JP2000034732A - 鉄骨柱取付用金物、鉄骨柱取付構造及び鉄骨柱の建て込み方法 - Google Patents

鉄骨柱取付用金物、鉄骨柱取付構造及び鉄骨柱の建て込み方法

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JP2000034732A
JP2000034732A JP10202114A JP20211498A JP2000034732A JP 2000034732 A JP2000034732 A JP 2000034732A JP 10202114 A JP10202114 A JP 10202114A JP 20211498 A JP20211498 A JP 20211498A JP 2000034732 A JP2000034732 A JP 2000034732A
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column mounting
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Fukuma Iiboshi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】作業性が良く、基礎と柱との接合を強固に行え
るようにした鉄骨柱取付用金物、鉄骨柱取付構造及び鉄
骨柱の建て込み方法を提供する。 【解決手段】根切り溝に設けた地中梁50を含む基礎工
内に埋設固定される鉄骨柱取付用金物20であって、こ
の金物20は、底部が閉塞され、上部が開口された箱形
中空部材22からなり、上部開口から鉄骨柱32の下端
部が中空部材22の内部に挿通される。この金物20の
周りでコンクリート基礎を施工することで、施工された
基礎部分を作業員が歩くことが出来、さらに、重機も基
礎に近づくことが出来るので、作業性が良好となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨柱をコンクリ
ート基礎に取り付けるための鉄骨柱取付用金物、鉄骨柱
取付構造及び鉄骨柱の建て込み方法に関する。
【0002】
【背景技術】鉄骨構造では、コンクリート基礎上に鉄骨
柱が取り付けられている。この基礎に対する鉄骨柱との
取付構造は、従来では、図8〜10に示す種々の構造が
採用されている。
【0003】図8で示す従来構造は、露出柱脚であり、
コンクリート基礎1にはアンカーボルト2が予め取り付
けられている。基礎1の上にクレーン等の重機を利用し
て鉄骨柱3を建て、アンカーボルト2の上部突出端を鉄
骨柱3のベースプレート3aに貫通させ、ナット4で固
定する。なお、図中符号5は、柱下端部のベースプレー
トとコンクリート基礎1の間に充填されたグラウトモル
タルである。
【0004】図9に示す従来構造は、根巻き柱脚構造で
あり、基礎1にはアンカーボルト2と鉄骨柱3を取り囲
むように複数本の鉄筋7が予め取り付けられている。基
礎1の上にクレーン等の重機を利用して鉄骨柱3を建
て、アンカーボルト2の上部突出端を鉄骨柱下端ベース
プレート3aに貫通させ、ナット4で仮に固定する。次
に、鉄筋7を帯筋6で鉢巻状に囲み、さらにその外周に
型枠9を設置して型枠9内の中にコンクリートを打設し
て硬化させ、鉄骨入り鉄筋コンクリート柱を構築する。
なお、図中、符号3bは鉄骨柱3の側面に形成されたモ
ルタル充填用の孔であり、この孔3bを通じて鉄骨柱内
部にモルタルを充填することで、鉄骨柱3の局部変形を
防止する。
【0005】図10(a),(b)に示す従来構造は、
埋め込み柱脚構造であり、根切りにより溝8を形成し、
溝8の鉄骨柱建て込み位置の基礎フーチングを先に施行
する。基礎フーチングには、アンカーボルト2と鉄骨柱
3を取り囲むように複数本の鉄筋7が予め取り付けられ
ている。基礎フーチングの上にクレーン等の重機を利用
して鉄骨柱3を建て、アンカーボルト2の上部突出端
を、鉄骨柱下端ベースプレート3aに貫通させ、ナット
4で仮に固定する。次に、鉄筋7を鉢巻状に囲み、溝8
内には梁主筋10、あばら筋10a、繋ぎ筋11を配筋
し、その後、型枠を設置して型枠の中にコンクリートを
打設して硬化させ、鉄骨柱3と一体化させる。なお、図
中、符号3bは鉄骨柱3の側面に形成されたモルタル充
填用の孔であり、この孔3bを通じて鉄骨柱内部にモル
タルを充填することで、鉄骨柱の局部変形を防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、以上述べた従
来の取付構造では、次の構造上あるいは施工上の各種課
題があった。まず、図8に示す徒来構造では、地震、台
風で鉄骨柱3に大きな引き抜き力が働き、アンカーボル
ト2が伸びて鉄骨柱ベースプレート3aが基礎から浮き
上がり、アンカーボルト2に水平方向の剪断力が直接働
き、最悪の場合には、アンカーボルト2が破損してしま
う。
【0007】次に、図9に示す従来構造では、鉄骨柱3
を取り囲むように予め取り付けられた複数本の鉄筋7を
帯筋6で鉢巻状に囲む配筋作業や型枠工事、コンクリー
ト打設工事が鉄骨工事の後に再度必要となり、作業性が
悪いという問題点がある。この点、他の工法では、鉄骨
工事の後に配筋作業や型枠工事、コンクリート打設工事
は特に必要がない。加えて、図9で示す従来構造では、
コンクリートで固めた部分が鉄骨柱3の他の部分に比べ
て出っ張り、外観不良となっていた。
【0008】さらに、図10に示す従来構造では、溝8
を掘った状態で鉄骨柱3を基礎フーチングの上に立てる
作業をしなければならないため、作業員が溝8の周りを
動いたり、重機が溝8の近くに寄ると溝8が崩壊する虞
れがあり、そのため、重機は溝8の近くに寄ることがで
きず、作業性が悪かった。これに加え、鉄骨柱3を迂回
するための繋ぎ筋11を設けて梁主筋10と接合するた
め、鉄骨柱3の周りに配筋が錯雑となり、やはり作業性
低下の原因となっていた。
【0009】本発明の目的は、作業性が良く、基礎と柱
との接合を強固に行える鉄骨柱取付用金物、鉄骨柱取付
構造及び鉄骨柱の建て込み方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は、根
切り溝に略箱状の鉄骨柱取付用金物を配置するととも
に、この金物の周りにコンクリート基礎を施工し、その
後、金物の内部に鉄骨柱を挿入した後、グラウトモルタ
ルなどの充填材を金物の内部に充填して前記目的を達成
しようとするものである。
【0011】具体的には、本発明の鉄骨柱取付用金物
は、根切り溝に設けた基礎工内に埋設固定される鉄骨柱
取付用金物であって、底部が閉塞され上部が開口された
箱形の中空部材を備え、上部開口から鉄骨柱の下端部が
中空部材内部に挿通されるものであることを特徴とす
る。この構成の本発明では、鉄骨柱取付用金物を根切り
溝に配置した状態でコンクリートを打設し、基礎を施工
する。その後、金物の内部に柱を立設してグラウトモル
タルを流し込む。基礎が施工されたら、その部分を作業
員が歩くことが出来、重機も基礎に近づくことが出来、
作業性が良い。また、柱の下端部が基礎コンクリート中
に埋め込まれてグラウトモルタルなどの充填材で固定さ
れるので、柱と基礎との接合が強固となる利点がある。
【0012】ここで、本発明の鉄骨柱取付用金物では、
前記中空部材は底部に向かって拡開するテーパ状に形成
されている構成でもよい。この構成では、基礎に対する
鉄骨柱取付用金物の抜け止め力が大きくなり、地震など
でも鉄骨柱が倒壊しないという利点がある。
【0013】本発明の鉄骨柱取付構造は、前記構成の鉄
骨柱取付用金物を根切り溝に複数配置し、これらの鉄骨
柱取付用金物の上部開口より内部にそれぞれ鉄骨柱を挿
通し、これらの鉄骨柱を挿通した状態で前記鉄骨柱取付
用金物内部に充填材をそれぞれ充填し、前記鉄骨柱取付
用金物の間に地中梁の梁主筋を一体に連結したことを特
徴とする。この構成の鉄骨柱取付構造では、前述と同様
の効果に加え、地中梁と鉄骨柱取付用金物との仕口を強
固に連結でき、柱周りがすっきりする。
【0014】また、本発明の鉄骨柱取付構造では、前記
鉄骨柱は、少なくとも下端部が中空状に形成され、その
下端には柱内部の空間と連通する充填材の充填用孔が形
成されるものでもよい。この構成では、充填用孔からグ
ラウトモルタルなどの充填材が柱内部に浸入することに
より、鉄骨柱の局部変形が防止され、鉄骨柱の固定が強
固となる。さらに、本発明の鉄骨柱の取付構造では、前
記鉄骨柱取付用金物の上部開口周縁に柱仮止用ボルトを
突設するとともに、前記鉄骨柱には前記ボルトの係合部
を設けた構成でもよい。この構成では、鉄骨柱の鉄骨柱
取付用金物に対する位置決め作業が容易となり、鉄骨柱
取付用金物に充填材を充填した際に鉄骨柱がずれること
がない。
【0015】また、本発明の鉄骨柱取付構造では、前記
鉄骨柱の側面に係合突起を設けた構成でもよい。この構
成では、鉄骨柱の側面に係合突起を設けたことにより、
グラウトモルタルなどの充填材と鉄骨柱との係合がアン
カー効果によって強固となる。
【0016】さらに、本発明の鉄骨柱取付構造では、前
記鉄骨柱の側面に内外を貫通する複数の貫通孔を設けた
構成としてもよい。この構成では、鉄骨柱の側面に内外
を貫通する複数の貫通孔を開口したことにより、グラウ
トモルタルなどの充填材と鉄骨柱との係合が強固とな
り、加えて充填材が鉄骨柱の内部に浸入しやすくする。
【0017】さらにまた、本発明の鉄骨柱取付構造で
は、前記鉄骨柱取付用金物の側面にブラケットを設け、
このブラケットに繋ぎ筋を取り付け、この繋ぎ筋を梁主
筋に接続する構成としてもよい。この構成では、鉄骨柱
取付用金物の側面に設けられたブラケットに繋ぎ筋を接
続するとともに、この繋ぎ筋を梁主筋の端部に接続する
ことで、鉄骨柱取付用金物と地中梁間の仕口部分の取合
いの錯雑さを防止できる。
【0018】本発明の鉄骨柱の建て込み方法は、地中を
根切って溝を形成し、この溝内の鉄骨柱取付位置に前記
構成の鉄骨柱取付用金物を複数建て込み、これらの鉄骨
柱取付用金物同士を梁主筋で連結し、溝内にコンクリー
トを打設することで柱位置に鉄骨柱取付金物を埋設した
地中梁を形成し、その後、前記鉄骨柱取付用金物の内部
に鉄骨柱の下端を挿通し、前記鉄骨柱取付用金物の内部
に充填材を充填することで前記鉄骨柱を鉄骨柱取付用金
物に一体化することを特徴とする。この構成では、基礎
となる地中梁施工後に、鉄骨柱を建て込むことで施工後
はその部分を作業員が歩くことが出来、また、重機も基
礎に近づくことが出来るため、作業性が良い。従って、
現場での作業効率が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。ここ
で、各実施形態中、同一構成要素は同一符号を付して説
明を省略もしくは簡略にする。図1は本発明の第一実施
形態による鉄骨柱取付用金物と鉄骨柱との配置関係を示
している。図1に示される鉄骨柱取付用金物20は、鋼
板を組合わせて裁頭四角錐形状の箱形に形成され底面が
閉塞され上面開口した中空部材22から構成され、この
中空部材22の上下四辺には溶接などによって上下のブ
ラケット24,26が一体化され、各上部ブラケット2
4の上面及び下部ブラケット26の下面には、それぞれ
基部を溶接によって複数本の繋ぎ筋28が一体に配筋さ
れている。図1の一部に拡大して示すように、前記中空
部材22の頂部各辺の中央には仮止用ボルト30が一体
的に突設されている。
【0020】図2(a)(b)に示すように、鉄骨柱3
2は、角形中空鋼管からなる柱本体34と、この柱本体
34の底部に一体化されたプレート36と、柱本体34
の所定高さ位置外側にあって四辺における中央部に溶接
によって一体に突設され前記鉄骨柱取付用金物20に対
する挿通深さの位置決め用ブラケット38とを備えてい
る。この鉄骨柱32の下端部が鉄骨柱取付用金物20の
内部に挿入された状態では充填材としてのグラウトモル
タルが鉄骨柱取付用金物20の内部に充填される構成で
ある。
【0021】プレート36の底面には、充填用孔40が
開口形成され、鉄骨柱取付用金物20に挿通した後、グ
ラウトモルタルの充填により充填材の充填用孔40を経
て柱本体34の内部に回り込めるようになっている。ま
た、各ブラケット38の中央には、ボルト孔42が上下
に貫通して形成され、柱32の下部を鉄骨柱取付用金物
20の上面開口より内部に挿通した状態で前記ボルト3
0にボルト孔42が挿通された状態で、各ブラケット3
8が鉄骨柱取付用金物20の頂部に着座し、挿通位置が
位置決めされ、この状態でナットをボルト30の先端に
螺合することで、鉄骨柱32を鉄骨柱取付用金物20上
に仮止固定できる。
【0022】図1に示される鉄骨柱取付用金物20は、
建物の中央部に配置される中柱用金物であり、コンクリ
ート基礎の所定箇所に複数配置される。本実施形態で
は、金物として図1に示されるもの以外に図3に示され
るものがある。図3(a)は側柱用金物20であり、中
空部材22の三辺外側部に上下のブラケット24,26
を配置し、各ブラケット24,26にそれぞれ繋ぎ筋2
8を配置して構成される。図3(b)は、隅柱用金物2
0であり、中空部材22の直交する外側面の2面に上下
のブラケット24,26を配置し、各ブラケット24,
26にそれぞれ繋ぎ筋28を配置して構成される。
【0023】次に、第一実施形態の鉄骨柱取付用金物2
0を用いて鉄骨柱32を建て込む方法並びに最終的な鉄
骨柱の取付構造を図4を用いて説明する。図4におい
て、まず、地表面GLより地盤Eを根切り、所定深さの
溝を形成する。溝内における各柱建て込み位置におい
て、溝の下部にフーチング44を設置し、このフーチン
グ44の上に図示しない置き台を配置するとともに、こ
の置き台の上に鉄骨柱取付用金物20を設置固定する。
その後、溝の周囲に型枠46を配置し、梁主筋48を配
筋する。
【0024】梁主筋48の両端部を鉄骨柱取付金物20
の四方に突出された上下の繋ぎ筋28と重合する。梁主
筋48の配筋の後、型枠46内にコンクリートを打設す
る。コンクリートの養生硬化後、型枠46を脱型するこ
とで、地中梁50を含む基礎工が完成する。地中梁50
を構成するコンクリートが養生硬化すれば、作業員は地
中梁50上を自由に歩行でき、またクレーンなどの重機
も基礎工近傍に近づくことができる。
【0025】その後、鉄骨柱32の建て込み作業を行
う。そのため、重機により鉄骨柱32を鉄骨柱取付用金
物20の上面開口より吊り降ろし、ブラケット38によ
り位置決めを行い、しかる後仮止用ナット52をボルト
30に螺合して鉄骨柱32を建て込み位置に仮止固定す
る。仮止状態では、図示のごとく柱32のプレート36
は、金物20の内底部に着底することなく、宙に浮いた
状態である。この状態でグラウトポンプなどを用いて鉄
骨柱取付用金物20の内部に充填材としてグラウトモル
タル54を注入する。
【0026】すると、グラウトモルタル54の一部はプ
レート36に貫通形成された充填用孔40を通じて、柱
本体34の中空内部にも回り込む。これが鉄骨柱取付用
金物20の打設天端位置に一致したならば、オーバフロ
ーするので、この段階でグラウトモルタルの注入作業を
終了する。そして、グラウトモルタル54の養生硬化に
より、鉄骨柱32の基部は、鉄骨柱取付用金物20を介
して地中梁50に強固一体に埋設固定されることにな
る。なお、本実施形態では、予めグラウトモルタル54
を金物20内に打設した後、前述のごとき鉄骨柱32の
つり込み作業を行っても良く、作業性に応じて適宜選択
できる。
【0027】従って、(1)第一実施形態では、根切り溝
に設けた基礎工内に鉄骨柱取付用金物20が埋設固定さ
れ、この鉄骨柱取付用金物20は、底部が閉塞され上部
が開口された箱形の中空部材22を備え、上部開口から
鉄骨柱32の下端部が中空部材22内部に挿通されるも
のであるから、この金物20の周りでコンクリート基礎
を施工することで、施工された基礎部分を作業員が歩く
ことが出来、さらに、重機も基礎に近づくことが出来る
ので、作業性が良好となる。しかも、鉄骨柱32の下端
部がグラウトモルタルなどの充填材で固定されるので、
鉄骨柱32と地中梁50との接合が強固となる。
【0028】また、(2)第一実施形態では、中空部材2
2は底部に向かって拡開するテーパ状に形成されている
から、地中梁50に対する引抜き方向に対しては逆テー
パとなり、基礎に対する鉄骨柱取付用金物20の抜け止
め力が大きくなって鉄骨柱32が地震などで倒壊するこ
とを防止できる。さらに、(3)鉄骨柱32の引抜き方向
の力に対しては、充填材であるグラウトモルタル54内
に埋設されるプレート36がアンカーとなって抵抗力を
生ずるため、この点からも、鉄骨柱32の基礎に対する
接合が強固となる。また、(4)鉄骨柱取付用金物20は
中空部材22の側面にブラケット24,26が取り付け
られた構造であるから、これらのブラケット24,26
によるアンカー効果も生ずるため、強固な結合が維持さ
れることになる。
【0029】さらに、(5)鉄骨柱取付用金物20の側面
に設けられたブラケット24,26には繋ぎ筋28が取
り付けられ、この繋ぎ筋28が梁主筋48に接続されて
いるから、鉄骨柱取付用金物20と地中梁50間の仕口
部分の取合いの錯雑さを防止できる。ここで、地震など
で地中梁50に水平方向の力がかかる場合、鉄骨柱取付
用金物20の両側面がブラケット24,26、繋ぎ筋2
8及び梁主筋48に接続されているため、一方の繋ぎ筋
28及び梁主筋48に伝わる水平方向の力が鉄骨柱取付
用金物20を介して他方の繋ぎ筋28及び梁主筋48に
伝達されるので、鉄骨柱32の下端部で基礎が破損など
することがない。
【0030】さらにまた、(6)鉄骨柱取付用金物20を
根切り溝に複数配置し、これらの鉄骨柱取付用金物20
の上部開口より内部にそれぞれ鉄骨柱32を挿通し、こ
れらの鉄骨柱32を挿通した状態で鉄骨柱取付用金物2
0の内部にグラウトモルタル54をそれぞれ充填し、鉄
骨柱取付用金物20の間に地中梁の梁主筋48を一体に
連結して鉄骨柱取付構造を構成したから、地中梁と鉄骨
柱取付用金物20との仕口を強固に連結でき、柱周りが
すっきりして外観が良好となる。
【0031】さらにまた、(7)鉄骨柱32は中空状に形
成されるとともに、その下端に充填用孔40が形成され
ているため、この孔40からグラウトモルタル54が柱
内部に浸入することにより鉄骨柱32の局部変形が防止
され、鉄骨柱32の鉄骨柱取付用金物20への固定が強
固となる。つまり、鉄骨柱32に外部から力がかかる
と、鉄骨柱32が中空状に形成されているため、鉄骨柱
32の側面部が内側に凹むように変形しようとするが、
鉄骨柱32の内部にグラウトモルタル54が充填される
と、鉄骨柱32の側面部に働く変形が阻止される。
【0032】その上、(8)鉄骨柱取付用金物20の上部
開口周縁に柱仮止用ボルト30を突設するとともに、鉄
骨柱32にボルト30の係合部38を設けたから、鉄骨
柱32の鉄骨柱取付用金物20に対する位置決め作業が
容易となり、鉄骨柱取付用金物20に充填材を充填した
際に鉄骨柱32がずれることがない。そのため、鉄骨柱
32の建て込み作業を容易に行うことが出来る。さらに
は、(9)鉄骨柱32の埋設部周縁には余分な出っ張りが
ないため、柱周りがすっきりし、以後の作業性や壁など
との取合いも良好となる。
【0033】次に、本発明の第二実施形態にかかる鉄骨
柱取付用金物を図5及び図6に基づいて説明する。第二
実施形態の鉄骨柱取付用金物60はフランジの構造が第
一実施形態の鉄骨柱取付用金物20と相違するもので、
他の構造は第一実施形態の鉄骨柱取付用金物20と同じ
である。また、鉄骨柱32の構造は第一実施形態の鉄骨
柱32と同じである。図5(a)〜(c)は、第二実施
形態の鉄骨柱取付用金物60のうち中柱用金物を示し、
図6(a)は側柱用金物を示し、図6(b)は隅柱用金
物を示す。図5(a)〜(c)において、中柱用として
使用される鉄骨柱取付用金物60は、前記中空部材22
を備えて構成され、この中空部材22の外周には八角形
状の抜け止め用の底部フランジ64及び上部フランジ6
6が突出形成され、これらのフランジ64,66の下面
及び上面には溶接によって前記繋ぎ筋28が一体固定さ
れている。さらに、中空部材22の頂部各辺の中心位置
に前記仮止用ボルト30が突設形成されている。
【0034】図6(a)において、側柱用として使用さ
れる鉄骨柱取付用金物60は、三方向に向けて上下それ
ぞれ3本の繋ぎ筋28がフランジ64,66に配筋され
ている。図6(b)において、隅柱用として使用される
鉄骨柱取付用金物60は、互いに直交する二方向に向け
て上下それぞれ3本の繋ぎ筋28がフランジ64,66
に配筋されている。
【0035】以上の構成の鉄骨柱取付用金物60を用い
た柱の建て込み方法は、第一実施形態と同様である。ま
た、鉄骨柱取付用金物60自体の埋設方法も第一実施形
態と同様であり、図4と同様な構造で地中梁50に一体
に埋設できる。従って、第二実施形態では、第一実施形
態の(1)〜(9)と同じ作用効果を奏することができる他
に、(10)鉄骨柱取付用金物60の地中梁50への埋設状
態において、中空部材22の逆テーパ形状に加えて上下
のフランジ64、66の張出し面積に応じて、前記第一
実施形態よりさらに大きな引抜き抵抗を生ずることがで
きる。
【0036】なお、本発明は前述の前記各実施形態に限
定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲
であれば次に示す変形例を含むものである。例えば、本
発明では、鉄骨柱取付用金物20,60に取り付けられ
る鉄骨柱32は前記実施形態のものに限定されるもので
はない。以上の第一,第二実施形態の鉄骨柱取付用金物
20,60に取付けられる柱32の形状変形例につい
て、図7を用いて説明する。
【0037】まず、(a)は、柱本体34の底部を開口
させておき、前記底面プレート36に替えて各辺の仮止
用ブラケット38の下部に多段の突起70を溶接などに
より配置し、これによるアンカー効果によって引抜きを
防止している。次に(b)は、柱本体34の底部を開口
させておくとともに、各辺の仮止用ブラケット38の下
部に多数の本体の内外を貫通する多数の貫通孔72を開
口形成したものであり、これによってグラウトモルタル
とのくいつき確保することで、引抜きを防止している。
また、この例ではグラウトモルタルの柱本体34内部へ
の回り込み時間が短縮する。
【0038】次に(c)は、柱本体34の内部にグラウ
トモルタルを充填しないタイプであって、仮止用ブラケ
ットの直下において柱本体34を切断し、これの底部に
外側部に向けてフランジ状に張出した上部水平スチフナ
74を溶接し、その下部に柱本体34と同一断面の柱脚
76を溶接し、さらに柱脚76の底面を同じくフランジ
状に張出した下部水平スチフナ74を溶接してこれを閉
塞している。この構造の柱32は、上下の水平スチフナ
74によるアンカー効果によって引抜きを防止する。
【0039】さらに、(d)は、(c)と同様に柱本体
34の内部にグラウトモルタルを充填しないタイプであ
って、仮止用ブラケット38の直下において柱本体34
を切断し、これの底部に外側部に向けてフランジ状に張
出した水平スチフナ74を溶接し、その下部に柱本体3
4と同一断面の柱脚76を溶接し、さらに柱脚76の底
部に水平スチフナ78を溶接してこれを閉塞している。
この水平スチフナ78は柱脚の断面に対応した形状であ
り、アンカー効果がないが、これに替えて柱脚の四面に
多段の突起70を溶接などにより配置し、これによるア
ンカー効果によって引抜きを防止している。
【0040】また、前記実施形態では、中空部材22は
底部に向かって拡開するテーパ状に形成したが、本発明
では、テーパが形成されることがない筒状の形状として
もよい。さらに、鉄骨柱32は中空状に形成されるもの
に限らず、中実のものでもよい。柱内部にグラウトモル
タルが入り込むようにするには、少なくとも下端部が中
空状とされていれば十分である。また、鉄骨柱取付用金
物20,60の上部開口周縁に柱仮止用ボルト30を必
ずしも設けることを要しない。
【0041】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明による鉄骨柱取付用金物、鉄骨柱取付構造及び鉄骨柱
の建て込み方法によれば、従来のいずれの構造のものよ
りも作業性が良く、基礎と柱との接合を強固に行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態による鉄骨柱取付用金物
と鉄骨柱との配置関係を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は前記鉄骨柱の半断面側面図であり、
(b)はその底面図である。
【図3】(a)は側柱用の鉄骨柱取付用金物を示す平面
図であり、(b)は隅柱用の鉄骨柱取付用金物を示す平
面図である。
【図4】(a)は第一実施形態の鉄骨柱取付構造を示す
平面図であり、(b)はその断面図である。
【図5】(a)は本発明の第二実施形態にかかる鉄骨柱
取付金物を示す平面図であり、(b)はその半断面図で
あり、(c)はその底面図である。
【図6】(a)は側柱用の鉄骨柱取付用金物を示す平面
図であり、(b)は隅柱用の鉄骨柱取付用金物を示す平
面図である。
【図7】(a)〜(d)は鉄骨柱の形状変更例の側面と
底面とをそれぞれ示す概略図である。
【図8】従来の露出柱脚構造による鉄骨柱取付構造を示
す縦断面図である。
【図9】従来の根巻き柱脚構造による鉄骨柱取付構造を
示す縦断面図である。
【図10】(a)は従来の埋込み柱脚構造による鉄骨柱
取付構造を示す縦断面図であり、(b)はその平断面図
である。
【符号の説明】
20,60 鉄骨柱取付用金物 22 中空部材 24,26 ブラケット 28 繋ぎ筋 30 仮止用ボルト 32 鉄骨柱 34 柱本体 36 底部フランジ 38 仮止用ブラケット 40 充填用孔 52 仮止用ナット 54 充填材(グラウトモルタル) 64,66 フランジ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】根切り溝に設けた基礎工内に埋設固定され
    る鉄骨柱取付用金物であって、底部が閉塞され上部が開
    口された箱形の中空部材を備え、上部開口から鉄骨柱の
    下端部が中空部材内部に挿通されるものであることを特
    徴とする鉄骨柱取付用金物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の鉄骨柱取付用金物におい
    て、前記中空部材は底部に向かって拡開するテーパ状に
    形成されていることを特徴とする鉄骨柱取付用金物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の鉄骨柱取付用金物
    を根切り溝に複数配置し、これらの鉄骨柱取付用金物の
    上部開口より内部にそれぞれ鉄骨柱を挿通し、これらの
    鉄骨柱を挿通した状態で前記鉄骨柱取付用金物内部に充
    填材をそれぞれ充填し、前記鉄骨柱取付用金物の間に地
    中梁の梁主筋を一体に連結したことを特徴とする鉄骨柱
    取付構造。
  4. 【請求項4】請求項3記載の鉄骨柱取付構造において、
    前記鉄骨柱は、少なくとも下端部が中空状に形成され、
    その下端には柱内部の空間と連通する充填材の充填用孔
    が形成されていることを特徴とする鉄骨柱取付構造。
  5. 【請求項5】請求項3又は4記載の鉄骨柱取付構造にお
    いて、前記鉄骨柱取付用金物の上部開口周縁に柱仮止用
    ボルトを突設するとともに、前記鉄骨柱には前記ボルト
    の係合部を設けたことを特徴とする鉄骨柱取付構造。
  6. 【請求項6】請求項3から5にいずれか記載の鉄骨柱取
    付構造において、前記鉄骨柱の側面に係合突起を設けた
    ことを特徴とする鉄骨柱取付構造。
  7. 【請求項7】請求項3から5にいずれか記載の鉄骨柱取
    付構造において、前記鉄骨柱の側面に内外を貫通する複
    数の貫通孔を設けたことを特徴とする鉄骨柱取付構造。
  8. 【請求項8】請求項3から5にいずれか記載の鉄骨柱取
    付構造において、前記鉄骨柱取付用金物の側面にブラケ
    ットを設け、このブラケットに繋ぎ筋を取り付け、この
    繋ぎ筋を梁主筋に接続することを特徴とする鉄骨柱取付
    構造。
  9. 【請求項9】地中を根切って溝を形成し、この溝内の鉄
    骨柱取付位置に請求項1又は2に記載の鉄骨柱取付用金
    物を複数建て込み、これらの鉄骨柱取付用金物同士を梁
    主筋で連結し、溝内にコンクリートを打設することで柱
    位置に鉄骨柱取付金物を埋設した地中梁を形成し、その
    後、前記鉄骨柱取付用金物の内部に鉄骨柱の下端を挿通
    し、前記鉄骨柱取付用金物の内部に充填材を充填するこ
    とで前記鉄骨柱を鉄骨柱取付用金物に一体化することを
    特徴とする鉄骨柱の建て込み方法。
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