JP3572373B2 - センターピラーの補強構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のセンターピラーの補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平5−58522号公報にセンターピラーの補強構造の一例が記載されている。従来の補強構造では、ハット形断面またはコ字形断面のレインフォースをセンターピラーインナまたはセンターピラーアウタに沿って配置しスポット溶接している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構造では、ハット断面形状のレインフォースの曲げ応力によってセンターピラーの補強を行なうため、レインフォースをセンターピラーのアウターパネル又はインナーパネルにスポット溶接で固定する必要があり、スポット溶接箇所の条件等に制約を受け易かった。また、曲げ応力によって補強を行なうとき、断面が潰れたモードとなり易かった。従って、補強可能な限度が低かった。また、これに対し、強度を高めるためにレインフォースの板厚を増加することが考えられるが、そうすると補強材の重量増を招くという問題があった。
【0004】
一方、ハット断面のレインフォースを対向させて両側部を相互に重ね合せ、結合すると閉断面構造のレインフォースとすることはできるが、両者の結合にアーク溶接等を用いなければならず、コストアップの原因となる。また、かかる結合による閉断面形状では、閉断面の精度が低く、補強の程度が安定しないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、重量増加を抑制して剛性アップを図ることのできるセンターピラーの補強構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ルーフサイドレールから下方に延びるセンターピラーの補強構造であって、センターピラーアウタとセンターピラーインナとで囲まれる閉空間内に、単一部材を閉断面形状に成形して車幅方向に沿った縦壁部を有する角筒状のレインフォースを配設し、該レインフォースの上端部をブレースを介して前記ルーフサイドレールに接続し、前記レインフォースの上端開口に、車幅方向外側から同内側上方への傾斜面を形成し、前記ブレースを、前記ルーフサイドレールに結合される横フレーム及び該横フレームから下方へ延びる縦フレームからなるT形とし、前記縦フレームを車幅方向外側を開放した断面コ字形として前記レインフォースの車幅方向内側の壁部に沿って挿入接合していることを特徴とする。
【0007】
この構造では、単一部材を閉断面形状に成形したレインフォースを用いているので、レインフォースの縦壁部が車両側方からの入力によく対抗し得るとともに、レインフォースの上端を斜めにカットしているので、ブレースとレインフォースとの結合強度が連続的となり、応力集中を抑制できる。また、ブレースの断面コ字形の縦フレームが、レインフォースの傾斜している上端開口より差し込まれているので、この傾斜面の上端開口を利用して、ブレースとレインフォースとのスポット溶接が可能である
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のセンターピラーの補強構造であって、前記レインフォースが、車幅方向内側の壁部と、その両側縁より車幅方向外側に沿って延びた左右縦壁部と、それら左右縦壁部の先端縁より相手方向へ傾斜して相互に合致する左右傾斜壁部とからなる断面五角形の角筒状に形成されたことを特徴とする。
【0011】
この構造では、請求項1の発明の作用に加え、レインフォースの縦壁部の他に左右傾斜壁部が存在し、かかる傾斜壁部も入力に対して対抗し、レインフォースのより強度アップを図ることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2記載のセンターピラーの補強構造であって、前記ブレースに、ウエルドナットが設けられ、該ウエルドナットにシートベルトアンカーボルトを取付けることを特徴とする。
【0013】
この構造では、請求項1または2の発明の作用に加え、ブレースにシートベルトアンカーの取付点を設けているので、シートベルトからの入力をルーフ側へも分散させることができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のセンターピラーの補強構造であって、前記レインフォースの縦壁部に、ビードを設けたことを特徴とする。
【0015】
従って、請求項1〜3のいずれかの発明の作用に加え、ビードによって入力に対抗し得る稜線を増加させ、より強度アップを図ることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のセンターピラーの補強構造であって、前記センターピラーのドアウエスト部対応位置より上半部が、同下半部よりも断面が細く形成され、前記レインフォースは、前記下半部の上部まで到るように延びていることを特徴とする。
【0017】
従って、請求項1〜4のいずれかの発明の作用に加え、視界を広げるために細くなったセンターピラーの上半部を確実に補強することができる。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、補強材として、単一部材を閉断面形状に成形してなるレインフォースを用いているので、レインフォースの縦壁部が車両側方からの入力によく対抗し得るようになり、そのため断面が潰れたモードになりづらい。また、レインフォースは、センターピラーにスポット溶接等する必要がなくなり、制約を受けなくなる。従って、センターピラーの補強可能な限度を高めることができる。また、単一部材の閉断面形状を用いるため、アーク溶接等によるコストアップを招かず、しかも精度のよい補強を行なうことができる。
さらに、ブレースの断面コ字形の縦フレームが、レインフォースの傾斜している上端開口より差し込まれているので、この傾斜面の上端開口を利用して、ブレースとレインフォースとのスポット溶接が可能となり、ブレースとレインフォースとの接続の連続化を図ることができ、応力集中を避け、折れを抑制することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、レインフォースのより強度アップにより、センターピラーの折れをより確実に防止することができるという効果を奏する。
【0021】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明の効果に加えて、シートベルトからの入力をルーフ側へも分散させることができ、シートベルトの支持力を強化できる。
【0022】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかの発明の効果に加え、ビードによる稜線の増加によって、レインフォースのより強度アップを図り、センターピラーの折れをより確実に防止できる。
【0023】
請求項5の発明では、センターピラーの上半部の部分で視界を広げながら、入力に対して確実に補強し、センターピラーの折れを抑制することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は実施形態の構造の要部分解斜視図である。ここで対象とするセンターピラーは、図6の車両全体図の中の符号1で示す部分である。このセンターピラー1は、ルーフレールサイド2から下方に延び、下端はサイドシル20に結合されている。センターピラー1は、ドアウエスト部対応位置より上半部1aが同下半部1bより細く形成され、車室内からの視界を広げると共に、車室内側への膨出を規制し、車室内空間を広げるようになっている。図2はそのセンターピラー1の拡大正面図であり、図3はセンターピラーアウタ11aを含むボディサイドアウタ11を外した状態を示す拡大正面図、図4は図2のIV−IV矢視断面図、図5は図4のV−V矢視断面図である。
【0026】
前記センターピラー1は、図1〜図5に示すように、センターピラーアウタ11a、センターピラーインナ12、第1レインフォース13、第2レインフォース14並びにブレース5とを含んでいる。
【0027】
図1に示すように、前記センターピラーアウタ11aは、ルーフサイドレールアウタ11b等と共にボディサイドアウタ11として一体にプレス成形されたものであり、前記ルーフサイドレールアウタ11bにルーフサイドレールインナ2aが接合されてルーフサイドレール2が構成される。
【0028】
前記センターピラーインナ12、第1レインフォース13、ブレース5は、いずれも縦フレーム12a、13a、5aと、ルーフレールサイド2に沿う横フレーム12b、13b、5bとを有するT字形をなしている。
【0029】
図5に示すように、センターピラーアウタ11aは、三角のハット形断面に形成され、センターピラーインナ12の縦フレーム12aは四角のハット形断面に形成されている。そして、両者を合わせることで閉空間16が形成され、その中に第1レインフォース13の縦フレーム13aと第2レインフォース14が収容されている。
【0030】
第1レインフォース13の縦フレーム13aはセンターピラーアウタ11aと略同形の開断面形状のもので、両側縁がセンターピラーアウタ11aとセンターピラーインナ12の合わせ目に挟まれて共にスポット溶接され、同横フレーム13bは、ルーフサイドレールインナ2a及びルーフサイドレールアウタ11b間に挾まれ、共にスポット溶接されている。
【0031】
第2レインフォース14(特許請求の範囲中のレインフォースに相当)は、押し出し成形等により単一部材を閉断面形状に成形したもので、車内側の壁部14aと、その両側縁より車幅方向外側に沿って延びた左右縦壁部14b、14cと、それら左右縦壁部14b、14cの先端縁より相手方向へ傾斜して相互に合致する左右傾斜壁部14d、14eとからなる断面五角形の角筒状に形成されている。この第2レインフォース14は、センターピラーインナ12と第1レインフォース13との内面にそれぞれ壁部14aと左右傾斜縦壁部14d、14eとを接触させることで、センターピラーインナ12と第1レインフォース13間に挟まれている。
【0032】
なお、図1に示すように第2レインフォース14の縦壁部14b、14cには、一部が傾斜壁部14d、14eにかかるように、高さ方向に適当な間隔をおいて強度アップ用のビード15が複数形成されている。このビード15の存在により、車幅方向へ沿った稜線を増加することができる。
【0033】
また、第2レインフォース14の上端開口14pは、車両の車幅方向外側同内側上方への傾斜面によって形成されており、ブレース5の断面コ字形の縦フレーム5aが、その斜めの上端開口14pより差し込まれている。そして、ブレース5の縦フレーム5aが、第2レインフォース14の壁部14aにスポット溶接されている。図3において、符号18で示す部分がスポット溶接箇所である。
【0034】
また、センターピラーインナ12の横フレーム12bはルーフサイドレール2の車室内側の面に接続されてスポット溶接され、センターピラーインナ12の横フレーム12bとルーフサイドレールインナ2aの間にブレース5の横フレーム5bが挟まれ共にスポット溶接されている。従って、このブレース5を介して、ルーフサイドレール2に第2レインフォース14の上部14qが接続されている。第2レインフォース14の下部14rは、センターピラー1の下半部1bの上部まで到るように延びている。
【0035】
また、ブレース5の縦フレーム5aに、シートベルトアンカーボルト取付け用のウエルドナット7が固定されている。ウエルドナット7に対向する部分には、ボルト挿通孔21が設けられている。
【0036】
次に作用を説明する。
【0037】
このセンターピラーの補強構造では、補強材として、単一部材を閉断面形状に成形してなる第2レインフォース14を用いているので、第2レインフォース14の縦壁部14b、14cが、車両側方からの入力によく対抗し得るようになり、そのため断面が潰れたモードになりづらくなる。第2レインフォース14はセンターピラー1に対してはスポット溶接する必要がなく、スポット箇所等の制約条件を受けない。従って、補強可能な限度が高く、側面衝突時にセンターピラー1の折れ変形を確実に防止することができる。
【0038】
また、T形のブレース5の縦フレーム5aを第2レインフォース14の上端開口14pより差し込んでスポット溶接しているので、ルーフサイドレール2とセンターピラー1の結合強度が高まり、側面衝突に対するセンターピラー1の剛性アップが図れる。
【0039】
さらに、第2レインフォース14の傾斜面の上端開口14pを利用して、ブレース5と第2レインフォース14とのスポット溶接が可能であるから、第2レインフォース14とブレース5との接続の連続化が図れ、両者の境目への応力集中を抑制して剛性アップを図ることができる。従って、入力に対しセンターピラー1の折れを確実に防止することができる。
【0040】
また、本実施形態では、第2レインフォース14に傾斜壁部14d、14eを設けているので、この部分も入力に対しよく対応し、強度アップを図ることができる。第2レインフォース14のビード部15による稜線の増加によっても強度アップを図ることができる。ブレース5にシートベルトアンカー取付用のナット7を設けているので、シートベルトからの入力をルーフ側へも分散させることができ、シートベルトの支持力を強化できる。
【0041】
第2レインフォース14は、一体の単一部材であるから成形精度がよく、精度よくセンターピラー1の補強を行なうことができる。また、第2レインフォース14の成形にアーク溶接等を用いる必要がないのでコストダウンを図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態のセンターピラーの正面図である。
【図3】戯画の実施形態のセンターピラーの、センターピラーアウタを外した状態を示す正面図である。
【図4】図2のIV−IV矢視断面図である。
【図5】図4のV−V矢視断面図である。
【図6】本発明の実施形態のセンターピラーを持つ車両の側面図である。
【符号の説明】
1 センターピラー
2 ルーフサイドレール
5 ブレース
5a 縦フレーム
5b 横フレーム
7 ウエルドナット
11a センターピラーアウタ
12 センターピラーインナ
14 第2レインフォース
14a 壁部
14b,14c 縦壁部
14d,14e 傾斜壁部
14p 上端開口
15 ビード
16 閉空間

Claims (5)

  1. ルーフサイドレールから下方に延びるセンターピラーの補強構造であって、
    センターピラーアウタとセンターピラーインナとで囲まれる閉空間内に、単一部材を閉断面形状に成形して車幅方向に沿った縦壁部を有する角筒状のレインフォースを配設し、該レインフォースの上端部をブレースを介して前記ルーフサイドレールに接続し、前記レインフォースの上端開口に、車幅方向外側から同内側上方への傾斜面を形成し、前記ブレースを、前記ルーフサイドレールに結合される横フレーム及び該横フレームから下方へ延びる縦フレームからなるT形とし、前記縦フレームを車幅方向外側を開放した断面コ字形として前記レインフォースの車幅方向内側の壁部に沿って挿入接合していることを特徴とするセンターピラーの補強構造。
  2. 請求項1記載のセンターピラーの補強構造であって、
    前記レインフォースが、車幅方向内側の壁部と、その両側縁より車幅方向外側に沿って延びた左右縦壁部と、それら左右縦壁部の先端縁より相手方向へ傾斜して相互に合致する左右傾斜壁部とからなる断面五角形の角筒状に形成されたことを特徴とするセンターピラーの補強構造。
  3. 請求項1または2記載のセンターピラーの補強構造であって、
    前記ブレースに、ウエルドナットが設けられ、該ウエルドナットにシートベルトアンカーボルトを取付けることを特徴とするセンターピラーの補強構造。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセンターピラーの補強構造であって、
    前記レインフォースの縦壁部に、ビードを設けたことを特徴とするセンターピラーの補強構造。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のセンターピラーの補強構造であって、
    前記センターピラーのドアウエスト部対応位置より上半部が、同下半部よりも断面が細く形成され、
    前記レインフォースは、前記下半部の上部まで到るように延びていることを特徴とするセンターピラーの補強構造。
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