情報及びキーオフタッチ情報を発生させ、キーオン情報によって第1音源ソースに基づく楽音の発生を制御し、キーオフタッチ情報によって第2音源ソースに基づく楽音の発生を制御し、オフタッチ情報から得られるオフタッチレベルに応じて、第2音源ソースに基づき発生される楽音の音長を制御するようにしている。つまり、この発明では、操作子のキーオン操作によるキーオン情報に応じてキーオン楽音を発生するために第1音源ソースを用い、キーオフタッチ情報に応じてキーオフ楽音を発生するために第2音源ソースを用いるので、各音源ソースには、波形メモリの外、FM音源等の数学的発生波形など、種々の形態のものを使用し、種々の音源ソースによりキーオン楽音及びキーオフ楽音を発生させ変化に富んだ演奏表現を可能にする。例えば、両音源ソースを同一種類の音源としたり、一方の音源ソースを波形メモリとし他方の音源をFM音源として異ならせたり、或いは、第2音源ソースを波形メモリとしたりすることができる。また、キーオフタッチレベル情報に応じて、キーオフ楽音の音長を制御するようにしているので、キーオフ操作に応じたキーオフ演奏効果が得られる。
【0014】
この発明の更に他の特徴によれば、質量体は、鍵の動作量に対して大きい揺動が得られる(例えば、鍵動作の全ストローク量<力の作用点;質量体へのアクチュエータ部(実施例の質量体駆動部WA)を計測点とする>に対する質量体の全ストローク量<力の作用点;センサへのアクチュエータ部(実施例の第2アクチュエータ部46)を計測点とする>が約3倍となる)ようにし、このような質量体により鍵ストロークの後半途中(鍵位置でいうと、比較的深い作動位置)で駆動される第2センサによるイベント検出(押鍵時に発生するオンイベント有り)によってキーオン波形が読み出され、鍵ストロークの前半途中(鍵位置でいうと、比較的浅い作動位置)で駆動される第1センサによるイベント検出(離鍵時に発生するオフイベント有り)によりキーオフ波形が読み出されるようにしているので、アコースティックピアノの発音/消音機構に極めて近似した機能を有し、表現力が豊かで自然な発音/消音システムを実現することができる。
【0015】
なお、第1及び第2センサには、何れにも、例えば、2接点で検出時間差を得るようなタッチレスポンススイッチなどを用いて、タッチレスポンス機能をもたせることができる。この場合、第2センサにタッチレスポンス機能をもたせ第1センサには1接点のものを用いたり、第1及び第2センサの両者にタッチレスポンス機能をもたせることができる。特に、両センサ共にタッチレスポンスとすると、表現力が豊かで自然な楽音生成効果を一層高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、この発明の好適な実施例を詳述する。なお、以下の実施例は単なる一例であって、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、アコースティックピアノにおいて、ダンパフェルトは高音域において存在しない。このような音域によるダンパフェルトの使い分け処理をこの発明の説明に導入すると、システム構成の把握を難しくするだけで、発明の特徴を理解するにはあまりメリットがないので、以下に説明する実施例では、ダンパフェルトが一律にあるものとして、つまり、高音鍵もダンパフェルトに当たってから消音するような処理として扱う。しかしながら、特開平5−134671号公報のように、高音域はダンパフェルトなしの処理をしてもよい。
【0017】
〔ハードウエア構成〕
図1には、この発明の一実施例による電子楽器のハードウエア構成のブロック図が示されている。この例では、電子楽器システムは、中央処理装置(CPU)1、読出専用メモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3、押離鍵検出手段4、スイッチ検出手段5、表示制御手段6、音源手段7等を備え、これらの装置1〜7は、バス8を介して互いに接続されている。
【0018】
システム全体を制御するCPU1は、これを駆動するクロック及び鍵タッチ情報を取得するために利用される割込みクロックを発生するクロック発生器9を備え、所定のプログラムに従って種々の制御を行い、主に、後述するキーオフ処理を中枢的に遂行する。ROM2には、この電子楽器を制御するための所定の制御プログラムが記憶されており、この発明による押離鍵等に関する各種処理プログラムや、「Ton→Von変換」テーブルTBL1、「Toff→Voff変換」テーブルTBL2等の所要の各種テーブル、各種制御データを含ませることができる。
【0019】
RAM3は、これらの処理に際して必要なデータやパラメータを記憶し、また、各種レジスタやフラグ、処理中の各種データ等を一時記憶するためのワーク領域として用いられる。例えば、RAM3内には、キーバッファKEYBUF,スイッチフラグバッファTCBUF等のバッファや、カウンタ領域、レジスタ、一時メモリ領域ARなどが確保されている。キーバッファKEYBUFには、各発音チャンネルnに対応してキーコードKC(n)、キーイベント種類KV(n)、ベロシティデータVon(n),Voff(n+16)等が一時記憶され、スイッチフラグバッファTCBUFには、各チャンネルnに対応してスイッチフラグTC(n)が一時記憶される。
【0020】
RAM3内において、押離鍵タッチ情報を得るための鍵スイッチによる設定時間差を計測するためのカウンタ領域は、キーオン時間Ton(n)及びキーオフ時間Toff(n+16)をカウントするためのソフトウエアカウンタ領域であり、一時メモリ領域ARは、各発音チャンネルnに対応する現在の楽音波形波高値(瞬時値)データL(n)が一時的に記憶される。また、レジスタとしては、各種レジスタや、減衰レートを記憶するレートレジスタ等が設けられる。なお、チャンネル番号「n」は、例えば、“0”〜“15”の整数である。これに対応して、音源7側には、例えば、番号“0”〜“31”の32チャンネルがあり、キーオン用及びキーオフ用に、それぞれ、nチャンネル及びn+16チャンネルが割り当てられる。
【0021】
押離鍵検出手段4は、鍵盤等の演奏操作子を備えた鍵盤演奏操作装置10に内蔵され、電気的にバス8を介してCPU1等に接続されている。スイッチ検出手段5に接続されるパネルスイッチ装置11は、音色設定や各種効果などの演奏条件等の設定を行うための種々の操作子を操作パネル上に備える。各種インジケータから成るディスプレイ12は、表示制御手段6を介してバス8に接続され、パネルスイッチ装置11の操作パネル上の各種操作子に並置されている。また、ディスプレイ12には、各種設定画面や各種操作ボタンを表示し、ディスプレイ画面上で各種設定・表示を行うこともできる。
【0022】
音源手段7には、演奏操作子としての鍵(キー)を操作した時に発生制御される波形を内蔵した波形ROM70、及び、CPU1との送受信を行う送受信レジスタ71を含んでおり、この波形ROM70は、キーオン時に発生する楽音の生成に用いられるキーオン波形を含む第1音源ソース701と、キーオフ時に発生する楽音の生成に用いられるキーオフ波形を含む第2音源ソース702とから成る。
【0023】
鍵(10)が操作されると、CPU1は、ROM2に基づいて鍵操作処理プログラム(図9〜15参照)を実行し、波形ROM70から波形が読み出され、D/A変換器、アンプ及びスピーカを含むサウンドシステム13を介して、鍵操作に対応した楽音が奏出される。なお、DSP等で構成される効果回路もこのサウンドシステム13に含まれる。
【0024】
〔押離鍵検出機構〕
次に、この発明の一実施例による押離鍵検出機構を説明する。図2は、この発明の一実施例に係る鍵盤装置を示し、鍵操作情報を電子楽器システムに取り込むための一手段を表わす。この図では、鍵盤装置12は、非押鍵状態を側面から見て、ごく概略的に表わされている。
【0025】
図2に示される鍵盤装置12は、白鍵21Wと黒鍵21Bとから成る鍵21と、鍵21に連動して駆動される質量体43とを多数備えている。楽器の棚板部22上には、主鍵支持部23A及び副鍵支持部23Bが固着され、両支持部23A,23Bは鍵支持部23を構成する。主鍵支持部23Aには支点ピンWf,Bfが固設され、白鍵21Wは支点ピンWfに回動自在に支持され、黒鍵21Bは支点ピンBfに回動自在に支持されている。鍵21の前方部(図示左側部)には、副鍵支持部23Bから突設させた鍵ガイド部WG、BGが設けられ、白黒鍵21W,21Bを別々に押して離鍵する時の鍵動を鍵ガイド部WG、BGによってガイドする構成になっている。また、副鍵支持部23Bには白鍵用下限ストッパ部WS及び黒鍵用下限ストッパ部BSが設けられる。
【0026】
鍵支持部23では、主鍵支持部23A及び副鍵支持部23Bを固定的に一体成形した接続部LDによって、ラダー状に両支持部23A,23Bを結合させている。そして、この接続部LDの上方において鍵21の下方に位置するところには、支持部B1,B2を介して棚板部22に設けられた基板SB1上に第1スイッチ(SW)47が配設されている。鍵21の後方では、支点部Mfを有する質量体支持部41が棚板部22に固設され、錘りW1,W2を内包した樹脂製の質量体43の支点部mfが支点部Mfに回動自在に支持され、これにより、質量体43は支持部41に保持されている。支持部41の上部には、前方側に上限ストッパUSが設けられ、後方側にストッパ部41Sが設けられる。
【0027】
この質量体43は、鍵21の後方上面の質量体駆動部WAにより力伝達部44を介して駆動されるように配設される。力伝達部44は、押鍵時に力を質量体に伝達すると共に、発音位置の微調節用ねじでもある。鍵21の質量体駆動部WAは、滑加工面を有する。さらに、質量体43の下方で質量体支持部41の上方に位置するところには、支持部41の上面に基板SB2が載置され、この基板SB2上には質量体駆動スイッチ48が配設されており、このスイッチ48は、第22スイッチ(SW)を構成する。鍵21W(21B)は、非押鍵時には、後部が上限ストッパ部USに当接されて静止しているが、押鍵時には、前方においてストッパ部WS、BSと当接し、このとき、質量体43は、後部下端がストッパ部41Sに当接する。この際、ストッパ部41Sにて質量体43は衝突が緩和されるので機械的雑音が軽減される。
【0028】
このような構成により、図示左側の矢印で示すように下方向に押鍵すると、鍵21の後方及び質量体43の前方は、図示中央の矢印a1で示すように上方向に回動し、質量体43の後方は、図示右側の矢印a2で示すように下方向に回動する。離鍵時には、鍵21及び質量体43は、それぞれ、矢印とは逆方向に回動して図示の位置に復帰する。
【0029】
この発明の一実施例においては、第1及び第2スイッチ(SW)47,48によって押離鍵ストロークを検出している。図2の例では、第1及び第2アクチュエータ部45,46が鍵21及び質量体43の下面に設けられ、これによって、それぞれ2つの接点を有する第1及び第2スイッチ47,48を駆動する。質量体43は、鍵21W(21B)の動作量に対して大きい揺動が得られるように構成されており、鍵21W(21B)の回動角度に対して6〜7倍程度大きい角度で回動する。これによって、それぞれの力の作用点(質量体駆動部WA及び第2アクチュエータ部46)の各移動距離の割合が1:3程度になる。そして、質量体43で駆動される第2スイッチ(SW)48は、鍵ストロークの後半途中(後で説明する図3に示される鍵位置でいうと、比較的深い作動位置C,D)の押鍵時にキーオン時用のキーオン波形を読み出すためのオンイベントを検出する第2センサとして機能する。その後、鍵21で駆動される第1スイッチ(SW)47は、鍵ストロークの前半途中(図3の鍵位置でいうと、比較的浅い作動位置A,B)の離鍵時にキーオフ波形を読み出すためのオフイベントを検出する第1センサとして機能する。なお、第1センサ、第2センサ共に、接点時間差タイプの鍵速度センサとしての機能も具備しており、それは、後述する説明により、明らかとなる。
【0030】
ここで、各アクチュエータ部45,46と各スイッチ(SW)47,48との間の配置は、押鍵ストロークにおいて、先ず、第1アクチュエータ部45が第1SW47に当接し、これに遅れて、第2アクチュエータ部46が第2SW48に当接するような関係になっている。第1及び第2SW47,48は、何れも、ラバーで構成された2つの接点a,b;c,dを備える接点時間差タイプの2メイク式タッチレスポンススイッチであり、各接点a,b;c,dの閉成(オン)及び開放(オフ)動作にストローク差が設定され、それぞれ、離鍵速度センサ、押鍵速度センサを構成している。また、アクチュエータ部46と第2SW48との間隔は、図2に示されるように、アクチュエータ部45と第1SW47との間隔より広くなっている。
【0031】
これは2つの意味をもっている。1つ目は、質量体43の移動可能距離が鍵21の移動可能距離より大きく設定されていることであり、2つ目は、力の作用点(スイッチ駆動点)における移動可能距離(上下方向)は、鍵21に対応するものより質量体43のそれの方が大(質量体後端に対する移動可能距離より小)になっていることである。そのようにした理由は、前者に対しては、弾き応え感のある鍵タッチを得るため、即ち、慣性質量を上げる為、鍵盤装置全体の重量をあまり増大することなしに鍵に連動する質量体の移動距離を増す工夫をしているからであり、後者に対しては、アコースティックピアノの打弦機構のようにハンマが弦を打つ最終位置に対応させて、それに対応する位置で打弦センサ48にて速度センシングした方がよいことによるものである。質量体後端でスイッチ48を駆動せず、少し回動中心に近い所(46)で駆動するようにしたのは、打弦直後のチャタリング発生確率を下げる(打鍵時のリバウンドを防止する)ようにするためである。このようにしたとしても、図2に示すように、スイッチ駆動点における移動可能距離(上下方向)は、鍵21のそれに対し質量体43のそれが約3倍程度に拡大されている。
【0032】
以上によって、第1SW47においては、例えば、押鍵ストロークで第1アクチュエータ部45が当接する場合、先ず、第1SW47の第1接点aが閉成(オン)して第1SW47のオン区間(一接点のみがオンして作動的<動作継続中>である区間の意味)を開始し、次に、第1SW47の第2接点bが閉成して第1SW47のオン区間を終了する。第2SW48においても、同様であり、例えば、押鍵ストロークで第2アクチュエータ部46が当接する場合、先ず、第2SW48の第1接点cが閉成して第2SW48のオン区間を開始し、次に、第2SW48の第2接点dが閉成して第2SW48のオン区間を終了する。また、離鍵ストロークでは、これとは逆に、第2SW48の接点d→c、第1SW47の接点b→aの順に開放(オフ)していく。
【0033】
なお、押離鍵検出機構及び第1及び第2スイッチの構造の詳細やそれらの変形例については、本発明者等が先に提案した特願平11−271402号をも参照されたい。
【0034】
〔キーイベント〕
図3は、この発明の一実施例における鍵スイッチの機能を説明するための図である。鍵盤演奏操作装置12の各鍵21Wは、それぞれ、図2の状態に対応する離鍵(非押鍵)位置Sから最も深い最大押鍵位置Eまで、例えば、最大10mmだけ、上下方向に変位することができるように構成される。これに対して、鍵スイッチ即ち第1及び第2スイッチ(SW)47,48の第1及び第2接点a〜dは、図3に示すように、鍵21の押鍵方向動作に応じて鍵位置A〜Dで閉成(オン)し、鍵21の離鍵方向動作に応じて鍵位置A〜Dで開放(オフ)する。
【0035】
例えば、離鍵(非押鍵)位置Sから最大押鍵位置Eに達するまで鍵21を押鍵すると、下方向に向かう押鍵ストロークでは、先ず、鍵位置Aで、第1SW47の第1接点aを閉成(オン)して第1SW47のオン区間が開始し、次に、鍵位置Bに達すると、第1SW47の第2接点bを閉成して第1SW47のオン区間が終了する。さらに、鍵位置Cにおいては、第2SW48の第1接点cを閉成して第2SW48のオン区間が開始し、鍵位置Dで、第2SW48の第2接点dを閉成して第2SW48のオン区間が終了する。その後、鍵21は最大押鍵位置Eに到達する。
【0036】
逆に、鍵21が最大押鍵位置Eから上方向に向かう離鍵ストロークでは、先ず、鍵位置Dで、第2SW48の第2接点dを開放(オフ)して第2SW48のオン区間が開始し、次に、鍵位置Cに達すると、第2SW48の第1接点cを開放して第2SW48のオン区間が終了する。さらに、鍵位置Bにおいては、第1SW47の第2接点bを開放して第1SW47のオン区間が開始し、鍵位置Aで、第1SW47の第1接点aを開放して第1SW47はオフとなり、第1SW47のオン区間が終了する。そして、鍵21は離鍵(非押鍵)位置Sに復帰し、全押離鍵ストロークが完了する。
【0037】
この例では、4つの接点a〜dの閉成(オン)/開放(オフ)を常時チェックし、オン/オフ状態変化の時点及び方向を計測することによって、全部で8種類のオン(閉成)及びオフ(開放)イベントから成るキーイベントが生成される。すなわち、第1SW47の第1及び第2接点a,b及び第2SW48の第1及び第2接点c,dは、押鍵に伴う位置A〜Dでの閉成(オン)によって4種類のオン(閉成)イベントを生成し、離鍵に伴う位置D〜Aでの開放(オフ)によって4種類のオフ(開放)イベントを生成する。従って、タッチ情報の生成のため、各接点a〜dの動作時間差はイベント間隔で計測され、接点a,b,c,dは、押鍵及び離鍵によって、順次、オン、オン、オン、オン及びオフ、オフ、オフ、オフとなる。そして、これらのキーイベントに基づいて発音/消音制御情報が得られる。
【0038】
例えば、押鍵ストロークにおいては、位置Cから位置Dまでの間でキーオン時間Ton(n)を計測してキーオン時間Ton(n)に相当するカウント値をRAM3上のカウンタ領域に格納し、図4(1)に示す「Ton→Von変換」テーブルTBL1によってキーオンベロシティ値Von(n)に変換することにより、キーオンベロシティVon(n)を決定し、位置Dにより、音源手段7に対して発音を指示する発音開始タイミングを決定する。また、離鍵ストロークにおいては、位置Bから位置Aまでの間でキーオフ時間Toff(n+16)を計測してキーオフ時間Toff(n+16)に相当するカウント値をRAM3上のカウンタ領域に格納し、図4(2)に示す「Toff→Voff変換」テーブルTBL2によってキーオフベロシティ値Voff(n+16)に変換することによってキーオフベロシティVoff(n+16)を決定し、位置Aによって、消音を音源手段7に指示する消音開始タイミングを決定する。
【0039】
なお、押鍵に応じて質量体43がリバウンドする場合のリバウンドリミット位置RLを、位置Cから位置Dまでの間の押鍵状態検出タイミング内に設定することにより、質量体43のリバウンドによるチャタリングの発生を抑制することができる。
【0040】
〔制御データの構成〕
図5及び図6は、RAM3上に確保されたバッファ及びタイマ領域のフォーマットを示し、図5(1)は、各チャンネル(CH)n毎の発音情報及び消音情報を記憶するためのキーバッファKEYBUFのフォーマットを表わし、図5(2)は、キーイベント種類データKV(n)の詳細を表わし、図6(3)は、各チャンネル(CH)n毎のスイッチフラグTC(n)を記憶するためのスイッチフラグバッファTCBUFのフォーマットを表わし、図6(4)は、各チャンネルn毎のキーオン時間Ton(n)及びキーオフ時間Toff(n+16)を計測するためのソフトウエアカウンタ領域のフォーマットを表わす。
【0041】
キーバッファKEYBUFは、図5(1)に示すように、左端のチャンネルナンバ域NRの発音チャンネル番号n(この例では、“0”〜“15”の計16個)それぞれに対して、キーコードデータKC(n)を格納するためのキーコード格納領域CR、キーイベント種類データKV(n)を格納するためのキーイベント種類格納領域VR、キーオンベロシティデータVon(n)を格納するためのキーオンベロシティ格納領域VnR、及び、キーオフベロシティデータVoff(n+16)を格納するためのキーオフベロシティ領域VfRにより構成される。
【0042】
キーイベント種類データKV(n)は、キーイベントを区別するためのデータであり、例えば、3ビットで表される。すなわち、3ビットの各データは、図5(2)に示すように、第3ビット(A)がスイッチ種類を表わしており“0”=第2SW48(HSW)、“1”=第1SW47(KSW)を示し、第2ビット(B)が接点種類を表わしており“0”=第2接点(b又はd)(2M)、“1”=第1接点(a又はc)(1M)を示し、第1ビット(C)がイベント種類を表わしており“0”=オフ(開放)イベント、“1”=オン(閉成)イベントを示している。例えば、図5(1)の例では、第0チャンネル(CH0)におけるキーイベント種類データKV(0)=“101”B(なお、記号「B」は、その直前の数値が2進数であることを示す。)は、第1SW47(KSW)の第2接点b(2M)のオン(閉成)イベントを示し、第1チャンネル(CH1)のキーイベント種類データKV(0)=“010”Bは、第2SW48(HSW)の第1接点c(1M)のオフ(開放)イベントを示している。
【0043】
スイッチフラグTC(n)は、キーイベントの経緯に応じて4つの状態値“00”B,“01”B,“10”B,“11”Bをとり、これらの状態値は、図6(3)の欄外に示すように、次のような状態を表わす:
〔1〕TC(n)=“00”B → キーオン時間Ton(n)又はキーオフ時間Toff(n+16)の何れをも計時しない状態、
〔2〕TC(n)=“01”B→キーオン時間Ton(n)の計時状態、
〔3〕TC(n)=“10”B→キーオフ時間Toff(n+16)の計時状態、
〔4〕TC(n)=“11”B→キーオン計時終了状態。
【0044】
〔楽音発生のための波形〕
この発明の一実施例においては、発音(キーオン)処理時に用いられる「キーオン波形」データや消音(キーオフ)処理時に用いられる「キーオフ波形」データは、ファクトリーセットのプリサンプリング音源を使用する。これらの波形データは、音源手段7に内蔵されている。
【0045】
図7は、この発明の一実施例におけるキーオフ波形の読出し及び制御を説明するための図である。押鍵操作をすると、図3の押鍵ストロークの鍵位置Dにおいて第2スイッチ(SW)48の第2接点dを閉成(オン)した時点t1からキーオン波形が読み出され、位置C〜D間で計測したキーオンベロシティVon(n)に応じた楽音信号が生成される。後述するように、この実施例では、主に、図11のステップK20及び図17のステップS8において、図7の波高値L(n)にVon(n)の値を乗じたものが楽音として出力される。また、キーオン波形のチャンネル番号を「n」とすると、後述する図14及び図15の処理フローで処理されるキーオフ波形の読出しチャンネル番号は、「n+16」である。
【0046】
キーオン波形については、第2SW48の第1接点cのオン(時点t0)の後第2接点dがオンする(時点t1)と、タイミングt1において、キーオンベロシティVon(n)によってイニシャルタッチが決定され、波形アドレスカウンタが示す波高値データにキーオンベロシティVon(n)を乗じた値が順次読み出される。これは、レート(R)という概念で説明すると、レート値R=1である。Von(n)がレートであるとする場合には、ベロシティのMIDIデータ換算値がレートということもできるが、ここでは、ベロシティを考慮した波高値L(n)を考えているので、後述する説明に合わせるため、第1スイッSW47の第2接点bがオフするまではレート値R=1の状態とする。
【0047】
キーオン波形の読出しが進行し、離鍵が開始されると、時点t2において、第1スイッSW47の第2接点bのオフが検出される(後述する図10のステップK9を参照)。この時点t2以降、キーオフ波形が読み出されるが、t2〜t22間は、キーオン波形及びキーオフ波形の双方が読み出され、キーオン波形は時点t2からレートR=Ronにてフェードダウンされ、キーオフ波形はレートR=R0にてフェードアップされながら、同時に時分割で各波形が読み出され、音源手段7にとてミックスされる。こうすることにより、波形のつながりはもとより、波形そのものが有する特徴(フォルマント或いは高調波成分)を時間的に徐々に変化させ、やがて、キーオフ波形への依存度を100%にすることができる。その時点がt22である。
【0048】
その後、キーオン波形は、読出しを停止してもよいが、説明を簡単にするため、レート値R=0を乗算することで(図14のステップT16参照)読み出され続けることとする。キーオフ波形は、時点t22から、本来もつ波高値が読み出される。ただし、キーオン波形、キーオフ波形の各々の最大値をそろえるため、キーオフ波形の読出しにおいても、イニシャルタッチVonを乗算するものとする。次いで、時点t3において第1SW47の第1接点aがオフされることにより、キーオフ波形は所定レートR1をもって急速に減衰していく。そして、時点t4において、ほぼゼロレベルになったことを検出すると、オールオフが出される。なお、キーオフ波形は、先頭部がそのまま読み出され、後部が繰り返し(ルーピング)読み出されるものである。キーオフがきわめて速い場合には、繰返し読出しを行うことなく停止になることもある。
【0049】
なお、「キーオン波形」データや「キーオフ波形」データを得るための音源ソースは、上述のような波形メモリである必要はなく、例えば、FM音源等の数学的手法により発生される波形などを音源ソースとすることができる。従って、一方の波形データを波形メモリから取得し、他方の波形データをFM音源から取得するというように、両波形データを互いに異なる種類の音源ソースから得るように構成することもできるし、両波形データを同種の音源ソースから得るように構成することもでき、これにより、バラエティに富んだ演奏表現を実現することができる。また、忠実なキーオフ楽音の実現という点からは、「キーオフ波形」データの音源ソースは、波形メモリとするのが好ましい。しかしながら、説明を簡便にするため、以下の実施例においては、両波形データを波形メモリから取得するものとする。
【0050】
〔メイン処理〕
図8は、この発明の一実施例による電子楽器システムにおけるメイン処理を表わすフローチャートである。この処理が開始すると、先ず、初期化ルーチンRT1において、RAM3内のキーバッファKEYBUF,スイッチフラグバッファTCBUF、カウンタ領域等が初期化され、デフォルト音色等の設定等、各種初期化処理を実行する。次の楽音パラメータ設定処理ルーチンRT2では、演奏者により指定された音色等の楽音パラメータを音源手段7の対応レジスタ等に設定する楽音パラメータ設定処理を実行する。
【0051】
続いて、押離鍵処理ルーチンRT3において、演奏者による鍵盤演奏操作装置12の押離鍵操作に応じて発音/消音制御情報を生成し、発音/消音制御情報を音源手段7に送出して発音/消音処理の実行を指示する。そして、押離鍵処理による指示に基づいて音源処理ルーチンRT4にて発音/消音処理を行うと、楽音パラメータ設定処理ルーチンRT2に戻り、以後、ルーチンRT2〜RT4の処理を繰り返す。
【0052】
この発明の一実施例による電子楽器システムでは、また、このメイン処理に並行して、所定時間(例えば、1μsec)毎に発生されるクロック発生器9からのタイマ割込みクロックに応じてタイマ割込み処理が起動される。この割込み処理は、押離鍵処理と連繋をとりながら処理が実行されるもので、主に、押離鍵イベント間の時間計測処理を受け持つが、その詳細については後述する(図12〜15参照)。
【0053】
〔押離鍵処理〕
図9〜図11は、この発明の一実施例による押離鍵処理を表わすフローチャートである。図8のメイン処理における押離鍵処理ルーチンRT3においては、以下に示すような手順で押離鍵処理が実行される。まず、ステップK1(図9)において、何れかのキーイベントがあるか否かを判別し、キーイベントが発生したときはステップK2に進み、そうでなければ直ちにリターンする。ここで、リターンされるということは、過去の短時間に多くのイベントが発生し、多くの発音/消音処理の実行中であるから、これ以上新押鍵処理は不可能であることによる処理であり、今発生したイベントを無視する。
【0054】
ステップK2では、発生したキーイベントのキーコードKC(n)を格納しているチャンネル(CH)があるか否かを判別し、当該キーコードを格納したチャンネル(CH)があればステップK3に進む。一方、このようなチャンネル(CH)がなければステップK4に進んで、RAM3上のキーバッファKEYBUFにおいてキーコード領域CRにキーコードデータKC(n)が格納されていない「空きチャンネル(CH)」があるか否かを調べる。その結果、空きチャンネル(CH)があればステップK3に進み、そうでなければ直ちにリターンする。
【0055】
ステップK3では発音を割り当てるチャンネル(CH)を決定し、続いて、ステップK5にて、キーバッファKEYBUFにおいて、チャンネル番号領域NR内の決定したチャンネル番号nに対応するキーコード領域CR及びキーイベント種類領域VRに、発生したキーイベントのキーコードKC(n)及び種類KV(n)をそれぞれ書き込んだ後、ステップK6に進む。
【0056】
ステップK6においては、キーイベントが第1スイッチ(SW)47から発生したか否かを判別し、第1SW47のキーイベントのときはステップK7に進み、そうでないときはステップK8に進む。
【0057】
楽音の発生から消滅に至るプロセスの発生イベント順に処理フローの流れを図9〜図11について、ステップK8以後を簡単に説明すると、ステップK8,K16からリターンする処理の後、数十ミリ秒後に、次に、同一キーの第2SW48の第2接点dがオンになることにより、ステップK1→K2→K3→K5→K6→K8→K15→K17→K18→K19→K20→リターンの処理経路で、キーオンされた鍵の音高による楽音が発生する。やがて、第2接点dのオフが確認されると、ステップK1→…→K6→K8→リターンの処理を経た後、第2SW48の第1接点cのオフされた場合でも、ステップK1→…→K6→K8→リターンの処理が実行され、この2つの処理は実質的に無視される。
【0058】
その後、第1SW47の第2接点bのオフ時にステップK1→…→K6→K9→K11→K14→リターンとなり、接点時間差としての数十ミリ秒後に第1接点aのオフが確認される。その処理後は、ステップK1→…→K6→K9→K10→…→K13→リターンとなり、楽音は消減に向かう。ステップK13の直後では、後述するように、消音用の楽音がしばらく発生し、その後、急速に減衰した後、図17のステップS7において、すべてが終ることが明らかとなる。表1に、押離鍵検出処理の全体の流れを図式化したので参照されたい。
【表1】
Figure 0003587167
【0059】
<第1スイッチのオンイベントの場合>
ステップK7に進んだ場合は、第1SW47の第1又は第2接点a,bが閉成(オン)したのか開放(オフ)したのかを判別し、第1SW47のオンイベント〔キーイベント種類データKV(n)=“101”B又は“111”Bの処理でキーオン鍵音高の楽音が発生する。”〕であれば直ちにリターンし、第1SW47のオフイベントのときにはステップK9(図10)に進む。
【0060】
<第1スイッチのオフイベントの場合>
ステップK9(図10)においては、更に、第1SW47のオフイベントを与えた〔開放(オフ)した〕接点が第1又は第2接点a,bの何れであるかを判断する。そして、第1接点aが開放(オフ)した場合はステップK10に進んで消音処理ルートに入り、第2接点bが開放(オフ)した場合にはステップK11に進む。先ず、検出されたキーイベントが第1SW47における第1接点aのオフ(開放)イベントの場合〔キーイベント種類データKV(n)=“100”B〕は、ステップK12〜K15の処理を順次実行して行く。
【0061】
ステップK10においては、カウンタ領域でカウントされたオフ時間値Toff(n+16)を「Toff→Voff」変換テーブル(TBL2)によって変換したキーオフベロシティ値Voff(n+16)が、キーバッファKEYBUF内のチャンネルnに対応するキーオフベロシティ領域VfRに格納される。次に、ステップK12でカウンタ領域のオフ時間値Toff(n+16)を“0”にリセットし、ステップK13において、消音処理を行い、発音チャンネルデータn及びキーコードデータKC(n)からなるチャンネルデータ、第1SW47の第1接点aが開放(オフ)した時点(t3)に対応するキーオフタイミングデータ、減衰レート値R=“R1”とキーオフベロシティ値Voff(n+16)との乗算値等を音源手段7に送出し、リターンする。
【0062】
一方、第1SW47における第2接点bのオフ(開放)イベントの場合〔キーイベント種類データKV(n)=“110”B〕は、ステップK11において、レート値RをR(n)=Ron、R(n+16)=R0にセットされる。レート値Ronは、キーオン波形をフェードダウンさせるにつき、所定時間当りにどの程度レベルダウンさせていくかを表わすインタラプト毎の数値である。また、レート値R0は、キーオン波形をフェードアップさせるについての所定時間に対するアップ率であり、インタラプト毎に存する数値である。
【0063】
そして、次のステップK15において、スイッチフラグTC(n)を“10”B(Toff計時)にセットしてキーオフ時間の計測を開始させた上、リターンする。
【0064】
<第2スイッチのオフイベントの場合>
キーイベントが第2SW48で発生した場合、図9のように、ステップK6からステップK8に進んで、第2SW48によるキーイベントがオンイベントであるかオフイベントであるか、つまり、第2SW48の第1又は第2接点c,dが閉成(オン)したのか開放(オフ)したのかを判別し、第2SW48のオンイベントであればステップK15(図11)に進み、第2SW48のオフイベント〔キーイベント種類データKV(n)=“000”B又は“010”B〕のときには直ちにリターンする。
【0065】
<第2スイッチのオンイベントの場合>
ステップK15(図11)では、更に、第2SW48のオンイベントを与えた〔閉成(オン)した〕接点が第1又は第2接点c,dの何れであるかを判断する。ここで、第2SW48の第1接点cが閉成(オン)した場合〔キーイベント種類データKV(n)=“001”B〕は、ステップK16に進み、キースイッチフラグTC(n)に“01”B(Ton計時)をセットしてキーオン時間Ton(n)の計測を開始させた上、リターンする。
【0066】
一方、第2SW48の第2接点dが閉成(オン)した場合〔キーイベント種類データKV(n)=“011”B〕には、ステップK17〜K20の処理を順次実行して行く。
【0067】
ステップK17においては、カウンタ領域でカウントされたオン時間値Ton(n)を「Ton→Von」変換テーブル(TBL1)によって変換したキーオンベロシティ値Von(n)が、キーバッファKEYBUF内のチャンネルnに対応するキーオンベロシティ格納領域VnRに格納される。次に、ステップK18で、カウンタ領域のオン時間値Ton(n)を“0”をリセットし、ステップK19で、スイッチフラグTC(n)を“11”B(計時終了)にセットする。そして、ステップK20において、発音処理を行い、発音チャンネルデータn、キーコードデータKC(n)、キーオンタイミングデータ、キーオンベロシティデータVon(n)等を音源手段7に送出した上、リターンする。
【0068】
〔タイマ割込み処理〕
図12〜図15は、この発明の一実施例によるタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。このタイマ割込み処理では、主に、スイッチフラグTC(n)の状態値に応じてキーオン時間Ton(n)又はキーオフ時間Toff(n+16)の計時を行う。図示の処理フローにおいて、キーオン時間Ton(n)の計時処理は、ステップT1→T2→T3→T4→T6→T2の処理経路中のステップT4でなされる。キーオフ時間については、キーオン時間Ton(n)のチャンネルnに対応する別のチャンネルn+16のキーオフ時間Toff(n+16)として処理され、キーオフ時間Toff(n+16)の計時処理は、ステップT1→T2→T3→T5→T20→…→T25→…の処理経路中のステップT25でなされる。その他の仕事としては、サスティン中の波高値送出処理(T7,T17,T18)や波形過渡期のレート変更設定処理(T13又はT14〜T16)などがある。タイマ割込み処理の流れの詳細を表2にまとめたので、これを参照されたい。なお、表2の第4欄中の「多数回」とは、チャンネル数分×多数回という意味である。
【表2】
Figure 0003587167
【0069】
ステップT1(図12)においては、スイッチフラグバッファTCBUFの全てのチャンネル(CH)のスイッチフラグTC(0)〜TC(15)が“00”B(不計時状態)であるか否かを判別し、全チャンネル(CH)のスイッチフラグTC(0)〜TC(15)が“00”Bのときは直ちにリターンし、そうでないときはステップT2に進む。ステップT2では、スイッチフラグバッファTCBUF内において“00”Bでないスイッチフラグを識別し、チャンネル(CH)番号nを決定する。この場合、最初の番号値nは、“1”とする〔或いは、“00”Bでないスイッチフラグのある該当チャンネル(CH)のうち最も小さいチャンネル(CH)番号とする〕。すなわち、チャンネル番号の最小値から最大値までをスキャンし、すべての“00”Bでないチャンネルを抽出する。その手法は様々であるが、タイマnを順次“+1”するステップを含む。
【0070】
続いて、ステップT3において、決定されたチャンネルnのスイッチフラグTC(n)が“01”Bであるか否かを判別し、スイッチフラグTC(n)が“01”B(Ton計時)のときは、ステップT4に進み、カウンタ領域のキーオン時間カウント値Ton(n)を“1”だけインクリメントする。一方、スイッチフラグTC(n)が“01”BでないときはステップT5(図13)に進む。
【0071】
ステップT4に続くステップT6では、現チャンネル番号nが最大チャンネル番号値(この例では、“15”)であるか否かを判別し、チャンネル番号nが最大チャンネル番号値であるときは直ちにリターンし、そうでないときは、ステップT2に進んで前回のチャンネル番号値nを含まない他のチャンネル番号を抽出した上、ステップT3に戻る。すなわち、図12の小ループ(T2→T3→…→T6→T2)によって、ほとんど同時に押鍵された(同時押し)場合における複数押鍵のイニシャルタッチの計時が行われる。これらのタッチが決定されるのは、第1SW47の第2接点bを通り越したときに、図10のステップK14によりモード(スイッチフラグ)がTC(n)=“10”Bに変更されるタイミングである。
【0072】
スイッチフラグTC(n)が“01”Bから“11”Bになると、ステップT1→T2→T3→T5と進み、図13のステップT5において、スイッチフラグTC(n)が“11”Bであるか否かを判別する。ただし、ある鍵のイニシャルタッチの計測中に、ほとんど同時に、他の鍵の離鍵タッチの計測中になることもあるので、その場合は、ステップT3にて、或るチャンネルはステップT4の処理へ、或るチャンネルはステップT5の処理へと進むことになる。ここで、或るCHとは、例えば、チャンネル番号nの最大値を“16”とした場合、前述した小ループ(T2→T3→…→T6→T2)の16回の処理中におけるチャンネル番号n=3及びn=4の処理の際において、別の処理がなされるという意味である。
【0073】
この小ループでの処理中、ステップT5にて、スイッチフラグTC(n)=“11”Bと判別(YESと判定)されるとステップT7に進み、そうでないときは(NO)ステップT8に進む。ステップT7では、アドレスカウンタレジスタAon(n)が指示する音源波高値L(n)を音源手段7へ送出する。そして、次のステップT9においてアドレスAon(n)を“+1”インクリメントする。次いで、ステップT10にて、このアドレスAon(n)が最終値か否かが判断され、最終値でない(NO)ならステップT6に進み、最終値でないときは(YES)、ステップT11に進んで当該チャンネル(n)の全データをクリアする。
【0074】
つまり、図13の各ステップでは、主に、イニシャルタッチ取得以後の音源読出しに係る処理が行われる。ただし、スタッカート奏法等のように、はずむような奏法(押鍵した後、すぐに離鍵する奏法)では、上述した一連の処理状態の持続が非常に短い場合がある。波形読出しの停止は、後述する図17のステップS7にて行なわれる。
【0075】
次に、押鍵後、離鍵される場合のタイマ処理を、図14及び図15により説明する。キーオン波形が音源手段へ送出されている状態(図13)において、離鍵動作が進行すると、スイッチフラグTC(n)=“11”Bが、図11のステップK19にてセットされるので、これ以後第1SWの第1接点aのオフイベントが発生されるまでの間は、この状態が持続される。このとき、タイマ処理では、ステップT1→T2→T3→T5(図13)からステップT8(図14)への処理フローが実行される。ステップT8において、後述するステップT19(図15)でカウントされるタイマカウンタの値が、所定値(例えば、5ms相当)以上かどうかが判定される。このジャッジは、「R(n+16)≧1」というものであってもよい。ただし、次のステップT13のレート値R0は、5mの後に値“1”になるようなものとする。
【0076】
離鍵動作によって、第1SWの第2接点bのオフイベントが発生した直後の処理チャンネルの番号値nが、例えば、“3”であるとすると、このチャンネル番号値n=“3”に“+16”加算したチャンネル番号“19”の処理チャンネルが、ここで初めて確保される。その理由は、図7から明らかなように、キーオン波形からきオフ波形に移り変わるとき、クリックが出ないようにクロスフェードされるようにするために、同一音高の鍵について2つのチャンネルを確保し、同時読出しを進行させる必要があるからである。
【0077】
このチャンネルについて、キーオフ時間Toff(n+16)が過渡期即ちクロスフェード中かどうかは、ステップT8にて判定される。ここで、オフ波形読出しを開始して所定のフェードアップ期間(5ms)が経過してレート値R(n)が“1”に極めて近くなった(YES)と判断されると、ステップT12に進んで、レート値R(n+16)を“1”に固定する。
【0078】
一方、ステップT8でクロスフェード中(NO)と判断されたときは、ステップT13で、クロスフェード中のレートR(n+16)をR(n+16)+R0として、毎回、所定のレート値R0を加算していく。このレート値R0は、オフ波形のフェードアップを決める定数であって、割り込み時間により異なるが、この実施例では、割込みクロックを1μsとしたので、R0=1×10−3〜1×10−4という固定値が適当である。
【0079】
次のステップT14〜T16は、オン波形のレートを規定する処理を行う。ステップT14では、レートR(n)に、前回のレート値R(n)から所定値Ronを引いたものを与える。与えられたレート値R(n)が次のステップT15でゼロ以下となったと判定されたときは、ステップT16にて、このレート値R(n)をゼロに保持するようにしている。
【0080】
次に、ステップT17において、オン波形のクロスフェードダウン中の波形の波高値をキーオン波形メモリアドレスAon(n)がさす波高値L(n)として、前回の波高値L(n)にそのレートR(n)=Ron(K11にて決定)をかけ算したものを取り込む。次いで、ステップT18にて、そのチャンネルのペアチャンネルであるn+16について、キーオフ波形メモリアドレスAon(n+16)がさす波高値L(n+16)を、前回波高値×R(n+16)とする。例えば、オフ波形読出の初期近傍では、ステップT2にてそのレート値を、例えば、0.0002等として、波高値L(n+16)を出力する。最初のうちはその波高値はほとんど0であるが、ちょうど5ms後にはそのレートは1となるから、1ms後には実際の波高値の0.2倍、一方、ステップT17の同一時点のレート値のレートは0.8倍くらいになるように、レート値Ronを前述のようにあらかじめ決めておく。
【0081】
続くステップT19(図15)では、番号n+16のチャンネルの経過時間がわかればよいので、キーオフ時間Toff(n+16)を“+1”する。次に、ステップT20では、現在制御すべきCHのエンペロープジェネレータ(EG)レベルが消音レベル以上、即ち最大値に対して、40dBダウン程度の値以上であって、かつ、アドレスAof(n+16)がそのエンド値Afe(n+16)であるかどうかが判断される。このステップT20でYESと判断されるとステップT21に進み、アドレスが進んでおらずNOと判断されるとステップT22に進む。
【0082】
ステップT22では、現在制御すべきCHのEGレベルが消音レベル以下になったかが判断され、波形が減衰しきっていない場合(NO)には、ステップT25に進んで、アドレスAon(n),Aof(n+16)のアドレスカウンタをそれぞれ“+1”してリターンされる。
【0083】
クロスフェードが終了時期になると、前述したように、ステップT12においてレート値R(n+16)を“1”に固定する。また、ステップT17,T18の処理を経ながらキーオン波形とキーオフ波形が入れ替わっていく。そして、図7に示すように、エンドアドレスAfe(n+16)までアドレスカウンタが進むと、ステップT20からステップT21に進み、ステップT21にて、Aof(n+16)はループ初期値Afs(n+16)に設定される。その後、キーオフ波形の減衰が進むと、ステップT22にてYESと判断され、ステップT23において当該チャンネルの波形読出しの停止が行われ、続くステップT24にてモードTC(n+16)を“00”Bとしてリターンされる。
【0084】
〔音源処理=発音/消音処理〕
この発明の一実施例において、音源に備えられる楽音波形はキーオン波形とキーオフ波形とから成り、キーオン波形は、説明を簡単にするため、グランドピアノ(GP)の鍵を押し続けた場合の全波形をプリサンプリングしたものとして取り扱う。一般製品化する場合は、図7におけるキーオフ波形の説明と同様に、一部繰返し部分(ルーピング)を設けてもよい。また、キーオフ波形は、ピアノにおいて半離鍵時のフェルトが弦に当接しながら減衰する音をプリサンプリングした波形である。キーオフ波形長は、例えば、10ms〜200ms程度の特定の波形長を有するものであり、それより長いキーオフ音を出力したい場合は、すでに説明したように、ルーピングを用いてもよい。
【0085】
図16及び図17は、この発明の一実施例による音源処理(発音/消音処理)を表わすフローチャートを示す。図8のメイン処理における音源処理ルーチンRT4においては、以下に示すような手順で音源処理(発音/消音処理)が実行される。なお、音源手段7は、主として、ハードウェアにより構成したり、ソフトウェアによって構成したりすることができる。
【0086】
この音源処理フローでは、大きく、次の3つの処理を行う:
(1)ステップS1→S2→S3→S5→S6→S8→S4→リターンの経路で、音源手段7に対する発音処理を行う。
(2)ステップS1→S2→S3→S6→S8→S4→リターンの経路で、音源手段7に対する消音処理を行う。
(3)ステップ(S1→S2→S3→S6→S4→)S7→S10→S9→リターンの経路で、キーコドKC(n)が格納されている発音チャンネル(CH)のEG波形レベルが消音レベル以下であるときに、当該チャンネル(CH)に対応するバッファKEYBUF,TCBUFの全データ及びカウンタ領域のデータTon(n),Toff(n+16)をクリアする。
【0087】
ここでいう音源処理とは、音源手段7に内蔵されている波形メモリROMから波形を読み出すにあたり、その準備をCPU1側で進めておき、キーオン/オフベロシティデータやチャンネルデータ等を音源手段7内のバッファレジスタ(CPUとの送受信レジスタ)71に一時記憶する。そして、イベントデータ、タイマインタラプト時発生データによってこれを制御し発音する。
【0088】
例えば、この実施例では、キーオン波形読み出し時は、図11のステップK20にて各種データを音源に送出する構成となっているが、この直後に楽音発生となるのではなく、音源のレジスタに記憶しておき、ステップS1において、このレジスタを16×2=32チャンネル分スキャニングし、図16及び図17の処理後に楽音が制御されるようにしている。32チャンネル分としたのは、キーオン波形からキーオフ波形に移る際、各波形にはクロスフェードが行われるので、どうしても1鍵につき2チャンネル分必要となるからである。
【0089】
まず、この処理フローの第1ステップS1においては、全てのチャンネル(CH)の中で、キーコードKCありのチャンネル(CH)があるか否かを判別し、キーコードKCありのチャンネル(CH)があるときはステップS2に進み、そうでないときは直ちにリターンする。ステップS2では、キーデータに関する受信信号があるか否かを判別し、キーデータに関する受信信号があるときはステップS3に進み、そうでないときは直ちにステップS4(図17)に進む。
【0090】
ステップS3においては、受信したキーデータが発音(オンイベント)に関するものか否かかを判別し、発音に関するときは、ステップS5でCPU1からの発音開始の指示に基づいて、音源手段7の対応するチャンネルをオンとして発音処理を開始させた後、ステップS6(図17)に進む。図11に示す処理等によりキーオン以外のデータが送られているのでオンだけを送られる。この場合のチャンネルデータの数は、キーオフ波形を考慮して図11で説明したチャンネル数の2倍の“32”である。
【0091】
一方、発音に関するものではないときは、なにもしないでステップS6に進む。ステップS6においては、キーコードKCありのチャンネル(CH)について、そのレベルデータが所定の消音レベル未満か否かを判断し、消音レベル未満のときは、ステップS7で当該チャンネル(CH)のデータをクリアした後、ステップS4に進み、そうでないときは、ステップS8に進む。ステップS8では、キーコードKCありのチャンネル(CH)の現在波高値データLn(n)をLn(n)×Von(n)とし、ステップS4に進む。
【0092】
ステップS4では、全チャンネル分処理されたか否かを判別し、全チャンネルが処理されたときはリターンし、そうでないときはステップS9でチャンネル番号nを“1”だけインクリメントした後、ステップS1に戻って、同様の処理を繰り返す。ここで、チャンネル番号nは、“0”から“31”まで処理が繰り返される。
【0093】
〔ダンプ処理〕
ピアノを始めとする自然楽器は、消音の際、ダンパフェルトのような消音部材を使用して発音を強制的に抑え付ける(ダンピング)。この場合に発生される音の波形は、元の波形から歪み消音特有の高調波が含まれる。この発明の一実施例によれば、キーオフ区間終了後に強制ダンピング効果を施し、このような現象を効果的に模擬するダンプ処理を行うことができる。図18は、この発明の一実施例による振幅制限(波形クリップ)方式のダンピングを説明するための図であり、図19は、この発明の一実施例によるダンプ処理を表わすフローチャートである。このダンプ処理フローは、例えば、図17のステップS7,S4間の記号X,Yで示され箇所において実施することができ、第1スイッチ(SW)47の第1接点の開放(オフ)する時点t3以降における急速消音過程に適用してもよい。
【0094】
この処理フローの最初のステップD1では、鍵の状態フラグがTC(n)=“10”B(但し、nは“0”〜“31”)である消音処理中のチャンネル(CH)において、現在のキーオフ波形メモリアドレスAof(n)が指す現在波高値データL(n)の絶対値E1(n)を、所定エンベロープ関数E2(n)にキーオフベロシティVoff(n)を乗算した値“E2(n)×Voff(n)”と比較し、次のステップD2において、この比較結果の符号(「+1」又は「−1」)を符号データHUG(n)としてステップD3に進む。
【0095】
ステップD3では、エンベロープ関数E2(n)が絶対値E1(n)より小さいか否かを判断し、絶対値E1(n)より小さいときは、ステップD4に進んで、キーオフ波形メモリアドレスAof(n)の現在波高値データL(n)をそのまま現在波高値データL(n)として採用する。一方、エンベロープ関数E2(n)が関数E1(n)以上であれば、ステップD5に進んで、符号データHUG(n)を乗じたエンベロープ関数E2(n)を現在波高値データL(n)として採用する。
【0096】
このダンプ処理では、楽音を振幅方向に制限する振幅制限値として、所定エンベロープ関数E2(n)とキーオフベロシティVoffを乗算した値“E2(n)×Voff(n)”を用いており、この振幅制限値は、図18に示すように、時間経過に従って徐々に減少する特性を有するので、自然楽器におけるダンパフェルトの当接から押付けに至る急速消音過程のダンピング特性を良好に模擬することができる。
【0097】
楽音振幅を制限して急速にダンピングするには、このような単純な振幅リミッタだけでなく、図20に示すようなコンプレッサ方式を用いることができる。コンプレッサ方式では、図示のように、入力信号レベルが高い程出力信号レベルを下げる非線形関数NLの入出力特性を備えるコンプレッサCPが用いられる。この発明の一実施例においては、この非線形関数NLは、破線NLa,NLbで示されるように、時間経過に従って徐々に平らなに変化させる。従って、楽音振幅は、これに応じて徐々に小さい値に制限されていき、同様に、急速消音過程を良好に模擬することができる。
【0098】
〔実施態様の要点〕
以上、この発明の一実施例を説明してきたが、ここで、キーオン及びキーオフ操作時の動作、特に、キーオフ操作時の動作について要点を述べる。前述した図7には、この発明の一実施例による電子楽器システムにおける楽音出力の時間特性が示されている。
【0099】
<キーオン操作→発音処理>
キーオン操作時には、図3に示す押鍵ストロークにおいて、第2スイッチ(SW)48の第2接点dが閉成(オン)した時点t1(図7)から、スイッチフラグTC(n)が“11”Bとなり(図11:K19)、タイマ割込み処理(図12〜図15)のステップT1→T2→T3→T5→T7→T9→T10→T6→T2→T3→T5→…→T6のルートでキーオン波形(発音用音源)を読み出して発音していく。
【0100】
<キーオフ操作→消音処理>
続いて、キーオフ操作の時には、図3に示す離鍵ストロークにおいて、第1スイッチ(SW)47の第2接点bをオフ側に通過した時点t2(図7)、つまり、接点bを開放(オフ)した時点t2から、スイッチフラグTC(n)が“10”Bとなり(図10:K14)、タイマ割込み処理(図12〜図15)のステップT1→T2→T3→T5→T8→T13(→T12)→…→T17→T18→T19→T20から、ステップT22→T25又はステップT21を介して、ステップT6→T2→T3→…→T6のルートでキーオン及びキーオフ波形(を読み出していく。また、これに基づく発音は、図16及び図17の処理により行われる。
【0101】
キーオフ波形読出しのトリガは、押離鍵処理フローの接点(a,b)判定ステップK9(図10)において、図3に示す離鍵ストロークでの第1スイッチ(SW)47の第2接点bの開放(オフ)によりキーオフ操作と判定され、ステップK11,K14に分岐することによる。
【0102】
つまり、第2SWの第2接点bのオフ(開放)イベント発生によって、ステップK11,K14にて、レート値設定及びフラグ設定を行い、そのフラグ判定がステップT5で行われると、ステップT8以下の処理に分岐される。この分岐処理(T8,T12〜T25)により、図7の期間t2〜t22に示すように、キーオン波形及びキーオフ波形が同時に読み出される。そして、これにより、音源7のレジスタに所定データが取り込まれた後、次のサイクルにて、音源手段7からキーオン波形及びキーオフ波形が時分割で読み出されて合成され、キーオン波形からキーオフ波形へとスムーズに繋がった楽音が発生される。
【0103】
キーオフ波形読出しの指示は、タイマ割込み処理のステップT18において、キーオフ波形メモリのアドレスAof(n+16)を指定するアドレスカウンタによってなされる。ステップT20でエンドアドレスAfe(n+16)ステップT21において、ループ初期値(リターンアドレス)Afs(n+16)に戻る。
【0104】
(1)非常に速い離鍵操作のとき
キーオフ波形メモリに記録されるサンプリング波形長にもよるが、記録されているキーオフ波形が長い場合、離鍵操作が非常に速いと、波形の終端Afe(n)に達する前に、図7に示す時点t3aで、第1スイッチ(SW)のキーオフ区間を通過する〔第1SW47の第1接点aの開放(オフ)によりキーオフ区間を終了する〕ので、そこで、キーオフベロシティVoff(n+16)=Voffaが決まり、押離鍵処理フローの接点(a,b)判定ステップK9(図10)において第1接点aのオフ(開放)イベントと判定され、ステップT5からステップT8以下に分岐する(図13、図14参照)。ここで、キーオフベロシティ値Voffaが大きいので、この時点t3aを境にして、キーオフ波形は、減衰レートR=“R1×Voffa”で急速に減衰する。
【0105】
(2)比較的弱い離鍵操作をしたとき
普通の離鍵操作つまり比較的弱い離鍵操作をしたときは、キーオフ波形メモリのエンドアドレスAfe(n)から繰返しアドレス(リターンアドレス)Afs(n)に戻るルーピングが行われ、この繰返しは、ルーピング指定を判定機能を有するステップT20からステップT21の処理ルートを介して、何回か行われる。つまり、第1SW47の第2接点bの開放(オフ)から第1接点aのオフ(開放)に至るキーオフ区間を通過するのに或る程度の時間を要するので、このようなルーピングが行われる。
【0106】
例えば、図7に示す時点t3で、第1SW47の第1接点aのオフ(開放)イベントを通過すると、ステップK9,K10,K12,K13にてキーオフレートを算出し、ステップS8にてキーオフ波形が読み出され、時点t4で消音レベル以下になるとステップT20からステップT22を介してステップT23に分岐して、キーオフ波形の読出しが停止される。この場合、キーオフベロシティVoff(n+16)=Voffbは小さいので(Voffb<Voffa)、図7に示す時点t3b以降の減衰レートRは、R=“R1×Voffb”であり、波形は比較的緩慢に減衰する。つまり、離鍵態様によって、音源態様(キーオフ読出しの波形)が異なるように制御される。
【0107】
すなわち、この発明の一実施例によれば、離鍵ストロークにおける微妙な中間点(位置B〜A間)をゆっくり通過(停止)させることにより、弦止めフェルトが弦にわずかに触れている音(キーオフ波形は、これをサンプリングしている)を持続発音させることができ、任意のタイミングにて、第1SW47の第1接点aのオフ(開放)イベント(位置A)を通過させれば、速やかに停止にすることができるようになっている。
【0108】
消音時の別処理として、第1スイッチ(SW)の第1接点aの開放(オフ)によるキーオフイベント終了(即ち、第2キーオフタッチ情報)の発生に応じて、キーオフ波形の供給を停止すると共に、キーオフ波形に基づくキーオフ楽音の発生を速やかに停止させるように消音処理を行う。すなわち、ルーピングをするか否かを示すフラグとして、ルーピング指示フラグLp(n)なるものを設定し、押離鍵処理のステップK6→K8→K9の経路により、キーオフイベント終了(第2キーオフタッチ情報)の発生を検出すると、ステップK9,K10(図10)間に、このルーピング指示フラグLp(n)をリセットし、ステップK13で減衰レートRを“R1”から値“R2”〔0<1/R2<1/R1<1〕に切り換えてキーオフベロシティを“R2×Voffにすることができる。これにより、キーオフイベント終了(第2キーオフタッチ情報)とほぼ同時に「消音」させることができる。つまり、「消音」という演奏者の意思が、システムによりよく伝えられるように構成することができる。
【0109】
従来からのキーオフの楽音制御の1つとして、キーオフベロシティ(キーオフタッチ)によってゲートタイム(楽音をどこまで持続させてやめるか)を決定するやり方がある。この場合、ゆっくり離鍵した時、指を鍵から離した後まで(キーオフ)楽音が持続することがある。従って、そうならないように、あまり長いゲートタイムの設定をしないように(できないように)電子楽器を構成している。この発明の実施例では、アコースティックピアノのように、離鍵とほぼ同時楽音を消音することができる。特に、キーオフ時のゲートタイムを長く設定しても、ゆっくり離鍵すれば、それなりのゲートタイムに、速く離鍵すれば、“即、消音”というように演奏者の意思に忠実な消音処理を行うことができる。
【0110】
なお、図1において、バス8には外部記憶装置を接続することができる。このような外部記憶装置としては、HDDの外に、コンパクトディスク・リード・オンリィ・メモリ(CD−ROM)、フロッピィディスク(FD)、光磁気(MO)ディスク、ディジタル多目的ディスク(DVD)等の可搬形高密度記憶媒体をもつ記憶メディアが備えられる。外部記憶装置は、各種制御プログラムや各種データを記憶することができる。従って、演奏データの処理に必要なプログラムや各種データは、ROM2を利用するだけでなく、外部記憶装置からRAM3内に読み込むことができる。
【0111】
なお、バス10にMIDIインターフェイス(I/F)等の通信インターフェイスを接続し、他のMIDI機器や情報サーバ等と相互に通信し、制御プログラムや各種データを外部記憶装置9にストアすることもできる。なお、この発明による電子楽器システムは、音源装置やサウンドシステムを1つの電子楽器本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別体の装置であり、MIDIや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するものであってもよい。
【0112】
また、この発明による電子楽器システムの形態は、鍵盤楽器に限らず、管楽器タイプの電子楽器にも応用することができる。これに応用すると、音高変化の微妙な音色変化を出すことができる。ただし、ストロークのあるスイッチ(押し始めから押し終りまでに距離があるもの)で構成された特殊音源キー(例えば、このキーによって、掻き鳴らすような楽器音を出すもの)には、有効かも知れない。つまり、「ストロークのあるキーによって掻き鳴らすような楽器音を出すスイッチ」に適用することができる。
【0113】
以上説明したように、この発明の実施例においては、図2に示されるような鍵盤装置を用い、質量体43で駆動される第2スイッチ(SW)48〔=第2センサ〕により押鍵情報を検出して押鍵状態でキーオン時の楽音波形を読み出し、鍵21W(21B)で駆動される第1スイッチ(SW)47〔=第1センサ〕により離鍵情報を検出して離鍵状態からキーオフ波形を読み出すようにしている。これにより、アコースティックピアノに極めて近似し、表現力が豊かで自然な発音/消音システムを実現することが可能となる。このことをアコースティックピアノと対比しながら具体的に説明すると、以下のとおりになる。
【0114】
一般に、アコースティックピアノでは、鍵→ハンマアクション機構→ハンマ→弦への打弦の順に力の伝達がなされる。このとき、弦止め機構としてダンパ機構が鍵動作に連動して作動する。押鍵を開始すると、ダンパフェルトが弦から離れ、離鍵終了直前にてダンパフェルトが弦に当接する。
【0115】
このようなピアノの発音/消音機構において、弦へのハンマ打接時の「力」のみが演奏表現力に反映し、その途中の鍵アクションの振舞いは演奏表現力にあまり関係しない。しかしながら、離鍵の態様又は離鍵直後の再発音によっては、微妙な表現が可能となり、ジャック頭部がハンマローラを突き上げ得るところ〔鍵位置に対応させると、僅かに離鍵した位置(図3の鍵位置B)〕まで戻れば、再発音可能なように構成されている。離鍵動作開始時において弦振動が大きければ大きいほど、ダンパフェルトは、離鍵の早い段階からその弦振動を少しだけ抑えるように働き、完全離鍵時にはその弦振動を完全に抑えて、楽音は消音する。すなわち、離鍵のテクニックによって、音色を微妙に変化させることも可能となっている。
【0116】
一方、この発明の実施例に立ち戻ると、移動可能距離を大きく設定した慣性体としての質量体43の慣性力情報が、質量体43によって駆動される2メイクスイッチ48の接点時間差に基づいた鍵速度として得られるようになっている。つまり、指から鍵21への押鍵力が鍵そのものの移動速度に対応しつつ、それが、質量体移動の最終過程における質量体速度として検出される。このことは、ピアノの打弦時のハンマから弦への力の加え方に近似している。
【0117】
また、離鍵情報としては、慣性体に比べて移動距離(スイッチ部の押離間距離)が短い鍵の離鍵動を検出するスイッチ47から得られるようになっているので、単位時間内のスイッチ変形速度が質量体で駆動するより緩やかになり、離鍵時の離鍵情報による制御が指の微妙な動きに忠実に反映できるので、楽音制御がよりリアルに再現可能となる。すなわち、上述したダンパフェルトが半分弦に当接している楽音に、鍵のどの位置から切り換えるかという制御等をしようとした場合にも、アコースティックピアノに対し違和感なく表現することができる。換言すれば、鍵21W(21B)のみにより又は質量体43のみにより駆動されるスイッチを用いて上述の表現を行おうとしても、違和感がある。
【0118】
また、実施例では、再発音するときだけは、大きい離鍵動作をせずに可能とする一方、完全消音するときには、大きい離鍵動作によることとした点も、アコースティックピアノの原理にかなっている。
【0119】
要するに、キーオフ波形を発生し始めるタイミングは、アコースティックピアノにならって、鍵による位置制御で決定するのがよいのである。つまり、ピアノプレイヤーは、鍵の完全離鍵位置を基準にして比較的浅いところの定位置になると、ダンパ効果が効き始めることを体得している。一方、発音又は再発音は、指が鍵に及ぼす力又はこれに相当するファクターを楽音の制御又は発生に反映させた方がよく、事実、アコースティックピアノはそうなっている。すなわち、鍵の初速が大きいつまり鍵への力が大きければよく、その後は、鍵に力を入れなくてもハンマや質量体にその力が加わって、ハンマが弦を駆動し質量体が第2センサを駆動する。
【0120】
この発明の実施例においては、鍵21の質量体駆動部WA及び力伝達部44が押鍵の途中で離接したとしても、鍵の初速が大きければ、第2センサ48がオンされる。アコースティックピアノにしても同様である。実施例では、第2センサ48がタッチレスポンススイッチになっていて、その力強さがタッチレスポンスに対応している。この実施例の再発音のメカニズムは、図3の第2センサ48の接点cより浅いところまで鍵21又は質量体43が変位すれば、再発音可能となる。従って、アコースティックピアノの再発音とは少しメカニズムを異にするものの、前回発音中による再発音を可能にしている点で、アコースティックピアノの再発音機能をも実現可能にしているということができる。
【0121】
【発明の効果】
この発明のうち、請求項1及び2に記載の構成によれば、楽音のキーオフ制御を2段階に制御するようにしたので、演奏者のキーオフ操作に忠実に反応すると共に、操作子から指を離すと、ほぼ同時にキーオフ用楽音を停止させることができる。
【0122】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、キーオフ用音源ソース(第2音源ソース)をキーオン用音源ソース(第1音源ソース)とは別に設け、これをキーオフ・タッチに応じて発生させるようにし、かつ、第2音源ソースの持続する音調を制御するようにしたので、キーオフしょうとする演奏楽音の音調を任意の意思に応じて制御できるようになり、特に長いキーオフ用楽音でも演奏者の演奏意思と同期して持続発生後消滅させることができる。
【0123】
また、請求項4に記載の発明によれば、鍵動作より大きい揺動が得られる質量体により鍵ストロークの後半で駆動される第2センサのオンイベント有りから、キーオン波形が読み出され、鍵ストロークの前半で駆動される第1センサのオフイベント有りから、キーオフ波形が読み出されるようにしているので、アコースティックピアノの発音/消音機構の機能に極めて近似し、表現力が豊かで自然な発音/消音システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施例による電子楽器のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例による鍵盤演奏操作装置及び押離鍵検出機構の構成例を示す断面概略図である。
【図3】図3は、この発明の一実施例における鍵スイッチの機能を説明するための図である。
【図4】図4は、この発明の一実施例における時間−ベロシティ変換テーブル例を示し、図4(1)は「Ton→Von変換」テーブルの一例であり、図4(2)は「Toff→Voff変換」テーブルの一例である。
【図5】図5は、この発明の一実施例におけるバッファ及びタイマ領域のフォーマット例1を示し、図5(1)はキーバッファのフォーマットを表わし、図5(2)はキーイベント種類データの詳細を表わす。
【図6】図6は、この発明の一実施例におけるバッファ及びタイマ領域のフォーマット例2を示し、図6(3)はスイッチフラグバッファのフォーマットを表わし、図6(4)はソフトウエアカウンタ領域のフォーマットを表わす。
【図7】図7は、この発明の一実施例におけるキーオフ波形の読出し及び制御を説明するための図である。
【図8】図8は、この発明の一実施例におけるメイン処理を表わすフローチャートである。
【図9】図9は、この発明の一実施例による押離鍵処理を表わすフローチャートの第1部(1/3)である。
【図10】図10は、この発明の一実施例による押離鍵処理を表わすフローチャートの第2部(2/3)である。
【図11】図11は、この発明の一実施例による押離鍵処理を表わすフローチャートの第3部(3/3)である。
【図12】図12は、この発明の一実施例によるタイマ割込み処理を表わすフローチャートの第1部(1/4)である。
【図13】図13は、この発明の一実施例によるタイマ割込み処理を表わすフローチャートの第2部(2/4)である。
【図14】図14は、この発明の一実施例によるタイマ割込み処理を表わすフローチャートの第3部(3/4)である。
【図15】図15は、この発明の一実施例によるタイマ割込み処理を表わすフローチャートの第4部(4/4)である。
【図16】図16は、この発明の一実施例による音源処理(発音/消音処理)を表わすフローチャートの一部(1/2)である。
【図17】図17は、この発明の一実施例による音源処理(発音/消音処理)を表わすフローチャートの他部(2/2)である。
【図18】図18は、この発明の一実施例による振幅制限を用いてダンプする方法を表わす図である。
【図19】図19は、この発明の一実施例によるダンプ処理を表わすフローチャートである。
【図20】図20は、この発明の一実施例によるコンプレッサを用いてダンプする方法を表わす図である。
【符号の説明】
21 白鍵21W及び黒鍵21Bから成る鍵〔操作子〕、
41 質量体支持部〔支持部〕、
43 質量体、
47 第1スイッチ(SW)〔タッチ情報発生手段、楽音指示手段、第1センサ〕、
48 第2スイッチ(SW)〔タッチ情報発生手段、楽音指示手段、第2センサ〕、
70 波形ROM〔楽音波形記憶手段〕、
701 第1音源ソース〔第1楽音波形メモリ〕、
702 第2音源ソース〔第2楽音波形メモリ〕、
Afs キーオフ波形メモリリターンアドレス、
Afe キーオフ波形メモリエンドアドレス、
t1 発音開始時点、
t2 消音(キーオフ音)開始時点、
t22 クロスフェード終了時点。
t3 急速消音開始時点、
t4 消音終了(オールオフ)時点。

Claims (4)

  1. 演奏操作するための操作子と、
    この操作子のタッチを検出しタッチ情報を発生するタッチ情報発生手段と、
    発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御する楽音発生制御手段と
    を備えた電子楽器であって、
    前記タッチ情報発生手段は、第1及び第2キーオフタッチ情報を発生するキーオフ情報発生手段を含み、
    前記楽音発生制御手段は、第1キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ制御情報の発生を開始し、これによってキーオフ楽音を発生させ、第2キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ楽音を速やかに停止させる
    ことを特徴とする電子楽器。
  2. 演奏操作するための操作子と、
    この操作子のタッチを検出しタッチ情報を発生するタッチ情報発生手段と、
    発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御する楽音発生制御手段と
    を備えた電子楽器であって、
    前記タッチ情報発生手段は、第1及び第2キーオフタッチ情報を発生するキーオフ情報発生手段を含み、
    前記楽音発生制御手段は、楽音波形を記憶した楽音波形記憶手段と、これを読み出す読出し手段とを備え、第1キーオフタッチ情報に応じてキーオフ制御情報の発生を開始し、これによって、楽音波形記憶手段からの楽音波形に基づくキーオフ楽音を発生させ、第2キーオフタッチ情報の発生に応じてキーオフ楽音を速やかに停止させる
    ようにしたことを特徴とする電子楽器
  3. 演奏操作するための操作子と、
    この操作子のタッチを検出しタッチ情報を発生するタッチ情報発生手段と、
    発生されたタッチ情報に基づいて楽音の発生を制御する楽音発生制御手段と
    を備えた電子楽器であって、
    前記タッチ情報発生手段は、キーオン情報とキーオフタッチ情報とを発生するキー情報発生手段を備え、
    前記楽音発生制御手段は、第1及び第2音源ソースを備え、キーオン情報によって第1音源ソースに基づく楽音の発生を制御し、キーオフタッチ情報によって第2音源ソースに基づく楽音の発生を制御し、キーオフタッチ情報に応じて、第2音源ソースに基づき発生される楽音の音長を制御する
    ようにしたことを特徴とする電子楽器。
  4. 演奏操作される鍵と、
    この鍵の演奏操作に連動して鍵動作より大きく揺動駆動される質量体と、
    前記鍵及び該鍵に対応する質量体を揺動自在に支持する支持部と、
    前記鍵の演奏操作に応じて楽音の発音と消音とを指示する楽音指示手段と、
    前記鍵の演奏操作に応じて発生される楽音発生手段と
    を備えた電子楽器において、
    前記楽音発生手段は、第1及び第2楽音波形メモリとそれらの読出し手段とからなり、
    前記楽音指示手段は、前記鍵の演奏操作に応じて前記鍵の鍵ストローク前半途中でイベントを発生させる第1センサと、前記質量体の揺動に応じて前記鍵ストロークの後半途中でイベントを発生させる第2センサとを含んでなり、
    前記第2センサのイベント検出により前記第1楽音波形メモリから該メモリに対応する読出し手段によってキーオン楽音波形を読み出すことで、キーオン楽音を発生するようにし、
    前記第1センサのイベント検出により前記第2楽音波形メモリから該メモリに対応する読み出し手段によってキーオフ楽音波形を読み出すことで、キーオフ楽音を発生するようにした
    ことを特徴とする電子楽器。
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