JP3579550B2 - 電気・電子回路部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだ接合技術に関し、特に、錫−亜鉛系のはんだで電気・電子回路を接合するに適した電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜を施した電気・電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子工業においては、はんだ接合によって回路を形成する方法は不可欠の技術であり、従来、素材の熱損傷を避けるために極低温で接合しなければならない等の特殊な場合を除き、殆どの場合の接合材としては錫−鉛合金が、又はんだ付け皮膜としても錫−鉛合金めっき皮膜が利用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、鉛の健康・環境への影響が懸念され、有害な鉛を含む錫−鉛はんだ接合材を規制しようとする考えが急速にひろまりつつあり、地球環境保護に立脚したグロ−バルな問題として、鉛フリ−の代替接合材を開発する必要に迫られている。
【0004】
錫−鉛はんだ接合材の代替となりうるような錫との合金における第二成分となる金属元素の条件は毒性が低くかつ錫合金とした際に融点が低くなければならず、候補になりうる可能性のある元素は、銀、ビスマス、銅、インジウム、アンチモン、亜鉛等に限定されざるを得ず、今のところ錫−鉛はんだ接合材に代替できるような鉛フリ−のはんだで工業的に採用し得る性能を満足するものはなく、日米欧を中心として研究開発が行われているところである。
【0005】
また、錫−鉛系はんだ接合材によってはんだ接合をを行う場合、接合を迅速かつ確実に行うために、部品をはんだ接合工程に供する以前にはんだ接合され易いめっき皮膜を施しておくことが行われている。予め施されるめっき皮膜としては、以前には錫めっきが施されていたが、錫めっき皮膜を使用した場合には錫のウィスカ−発生による電気回路短絡事故を招くおそれがあり、高信頼性が要求される電気・電子機器への使用は不適当であり、現在では殆どの場合、錫−鉛合金が利用されており、はんだ接合材に含有される鉛が規制されれば、同時に前処理としての錫−鉛合金めっき皮膜もまたその使用を制限されざるを得ない。
【0006】
そこで、前述した鉛代替はんだの第二金属元素に列挙した亜鉛は、特にコストが安価である点並びに錫と亜鉛が両性金属でありアルカリ水溶液に溶解しやすく他の金属と分別回収、廃電化製品のリサイクル化に有益である観点から有力な候補金属元素の一つとして研究対象に挙げられる。
【0007】
しかしながら、錫−亜鉛系はんだ接合材は、かつては古く行われていたようなはんだごてによる高温かつ時間をかけたはんだ接合には利用可能な程度に操作性や性能を有した接合材であるが、多数の接合箇所を有する高密度実装の回路部品を低温かつ迅速に連続した接合をしなければならない電気・電子部品の接合材としては問題点も多い。即ち、錫−亜鉛合金は錫−鉛合金に比べて、融点が高く、また、亜鉛は空気酸化によって酸化され易い。さらに、錫中に亜鉛が混入するとざらつきを生じるところから、現状の錫−鉛系のはんだを用いる際には、亜鉛の混入容量は通常0.001%以下でなければならないとされている程である。このように問題点の多い亜鉛であるが、鉛の使用が厳しく規制されるならば、利用可能な技術を開発し、それら問題点を解決していかなければならない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
はんだ接合の前処理のめっき皮膜で鉛を含まないものとして、金、銀、パラジウム、錫等を利用する方法も考えられるが、錫単独の皮膜はウィスカ−の発生という観点から、また、金、銀、パラジウムなどはコストの観点から、これらを工業的に全面的に採用する事は出来ない。これに対して発明者らは、鋭意研究の結果、めっき皮膜下層側の亜鉛含有率が0.1〜15%であって、皮膜表面層側が亜鉛含有率が下層側組成よりも少ない0.5%から錫単独に至るまでの組成とする錫−亜鉛傾斜合金皮膜を前処理皮膜として被覆しておくことにより、低コストではんだ接合皮膜として優れた接合性が得られることを見出し、錫−亜鉛系はんだ接合材の電気・電子回路部品への適用を可能とし、はんだ接合工程における鉛規制問題を解決するに至った。
【0009】
錫−亜鉛合金めっきは、従来耐食性皮膜として、特に毒性の高いカドミウムめっきの代替皮膜として研究され、20%〜35%の亜鉛含有率の皮膜が高耐食性を示すとして推奨されると共に、そのような組成の場合に、めっき皮膜粒子が微細になり易いところから、該組成のめっき皮膜を得る方法についてはシアン浴を中心として幾種類かの浴が報告され、限られた範囲ではあるが工業的に利用されている。しかしながら、発明者らの検討の結果、そのような亜鉛含有率が高い場合にはめっき皮膜の融点が高く、かつ、はんだ接合温度で空気中の酸素によって酸化される亜鉛量が多いところから、はんだ接合の前処理用皮膜としは適切でないことがわかった。
【0010】
そこで我々は、亜鉛含有率が0.1〜15%の低融点合金めっき皮膜を電気・電子回路部品に被覆する方法を考案したが、長期間経時後の皮膜表面の耐酸化性が従来の錫−鉛はんだ接合皮膜より劣っていた。
【0011】
そこでさらに、鋭意検討の結果、発明者らは、非シアン系錫−亜鉛合金めっき浴を用いてめっき下層側の亜鉛含有率を0.1%〜15%とし、同じめっき浴を用いてめっき作業が終了する事前に陰極電流密度を0.001〜1.0A/dm に低下させることによって、めっき皮膜表面層側を下層皮膜より亜鉛含有率が少ない0.5%以下から錫単独に至るまでの組成とする外観が光沢ないし半光沢を示す程度にまで皮膜の結晶粒子を微細化させた錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を錫−亜鉛系はんだ接合皮膜として電気・電子回路部品に被覆することによって、接合に至るまでの表面酸化の度合が小さく、良好なはんだ接合性が得られることを見い出した。また、本発明が環境問題を解決する手段の一つであることに鑑み、該処理を施すためのめっき浴は非シアンの浴を用いるべきである。
【0012】
発明の概要
即ち、本発明は、錫−亜鉛系はんだではんだ接合することを目的として、光沢又は半光沢を有する1.0〜100μm厚さの電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜を予め被覆してなる電気・電子回路部品であって、該電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜は、めっき皮膜の下層側の亜鉛含有率が0.1%以上、15%以下であり且つめっき皮膜の表面層側の亜鉛含有率が下層側皮膜よりも少ない0.5%以下から錫単独に至るまでである組成を有するものであることを特徴とする電気・電子回路部品である。
【0013】
本発明の上記の光沢又は半光沢を有する1.0〜100μm厚さの電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜を予め被覆してなる電気・電子回路部品は、好ましくは、錫−亜鉛系はんだ接合材で接合されるべき電気・電子回路部品表面を、非シアン系の錫−亜鉛合金電気めっき浴を用いてめっき下地の近傍下層側の亜鉛含有率を0.1%〜15%以下とするようにめっきし、次いで同じめっき浴を用いてめっき作業を終了する前に陰極電流密度を0.001〜1.0A/dm に低下させてめっきを行い、これによって、めっき皮膜の表面層側を下層皮膜よりも亜鉛含有率が少ない0.5%以下から錫単独に至る組成範囲となるようにめっきし、外観が光沢ないし半光沢を示す程度にまで皮膜の結晶粒子を微細化させた錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を錫−亜鉛系はんだ接合皮膜として被覆することによって製造される。
【0014】
さらに、本発明は、該電気錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を施すに先立って、ニッケル又はニッケル合金又は銅を電気めっき又は無電解めっきによって、下層めっきとして施す事が出来ることを特徴とする上記の電気・電子回路部品である。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に従う電気・電子回路部品を製造するためのめっき皮膜の下層側のめっき皮膜組成が亜鉛含有率0.1%以上、15%以下の錫−亜鉛合金めっき皮膜で、表面層側を亜鉛含有率0.5%以下から錫単独に至る範囲の組成に調整した錫−亜鉛傾斜合金めっきについて説明を加える。
【0016】
錫−亜鉛合金は、はんだ付け性が良好と記載されている文献があるが、これは例えば鉄やニッケルのような材質と比較してのことであり、錫−鉛系合金等と比較した際には、はんだ付け性が劣ると言わざるを得ない。従って、従来耐食性が良好であり、はんだ接合が可能であるという理由で推奨されてきた20%〜35%の亜鉛含有率の皮膜では、低温・短時間での接合完了が要求される電気・電子回路の接合に適するレベルまでの良好なはんだ付け性は発揮されず、共晶組成である8%付近の0.1%〜15%の低融点領域に限定しなければならない 即ち、従来推奨されてきた20%〜35%の亜鉛含有率の皮膜の融点は概ね240〜320℃に達する。
【0017】
これに対して亜鉛含有率を0.1〜15%の領域に限定することによって、融点は概ね198〜240℃の範囲に入り、錫−鉛系で使用されてきた230℃の温度条件範囲に入る。
【0018】
しかしながら、錫−亜鉛合金めっき皮膜は、錫−鉛合金めっき皮膜に比べて特に亜鉛成分の酸化により、フィンガ−プリントがつき易いなどのめっき皮膜表面の変質が生じ易く、これを防止するためのクロメ−ト処理やりん酸塩処理を必要とする。こうした後処理は、作業性の低下を招く他、クロメ−トによるはんだ接合性の劣化に加えて、クロムやりん酸塩の使用は排水処理問題を誘起する。
【0019】
そこで、本発明者は、非シアン錫−亜鉛合金電気めっき浴を用いて、めっき下層側の亜鉛含有率が0.1%〜15%組成の錫−亜鉛合金めっきを施すと同時に、同じ浴を用いて、めっき作業を終了する前に陰極電流密度を0.001〜1.0A/dm 、好ましくは0.05〜1.0A/dm の条件範囲に低下させて、表面層側の皮膜組成を下層側皮膜の亜鉛含有率よりも低い0.5%以下から錫単独に至る組成範囲にした錫−亜鉛傾斜合金皮膜を電気・電子回路部品に被覆した。
【0020】
この錫−亜鉛傾斜合金皮膜は1.0〜100μm 厚さでの使用可能であり、陰極電流密度を低下させた上述の処理で得られる錫又は錫−亜鉛合金の表面層皮膜厚は、0.001〜3μm 、望ましくは0.1〜1.0μm の範囲が望ましい。
【0021】
電気・電子回路部品には、銅系素材又は42アロイなどの鉄系素材が用いられる事が多いが、鉄系素材よりも銅の方がはんだの濡れ性が良好であるので、鉄系素材が用いられているような場合には、下層に銅めっきを施しておくことが望ましい。また、銅及び銅合金が使用される場合には、錫及び亜鉛が銅系素材中に拡散しやすい金属であり、拡散によってボイドなどの欠陥を生じることがあり、該錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を施した直後では良好なはんだ付け性を示しても、経時後には拡散によってはんだ接合性が劣化することもある。これを防止するためには、錫−鉛合金系めっき皮膜において採用されていたようにニッケル又はニッケル合金めっきを下地めっきとして施しておくことがはんだ接合性劣化の抑制に効果がある。
【0022】
該ニッケル又はニッケル合金下地めっきには、電気めっきおよび無電解めっきの何れも効果があり、これらのめっき皮膜を得るためには、公知のめっき浴・めっき条件を採用することができる。めっき厚さについては、特に限定されないが、素地とめっき皮膜の間でお互いの元素が相互に拡散することを防止又は抑制する効果から0.1〜10μm 皮膜厚さが望ましい。
【0023】
上述の該錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を得るためには公知の浴が利用できる。技術的及び経済的な観点からはシアン浴を用いるほうが容易ではあるが、環境問題を解決するための技術であることに鑑み、非シアンの酸性浴や錯塩浴あるいはジンケート−スタネート浴などを用いることが望ましい。したがって、めっき浴を構成する金属イオンの供給源としては、非シアンの錫化合物及び非シアンの亜鉛化合物を用いるが、それら錫及び亜鉛の化合物としては、
(1)酸化物又は酸素酸塩
(2)硫酸塩
(3)ハロゲン化物
(4)ホウフッ化物
(5)ケイフッ化物
(6)スルファミン酸塩
(7)リン酸又は縮合リン酸の塩
(8)酢酸塩
(9)アルキル基の炭素数が0〜3の脂肪族ジカルボン酸の塩
(10)アルキル基の炭素数が1〜2の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸の塩
(11)アルキル基の炭素数が1〜3の脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸の塩
(12)単糖類の一部が酸化されたポリヒドロキシカルボン酸の塩、
(13)アルキル基の炭素数が1〜4の脂肪族モノ−もしくはジ−アミノ、モノ−もしくはジ−カルボン酸の塩、
(14)アルキル基の炭素数が2〜3の脂肪族モノメルカプトモノカルボン酸及び脂肪族モノメルカプトジカルボン酸及び脂肪族モノメルカプトモノアミノモノカルボン酸の塩、
(15)下記のアミンカルボン酸のキレート物、
エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、グリコールエチレンジアミンテトラ酢酸(GEDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンテトラ酢酸(HEEDTA)
(16)アルカンの炭素数が1〜3のヒドロキシアルカンビスホスホン酸の塩、(17)下記の一般式(i) 及び(ii)で表される脂肪族スルホン酸の塩、
(i) 一般式
(X −R−SO
[ここで、RはC 〜C のアルキル基を表し、X は水素、水酸基、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、カルボキシル基又はスルホン酸基を表し、そしてアルキル基の任意の位置にあってよく、nは0〜3の整数である。]
(ii)一般式
【化1】
Figure 0003579550
[ここで、RはC 〜C のアルキル基又はC 〜C のアルキレン基を表し、アルキレン基の任意の位置に水酸基があってよく、Xは塩素及びフッ素のハロゲンを表し、アルキル基及びアルキレン基の水素と置換された塩素又はフッ素の置換数は1からアルキル基又はアルキレン基に配位したすべての水素が飽和置換されたものまでを表し、置換されたハロゲン種は1種又は2種類であり、塩素又はフッ素の置換基は任意の位置にあってよい。Yは水素又はスルホン酸基を表し、Yで表されるスルホン酸基の置換数は0から2の範囲にある。]
(18)下記の一般式(iii) で表される芳香族スルホン酸の塩、
(iii) 一般式
【化2】
Figure 0003579550
[ここで、X は水酸基、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルデヒド基、カルボキシル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン酸基又はアミノ基を表し、或いは2個のX はベンゼン環と一緒になってナフタリン環を形成でき、mは0〜3の整数である。]
から選ばれた1種又は2種以上を単独又は適宜混合して使用できる。
【0024】
上記の(1)〜(18)の中で単独で列挙せず一般式で示した化合物の中で好適なものを例示すれば、(7)リン酸又は縮合リン酸の塩としては、リン酸、トリポリリン酸及びピロリン酸の塩が、(9)脂肪族ジカルボン酸の塩としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸の塩が、(10)脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸の塩としては、グリコール酸の塩が、(11)脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸の塩としては、酒石酸、クエン酸の塩が、(12)単糖類およびその一部が酸化されたポリヒドロキシカルボン酸ならびにそれらの環状エステル化合物の塩またはキレート物としては、アスコルビン酸、グルコン酸、δ−グルコノラクトンの塩またはキレート物が、(13)脂肪族アミノカルボン酸の塩としては、グリシンの塩が、(14)脂肪族メルカプトカルボン酸の塩としては、メルカプトコハク酸の塩が、(15)アミンカルボン酸のキレート物としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸のキレート物が、(16)ヒドロキシアルカンビスホスホン酸の塩としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ビスホスホン酸の塩が(17)−(i) 〜(18)−(ii)、(iii) の有機スルホン酸の塩の例としては、メタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、メタントリスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシブタンスルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、1カルボキシエタンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、アリールスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−又は3−プロピオスルホン酸、スルホこはく酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、フェノールスルホン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸の塩が、挙げられる。
【0025】
めっき浴中の金属の濃度は、用いる浴の種類やめっき対象物によって増減することが望ましいが、概ね1〜50g/lが適当であり、好ましくは5〜30g/l程度とする。
【0026】
また、該めっき処理には、外観が光沢又は半光沢状の錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を用いるが、非シアン浴からこのような皮膜を得るためには界面活性剤を添加することが望ましい。該界面活性剤としては、既存の界面活性剤を利用することができる。すなわち、効果のある界面活性剤の例としては、
(1)一般式:
【化3】
Figure 0003579550
[ここで、Rはアルキル基(C 〜C25)を表わし、Mは水素又はアルカリ金属を表わす。]
で表わされるナフタレンスルホン酸系界面活性剤、例えば、アルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル・・・)ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩等、
(2)一般式:
HO−(A) −(B) −H
[ここで、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されず、m及びnは0〜40の整数を表わす。ただし、m及びnの和は1から40の範囲内にある。]
で表わされるポリオキシアルキレン系界面活性剤、例えば、エチレングリコール、ジ−(トリ−、テトラ−、オクタ・・・)エチレングリコールのようなポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ−(トリ−、テトラ−、オクタ・・・)プロピレングリコールのようなポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの縮合物等、
(3)一般式:
R−D−(A) −(B) −H
[ここで、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されず、m及びnは、0〜40の整数を表わす。ただし、m及びnの和は1から40の範囲内にある。Rは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数1〜25の脂肪酸でエステル化したソルビタンを表わす。Dは、−O−又は−COO−を表わす。]
で表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(又はエステル)系界面活性剤、例えば、上記の(B)のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキル(例えば、オレイル、セチル、ステアリル、ラウリル・・・)エーテル若しくは脂肪酸エステル、ソルビタンエステル等、
(4)一般式:
R−O−(A) −(B) −H
[ここで、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されず、m及びnは、0〜40の整数を表わす。ただし、m及びnの和は1から40の範囲内にある。Rはフェニル基又はアルキル基(C 〜C25)で置換したフェニル基を表わす。]
で表わされるポリオキシアルキレンフェニル(又はアルキルフェニル)エーテル系界面活性剤、例えば、上記の(B)のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のフェニルエーテル又はアルキル置換フェニルエーテル等、
(5)一般式:
【化4】
Figure 0003579550
[ここで、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されず、m及びnは0〜40の整数を表わす。ただし、m及びnの和は1から40の範囲内にある。Rは水素又はアルキル基(C 〜C25)を表わす。]
で表わされるポリオキシアルキレンナフチル(又はアルキルナフチル)エーテル系界面活性剤、例えば、ナフトール又はアルキルナフトールのエチレンオキサイド及び(又は)プロピレンオキサイド付加物等、
(6)一般式:
【化5】
Figure 0003579550
[ここで、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されず、m及びnは0〜40の整数を表わす。ただし、m及びnの和は1から40の範囲内にある。R 、R 、R は、それぞれ独立に水素、フェニル基、アルキル基(C 〜C )又は−CH(CH )−φを表わす。ただし、少なくとも1つはフェニル基若しくは−CH(CH )−φであるものとする。]
で表わされるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル系界面活性剤、例えば、スチレン化フェノール又はα−メチルスチレン化フェノールのエチレンオキサイド及び(又は)プロピレンオキサイド付加物等、
(7)一般式:
【化6】
Figure 0003579550
[ここで、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されない。Rc1、Rc2は、それぞれ独立に水素、フェニル基又はアルキル基(C 〜C )を表わし、R 、R は、それぞれ独立に水素又は−CH を表わし、m 、m 、n 、n はそれぞれ独立に0〜40の整数を表わす。ただし、m 及びn 、さらにm 及びn の和は1から40の範囲内にある。]
で表わされるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルのフェニル基にさらにポリオキシアルキレン鎖を付加した界面活性剤、例えば、ビスフェノールAのビス(エチレンオキサイド及び(又は)プロピレンオキサイド付加物)等、(8)一般式:
【化7】
Figure 0003579550
[ここで、R 及びR は水素若しくはアルキル基(C 〜C25)を表わし、同一又は異なってもよい。A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されない。m 、m 、n 、n はそれぞれ独立に0〜40の整数を表わす。ただし、m 及びn 、さらにm 及びn の和は1から40の範囲内にある。Mは水素又はアルカリ金属を示す。]
で表わされるリン酸エステル系界面活性剤、例えば、アルキルリン酸のナトリウム塩等、ポリオキシエチレン化及び(又は)ポリオキシプロピレン化リン酸のナトリウム塩等、
(9)一般式:
【化8】
Figure 0003579550
[ここで、Rはアルキル基(C 〜C30)、アルケニル(C 〜C30)又はアシル基(C 〜C30)を表わし、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されない。m 、m 、n 、n はそれぞれ独立に0〜6の整数を表わす。ただし、m 及びn 、さらにm 及びn の和は1から6の範囲内にある。CH −CH(CH )−Oの付加モル数がCH −CH −Oの付加モル数より多いことはない。]
で表わされるポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)アミン(又はアミド)系界面活性剤、例えば、アルキル(又はアルケニル)アミン(又はアミド)のエチレンオキサイド及び(又は)プロピレンオキサイド付加物等、
(10)一般式:
【化9】
Figure 0003579550
[ここで、A及びBは−CH −CH −O−又は−CH −C(CH )H−O−を表わし、それらの存在位置は限定されない。m 、m 、m 、m 、n 、n 、n 、n は整数で、m +m +m +m =5〜70、n +n +n +n =5〜70である。m 、m 、n 、n はそれぞれ独立に0〜6の整数を表わす。ただし、m 及びn 、さらにm 及びn の和は1から6の範囲内にある。xは2又は3の整数を表わす。Rはアルキル基(C 〜C30)又はアルケニル基(C 〜C30)を表わす。]
で表わされるアルキレンジアミンのアルキレンオキシド付加物系界面活性剤、例えば、エチレンジアミンのエチレンオキサイド及び(又は)プロピレンオキサイドN付加物等、
(11)一般式:
【化10】
Figure 0003579550
[ここで、R はアルキル基(C 〜C20)を表わし、R は(CH OH又は(CH )OCH COO を表わしR は、アルキル基(C 〜C )、(CH COO 、(CH SO 又はCH(OH)CH SO を表わし、m及びnは1〜4の整数を表わす。Mはアルカリ金属を表わし、Xはハロゲン、水酸基又はアルカンスルホン酸基(C 〜C )を表わす。R がアルキル基の場合にはMは存在せず、R がアルキル基以外の場合にはMは存在してもしなくてもよく、Mが存在しないときにはXも存在しない。]
で表わされるアルキルイミダゾリニウムベタイン系界面活性剤、例えば、2−ラウリル(オレイル、セチル、ステアリル、べへニル・・・)−N−メチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等、
(12)一般式:
【化11】
Figure 0003579550
[ここで、R は水素又はメチル基を表わし、又は結合がなくてもよい。R は水素又はメチル基若しくはエチル基を表わし、該アルキル基の水素の一つがエーテル結合を介してアシルオキシ基と結合していてもよい。R はアルキル基(C 〜C20)を表わす。カルボキシル基は水素又はアルカリ金属とイオン結合していてもよい。mは1〜4の整数を、nは0〜4の整数を表わす。]
で表わされるアルキル(又はアミド)ベタイン系界面活性剤、例えば、ジメチルラウリル(オレイル、セチル、ステアリル、べへニル・・・)ベタイン等、
(13)一般式:
【化12】
Figure 0003579550
[ここで、Xはハロゲン、水酸基又はアルカンスルホン酸基(C 〜C )を表わし、R はアルキル基(C 〜C20)を表わし、R 及びR はアルキル基(C 〜C )又はアルコキシル基(C 〜C10)を表わし、R はアルキル基(C 〜C10)、ベンジル基又は脂肪酸(CH COOHを表わし、ここで、nは1〜18の整数を表わす。R はアルキル基(C 〜C20)を表わし、R は水素又はアルキル基(C 〜C )を表わす。]
で表わされるアンモニウム又はピリジニウム4級塩系界面活性剤、例えば、ラウリル(オレイル、セチル、ステアリル、べへニル・・・)トリ(ジ)メチルアンモニウムクロライド等
から1種又は2種以上が選ばれ、めっき浴に添加される。
【0027】
さらにそれらの中で市販品として容易に入手できるものを具体的に挙げれば、前記式(1)で表されるものとして、ペレックスNB−L、デモールN(花王(株)社製)等が、前記式(2)で表されるものとして、エパン720、エパン740、エパン750、エパン450(第一工業製薬(株)社製)、プルロニックL64、プルロニックL101、プルロニックP103、プルロニックPP150(旭電化工業(株)社製)、ニッコールBO−20(日光ケミカルズ(株)社製)、エマルゲンL−40(花王(株)社製)、50HB−2000/5000(三洋化成(株)社製)等が、前記式(3)で表されるものとして、ブラウノンEL−1303、ブラウノンEL−1509、ブラウノンCH−310(青木油脂工業(株)社製)、ニューコール1110(日本乳化剤(株)社製)、ニッコールBL、ニッコールMYL−10(日光ケミカルズ(株)社製)、ノイゲンET−170(第一工業製薬(株)社製)等が、前記式(4)で表されるものとして、ノイゲンEA−150、ノイゲンEA−130T(第一工業製薬(株)社製)、ブラウノンNK−808、N−512、DP−9(青木油脂工業(株)社製)、ニューコール704、ニューコール707、ニューコール710、ニューコール714、ニューコール723、ブラウノンLPE−1007(青木油脂工業(株)社製)、アデカトールNP−15、アデカトールNP−720(旭電化工業(株)社製)、等が、前記式(5)で表されるものとして、ブラウノンBN−18(青木油脂工業(株)社製)、アデカトールPC−10(旭電化工業(株)社製)、ノイゲンEN−10(第一工業製薬(株)社製)等が、前記式(6)で表されるものとして、ニューコール2607(日本乳化剤(株)社製)、ブラウノンDSP−9(青木油脂工業(株)社製)、等が、前記式(7)で表されるものとして、リポノックスNC−100(ライオン)等が、前記式(8)で表されるものとして、アデカコールPS−440E、アデカコールCS−141E、アデカコールTS−230E(旭電化工業(株)社製)等が、前記式(9)で表されるものとして、ナイミーンL207、ナイミーンT2−210、ナイミーンS−215(日本油脂(株)社製)、ニューコール420(日本乳化剤(株)社製)、ブラウノンO−205(青木油脂工業(株)社製)、等が、前記式(10)で表されるものとして、テトロニックTR−701、テトロニックTR−702(旭電化工業(株)社製)、等が、前記式(11)で表されるものとして、ソフタゾリンCH、ソフタゾリンNS(川研ファインケミカル(株)社製)、ニッサンアノンGLM−R(日本油脂(株)社製)、レボン101−H(三洋化成工業(株)社製)、ニッコールAM−103EX(日本乳化剤(株)社製)等が、前記式(12)で表されるものとして、アセタミン24(花王(株)社製)等が、前記式(13)で表されるものとして、ニッコールCA2150、ニッコールCA101(日光ケミカルズ(株)社製)、テクスノールR−5(日本乳化剤(株)社製)等が、挙げられる。
これら界面活性剤のめっき浴における濃度は、0.05〜100g/lで、好適には0.1〜50g/lが使用される。
【0028】
さらに、半光沢性ないしは光沢性のあるめっき皮膜を得るために、析出物の結晶を微細化するために、結晶微細化剤を使用することができる。結晶微細化剤には公知の物質が利用できるが、効果のあるものの例としては、下記(1)〜(18)を挙げることができる。これらは単独又は適宜混合添加して使用できる。使用量は、下記(1)の天然高分子を用いる場合は0.5〜50g/lが適当であり、好ましくは1〜20g/lである。下記(2)〜(18)の群の結晶微細化剤に対しては、0.005〜30g/lが適当であり、好ましくは0.02〜20g/l添加される。
【0029】
(1)ゼラチン、ペプトン。
(2)一般式:
【化13】
Figure 0003579550
[ここで、R は水素、アルキル基(C 〜C )又はフェニル基を表わし、R は水素又はアルキル基(C 〜C )を表わし、R は水素又は水酸基を表わし、Aは単結合、アルキレン基(C 〜C )、ベンジリデン基又はフェニレン基を表わす。]
で表されるスルファニル酸誘導体及びその塩。
(3)一般式:
【化14】
Figure 0003579550
[ここで、Xは水素又はアルキル基(C 〜C )を表わし、Rは、水素又は−CH を表わし、nは、2〜15の整数を表わす。]
で表されるキノリン類。
(4)一般式:
【化15】
Figure 0003579550
[ここで、Xは水素、ハロゲン、アルキル基(C 〜C )、アセチル基、アミノ基、水酸基又はカルボキシル基を表わし、R は水素、ヒドロキシル基を表わし、nは0〜12の整数を表わす。]
で表されるベンゾトリアゾール及びその誘導体。
(5)一般式:
【化16】
Figure 0003579550
[ここで、R 、R 、R 、R 、R は、それぞれ同一又は異なってもよく、−H:−SH:−OH:−OR(Rは所望により−COOHで置換されていてもよいC 〜C のアルキル基)、ハロゲン、−COOH,−COCOOH,アリール、−SR(Rは所望により−COOHにて置換されていてもよいC 〜C アルキル)、
【化17】
Figure 0003579550
−NH ,−NRR’(R及びR’はC 〜C アルキル又は一緒になって環を形成してもよい)、−NHCOR(RはC 〜C アルキル)、−NHCOアリール、−NHNH 、−NO 、−CONHアリール、−CSNHアリール、−CN、−CHO:−SO H:−SO NH 又は−SO NRR’(R及びR’はC 〜C アルキル又は一緒になって環を形成してもよい)を意味する。]で表されるベンゾチアゾール類。
(6)一般式:
【化18】
Figure 0003579550
[ここで、Ra1、Ra2は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシル基を表わし、Rb1、Rb2は、それぞれ独立にアルキル基(C 〜C )を表わす。]
で表されるイミン類。
(7)一般式:
【化19】
Figure 0003579550
[ここで、R は水素、ハロゲン、アルキル基(C 〜C )を表わし、R は水素、ヒドロキシル基を表わし、nは、0〜12の整数を表わす。]
で表されるトリアジン類。
(8)一般式:
【化20】
Figure 0003579550
[ここで、R 、R は、同一又は異なっていてもよく水素、アルキル基(C 〜C18)、アルコキシ基(C 〜C18)又はC 〜C のシクロアルキル基を表わし、Aは、低級アルキレン基を表わす。]
で表されるトリアジン類。
(9)一般式:
【化21】
Figure 0003579550
[ここで、Rは、アルキル基(C 〜C )又はフェニル基を表わす。]
で表される芳香族オキシカルボン酸のエステル類。
(10)一般式:
−CR =CH−CO−X−R
[ここで、R 及びR はフェニル、ナフチル、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル及びピロニル、アミノ基、水酸基、若しくは水素から選ばれた基であり、該基はC 〜C アルキル、C 〜C アルキルオキシ、C 〜C アシル、C 〜C アルキルチオ、OH、ハロゲン、カルボキシル基、−NO 及び−NR (R 及びR は、同一又は異なって各々水素又はC 〜C アルキル)から選ばれた同一又は異なる置換基を1〜4個有してもよく、或いはR とR は結合して環状となってもよく、或いは、R はR −CR =CH−CO−に等しくてもよい。Xは、単結合若しくは−CH −である。R は水素又はC 〜C アルキルである。]
で表されるC=Oと共役の位置に二重結合を有する化合物。
(11)一般式:
R−CHO
[ここで、RはC 〜C アルキル、フェニル、ナフチル、アセナフチル、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル、インドール及びピロニル、アルデヒド基若しくは水素から選ばれた基であり、該基はC 〜C アルキル、C 〜C アルキルオキシ、C 〜C アシル、C 〜C アルキルチオ、OH、ハロゲン、NO 及び−NR (R 及びR は、同一又は異なって各々水素又はC 〜C アルキル)から選ばれた同一又は異なる置換基を1〜4個有してもよい。]で表されるアルデヒド類。
(12)一般式:
−CO−(CH −CO−R
[ここで、R 及びR は同一又は異なってそれぞれ水素、C 〜C アルキル及び−C −CO−CO−C であり、nは0〜2の整数である。]
で表されるジケトン類。
(13)一般式:
−NH−R
[ここで、R はフェニル基であり、該基はC 〜C アルキル、ハロゲン、アミノ基で置換されていてもよい。R は水素、C 〜C アルキル、−NH−CS−N=N−φ、−CH −φ−NH である。]
で表されるアニリン誘導体。
(14)一般式:
【化22】
Figure 0003579550
[ここで、R 及びR はそれぞれ水素、低級アルキル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホン酸基を表わす。]
で表されるニトロ化合物又はそのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩。
(15)一般式:
HOOC−CHR−SH
[ここで、Rは、水素、C 〜C アルキルであり、該アルキル基はカルボキシル基で置換されていてもよい。]
で表されるメルカプトカルボン酸類。
(16)下記から選ばれる複素環式化合物類:
1,10−フェナントロリン、2−ビニルピリジン、2−シンナミルチオフェン、1,2,3−(又は1,2,4−又は1,3,5−)トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル(1’)メチル−S−トリアジン、1,2,3−ベンゾトリアジン、インドール、イミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール及びキノリン。
(17)アセトフェノン及びハロゲン化アセトフェノン。
(18)アミン−アルデヒド縮合物。
【0030】
これらのうち、特に好適な例を挙げると、8−ヒドロキシキノリンに5モルの酸化プロピレンを付加した生成物、N,N’−ジイソブチリデン−o−フェニレンジアミン、ベンゾチアゾール、2−アミノ−4−クロロベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドロキシベンゾチアゾール、2−クロロベンゾチアゾール、2−メチル−5−クロロベンゾチアゾール、2,5−ジメチルベンゾチアゾール、5−ヒドロキシ−2−メチルベンゾチアゾール、6−クロロ−2−メチル−4−メトキシベンゾチアゾール、2−(n−ブチル)メルカプト−6−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾールチオ酢酸、2−ベンゾチアゾールオキシ酢酸、2−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、N−ブチリデンスルファニル酸、N−シンナモイリデンスルファニル酸、N−(3−ヒドロキシブチリデン)−p−スルファニル酸、アルドール、ベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、(o−,m−,p−)メトキシベンズアルデヒド、o−バニリン、ベラトルアルデヒド、(2,4−、2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、(o−,p−)クロロベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2(4)−クロル−1−ナフトアルデヒド、5−メトキシナフトアルデヒド、ピコリンアルデヒド、2(3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)−フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、スクシンアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプテナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、メシチルオキシド、イソホロン、ジアセチル。ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、sub,ピリジリデンアセトン、sub,フルフリジンアセトン、sub,テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、ベンジリデンメチルエチルケトン、ベンジリデンアセトンアルコール、p−トルイデンアセトン、p−ヒドロキシベンジリデンアセトン、ベンジリデンメチルイソブチルケトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、ビフェニルプロペニルケトン、フェニルイソブテニルケトン、フェニル−2−メチルプロペニルケトン、p−フルオロ又はクロロフェニルプロペニルケトン、p−ヒドロキシフェニルプロペニルケトン、m−ニトロフェニルプロペニルケトン、p−メチルフェニルプロペニルケトン、2,4,6−トリメチルフェニルプロペニルケトン、p−メトキシフェニルプロペニルケトン、p−メトキシフェニルブテニルケトン、p−メチルフェニルプロペニルケトン、p−イソブチルフェニルプロペニルケトン、α−ナフチル−1−メチルプロペニルケトン、4−メトキシナフチルプロペニルケトン、2−チエニルプロペニルケトン、2−フリルプロペニルケトン、1−メチルピロールプロペニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、桂皮酸、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、N−メトキシジメチルアクリルアミド、(o−,m−,p−)トルイジン、(o−,p−)アミノアニリン、アニリン、(o−,p−)クロルアニリン、(2,5−、3,4−)クロルメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−,β−)ナフチルアミン、ジチゾン、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシベンゾトリアゾール、4−メチルベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)エチル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル(1’)エチル]−1,3,5−トリアジン、β−N−ドデシルアミノプロピオグアナミン、β−N−ヘキシルアミノプロピオグアナミン、ピペリジンプロピオグアナミン、シクロヘキシルアミノプロピオグアナミン、モルホリンプロピオグアナミン、β−N−(2−エチルヘキシロキシプロピルアミノ)プロピオグアナミン、β−N−(ラウリルオキシプロピルアミノ)プロピオグアナミン、o−(m−,p−)安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、p−ニトロフェノール、ニトロベンゼンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、m−ニトロ安息香酸、チオグリコール酸、メルカプトコハク酸、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリンなどを挙げることができる。
【0031】
さらに、該めっき浴には、浴を安定化させるために酸及び/或いはキレート剤及び/或いはアルカリを添加することができる。これらの安定化剤としては、下記の(1)〜(19)を挙げることができる。
(1)硫酸
(2)塩酸
(3)ホウフッ酸
(4)ケイフッ酸
(5)スルファミン酸
(6)リン酸又は縮合リン酸
(7)酢酸又は酢酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩
(8)アルキル基の炭素数が0〜3の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩
(9)アルキル基の炭素数が1〜2の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩
(10)アルキル基の炭素数が1〜3の脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩
(11)単糖類の一部が酸化されたポリヒドロキシカルボン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩、
(12)アルキル基の炭素数が1〜4の脂肪族モノ−もしくはジ−アミノ、モノ−もしくはジ−カルボン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩、
(13)アルキル基の炭素数が2〜3の脂肪族モノメルカプトモノカルボン酸及び脂肪族モノメルカプトジカルボン酸及び脂肪族モノメルカプトモノアミノモノカルボン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩、
(14)下記のアミンカルボン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸、グリコールエチレンジアミンテトラ酢酸(GEDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナテトラ酢酸(HEEDTA)又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩
(15)アルカンの炭素数が1〜3のヒドロキシアルカンビスホスホン酸又はそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩、
(16)下記の一般式(i) 及び(ii)で表される脂肪族スルホン酸、
(i) 一般式
(X −R−SO
[ここで、RはC 〜C のアルキル基を表し、X は水素、水酸基、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、カルボキシル基又はスルホン酸基を表し、そしてアルキル基の任意の位置にあってよく、nは0〜3の整数である。]
(ii)一般式
【化23】
Figure 0003579550
[ここで、RはC 〜C のアルキル基又はC 〜C のアルキレン基を表し、アルキレン基の任意の位置に水酸基があってよく、Xは塩素及びフッ素のハロゲンを表し、アルキル基及びアルキレン基の水素と置換された塩素又はフッ素の置換数は1からアルキル基又はアルキレン基に配位したすべての水素が飽和置換されたものまでを表し、置換されたハロゲン種は1種又は2種類であり、塩素又はフッ素の置換基は任意の位置にあってよい。Yは水素又はスルホン酸基を表し、Yで表されるスルホン酸基の置換数は0から2の範囲にある。]
(17)下記の一般式(iii) で表される芳香族スルホン酸、
(iii) 一般式
【化24】
Figure 0003579550
[ここで、X は水酸基、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルデヒド基、カルボキシル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン酸基又はアミノ基を表し、或いは2個のX はベンゼン環と一緒になってナフタリン環を形成でき、mは0〜3の整数である。]
(18)アルカリ金属の水酸化物又は水酸化アンモニウム
から選ばれた1種又は2種以上を単独又は適宜混合して使用できる。
(19)一般式
【化25】
Figure 0003579550
[ここで、R 、R 、及びR はそれぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基又は(CH −CH(R )(OH)を表し、R 、R 及びR の内、少なくとも一つは(CH −CH(R )(OH)である。R は、水素又はメチル基を表し、nは1又は2の整数を表す。]で表されるアミンアルコール。
【0032】
前記の(1)〜(19)の中で単独に列挙せず一般式で示した化合物の中で好適なものを例示すれば、(6)リン酸又は縮合リン酸としては、リン酸及びピロリン酸及びトリポリリン酸が、(8)脂肪族ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸が、(9)脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸が、(10)脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸としては、酒石酸、クエン酸が、(11)単糖類及びその一部が酸化されたポリヒドロキシカルボン酸ならびにそれらの環状エステル化合物としては、アスコルビン酸、グルコン酸、δ−グルコノラクトンが、(12)脂肪族アミノカルボン酸としては、グリシンが、(13)脂肪族メルカプトカルボン酸としては、メルカプトコハク酸が、(14)アミンカルボン酸としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸が、(15)ヒドロキシアルカンビスホスホン酸としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ビスホスホン酸が(16)−(i) 〜(17)−(iii) の有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、メタントリスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシブタンスルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、1カルボキシエタンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、アリールスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−又は3−プロピオスルホン酸、スルホこはく酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、フェノールスルホン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸、(19)のアミンアルコールとしては、N−メチルエタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、3−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
めっき浴中での使用量は、用いる浴の種類やめっき対象物によって適宜選択されるが、浴中金属成分の1モルに対して、0.5〜20モル程度が適当であり、好ましくは2〜15モル程度である。
【0033】
なお、めっき下層側の亜鉛含有率が0.1〜15%組成、めっき皮膜表面層側の皮膜組成を下層側皮膜の亜鉛含有率よりも低い0.5%以下から錫単独に至る範囲の組成にした光沢ないしは半光沢の錫−亜鉛傾斜電気めっき皮膜を施した本発明の電気・電子回路部品は、上述の錫−亜鉛系はんだによって接合される場合に良好なはんだ接合性を有するものであるが、錫−亜鉛系以外のはんだ、即ち、錫−鉛系、錫−銀系、錫−アンチモン系、錫−ビスマス系、錫−インジウム系、錫−銅系などのはんだを用いた場合にも、該皮膜よりも亜鉛含有率の高い皮膜や、光沢性のない皮膜を用いた場合よりもはんだ接合性能は良好であり、これら錫−亜鉛系以外のはんだに対しても適用は可能である。
【0034】
本発明に従う錫−亜鉛傾斜電気めっき皮膜を適用できる、はんだ接合箇所を有した電気・電子回路部品には、例えば、IC半導体等の電子デバイス等、抵抗器、コンデンサ等の受動部品等、コネクタ、スイッチ、プリント配線板等の接合部品等、などが挙げれる。
【0035】
【実施例】
次に実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、前述した目的に沿って請求した請求項に記載した範囲内で下層側の亜鉛含有率、錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜厚さ、めっき皮膜表面層側の亜鉛含有率が0.5%以下から錫単独組成に至るまでのの錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜の膜厚、外観、傾斜合金皮膜を形成するめっき浴の構成、下地めっき、めっき前処理条件は、適宜、任意に変更し、該電気・電子回路部品を製作する事が出来る。
【0036】
バフ研磨した銅板を素地として用い、0.3×25×25mmに切断後、定法に従って予備処理として、ベンジン脱脂、電解脱脂、水洗、酸洗を行い、めっきを施した。下地めっきにニッケルめっきを施す場合には通常の無光沢浴を、無電解ニッケルめっきには通常の次亜リン酸を還元剤とするニッケル−リン合金めっきを施した。金めっきはシアン浴から純金めっきを施した。
【0037】
はんだ接合試験には、メニスコグラフ法を用い、錫−亜鉛(92%−8%)のはんだ浴をはんだ接合材に用い、浴温230℃、ロジンフラックス使用、浸漬時間5秒の条件で測定した。
比較例及び実施例に用いた銀めっき浴組成の一例は、それぞれの例の中に記載した。なお、はんだ接合試験の結果を、(a)ゼロクロスタイム、(b)浸漬開始より5秒後の濡れ荷重及び(c)外観状態の3つを指標として評価し、(d)総合評価をA〜Eに分類した。
【0038】
比較例1
銅板試料を上述に従って、予備処理し、乾燥させた直後に、はんだ接合試験を実施した。
【0039】
比較例2
予備処理、乾燥の後、一週間放置し、はんだ接合試験を実施した。
めっき皮膜を施さない場合には、十分なはんだ接合性は得られず、一週間放置した試料はさらにはんだ接合性が低下した。
【0040】
比較例3
予備処理の後、10μmの下層ニッケルめっきを施し、さらに0.1μmの上層金めっきを施した。該試料は、比較例1に比べるとかなり良好なはんだ接合性を示した。
【0041】
ニッケルめっき→金めっきという従来からの皮膜の組合せで、はんだ接合性はある程度改善されるけれども、工業的利用に十分とは言えず、また、従来錫−鉛はんだめっきが利用されてきた接合部品の総てに希有金属の金を使用することは、コストの低減ばかりでなく、希少金属資源保全の観点からも望ましくない。
【0042】
比較例4
下記の(A)浴から厚さ10μmで亜鉛含有率35%の半光沢錫−亜鉛合金めっき皮膜を施した。
(A)浴
硫酸錫 0.125 mol/l
硫酸亜鉛 0.125 mol/l
グルコン酸ナトリウム 0.55 mol/l
トリエタノ−ルアミン 0.25 mol/l
ポリエチレングリコ−ル
ノニルフェニルエ−テル 10 g/l
ベンズアルデヒド 0.1 g/l
浴のpH 5.0
浴温度 25 ℃
陰極電流密度 1.5A/dm
標準的な錫−亜鉛合金めっきであり、カドミウムめっきの代替として防食用皮膜として使用されている亜鉛含有率が35%の半光沢錫−亜鉛合金めっき皮膜を応用しても、はんだ付け接合性は改善されなかった。
【0043】
実施例1
下記の(B)浴から陰極電流密度2A/dm の条件で下層側皮膜の亜鉛含有率が8%、10μm厚の錫−亜鉛合金めっきを施し、このめっき皮膜の表面層を、めっき終了前に陰極電流密度を0.3A/dm に低下させる事によって、亜鉛含有率0.15%、0.20μm厚の光沢錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を施した。
(B)浴
硫酸錫 0.20 mol/l
硫酸亜鉛 0.05 mol/l
グルコン酸ナトリウム 0.55 mol/l
トリエタノ−ルアミン 0.25 mol/l
ポリエチレングリコ−ル
ノニルフェニルエ−テル 10 g/l
o−バニリン 0.05 g/l
37%ホルマリン 0.5 g/l
pH 5.0
浴温度 20 ℃
皮膜表面層の亜鉛含有率が低く、外観が光沢性を示す錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜は、非常に良好なはんだ接合性を示した。
【0044】
実施例2
下記の(C)浴から陰極電流密度2A/dm の条件で厚さ10μm、亜鉛含有率8%の錫−亜鉛合金めっき皮膜を施し、このめっき皮膜表面層を亜鉛含有率が0.5%となるように陰極電流密度0.5A/dm で1.0μmの半光沢錫−亜鉛傾斜合金皮膜を施した。
(C)浴
メタンスルホン酸錫 0.20 mol/l
メタンスルホン酸亜鉛 0.05 mol/l
クエン酸 0.80 mol/l
トリエタノ−ルアミン 0.15 mol/l
ポリエチレングリコ−ル
ノニルフェニルエ−テル 5 g/l
o−バニリン 0.05 g/l
pH(水酸化ナトリウム水溶液で調整) 5
浴温度 20 ℃
得られた半光沢めっき皮膜も、実施例1と同様良好なはんだ付け性を示した。
【0045】
実施例3
下記(D)浴から陰極電流密度2A/dm で亜鉛含有率15%、3.0μm厚の錫−亜鉛合金めっきを施し、皮膜表面層は陰極電流密度を0.01A/dm に低下させて、厚さ0.05μm、純度99.99%以上の半光沢錫めっき皮膜を施した。
(D)浴
塩化錫 0.08 mol/l
塩化亜鉛 0.25 mol/l
リンゴ酸ナトリウム 0.60 mol/l
ジメチルラウリルベタイン 5 g/l
pH(アンモニア水で調整) 5.0
浴温度 30 ℃
膜厚が3.0μm、亜鉛含有率が15%の下層めっきと表面層が0.05μmの薄い半光沢錫めっき皮膜から形成される試料においても良好なはんだ付け性が得られた。
【0046】
実施例4
下記(E)浴から陰極電流密度2A/dm の条件で、厚さ20μm、亜鉛含有率3%の錫−亜鉛合金めっきを施し、次いで、陰極電流密度を0.2A/dm に低下させて表面層側の0.5μm厚の部分を亜鉛含有率0.20%の半光沢錫−亜鉛傾斜合金皮膜を施した。
(E浴)
メタンスルホン酸錫 0.17 mol/l
メタンスルホン酸亜鉛 0.15 mol/l
スルホコハク酸 0.80 mol/l
硫酸アンモニウム 80 g/l
ポリオキシエチレンラウリル
アミン 4.5 g/l
pH(アンモニア水にて調整) 5
浴温度 20 ℃
錫−亜鉛傾斜合金皮膜の下層皮膜厚が厚く、表面層側が薄い場合においても、優れたはんだ付け性を示した。
【0047】
実施例5
実施例2と同一の操作によって得られた傾斜合金皮膜を大気中で150℃−10Hrの耐加熱処理を施した後に、はんだ付け性試験を実施した。その結果、実施例2よりは劣っていたが、比較例4の亜鉛含有率の高い錫−亜鉛合金めっき皮膜よりは優れたはんだ付け性を示した。
【0048】
比較例5
実施例2に記載の(C)浴を用いて、陰極電流密度2A/dm 一定条件で、亜鉛含有率8%の合金めっき皮膜を施した後、実施例5と同一の大気中150℃−10Hrの耐加熱処理を施した後に、はんだ付け性試験を実施した。
はんだ付け性は実施例5よりも著しく劣っていた。
【0049】
実施例6
鉄−ニッケル42アロイ素地上に電気めっきによって3μmの銅めっきを施した後、実施例2と同一条件でめっきを施して作成した試料のはんだ接合性は実施例2と同様に良好であった。
【0050】
実施例7
下層めっきとして厚さ10μmの電気ニッケルめっき皮膜を施した上に、実施例1と同じ条件で錫−亜鉛傾斜合金めっき皮膜を施し、比較例5と同じく大気中150℃−10Hrの耐加熱処理を施した後、はんだ接合性を測定した。
はんだ接合性は、比較例5よりも良好であったが、実施例1のめっき直後よりも低下していた。
【0051】
実施例8
銅材の下層めっきとして、0.1μmの厚さの無電解ニッケルめっき皮膜を施した後に、実施例2と同じ条件で錫−亜鉛傾斜合金皮膜を施した。次いで、1週間経時後にはんだ接合性を測定した。
下層めっき皮膜は0.1μmの厚さでも十分の効果を示し、実施例2と同様の良好なはんだ付け性を示した。
【0052】
はんだ接合試験の結果を、(a)ゼロクロスタイム、(b)浸漬開始より5秒後の濡れ荷重及び(c)外観状態の3つを指標として評価し、(d)総合評価をA〜Eに分類し、下記の表1に要約する。
【表1】
Figure 0003579550
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る電気・電子回路部品は、錫−亜鉛合金めっき皮膜よりも耐酸化性の優れた錫−亜鉛傾斜合金皮膜で被覆されており、非鉛の錫−亜鉛系はんだ接合材を用いる際に良好なはんだ接合性を有した電気・電子回路部品を提供するものであり、電気・電子回路部品のはんだ接合工程から鉛を追放することを可能とするものである。

Claims (3)

  1. 錫−亜鉛系はんだではんだ接合することを目的として、光沢又は半光沢を有する1.0〜100μm厚さの電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜を予め被覆してなる電気・電子回路部品であって、該電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜は、めっき皮膜の下層側の亜鉛含有率が0.1%以上、15%以下であり且つめっき皮膜の表面層側の亜鉛含有率が下層側皮膜よりも少ない0.5%以下から錫単独に至るまでである組成を有するものであることを特徴とする電気・電子回路部品。
  2. 前記の電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜が、非シアン系の錫−亜鉛合金電気めっき浴を用いてめっきを行い、次いでめっき作業を終了する前に陰極電流密度を0.001〜1.0A/dm に低下させてめっきを行うことにより形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の電気・電子回路部品。
  3. 電気めっき錫−亜鉛傾斜合金皮膜を施すに先立って、ニッケル又はニッケル合金又は銅を電気めっき又は無電解めっきによって下地に施すことを特徴とする請求項1又は2記載の電気・電子回路部品。
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