JP3583269B2 - 貼り合わせ型光ディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貼り合わせ型光ディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光学式ビデオディスクなどの貼り合わせ型光ディスクは、第1の情報記録面を有する第1の基板と、第2の情報記録面を有する第2の基板とをホットメルト型粘着剤などを用いて貼り合わせたものであり、第1の情報記録面の情報信号は第1の基板を介してレーザビームを照射して読み取り、第2の情報記録面の情報信号は第2の基板を介してレーザビームを照射して読み取っていた。そして、一方の情報記録面を読み取った後他方の情報記録面を読み取る場合、ディスクを裏返すか、あるいは光学ヘッドを他方の情報記録面側に移動させていた。
【0003】
そこで、一方の情報記録面(反射膜)を入射するレーザビームに対して一部を反射し、一部を透過する半透過性としかつ情報記録面間の接着剤層(中間層)を光透過性として、一方の基板側からレーザビームを照射して両方の情報記録面を再生することができるタイプの貼り合わせ型光ディスクが提案されている。
【0004】
このようなタイプの貼り合わせ型光ディスクを製造するに際して、接着剤層に液状の紫外線硬化型樹脂を用いるか、あるいは光透過性シートを用いることが考えられている。前者の場合、接着剤層に気泡が混入しやすく、接着剤層の厚さを均一にすることが難しく、また、後者の場合、接着剤層の厚さを均一にすることは容易であるが基板と半透過性の反射膜の間に異物が存在すると反射膜に応力がかかりひび割れなどの欠陥が生じることを見いだした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に基づいてなされたものであり、信頼性の向上した一方の基板側からレーザビームを照射して両方の情報記録面を再生することができるタイプの貼り合わせ型光ディスクを効率良く製造できる方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の貼り合わせ型光ディスクの製造方法は、片面に第1の情報記録面を有する第1の光透過性基板の第1の情報記録面上に、入射光の一部を反射し一部を透過する半透過の第1の反射膜を形成する工程と、片面に第2の情報記録面を有する第2の光透過性基板の第2の情報記録面上に、第1の反射膜より高い反射率を有する第2の反射膜を形成する工程と、第1及び第2の光透過性基板の内の一方の基板の反射膜上に液状の紫外線硬化型樹脂を塗布して未硬化状態の保護膜を形成する工程と、第1の光透過性基板と第2の光透過性基板の間に光透過性シートをはさみ、保護膜と光透過性シートとを対向させ、加圧して貼り合わせる工程と、第1の光透過性基板側から紫外線を照射して保護膜を硬化させる工程とを有し、前記加圧貼り合せ工程の前に、前記第1及び第2の光透過性基板の内の一方の基板の反射膜上に形成された未硬化状態の保護膜の外周縁部を除く領域に紫外線を照射して硬化させる工程を有するとともに前記加圧貼り合せ工程において高圧プレスすることを特徴とする。
【0014】
【作用】
本発明による貼り合わせ型光ディスクの製造方法では、第1又は第2の反射膜上に液状の紫外線硬化型樹脂を塗布して未硬化状態の保護膜を形成し、第1及び第2の光透過性基板の間に光透過性シートをはさみ、保護膜と光透過性シートとを対向させ、貼り合せるようにしたので第1及び第2の反射膜に不要な応力を発生させず、均一な中間層を得ることができる。
【0015】
また、塗布される紫外線硬化型樹脂は、室温未硬化状態での粘度を15〜400cpsでかつ保護膜の未硬化状態での厚さを5〜10μmとしたので、ディスクの厚さ構成への影響を少なくすることが可能となる。
【0016】
また、中間層(光透過性シート)として、室温未硬化状態での粘度が3,500〜400,000Pでかつ未硬化状態での厚さが30〜60μmのドライ光硬化性フィルム又は厚さが30〜60μmのアクリル系粘着剤からなる粘着シートを用いることにより、ディスクの厚さ構成への影響を少なくすることが可能となる。
【0017】
また、中間層(光透過性シート)として、厚さが30〜60μmである粘着シートを用いることにより、デイスクの変形を防止することが可能となる。
【0018】
また、半透過の第1の反射膜は、金薄膜又は又は誘電体薄膜からなるようにしたので、安定した貼り合わせ型光ディスクの製造が可能となる。
【0019】
また、加圧貼り合せ工程を減圧空間内で行うようにしたので紫外線硬化型樹脂への気泡の混入を防止することができ、気泡による外観不良や貼り合せ時の接着不良が防止できる。
【0020】
また、加圧貼り合せ工程の前に、第1及び第2の光透過性基板の内の一方の基板の反射膜上に形成された未硬化状態の保護膜の外周縁部を除く領域に紫外線を照射して硬化させ、外周縁部のみを未硬化状態とし、加圧貼り合せ工程において高圧プレスすることにより、外周縁部の気泡残りを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の光ディスクの積層構造の一例を示す説明図である。
【0022】
図1に示すように、この光ディスクは、第1の光透過性基板1側から第2の光透過性基板7側に向かって、順次、第1の光透過性基板1、第1の反射膜2、第1の保護膜3、中間層4、第2の保護膜5、第2の反射膜6、第2の光透過性基板7が積層された構造を有している。そして、第1の光透過性基板の第1の反射膜2側表面、及び第2の光透過性基板の第2の反射膜6側表面には、それぞれ第1の情報信号を担持する第1のピット8、及び第2の情報信号を担持する第2のピット9が形成されており、これらのピット8、ピット9は、いずれも第1の光透過性基板1側から照射した再生用ビームによって読み取ることができる形状を有している。
【0023】
第1の光透過性基板1及び第2の光透過性基板7の形成材料は、光透過性を有しているものであればよく、例えばポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂、光学ガラスなどの透明材料が挙げられる。
各種透明材料のなかでも、ポリカーボネートは、耐環境性に優れ、また寸法安定性にも優れていることから好適に用いられる。
【0024】
これらの光透過性基板1、7は、その形成材料が樹脂である場合には、例えばキャビティ内にスタンパーが配置された金型を用いる射出成形により一体的に形成され、同時に表面のピットも形成される。
【0025】
光透過性基板の形状及び大きさは、この光ディスクの用途に応じて適宜に決定すればよい。例えば近年話題となっているデジタルビデオディスク(DVD)の場合、各光透過性基板1、7は、それぞれ、直径120mm程度で中心部に直径15mm程度のセンターホールを有する円盤状であり、その厚さは、0.6mm程度である。
【0026】
第1の光透過性基板1及び第2の光透過性基板7に形成されているピット8、9の深さは、通常、0.02〜1μm、好ましくは0.05〜0.3μmである。この深さが0.02μm未満であると、情報の読み出しが正確に行えないことがある。一方、1μmよりも深くしても、それに相当する効果は奏されない。
【0027】
本発明においては、再生時に第1の光透過性基板1側から照射した再生用ビームが第2のピット9にまで到達する必要があるので第1の光透過性基板1上に積層されている第1の反射膜2は、入射した光ビームの一部を透過し一部を反射する半透過膜となっている。従って、光ディスクの製造時に半透過膜である第1の反射膜2を通して第1の反射膜2と第2の反射膜6の間に挟まれた未硬化の中間層用材料に紫外線を到達させて該中間層用材料を硬化させることができる。
【0028】
半透過性を有する第1の反射膜としては、例えば、一般的な反射膜よりも薄い金属膜を例示することができ、より具体的には、金属膜を例示することができ、より具体的には、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)などからなる厚さ100〜200オングストローム程度の金薄膜又はシリコンカーバイド、シリコンナイトライド等の誘電体薄膜を例示することができる。第1の反射膜2の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
【0029】
一方、第2の光透過性基板7上に積層されている第2の反射膜6は、第1の反射膜2と異なり、半透過性である必要はない。第2の反射膜6の形成材料としては、例えばアルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)合金、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などが挙げられる。これらのなかでも、好ましいのはアルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)合金である。第2の反射膜6の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。このような第2の反射膜6の厚さは、通常、0.05〜0.2μm、好ましくは0.08〜0.12μmである。
【0030】
第1の反射膜2上に積層されている第1の保護膜3、及び第2の反射膜6上に積層されている第2の保護膜5は、中間層を積層する前の第1の反射膜2あるいは第2の反射膜6の露出面を保護するためのものであり、反射膜が露出したままの半製品を移送したり保管したりするような場合に有用である。
【0031】
第1の保護膜3と第2の保護膜5は、第1の反射膜2の場合と同様の理由から、入射した光ビームの少なくとも一部が透過可能でなければならない。そして、第1の反射膜2は、ピット8に担持された第1の情報信号を再生するために再生用ビームの一部を反射する半透過性を有していなければならないのに対して、第1の保護膜3と第2の保護膜5は、むしろ再生用ビームや硬化用紫外線の透過に全く影響を与えないものである方が好ましいので、実質的に100%の光透過性を有することが好ましい。
【0032】
第1の保護膜3は第1の反射膜2上に、そして第2の保護膜5は第2の反射膜6上に、それぞれ形成される。これらの保護膜3、5の形成材料としては、例えば、紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。これらの保護膜3、5は、液状の紫外線硬化型樹脂を反射膜2、6上にそれぞれスピンコートすることによって塗布形成される。塗布された紫外線硬化型樹脂は、室温未硬化状態での粘度が15〜400cps、好ましくは15〜50cpsでかつ厚さが5〜10μmである。粘度が400cps以上であると貼り合わせ時気泡残りが発生する恐れがある。
【0033】
中間層4は、厚さが30〜60μm、より好ましくは50μm程度である光透過性シートからなり、例えば、光透過性のアクリル系粘着剤からなる粘着シート又は光透過性のドライ光硬化性フィルムなどが用いられる。ドライ光硬化性フィルムを用いる場合、未硬化の状態でかつフィルム状の形態で第1の保護膜3と第2の保護膜5の間に接着積層された後、紫外線により硬化されて形成される。このドライ光硬化性フィルムは、室温未硬化状態での粘度が3,500〜400,000Pでかつ未硬化状態での厚さが30〜60μmであり、かつ紫外線の照射により硬化する性質を有し、実質的に溶剤を含まないものである。
【0034】
光透過性シートの厚さが5μm未満であると、2つのピット・グルーブの形成面の間の間隔が狭すぎるので、第2の光透過性基板7上の第2のピット・グルーブの形成面にビームを照射して再生を行う際に、第1の光透過性基板1上に形成された第1のピット・グルーブの影響を受けることがある。一方、ドライ光硬化性フィルムを用いる場合にはその厚さが200μmを超えると未硬化状態での保存中にフィルムにしわが発生し易くなって取り扱い上不便であり、また、反射膜上あるいは保護膜上に接着積層された後の硬化収縮による応力が過大になることがある。
【0035】
また、ドライ光硬化性フィルムの室温未硬化状態での粘度が3,500ポイズ未満であると、ほぼ液状となりフィルム形状が維持されなくなったり、反射膜上あるいは保護膜上に接着積層された後の硬化収縮が過大になるなどの問題を生じることがある。一方、この粘度が400,000ポイズを超えると、光ディスクの生産工程において混入した気泡が残存し易くなり、また反射膜あるいは保護膜への密着力が低下して実用に供せなくなることがある。
【0036】
このようなドライ光硬化性フィルムは、架橋及び/又は重合により高分子量ポリマーに変化する光硬化性樹脂組成物により形成され、そのような光硬化性樹脂組成物としては、例えば光重合型感光性樹脂組成物が挙げられる。
【0037】
この光重合型感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤及びバインダーポリマーを含有する。
ここで、エチレン性不飽和モノマーとしては、例えばt−ブチルアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、デカメチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキセンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジアクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ−(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ブタントリオールトリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレートなどが挙げられる。
【0038】
例えばこれらのエチレン性不飽和モノマーは一種単独で、あるいは2種以上が組み合わされて用いられる。
光重合型感光性樹脂組成物におけるエチレン性不飽和モノマーの含有率は、通常、5〜90重量%、好ましくは15〜50重量%である。
【0039】
光重合開始剤としては、例えば9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントレキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、アントラキノンα−スルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、レテンキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン等の多核キノン類、ベンゾイン、ピバロイン、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン、フェナジン、オキサジン、ミヒラ−ケトン、ベンゾフェノン、シクロヘキサジエン化合物などが挙げられる。例えばこれらの光重合開始剤とともに増感剤を用いることも好ましい。
【0040】
例えばこれらの光重合開始剤は一種単独で、あるいは2種以上が組み合わされて用いられる。
光重合型感光性樹脂組成物における光重合開始剤の含有率は、通常、0.5〜30重量%、好ましくは1〜5重量%である。
【0041】
バインダーポリマーとしては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテート/アクリレート、ポリビニルアセテート/メタクリレート、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリスチレンポリマーおよびコポリマー、ビニリデンクロリド/アクリロニトリル、ビニリデンクロリド/メタクリレートとビニリデンクロリド/ビニリデンアセテートとのコポリマー、ポリビニルクロリドおよびコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリル、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、2−クロロブタジエン−1,3−ポリマー、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマー、アクリレート基またはメタクリレート基を含むエポキシド、コポリエステル、ポリアミド、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリホルムアルデヒドなどが挙げられる。
【0042】
例えばこれらのバインダーポリマーは、一種単独で、あるいは2種以上が組み合わされて用いられる。
光重合型感光性樹脂組成物におけるバインダーポリマーの含有率は、通常、5〜90重量%、好ましくは15〜50重量%である。
例えばこれらの成分を含有する光重合型感光性樹脂組成物は、ドライ光硬化性フィルムの室温未硬化状態における粘度が前記の範囲を逸脱しない範囲で他の成分、例えば可塑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光漂白剤、熱安定剤、剥離剤などを含有していてもよい。
【0043】
光重合型感光性樹脂組成物におけるこれらの成分の含有率は、可塑剤については、通常、0〜25重量%、好ましくは5〜15重量%であり、その他の成分については、通常、0〜5重量%、好ましくは1〜4重量%である。
【0044】
また、ドライ光硬化性フィルムを形成する光硬化性組成物としては、前記光重合型感光性樹脂組成物の他に、例えば光2量型感光性樹脂組成物、光架橋型感光性樹脂組成物が挙げられる。
【0045】
上述のように、粘着シート又はドライ光硬化性フィルムからなる中間層は、シート状(フィルム状)の形態で第1の保護膜3と第2の保護膜5の間に接着積層されて形成されたものである。そして、粘着シート又はドライ光硬化性フィルムと保護膜との接着は、この粘着シート又はドライ光硬化性フィルムの粘着力を利用して行われる。
【0046】
また、粘着シート又は光硬化後のドライ光硬化性フィルムの屈折率は、通常、1.40〜1.60であり、第1の光透過性基板1及び第2の光透過性基板7の屈折率との差が0.05以下であることが好ましい。
【0047】
図1において、第1の光透過性基板1上のピット8に担持されている第1の情報信号と第2の光透過性基板7上のピット9に担持されている第2の情報信号とは、通常、第1の光透過性基板1側から照射されたレーザ光の反射光により読み取られる。
【0048】
以上説明したような本発明の光ディスクは、積層された複数のピット・グルーブ層にそれぞれ担持されている情報信号を、第1の光透過性基板側から再生用ビームを照射することによって、読み取り障害を起こすことなく、同時あるいは連続的に再生することが可能である。従って、単位ディスク面積当たりの記録密度を向上させ、再生時間を長くし、さらに、複数のピックアップを使用すればデータ転送レートを高めることもできる。例えば、同一フォーマットで同一の記録密度を有するピット・グルーブ層を1層だけ有する場合に比べて、再生時間又はデータ転送レートが1.5〜2倍になる。また、本発明の光ディスクは、ディスクの片面からだけ再生用ビームを照射すればよいので、第1のピット・グルーブ形成面の再生が終了してから第2のピット・グルーブ形成面を連続的に再生(あるいはその逆の順で再生)したい場合に、人手や再生装置内の機械で光ディスクを裏返したり、再生装置内の機械でピックアップを光ディスクの反対側の面に移動させたりする必要もない。
【0049】
上記本発明の光ディスクは、以下に説明する方法により効率良く製造される。
図2は、本発明の製造方法の第1の実施形態を示す工程図である。
図2(a)に示すように、この方法においては、先ず、片面に第1の情報信号を担持するピット8が形成されている第1の光透過性基板1を準備する。なお第1の光透過性基板1には、ピット8に代えて第1の情報信号を担持するグルーブが形成されていてもよい。第1の情報信号を担持するピット8は、第1の光透過性基板1のピット・グルーブ形成面とは反対側の方向から照射した再生用ビームによって読み取れるように、凹状を有している。
【0050】
第1の光透過性基板1は、例えば、キャビティ内にスタンパーが配置された金型を用いてポリカーボネートなどの透明性樹脂を射出成形することによって得られる。
【0051】
次に、図2(b)に示すように、第1の光透過性基板1のピット・グルーブ形成面に、第1の反射膜2(第1工程)、第1の保護膜3(第2工程)を順に形成する。
第1の反射膜2は、入射した光ビームの一部が透過可能であることが必要であり、入射光の30%程度を反射し、入射光の60%程度を透過するものが好ましい。半透過性を有する第1の反射膜としては、例えば、一般的な反射膜よりも薄い金属膜を例示することができ、より具体的には、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)などからなる厚さ100〜200オングストローム程度の金属膜又はシリコンカーバイド、シリコンナイトライド等の誘電体薄膜を例示することができる。第1の反射膜2の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。第2の反射膜6の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
【0052】
第1の保護膜3は、入射した光ビームの少なくとも一部が透過可能であることが必要であり、実質的に100%の光透過性を有することが好ましい。
第1の保護膜3は、室温未硬化状態での粘度が15〜400cps、好ましくは15〜50cps の液状の紫外線硬化型樹脂を第1の反射膜2上にスピンコートすることによって塗布形成され、その未硬化状態での厚さが5〜10μmである。
【0053】
なお、第1の保護膜3は、この段階で液状の未硬化状態の層であり、後述する第6工程において、紫外線が照射され硬化する。
【0054】
上記図2(a)〜(b)の工程を経ることによって、第1の光透過性基板1上に、第1の反射膜2と第1の保護膜3が積層された半製品が得られる。一方、図2(a)〜(b)の工程と並列的に進められる図2(c)〜(d)の工程を経ることによって、第2の光透過性基板7上に、第2の反射膜6と第2の保護膜5が積層された半製品が得られる。
【0055】
図2(c)〜(d)の工程図においては、先ず、図2(c)に示すように、片面に第2の情報信号を担持するピット9が形成されている第2の光透過性基板7を準備する。なお、第2の光透過性基板7には、ピット9に代えて第2の情報信号を担持するグルーブが形成されていてもよい。第2の情報信号を担持するピット9は、第2の光透過性基板7のピット・グルーブ形成面側の方向から照射した再生用ビームによって読み取れるように形成されている。
【0056】
第2の光透過性基板7は、第1の光透過性基板1と同様に、例えば、キャビティ内にスタンパーが配置された金型を用いてポリカーボネートなどの透明性樹脂を射出成形することによって得られる。
【0057】
次に、図2(d)に示すように、第2の光透過性基板7のピット・グルーブ形成面に、第2の反射膜6、第2の保護膜5を順に形成する。
第2の反射膜6は、第1の反射膜2と異なり、半透過性である必要はない。
【0058】
第2の反射膜6の形成材料としては、例えばアルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)合金、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などが挙げられる。これらのなかでも、好ましいのはアルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)合金である。第2の反射膜6の形成方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。このような第2の反射膜6の厚さは、通常、0.05〜0.2μm、好ましくは0.08〜0.12μmである。
【0059】
第2の保護膜5は、第1の保護膜3と同様に、入射した光ビームの少なくとも一部が透過可能であることが必要であり、実質的に100%の光透過性を有することが好ましい。そして、この第2の保護膜5は、室温未硬化状態での粘度が15〜400cps、好ましくは15〜50cpsの液状の紫外線硬化型樹脂を第2の反射膜6上にスピンコートすることによって未硬化状態での厚さが5〜10μmとなるように塗布形成された後、さらに紫外線を照射し硬化させた状態としている。
【0060】
次に、図2(e)に示すように、図2(a)〜(b)の工程で得られた半製品の積層体と図2(c)〜(d)の工程で得られた半製品の積層体とを、保護膜3、5同士が対向する状態下で位置合わせし、さらに両積層体の間に、光透過性シート4aを配置する。
【0061】
ここで、使用に供される光透過性シート4aは、光透過性のアクリル系粘着剤からなる粘着シート又は光透過性のドライ光硬化性フィルムからなり、厚さが30〜60μmである。ドライ光硬化性フィルムは、未硬化のものであり、室温未硬化状態での粘度が3,500〜400,000Pであり、好ましくは20,000〜400,000ポイズであり、かつ紫外線の照射により硬化する性質を有し、実質的に溶剤を含まないものである。
【0062】
ドライ光硬化性フィルムの室温未硬化状態での粘度が3,500ポイズ未満であると、ほぼ液状となりフィルム形状が維持されなくなったり、反射膜上あるいは保護膜上に接着積層された後の硬化収縮が過大になるなどの問題を生じることがある。一方、この粘度が400,000ポイズを超えると、光ディスクの生産工程において混入した気泡が残存し易くなり、また反射膜あるいは保護膜への密着力が低下して実用に供せなくなることがある。
【0063】
また、光透過性シートの厚さは30〜60μm、より好ましくは50μmである。光透過性シートの厚さが5μm未満であると、2つのピット・グルーブの形成面の間の間隔が狭すぎるので、第2の光透過性基板7上の第2ピット・グルーブの形成面にビームを照射して再生を行う際に、第1の光透過性基板1上に形成された第1のピット・グルーブの影響を受けることがある。一方、ドライ光硬化性フィルムを用いた場合その厚さが200μmを超えると、そのようなドライ光硬化性フィルムは未硬化状態での保存中にフィルムにしわが発生し易くなって取り扱い上不便であり、また、反射膜上あるいは保護膜上に接着積層された後の硬化収縮による応力が過大になることがある。
【0064】
光透過性シート4aの供給方法としては、例えば、図2(e)に示すように、フィルム供給ロール11からフィルムを連続的に送り出す方法を例示することができる。図2(e)において、光透過性シート4aは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなるベースフィルム4bと例えばポリエチレン(PE)フィルムからなるカバーフィルム4cとの積層体の形態でフィルム供給ロール11に巻き付けられている。この光透過性シート4aは、フィルム供給ロール11から引き出される。次いで、該フィルムの両面は、例えばベースフィルム巻き取りロール15でベースフィルム4bが巻き取られかつカバーフィルム巻き取りロール14でカバーフィルム4cが巻き取られることによって露出する。そして、両面が露出した光透過性シート4aは、一面側においては保護膜3と対向し、他面側においては保護膜5と対向する状態で2つの積層体の間に配置される。
【0065】
次に、図2(f)に示すように、図2(a)〜(b)の工程で得られた半製品の積層体と図2(c)〜(d)の工程で得られた半製品の積層体とを、光透過性シート4aを介して重ね合わせた後、加圧することによって圧着する(第5工程)。
【0066】
加圧方法は特に限定しないが、ロール加圧法、真空中での加圧法等がある。一例としてロール加圧法を示す。図2(f)においてはオーバーロール31とアンダーロール32によって加圧するロール加圧法を採用している。ロール加圧法による場合には、室温下で加圧し、加圧力は、通常、0.5〜50kg/cm2 、好ましくは5〜20kg/cm2 とする。また、オーバーロール31とアンダーロール32とによる送り速度は、通常、0.05〜10m/分、好ましくは0.1〜2m/分とする。ロール加圧法による場合には、2つの半製品である積層体を貼り合わせている光透過性シート4aは、その一端側から他端側に向かって2つの加圧ロール31、32で送られながら加圧されていくので、光透過性シート4aの内部に混入することのある気泡は、該シート4aの一端側から他端側に向かって絞り込まれていき、最後には他端側から脱泡する。従って、この加圧法によれば中間層内部の気泡をさらに少なくすることができる。
【0067】
このようにして2つの半製品である積層体を貼り合わせた後、さらにカッター20によって外周部やセンターホール部に存在しているシートの不要部分を除去する。
【0068】
なお、上記図2(e)〜(f)においては、2つの積層体の保護膜面側同士を対向させた間に光透過性シートを配置して挟み込むという手順を踏んでいるが、貼り合わせ工程を一段工程とする必要はない。例えば、一方の積層体の紫外線硬化させた保護膜面側に光透過性シートを積層した後、該光透過性シートの露出面を他方の積層体の未硬化状態の保護膜面側に積層し、さらに加圧することによって両積層体を貼り合わせてもよい。また、一方の積層体の紫外線硬化させた保護膜面側に光透過性シートを積層した後、該光透過性シートの露出面を他方の積層体の液状の紫外線硬化型樹脂が塗布された反射膜上に重ね合せた後、2枚の積層体の中心孔を中心に回転させながら、保護膜を構成する液状の紫外線硬化型樹脂を光透過性シートと反射膜間に充填させるようにしても良い。
【0069】
その後、図2(g)に示すように、光ディスク形状の積層体に、加圧状態下で第1の光透過性基板1を介して紫外線(UV)を照射することによって未硬化状態の第1の保護膜(及び光透過性シートとしてドライ光硬化性フィルムを用いた場合には未硬化状態のドライ光硬化性フィルム4a)が硬化し(第6工程)、本発明の光ディスクが完成する。尚、紫外線(UV)を照射する際、光ディスク形状の積層体を回転させるようにしてもよい。加圧状態下でフィルムを硬化させるのは、図2(a)〜(b)の工程で得られた半製品の積層体と図2(c)〜(d)の工程で得られた半製品の積層体とを強固に貼り合わせるためである。紫外線照射段階での加圧力は、通常、2つの半製品である積層体の間に光透過性シートを積層・圧着する段階での加圧力と同程度とする。
【0070】
図2(g)段階における光ディスク形状の積層体は、第1の光透過性基板1側の第1の反射膜2と第1の保護膜3とが少なくとも半透過性を有している。従って、光透過性シート4aとしてドライ光硬化性フィルムを用いる場合光ディスク形状の積層体の内部に存在する未硬化状態のドライ光硬化性フィルムは、該積層体の第1の光透過性基板1側から紫外線を照射することによって硬化させることができる。この硬化に要する紫外線の照射エネルギーは、通常、100mJ/cm2 以上であり、好ましくは1,000mJ/cm2 程度である。
【0071】
図3は、本発明の製造方法の第2の実施形態を示す工程図である。
この方法においては、先ず、キャビティ内にスタンパーが配置された金型を用いてポリカーボネートなどの透明性樹脂を射出成形することによって、片面に第1の情報信号を担持するピット8が形成されている第1の光透過性基板1及び片面に第2の情報信号を担持するピット8が形成されている第2の光透過性基板7を準備する。
【0072】
次に、図3(a)に示すように、第1の光透過性基板1のピット8が形成された情報記録面上に図2の場合と同様に半透過性の第1の反射膜2を形成する。ここで、第1の反射膜2は、内周及び外周非記録部を除いてスパッタリング法などにより、形成される。次に、図3(b)に示すように、第1の反射膜2上に、室温未硬化状態での粘度が15〜400cps、好ましくは15〜50cpsの液状の紫外線硬化型樹脂をスピンコートすることにより、未硬化状態の第1の保護膜3を塗布形成する。この図3(a)〜(b)の工程を経ることによって、第1の光透過性基板1上に、第1の反射膜2と第1の保護膜3が積層された半製品が得られる。
【0073】
一方、図3(a)〜(b)の工程と並列的に進められる図3(c)〜(e)の工程を経ることによって、第2の光透過性基板7上に、第2の反射膜6、第2の保護膜5及び光透過性シート4aが積層された半製品が得られる。すなわち、図3(c)に示すように、第2の光透過性基板7のピット8が形成された情報記録面上に内周及び外周非記録部を除いてスパッタリング法により、全反射性の第2の反射膜6を形成する。次に、図3(d)に示すように、室温未硬化状態での粘度が15〜400cps、好ましくは15〜50cpsの液状の紫外線硬化型樹脂を第2の反射膜6上にスピンコートすることによって未硬化状態での厚さが5〜10μmとなるように塗布形成された後、さらに紫外線を照射し硬化させて、第2の保護膜5を形成する。次に、図3(e)に示すように、第2の保護膜6上に、光透過性シート4aをロールラミネート法により積層形成する。
【0074】
ここで、光透過性シート4aは、光透過性のアクリル系粘着剤からなる粘着シート又は光透過性の未硬化状態のドライ光硬化性フィルムからなり、厚さが30〜60μmである。ドライ光硬化性フィルムは、未硬化のものであり、室温未硬化状態での粘度が3,500〜400,000Pであり、好ましくは20,000〜400,000ポイズであり、かつ紫外線の照射により硬化する性質を有し、実質的に溶剤を含まないものである。
【0075】
次に、図3(f)に示すように、第1の反射膜2、未硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる第1の保護膜3が積層形成された第1の光透過性基板1と、第2の反射膜6、硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる第2の保護膜5、光透過性シート4aが積層形成された第2の光透過性基板7とを、第1の光透過性基板1を下にして保護膜3と光透過性シート4aとが対向して少し離間するようにチャンバー40内に配置し、チャンバー40内を減圧する。
【0076】
次に、図3(g)に示すように、チャンバー40内が所定圧力に減圧された後、未硬化状態の紫外線硬化型樹脂がはみ出さない程度の圧力で第1及び第2の光透過性基板1、7を重ね合わせて仮に貼り合せる。
【0077】
次に、図3(h)に示すように、チャンバー40内をリーク後、所定の圧力で第1及び第2の光透過性基板1、7を重ね合わせて仮に貼り合せている状態で、第1の光透過性基板1側から紫外線を照射して未硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる保護膜3を硬化させる。チャンバー40内のリークにより、貼り合わせ時生じる気泡は大気圧と減圧空間との圧力差によって光学的影響が無視できる程度につぶれる。尚、光透過性シート4aとして光透過性のドライ光硬化性フィルムを用いた場合には、紫外線照射時、保護膜3及びドライ光硬化性フィルムが同時に硬化することになる。
【0078】
図4は、本発明の製造方法の第3の実施形態を示す工程図である。
この方法においては、先ず、キャビティ内にスタンパーが配置された金型を用いてポリカーボネートなどの透明性樹脂を射出成形することによって、片面に第1の情報信号を担持するピット8が形成されている第1の光透過性基板1及び片面に第2の情報信号を担持するピット8が形成されている第2の光透過性基板7を準備する。
【0079】
次に、図4(a)に示すように、第1の光透過性基板1のピット8が形成された情報記録面上に図2の場合と同様に半透過性の第1の反射膜2を形成する。ここで、第1の反射膜2は、内周及び外周非記録部を除いてスパッタリング法などにより、形成される。次に、図4(b)に示すように、第1の反射膜2上に、室温未硬化状態での粘度が15〜400cps、好ましくは15〜50cpsの液状の紫外線硬化型樹脂をスピンコートすることにより、未硬化状態の第1の保護膜3を塗布形成する。さらに、図4(c)に示すように、外周非記録領域に対応する位置にマスクを配し、マスク41を介して紫外線を照射し、外周非記録領域を除く領域の紫外線硬化型樹脂を硬化する一方外周非記録領域に対応する領域の紫外線硬化型樹脂を未硬化状態のままとする。この図4(a)〜(c)の工程を経ることによって、第1の光透過性基板1上に、第1の反射膜2と第1の保護膜3が積層された半製品が得られる。
【0080】
一方、図4(a)〜(c)の工程と並列的に進められる図4(d)〜(f)の工程を経ることによって、第2の光透過性基板7上に、第2の反射膜6、第2の保護膜5及び光透過性シート4aが積層された半製品が得られる。すなわち、図4(d)に示すように、第2の光透過性基板7のピット8が形成された情報記録面上に図2の場合と同様に全反射性の第2の反射膜6を形成する。次に、図4(e)に示すように、室温未硬化状態での粘度が15〜400cps、好ましくは15〜50cpsのの液状の紫外線硬化型樹脂を第2の反射膜6上にスピンコートすることによって未硬化状態での厚さが5〜10μmとなるように塗布形成された後、さらに紫外線を照射し硬化させて、第2の保護膜5を形成する。次に、図4(f)に示すように、第2の保護膜6上に、光透過性シート4aをロールラミネート法により積層形成する。
【0081】
ここで、光透過性シート4aは、光透過性のアクリル系粘着剤からなる粘着シート又は光透過性のドライ光硬化性フィルムからなり、厚さが30〜60μmである。ドライ光硬化性フィルムは、未硬化のものであり、室温未硬化状態での粘度が3,500〜400,000Pであり、好ましくは20,000〜400,000ポイズであり、かつ紫外線の照射により硬化する性質を有し、実質的に溶剤を含まないものである。
【0082】
次に、図4(g)に示すように、第1の反射膜2、外周非記録領域のみ未硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる保護膜3が積層形成された第1の光透過性基板1と、第2の反射膜6、硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる第2の保護膜5、光透過性シート4aが積層形成された第2の光透過性基板7とを、第1の光透過性基板1を下にして保護膜3と光透過性シート4aとが対向して少し離間するようにチャンバー40内に配置し、チャンバー40内を減圧する。チャンバー40内が所定圧力に減圧された後、未硬化状態の紫外線硬化型樹脂がはみ出さない程度の圧力で第1及び第2の光透過性基板1、7を重ね合わせて仮に貼り合せる。
【0083】
次に、図4(h)に示すように、チャンバー40内をリーク後、所定の圧力で第1及び第2の光透過性基板1、7を重ね合わせて仮に貼り合せている状態で、高圧エアーによりプレスする。この際、第1及び第2の光透過性基板1、7の外周エッジのもり上がり部による気泡残りの問題は、液状の紫外線硬化型樹脂の流動性によって解消される。
【0084】
次に、図4(i)に示すように、第1の光透過性基板1側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂からなる保護膜3の未硬化部分を硬化させる。尚、光透過性シート4aとして光透過性シート4aとして光透過性のドライ光硬化性フィルムを用いた場合には、紫外線照射時、保護膜3の未硬化部分6及びドライ光硬化性フィルムが同時に硬化することになる。
【0085】
上述の第1乃至第3の実施形態においては、第2の保護膜5を設けたが、これを省略しても良い。また、第1の光透過性基板の半透過性の第1の反射膜上に液状の紫外線硬化型樹脂からなる未硬化状態の第1の保護膜を形成し、第2の光透過性基板の第2の反射膜上に硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる第2の保護膜を形成し、保護膜を対向させ光透過性シートを介して貼り合せる構成を例示したが、これに限らず第1の光透過性基板の半透過性の第1の反射膜上に硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる第1の保護膜を形成し、第2の光透過性基板の第2の反射膜上に液状の紫外線硬化型樹脂からなる未硬化状態の第2の保護膜を形成し、保護膜を対向させ光透過性シートを介して貼り合せる構成としても良い。この場合、第1及び第2の光透過性基板を重ねて貼り合せる前に、光透過性シートを硬化状態の紫外線硬化型樹脂からなる第1の保護膜上に積層しておいても良い。
【0086】
【発明の効果】
本発明による貼り合わせ型光ディスクの製造方法では、第1又は第2の反射膜上に液状の紫外線硬化型樹脂を塗布して未硬化状態の保護膜を形成し、第1及び第2の光透過性基板の間に光透過性シートをはさみ、保護膜と光透過性シートとを対向させ、貼り合せるようにしたので、第1及び第2の反射膜に不要な応力を発生させず、ひび割れなどの欠陥の発生を防ぎ、均一な中間層を得ることができる。
【0087】
また、塗布される紫外線硬化型樹脂は、室温未硬化状態での粘度を15〜400cpsでかつ未硬化状態での厚さを5〜10μmと比較的薄くしたので、ディスクの厚さ構成への影響も少なく、安定した貼り合わせ型光ディスクの製造が可能となる。
【0088】
また、中間層(光透過性シート)として、室温未硬化状態での粘度が3,500〜400,000Pでかつ未硬化状態での厚さが30〜60μmのドライ光硬化性フィルム又は厚さが30〜60μmのアクリル系粘着剤からなる粘着シートを用いることにより、ディスクの厚さ構成への影響を少なくすることが可能となる。
【0089】
また、中間層(光透過性シート)として、厚さが30〜60μmである粘着シートを用いることにより、デイスクの変形を防止することが可能となる。
【0090】
また、半透過の第1の反射膜は、金薄膜又は誘電体薄膜からなるようにしたので、第1の反射膜の半透過性を満足し、光ディスクの片面側から第1及び第2の各反射膜が担持する情報信号を安定に読み取ることが可能となる。
【0091】
また、加圧貼り合せ工程を減圧空間内で行うようにしたので紫外線硬化型樹脂への気泡の混入を防止することができ、気泡による外観不良や貼り合せ時の接着不良が防止できる。
【0092】
また、加圧貼り合せ工程の前に、第1及び第2の光透過性基板の内の一方の基板の反射膜上に形成された未硬化状態の保護膜の外周縁部を除く領域に紫外線を照射して硬化させ、外周縁部のみを未硬化状態とし、加圧貼り合せ工程において高圧プレスすることにより、外周縁部の気泡残りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスクの積層構造の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態による光ディスクの製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の第2実施形態による光ディスクの製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第3実施形態による光ディスクの製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1 ・・・・・ 第1の光透過性基板
2 ・・・・・ 第1の反射膜
3 ・・・・・ 第1の保護膜
4 ・・・・・ 中間層
4a ・・・・・光透過性シート
5 ・・・・・ 第2の保護膜
6 ・・・・・ 第2の反射膜
7 ・・・・・ 第2の光透過性基板
8 ・・・・・ 第1の情報信号を担持するピット
9 ・・・・・ 第2の情報信号を担持するピット
11 ・・・・・ フィルム供給ロール
20 ・・・・・ カッター
31、32 ・・・・・ 加圧ロール
Claims (1)
- 片面に第1の情報記録面を有する第1の光透過性基板の前記第1の情報記録面上に、入射光の一部を反射し一部を透過する半透過の第1の反射膜を形成する工程と、
片面に第2の情報記録面を有する第2の光透過性基板の前記第2の情報記録面上に、前記第1の反射膜より高い反射率を有する第2の反射膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の光透過性基板の内の一方の基板の反射膜上に液状の紫外線硬化型樹脂を塗布して未硬化状態の保護膜を形成する工程と、
前記第1の光透過性基板と前記第2の光透過性基板の間に光透過性シートをはさみ、前記保護膜と前記光透過性シートとを対向させ、加圧して貼り合わせる工程と、
前記第1の光透過性基板側から紫外線を照射して前記保護膜を硬化させる工程とを有し、
前記加圧貼り合せ工程の前に、前記第1及び第2の光透過性基板の内の一方の基板の反射膜上に形成された未硬化状態の保護膜の外周縁部を除く領域に紫外線を照射して硬化させる工程を有するとともに前記加圧貼り合せ工程において高圧プレスすることを特徴とする貼り合わせ型光ディスクの製造方法。
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