JP6441029B2 - 地下施設増設方法 - Google Patents
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また、特許文献2に記載の方法は、既設杭が仮受け支柱を設置するために必要な杭径を有していない場合には、施工できない。
また、特許文献3に記載の方法を一つの柱の荷重を一つの杭で支える構造に適用する場合には、柱の荷重を受け替えるための仮設の受桁を柱の直下に設置するのが困難なため、既設基礎体を大幅に補強する必要がある。
また、受桁を挿通可能な杭径の既設杭を有した既存建物であれば適用することが可能である。
さらに、比較的簡易な仮受け構造(受桁および仮支持材)を採用しているため、施工期間の短縮化を図ることもできる。
また、前記仮支持材としてジャッキを使用するのが望ましい。
第一の実施形態では、既設杭1と既設基礎体2とを備える既存建物について、免震装置(新設地下施設)を増設して免震化改修を行う場合を例示する。
本実施形態の地下施設増設方法は、掘削工程と、アンカー植設工程と、基礎体新設工程と、削孔工程と、受桁設置工程と、第一の受替工程と、既設杭撤去工程と、補強梁増設工程と、地下施設増設工程と、第二受け替え工程と、仮支持材撤去工程とを備えている。
掘削工程では、既設杭1の周囲を他の領域よりも低くなるように掘削してピット31を形成する。すなわち、杭頭部10の周囲の床付け面は、後記する新設基礎体4の下面(床付け面)よりも低いところに位置している。
なお、砕石32および捨てコンクリート33の層厚は、適宜設定すればよい。また、砕石32および捨てコンクリート33は、必要に応じて施工すればよい。
本実施形態では、ピット31内において、アンカー5を杭頭部10に植設する。アンカー5は、後記する新設基礎体4内に埋め込むことが可能であれば、必ずしもピット31内に配置する必要はない。
なお、アンカー5の本数や配設ピッチは限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
新設基礎体4は、図示しない鉄筋を配筋した後、コンクリートを打設することにより形成する。
コンクリートは、ピット31内にも打設する。新設基礎体4は、複数本のアンカー5を巻き込んだ状態で形成する。
また、鉄筋の配筋ピッチや鉄筋径も適宜設定すればよい。また、鉄筋は必要に応じて配筋すればよく、省略してもよい。
貫通孔11は、既設杭1の軸方向と直交する向きに形成する。本実施形態では、矩形状の貫通孔11の上面が既設基礎体1の下面に接するように貫通孔11を形成する。
受桁6は、図3の(a)に示すように、貫通孔11に挿通する。受桁6の両端部は、新設基礎体4に立設された仮支持材7に載置する。
本実施形態では桁部材61として、上下のフランジと両フランジを連結するウェブとからなるI形鋼を採用する。
桁部材61同士は、必要に応じて互い固定してもよい。
本実施形態では、仮支持材7として、ジャッキを採用している。なお、仮支持材7の構成はジャッキに限定されるものではなく、例えば仮設の支柱であってもよいし、ジャッキと支柱とを組み合わせたものであってもよい。
本実施形態では、仮支持材7を伸長させることで、受桁6の上面を既設基礎体2に押し付ける。こうして、既設杭1に作用する力(既設基礎体2)を仮支持材7に受替える。
本実施形態では、作業空間3の床付け面よりも上側の部分、すなわち、ピット31の上面よりも上側に位置する部分を撤去する。
杭頭部10の撤去に伴い、新設基礎体4に形成された凹部41には、コンクリートを充填(打設)する。このとき、凹部41には、必要に応じて鉄筋を配筋しておく。
補強梁8は、既設基礎体2の下面に沿って鉄筋および型枠を設置し、当該型枠内にコンクリートを打設することにより形成する。
補強梁8は、受桁6を巻き込んだ状態で形成する。なお、本実施形態では、受桁6の下側のフランジが補強梁8の下面から露出しているが、補強梁8は、受桁6の全体を巻き込むように形成してもよい。
また、本実施形態では、既設基礎体2の下面に沿って補強梁8を形成することで既設基礎体2を補強するが、補強梁8に代えて、既設基礎体2を増厚させてもよい。また、補強梁8の部材高や位置は限定されるものではない。さらに、補強梁8は、必要な強度を有した材料で形成することで、既設基礎体2の剛性や耐力を上げるための補強であればよく、例えば鋼材等で形成してもよい。
免震装置9は、免震装置本体9aと、上部コンクリート9bと、下部コンクリート9cとを備えている。本実施形態の免震装置本体9aは、積層ゴムにより構成されているが、免震装置9の構造は限定されなく、例えばすべり支承を採用してもよい。
なお、上部コンクリート9bは、既設基礎体2の下面に形成してもよい。
下部コンクリート9cは、凹部41にコンクリートを打設する際に、当該コンクリートの打設部分と一体に形成してもよい。
ジャッキである仮支持材7を収縮すると、仮支持材7に作用する力が免震装置9に受け替えられるため、免震装置9により既設基礎体2を支持する状態となる。
すなわち、仮支持材7に作用する力(既設基礎体2)が免震装置9に受け替えたら、仮支持材7を撤去する。
既設杭1に形成した貫通孔11に受け桁6を設けて、既設杭1に作用する軸力を受け替えるため、既存建物が一つの柱21の荷重を一つの杭1で支える構造であっても、大幅な補強工事を要することなく、既設杭1の軸力を免震装置9に受け替えることができる。
また、比較的簡易な仮受け構造(受桁6および仮支持材7)を採用しているため、施工期間の短縮化を図ることもできる。
既設杭1の頭部10を、新設基礎体4の下面よりも下の位置で切断することで、既設基礎体2の下方に版状の新設基礎体4を形成することができる。
第二の実施形態では、図8の(a)および(b)に示す既設杭1と既設基礎体2とを備える既存建物について、免震装置(新設地下施設)を増設して免震化改修を行う場合を例示する。
本実施形態の既設基礎体2は、基礎梁22、耐圧盤23およびフーチング24とを備えている。なお、既設基礎体2の構成は限定されるものではなく、例えば、版状部材であってもよい。
耐圧盤23は、既設杭1の上端と基礎梁22の下面との間に介設された鉄筋コンクリート製の盤状部材である。なお、耐圧盤23の構成は限定されない。
フーチング24は、耐圧盤23上に形成されていて、既設柱21の下端が接続された鉄筋コンクリート製部材である。なお、フーチング24の構成は限定されない。
掘削工程の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
アンカー植設工程の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
基礎体新設工程の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
貫通孔11は、既設杭1の軸方向と直交する向きに形成する。本実施形態では、矩形状の貫通孔11の上面が既設基礎体1の下面に接するように貫通孔11を形成する。
受桁6は、図9の(b)に示すように、貫通孔11に挿通する。受桁6の両端部は、新設基礎体4に立設された仮支持材7に載置する。
なお、受桁6を構成する材料限定されるものではなく、例えばH形鋼や溝型鋼等であってもよい。また、受桁6は、複数の桁部材を組み合わせて構成してもよい。
本実施形態では、仮支持材7として、ジャッキを採用している。なお、仮支持材7の構成はジャッキに限定されるものではなく、例えば仮設の支柱であってもよいし、ジャッキと支柱とを組み合わせたものであってもよい。
本実施形態では、仮支持材7を伸長させることで、受桁6の上面を既設基礎体2に押し付ける。こうして、既設杭1に作用する力(既設基礎体2)を仮支持材7に受替える。
本実施形態では、作業空間3の床付け面よりも上側の部分、すなわち、ピット31の上面よりも上側に位置する部分を撤去する。
なお、既設杭撤去工程の詳細は、第一の実施係他で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
免震装置9は、免震装置本体9aと、上部コンクリート9bと、下部コンクリート9cとを備えている。本実施形態の免震装置本体9aは、積層ゴムにより構成されているが、免震装置9の構造は限定されなく、例えばすべり支承を採用してもよい。
下部コンクリート9cは、免震装置本体9aと新設基礎体4との間に介設される鉄筋コンクリート部材であって、新設基礎体4の上面に形成する。
ジャッキである仮支持材7を収縮すると、仮支持材7に作用する力が免震装置9に受け替えられるため、免震装置9により既設基礎体2を支持する状態となる。
すなわち、仮支持材7に作用する力(既設基礎体2)が免震装置9に受け替えたら、仮支持材7を撤去する。
また、既存建物の構成や使用目的等も限定されるものではない。
また、既設基礎体の上面に補強梁を形成することや既設基礎体を増厚することにより、既設基礎体を補強してもよい。
10 杭頭部
11 貫通孔
2 既設基礎体
3 地下空間
31 ピット
4 新設基礎体
5 アンカー
6 受桁
7 仮支持材
8 補強梁
9 免震装置(新設地下施設)
Claims (4)
- 既設杭と既設基礎体とを備える既存建物に新設地下施設を増設する地下施設増設方法であって、
前記既設基礎体の下方を掘削して前記既設杭の杭頭部を露出させる掘削工程と、
前記既設基礎体の下方に新設基礎体を形成する基礎体新設工程と、
前記杭頭部の上部に貫通孔を形成する削孔工程と、
前記貫通孔に受桁を設置するとともに、前記新設基礎体に立設させた仮支持材により前記受桁の両端部を支持する受桁設置工程と、
前記既設基礎体を、前記受桁を介して前記仮支持材で支持する第一の受替工程と、
前記既設杭の露出部分を撤去する既設杭撤去工程と、
前記新設基礎体と前記既設基礎体との間に新設地下施設を増設する地下施設増設工程と、
前記既設基礎体を、前記新設地下施設で支持する第二の受替工程と、
前記仮支持材を撤去する仮支持材撤去工程と、を備えていることを特徴とする、地下施設増設方法。 - 前記既設杭の露出部分にアンカーを植設するアンカー植設工程を備えており、
前記基礎体新設工程では、前記アンカーを巻き込んだ状態で前記新設基礎体を形成することを特徴とする、請求項1に記載の地下施設増設方法。 - 前記掘削工程において、前記既設杭の周囲が他の領域よりも低くなるように掘削してピットを形成し、
前記アンカー植設工程において、前記ピット内で前記アンカーを植設することを特徴とする、請求項2に記載の地下施設増設方法。 - 前記仮支持材としてジャッキを設置することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地下施設増設方法。
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