JP3579906B2 - 電子スイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は金属球体等の貫通を検知する貫通型近接スイッチ等の電子スイッチに関するものであり、特に検出体の静電気による誤動作を防止するようにした電子スイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例えば実公昭52-47093号等では、無接点スイッチの構成する樹脂製のケースの表面にメッキを施すことによって電界や磁界静電気から内部回路を遮蔽するようにしたスイッチが知られている。このような方法では、電界,磁界に対して遮蔽をする場合は、ケースの内側表面にメッキを施しても同様の効果を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし静電気の放電に対してはメッキを内側に施した場合、静電気がケースの表面を伝わってケースの隙間からケース内に放電する可能性がある。そのため静電気が内部回路に放電し、誤動作や電子スイッチの破壊を引き起こす恐れがある。従ってメッキをケースの外側表面に施す必要がある。この場合にはメッキを内部回路の安定電位に接続する必要があるが、安定電位との接続は構造上難しく、組立作業が複雑になるという欠点があった。
【0004】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、電子スイッチの検出体の静電気を安定電位に放電させることによって、静電気による誤動作を防止できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1の発明は、底面と上面を貫く貫通孔を設けたケースと、ケースの貫通孔周囲に配置されたコイルと、ケース内部に保持されると共に、通過する検出体からコイルを介して検知信号を出力する検出回路を有するプリント基板と、を有する電子スイッチにおいて、プリント基板は、貫通孔に向けて突出した突起部と、突起部に形成された集電パターンと、集電パターンから接地端及び電源端のいずれか一方に接続する放電パターンと、を備え、貫通孔の壁面に設けた開口部に、プリント基板の突起部を露出させたことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
このような特徴を有する本願の請求項1の発明によれば、集電パターンが基板の突起部に形成され、突起部を貫通孔の内壁に設けた開口部から露出させることで静電気から最初に保護する必要のあるコイルに静電気が放電することを防止し、集電パターン及び放電パターンを介して放電することができる。従って電子スイッチ内の回路部に悪影響を及ぼしたり、誤動作することがなくなる。
【0007】
【実施例】
図1は本発明の実施例による貫通型の近接スイッチの組立構成図である。本図に示すようにこの近接スイッチは下ケース1及び上ケース2により筐体が構成され、内部にプリント基板3が設けられる。下ケース1は図示のように底板と三方の側板を含んで構成されており、その一部には八角形状の貫通孔4及びこの貫通孔4を形成する内壁5が設けられている。内壁5の内部回路側の壁面5aには図示のように矩形状の切欠き部6が形成される。又このケース1内のプリント基板3は平板状部分3a及び八角形の枠状部分3bが一体に構成されたものであり、この枠状部分3bには前述した下ケース1の切欠き部6を構成する内壁5aと同一面となる端面を有する突起部3cが形成されている。
【0008】
図2はこのプリント基板3の裏面を示す図であって、その外形及びパターンの例を示す図である。これらの図に示すようにプリント基板3の突起部3cには図示のように、静電気を集電する集電手段として集電パターン3dがその端面にまで形成される。そして集電パターン3dに続けて放電路を形成する静電気放電パターン3eが形成される。又枠状部分3bには図示のようにその枠に沿ったパターン3fが形成されている。枠状部分3bには上面にも同一のパターンが形成され、スルーホールを介して枠状部分がコイルとして形成され、このコイルと共に後述のように発振回路が構成される。尚発振回路及びその他の電子回路部は平板状部分3a上に実装されている。
【0009】
一方図1に示すように上ケース2は平板状の部材で形成されており、下ケース1の高さに相当する長さの脚部2a,2b及び側板2cが設けられる。更に左右には幅の広い脚部2d,2eが設けられる。そして上ケース2の貫通孔4に対応する位置には八角形状の貫通孔2fが形成されている。さて貫通孔2fの内壁に下ケース1の内壁5aと同一の壁面を形成する下向きの突起部2gが形成される。この突起部2gの寸法は、前述したプリント基板3の突起部3cに当接するまでの長さとする。
【0010】
図3はこのプリント基板3を図1の状態から反転させて下ケース1内に挿入し、その上部より上ケース2を被せ、脚部2a〜2eを下ケースの溝及び開口部に沿って嵌め込んだ状態を示す斜視図であり、図4はその貫通孔4部分のA−A線縦断面図である。こうして組立てれば、上ケース2の突起部2gの先端面とプリント基板3の突起部3cの裏面とが当接し、突起部3cの集電パターン3dと下ケース1の切欠き部6の底面とが接触することとなる。
【0011】
図5は本実施例による近接スイッチの構成を示すブロック図である。本図に示すようにプリント基板3上には枠状部分3bにコイル11が構成されており、このコイルを発振コイルとする発振回路12が設けられる。発振回路12の出力はシュミットトリガ回路13に与えられる。シュミットトリガ回路13はこの発振出力を整流し波形整形するものであり、その出力は出力回路14に与えられる。出力回路14は振幅レベルの低下に基づいて物体検知信号を出力するものである。そしてこれらの各回路ブロックには電源Vcと接地端GNDが接続されている。又放電のパターン3eは電子回路部の接地用パターンとは独立して、電源から供給されるGND端子に直接接続されている。尚接地端GNDに代えて電源端子Vcに直接接続してもよい。
【0012】
こうして構成される近接スイッチは図4の断面図に矢印で示すように、下ケース1側から上方に向けて検出体、ここでは金属球7が通過するものとする。従ってまず金属球7が静電気を帯びている場合には、プリント基板3の接地端に接続されている最も近いパターン、即ち静電気の集電パターン3dに向けて放電パターン3eを介して放電することとなる。もしこの位置で放電しなければ、図4に示すように下ケース1と上ケース2との間にわずかに隙間8がある場合にも、プリント基板3上のパターンに放電することはない。従って回路動作に悪影響を及ぼすことがなく、プリント基板3上の内部回路の安定性を保持することができる。この電源自体の接地端GNDは安定電位であり、金属体の通過時にこの集電パターン3dに放電した場合にも電子回路部の接地端には直接伝わらないため、誤動作を生じることはなくなる。
【0013】
尚前述した実施例は金属体の通過を検出する通過型の近接スイッチについて説明しているが、本発明は他の形式の近接スイッチや光電スイッチ等種々の電子スイッチに適用することが可能である。
【0014】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、電子スイッチの検出体に静電気が帯電している場合であっても、この貫通孔を通過する際に放電パターンを介して放電するため、電子スイッチに誤動作が生じることなく、又損傷を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による近接スイッチの組立構成図である。
【図2】本実施例による近接スイッチのプリントパターンを示す裏面図である。
【図3】本実施例の組立後の斜視図である。
【図4】本実施例の放電路周辺を示すA−A線部分断面図である。
【図5】本実施例による近接スイッチの回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
下ケース
上ケース
2g,3c 突起部
3,3A プリント基板
3d 集電パターン
3e 放電パターン
3g ギャップ
貫通孔
内壁
切欠き部
7 金属球

Claims (1)

  1. 底面と上面を貫く貫通孔を設けたケースと、前記ケースの貫通孔周囲に配置されたコイルと、前記ケース内部に保持されると共に、通過する検出体から前記コイルを介して検知信号を出力する検出回路を有するプリント基板と、を有する電子スイッチにおいて、
    前記プリント基板は、前記貫通孔に向けて突出した突起部と、前記突起部に形成された集電パターンと、前記集電パターンから接地端及び電源端のいずれか一方に接続する放電パターンと、を備え、
    前記貫通孔の壁面に設けた開口部に、前記プリント基板の突起部を露出させたことを特徴とする電子スイッチ。
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