JP4132247B2 - 電気・電子回路部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、はんだ接合技術に関し、特に、鉛を含まない錫合金のはんだで電気・電子回路を接合するに適した錫−銅合金めっきを施した電気・電子回路部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子工業においては、はんだ接合によって回路を形成する方法は不可欠の技術であり、従来、素材の熱損傷を避けるためにごく低温で接合しなければならないなどの特殊な例を除き、ほとんどの場合にろう材としては錫−鉛系合金が、また、はんだ接合に先立って接合対象物に予め施されるはんだ付け性皮膜としても錫−鉛系合金めっきが利用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、鉛の健康・環境への影響が懸念され、有害な鉛を含む錫−鉛はんだを規制しようとする考えが急速に広まりつつあり、実質的に鉛を含まない錫合金のはんだ、即ち鉛フリーの代替はんだを開発する必要に迫られている。錫−鉛系はんだの代替となりうるような錫との合金における第2成分となる金属元素の条件は、毒性が低くかつ錫合金とした際に融点が低くなければならず、候補になりうる可能性がある元素は、銀、ビスマス、銅、インジウム、アンチモン、亜鉛などに限定されざるを得ず、いまのところ錫−鉛系はんだに代替できるような鉛フリーのはんだで工業的に採用し得る性能を満足するものはなく、日米欧を中心として研究開発が行われているところである。
【0004】
そのような研究の中で、鉛フリーはんだとして、錫−銀系及び錫−亜鉛系のはんだが有力な候補とされており、将来、工業的にはそれらにさらに第3、第4の元素を添加した系が用いられる可能性が高いと考えられている。
【0005】
一方、錫−鉛系はんだによってはんだ接合を行う場合、接合を迅速かつ確実に行うために、部品をはんだ接合工程に供する以前に、はんだ接合されやすいめっき皮膜を施しておくことが行われており、はんだ付け性皮膜と呼ばれている。あらかじめ施されるはんだ付け性めっき皮膜としては、錫、金、銀、パラジウムなどのめっき皮膜も利用されているが、ほとんどの場合は錫−鉛合金が利用されている。したがって、はんだに含有される鉛が規制されれば、同時に前処理としての錫−鉛合金めっき皮膜もまたその使用を制限されざるを得ない。
【0006】
このような要求に対して、錫−銀系のはんだに対しては錫−銀の合金めっき皮膜を、錫−亜鉛系のはんだに対しては錫−亜鉛の合金めっきの皮膜を用いようとされており、それらを得るための浴について盛んに研究が行われている。
【0007】
しかしながら、錫−銀系、錫−亜鉛系というようにはんだの種類が異なるごとにそれぞれに対応した錫−銀合金めっき、錫−亜鉛合金めっきというように、部品のめっき皮膜を変更することは生産工程上合理的でなく、どのような鉛フリーのはんだに対しても使用できるめっき皮膜が施されている電気・電子部品が望まれている。
【0008】
はんだ接合の前処理のめっき皮膜であって、鉛フリーのはんだに対して適用可能な皮膜として、前述の金、銀、パラジウム、錫などを利用する方法も考えられているが、錫単独の皮膜はウィスカーの発生という観点から、また、金、銀、パラジウムなどは技術的には可能であり一部の部品には適用され得るが、コストの観点からこれらを工業的に全面的に採用することはできず、これらより安価な皮膜が求められている。
【0009】
これに対して、すでに錫−銅合金めっきを用いるという考えもあるが、錫−銅の二元合金系の共晶点は銅の含有率がおよそ1wt%付近の組成であり、事実上、銅の添加とともに融点が増大し、錫よりも融点の低い皮膜が得られないので、はんだ付け性が低いと考えられ、鉛フリー問題が解決されていなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
これに対して発明者らは、同一組成のめっき皮膜であっても、外観的に光沢または半光沢状態までその結晶を微細化させることによって、はんだ付け性が著しく向上することを見い出し、このようなめっき皮膜を施した表面においては、鉛を含まないはんだであっても、迅速かつ確実なはんだ接合が可能であるという研究成果を得て、はんだ接合工程ならびに電気・電子製品における鉛規制問題を解決するに至った。
【0011】
発明の概要
即ち、本発明は、鉛を含まない錫合金のはんだではんだ接合することを目的として、非シアン系の錫−銅合金電気めっき浴から得られる光沢又は半光沢を有する錫−銅合金めっき皮膜であらかじめ被覆しておくことによって、鉛フリーのはんだで接合する際にも良好なはんだ付け性を示す電気・電子回路部品を提供するものであり、さらに、上記のような条件の錫−銅合金めっきを施すに先立って、さらに電気めっき又は無電解めっきによってニッケル又はニッケル合金の下層めっきを施したことを特徴とする電気・電子回路部品を提供するものである。また、特別にはんだ付け性の良好な皮膜を必要とする場合には、上記のような条件の錫−銅合金めっきの上に、さらに、金、銀、パラジウム、ビスマス、アンチモン、インジウム及び(又は)それらを主成分とする合金の中から選ばれる1種又は2種以上の金属のめっきを、電気めっき又は無電解めっきによって上層めっきとして施したことを特徴とする電気・電子回路部品を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
錫−銅の二元合金系は、既述のように、およそ1wt%−Cuの付近に共晶点があるが、電気めっき法においては、0.1%の精度で合金めっきの組成を制御することは困難であり、また、ウィスカーの発生を防止するという観点から最低1%の銅を含有させることが必要であると考えられることから、事実上錫−銅の合金めっき皮膜の融点は錫単独と同等か若しくはそれよりも高くなる。したがって、錫−銅めっき皮膜を可融性はんだ付け性皮膜として用いることはできず、可溶性はんだ付け性皮膜として使用することとなる。
【0013】
例えば錫−鉛皮膜のような可融性はんだ付け性皮膜の場合には、その表面状態に多少の差があっても、その融点以上になれば、皮膜は融解してしまうので、無光沢皮膜であってもかなり良好なはんだ付け性を示す。また、はんだ付け工程で皮膜が加熱されたときに皮膜中に吸蔵された有機物が悪影響を及ぼす可能性があるために、錫−鉛皮膜のような可融性はんだ付け性皮膜の場合には添加剤をできるだけ含まないめっき浴からめっきすることが望まれる。
【0014】
しかしながら、本発明の系のごとく通常のはんだ付け温度で可融でない皮膜をはんだ付け性皮膜として用いる場合には、被膜中に吸蔵された有機物による悪影響よりも、多少の有機物を吸蔵していても、むしろめっき皮膜の結晶粒子を外観的に光沢または半光沢状態まで微細化させた場合に、その濡れ性が大きく改善されることを見い出し、はんだ付け性の良好な電気・電子部品を得ることに成功した。
【0015】
光沢又は半光沢の錫−銅めっき皮膜を得るためには、公知の酸性浴或いは錯化剤を添加した錯塩浴が利用できる。それらの浴をそれぞれめっき浴の種類に応じて、適宜、金属濃度、遊離酸濃度(又はpH)、添加剤の種類及び濃度、温度、電流密度等の条件を選定して、光沢又は半光沢の錫−銅合金めっき皮膜が得られる条件に限定して用いられる。
【0016】
錫−銅合金めっき皮膜を得るためには技術的にはシアン浴を用いることもできるが、環境問題を解決するための技術であることに鑑み、酸性浴や非シアンの錯化剤を添加した錯塩浴等を用いることが望ましい。
【0017】
したがって、めっき浴を構成する酸根或いは錯化剤としては、非シアンの化合物が用いられる。即ち、例えば硫酸、ハロゲン化水素酸、ホウフッ酸、ケイフッ化酸、スルファミン酸、リン酸、ピロリン酸やトリポリリン酸などの縮合リン酸等の無機酸、例えば酢酸、コハク酸、蓚酸、マロン酸、グリコール酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グリシン等のカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸或いはそれらの誘導体等、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミンカルボン酸、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ビスホスホン酸等のヒドロキシアルカンビスホスホン酸、例えばメタンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、1−カルボキシエタンスルホン酸、アリールスルホン酸、スルホコハク酸、スルホフマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の脂肪族或いは芳香族の有機スルホン酸、例えばチオグリコール酸、アセチルシステイン、メルカプトコハク酸等のメルカプト化合物、例えばチオ尿素、トリメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−メルカプトベンゾチアゾール等の含硫黄化合物等が好適に用いられる。
【0018】
また、めっき浴を構成する金属イオンの供給源としても、非シアンの錫化合物或いは非シアンの銅化合物が用いられる。即ち、それらの錫又は銅の化合物としては、上記の酸又は錯化剤と錫又は銅の塩又は錯体が用いられる。さらに、錫又は銅の酸化物を上記の酸或いは錯化剤等の溶液に溶解して用いてもよい。
【0019】
めっき浴中の金属の濃度は、用いる浴の種類やめっき対象物によって増減することが望ましいが、概ね1〜100g/lが適当であり、好ましくは5〜80g/l程度とする。
【0020】
また、該はんだ接合前処理には、外観が光沢又は半光沢状の錫−銅合金めっき皮膜を用いるが、必須の成分ではないが、浴の種類に応じて界面活性剤を添加することが望ましい場合が多く、該界面活性剤としては、非イオン系、カチオン系、アニオン系、両性の界面活性剤を適宜単独又は混合して用いることができる。
【0021】
該界面活性剤としては、既存の界面活性剤を利用することができ、公知のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を、適宜単独又は併用して用いられる。即ち、効果のある界面活性剤の例として特に好適に用いられるものの例を列挙すれば、カチオン系界面活性剤には、テトラ低級アルキルアンモニウムハライド、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、ヒドロキシエチルアルキルイミダゾリン、ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウムハライド、アルキルベンザルコニウムハライド、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハライド、アルキルアミン塩酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミンオレイン酸塩、アルキルアミノエチルグリシン、アルキルピリジニウムハライドなどが含まれる。
【0022】
アニオン系界面活性剤には、アルキル(又はホルマリン縮合物)−β−ナフタレンスルホン酸(塩)、脂肪酸セッケン系界面活性剤、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルコキシ)ナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸エステル酸塩、高級アルコールリン酸モノエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルカノイルザルコシン、アルカノイルザルコシネート、アルカノイルメチルアラニン塩、N−アシルスルホカルボン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、アルキル脂肪酸グリセリン硫酸エステル塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸塩、アルキルスルホカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルポリオキシエチレンスルホコハク酸塩、アミドポリオキシエチレンスルホコハク酸塩、スルホコハク酸モノオレイルアミド塩等がある。上記の塩にはアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が含まれる。
【0023】
ノニオン系界面活性剤には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(又はエステル)、ポリオキシアルキレンフェニル(又はアルキルフェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンナフチル(又はアルキルナフチル)エーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(又は該フェニル基にさらにポリオキシアルキレン鎖を付加したポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル)、ポリオキシアルキレンビスフェノールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、エチレンジアミンのポリオキシアルキレン縮合物付加物、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンヒマシ(又は/及び硬化ヒマシ油)油、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルホルマリン縮合物、グリセリン(又はポリグリセリン)脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノ(セスキ、トリ)脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ(ジ)エタノールアミド、アルキル・アルキロールアミド、オキシエチレンアルキルアミン等が含まれる。
【0024】
両性界面活性剤には、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−ヒドロキシエチル(又はメチル)イミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−カルボキシメチルオキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−ヒドロキシエチル(又はメチル)イミダゾリン、ジメチルアルキルベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸(又はその塩)、アルキル(ポリ)アミノエチルグリシン、N−アルキル−N−メチル−β−アラニン(又はその塩)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、等がある。上記の塩にはアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が含まれる。
【0025】
これら界面活性剤のめっき浴における濃度は、0.01〜50g/lで、さらに好適には0.01〜30g/lが使用される。使用量の不足は平滑で緻密な錫−銅合金皮膜を得るという前述の効果が期待できないこともある。過剰の添加は、電流効率を低下させたり皮膜組成の均一性を低下させるなどの悪影響を及ぼす可能性がある。
【0026】
さらに、半光沢ないしは光沢のめっき皮膜を得るために、析出物の結晶を微細化するために、結晶微細化剤を使用することができる。結晶微細化剤は一般に平滑化剤或いは光沢剤としてめっき浴に添加されている公知の物質が利用できるが、効果のあるものの例として、下記(1)〜(19)等を挙げることができる。これらは単独又は適宜併用添加して使用できる。使用量は下記(1)の高分子化合物を用いる場合は0.5〜50g/lが適当であり、好ましくは、1〜20g/lである。下記(2)〜(19)の群の添加剤に対しては、0.005〜30g/lが適当であり、さらに好適には0.02〜20g/lが添加される。
【0027】
(1)下記の高分子化合物:
ゼラチン、ペプトン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン。
【0028】
(2)一般式
【化1】
Figure 0004132247
[ここで、Raは水素又はアルキル基(C1 〜C4 )を表し、Rbは水素、アルキル(C1 〜C4 )又はフェニル基を表し、Rcは水素又は水酸基を表し、Aは単結合、アルキレン、ベンジリデン又はフェニレン基を表す。]
で表されるスルファニル酸誘導体及びその塩。
【0029】
(3)一般式
【化2】
Figure 0004132247
[ここで、Raは水素又はアルキル基(C1 〜C4 )を表し、Rbは水素又はメチル基を表し、nは2〜15の整数を表す。]
で表されるキノリン類。
【0030】
(4)一般式
【化3】
Figure 0004132247
[ここで、Xは水素、ハロゲン、アルキル(C1 〜C4 )、アセチル、アミノ基、水酸基又はカルボキシル基を表し、Yは水素又は水酸基を表し、nは0〜12の整数を表す。]
で表されるトリアゾール及びその誘導体。
【0031】
(5)一般式
【化4】
Figure 0004132247
[ここで、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 は、それぞれ同一又は異なってもよく、−H、−SH、−OH、−OR(Rは所望により−COOHで置換されていてもよいC1 〜C6 のアルキル基)、ハロゲン、−COOH、−COCOOH、アリール、−SR(Rは所望により−COOHにて置換されていてもよいC1 〜C6 のアルキル基)、
【化5】
Figure 0004132247
−NH2 、−NRR’(R及びR’はC1 〜C6 のアルキル基又は一緒になって環を形成してもよい)、−NHCOR(RはC1 〜C6 のアルキル基)、−NHCOアリール、−NHNH2 、−NO2 、−CONHアリール、−CSNHアリール、−CN、−CHO、−SO3 H、−SO2 NH2 又は−SO2 NRR’(R及びR’はC1 〜C6 のアルキル基又は一緒になって環を形成してもよい)を表す。]
で表されるベンゾチアゾール及びその誘導体。
【0032】
(6)一般式
【化6】
Figure 0004132247
[ここで、X及びYは、それぞれ独立に水素又は水酸基を表し、Ra及びRbは、それぞれ独立にアルキル基(C1 〜C5 )を表す。]
で表されるイミン類。
【0033】
(7)一般式
【化7】
Figure 0004132247
[ここで、Xは水素、ハロゲン又はアルキル基(C1 〜C18)を表し、Yは水素、水酸基又はアルキル基(C1 〜C18)を表す。]
で表されるトリアジン類。
【0034】
(8)一般式
【化8】
Figure 0004132247
[ここで、Ra及びRbは、同一又は異なっていてもよく水素、アルキル(C1 〜C18)、アルコキシ(C1 〜C18)又はシクロアルキル基(C3 〜C7 )を表し、Aは低級アルキレン基を表す。]
で表されるトリアジン類。
【0035】
(9)一般式
【化9】
Figure 0004132247
[ここで、Rは、アルキル(C1 〜C4 )又はフェニル基を表す。]
で表される芳香族オキシカルボン酸のエステル類。
【0036】
(10)一般式
Ra−CRb=CH−CO−X−Rc
[ここで、Ra及びRcはフェニル、ナフチル、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル、ピロニル、アミノ、水酸基又は水素から選ばれた基であり、該基はアルキル(C1 〜C6 )、アルキルオキシ(C1 〜C6 )、アシル(C1 〜C6 )、アルキルチオ(C1 〜C6 )、水酸基、ハロゲン、カルボキシル基、ニトロ基及び−NRdRe(Rd及びReは、同一又は異なってよく、各々水素又はアルキル基(C1 〜C4 )を表す)から選ばれた同一又は異なる置換基を1〜4個有してもよく、或いはRaとRcは結合して環状となってもよく、或いは、RcはRa−CRb=CH−CO−に等しくてもよい。Xは単結合もしくはメチレン基である。Rbは水素又はアルキル(C1 〜C4 )である。]
で表されるC=Oと共役の位置に二重結合を有する化合物。
【0037】
(11)一般式
R−CHO
[ここで、Rはアルキル(C1 〜C6 )、アルケニル(C2 〜C6 )、アルキニル(C2 〜C6 )、フェニル、ナフチル、アセナフチル、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル、インドール、ピロニル、アルデヒド基又は水素から選ばれた基であり、該基はアルキル(C1 〜C6 )、フェニル、アルキルオキシ(C1 〜C6 )、アシル(C1 〜C6 )、アルキルチオ(C1 〜C6 )、水酸基、ハロゲン、ニトロ基及び−NRaRb(Ra及びRbは、同一又は異なってよく、各々水素又はアルキル(C1 〜C4 )を表す)から選ばれた同一又は異なる置換基を1〜4個有してもよい。]
で表されるアルデヒド類。
【0038】
(12)一般式
Ra−CO−(CH2n −CO−Rb
[ここで、Ra及びRbは、同一又は異なってもよく、水素、アルキル基(C1 〜C6 )又は−C24 −CO−CO−C25 を表し、nは0〜2の整数である。]
で表されるジケトン類。
【0039】
(13)一般式
Ra−NH−Rb
[ここで、Raはフェニルを表し、該基は、アルキル(C1 〜C3 )、ハロゲン又はアミノ基で置換されてもよい。Rbは水素、アルキル基(C1 〜C3 )、−NH−CS−N=N−φ、−CH2 又は−φ−NH2 を表す。φはフェニル基を表す。]
で表されるアニリン誘導体。
【0040】
(14)一般式
【化10】
Figure 0004132247
[ここで、Ra及びRbは、それぞれ独立に水素、低級アルキル、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基又はスルホン酸基を表す。]
で表されるニトロ化合物又はそのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩。
【0041】
(15)一般式
HOOC−CHR−SH
[ここで、Rは水素又はアルキル基(C1 〜C2 )を表し、該アルキル基の水素はカルボキシル基で置換されていてもよい。]
で表されるメルカプトカルボン酸類。
【0042】
(16)下記から選ばれる複素環式化合物類:
1,10−フェナントロリン、2−ビニルピリジン、キノリン、インドール、イミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、1,2,3−(又は1,2,4−又は1,3,5−)トリアジン、1,2,3−ベンゾトリアジン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−シンナミルチオフェン。
【0043】
(17)アセトフェノン及びハロゲン化アセトフェノン。
【0044】
(18)一般式
【化11】
Figure 0004132247
[ここで、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立に、水素、メチル、エチル基又は(CH2n −CH(Rd)(OH)を表し、Ra、Rb及びRcのうち少なくとも一つは−(CH2n −CH(Rd)(OH)である。Rdは水素又はメチル基を表し、nは1又は2の整数を表す。]
で表されるアミンアルコール類。
【0045】
(19)上記(11)から選ばれたアルデヒド類と上記(13)から選ばれたアニリン誘導体又は下記一般式(a)から選ばれたアミン類との反応生成物:
一般式(a)
Ra−NH−Rb
[ここで、Ra及びRbは水素、アルキル(C1 〜C6 )又はシクロアルキル基(C3 〜C8 )を表す。該Ra及びRbの水素は水酸基、アミノ基で置換されていてよく、また、結合して又は−NH−又は−O−を介して結合して環を形成してもよい。ただし、該Ra及びRbは同時に水素であることはない。]
で表される脂肪族一級又は二級アミン類。
【0046】
これらの添加剤のうち、特に好適な例を挙げると、
前記式(2)で表わされるものとして、N−ブチリデンスルファニル酸、N−(3−ヒドロキシブチリデン)−p−スルファニル酸、アルドール、
【0047】
前記式(3)で表わされるものとして、8−ヒドロキシキノリンに5モルの酸化プロピレンを付加した生成物、
【0048】
前記式(4)で表わされるものとして、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシベンゾトリアゾール、4−メチルベンゾトリアゾール、
【0049】
前記式(5)で表わされるものとして、ベンゾチアゾール、2−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノ−4−クロロベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドロキシベンゾチアゾール、2−クロロベンゾチアゾール、2−メチル−5−クロロベンゾチアゾール、2,5−ジメチルベンゾチアゾール、5−ヒドロキシ−2−メチルベンゾチアゾール、6−クロロ−2−メチル−4−メトキシベンゾチアゾール、2−(n−ブチル)メルカプト−6−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾールチオ酢酸、2−ベンゾチアゾールオキシ酢酸、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、
【0050】
前記式(6)で表わされるものとして、N,N’−ジイソブチリデン−o−フェニレンジアミン、
【0051】
前記式(7)で表わされるものとして、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル(1’)エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル(1’)エチル−1,3,5−トリアジン、
【0052】
前記式(8)で表わされるものとして、β−N−ドデシルアミノプロピオグアナミン、β−N−ヘキシルアミノプロピオグアナミン、ピペリジンプロピオグアナミン、シクロヘキシルアミノプロピオグアナミン、モルホリンプロピオグアナミン、β−N−(2−エチルヘキシロキシプロピルアミノ)プロピオグアナミン、β−N−(ラウリルオキシプロピルアミノ)プロピオグアナミン、
【0053】
前記式(9)で表わされるものとして、o−(又はm−又はp−)安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、
【0054】
前記式(10)で表わされるものとして、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、イタコン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、桂皮酸、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、N−メトキシジメチルアクリルアミド、クルクミン、イソホロン、メシチルオキシド、ビニルフェニルケトン、ビフェニルプロペニルケトン、フェニルイソブテニルケトン、フェニル−2−メチルプロペニルケトン、ベンジリデンアセチルアセトン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、p−フルオロ又はクロロフェニルプロペニルケトン、p−ヒドロキシフェニルプロペニルケトン、m−ニトロフェニルプロペニルケトン、p−メチルフェニルプロペニルケトン、2,4,6−トリメチルフェニルプロペニルケトン、p−メトキシフェニルプロペニルケトン、p−メトキシフェニルブテニルケトン、p−メチルフェニルプロペニルケトン、p−イソブチルフェニルプロペニルケトン、α−ナフチル−1−メチルプロペニルケトン、4−メトキシナフチルプロペニルケトン、2−チエニルプロペニルケトン、2−フリルプロペニルケトン、1−メチルピロールプロペニルケトン、ベンジリデンメチルエチルケトン、ベンジリデンアセトンアルコール、p−トルイデンアセトン、p−ヒドロキシベンジリデンアセトン、ベンジリデンメチルイソブチルケトン、3−クロロベンジリデンアセトン、ベンザルアセトン、sub,ピリジリデンアセトン、sub,フルフリジンアセトン、sub,テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、(2,4−又は3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、アクロレイン、アリルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、テニリデンアセトン、
【0055】
前記式(11)で表わされるものとして、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、グリオキサール、スクシンアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、プロパルギルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、o−フタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−(又はm−又はp−)メトキシベンズアルデヒド、o−バニリン、ベラトルアルデヒド、2,5−ジメトキシベンズアルデヒド、(2,4−又は2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、m−(o−又はp−)クロロベンズアルデヒド、1−(又は2−)ナフトアルデヒド、2(又は4)−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2(又は4)−クロル−1−ナフトアルデヒド、5−(又は2−)メトキシナフトアルデヒド、ピコリンアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、2(又は3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(又は3)−フルアルデヒド、ピコリンアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプテナール、2,4−ヘキサジエナール、ベンジルクロトンアルデヒド、
【0056】
前記式(12)で表わされるものとして、グリオキサール、ジアセチル、3,4−ヘキサンジオン、アセチルアセトン、3,4−ヘキサンジオンアセチルアセトン、
【0057】
前記式(13)で表わされるものとして、アニリン、o−(又はm−又はp−)トルイジン、(o−又はp−)アミノアニリン、(o−又はp−)クロルアニリン、(2,5−又は3,4−)クロルメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−又はβ−)ナフチルアミン、ジチゾン、
【0058】
前記式(14)で表わされるものとして、p−ニトロフェノール、ニトロベンゼンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、m−ニトロ安息香酸、
【0059】
前記式(15)で表わされるものとして、チオグリコール酸、メルカプトコハク酸、
【0060】
前記式(17)で表わされるものとして、アセトフェノン、2,4−(又は3,4−)ジクロロアセトフェノン、
【0061】
前記式(18)で表わされるものとして、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、
【0062】
前記式(19)で表わされるものとして、アミン−アルデヒド縮合物、例えばピペラジン、ピペリジン、モルホリン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの式(a)で表わされる脂肪族第一若しくは第二アミン類又は前記式(13)で表わされる芳香族アミン類と前記式(11)で表わされるアルデヒド類との縮合物
などを挙げることができる。
【0063】
さらに、2価の錫化合物を用いた場合には、めっき浴中で酸化され易いため、酸化防止剤を使用することができる。酸化防止剤には公知のもの、例えばレゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、フロログリシノール、ピロガロール、ヒドラジン、アスコルビン酸などが、適宜、単独又は併用して用いられる。酸化防止剤の使用量は、0.05〜50g/l程度が適当であり、さらに好適には0.1〜10g/lが添加される。
【0064】
めっき皮膜中の銅含有率については、特に明瞭な上下限はないが、ウィスカー防止という観点から下限は概ね1wt%以上の銅を含有することが望ましい。銅含有率が90%以上になっても光沢皮膜では銅素地よりも良好なはんだ付け性を示すが、銅のそれに近づいてくるので、概略90wt%以下で用いるのが望ましい。
【0065】
めっき厚さについては明瞭な限界点はないが、一般に錫又は錫−鉛皮膜において行われている0.1〜100μmの厚さが用いられる。概ね0.1μm以下では好ましいはんだ付け性を有する皮膜が得られにくく、また概ね100μm以上の厚さの皮膜も好ましい光沢又は半光沢の均一な皮膜を得ることが難しくなる。本発明の目的から最良の皮膜とするために、一層好適には0.5〜20μmの厚さが用いられる。
【0066】
めっき皮膜中の錫や銅と素材を構成する金属との拡散によるめっきの皮膜組成、皮膜構造の変化あるいは欠陥の発生を防止し、あるいはめっき皮膜が比較的薄い場合にめっき皮膜の欠陥を通しての素地の腐食を防止することによってはんだ付け性の経時劣化を抑制するという観点から、錫−鉛合金系めっき皮膜において採用されていたようにニッケル又はニッケル合金めっきを下地めっきとして施しておくという方法を採用する事もできる。
【0067】
該ニッケル又はニッケル合金下地めっきには、電気めっき及び無電解めっきの何れもが効果があり、これらのめっき皮膜を得るためには、公知のめっき浴・めっき条件を採用することができる。該めっき皮膜のめっき厚さについては特に限定されないが、素地とめっき皮膜の間でお互いの元素が相互に拡散することを防止又は抑制する効果若しくは素地の腐食を防止する効果から、0.1〜30μmの皮膜厚さが望ましい。
【0068】
さらに、本願の発明者らは、該光沢又は半光沢の錫−銅合金めっき皮膜の上に、さらに、金、銀、パラジウム、ビスマス、アンチモン、インジウム及び(又は)それらを主成分とする合金の中から選ばれる1種又は2種以上の金属のめっきを、電気めっき又は無電解めっきによって上層めっきとして施すことによって、さらに濡れ性の良好なはんだ付け性を有した電気・電子部品が得られることを見いだした。
【0069】
該金、銀、パラジウム、ビスマス、アンチモン、インジウム及び(又は)それらを主成分とする合金のめっきは、電気めっき及び無電解めっき(還元型及び置換型を含む)の何れもが用いられ、これらのめっき皮膜を得るためには、公知のめっき浴・めっき条件を採用することができる。めっき厚さについては特に限定されず、極めて薄い皮膜であってもその効果を示し、明瞭な限界点はないが、概ね0.001μmから5μmの範囲で、また、一層好適には0.01μmから3μmの範囲で用いられる。
【0070】
なお、ここで言う鉛を含まない錫合金のはんだとは、実質的に鉛を含まないという意味であって、通常の工程で製造される不純物としての鉛まで除去したはんだという意味ではなく、錫に対してパーセント以下の鉛を不純物として含有しているはんだを用いることは許容される。鉛フリーのはんだとしては、銀、ビスマス、銅、アンチモン、インジウム、あるいは亜鉛等と錫の二元以上の合金が用いられるが、これらの元素以外にも微量元素が添加されていても差し支えない。
【0071】
このようなはんだ付け性皮膜を適用できるはんだ接合個所を有した電気・電子回路部品には、例えば、IC半導体等の電子デバイス等、抵抗器、コンデンサ等の受動部品等、コネクタ、スイッチ、プリント配線板等の接続部品等、などが挙げられる。
【0072】
また、該電気・電子部品を製作するためのめっき浴には、浴を安定化させるために酸及び/又はキレート剤及び/又はアルカリを添加することができる。
【0073】
めっき浴中での該安定化剤の使用量は、用いる浴の種類やめっき対象物によって適宜選択されるが、浴中金属成分の1モルに対して、0.5〜20モル程度が適当であり、好ましくは1〜15モル程度である。
【0074】
また、錫として2価の錫イオンの浴を用いる場合には、錫イオンの酸化を防止又は抑制するために酸化防止剤を用いることができる。
【0075】
【実施例】
次に実施例によって、この発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、前述した目的に沿って特許請求の範囲に記載した範囲内で、めっき皮膜組成、膜厚、めっき浴の構成、下層めっき、上層めっきなどのめっき条件を適宜、任意に変更し、該電気・電子回路部品を製作することができる。
【0076】
バフ研磨した銅板を素地として用い、2.5cm×2.5cmに切断後、定法に従って予備処理として、ベンジン脱脂、電解脱脂、水洗を施して試料とした。めっきを施す場合には、引き続き酸洗を施し、水洗の後にめっきを施した。
【0077】
はんだ接合性試験には、各種の鉛を含まない錫合金をはんだ浴としてメニスコグラフ法を用いてゼロクロスタイムを測定し、はんだ付け性の評価を行った。
【0078】
比較例1
下記の浴Aから厚さ約5μmで銅含有率が約32%の無光沢錫−銅合金めっき皮膜を施した。
浴A
硫酸銅 30 g/l
硫酸錫 30 g/l
硫酸 98 g/l
クレゾールスルホン酸 10 g/l
エマルゲン409p
(花王石鹸(株)) 2 g/l
ベンザルアセトン 0.3g/l
浴温 25 ℃
電流密度 2 A/dm2
錫−銀(3.5%)の合金をはんだ浴として用い、浴温270℃、浸漬時間5秒で測定した。比較として用いた銅板試料と同じくゼロクロスタイムは5秒以上となり、外観も満足すべきものではなかった。すなわち、無光沢の皮膜は良好なはんだ付け性を示さなかった。
【0079】
実施例1
下記の浴Bから厚さ約5μmで銅含有率が約2%の光沢錫−銅合金めっき皮膜を施した。下地として通常のワット浴から約5μのニッケルめっきを施した。
浴B
硫酸銅 1 g/l
硫酸錫 60 g/l
硫酸 98 g/l
クレゾールスルホン酸 10 g/l
市販半光沢剤 513Y−D
(石原薬品(株)) 50 ml/l
浴温 25 ℃
電流密度 3 A/dm2
錫−銀(3.5%)の合金をはんだ浴として用い、浴温270℃、浸漬時間5秒で測定した。
比較として同じ条件で測定した銅板試料のゼロクロスタイムは5秒以上であったのに対して、該錫−銅合金めっき試料のゼロクロスタイムは2.1秒と良好であり、はんだ付け後の外観も満足すべきものであった。
【0080】
実施例2
下記の浴Cから厚さ約5μmで銅含有率が約60%の光沢に近い半光沢の錫−銅合金めっき皮膜を施した。下地として通常の無電解ニッケル−リン浴から約5μのニッケルめっきを施した。
浴C
硫酸銅 0.045 mol/l
硫酸第一錫 0.055 mol/l
トリポリリン酸ナトリウム 0.5 mol/l
酒石酸アンモニウム 0.15 mol/l
ペプトン 1 g/l
浴温 50 ℃
pH 8
電流密度 0.5 A/dm2
錫−銀(3.5%)−ビスマス(6%)−銅(0.5%)の合金をはんだ浴として用い、浴温260℃、浸漬時間5秒で測定した。
比較として同じ条件で測定した銅板試料のゼロクロスタイムは4.8秒であったのに対して、該錫−銅合金めっき試料のゼロクロスタイムは2.3秒と良好であり、はんだ付け後の外観も満足すべきものであった。
【0081】
実施例3
下記の浴Dから厚さ約5μmで銅含有率が約38%の光沢に近い半光沢の錫−銅合金めっき皮膜を施した。
浴D
硫酸銅 0.045 mol/l
硫酸第一錫 0.055 mol/l
トリポリリン酸ナトリウム 0.5 mol/l
酒石酸アンモニウム 0.15 mol/l
ペプトン 1 g/l
浴温 50 ℃
pH 8
電流密度 1 A/dm2
錫−ビスマス(10%)の合金をはんだ浴として用い、浴温250℃、浸漬時間5秒で測定した。
比較として同じ条件で測定した銅板試料のゼロクロスタイムは4.5秒であったのに対して、該錫−銅合金めっき試料のゼロクロスタイムは2.9秒と良好であり、はんだ付け後の外観も満足すべきものであった。
【0082】
実施例4
下記の浴Eから厚さ約1μmで銅含有率が約5%の半光沢の錫−銅合金めっき皮膜を施した。下地として通常のワット浴から約5μのニッケルめっきを施した。
浴E
メタンスルホン酸銅 4 g/l
メタンスルホン酸錫 60 g/l
メタンスルホン酸 100 g/l
クレゾールスルホン酸 10 g/l
市販半光沢剤 513Y−D
(石原薬品(株)) 50 ml/l
浴温 30 ℃
電流密度 3 A/dm2
錫−銀(0.2%)−銅(5%)−アンチモン(0.8%)の合金をはんだ浴として用い、浴温270℃、浸漬時間5秒で測定した。
比較として同じ条件で測定した銅板試料のゼロクロスタイムは4.9秒であったのに対して、該錫−銅合金めっき試料のゼロクロスタイムは2.1秒と良好であり、はんだ付け後の外観も満足すべきものであった。
【0083】
実施例5
下記の浴Fから厚さ約3μmで銅含有率が約10%の半光沢の錫−銅合金めっき皮膜を施した。下地として通常の無電解ニッケル−リン浴から約5μのニッケルめっきを施し、上層めっきとして浴Gから約0.1μの電気金めっきを施した。
浴F
メタンスルホン酸銅 8 g/l
アルカノールスルホン酸錫 60 g/l
メタンスルホン酸 100 g/l
クレゾールスルホン酸 10 g/l
市販半光沢剤 513Y−D
(石原薬品(株)) 50 ml/l
浴温 30 ℃
電流密度 3 A/dm2
浴G
メルカプトコハク酸金
(金として) 10 g/l
メルカプトコハク酸 20 g/l
pH 6
温度 50 ℃
電流密度 1 A/dm2
錫−銀(3.5%)の合金をはんだ浴として用い、浴温270℃、浸漬時間5秒で測定した。
比較として同じ条件で測定した銅板試料のゼロクロスタイムは5秒以上であったのに対して、該錫−銅合金めっき試料のゼロクロスタイムは1.8秒と良好であり、はんだ付け後の外観も満足すべきものであった。
【0084】
実施例6
下記の浴Hから厚さ約3μmで銅含有率が約29%の光沢の錫−銅合金めっき皮膜を施した。下地として通常の無電解ニッケル−リン浴から約5μのニッケルめっきを施し、上層めっきとして浴Iから約0.1μの無電解パラジウムめっきを施した。
浴H
硫酸銅 60 g/l
硫酸錫 60 g/l
硫酸 98 g/l
クレゾールスルホン酸 10 g/l
マルゲン409p
(花王石鹸(株)) 2 g/l
ベンザルアセトン 0.3g/l
浴温 25 ℃
電流密度 3 A/dm2
浴I
市販浴(石原薬品)APP浴
温度 50 ℃
めっき時間 6 分
錫−亜鉛(9%)の合金をはんだ浴として用い、浴温270℃、浸漬時間5秒で測定した。
比較として同じ条件で測定した銅板試料のゼロクロスタイムは5秒以上であったのに対して、該錫−銅合金めっき試料のゼロクロスタイムは2.3秒と良好であり、はんだ付け後の外観も満足すべきものであった。
【0085】
【発明の効果】
本発明に係る電子・電気回路部品は、非鉛のはんだ接合材を用いる際に良好なはんだ接合性を有した電子・電気回路部品を提供するものであり、電子・電気回路部品のはんだ接合工程から鉛を追放することを可能とするものである。

Claims (3)

  1. シアン系の錫−銅合金めっき浴から得られ、且つ、銅含有率が1〜90wt%で厚みが0.1〜100μmである光沢又は半光沢錫−銅合金めっき皮膜をあらかじめ被覆したことを特徴とする、鉛を含まない錫合金のはんだではんだ接合するのに特に適した電気・電子回路部品。
  2. 錫−銅合金めっき皮膜を施すに先立って、さらに電気めっき又は無電解めっきによって厚みが0.1〜30μmのニッケル又はニッケル合金の下層めっきを施したことを特徴とする請求項1に記載の電気・電子回路部品。
  3. 錫−銅合金めっき皮膜の上に、さらに、厚みが0.001〜5μmの金、銀、パラジウム及び(又は)それらを主成分とする合金の中から選ばれる1種又は2種以上の金属のめっきを、電気めっき又は無電解めっきによって上層めっきとして施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気・電子回路部品。
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