JP3586835B2 - 既築の建造物への免震装置の設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、既設の建造物への免震装置の設置方法、特に、既設の建造物の既設の鉄筋コンクリート造(この「鉄筋コンクリート造」をこの明細書では「RC」という)杭が大径である場合における免震装置の設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既設の建造物に形成された免震装置設置用の隙間に免震装置を配置する従来の方法には、例えば、次の(1)〜(3)のようなものがある。
(1)既設建造物の躯体下部の直下の地盤を根切して地下空間を形成し、土中に埋設されている支持杭の杭頭部のみを露出させ、杭頭部の下部外周に耐圧盤を一体に形成し、耐圧盤の上面と躯体下部との間にジャッキを設置し、支持杭が負担している既設建造物の垂直荷重をジャッキが受け持ち得るようにし、耐圧盤の上面から躯体下部まで延在している柱頭部の先端部を解体除去して免震装置設置用の隙間を形成し、該隙間に免震装置を設置して、ジャッキによる既設建造物の支持を解除して、既設建造物の垂直荷重を免震装置を介して支持杭に導入する免震装置の設置方法(特開平9−170338号公報参照)。
(2)既設の建造物の柱の外周部を所定範囲だけ取り除き、柱の中心部を残存させて段設部を形成し、該段設部の下部位置に下部台座を固設し、複数個に分割された積層ゴム式免震装置を下部台座の上に設置して、前記段設部に残存する柱の中心部を免震装置で囲繞し、この免震装置の上に上部台座を固設して前記段設部の上部位置に接続し、更に、前記段設部の柱の中心部を取り除く免震装置の設置方法(特開平10−176426号公報参照)。
(3)既設の建造物の既設柱の外周部に鋼板巻きによる柱補強を行ったのち、既設柱頭部の応力を前記鋼板に伝達し、その伝達応力の既設柱脚部への伝達を可能にし、当該既設柱における免震装置の取付箇所を切除して取除き、この取除いた部分に免震装置を挿入して取付け、ジャッキなどを使用せずに既設の建造物を免震化する既設の建造物の免震工法(特願平7−286442号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の前記(1)の免震装置の設置方法によると、支持杭の直径が大きい場合にはジャッキとジャッキの間の間隔が大きくなり、荷重の支持点が杭の中心から遠く離れるから、躯体下部の基礎梁等を補強する必要が生じたり、躯体下部に有害な変形を生ぜしめる危険があったりして、多くの問題が生ずる。
従来の前記(2)の免震装置の設置方法では、残存させた柱の中心部を使うことで、既設の建造物の垂直荷重の支持が容易になる長所があっても、積層ゴム式免震装置を複数個に分割する必要があり、積層ゴム式免震装置の製作及び組み立てに多くの工数を要し、また、免震装置の設置後における残存させた柱の中心部の取り除きにも多くの工数を要する欠点がある。
前記(3)の既設の建造物の免震工法は、既設柱の免震装置の取付箇所を切除して取除く前に、既設柱の外周部に鋼板巻きによる柱補強を行なう必要があり、鋼板巻きによる柱補強に多くの工数を要する欠点がある。
この発明の解決しようとする課題は、従来技術の上記のような欠点を有しない既設の建造物への免震装置の設置方法を提供すること、換言すると、免震補強工事の際の杭の施工部に作用する荷重を仮支えするための費用を不要又は最少にすることができ、免震装置の杭の所定位置への設置が容易で、免震装置を既設の杭に強固に固着できる既設の建造物への免震装置の設置方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の免震装置の設置方法は、地中に設けられた多数のRC造の大径の杭にて地下の基礎体が支持され、地下の基礎体上に地上階又は地下階及び地上階が複数階にわたって建造されている既存の建造物への免震装置の設置方法において、前記基礎体の下側の地盤を掘削して、基礎体の下側に空所を形成し、該空所の下側にRC造の耐圧盤を各杭と一体的に新設して、新設の耐圧盤と基礎体との間に人が移動できる程度の高さの空間を形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る連結部を切り残し、前記開口内に前記免震装置を挿入し、前記免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した連結部を適宜の手段で除去することを特徴とするものである。
【0005】
地下の基礎体を支持する杭の直径が少々小さい場合には、免震装置設置用の開口内に2基の免震装置を挿入し、これらの免震装置を前記開口の貫通方向に直列に配置し、各免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着するようにする。このようにすると、免震装置として小型(小径)のものを用いることになり、複数基の免震装置を挿入するための開口の幅を小さくすることができる。開口の幅を小さくすることにより、杭の前記開口の左側及び右側に切り残す連結部を大きくすることができる。
【0006】
この発明の好ましい形態においては、基礎体の下側の地盤を掘削して、基礎体の下側に空所を形成し、該空所の下側にRC造の耐圧盤を各杭と一体的に新設して、新設の耐圧盤と基礎体との間に人が移動できる程度の高さの空間を形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る連結部を切り残し、杭の前記開口の下側部及び上側部に多数のアンカー機能のある鋼材片が間隔をおいて突設され、かつ前記免震装置の下側及び上側の取付板の下側及び上側に多数のアンカー機能のある袋ナットが固着されている下側プレート及び上側プレートを配し、各取付板のボルト孔、各プレートのボルト孔にそれぞれボルトを差し込み、各ボルトを各プレートに固着した袋ナットにねじ込んで、前記免震装置の取付板にプレートを固着してなるプレート付の免震装置が前記開口内の所定位置に配置されかつ前記袋ナットや鋼材片の配設域の周囲等にループ状の補強鉄筋が配された状態にして、前記袋ナットや鋼材片の配設域の周囲等にループ状の補強鉄筋を配し、杭の前記開口の下側部と下側ブレートとの間の前記袋ナット、鋼材片、補強鉄筋等の配設域の周囲に型枠を配置し、かつ杭の前記開口の上側部と上側プレートとの間の前記袋ナット、鋼材片等の配設域の周囲に型枠を配置し、各型枠内にモルタル又はコンクリートを充填し、前記モルタル又はコンクリートの硬化後に各型枠を脱型し、下側プレート及び免震装置の下側の取付板を杭の前記開口の下側部に固着し、上側プレート及び免震装置の上側の取付板を杭の前記開口の上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した連結部を適宜の手段で除去するようにする。
【0007】
杭の太さ又は強さが充分でなく、杭を補強しておく必要がある場合には、杭への免震装置設置用の開口の形成に先行して、杭の前記開口を形成する部分の左側及び右側の耐圧盤と基礎体との間の部分の杭の外側に、RC造の補強部を杭と一体に形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る前記補強部を含む杭部分からなる連結部を切り残し、前記開口内に前記免震装置を挿入し、免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した前記補強部を含む連結部を適宜の手段で除去するようにする。
【0008】
この発明の好ましい形態においては、基礎体の下側の空間に露出した杭の中間の所定の4か所に互いに平行で水平な方向の貫通孔をドリルを使って穿設し、各貫通孔の中心軸線を縦断面が矩形の免震装置設置用の開口の角部に位置させるようにし、杭の左上の貫通孔と左下の貫通孔の間及び右上の貫通孔と右下の貫通孔の間の部分を、略鉛直な面になるように、ワイヤーソーを使って鉛直に切断し、かつ杭の左下の貫通孔と右下の貫通孔の間及び杭の左上の貫通孔と右上の貫通孔の間の部分を、略水平な面になるように、ワイヤーソーを使って水平に切断し、切断した面などからなる短い角柱状体を取り出して、杭に縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口を形成する。
【0009】
免震装置設置用の開口の下側部又は上側部に植設するアンカー機能のある鋼材片としては、頭付き鉄筋、頭付きスタッド、所定さ長さ(高さ)の鉄筋(異形棒鋼)を用いる。
下側及び上側プレートに固着する袋ナットとしては、アンカー機能のある袋ナットを使う。アンカー機能のある袋ナットとしては、先に短い頭付き鉄筋を固着した袋ナット、外周面に凹凸部を設けた袋ナット等を用いる。
下側プレート又は上側プレートとして、その直径が杭に形成される免震装置設置用の開口の下側部又は上側部の幅と略同じか又は前記下側部又は上側部の幅よりも小さいプレートを使う。
【0010】
【実施例】
実施例は、図1〜図15に示され、既存の建造物のRC造の杭に免震装置を設置する場合に本発明の設置方法を適用した例である。
既設の建造物3は、例えば、図15に示すように、地下が1階で地上が11階に建築され、その建造物3の地下躯体の基礎体2は、RC造の基礎梁等にて構成されて、多数のRC造の大径の杭1にて地中に支持されている。各杭1の上端部と基礎体2とは一体的に結合され、杭1の天端に対応する基礎体2の部分に建造物3の地下階の柱3aが建てられ、その下端部が基礎体2に結合されている。
図1及び図14に示すように、基礎体2の周囲に山止壁7を形成して、基礎体2の下側の地盤を掘削し、基礎体の下側に空所を形成する。各杭1の周囲を人が歩行できる程度の高さの空間4を基礎体2の下側に形成する。その空間4の下側は新設したRC造の耐圧盤5で構成されている。耐圧盤5を設ける杭1の周囲部には間隔をおいて多数の頭付き鉄筋1Sd1(アンカー機能のある鋼材片)が植設されていて、杭1と耐圧盤5とが一体化されている。
【0011】
先ず、前記空間に露出した杭1の中間の所定の位置に4個の互いに平行で水平方向の貫通孔1a1〜1a4をドリルを使って穿設する。各貫通孔1a1〜1a4の中心軸線を縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口Aの角部に位置させるようにして、各貫通孔1a1〜1a4をワイヤーソーの案内孔として使用できるように構成する。それから、杭1の貫通孔1a1と貫通孔1a2の間及び貫通孔1a3と貫通孔1a4の間の部分を、略鉛直な面になるように、ワイヤーソーを使って鉛直に切断する。また、杭1の貫通孔1a2と貫通孔1a4の間及び貫通孔1a1と貫通孔1a3の間の部分を、略水平な面になるように、ワイヤーソーを使って水平に切断する。そして、四つの切断面(切断した略鉛直及び略水平な面)などからなる短い角柱状体を取り出すと、杭1の中間に縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口Aが形成される。
杭1の前記開口Aの下側部1Aの上面1A1は略水平な面になり、杭1の開口Aの上側部1Bの下面1B1も略水平な面になる。
免震装置設置用の開口Aは、図4〜図9及び図11〜図13に示されているように、その幅が後記免震装置10の取付板12,13や下側及び上側のプレート14,15の直径よりも大きく、その高さが後記のプレート14,15付の免震装置10の上下方向の寸法よりも大きく形成され、免震装置を一体の状態で挿入し得るようになっている。
【0012】
杭1の免震装置設置用の開口Aの下側部1Aに、頭付き鉄筋1Sd2の基部を挿入する孔1hを、下側部1Aの上面1A1に対して略直角に間隔をおいて多数箇穿設する。各孔1hに頭付き鉄筋1Sd2の基部を挿入し、鉄筋1Sd2の基部の外周面と孔1hの内周面との間に接着剤、結合材等を充填して、多数の頭付き鉄筋1Sd2を植設する。同様に、杭1中の免震装置設置用の開口Aの上側部1Bに、頭付き鉄筋1Sd3の基部を挿入する孔1hを、上側部1Bの下面1B1に対して略直角に間隔をおいて多数箇穿設し、各孔1hに頭付き鉄筋1Sd3の基部を挿入し、鉄筋1Sd3の基部の外周面と孔1hの内周面との間に接着剤、結合材等を充填して、多数の頭付き鉄筋1Sd3を植設する。そして、図3に示す状態にする。
なお、頭付き鉄筋1Sd2,1Sd3(アンカー機能のある鋼材片)の植設(突設)は、開口Aへの免震装置10の挿入前でも挿入後でもよい。
【0013】
免震装置10は、図4に示すように、成の低い円柱形の積層ゴム11とその下側及び上側に結合した積層ゴム11の直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板12,13とで構成されている。各取付板12,13の積層ゴム11から鍔状に突出した周囲部の積層ゴム11の軸心を中心とする円上に間隔をおいて多数のボルト孔12a,13aが穿設されている。
免震装置10の下側及び上側の取付板12,13を杭1の開口Aの下側部1A及び上側部1Bに取付けるのに使う鋼板製の円形の下側プレート14及び上側プレート15の周囲部には、その下側又は上側の前記取付板12,13の各ボルト孔12a,13aに対応する位置に袋ナット14a,15aが固着され、各袋ナット14a,15aの螺子孔に対応する下側プレート14及び上側プレート15の各位置に各袋ナット14a,15aの螺子孔に通じるボルト孔が穿設されている。なお、各袋ナット14a,15aの先には、図4に示すように、頭付き鉄棒14cが固着されている。
【0014】
杭1に形成した免震装置設置用の開口Aへの免震装置10の設置の仕方としては、例えば、次の(a)〜(c)のやり方がある。
(a)杭1の下側部1A及び上側部1Bに多数の頭付き鉄筋1Sd2,1Sd3を植設する。免震装置10の下側及び上側の取付板12,13の下側及び上側に下側プレート14及び上側プレート15を配し、取付板12,13のボルト孔12a,13a、プレート14,15のボルト孔にそれぞれボルトbを差し込み、各ボルトbをプレート14,15に固着した袋ナット14a,15aにねじ込んで、免震装置10の取付板12,13にプレート14,15を固着してなるプレート14,15付の免震装置10を、杭1の下側部1A及び上側部1Bに多数の頭付き鉄筋1Sd2,1Sd3が植設された免震装置設置用の開口Aに挿入して、所定の位置に配置する。
(b)頭付き鉄筋1Sd2の基部を押入する孔1hを、下側部1Aの上面1A1に対して略直角に間隔をおいて多数箇穿設しておき、前記プレート14,15付の免震装置10の免震装置設置用の開口Aへの挿入時に邪魔にならない頭付き鉄筋3Sd2,3Sd3のみを植設する。前記プレート14,15付の免震装置10を、免震装置設置用の開口Aに挿入して、所定の位置に配置してから、杭1の下側部1A及び上側部1Bにその他の多数の頭付き鉄筋1Sd2,1Sd3を植設する。
(c)杭1の下側部1A及び上側部1Bに多数の頭付き鉄筋3Sd2,3Sd3を植設する。それから、袋ナット14a,15a付の下側及び上側のプレート14,15を免震装置設置用の開口A内に挿入し、プレート14,15のいずれか一方を所定位置に設置してから、プレート14,15間にあけた隙間に免震装置10を挿入して、免震装置10の下側及び上側の取付板12,13のボルト孔12a,13a、プレート14,15のボルト孔にそれぞれボルトbを差し込み、各ボルトbをプレート14,15に固着した袋ナット14a,15aにねじ込んで、免震装置10の取付板12,13にプレート14,15を固着して、免震装置10を所定位置に配置して移動しないようにする。
【0015】
図5に示すように、免震装置10の下側の下側プレート14の袋ナット14aの配設域及び杭1の下側部1Aの頭付き鉄筋1Sd2の配設域の周囲に2段又は2段以上に亘って1重又は2重にループ状の補強鉄筋1Lpを配筋し、また、免震装置10の上側の上側プレート15の袋ナット15aの配設域及び杭1の上側部1Bの頭付き鉄筋1Sd3の配設域の周囲に2段又は2段以上に亘って1重又は2重にループ状の補強鉄筋1Lpを配筋する。
図6に示すように、免震装置10の下側の袋ナット14a、頭付き鉄筋1Sd2、補強鉄筋1Lpの配設域の周囲に円筒形の型枠18を配置し、免震装置10の上側の袋ナット15a、頭付き鉄筋1Sd3、補強鉄筋1Lpの配設域の周囲にも円筒形の型枠18を配置する。各型枠18には圧入管18aと空気抜き管18bが設けられている。
各型枠18内に圧入管18aから高流動性の膨張性モルタル又はコンクリートを圧入し、圧入したモルタル又はコンクリートが硬化したら、各型枠18を脱型して、図7及び図8に示す状態にする。膨張性モルタル又はコンクリートの設計強度の発現により、杭1と免震装置10とが完全に一体化される。
建造物1を下部の全ての杭1について、免震装置10の設置が完了した後に、各杭1の免震手段設置用の開口Aの左側の連結部(切り残し部)1C及び右側の連結部(切り残し部)1Dを切断し又は破壊して除去して、図10に示す状態にする。連結部(切り残し部)1C,1Dは、例えば、切断面が杭1の下側部1Aの上面1A1及び杭1の上側部1Bの下面1B1と面一になるように、ワイヤーソーを使って水平に切断して除去する。
各杭1の連結部1C,1Dを切断除去すると、建造物1が免震性を備えた建造物に生まれかわる。この既存の建造物に免震性を付与する作業は、その建造物を普通に使いながら行うことができる。
【0016】
杭1の直径が少々小さい場合には、図9に示すように、免震装置設置用の開口A内に2基の少々小径の免震装置10Aを開口の貫通方向に隣接して直列に設置するようにする。このようにすると、2基の免震装置10Aを挿入するための開口Aの幅を小さくすることができる。開口の幅を小さくすることにより、杭の前記開口の左側及び右側に残す連結部(切り残し部)1C,1Dを大きくすることができる。
免震装置10Aの設置の仕方は前記の開口Aに1基の免震装置10を設置する場合と同様である。
また、杭1の直径が充分に大きくない場合でも、図11及び図12に示すように、基礎体2と耐圧盤5との間の杭1の部分を補強すれば、上述の免震装置10の設置方法は採用することができる。この場合には、杭1への免震装置設置用の開口Aの形成に先行して、開口Aとなる部分の左側及び右側の連結部(切り残し部)1C,1Dの外側に、RC造の補強部1E,1Fを、例えば、基礎体2と耐圧盤5との間に延在させて、杭1の両側の部分と一体に形成する。
【0017】
各杭1の免震装置設置用の開口Aの左側及び右側の連結部(切り残し部)1C,1Dを切断し又は破壊して除去しても、免震装置20の免震能が発揮されないようにするには、図13に示すように、免震装置10の下側の取付板12の積層ゴム11から鍔状に突出した周囲部の上側の4箇所に、鋼製のL形の短い規制片16Aをそれぞれ配し、各規制片16AのL形の一方の水平部に穿ったボルト孔、下側の取付板12のボルト孔及び下側プレート14のボルト孔に通したボルトbを、下側プレート14の袋ナット14aの螺子孔にねじ込んで、各規制片16Aを取付板12及び下側プレート14に固着し、免震装置10の周囲部の上側の取付板13の積層ゴム21から鍔状に突出した周囲部の下側の4箇所に、前記規制片16Aと同じ規制片16Bをそれぞれ配し、各規制片16BのL形の一方の水平部に穿ったボルト孔、上側の取付板13のボルト孔及び上側プレート15のボルト孔に通したボルトbを、上側プレート15の袋ナット15aの螺子孔にねじ込んで、各規制片16Bを取付板13及び上側プレート15に固着し、取付板12及び下側プレート14に固定した各規制片16AのL形の他方の鉛直部に穿ったボルト孔と取付板13及び上側プレート15に固定した各規制片16BのL形の他方の鉛直部に穿ったボルト孔とにそれぞれボルトbを通し、それらのボルトbにナットnをねじ込んで、下側の各規制片16Aと上側の各規制片16Bとを着脱可能に結合した状態にし、免震装置10の積層ゴム11が変形できないように規制して、補強鉄筋1Lpの配筋、型枠18の設置、モルタル又はコンクリートの圧入等の作業を行うようにすると、それらの作業中に下側プレート、免震装置及び上側プレートの所定の位置関係が乱れることがない。また、前記状態においては、各規制片16A,16Bにて免震装置10の積層ゴム21の変形が阻止されているので、杭の連結部(切り残し部)1C,1Dを除去しても、免震装置10の免震能は発揮されない。ボルト・ナットb・nによる下側の各規制片16Aと上側の各規制片16Bとの結合を解除したり、規制片16A,16Bを除去したりすると、免震装置10の免震能が発揮される。
【0018】
既存の建造物3の免震化工事を完了させる前に、図14に示すように、建造物3の地下躯体の周囲にRC造の擁壁6を建造し、擁壁6の下部と耐圧盤5の周囲部とを一体的に結合する。また、擁壁6の上端部の一部に建造物3側に鍔状に突出する突出部6aを形成し、該突出部6aに対応する建造物3の周囲部に擁壁6側に鍔状に突出する突出板部3bを形成し、突出部6aの上側に小間隔をおいて突出板部3bが位置するようにする。
上記のようにしておくと、既存の建造物3の免震化工事の完了後の地震時に、建造物3とその周囲の敷地にある擁壁6との間に相対的な変位が生じた場合にも、突出板部3b上を通って、建造物3から外に出たり、外から建造物3の中へ入ったりすることが危険なくできる。
【0019】
【発明の効果】
この発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成を備えることにより、次の(イ)〜(ホ)の効果を奏する。
(イ)請求項1の免震装置の設置方法は、地中に設けられた多数のRC造の大径の杭にて地下の基礎体が支持され、地下の基礎体上に地上階又は地下階及び地上階が複数階にわたって建造されている既存の建造物への免震装置の設置方法において、前記基礎体の下側の地盤を掘削して、基礎体の下側に空所を形成し、該空所の下側にRC造の耐圧盤を各杭と一体的に新設して、新設の耐圧盤と基礎体との間に人が移動できる程度の高さの空間を形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る連結部を切り残し、前記開口内に前記免震装置を挿入し、前記免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した連結部を適宜の手段で除去するため、次の(1)及び(2)の効果を奏する。
(1)基礎体の下側の空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る連結部を切り残すから、免震補強工事の際の杭の施工部に作用する荷重を仮支えするたの手段(例えば、支柱、ジャッキ、架台等が)が全く不要になり、免震補強工事費の中で大きな金額を占める前記仮支えするための資材費及びそのための人件費が全く必要でなく、既設の杭への免震装置の設置を最小の費用で行なうことができる。
(2)免震装置設置用の開口内に成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を一体の状態で挿入し、前記免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着した後、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した連結部を適宜の手段で除去するため、安全かつ容易に連結部(切り残し部)を除去することができ、免震装置の杭の所定位置への設置が容易である。
【0020】
(ロ)請求項2の免震装置の設置方法は、上記(1)及び(2)の効果と同様の効果を奏し得るだけでなく、次の(3)の効果を奏する。
(3)杭の免震装置設置用の開口内に2基の免震装置を挿入し、これらの免震装置を前記開口の貫通方向に直列に配置し、各免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着するようにするから、免震装置として小型(小径)のものを用いることで、それらを挿入するための開口の幅を小さくすることができ、開口の幅を小さくすることで、杭の前記開口の左側及び右側に杭の開口の上方に作用する荷重を杭の前記開口の下方に伝達し得るようにするために切り残す連結部を大きくすることができるから、比較的小径の杭にも本発明により免震装置を設置することができる。
【0021】
(ハ)請求項3の免震装置の設置方法は、上記(1)及び(2)の効果と同様の効果を奏し得るだけでなく、次の(4)の効果を奏する。
(4)杭の免震装置設置用の開口の下側部及び上側部に多数のアンカー機能のある鋼材片が間隔をおいて突設され、かつ免震装置の下側及び上側の取付板の下側及び上側に多数のアンカー機能のある袋ナットが固着されている下側プレート及び上側プレートを配し、各取付板のボルト孔、各プレートのボルト孔にそれぞれボルトを差し込み、各ボルトを各プレートに固着した袋ナットにねじ込んで、免震装置の取付板にプレートを固着してなるプレート付の免震装置が前記開口内の所定位置に配置されかつ前記袋ナットや鋼材片の配設域の周囲等にループ状の補強鉄筋が配された状態にして、杭の前記開口の下側部と下側プレートとの間の前記袋ナット、鋼材片、補強鉄筋等の配設域の周囲に型枠を配置し、かつ杭の前記開口の上側部と上側プレートとの間の前記袋ナット、鋼材片、補強鉄筋等の配設域の周囲に型枠を配置し、各型枠内にモルタル又はコンクリートを充填し、前記モルタル又はコンクリートの硬化後に各型枠を脱型し、下側プレート及び免震装置の下側の取付板を杭の前記開口の下側部に固着し、上側プレート及び免震装置の上側の取付板を杭の前記開口の上側部に固着するから、免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着するモルタル又はコンクリートからなる層を高強度のものにすることができ、免震装置を杭の前記開口の下側部及び上側部に強固に固着することができる。
【0022】
(ニ)請求項4の免震装置の設置方法は、次の(5)及び(6)の効果を奏する。
(5)RC造の杭への免震手段設置用の開口の形成に先行して、杭の開口を形成する部分の左側及び右側の耐圧盤と基礎体との間の部分の杭の外側に、RC造の補強部を杭と一体に形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、基礎体の下側の空間に露出した前記杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、前記補強部を含む杭部分からなる連結部を切り残すから、太さ又は強度が充分でない杭にも、免震装置設置用の開口を連結部を残して形成することができ、免震補強工事の際の杭の施工部に作用する荷重を仮支えするための手段の一部となるRC造の補強部を僅かな資材費及び人件費でつくることができる。
(6)杭に形成した免震装置設置用の開口内に前記免震装置を挿入し、前記免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の前記補強部を含む連結部(切り残し部)を適宜の手段で除去するから、RC造の補強部を含む連結部を安全かつ容易に除去することができ、免震装置の既設の杭の所定位置への設置が容易である。
【0023】
(ホ)請求項5の免震装置の設置方法は、上記(1)〜(6)の効果と同様の効果を奏し得るだけでなく、次の(7)の効果を奏する。
(7)基礎体の下側の空間に露出したRC造の杭の中間の所定の4か所に互いに平行で水平な方向の貫通孔をドリルを使って穿設し、各貫通孔の中心軸線を縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口の角部に位置させるようにし、杭の左上の貫通孔と左下の貫通孔の間及び右上の貫通孔と右下の貫通孔の間の部分を、略鉛直な面になるように、ワイヤーソーを使って鉛直に切断し、かつ杭の左下の貫通孔と右下の貫通孔の間及び杭の左上の貫通孔と右上の貫通孔の間の部分を、略水平な面になるように、ワイヤーソーを使って水平に切断し、切断した面などからなる短い角柱状体を取り出して、杭に縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口を形成するから、その下側の下側部の上面が略水平な面であり、その上側の上側部の下面が略水平な面である縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口を容易に形成することができる。また、RC造の杭をワイヤーソーを使って切断することで、切断時の騒音及び振動を低く抑えることができ、既存の建造物を普通に使用しながら免震補強工事を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の免震装置の設置方法の実施例の案内用の貫通孔の穿設された杭等を示す既設の建造物の下部の正面図
【図2】図1に示す杭の貫通孔のある部分を図1のA−A線で断面した平面図
【図3】実施例の免震装置設置用の開口の下側部及び上側部に頭付き鉄筋を植設した杭の正面図
【図4】実施例の免震装置設置用の開口に免震装置等を挿入した杭の正面図
【図5】実施例の免震装置設置用の開口内の袋ナット及び頭付き鉄筋の配設域等の周囲への補強鉄筋の配筋状態を示す正面図
【図6】実施例の免震装置設置用の開口内の袋ナット、頭付き鉄筋、補強鉄筋の配設域の周囲に型枠を配置した杭の正面図
【図7】実施例の免震装置設置用の開口の下側部及び上側部に免震装置を固着した杭の正面図
【図8】図7に示す杭の免震装置の設置部を図7のB−B線で断面した平面図
【図9】実施例の杭の免震装置設置用の開口に2基の免震装置を設置した場合の設置部を図7のB−B線と同様の線にて断面した平面図
【図10】実施例の杭の免震装置設置用の開口に免震装置を設置し、前記開口の左側の支持部及び右側の支持部を除去した状態の正面図
【図11】直径が少々小さい杭の基礎体と耐圧盤との間の部分を補強する場合の杭の補強部等を示す正面図
【図12】図11に示す杭を図11のC−C線で断面した平面図
【図13】実施例の下側プレート、免震装置の下側の取付板、上側の取付板及び上側プレートを規制片を介して連結した免震装置等を免震装置設置用の開口に挿入した状態の杭の正面図
【図14】この発明により免震化した建造物の正面図
【図15】この発明により免震化する既設の建造物の正面図
【符号の説明】
1 建造物
1a1〜1a4 貫通孔
1A 下側部
1A 1 上面
1B 上側部
1B 1 下面
1C,1D連結部(支持部)
1E,1F 補強部
1Sd1〜3Sd3 頭付き鉄筋(アンカー筋)
1Lp 補強鉄筋
2 基礎体
3 建造物
3a 地下階の柱
3b 突出板部
4 空間
5 耐圧盤
6 擁壁
6a 突出部
7 山止壁
10 免震装置
11 積層ゴム
12,13 取付板
12a,13a ボルト孔
14 下側プレート
15 上側プレート
14a,15a 袋ナット
14c 頭付き鉄棒
16A,16B 規制片
18 鋼製型枠
18a 圧入管
A 免震装置設置用の開口
b ボルト
n ナット
Claims (5)
- 地中に設けられた多数のRC造の大径の杭にて地下の基礎体が支持され、地下の基礎体上に地上階又は地下階及び地上階が複数階にわたって建造されている既存の建造物への免震装置の設置方法において、前記基礎体の下側の地盤を掘削して、基礎体の下側に空所を形成し、該空所の下側にRC造の耐圧盤を各杭と一体的に新設して、新設の耐圧盤と基礎体との間に人が移動できる程度の高さの空間を形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る連結部を切り残し、前記開口内に前記免震装置を挿入し、前記免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した連結部を適宜の手段で除去することを特徴とする免震装置の設置方法。
- 地中に設けられた多数のRC造の大径の杭にて地下の基礎体が支持され、地下の基礎体上に地上階又は地下階及び地上階が複数階にわたって建造されている既存の建造物への免震装置の設置方法において、前記基礎体の下側の地盤を掘削して、基礎体の下側に空所を形成し、該空所の下側にRC造の耐圧盤を各杭と一体的に新設して、新設の耐圧盤と基礎体との間に人が移動できる程度の高さの空間を形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る連結部を切り残し、前記開口内に2基の前記免震装置を挿入し、これらの免震装置を前記開口の貫通方向に直列に配置し、各免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した連結部を適宜の手段で除去することを特徴とする免震装置の設置方法。
- 地中に設けられた多数のRC造の大径の杭にて地下の基礎体が支持され、地下の基礎体上に地上階又は地下階及び地上階が複数階にわたって建造されている既存の建造物への免震装置の設置方法において、前記基礎体の下側の地盤を掘削して、基礎体の下側に空所を形成し、該空所の下側にRC造の耐圧盤を各杭と一体的に新設して、新設の耐圧盤と基礎体との間に人が移動できる程度の高さの空間を形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る連結部を切り残し、杭の前記開口の下側部及び上側部に多数のアンカー機能のある鋼材片が間隔をおいて突設され、かつ前記免震装置の下側及び上側の取付板の下側及び上側に多数のアンカー機能のある袋ナットが固着されている下側プレート及び上側プレートを配し、各取付板のボルト孔、各プレートのボルト孔にそれぞれボルトを差し込み、各ボルトを各プレートに固着した袋ナットにねじ込んで、前記免震装置の取付板にプレートを固着してなるプレート付の免震装置が前記開口内の所定位置に配置されかつ前記袋ナットや鋼材片の配設域の周囲等にループ状の補強鉄筋が配された状態にして、杭の前記開口の下側部と下側プレートとの間の前記袋ナット、鋼材片、補強鉄筋等の配設域の周囲に型枠を配置し、かつ杭の前記開口の上側部と上側プレートとの間の前記袋ナット、鋼材片、補強鉄筋等の配設域の周囲に型枠を配置し、各型枠内にモルタル又はコンクリートを充填し、前記モルタル又はコンクリートの硬化後に各型枠を脱型し、下側プレート及び前記免震装置の下側の取付板を杭の前記開口の下側部に固着し、上側プレート及び前記免震装置の上側の取付板を杭の前記 開口の上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した連結部を適宜の手段で除去することを特徴とする免震装置の設置方法。
- 地中に設けられた多数のRC造の大径の杭にて地下の基礎体が支持され、地下の基礎体上に地上階又は地下階及び地上階が複数階にわたって建造されている既存の建造物への免震装置の設置方法において、前記基礎体の下側の地盤を掘削して、基礎体の下側に空所を形成し、該空所の下側にRC造の耐圧盤を各杭と一体的に新設して、新設の耐圧盤と基礎体との間に人が移動できる程度の高さの空間を形成し、杭への免震装置設置用の開口の形成に先行して、杭の開口を形成する部分の左側及び右側の耐圧盤と基礎体との間の部分の杭の外側に、RC造の補強部を杭と一体に形成し、免震装置として、成の低い円柱形の積層ゴムとその下側及び上側に結合した積層ゴムの直径と同径若しくはその直径よりも大きい直径の円形の下側及び上側の取付板とで構成されている免震装置を使い、前記空間に露出した杭にその中心を水平な方向から貫通しかつ前記免震装置を一体の状態で挿入し得る免震装置設置用の開口を形成して、杭の前記開口の左側及び右側に杭の前記開口の上方の部分に作用する荷重を杭の前記開口の下方の部分に伝達し得る前記補強部を含む杭部分からなる連結部を切り残し、前記開口内に前記免震装置を挿入し、前記免震装置の下側及び上側の取付板を杭の前記開口の下側部及び上側部に固着してから、杭の前記開口の左側及び右側の切り残した前記補強部を含む連結部を適宜の手段で除去することを特徴とする免震装置の設置方法。
- 基礎体の下側の空間に露出した杭の中間の所定の4か所に互いに平行で水平な方向の貫通孔をドリルを使って穿設し、各貫通孔の中心軸線を縦断面が矩形の免震装置設置用の開口の角部に位置させるようにし、杭の左上の貫通孔と左下の貫通孔の間及び右上の貫通孔と右下の貫通孔の間の部分を、略鉛直な面になるように、ワイヤーソーを使って鉛直に切断し、かつ杭の左下の貫通孔と右下の貫通孔の間及び杭の左上の貫通孔と右上の貫通孔の間の部分を、略水平な面になるように、ワイヤーソーを使って水平に切断し、切断した面などからなる短い角柱状体を取り出して、杭に縦断面が略矩形の免震装置設置用の開口を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つの項記載の免震装置の設置方法。
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