JP3571743B2 - Hstの油圧モータの空転防止装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は作業車の動輪駆動用HSTにおいて油圧モータの空転を防止する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラクター、コンバイン、クレーン車等の作業車には動輪駆動用HST(静油圧式無段変速装置)が搭載されている。図9は、実開昭57−25244号公報に開示された従来の動輪駆動用HSTの油圧回路図である。
【0003】
図9において、エンジン(図示せず)により油圧ポンプ1が回転駆動されると、その油圧ポンプ1から作動油が吐出される。油圧ポンプ1から矢印20aの方向に作動油が吐出された場合には、その作動油は管路Aを介して油圧モータ3に吸入される。そして、油圧モータ3から吐出された作動油は管路Bを介して油圧ポンプ1に吸入される。このとき、油圧を平滑化して作動不良を防止するために、作動油の一部が管路Bからニュートラル弁4bの絞り孔を介して油溜に逃がされる。同時に、油圧ポンプ1と共にエンジンにより駆動されるチャージポンプ2から作動油(チャージ油)が吐出され、逆止弁5bを介して管路Bに補給される。このとき、管路A内の圧力は高くなっているので、ニュートラル弁4aは作動油をブロックするように切り換えられている。このようにして、作動油が管路Aおよび管路Bを循環し、油圧モータ3が一方向に回転駆動される。この油圧モータ3により作業車の動輪が駆動される。
【0004】
油圧ポンプ1から矢印20bの方向に作動油が吐出された場合には、その作動油は管路Bを介して油圧モータ3に吸入され、さらに油圧モータ3から吐出された作動油は管路Aを介して油圧ポンプ1に吸入される。この場合には、作動油の一部が管路Aからニュートラル弁4aの絞り孔を介して油溜に逃がされる。同時に、チャージポンプ2から作動油(チャージ油)が吐出され、逆止弁5aを介して管路Aに補給される。このとき、管路B内の油圧は高くなっているので、ニュートラル弁4bは作動油をブロックするように切り換えられている。このようにして、作動油が管路Bおよび管路Aを循環し、油圧モータ3が上記とは逆方向に回転駆動される。
【0005】
なお、チャージポンプ2から吐出される作動油のチャージ圧が所定の値を越えると、チャージリリーフ弁16を介して作動油の一部が油溜に逃がされる。また、管路Aまたは管路B内の油圧が所定の値よりも高くなると、シャット弁18およびリリーフ弁19を介して作動油が油溜に逃がされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなHSTを搭載した作業車が図10(a)に示すように坂道を昇っているとき、その作業車が坂道の途中で停止すると、図10(b)に示すように、その作業車は自重により下方に移動し、作業車の動輪が逆方向に回転する。この場合に、作業車のエンジンが停止すると、図9に示す油圧ポンプ1およびチャージポンプ2が停止するとともに、動輪の回転により油圧モータ3が逆に駆動され、油圧ポンプとして作動することになる。
【0007】
図9において、油圧モータ3が、例えば管路Aから作動油を吸入して管路Bに吐出すると、管路Bの作動油はニュートラル弁4bの絞り孔を介して油溜に逃がされる。このとき、チャージポンプ2は停止しているので、管路Aには作動油が補給されない。そのため、管路A内の圧力が低下するとともに、ニュートラル弁4aから管路Aに空気が混入し、管路A内の作動油が空になる。それにより、油圧モータ3に作動油が供給されなくなり、油圧ロック状態が維持されずに、油圧モータ3が空転する。その結果、作業車が坂道の途中から下方へ暴走するという問題が生じる。
【0008】
作業車が坂道を下っているときにエンジンが停止した場合にも、同様に、作業車が坂道の途中から下方へ暴走するという問題が生じる。
【0009】
それゆえに、本発明の目的は、HSTを搭載した作業車のエンジンが坂道の途中で停止したときに、油圧モータの空転を防止し、不測の加速が起こらないようにする油圧モータの空転防止装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)第1の発明
第1の発明に係る油圧モータの空転防止装置の要旨とするところは、油圧ポンプと油圧モータとの間に形成された作動油の循環回路に、その循環回路から油溜に作動油の一部を逃がす逃油手段と、内部または外部の油溜から循環回路に作動油を補給するチャージ手段とを設けた動輪駆動用HSTにおいて、チャージ手段が停止状態にありかつ油圧モータが動輪により駆動されたときに、循環回路内に惹起される負圧で内部または外部の油溜の作動油を循環回路に吸入する作動油吸入手段を、チャージ手段は、チャージポンプと内部または外部の油溜との間に設けられたチャージリリーフ弁を含み、作動油吸入手段は、チャージリリーフ弁に並設されて内部または外部の油溜からの作動油の流入を許容する逆止弁を含み、チャージリリーフ弁は、チャージリリーフ弁取付け用孔内に設けられたポペットと、ポペットを油溜からチャージリリーフ弁取付け用孔への作動油の流入を阻止する方向に付勢する第1のスプリングとを有し、逆止弁は、逆止弁取付け用孔内に設けられたボールと、ボールを逆止弁取付け用孔から油溜へ作動油の流入を阻止する方向へ付勢する第2のスプリングとを有し、油溜から逆止弁取付け用孔内へ作動油の流入を許容する孔を有する金具により第1のスプリングの一端およびボールを共通に支持したことにある。
【0011】
(2)第2の発明
第2の発明に係る油圧モータの空転防止装置の要旨とするとことは、上記の動輪駆動用HSTにおいて、逃油手段が、循環回路の往油路と油溜との間および循環回路の復油路と油溜との間にそれぞれ設けられた一対のニュートラル弁からなり、チャージ手段が、油圧ポンプと共に駆動されるチャージポンプと、チャージポンプから吐出される作動油を循環回路の往油路および復油路にそれぞれ供給するための一対の逆止弁とをさらに含む逆止弁であることにある。
【0012】
(3)第3の発明
第3の発明に係る油圧モータの空転防止装置の要旨とするところは、第1または2の発明に係る油圧モータの空転防止装置において、作動油吸入手段となる逆止弁は、作動油が一対のニュートラル弁の各々を通過する場合の差圧よりも小さい差圧で開くことにある。
【0013】
【作用】
動輪駆動用HSTを搭載した作動車が坂道の途中で停止すると、その作業車は自重により下方へ移動し、動輪が回転する。この場合に、エンジンが停止すると、油圧ポンプおよびチャージ手段が停止するとともに、油圧モータが動輪の回転により駆動される。それにより、油圧モータが油圧ポンプとして作動し、循環回路内の作動油を吸入および吐出するとともに、逃油手段が循環回路から油溜に作動油を逃がす。この場合、チャージ手段が停止しているので、油溜から循環回路に作動油が補給されない。
【0014】
第1〜第3の発明に係る油圧モータの空転防止装置においては、循環回路内の作動油が逃油手段により油溜に流出されて循環回路内の圧力が減少すると、作動油吸入手段により油溜の作動油が循環回路に吸入される。それにより、循環回路内に空気が混入することなく、油圧モータに作動油が供給され、作動油の粘性により油圧モータの急激な回転が抑制される。
【0015】
また、チャージリリーフ弁に並列に簡単な構造の逆止弁を設けることにより作動油吸入手段が構成されるので、簡単にかつ安価に油圧モータの空転を防止するとができる。
【0016】
しかも、チャージポンプが停止状態にありかつ油圧モータが動輪により駆動されたときには、逆止弁により油溜から循環回路の方向に充分な量の作動油を供給することができるので、確実に油圧モータの空転を防止するとができる。また、チャージポンプの稼働中には、油溜へのチャージ油の流出が逆止弁により阻止されるので、循環回路への作動油の補給が保証される。
【0017】
【実施例】
図1は参考例による動輪駆動用HSTの油圧回路図である。この動輪駆動用HSTは、トラクタ、コンバイン、クレーン車等の作業車に搭載される。
【0018】
図1において、動輪駆動用HST100は、可変容量型の油圧ポンプ1、チャージポンプ2、油圧モータ3、一対のニュートラル弁4a,4b、一対の逆止弁5a,5bおよびリリーフ弁7を含み、さらにこの参考例の特徴であるチャージ弁兼油補給用絞り弁6を含む。油圧ポンプ1およびチャージポンプ2はエンジン8により駆動される。油圧ポンプ1および油圧モータ3は管路Aおよび管路Bにより接続され、管路A,Bが作動油の循環回路を構成する。一方、作業車の動輪9は油圧モータ3により駆動される。
【0019】
油圧ポンプ1から矢印20aの方向に作動油が吐出された場合には、その作動油は管路Aを介して油圧モータ3に吸入される。そして、油圧モータ3から吐出された作動油は管路Bを介して油圧ポンプ1に吸入される。このようにして、作動油が管路Aおよび管路Bを介して循環し、油圧モータ3により動輪9が一方向に回転駆動される。このとき、作動油の一部が管路Bからニュートラル弁4bの絞り孔を介して油溜に逃がされる。同時に、チャージポンプ2が油タンク10から作動油(チャージ油)を吸入し、管路Cに吐出する。管路Cに吐出されたチャージ油は、方向切換弁13、管路Dおよびフィルタ12を介して管路Eに供給され、さらに逆止弁5bを介して管路Bに補給される。このとき、管路A内の圧力は高くなっているので、ニュートラル弁4aは作動油をブロックするように切り換えられている。
【0020】
油圧ポンプ1から矢印20bの方向に作動油が吐出された場合には、その作動油は管路Bを介して油圧モータ3に吸入され、さらに油圧モータ3から吐出された作動油は管路Aを介して油圧ポンプ1に吸入される。このようにして、作動油が管路Bおよび管路Aを介して循環し、油圧モータ3により動輪9が上記とは逆方向に回転駆動される。この場合には、作動油の一部が管路Aからニュートラル弁4aの絞り孔を介して油溜に逃がされる。同時に、チャージポンプ2から管路Cに作動油(チャージ油)が吐出され、方向切換弁13、管路Dおよびフィルタ12を介して管路Eに供給され、さらに逆止弁5aを介して管路Aに補給される。このとき、管路B内の圧力は高くなっているので、ニュートラル弁4bは作動油をブロックするように切り換えられている。
【0021】
なお、チャージポンプ2から吐出される作動油のチャージ圧が所定の値を越えると、チャージ弁兼油補給用絞り弁6を介して作動油の一部が油溜に逃がされる。また、管路Aまたは管路B内の圧力が所定の値を越えると、リリーフ弁7が開くことにより管路A,B内の圧力が調整される。この動輪駆動用HST100の全体から漏れた作動油は油タンク10に戻される。
【0022】
一方、作業車がレバー14を用いて方向切換弁13を矢印22aの方向または矢印22bの方向に切り換えると、作業機用シリンダ15による補助動力が得られる。この作業機用シリンダ15により、例えばクレーン等が駆動される。方向切換弁13を矢印21aの方向に切り換えると、チャージポンプ2により管路Cに吐出された作動油が、管路Fを介して作業機用シリンダ15に供給され、さらに、作業機用シリンダ15から排出された作動油が管路G、管路Dおよびフィルタ12を介して管路Eに供給される。それにより、作業機用シリンダ15が矢印22aの方向に駆動される。方向切換弁13を矢印21bの方向に切り換えると、チャージポンプ2から管路Cに吐出された作動油が、管路Gを介して作業機用シリンダ15に供給され、さらに作業機用シリンダ15から排出された作動油が管路F、管路Dおよびフィルタ12を介して管路Eに供給される。それにより、作業機用シリンダ15が矢印22bの方向に駆動される。上記の動作において、管路C内の圧力が所定の値を越えると、調圧弁11が開き、管路C内の圧力が所定の値以下に調整される。
【0023】
この参考例の動輪駆動用HSTを搭載した作業車が坂道の途中で停止すると、その作業車は自重により下方に移動し、動輪9が回転する。この場合に、エンジン8が停止すると、油圧ポンプ1およびチャージポンプ2が停止するとともに、油圧モータ3が動輪の回転により駆動され、油圧ポンプとして作動することになる。それにより、油圧モータ3が、例えば管路Aから作動油を吸入して管路Bに吐出すると、管路Bの作動油はニュートラル弁4bの絞り孔を介して油溜に逃がされる。このとき、チャージポンプ2は停止しているので、管路Aにはチャージポンプ2により作動油が補給されず、管路A内の圧力が低下しようとする。
【0024】
しかし、このとき、チャージ弁兼油補給用絞り弁6の絞り孔を介して油溜から作動油が吸入され、逆止弁5aを介して管路Aに供給される。そのため、ニュートラル弁4aから管路Aに空気が混入することはなく、管路Aに補給された作動油が油圧ポンプ3に供給される。それにより、油圧ポンプ3の油圧ロック状態が維持され、作動油の粘性で油圧モータ3の急激な回転が抑制される。その結果、動輪9の回転が緩やかになり、作動油の粘性による油圧モータ3の制動力が作業車の自重による動輪9の駆動力よりも大きい場合には作業車は停止することになる。
【0025】
なお、動輪9の回転により油圧モータ3が管路Bから作動油を吸入して管路Aに吐出する場合には、チャージ弁兼油補給用絞り弁6の絞り孔を介して油溜から作動油が吸入され、さらに逆止弁5bを介して管路Bに作動油が補給される。
【0026】
このように、参考例による動輪駆動用HST100では、チャージ弁兼油補給用絞り弁6が油圧ポンプ3の空転防止装置として働く。
【0027】
図2に参考例による動輪駆動用HSTの縦断面図を示す。センターセクション101およびハウジング102により形成される内部空間内に可変容量型の油圧ポンプ1および油圧モータ3が組み込まれている。
【0028】
油圧ポンプ1は、主として、駆動軸103、プランジャブロック104、可動斜板106からなる。可動斜板106を斜板駆動部材107により矢印の方向に傾転させて、エンジンにより駆動軸103を回転させると、プランジャブロック104が駆動軸103と共に回転し、可動斜板106の角度に応じてプランジャブロック104内のプランジャ105がシリンダ内で前後に摺動する。一方、油圧モータ3は、主として、出力軸108、プランジャブロック109および固定斜板111からなる。油圧ポンプ1から供給される油圧によりプランジャブロック109内のプランジャ110が前後に摺動すると、プランジャブロック109が出力軸108と共に回転し、出力軸108に接続される動輪を駆動する。
【0029】
センターセクション101、ハウジング102、油圧ポンプ1および油圧モータ3の間の空間が油溜200となっている。センターセクション101の上部には管路Eが形成され、管路Eと油溜200との間にチャージ弁兼油補給用絞り弁6が取り付けられている。このチャージ弁兼油補給用絞り弁6はポペット61、スプリング62および金具63により構成され、ポペット61の中心軸に絞り孔64が開設されている。管路Eの側部には、逆止弁取付け用孔50が設けられている。
【0030】
図3にセンターセクション101の縦断面図を示す。センターセクション101の上部から下部にわたって管路Aおよび管路Bが形成され、センターセクション101の上部の中央にはこれらの管路A,Bにつながる管路Eが形成されている。センターセクション101の上部の両側から管路A,Bにそれぞれ逆止弁5a,5bが挿入されており、逆止弁5aの下方にリリーフ弁7が取り付けられている。また、センターセクション101の下部から管路A,Bにそれぞれニュートラル弁4a,4bが挿入されている。図2に示したチャージ弁兼油補給用絞り弁6は管路Eの下端に形成されたチャージ弁兼油補給用絞り弁用取付け孔60に挿入される。
【0031】
図4にチャージ弁兼油補給用絞り弁6のポペット61の詳細な構成を示す。図4(a)はポペット61の正面図であり、図4(b)はポペット61の側面図である。図4に示すようにポペット61の中心軸には絞り孔64が開設されている。ポペット61の直径d1は例えば10mmであり、絞り孔64の直径は例えば1.8mmである。また、ポペット61の長さLは例えば9mmである。
【0032】
なお、ポペット61および絞り孔64の寸法はこれらには限定されず、チャージポンプ2が停止状態にありかつ油圧モータ3が動輪9により駆動されているときに、ポペット61の絞り孔64を介して油溜から作動油が吸入されるように寸法を設定する。
【0033】
参考例は、既設のチャージリリーフ弁に絞り孔を設けることにより油圧モータ3の空転防止装置として動作するチャージ弁兼油補給用絞り弁6を構成することができるので、部品点数を増やすことなく、簡単にかつ安価に油圧モータ3の空転を防止することができる。
【0034】
図5は本発明の実施例による動輪駆動用HSTの油圧回路図である。図5の動輪駆動用HST100が図1の動輪駆動用HST100と異なるのは、チャージ弁兼油補給用絞り弁6の代わりに、既設のチャージリリーフ弁16と並列に逆止弁17が設けられている点である。
【0035】
チャージリリーフ弁16は、管路E内の作動油のチャージ圧が所定の値を越えたときに開き、作動油の一部を油溜に逃がす。逆止弁17は、油溜から逆止弁5a,5bの方向への作動油の流入を許容するように設けられている。この逆止弁17は、作動圧がニュートラル弁4a,4bの絞り弁を通過する場合の差圧よりも小さい差圧で開く。
【0036】
なお、逆止弁17を省略して、管路Eをチャージ用絞り作用が得られる狭小路または細孔(図示せず)を介して油タンク10(外部油溜)に連通してもよい。
【0037】
この参考例の動輪駆動用HST100では、チャージポンプ2が停止状態にありかつ油圧モータ3が動輪9の回転により駆動されたときに、逆止弁17が油圧モータ3の空転防止装置として動作する。油圧モータ3が、例えば管路Aから作動油を吸入して管路Bに吐出すると、管路Bの作動油はニュートラル弁4bの絞り孔を介して油溜に逃がされる。このとき、チャージポンプ2は停止しているので、管路Aにはチャージポンプ2により作動油が補給されず、管路A内の圧力が低下する。この場合、逆止弁17はニュートラル弁4aの絞り弁よりも小さい差圧で開く。したがって、逆止弁17を介して油溜から作動油が吸入され、吸入された作動油は逆止弁5aを介して管路Aに供給される。そのため、ニュートラル弁4aから空気が混入することなく、管路Aに作動油が補給され、油圧モータ3に供給される。したがって、油圧モータ3の油圧ロック状態が維持され、作動油の粘性により油圧モータ3の急激な回転が抑制される。
【0038】
なお、動輪9の回転により油圧モータ3が管路Bから作動油を吸入して管路Aに吐出する場合には、逆止弁17を介して油溜から作動油が吸入され、さらに逆止弁5bを介して管路Bに作動油が補給される。
【0039】
図6に実施例による動輪駆動用HSTの上部の縦断面図を示し、図7にセンターセクションの上部の縦断面図を示す。また、図8にセンターセクションの上部の一部欠截平面図を示す。
【0040】
図6に示すように、センターセクション101の上部に形成された管路Eの下端部とハウジング102内の油溜200との間に逆止弁17が設けられている。図7に示すように、管路Eの下端部の両側にチャージリリーフ弁取付け用孔160および逆止弁取付け用孔170が形成され、チャージリリーフ弁16および逆止弁17がそれぞれ挿入される。
【0041】
図8に示すように、チャージリリーフ弁16はポペット161、スプリング162および金具163からなる。また、逆止弁17はボール171、スプリング172、および孔173を有する金具163からなる。ボール172およびスプリング172により油溜200から管路Eの方向への作動油の流入が許容されている。
【0042】
実施例では、油圧モータ3の空転防止装置として逆止弁17を用いているので、チャージポンプ2の停止時に充分な量の作動油を油溜から管路Aまたは管路Bに補給することができる。したがって、簡単な構造で安価にかつ確実に油圧モータ3の空転を防止するとができる。一方、チャージポンプ2の稼働中には、作動油の油溜への流出が逆止弁17により阻止されるので、管路Aおよび管路Bへの作動油の補給が保証される。
【0043】
なお、逆止弁17の構造は上記実施例の構造に限定されず、チャージポンプ2の停止時に油圧モータ3により管路Aまたは管路B内の作動油が吸入されたときに油溜から管路Aまたは管路Bに作動油を吸入することができれば、他の構造でもよい。
【0044】
【発明の効果】
第1〜第3の発明によれば、チャージ手段が停止状態にありかつ油圧モータが動輪により駆動されたときに、作動油吸入手段により油溜の作動油が循環回路に吸入されるので、油圧モータの油圧ロック状態が維持され、作動油の粘性により油圧モータの急激な回転が阻止される。それにより、HSTを搭載した作業車の不測の加速が防止される。
【0045】
また、チャージリリーフ弁に並列に簡単な構造の逆止弁を設けることにより簡単にかつ安価に、しかも確実に油圧モータの空転を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例による動輪駆動用HSTの油圧回路図である。
【図2】参考例による動輪駆動用HSTの縦断面図である。
【図3】図2の動輪駆動用HSTのセンターセクションの縦断面図である。
【図4】チャージ弁兼油補給用絞り弁の正面図および側面図である。
【図5】本発明の実施例による動輪駆動用HSTの油圧回路図である。
【図6】実施例による動輪駆動用HSTの部分的な縦断面図である。
【図7】図6の動輪駆動用HSTのセンターセクションの部分的な縦断面図である。
【図8】図6の動輪駆動用HSTのセンターセクションの上部の一部欠截平面図である。
【図9】従来の動輪駆動用HSTの油圧回路図である。
【図10】図9の動輪駆動用HSTの問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1 油圧ポンプ
2 チャージポンプ
3 油圧モータ
4a,4b ニュートラル弁
5a,5b 逆止弁
6 チャージ弁兼油補給用絞り弁
7 リリーフ弁
8 エンジン
9 動輪
16 チャージリリーフ弁
17 逆止弁
64 絞り孔
100 動輪駆動用HST
200 油溜
A,B,C,D 管路
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
Claims (3)
- 油圧ポンプと油圧モータとの間に形成された作動油の循環回路に、その循環回路から油溜に作動油の一部を逃がす逃油手段と、内部または外部の油溜から前記循環回路に作動油を補給するチャージ手段とを設けた動輪駆動用HSTにおいて、前記チャージ手段が停止状態にありかつ前記油圧モータが動輪により駆動されたときに、前記循環回路内に惹起される負圧で内部または外部の油溜の作動油を前記循環回路に吸入する作動油吸入手段を設け、
前記チャージ手段は、前記チャージポンプと内部または外部の油溜との間に設けられたチャージリリーフ弁を含み、
前記作動油吸入手段は、前記チャージリリーフ弁に並設されて内部または外部の油溜からの作動油の流入を許容する逆止弁を含み、
前記チャージリリーフ弁は、チャージリリーフ弁取付け用孔内に設けられたポペットと、前記ポペットを前記油溜から前記チャージリリーフ弁取付け用孔への作動油の流入を阻止する方向に付勢する第1のスプリングとを有し、
前記逆止弁は、逆止弁取付け用孔内に設けられたボールと、前記ボールを前記逆止弁取付け用孔から前記油溜へ作動油の流入を阻止する方向へ付勢する第2のスプリングとを有し、
前記油溜から前記逆止弁取付け用孔内へ作動油の流入を許容する孔を有する金具により前記第1のスプリングの一端および前記ボールを共通に支持したことを特徴とする油圧モータの空転防止装置。 - 前記逃油手段は、前記循環回路の往油路と油溜との間および前記循環回路の復油路と油溜との間にそれぞれ設けられた一対のニュートラル弁からなり、
前記チャージ手段は、前記油圧ポンプと共に駆動されるチャージポンプと、前記チャージポンプから吐出される作動油を前記循環回路の往油路および復油路にそれぞれ供給するための一対の逆止弁とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の油圧モータの空転防止装置。 - 前記作動油吸入手段となる前記逆止弁は、作動油が前記一対のニュートラル弁の各々を通過する場合の差圧よりも小さい差圧で開くことを特徴とする請求項1または2に記載の油圧モータの空転防止装置。
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