JP3583506B2 - パネル開閉装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車載用音響機器やその他の電子機器などの装置本体の前面に開閉自在なパネルが設けられたものにおいて、このパネルを確実に開放姿勢へ移動させることができるパネル開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、開閉自在なパネルを有する機器の一例として車載用音響機器さらに詳しくは車載用のカセットテーププレーヤを示す斜視図、図6は図5の装置において操作パネルが前方へ回動した状態を示す斜視図、図7は図5の装置のロック機構部分をVII方向から示した透視側面図である。
図5に示すカセットテーププレーヤAでは、符号2に示す筐体部分が車のコンソールパネル内に納められ、ノーズ部1がコンソールパネルの前面に露出する。ノーズ部1は操作パネル1a(化粧面)および枠体1bとから成る。枠体1bと筐体2により装置本体が構成され、操作パネル1aは支点5を中心として、枠体1bの前面を覆う閉鎖姿勢α2と、前方へ倒れる開放姿勢α1との間を回動できるように支持されている。
【0003】
操作パネル1aは合成樹脂材料により形成されたものであり、その前面には、広い面積の液晶パネル3aおよび各種の操作スイッチ類3bが配列されている。液晶パネル3aには、演奏中の曲番号およびイコライザレベル、または時刻などが表示される。また操作パネル1aには、オープンボタン4が設けられている。オープンボタン4はスプリング17により突出方向へ付勢され、またオープンボタン4の先端にはロック解除用の押圧部4aが形成されている。オープンボタン4が押されると、操作パネル1aのロックが解除されて支点5を中心に開放姿勢α1方向に倒れ、枠体1bのカセット挿入面1c(記録媒体挿入面)が現れる。この様子を示したのが図6である。
【0004】
図6に示す枠体1bおよびカセット挿入面1cは、合成樹脂材料を射出成形して一体として形成されている。カセット挿入面1cにはカセット挿入口(記録媒体挿入部)6および角孔7が形成されており、前記カセット挿入口6からカセットテープ(図示しない)が挿入され筐体2の内部に設けられている演奏部(図示しない)に装填される。
【0005】
図7に示すように、枠体1bの背面から筐体2の内方に延びるブラケット13に、ロックレバー15が支点軸15aを中心に回転自在に取り付けられ、ロックレバー15の先端に形成された前記掛止爪8は前記角孔7から前方へ突出している。操作パネル1aの背面にはこの操作パネル1aを支持している金属製のプレート9が設けられており、前記掛止爪8は、このプレート9に形成された突片9aに掛止されるものとなっている。また、ブラケット13から伸びるばね14がレバー15の一部に掛けられ、レバー15はロック可能な方向(β1方向)へ付勢されている。
【0006】
操作パネル1aに設けられた前記支点5を形成する軸は、枠体1bに一体に形成された支持腕13aに回動自在に支持されている。この支点5にはねじりばね12が設けられ、このねじりばね12により操作パネル1aは開放姿勢α1の方向へ付勢されている。支点5の基部には、操作パネル1aと一体の扇ギヤ11が設けられ、この扇ギヤ11は、枠体1bに設けられた小ギヤ10に噛合っている。小ギヤ10が固定されている軸10aには、速度調整部材としての回転ダンパーが設けられている。回転ダンパーは内部にオイルなどの高粘性流体が封入され、軸10aに設けられた羽根がこの高粘性流体内を回転するものとなっている。
【0007】
図5と図7に示すように、操作パネル1aが閉鎖姿勢α2に回動しているときには、β1方向へ回動しているロックレバー15の掛止爪8が、操作パネル1a側の突片9aに掛止され、操作パネル1aが閉鎖姿勢α2でロックされている。オープンボタン4が押されると、このオープンボタン4の先端の押圧部4aにより、ロックレバー15がロック解除方向(β2方向)へ回動させられ、掛止爪8が突片9aから離れ操作パネル1aのロックが解除される。
【0008】
ロック解除された操作パネル1aはねじりばね12の付勢力により、開放姿勢α1方向へ回動するが、このとき操作パネル1aに一体に設けられた扇ギヤ11により小ギヤ10が回転させられ、小ギヤ10に設けられた軸が速度調整部材である回転ダンパーを作動させる。これにより、回転速度が調整され、操作パネル1aが開放姿勢α1に向けてゆっくり回動し、製品の操作感触が良好とされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、オープンボタン4が押され、操作パネル1aのロックが解除されたときに、ねじりばね12の付勢力により操作パネル1aが開放姿勢α1に向けて回動するが、このとき回転ダンパーによりα1方向へ回動するときの回動速度が緩和されるものとなっている。
【0010】
一方、ロックレバー15は、ばね14によりβ1方向へ付勢されている。よってオープンボタン4が押され、ロックレバー15がβ2方向へ回動させられた後に、オープンボタン4から手を離すと、ロックレバー15はばね14によりβ1方向へ直ちに復帰させられる。したがって、ばね14の弾性力が強くロックレバー15のβ1方向への復帰速度が速い場合、また、指でオープンボタン4を押す速度が速く、オープンボタン4がきわめて短時間だけ押されてオープンボタン4が直ちに復帰した場合、操作パネル1aが速度調整されてα1方向へゆっくり回動するために、一旦突片9aから外れた掛止爪8が再度突片9aに掛かることがある。この場合に、オープンボタン4を押したにもかかわらず、操作パネル1aが回動姿勢α1方向へ回動せず、閉鎖姿勢α2に留まってしまうという問題が生じる。
【0011】
これを防止するために、操作パネル1aを開放姿勢α1方向へ回動させるねじりばね12の弾性力を強く設定し、掛止爪8によるロックが解除されたときに、操作パネル1aが開放姿勢α1方向へ迅速に回動するように設定する方法も考えられる。しかし、ねじりばね12の弾性力が強いと、回転ダンパーによる速度調整機能が十分に発揮できず、操作パネル1aがα1方向へ速く回転しすぎ、製品の操作感触が低下することになる。
【0012】
また、この種の車載用の音響機器などでは、閉鎖姿勢α2にある操作パネル1aの前面がやや上向きとされて、ユーザが操作パネル1aの前面を目視しやすい状態としたものがある。この場合には閉鎖姿勢α2の操作パネル1aの自重が閉鎖姿勢α2を維持する向きに作用するため、開放姿勢α1方向への回動速度がさらに遅くなり、掛止爪8が突片9aから一旦外れた後に、再度突片9aに引っ掛かりやすくなる。
【0013】
さらに、図5と図7に示すように、操作パネル1aが閉鎖姿勢α2にあるとき、各部材の寸法精度の問題から操作パネル1aの背面と、枠体1bのカセット挿入面1cとの間に若干の隙間が生じてしまう。閉鎖姿勢α2では、ねじりばね12により操作パネル1aがα1方向へ付勢され、掛止爪8と突片9aとの引っ掛かりが維持されているが、前記隙間が形成されていると、車体振動によりねじりばね12の弾性力に対抗して操作パネル1aがα2方向へ回動し、その結果、操作パネル1aと枠体1bとの間にがたつき音が発生する問題がある。
【0014】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ロック部材によるロックが解除されたときに、速度調整されて回動する操作パネルにロック部材が再度引っ掛かるのを防止して、操作パネルを確実に開放姿勢へ回動させることのできるパネル開閉装置を提供することを目的としている。
【0015】
さらに、操作パネルを確実に開放方向へ回動させることができるとともに、操作パネルのがたつきをも同時に防止できるようにしたパネル開閉装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
装置本体の前面を覆う閉鎖姿勢と装置本体の前方へ倒れる開放姿勢との間を移動できるように回動可能に支持されたパネルと、パネルを前記開放姿勢の方向へ付勢する開放付勢部材と、パネルが開放姿勢の方向へ回動する速度を緩和する速度調整部材とを有するパネル開閉装置において、
装置本体側には、閉鎖姿勢とされたパネルに掛止されてパネルをロックするロック位置とパネルから離れるロック解除位置との間で移動するロック部材と、ロック部材を前記ロック位置へ付勢するロック付勢部材とが設けられ、
前記装置本体とパネル背面との間には、閉鎖姿勢でロックされているパネルを開放姿勢へ向けて押圧するとともにロック部材によるロックが解除されたときにパネルを前記開放姿勢へ向けて押し出す弾性体が設けられており、
前記弾性体の押出し力が作用しなくなった後は、パネルが前記開放付勢部材の付勢力によって開放姿勢へ向けて回動させられ且つ前記速度調整部材で回動速度が緩和されることを特徴とするものである。
【0017】
上記において、弾性体は、パネルの背面に所定面積にて当接する緩衝材であり、パネルが閉鎖姿勢でロックされているときに前記緩衝材が収縮し、その膨張復元力によりパネルに対して前記開放姿勢へ向けた押圧力が作用するスポンジなどの発泡樹脂、合成ゴムなどの緩衝材であることが好ましい。
【0018】
また本発明は、装置本体の前面を覆う閉鎖姿勢と装置本体の前方へ倒れる開放姿勢との間を移動できるように回動可能に支持されたパネルと、パネルを前記開放姿勢の方向へ付勢する開放付勢部材と、パネルが開放姿勢の方向へ回動する速度を緩和する速度調整部材とを有するパネル開閉装置において、
装置本体側には、閉鎖姿勢とされたパネルに掛止されてパネルをロックするロック位置とパネルから離れるロック解除位置との間で移動するロック部材と、ロック部材を前記ロック位置へ付勢するロック付勢部材と、
ロック部材がロック解除位置から前記ロック位置へ復帰する速度を遅延させる復帰遅延機構とが設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
上記において、復帰遅延機構は、ロック部材の復帰速度を緩和する速度調整部材、または、ロック部材とこのロック部材を支持する支持部との間に設けられた摩擦機構により構成される。速度調整部材は、例えば高粘性流体が羽根などにより撹拌させられるときの抵抗を利用した回転ダンパーである。また摩擦機構は、ロック部材と支持部との間にフェルトなどの摩擦板を介装させ、または摩擦板とばねワッシャを介装させることにより形成される。
【0020】
【作用】
本発明では、操作面などを有するパネルが、車載用音響機器などの装置本体の前面に回動自在に支持されており、パネルは装置本体の前方へ倒れる開放姿勢へ付勢されるとともに、回転ダンパーなどの速度調整部材により、パネルが開放姿勢へ回動するときの速度が遅延するように調整されている。
【0021】
第1の発明では、装置本体の前面またはパネルの背面に弾性体が設けられ、パネルが閉鎖姿勢でロックされているときに、パネルが弾性体により常に開放姿勢方向へ弾圧されているものとなる。よって、ロック部材がロック解除方向へ移動し、パネルのロックが解除されると、前記弾性体の押圧力によりパネルは装置本体から迅速に離れ、ロック部材がロック可能な姿勢に復帰するまでの間に、パネルがロック部材によりロックされない位置へ確実に移動できる。弾性体がパネルを開放方向へ押し出すのはロック解除後の一瞬だけであり、その後は、パネルが速度調整部材による速度緩和作用を受け、開放姿勢へゆっくり回動する。この弾性体を設けておくことにより、一旦ロックが解除された後に、ロック部材によりパネルが再ロックされることがなく、パネルは確実に開放姿勢へ回動できるものとなる。
【0022】
またパネルが装置本体の前面を覆う閉鎖姿勢にロックされているとき、弾性体がパネルを前方へ押圧し続けている。よってパネルと装置本体との間に隙間が形成されていても、車体振動などによりパネルと装置本体の前面とが当たってがたつき音が生じるのを防止できるものとなっている。特に弾性体をスポンジなどの発泡樹脂、合成ゴムなどの緩衝材により形成し、ロック状態のパネルの背面に緩衝材が所定の面積にて当たるものとなっていると、パネルを閉鎖姿勢方向へ強く押して、パネルが閉鎖姿勢でロックされる際に、パネルの閉鎖姿勢への回動衝撃を緩衝材により吸収できる。
【0023】
また、緩衝材は、一定の面積で一定の厚さのシート状のものとし、これを装置本体の前面に貼着しておくことにより、弾性体を装置本体に取り付けることができ、弾性体の取付構造が簡単である。なお、装置本体の前面に緩衝材の外形寸法にほぼ一致した凹部を形成し、この凹部内に緩衝材を貼着しておけば、パネルが閉鎖姿勢へ回動させられたときの回動衝撃により、緩衝材の貼着位置にずれが生じることもなくい。また緩衝材の外周が凹部により拘束されるため、長期間の使用によって緩衝材の外径寸法がその面方向に広がって、厚みが薄くなり、充分な緩衝作用が得られなくなるという問題が発生することもない。
【0024】
第2の本発明では、ロック部材がばねなどの付勢部材によりロック可能な方向へ付勢されているが、ロック部材が一旦ロック解除方向へ移動させられた後に、ロック可能な方向へ復帰する際の速度が復帰遅延機構により、遅延させられるものとなる。よって閉鎖姿勢にあるパネルのロックが解除された後に、パネルが開放姿勢へゆっくり回動するが、ロック解除方向へ移動したロック部材の復帰動作もゆっくりしたものとなるため、開放姿勢へ回動するパネルがロック部材により再ロックされることがない。
【0025】
上記復帰遅延は、例えばロック部材のロック位置への復帰の際に回転ダンパーなどの速度調整部材を動作させることにより実現でき、またはロック部材と支持体との間に摩擦機構を構成しておくことにより実現できる。
【0026】
【実施例】
図1は、本発明の第1実施例を示すものであり、車載用カセットテーププレーヤを示す斜視図、図2は図1のII−II線の断面図、図3は第2実施例を示すものであり、復帰遅延機構の一例を示す側面図、図4は復帰遅延機構の他の例を示す分解斜視図である。
図1と図2に示すカセットテーププレーヤでは、本発明の特徴となる部分以外の構造が図5ないし図7に示すものと同じ構造である。車載用カセットテーププレーヤA1の装置本体は、筐体2とその前面に固定されたノーズ部1の枠体1bとから構成される。筐体2は自動車のコンソールパネル内に埋設され、合成樹脂製の枠体1bは筐体2の前面に固定されている。操作パネル1a(化粧部)は、支点5により、枠体1bの支持腕13aに対して回動自在に支持されている。また、支点5を形成する軸に外装された付勢部材としてのねじりばね12により、操作パネル1aは開放姿勢α1の方向へ付勢されている。
【0027】
操作パネル1aには扇ギヤ11が支点5を中心として設けられ、枠体1b側には軸10aと小ギヤ10が回動自在に支持され、小ギヤ10が前記扇ギヤ11と噛合っている。図1に示すように、枠体1bには速度調整部材として回転ダンパー10bが設けられ、前記軸10aはこの回転ダンパー10bに回転自在に支持されている。回転ダンパー10bは内部にシリコンオイルなどの高粘性流体が封入されており、前記軸10aに設けられた羽根がこの高粘性流体内にて回転するものとなっている。
【0028】
通常は、図5に示すように操作パネル1aは閉鎖姿勢α2に位置しており、カセットテープの出し入れを行なうときにのみ、図1に示すように、操作パネル1aが装置本体の前方へ倒れる開放姿勢α1へ回動させられる。この開放姿勢α1方向への回動力はねじりばね12の弾性力により発揮されるが、この回動動作の際に、扇ギヤ11により小ギヤ10が回転させられ、回転ダンパー10bが抵抗力を発揮し、操作パネル1aは開放姿勢α1方向へゆっくり回動する。
【0029】
図5に示したように、操作パネル1aの前面には液晶パネル3aおよび操作スイッチ類3bが配列されている。操作パネル1aの前面の左上部分にはオープンボタン(ロック解除操作部)4が設けられ、このオープンボタン4はスプリング17により前方へ突出している。またオープンボタン4の先端の押圧部4aは操作パネル1aの背面に突出可能となっている。
操作パネル1aは、金属製のプレート9によって背面から支持されており、このプレート9に突片9aが形成されている。枠体1b内にはロックレバー15が支点軸15aにより回転自在に支持されており、付勢部材であるばね14によってβ1方向(ロック方向)へ付勢されている。
【0030】
図1に示す第1実施例では、枠体1bのカセット挿入面1c上に弾性体として緩衝材16が設けられている。緩衝材16は、スポンジなどの発泡樹脂、合成ゴム、クッションラバーなどである。緩衝材16は所定の厚さで所定面積のシート状またはブロック状である。カセット挿入面1c上には窪み(凹部)18が形成されている。この窪み18は緩衝材16の面積にほぼ一致しており、緩衝材16はこの窪み18内に挿入され両面接着テープまたは接着剤で接着固定されている。なお、カセット挿入面1cからの緩衝材16の突出寸法t(図2参照)は、操作パネル1aが閉鎖姿勢α1にてロックされているとき、操作パネル1aの背面のプレート9に対して収縮状態で圧接し、緩衝材16によりロック状態の操作パネル1aをα1方向へ常に弾性的に付勢できる寸法となっている。なお、緩衝材16の外周が窪み18の内周面に囲まれているため、緩衝材16が繰り返し収縮してその面方向の外形が広がって厚みが薄くなるという障害を防止しでき、長期間にわたって安定した荷重で操作パネル1aを付勢することができる。
【0031】
操作パネル1aが閉鎖姿勢α2にあるときには、ロックレバー15の掛止爪8が、プレート9の突片9aに掛止され、操作パネル1aは閉鎖姿勢α2でロックされている。このとき緩衝材16は、カセット挿入面1cとプレート9との間に収縮した状態で挟持され、操作パネル1aは開放姿勢α1の方向へ押圧されている。なお、操作パネル1aを閉鎖姿勢α2の方向へ回動させる際、突片9aの押圧力によりロックレバー15はβ2方向へ回動させられ、その後にばね14の力でβ1方向へ回動し、掛止爪8が突片9aに掛止される。
【0032】
操作パネル1aをα2方向へ押す力が強すぎて、操作パネル1aの背面が枠体1aに衝撃的に当たったとしても、緩衝材16が緩衝機能を発揮し、回動衝撃が枠体1bに大きく作用するのを防止できる。また、操作パネル1aがロック状態のとき、操作パネル1aの背面のプレート9とカセット挿入面1cとの間の隙間内で緩衝材16が収縮して介装され、常に操作パネル1aが前方へ押されているため、例えば車体振動が作用しても、操作パネル1aのプレート9が枠体1bに当たるがたつき音の発生を抑制できる。
【0033】
この状態から、オープンボタン4を指で押すと、オープンボタン4の先端の押圧部4aにより、掛止爪8が押され、ロックレバー15がβ2方向へ回動し、掛止爪8と突片9aとの掛止が解除され、操作パネル1aのロックが解除される。このとき緩衝材16が弾性的に膨張し原形状態に復元する。この膨張力によりプレート9が押され、操作パネル1aは開放姿勢α1方向へ押し出される。オープンボタン4から手を離すと、オープンボタン4はスプリング17の力で復帰し、またロックレバー15はばね14の付勢力で直ちにβ1方向へ復帰する。ただしロック解除直後に緩衝材16により操作パネル1aはα1方向へ押し出されるため、掛止爪8がβ1方向へ復帰したときに、突片9aは枠体1bから離れており、掛止爪8が突片9aに再掛止され、操作パネル1aが再ロックされることはない。
【0034】
緩衝材16は、原形まで弾性復元された後はそれ以上膨張することはないので、操作パネル1aはロック解除直後のみ緩衝材16に押し出されるが、その後は緩衝材16の力は操作パネル1aに作用せず、操作パネル1aはねじりばね12の付勢力を受け、また回転ダンパー10bの回転抵抗を受けて、開放姿勢α1方向へゆっくり回動する。
【0035】
上述の第1実施例において、緩衝材16は、カセット挿入面1cの一ヶ所にのみ貼付されるのだけではなく、カセット挿入面1cの他の複数の位置に貼付されたものであってもよい。さらに、カセット挿入面1c側に貼付されるのではなく、操作パネル1aの背面側に貼付されたものであってもよい。
【0036】
第2実施例では、図1に示す緩衝材16は設けられず、図3に示すようにロックレバー15に復帰遅延機構が設けられる。あるいは緩衝材16と復帰遅延機構が併用されてもよい。
【0037】
図3では、枠体1b内に支点軸15aにより回動自在に支持されているロックレバー15にギヤ歯15bが一体に形成されている。このギヤ歯15bは支点軸15aを中心とする一定半径のピッチ円P上に一致するように、ロックレバー15の側面に部分的に形成されている。前記支点軸15aは、枠体1bから一体に延びるブラケット13に支持されているが、このブラケット13には、ダンパー軸21が設けられこのダンパー軸21と一体のダンパーギヤ19が前記ギヤ歯15bと噛み合っている。
【0038】
前記ダンパー軸21は、速度調整部材である回転ダンパー22に挿入されている。この回転ダンパー22は、図1に符号10bで示したのと同じものであり、内部にシリコンオイルなどの高粘性流体が封入され、ダンパー軸21に設けられた羽根が高粘性流体内を回転するものとなっている。
操作パネル1aが閉鎖姿勢α2でロックされているとき、オープンボタン4が押されると、人間の手の力がオープンボタン4から掛止爪8に作用し、ロックレバー15がβ2方向へ強制的に回転させられ、掛止爪8が突片9aから離れて操作パネル1aのロックが解除される。
【0039】
ロックが解除されると、操作パネル1aは回転ダンパー10bの抵抗により開放姿勢α1方向へゆっくり回転する。また、β2方向への押し力が解除された後のロックレバー15はばね14によりβ1方向へ引き戻されるが、このときギヤ歯15bがダンパーギヤ19を回転させ回転ダンパー22の回転抵抗力が発生する。よってロックレバー15のβ1方向への復帰速度が遅くなり、復帰時間が遅延される。よってロックが解除された後に、掛止爪8が突片9aに掛止されることがなく、操作パネル1aの再ロックがおきないようになっている。
【0040】
なお復帰遅延機構としては、高粘性流体を封入した回転ダンパーの他に、空気中にて羽根が高速で回転する回転エアーダンパーでもよい。またはロックレバー15がβ1方向へ回転するときに、ピストンがシリンダ内で移動し、シリンダ内へ外気がオリフィスを介して吸入されるシリンダダンパーなども使用可能である。
【0041】
図4に示す第3実施例では、復帰遅延機構として摩擦機構が使用されている。ロックレバー15の回動支点となる支点軸15aは、ロックレバー15,摩擦板26,ばねワッシャ27に挿入され、その先端はブラケット(支持部)13に固定される。このときロックレバー15に形成されたボス部15cとブラケット13との間に摩擦板26とばねワッシャ27が密着した状態で介装される。摩擦板26はフェルト板、表面を粗らした樹脂板、金属板などであるが、摩擦係数の比較的高い素材が適している。
【0042】
ロックレバー15が支点軸15aを中心としてβ1およびβ2方向へ回転する際、このロックレバー15に回転抵抗が生じるため、その回動動作を遅延させることができる。すなわち、操作パネル1aのロックが解除され、操作パネル1aが開放姿勢α1方向へ回動するときに、ばね14の付勢力によるロックレバー15のβ1方向への復帰を遅延させることができる。よって掛止爪8と突片9aとの再ロックを防止できる。なお図4に示す摩擦機構は、図3に示すダンパーを使用したものに比べ、復帰遅延機構を低コストにて製造できる。
【0043】
なお、本発明は、車載用のカセットテーププレーヤの操作パネルの開閉装置に限られず、開閉式のAV機器、例えばCD、MD、CD−ROM等の各種記録媒体プレーヤ、レコーダでの開閉式のパネル、または家庭用や事務用の電子機器などにも実施可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明では、パネルが速度調整部材により開閉姿勢へゆっくり回動させられるものにおいて、ロック部材によりパネルのロックが解除された後にロック部材とパネルとの再ロックが生じるのを防止でき、パネルを確実に開放姿勢へ回動させることができる。
【0045】
また装置本体とパネル背面との間に緩衝材を介装させておくと、車体振動などによるパネルのがたつき音の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として車載用カセットテーププレーヤのパネル開閉装置を示す斜視図、
【図2】図1のII−II線の断面図、
【図3】ロックレバーの復帰遅延機構の一例を示す側面図、
【図4】ロックレバーの復帰遅延機構の他の例を示す分解斜視図、
【図5】車載用カセットテーププレーヤのパネル閉鎖状態を示す斜視図、
【図6】従来の車載用カセットテーププレーヤにおいてパネルが開放された状態を示す斜視図、
【図7】図5におけるVII矢視の透視側面図、
【符号の説明】
1a 操作パネル
1b 枠体
1c カセット挿入面
4 オープンボタン
4a 押圧部
6 カセット挿入口
8 掛止爪
9 プレート
9a 突片
10b 回転ダンパー
12 ねじりばね(付勢部材)
15 ロックレバー
15a 支点軸
15b ギヤ歯
16 緩衝材
19 ダンパーギヤ
22 回転ダンパー
27 ばねワッシャ
26 摩擦板
Claims (5)
- 装置本体の前面を覆う閉鎖姿勢と装置本体の前方へ倒れる開放姿勢との間を移動できるように回動可能に支持されたパネルと、パネルを前記開放姿勢の方向へ付勢する開放付勢部材と、パネルが開放姿勢の方向へ回動する速度を緩和する速度調整部材とを有するパネル開閉装置において、
装置本体側には、閉鎖姿勢とされたパネルに掛止されてパネルをロックするロック位置とパネルから離れるロック解除位置との間で移動するロック部材と、ロック部材を前記ロック位置へ付勢するロック付勢部材とが設けられ、
前記装置本体とパネル背面との間には、閉鎖姿勢でロックされているパネルを開放姿勢へ向けて押圧するとともにロック部材によるロックが解除されたときにパネルを前記開放姿勢へ向けて押し出す弾性体が設けられており、
前記弾性体の押出し力が作用しなくなった後は、パネルが前記開放付勢部材の付勢力によって開放姿勢へ向けて回動させられ且つ前記速度調整部材で回動速度が緩和されることを特徴とするパネル開閉装置。 - 弾性体は、パネルの背面に所定面積にて当接する緩衝材であり、パネルが閉鎖姿勢でロックされているときに前記緩衝材が収縮し、その膨張復元力によりパネルに対して前記開放姿勢へ向けた押圧力が作用する請求項1記載のパネル開閉装置。
- 装置本体の前面を覆う閉鎖姿勢と装置本体の前方へ倒れる開放姿勢との間を移動できるように回動可能に支持されたパネルと、パネルを前記開放姿勢の方向へ付勢する開放付勢部材と、パネルが開放姿勢の方向へ回動する速度を緩和する速度調整部材とを有するパネル開閉装置において、
装置本体側には、閉鎖姿勢とされたパネルに掛止されてパネルをロックするロック位置とパネルから離れるロック解除位置との間で移動するロック部材と、ロック部材を前記ロック位置へ付勢するロック付勢部材と、
ロック部材がロック解除位置から前記ロック位置へ復帰する速度を遅延させる復帰遅延機構とが設けられていることを特徴とするパネル開閉装置。 - 復帰遅延機構は、ロック部材の復帰速度を緩和する速度調整部材である請求項3記載のパネル開閉装置。
- 復帰遅延機構は、ロック部材とこのロック部材を支持する支持部との間に設けられた摩擦機構である請求項3記載のパネル開閉装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12712795A JP3583506B2 (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | パネル開閉装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP12712795A JP3583506B2 (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | パネル開閉装置 |
Publications (2)
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