JP3567137B2 - アセトキシエチルスルホン基を有する黒色反応性染料 - Google Patents

アセトキシエチルスルホン基を有する黒色反応性染料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アセトキシエチルスルホンを反応基として有する黒色反応性染料 に関するもので、より詳細にはアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンが反応基として導入されることにより、1) 水に対する溶解度が低いので、ろ過する際に濾液中に失われる染料の損失量を大幅に減らすことができること;2) 塩析(salting−out)が容易であるので、塩析工程を行う時に既存の染料より少量の塩(salt)を使用することにより、廃水の処理費用を大幅に節減させる効果があること;3) 優れた直接性により染着率を高められること;さらに、4)鮮明な色彩を帯びることを長所として有する、次の化学式1で表されるアセトキシエチルスルホンを反応基として有する黒色反応性染料に関するものものである。
【0002】
【化7】
化学式1
Figure 0003567137
式中、Mはアルカリ金属原子を示す。
【0003】
【従来の技術】
反応性染料を合成した後に、混合物から染料を分離する方法の1つとして塩析(salting−out)が行われている。しかし、ビニルスルホン系の反応性染料を製造する時に、アミノフェニル−β−スルファトエチルスルホン化合物を中間体として染料を合成する場合には、水に対する染料の溶解度が高く、塩析(salting−out)を阻害するので、噴霧乾燥を採用したり、又は多量の塩を使用しなければならない。上記の噴霧乾燥、あるいは多量の塩を利用する染料の分離方法は、染料及び塩の濃度が高い廃水を発生させて主な環境汚染源になり、また残留染料の濃度が高いので廃水の処理費用が高くなるという問題がある。
特に、アミノフェニル−β−スルファトエチルスルホンを反応基として有する黒色反応性染料は、赤味を帯びると共に高い水溶解度によりその直接性が劣る短所がある。
【0004】
最近、ヨーロッパ及び米国のような先進国では、染色廃水に対する塩の濃度が環境規制の対象になっているので、少量の塩を含む低塩の染料を製造する研究が継続して行われている。現在、低塩を含む染料が市販されている。また、作業者の健康をはじめ、最近の染色工程自動化による正確な計量のために、液体染料を使用しようとする傾向がだんだん増えている。上記の安定な液体染料を製造するためには、塩の除去された高濃度の染料を使用しなければならない。
従って、アミノフェニル−β−スルファトエチルスルホンを使用して合成された染料に比べ、水に対する溶解度が相対的に低い次の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン化合物を反応基として使用して染料を合成すれば、特別な場合を除いて大部分の場合には塩析が非常に容易である。
【0005】
【化8】
化学式2
Figure 0003567137
【0006】
上記の化学式2で表されるアミノフェニル-β-アセトキシエチルスルホン化合物を反応基として使用する染料の合成工程においては、既存の染料より塩の使用量を減らすことができるので、廃水に対する塩の濃度を低めることができる。 また、水に対する染料の低い溶解度によりろ過する際に濾液中に失われる染料の量が少ないので、既存の染料の製造方法よりも廃水中の染料の濃度を減らして廃水の処理費用を節減することができる。さらに、上記の方法によれば、より少ない量の塩を含む高純度の染料を得ることができるので廃水中の染料の濃度を減らし、液体染料を製造するための脱塩工程がより容易になる。
上記の化学式2で表される化合物は公知であり、その製造方法は各種の文献に報告されている。その中、特に4-アミノフェニル-β-アセトキシエチルスルホンの製造例(特開昭 56-22354 、ドイツ特許第2,929,107号)を次の反応式1に示す。
【0007】
反応式1
Figure 0003567137
【0008】
上記の反応式1により、4−アセトアミノフェニル−β−ヒドロキシエチルスルホンと98%硫酸を反応させて、上記の化学式2と化学式3で表される化合物がそれぞれ70:30の比率で混合されている混合物が得られる。この混合物を使用して合成された染料は優れた染色特性をもつと報告されている。しかし、上記の反応式1により得られた混合物を利用して染料を合成すれば4−アミノフェニル−β−スルファトエチルスルホンが存在し、その高い水溶解度により直接性が劣るという問題がある。
しかし、現在まで報告された文献によれば、上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンにより上記の化学式1で表される黒色反応性染料を合成した例はなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような研究の一環として、本発明者は、高収率及び高純度の黒色反応性染料を製造する方法に対して努力した結果、上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンを反応基として導入された黒色反応性染料を合成して本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、染料を製造する時に汚染源を減らすことができ、鮮明な色彩と低い水溶解度と共に、優れた直接性により高い染着率を有するアセトキシエチルスルホンを反応基として有する黒色反応性染料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の化学式1で表されるアセトキシエチルスルホンを反応基として有する黒色反応性染料に関するものである。
【化9】
化学式1
Figure 0003567137
式中、Mはアルカリ金属原子を示す。
【0011】
本発明をさらに詳細に説明すれば次のとおりである。
本発明の上記の化学式1で表されるアセトキシエチルスルホンを反応基として有する黒色反応性染料は、使用された原料物質の種類に従ってその製造方法が異なる。例えば、次の反応式2は、アミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン化合物を原料物質として黒色染料を製造する方法を示す。また、次の反応式3は、アミノフェニル−β−ヒドロキシエチルスルホン化合物を原料物質として黒色染料を製造する方法を示す。
次の反応式2に基づいた製造方法によると、a) 次の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン化合物をジアゾ化する工程;b) 上記ジアゾ化とは別に、塩基を使用して1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸化合物を中和する工程;及び、c) 上記のa)工程及びb)工程から得られた2つの反応溶液を0−5℃の範囲で混合し、塩基を加えてpHを7以下に調整しながら、攪拌する工程を含むことを特徴とする方法により、上記の化学式1で表される黒色反応性染料を製造する。
【0012】
反応式2
Figure 0003567137
式中、Mはアルカリ金属原子を示す。
【0013】
上記の反応式2による製造方法をさらに詳細に説明すれば次のとおりである。
上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン化合物をジアゾ化する。この時に、上記のジアゾ化方法は通常の方法であり、例えば0−5℃の範囲でアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンを水に分散させた後に、濃い塩酸とNaNOを添加してジアゾ化反応を行う。
つづいて、他の反応容器で塩基を使用して1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸化合物を中和し、1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸化合物に存在するスルホン酸基(−SOH)をスルホン酸金属塩(−SOM)に転換させる。この時に使用される塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等のように通常的なものであり、望ましくはNaOH、LiOH、NaCO、LiCOを使用する。塩基の使用量は1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸に対して当量比として投入する。
その後、中和液である1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸を氷、あるいは冷媒を使用して5℃以下に維持する。これはジアゾ化合物とのカップリング反応を行う時に、0−5℃の範囲で行うためである。
【0014】
つづいて、上記のジアゾ化合物と1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸との中和液を混合し、塩基を加えて反応溶液のpHを7以下とし、0−5℃の範囲で攪拌して本発明が目的とする上記化学式1で表される黒色反応性染料を製造する。ジアゾ化合物は、1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸に対して2−3の当量比として添加することが望ましい。その使用量が上記の当量比の範囲を外れれば、反応基が加水分解される問題がある。また、反応温度が0℃より低くなると反応が円滑に行われないし、5℃を超えれば副反応が進むという問題がある。
また、上記の反応式2において原料物質として使用される上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン化合物は、アセトアミノフェニル−β−ヒドロキシエチルスルホンを塩化水素の含まれた酢酸溶液と反応させる簡単な方法により製造できる。
上述のとおり、上記の反応式2による製造方法では、反応性染料の反応基として上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンを原料物質として使用することにより、従来のアミノフェニル−β−スルファトエチルスルホンを反応基として有する染料を使用した時には得らなかった鮮明な色彩の染料及び高純度の染料を合成することができる。
【0015】
特に、上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン化合物は、上記の化学式3で表されるアミノフェニル−β−スルファトエチルスルホン化合物に存在するスルホン酸基(−SOH)がないので、カップリング反応を行うために中和するときに使用されるアルカリの量を減らすことができる。
また、 上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンを原料物質として使用する上記の反応式2による製造方法の場合には、 上記の化学式3で表されるアミノフェニル−β−スルファトエチルスルホン化合物を使用して製造する次の化学式4で表される染料の公知の製造工程に比べて反応副産物がほとんど生成しないので、反応液をそのまま噴霧乾燥しても非常に鮮明な色彩の染料を得ることができる長所がある。染料の分離工程においては、次の化学式4で表される染料の水溶解度が極端に高くて塩析が不可能である。その反面、本発明により上記の化学式1で表される黒色反応性染料は、 塩析による分離方法を通じて少量の塩を含む高濃度の染料及び反応副産物がほぼ含まれない純粋な染料を得ることができる。
【0016】
【化10】
化学式4
Figure 0003567137
【0017】
一方、本発明により上記の化学式1で表される黒色反応性染料を製造する他の製造方法を次の反応式3に示す。
次の反応式3による製造方法によると、a) 次の化学式5で表されるアミノフェニル−β−ヒドロキシエチルスルホン化合物をジアゾ化する工程;b) 上記ジアゾ化と別に、塩基を使用して1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸化合物を中和する工程;c) 上記のa)工程及びb)工程から得られた2つの反応溶液を0−5℃の範囲で混合し、塩基を加えてpHを7以下に調整しながら、攪拌して次の化学式6で表される中間体を製造する工程;及び、d) 上記の化学式6で表される中間体を無水酢酸に溶かし、80−90℃で攪拌する工程を含むことを特徴とする方法により上記の化学式1で表される黒色反応性染料を製造する。
【0018】
【化11】
反応式3
Figure 0003567137
【0019】
しかし、上記の化学式5で表されるアミノフェニル−β−ヒドロキシエチルスルホン化合物を反応基として黒色反応性染料を合成する方法(反応式3)は、上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン化合物を反応基として使用して反応性染料を合成する方法(反応式2)とは異なり、赤色を帯びた少量の反応副産物が生成するという問題がある。 また、反応工程中に生成した上記の化学式6で表される中間体を分離して完全に乾燥した後に、無水酢酸と反応させなければならないという煩雑さがある。
本発明の製造方法により製造された上記の化学式1で表される黒色反応性染料を用いて綿、毛及び絹に染色すれば、堅牢度がすぐれた黒色反応性染色物が得られる。また、化学式1で表される黒色反応性染料は、化学式4で表される染料に比べて、染色した時に、染着率、色収率及び堅牢度が非常にすぐれていることが認められる。
本発明を次の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0020】
製造例:4−アミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンの製造
100 mlの反応器にゴム風船を吊ったコンデンサーを取り付け、これに酢酸(60g、1 mol)と水(1.8g、1 mol)を入れて反応溶液の温度を15℃に維持しながら、塩化水素気体(5.5g、0.15 mol)を1.5−2時間にわたって徐々に反応溶液に注入した。これに4−アセトアミノフェニル−β−ヒドロキシエチルスルホン(24.3g、0.1 mol)を入れ、1時間にわたって70−75℃の範囲で徐々に加熱した後、9時間にわたって攪拌した。
徐々に攪拌させながら、反応物を室温に冷却させてろ過し、酢酸(5 ml)で2回洗浄した。ろ過された固体を60℃で真空乾燥して氷(10g)と水(25 ml)に分散させた後に、溶液が中性になるように15%炭酸ナトリウム水溶液で中和させて結晶をろ過した。水(5 ml)で3回洗浄した後に、乾燥して固体形態である白色の純粋な20.6gの4−アセトアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホン(20.6 mol、収率:84.8%、純度:97.5%)を得た。
融点:92−93℃
【0021】
実施例1
4−アミノフェニル−β−スルファトエチルスルホン(26.76g、0.11 mol)に200 mlの水を入れて分散させた分散液に40 mlの3N NaNO(0.12 mol)を加えて0−5℃の範囲に維持した後に、90gの氷を入れて24.0 mlの35%HCl(0.276 mol)を添加してジアゾ化した。ジアゾ化が終った後に、スルファミン酸を加えて過量の亜硝酸を除去した。
一方、1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸(15.97g、0.05 mol)に200 mlの水を入れ、NaOH(2.0g、0.05 mol)で中和して溶かして0−5℃の範囲に冷却した。中和液である1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸に上記から得たジアゾ液を一時に加え、NaOH水溶液を徐々に添加してpHを7以下に維持しながら、反応させた。反応の中間に30gの氷を3回入れて温度の上昇を防いだ。4時間にわたって攪拌して反応を終了し、噴霧乾燥して黒色反応性染料を得た。
H−NMR(300 MHz, DMSO−d): δ1.75(s, 3H), 1.77(s, 3H), 3.73(t, 2H), 3.79(t, 2H), 4.28(q, 4H), 7.42(s, 1H), 7.48(s, 1H), 7.92(d, 2H), 8.00(d, 2H), 8.03(d, 2H), 8.26(d, 2H), 10.41(s, 1H), 10.61(s, 1H), 15.36(s, 1H)
【0022】
実施例2
4−アミノフェニル−β−スルファトエチルスルホンの代わりに4−アミノフェニル−β−ヒドロキシエチルスルホン(4.06g)を使用して上記の実施例1と同様な方法によりカップリング反応を行って中間体を得た。その後、乾燥した 中間体(1g)に20 mlの無水酢酸を加え、80−90℃で8時間にわたって反応させて黒色反応性染料を得た。
【0023】
実施例3
3−アミノフェニル−β−スルファトエチルスルホン・塩酸塩(30.77g、0.11 mol)に120 mlの水を入れて分散させた。この分散液に19.0 mlの35%HCl(0.22 mol)を加え、0−5℃の範囲に維持して60gの氷を入れた。これに40 mlの3N NaNO(0.12 mol)を加えてジアゾ化した。ジアゾ化が終った後に、スルファミン酸を加えて過量の亜硝酸を除去した。
一方、1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸(15.97g、0.05 mol)に120 mlの水を入れ、NaOH(2.0g、0.05 mol)で中和・溶解させて0−5℃の範囲に冷却した。中和液である1−ナフトール−8−アミノ−3,6−ジスルホン酸に上記から得たジアゾ液を一時に加え、NaOH水溶液を徐々に添加してpHを7以下に維持しながら、反応させた。反応の中間に30gの氷を3回入れて温度の上昇を防いだ。4時間にわたって攪拌して反応が終わると、塩析とろ過を通じて黒色反応性染料を得た。
H−NMR(300 MHz, DMSO−d): δ1.75(s, 3H), 1.76(s, 3H), 3.78(t, 2H), 3.82(t, 2H), 4.30(t, 2H), 4.32(t, 2H), 7.41(s, 1H), 7.48(s, 1H), 7.66−7.81(m, 3H), 7.92(d, 1H), 8.27(d, 1H), 8.29(s, 1H), 8.37(d, 1H), 8.61(s, 1H), 10.37(s, 1H), 10.49(s, 1H), 15.47(s, 1H)
【0024】
実験例
上記の実施例1で合成した黒色反応性染料で綿、毛及び絹を浸染染色を行ったた。レマゾールブラック B(Remazol Black B、既存のReactive Black 5)に従って染色した後に、吸光度をレマゾールブラック Bで染色した染色物と比較した。
【0025】
綿の染色:
上記の実施例1−2で合成した黒色反応性染料及び0.02gのレマゾールブラック B(1.0% o.w.f. 染色)、0.04gのレマゾールブラック B(2.0% o.w.f. 染色)及び0.06gのレマゾールブラック B(3.0% o.w.f. 染色)をそれぞれ25 mlの水に溶解させた後に、2gの綿を入れて30℃に昇温した。これに0.75gの硫酸ナトリウムを入れて継続して加熱し、染色温度が50℃になったとき、0.5gの炭酸ナトリウムを加えて60分間染色した後に、冷水で水洗した。染色布をセッケン液に入れて98℃で20分間洗浄、水洗及び乾燥させた。
【0026】
毛の染色:
上記の実施例1で合成した黒色反応性染料及び0.01gのレマゾールブラックB(1.0% o.w.f. 染色)に3 mlの緩衝溶液(pH 7)と水を入れ、すべて30 mlの染液となるようにした。1gの毛を入れて95℃で60分間染色した後に、冷水で水洗した。染色布をセッケン液に入れて98℃で20分間洗浄、水洗及び乾燥させた。
【0027】
絹の染色:
上記の実施例1で合成した黒色反応性染料及び0.01gのレマゾールブラック B(1.0% o.w.f. 染色)に3 mlの緩衝溶液(pH 7)、硫酸ナトリウムと水を入れ、すべて20 mlの染液となるようにした。1gの絹を入れて85℃で60分間染色した後に、 冷水で水洗した。染色布をセッケン液に入れて90℃で20分間洗浄、水洗及び乾燥させた。
【0028】
綿の染色において、本発明の化学式1で表される黒色反応性染料を使用して得られた染色物は、その均染性及び再現性が優れていることが認められた。 本発明による染色物を上記の化学式4で表されるレマゾールブラック Bに比べて見ると、色収率及び固着率の差がほとんどなかった。本発明による染色物の光堅牢度(4.5)は、レマゾールブラック B(4.0)より高かった。その他、各種の堅牢度は同程度であった。上記の実施例2で合成した化学式1で表される染料は、合成工程中に生成した赤色の反応副産物により染色の時に赤味(reddish)を与え、固着率も上記の実施例1の製造方法により合成した染料よりも約3%程度低く、耐光堅牢度の等級も3.5と低かった。
【0029】
毛の染色において、本発明の黒色反応性染料を使用して得られた染色物は、その均染性及び再現性が優れていることが認められた。上記の化学式4で表されるレマゾールブラック Bに比べて見ると、色収率(本発明の染料:16.43、レマゾールブラック B:13.51)及び固着率がすべて高かった。本発明による染色物の光堅牢度は、レマゾールブラック Bより高かった(本発明の染料:4等級、レマゾールブラック B:3等級)。その他、各種の堅牢度は同程度であった。
【0030】
絹の染色において、本発明の黒色反応性染料を使用して得られた染色物は、その均染性及び再現性が優れていることが認められた。上記の化学式4で表されるレマゾールブラック Bに比べて見ると、色収率及び固着率の差がほとんどなかった。本発明による染色物の光堅牢度は、レマゾールブラック Bより高かった(本発明の染料:4等級、レマゾールブラック B:3等級)。その他、各種の堅牢度は同程度であった。
【0031】
【発明の効果】
上に述べたように、本発明に係るアセトキシエチルスルホンの反応基を有する黒色反応性染料は、従来のアミノフェニル−β−スルファトエチルスルホンを反応基として使用する代わりに上記の化学式2で表されるアミノフェニル−β−アセトキシエチルスルホンを反応基として使用しているため、染料を製造する時に汚染源を減らすことができ、鮮明な色彩を与えると共に光堅牢度が市販染料であるレマゾールブラック Bより優れている。

Claims (2)

  1. a) アセトアミノフェニル - β - ヒドロキシエチルスルホンを塩化水素の含まれた酢酸溶液と反応させることにより次の化学式2で表されるアミノフェニル-β-アセトキシエチルスルホン化合物を調製する工程;
    b) 工程a)で得られたアミノフェニル - β - アセトキシエチルスルホン化合物をジアゾ化する工程
    c) 上記ジアゾ化とは別に、塩基を使用して1-ナフトール-8-アミノ-3,6-ジスルホン酸化合物を中和する工程;及び
    d) 上記のb)工程及びc)工程から得られた2つの反応溶液を0-5℃の範囲で混合し、塩基を加えてpHを7以下に調整しながら、攪拌する工程を含むことを特徴とする次の化学式1で表される黒色反応性染料の製造方法。
    【化1】
    化学式2
    Figure 0003567137
    【化2】
    化学式1
    Figure 0003567137
    式中、Mはアルカリ金属原子を示す。
  2. a) 次の化学式5で表されるアミノフェニル-β-ヒドロキシエチルスルホン化合物をジアゾ化する工程;
    b) 上記ジアゾ化とは別に、塩基を使用して1-ナフトール-8-アミノ-3,6-ジスルホン酸化合物を中和する工程;
    c) 上記のa)工程及びb)工程から得られた2つの反応溶液を0-5℃の範囲で混合し、塩基を加えてpHを7以下に調整しながら、攪拌して次の化学式6で表される中間体を製造する工程;及び、
    d) 上記の化学式6で表される中間体を無水酢酸に溶かし、80-90℃の範囲で攪拌する工程を含むことを特徴とする次の化学式1で表される黒色反応性染料の製造方法。
    【化3】
    化学式5
    Figure 0003567137
    【化4】
    化学式6
    Figure 0003567137
    【化5】
    化学式1
    Figure 0003567137
    式中、Mはアルカリ金属原子を示す。
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