JP3580307B2 - 除霜ヒーター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷蔵庫等の、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの冷却器に付着・堆積した霜を除霜する除霜ヒーター及びこのヒーターの組み立て方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より冷蔵庫に使用されている除霜ヒーターに関するものが、種々知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の除霜ヒーターについて説明する。
【0004】
図4は、従来の冷蔵庫の要部の縦断面図である。図4において、冷蔵庫本体1は、冷凍室2、冷蔵室3、冷凍室扉4、冷蔵室扉5、冷凍室2と冷蔵室3を仕切る仕切壁6、冷凍室2内の空気を吸い込む冷凍室吸込口7、冷蔵室3内の空気を吸込む冷蔵室吸込口8、冷気を吐出する吐出口9、蒸発器10、冷気を循環させるファン11、蒸発器10と冷凍室2を仕切る蒸発器仕切壁12が設けられている。蒸発器10の下方には、ニクロム線をコイル状にしたものをガラス管で覆った除霜ヒーター15、除霜水が除霜ヒーター15に直接滴下して接触するときに発する蒸発音を防止するための屋根16、金属製の底板17が設けられており、桶13で集められた除霜水が排水口14を通って排水される構造となっている。
【0005】
以上のように構成された除霜ヒーターについて、以下その動作を説明する。冷凍室2や冷蔵室3を冷却する場合は、蒸発器10に冷媒が流通して蒸発器10が冷却される。これと同じくしてファン11の作動により、冷凍室吸込口7や冷蔵室吸込口8から冷凍室2や冷蔵室3の昇温空気を冷却室20に送り、蒸発器10で熱交換して冷却されて吐出口9から冷却風を冷凍室2内に送り、冷凍室2から図示していない連通口を通って冷蔵室に冷気を送る。
【0006】
ここで、蒸発器10と熱交換する空気は、冷凍室扉4及び冷蔵室扉5の開閉による高温外気の流入や冷凍室2及び冷蔵室3の保存食品に含まれる水分の蒸発等により高湿化された空気であることから、その空気より低温である蒸発器10に空気中の水分が霜となって着霜・堆積し、堆積量が増加するに従って蒸発器10表面と熱交換する空気との伝熱が阻害されると共に通風抵抗となって風量が低下するために熱通過率が低下して冷却不足が発生する。
【0007】
そこで、冷却不足となる以前に除霜ヒーター15のニクロム線に通電する。ニクロム線に通電が開始されるとニクロム線から蒸発器10や周辺部品に熱線が放射される。このとき、底板17に放射された熱線は底板17の形状から一部がヒーター線に反射され、その他は蒸発器10やその他の周辺部品に向けて反射される。
【0008】
これにより蒸発器10や桶13や排水口14付近に着いた霜を水に融解する。
【0009】
また、このようにして融解した除霜水は、一部は直接桶13に落ち、その他は屋根16により除霜ヒーター15を避けて桶13に落ちて排水口14から庫外に排水される。
【0010】
【特許文献1】
特開平8−54172号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、一般的に除霜ヒーター15のニクロム線表面は言うまでもなくガラス表面温度は非常に高温度であり、更に、底板17は除霜ヒーター15の近傍にあり且つ除霜ヒーター15から放射した熱線の一部を除霜ヒーター15に再度反射していることからガラス管の温度が異常に上昇し、可燃性冷媒の発火温度以上になる。
【0012】
このことから、冷媒として可燃性冷媒を使用した場合に、可燃性冷媒が蒸発器10や庫内と連通している部分に設置されている配管から漏洩しても、除霜ヒータ−15の通電により、着火源になることを防がなければならないという課題を有していた。
【0013】
本発明は上記課題に鑑み、可燃性冷媒が除霜ヒーターの設置雰囲気に漏洩した環境下で除霜が行われた場合においても安全性の高い除霜ヒーターを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、前記除霜ヒーターは、ガラス管と、前記ガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記ガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に前記ガラス管の内部空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔に温度上昇により膨張した前記ガラス管の内部空間の気体を外部へ流出させる弁を設け、かつ前記孔の最小断面積を前記ガラス管内で可燃性冷媒が引火してもその火炎が伝播できない大きさに設定したものである。これによって、リード線挿入孔はリード線によって隙間なく封止され、万が一可燃性冷媒が漏洩してもリード線挿入孔を通じてヒーター線近傍に流入することができないので安全性が確保される。また、ガラス管内の圧力上昇が緩和されガラス管の破裂を防止することができる。さらに万が一可燃性冷媒が漏洩しガラス管内に進入し引火しても火炎が弁によって遮られガラス管の外側へ伝播しないので安全性は確保される。
【0015】
また、たとえ可燃性冷媒が漏洩しガラス管内に可燃性冷媒が進入し引火し、さらに弁が欠落しても、火炎が孔の最小断面積領域を伝播できないので、安全性が確保される。
【0016】
次に請求項2に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、前記除霜ヒーターは、ガラス管と、前記ガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記ガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に前記ガラス管の内部空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔には筒が挿入され、かつ温度上昇により膨張した前記ガラス管の内部空間の気体を前記筒の前記孔側の端部より外部へ流出させる弁を筒の内部に取り付けたものである。
【0017】
これによって、リード線挿入孔はリード線によって隙間なく封止され、万が一可燃性冷媒が漏洩してもリード線挿入孔を通じてヒーター線近傍に流入することができないので安全性が確保される。また、ガラス管内の圧力上昇が緩和されガラス管の破裂を防止することができる。さらに万が一可燃性冷媒が漏洩しガラス管内に進入し引火しても火炎が弁によって遮られガラス管の外側へ伝播しないので安全性は確保される。
【0018】
さらに、筒を介して弁を取り付けることで、弁の装着と位置決めが容易になり、開弁圧が安定し、作業性も向上して低コスト化が図れる。
【0019】
次に請求項3に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、前記除霜ヒーターは、第1のガラス管と、前記第1のガラス管の外周を覆うように設置した第2のガラス管と、前記第1のガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記第1のガラス管と前記第2のガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に、前記第1のガラス管の内部空間及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔に温度上昇により膨張した前記第1のガラス管の内部空間の気体、及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間の気体を外部へ流出させる弁を設け、かつ前記孔の最小断面積を前記ガラス管内で可燃性冷媒が引火してもその火炎が伝播できない大きさに設定したものである。これによって、リード線挿入孔はリード線によって隙間なく封止され、万が一可燃性冷媒が漏洩してもリード線挿入孔を通じてヒーター線近傍に流入することができないので安全性が確保される。また、ガラス管内の圧力上昇が緩和されガラス管の破裂を防止することができる。さらに万が一可燃性冷媒が漏洩し第1のガラス管内に進入し引火しても、その火炎が弁によって遮られ第1のガラス管の外側へ伝播しない。
【0020】
同様に、前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間へ可燃性冷媒が進入し引火しても、その火炎が弁によって遮られ外側へ伝播しないので安全性は確保される。
【0021】
また、たとえ可燃性冷媒が漏洩しガラス管内に可燃性冷媒が進入し引火し、さらに弁が欠落しても、火炎が孔の最小断面積領域を伝播できないので、安全性が確保される。
【0022】
次に請求項4に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、前記除霜ヒーターは、第1のガラス管と、前記第1のガラス管の外周を覆うように設置した第2のガラス管と、前記第1のガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記第1のガラス管と前記第2のガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に、前記第1のガラス管の内部空間及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔には筒が挿入され、かつ温度上昇により膨張した前記第1のガラス管の内部空間の気体、及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間の気体を前記筒の前記孔側の端部より外部へ流出させる弁を筒の内部に取り付けたものであり、これによって、リード線挿入孔はリード線によって隙間なく封止され、万が一可燃性冷媒が漏洩してもリード線挿入孔を通じてヒーター線近傍に流入することができないので安全性が確保される。また、ガラス管内の圧力上昇が緩和されガラス管の破裂を防止することができる。さらに万が一可燃性冷媒が漏洩し第1のガラス管内に進入し引火しても、その火炎が弁によって遮られ第1のガラス管の外側へ伝播しない。
【0023】
同様に、前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間へ可燃性冷媒が進入し引火しても、その火炎が弁によって遮られ外側へ伝播しないので安全性は確保される。
【0024】
さらに、筒を介して弁を取り付けることで、弁の装着と位置決めが容易になり、開弁圧が安定し、作業性も向上して低コスト化が図れる。
【0025】
次に請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、除霜時のガラス管の表面温度が可燃性冷媒の発火温度未満となるような発熱量のヒーター線を用いたものである。これによって、可燃性冷媒漏洩時に除霜が行われても発火せず安全である。
【0026】
次に請求項6に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、除霜時の第2のガラス管の表面温度が可燃性冷媒の発火温度未満となるような発熱量のヒーター線を用いたものである。これによって、可燃性冷媒漏洩時に除霜が行われても発火せず安全である。
【0027】
次に請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記弁は、前記ガラス管内が所定圧力以上になったときに変形し、ガラス管内部の圧力を外部に逃がすものである。これによって、ガラス管内の圧力を一定以下に保つことができ、ヒーター通電時のガラス管の破損や栓の抜けを防止することができる。
【0028】
さらに、万が一可燃性冷媒が漏洩しガラス管内でヒーター線によって引火しても、火炎が弁内を伝播することができないので安全性は確保される。
【0029】
次に請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記弁は、前記ガラス管内部が高圧のときに除霜ヒーター外部に圧力を逃がし、前記ガラス管内部が低圧の場合に前記弁が閉じて前記ガラス管内部を低圧に保つ逆止弁としたものである。これによって可燃性冷媒が弁を通じてガラス管内部に進入することを防ぐことができ、ガラス管内部で着火することが無く、より高い安全性が確保される。
【0030】
次に請求項9に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記ヒーター線と前記リード線とを前記リード線挿入孔に通されるスリーブを介して接続することにより、柔らかいリード線をリード線の直径よりも小さいリード線挿入孔に容易に通すことができ、作業性が向上し低コスト化が図れる。
【0031】
次に請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、前記ガラス管の外側を金属製の管で覆ったことものである。これによって、金属製の管が外郭となりガラス管へ直接水がかかるのを防止することができる。
【0032】
次に請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記金属製の管の表面を着色したものである。これによって、金属製の管からの輻射が増加し、除霜性能を向上させる。さらに管表面の温度上昇を抑制することもできるので表面温度を可燃性冷媒の発火温度以下にする手段として有効である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による除霜ヒーターの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による除霜ヒーターを示す要部断面図である。
【0035】
図1に示すように除霜ヒーター20は、抵抗線をコイル状に形成したヒーター線21を内臓し、ヒーター線21の両端近傍はコイル状ではなく直線状の接続端21aを有する。ヒーター線21を覆う第1のガラス管23は、外径10.5mm程度の両端が開口した円筒形状を成している。
【0036】
第1のガラス管23を覆う第2のガラス管24は、外径20mm程度で両端を開口した円筒形状を成している。
【0037】
ヒーター線21は、導電性のスリーブ28を介してリード線26が接続されている。
【0038】
シリコンゴム製の栓22は、第1のガラス管23と第2のガラス管24の開口端を覆っている。リード線26は栓22に設けられたリード線挿入孔22aを通ってヒーター線21に接続されている。栓22には第1のガラス管23の内部空間23aや、第1のガラス管23と第2のガラス管24で囲まれる空間24aから栓22の外部に通じる孔22bが設けられている。孔22bはその最小断面積が7.1平方ミリメートル以下にしてある。
【0039】
ゴム製の弁25は、孔22bに筒27を介して取り付けられている。弁25は所定の圧力差で一方向にだけ開弁する逆止弁として作用する。
【0040】
図2は本発明の実施の形態による除霜ヒーターを用いた冷蔵庫の冷凍システムの略図である。図2において、圧縮機60、凝縮器61、減圧機構62と蒸発器10が機能的に接続された冷凍サイクルの内部には可燃性冷媒が封入されている。
【0041】
以上のように構成された除霜ヒーターについて、以下にその動作を説明する。圧縮機60の運転により冷凍サイクルの蒸発器10が冷却され、圧縮機60の運転と同時に作動するファン11により冷蔵庫の庫内空気が冷却された蒸発器10を通過し、蒸発器10と熱交換された冷気が庫内へ吐出される。そして、圧縮機60の任意の運転時間が経過後に圧縮機60も運転停止となる。このとき同時にリード線26を通じてヒーター線21に通電し除霜ヒーター20を発熱させる。
【0042】
ヒーター線21が発熱すると、輻射熱線の一部は直接外部へ透過するが、その他は第1のガラス管23、第2のガラス管24と伝わり、第2のガラス管24の表面が可燃性冷媒の発火温度未満の温度へ上昇して外部へ放熱し、周辺部品の除霜を安全に行う。
【0043】
このとき、第1のガラス管23の内部空間23aおよび、第1のガラス管23と第2のガラス管24で囲まれる空間24aでは温度上昇により内部の気体が膨張するが、孔22bを通って弁25から外部に排出されるため、内圧上昇によりガラス管が破損したり、栓22が抜けるようなことは起こらない。そしてこの状態でヒーター線21への通電を停止し再び冷却を開始するとガラス管内部が温度低下により減圧されるが、弁25によって外気の流入が妨げられ除霜ヒーター20の内部は減圧された状態を保つ。したがって、万が一に可燃性冷媒が除霜ヒーター20の周辺に存在しても、除霜ヒーター20の内部に可燃性冷媒が流入しにくくなり着火する可能性を極めて低くすることができる。
【0044】
仮に、何らかの原因でガラス管内部に可燃性冷媒が流入し、ヒーター線21によって着火が起こったとしても、弁25は所定圧力以上になった場合にわずかに開き、内圧が上がりすぎるのを防止するだけで、火炎は弁によって遮断されてしまう為、外部への火炎伝播を防ぐことができる。
【0045】
また、仮に何らかの原因で弁が欠落したとしても、火炎が孔22bを通過できない大きさに設定されている為、火炎が外部に伝播することができず、より高い安全性を確保している。尚、本実施の形態では孔22bの最小断面積を7.1平方ミリメートル以下に設定している。
【0046】
弁25は筒27を介して栓22に取り付けられている。ゴム製の弁25をゴム製の栓22に直接取り付けることは、弁25の位置が定まり難く開弁圧のバラツキを生む原因になる。また組み立て作業性の面でも課題が残る。そこで筒27に弁25を取り付けることで開弁圧も安定し、組み立て作業性も改善される。また筒27における弁25の取り付け部分の寸法を変えることで弁25の開弁圧を変えることができるため、ヒーターの発熱量やガラス管内容積等により最適な開弁圧を設定しやすくなっている。
【0047】
図3に示すように、栓22のリード線挿入孔22aの直径dは、リード線26の直径Dよりも小さく構成されている。したがって組み立て後はリード線26を栓22で締め付けた状態で保持しており、外気がこの部分を通って流入することはない。
【0048】
リード線26はシリコンゴム等の柔らかい被覆である為そのままではリード線挿入孔22aには通しにくい。そのため、まずリード線26の先端にスリーブ28が取り付けられる。そしてスリーブ28をリード線挿入孔22aに通すことで組み立てを容易にしている。
【0049】
尚、上述の実施の形態においては、ガラス管が2重の構造で説明をしたが、ガラス管表面温度が可燃性冷媒の着火点以下であれば1重でもよく、本実施の形態の構成はそのまま適応できる。
【0050】
また、上述の実施の形態においては、ガラス管表面の外側はむき出しであるが、ガラス管の外側を金属製の管で覆ってもよい。これによって、金属製の管が外郭となりガラス管へ直接水がかかるのを防止することができる。
【0051】
さらに、その金属製の管の表面を着色すれば(例えば黒色)、金属製の管からの輻射が増加し、除霜性能を向上させる。その上、管表面の温度上昇を抑制することもできるので表面温度を可燃性冷媒の発火温度以下にする手段として有効である。
【0052】
また、上述の実施の形態においては、除霜ヒーターを適用する機器として冷蔵庫を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく蒸発器を備えた所謂冷却貯蔵庫であればよく、たとえば可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルを備えたショーケースや自動販売機などに広く適用できるものである。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、ガラス管と、前記ガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記ガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に前記ガラス管の内部空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔に温度上昇により膨張した前記ガラス管の内部空間の気体を外部へ流出させる弁を設け、かつ前記孔の最小断面積を前記ガラス管内で可燃性冷媒が引火してもその火炎が伝播できない大きさに設定したので、ガラス管内部で着火が起こっても弁によって外部への火炎伝播を防止できる。
【0054】
また、たとえ可燃性冷媒が漏洩しガラス管内に可燃性冷媒が進入し引火し、さらに弁が欠落しても、火炎が孔の最小断面積領域を伝播できないので、安全性を確保できる。
【0055】
また、請求項2に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、前記除霜ヒーターは、ガラス管と、前記ガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記ガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に前記ガラス管の内部空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔には筒が挿入され、かつ温度上昇により膨張した前記ガラス管の内部空間の気体を前記筒の前記孔側の端部より外部へ流出させる弁を筒の内部に取り付けたので、ガラス管内部で着火が起こっても弁によって外部への火炎伝播を防止できる。
【0056】
さらに、筒を介して弁を取り付けることで、弁の装着と位置決めが容易になり、開弁圧を安定させることができる。
【0057】
また、請求項3に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、前記除霜ヒーターは、第1のガラス管と、前記第1のガラス管の外周を覆うように設置した第2のガラス管と、前記第1のガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記第1のガラス管と前記第2のガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に、前記第1のガラス管の内部空間及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔に温度上昇により膨張した前記第1のガラス管の内部空間の気体、及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間の気体を外部へ流出させる弁を設け、かつ前記孔の最小断面積を前記ガラス管内で可燃性冷媒が引火してもその火炎が伝播できない大きさに設定したので、第1のガラス管内部で着火が起こっても弁によって外部への火炎伝播を防止できる。
【0058】
同様に、第1のガラス管の外周面と第2のガラス管の内周面と栓とで形成された空間へ可燃性冷媒が進入し引火しても、その火炎が弁によって遮られ外側へ伝播しないので安全 性を確保できる。
【0059】
また、たとえ可燃性冷媒が漏洩しガラス管内に可燃性冷媒が進入し引火し、さらに弁が欠落しても、火炎が孔の最小断面積領域を伝播できないので、安全性を確保できる。
【0060】
また、請求項4に記載の発明は、可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、前記除霜ヒーターは、第1のガラス管と、前記第1のガラス管の外周を覆うように設置した第2のガラス管と、前記第1のガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記第1のガラス管と前記第2のガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に、前記第1のガラス管の内部空間及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔には筒が挿入され、かつ温度上昇により膨張した前記第1のガラス管の内部空間の気体、及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間の気体を前記筒の前記孔側の端部より外部へ流出させる弁を筒の内部に取り付けたので、第1のガラス管内部で着火が起こっても弁によって外部への火炎伝播を防止できる。
【0061】
同様に、第1のガラス管の外周面と第2のガラス管の内周面と栓とで形成された空間へ可燃性冷媒が進入し引火しても、その火炎が弁によって遮られ外側へ伝播しないので安全性を確保できる。
【0062】
さらに、筒を介して弁を取り付けることで、弁の装着と位置決めが容易になり、開弁圧が安定し、作業性も向上して低コスト化が図れる。
【0063】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、除霜時のガラス管の表面温度が可燃性冷媒の発火温度未満となるような発熱量のヒーター線を用いたので、可燃性冷媒漏洩時に除霜が行われても発火せず安全を確保できる。
【0064】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、除霜時の第2のガラス管の表面温度が可燃性冷媒の発火温度未満となるような発熱量のヒーター線を用いたものである。これによって、可燃性冷媒漏洩時に除霜が行われても発火せず安全を確保できる。
【0065】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記弁は、前記ガラス管内が所定圧力以上になったときに変形し、ガラス管内部の圧力を外部に逃がすので、ガラス管内の圧力を常に一定以下に保つことができ、ヒーター通電時のガラス管の破損や栓の抜けを防止することができる。
【0066】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記弁は、前記ガラス管内部が高圧のときに除霜ヒーター外部に圧力を逃がし、前記ガラス管内部が低圧の場合に前記弁が閉じて前記ガラス管内部を低圧に保つ逆止弁としたことにより、外部に漏れ出た可燃性冷媒がガラス管内部に進入し難くなり、非常に高い安全性を有することができる。
【0067】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記ヒーター線と前記リード線とを前記リード線挿入孔に通されるスリーブを介して接続するので、組み立て性が向上し、低コスト化が図れる。
【0068】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、前記ガラス管の外側を金属製の管で覆ったものである。これによって、金属製の管が外郭となりガラス管へ直接水がかかるのを防止することができる。
【0069】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記金属製の管の表面を着色したものである。これによって、金属製の管からの輻射が増加し、除霜性能を向上させる。さらに管表面の温度上昇を抑制することもできるので表面温度を可燃性冷媒の発火温度以下にする手段として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による除霜ヒーターの実施の形態1の要部断面図
【図2】同実施の形態の除霜ヒーターを用いた冷蔵庫の冷凍システムの略図
【図3】同実施の形態の除霜ヒーターの分解図
【図4】従来の除霜ヒーターを備えた冷蔵庫の概略縦断面図
【符号の説明】
20 除霜ヒーター
21 ヒーター線
22 栓
22a リード線挿入孔
22b 孔
23 第1のガラス管
24 第2のガラス管
25 弁
26 リード線
27 筒
28 スリーブ

Claims (11)

  1. 可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、
    前記除霜ヒーターは、ガラス管と、前記ガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記ガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、
    前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に前記ガラス管の内部空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔に温度上昇により膨張した前記ガラス管の内部空間の気体を外部へ流出させる弁を設け、かつ前記孔の最小断面積を前記ガラス管内で可燃性冷媒が引火してもその火炎が伝播できない大きさに設定したことを特徴とする除霜ヒーター。
  2. 可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、
    前記除霜ヒーターは、ガラス管と、前記ガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記ガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、
    前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に前記ガラス管の内部空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔には筒が挿入され、かつ温度上昇により膨張した前記ガラス管の内部空間の気体を前記筒の前記孔側の端部より外部へ流出させる弁を筒の内部に取り付けたことを特徴とする除霜ヒーター。
  3. 可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、
    前記除霜ヒーターは、第1のガラス管と、前記第1のガラス管の外周を覆うように設置した第2のガラス管と、前記第1のガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記第1のガラス管と前記第2のガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、
    前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に、前記第1のガラス管の内部空間及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔に温度上昇により膨張した前記第1のガラス管の内部空間の気体、及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間の気体を外部へ流出させる弁を設け、かつ前記孔の最小断面積を前記ガラス管内で可燃性冷媒が引火してもその火炎が伝播できない大きさに設定したことを特徴とする除霜ヒーター。
  4. 可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルの蒸発器に付着・堆積した霜を加熱により除去する除霜ヒーターにおいて、
    前記除霜ヒーターは、第1のガラス管と、前記第1のガラス管の外周を覆うように設置した第2のガラス管と、前記第1のガラス管内部に設置した金属抵抗体からなるヒーター線と、リード線挿入孔が形成され前記第1のガラス管と前記第2のガラス管の両端開口部を覆う栓と、前記リード線挿入孔を通り前記ヒーター線の端部に接続されるリード線とを備え、
    前記リード線挿入孔の直径は前記リード線の直径よりも小さく構成されて組み立て後に前記リード線を前記栓で締め付けた状態で保持するとともに、前記栓に、前記第1のガラス管の内部空間及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間と外部とを連通する孔を形成し、前記孔には筒が挿入され、かつ温度上昇により膨張した前記第1のガラス管の内部空間の気体、及び前記第1のガラス管の外周面と前記第2のガラス管の内周面と前記栓とで形成された空間の気体を前記筒の前記孔側の端部より外部へ流出させる弁を筒の内部に取り付けたことを特徴とする除霜ヒーター。
  5. 除霜時のガラス管の表面温度が可燃性冷媒の発火温度未満となるような発熱量のヒーター線を用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の除霜ヒーター。
  6. 除霜時の第2のガラス管の表面温度が可燃性冷媒の発火温度未満となるような発熱量のヒーター線を用いたことを特徴とする請求項3または4に記載の除霜ヒーター。
  7. 前記弁は、前記ガラス管内が所定圧力以上になったときに変形し、ガラス管内部の圧力を外部に逃がすことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の除霜ヒーター。
  8. 前記弁は、前記ガラス管内部が高圧のときに除霜ヒーター外部に圧力を逃がし、前記ガラス管内部が低圧の場合に前記弁が閉じて前記ガラス管内部を低圧に保つ逆止弁であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の除霜ヒーター。
  9. 前記ヒーター線と前記リード線とを前記リード線挿入孔に通されるスリーブを介して接続することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の除霜ヒーター。
  10. 前記ガラス管の外側を金属製の管で覆ったことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の除霜ヒーター。
  11. 前記金属製の管の表面を着色したことを特徴とする請求項10に記載の除霜ヒーター。
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