JP3566980B2 - 正帯電有機光導電体とその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、一般的には電子写真用の光導電体に関する。本発明は、詳しくは乾式および湿式トナー電子写真用の安定性の優れた正帯電有機光導電体材料に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
電子写真法においては、表面の領域を選択的に露光することによって、絶縁性光導電性材料の表面に潜像が造り出される。表面の露光領域と非露光領域との間に、静電荷密度の差異が造り出される。顔料成分と熱可塑性成分とを含む静電トナーによって、可視画像が現像される。トナーは、光導電体表面と現像電極とトナーの相対的な静電荷に応じて露光されるか、あるいは未露光の光導電体表面に、選択的に吸引される。光導電体は、正に帯電されていても負に帯電されていてもよく、トナーシステムも、同様に、負に帯電した粒子を含んでいても正に帯電した粒子を含んでいてもよい。レーザープリンターについては、好ましい実施態様は、光導電体とトナーとが、同一の極性であって、異なる水準の電荷を有することである。
【0003】
一枚の紙あるいは中間転写媒体に、トナーの電荷と逆の静電荷を付与し、光導電体表面に密接して通し、光導電体表面から紙または中間媒体上に、光導電体表面から現像されたパターンのまま、トナーを引き寄せる。直接的な転写、あるいは中間転写媒体が使用されるときには間接的な転写に引続いて、一組の溶融ローラーが、紙上のトナーを溶融して固定し、印刷画像を生成させる。
【0004】
したがって、重要な光導電体表面は、電子写真技術において、さらに研究および開発を続ける主題であった。多数の光導電体材料が、電子写真用光導電体表面に好適であるとして開示されてきた。例えば、無定形(amorphous)シリコン(Si)、ヒ素セレン(As2Se3)、硫化カドミウム(CdS)、セレン(Se)、酸化チタン(TiO2)および酸化亜鉛(ZnO)は、光導電体として機能する。しかしながら、これらの無機材料は、低製造コスト、レーザーダイオードまたは他の発光ダイオード(LED)に対する高速度応答、および非毒性による安全性という電子写真技術における現代的な要求を満たしていない。
【0005】
したがって、光導電体表面についての電子写真技術における最近の進歩は、有機光導電体(OPC《organic photoconductor》)としての有機材料によって行なわれてきた。現在市販されているOPCは、大抵は、電荷発生層の上に付着された比較的厚い電荷移動層の下にある薄い電荷発生材料層を有する負帯電型のものである。負帯電OPCは、下記の用途において、ゼログラフィー複写機およびプリンターに対して、満足に機能する。
【0006】
(a)1色または2色の乾燥粉末現像剤を使用するか、あるいは白黒コピー専用の液体現像剤を使用した低速用(4〜10コピー/分)および高速用(50コピー/分以上)のゼログラフィーシステム、および、
【0007】
(b)100サイクル以下の耐用寿命を有する高画像品質(1800DPI以上)のカラープルーフィング、平版印刷およびマスターゼログラフィー印刷などのシステム。
【0008】
しかしながら、従来技術の負帯電OPCも、以下のような幾つかの欠点を有する。
【0009】
(1)負のコロナ帯電工程において大量のオゾンが発生し、環境問題を起す。この問題は、活性炭フィルターなどのオゾン吸収剤を設備したり、コロナ帯電の代りに接触負帯電を利用することによって、取り組まれてきた。しかしながら、このようなオゾン対策のアプローチは、それ自体の欠点を有し、商業的な解決策としては魅力的なものではない。
【0010】
(2)負のコロナ帯電は、一般に、正コロナ帯電と比較して電荷パターンの均一性が劣る。電荷パターンの均一性が低いことは、最終画像のノイズが多くなり、解像度が悪くなる結果になる。
【0011】
(3)微細乾燥粉体トナー法や液体トナー法を含む微粒子トナー法においては、設計者は、負帯電トナーよりも、正帯電トナーの場合に、電荷の安定性をより発現させることができている。したがって、レーザープリンターの場合のように、放電領域現像画像にとっては、正帯電OPC((+)OPC)が好ましい。
【0012】
フタロシアニン顔料粉末の特定の形態学は、優れた光導電性を示すことが知られている。これらのフタロシアニン顔料は、導電性基板上に付着された電子写真感光体中に重合体結合剤マトリックスの混合物として使用されてきた。これらのフタロシアニン/結合剤光導電体においては、結合剤が不活性である限り、フタロシアニン顔料の粒子中で、電荷の光による発生と電荷の移動とが起る。したがって、光導電体は、フタロシアニン/結合剤の単一層よりなっている。これらの単一層光導電体は、フタロシアニン顔料のホール(正電荷)移動能力のために、極めて好ましい正帯電OPCとして知られている。
【0013】
そして、これらの単一層光導電体においては、電荷移動分子を添加する必要性も、別個の電荷移動層を有する必要性もない。フタロシアニン顔料の含有量は、電荷発生と電荷移動との両方の機能を果すのに十分に高い約10〜30重量%の範囲であればよく、結合剤含有量は、約90〜70重量%の範囲である。単一の光導電体層は、要求される電荷受容性と、その結果としての画像のコントラストとを得るためには、通常約3μm以上の厚みである。いずれの場合にも、単一層は、多層光導電体の電荷発生層よりも厚い。
【0014】
また、フタロシアニン顔料を多層光導電体の電荷発生成分として使用することが知られている。今日では、記録ヘッドがLEDアレイまたはレーザーダイオードであるデジタル電子写真用の市販のOPCは、このような多層光導電体を使用している。フタロシアニン顔料を含む電荷発生層は、通常は、厚みが1μm以下である。厚みが約20〜30μmで、フタロシアニン顔料以外の移動分子を含む電荷移動層が、電荷発生層の上に上塗りされている。
【0015】
しかしながら、これらの種類の多層OPCは、負帯電OPCとしてしか使用されないので、これらはすべて、前述の負帯電OPCの欠点を有する。したがって、フタロシアニン顔料正帯電OPCの開発に対する強い動機が依然として存在する。
【0016】
この動機に対する工業による一つの対応は、電子受容体分子であり、正の電場を印加したときには電子移動体分子でなければならない上層中の電子移動分子を有する正帯電、多層OPCを研究することであった。例えば、米国特許第4,559,287号(マックアネニイ等による)の開示を参照。これらの種類のOPCは、例えば、電子受容体分子および電子移動体分子としてフルオレニリデンメタンの誘導体を使用する。しかしながら、これらの種類の分子は、溶解性が悪く、その結果としてコーティング中にOPC形成混合物中に再結晶を生じ、通常の結合剤との相溶性が悪く、反応収率が悪い結果として製造コストが高くなる。また、これらの種類の分子は、高度の発ガン性を示す傾向があり、その結果として作業者および使用者にとって安全性が損なわれ、したがって市場受容性が低下する。
【0017】
また、米国特許第5,087,540号(ムラカミ等による)は、一部は分子状態で、一部は粒子状態で結合剤樹脂中に分散されているX型および/またはT型フタロシアニン化合物を有する電子写真用の正帯電単一層光導電体を開示している。分散液を調製するために、フタロシアニン化合物は、結合剤樹脂とともに、溶媒中で、数時間〜数日間攪拌される。したがって、この解決策は、製造上の欠点を有している。
【0018】
フタロシアニン型正帯電OPCの開発への動機に対する工業によるもう一つの対応は、電荷発生層と電荷移動層の相対的位置が逆である多層OPCを研究することであった。例えば、米国特許第4,891,288号(フジマキ等による)の開示を参照。しかしながら、この種のOPCは、顔料を含む上層が、電子写真システムにおける現像成分、転写媒体成分および清掃成分に対して、非常に傷つき易いので、OPCに対する機械的な損傷を防止するために保護的な上塗りを必要とする。このような上塗り層は、それ自体の問題を有し、光導電体の残留電圧を増大させ、そしてその電気的不安定性を増大させる。例えば、米国特許第4,923,775号(シャンクによる)および第5,069,993号(ロビネット等による)を参照。
【0019】
したがって、高サイクルの極めて苛酷な電子写真法において、電荷受容性、暗減衰(dark decay)および光放電を含む安定な電気的特性を示すフタロシアニン型正帯電OPCを提供することが、本発明の第1の目的である。記録ヘッドがLEDアレイまたはレーザーダイオードである現代的デジタル印写システムは、非常に短い露光時間幅(50ナノ秒以下)に、非常に高い光強さ(約100エルグ/cm2)を有するので、約10〜30エルグ/cm2の範囲の光強さで、約数百マイクロ秒〜数ミリ秒の範囲の露光時間の光学入力複写機と比較して、OPCに対する条件が苛酷になる。
【0020】
あいにく、このような安定な電気的特性を提供するような製品は、現在のところ、市場には存在しない。このことは、フタロシアニン型正帯電OPCは、それが電子写真法におけるコロナ帯電装置および強力な光源に繰返し暴露されるときに、不安定性を示すためである。この不安定性は、レーザー印刷法に必要な強い吸収、高度の光強さ、および短い暴露時間の条件においては、もっと著しいことが見出された。不安定性は、レーザー印刷の少数の繰返しサイクルの後の暗減衰の著しい増大に示される。不安定性は、表面電位の低下にも示される。このような不安定性は、画像コントラスト悪化の要因になり、画像品質の信頼性の問題を引き起こす。
【0021】
また、フタロシアニン/結合剤光導電体のこのような不安定性は、個々の顔料粒子間の接触の性質に関係があると推測されることが見出されてきた。本発明のこのような認識は、ごく最近に得られたものであり、高サイクルで高度に苛酷な電子写真法における光導電体の不安定性の問題に効果的に取り組んで、この問題を解決する方法に関しては、従来技術には何等の報告も、示唆もない。
【0022】
望ましい電子写真性能は、約30〜100V/μm2の高い電荷受容性、約5V/sec以下の低い暗減衰、および少なくとも70%の表面電荷の光放電として定義されることが好ましく、光放電は、各ビームについて0.05マイクロ秒で同期されるビーム走査装置と焦点レンズとを含む光学システムからの周波数780〜830mmのレーザーダイオードビームを利用して行なわれる。
【0023】
フタロシアニン顔料用の通常の結合剤、例えば、アクリル系樹脂、フエノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールを含むビニル系重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、メチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリ尿素、メラミン樹脂、ポリスルホン、ポリアリレート、ジアリルフタレート樹脂、ポリエチレン、およびポリ塩化ビニルとポリフルオロカーボンなどを含むハロゲン化重合体が使用されるときには、結合剤中の顔料の良好な分散が得られるという条件の下で、好ましい電荷受容性および光放電が実現される。しかしながら、電荷受容性および光放電について良好な性能が得られるこれらの重合体の中で、LEDアレイまたはレーザーダイオード暴露条件の下では、どれ一つとして望ましい安定性を示すものはない。また、フタロシアニン顔料と安定な分散液を生成しない結合剤および付随溶媒は、通常は、非常に遅い電荷受容性、高い残留電位、または高い暗減衰を示し、したがって好ましくない。
【0024】
本発明の第2の目的は、機械的な外力に対する優れた耐久性、耐溶剤性、および熱安定性を有する正帯電OPCを提供することである。高サイクル用途における耐摩耗性を保証するためには、正帯電OPCは、機械的に高い強度を有していなければならない。このOPCは、液体トナー用途において変化したり溶出したりするのを防止するために、耐溶剤性でなければならない。異なる操作温度および操作後において予測可能で繰返し可能な性能を保証するためには、OPCは、熱に対して安定でなければならない。
【0025】
通常のOPCは、現在のところ、特に、磁性キャリヤーとトナーとを含む2成分現像剤を使用する高速度、高サイクルの用途、およびポリウレタンなどの粗い清掃ブレード材料を使用する用途において、耐摩耗性が余り良くない熱可塑性プラスチック結合剤を使用して造られている。一般に、機械的に摩耗した表面を有するOPCは、低い電荷受容性、高い暗減衰、低速度、および低コントラストなどの好ましくない電子写真特性を示す。
【0026】
また、通常の熱可塑性結合剤は、液体トナー用途に使用される溶媒に高い溶解性を示す。例えば、高サイクル用途に関連して、1200DPI以上の非常に高い解像度を得ることを要求される湿った環境において、液体キャリヤーは、OPCの結合剤をある程度溶解して解像度を低下させる。また、水性インクの用途では、これらの通常の結合剤を使用して造られたOPCの導電性に悪影響を及ぼし、この影響は、温度がより高くなることによって増大する。
【0027】
また、通常の熱可塑性結合剤は、電子写真に重要な熱による電気的特性の劣化が著しいことを示し、電荷受容性の低下、暗減衰速度の増大、およびコントラスト電位の低下に反映されている。
【0028】
OPCに対するこのような機械的、化学的および熱的耐久性という要求特性を満足させるためには、独特の架橋性重合体結合剤が得られなければならない。
【0029】
一般的には、エポキシ、フェノール系樹脂、ポリウレタンなどの架橋重合体が知られてきた。例えば、エレクトロニクスの包装工業における繊維強化プラスチックスについては、熱、放射線(UV、Eビーム、X線など)および/または水分による架橋によって、ガラス転移点の顕著な向上が得られてきた。しかしながら、電荷発生分子(染料、顔料など)や電荷移動分子などの光導電体成分は、架橋工程に利用される熱、高エネルギー放射線および水分に対して損傷し易いので、OPC用途にとっては、一般的な架橋原理を自由に適用することができない。したがって、架橋後には、これらの分子は、電荷発生分子または電荷移動分子として官能性である形態で架橋生成物中に存在していない可能性がある。ヒドラゾン、アリールアミン、ピラゾリンまたはトリフェニルメタンなどのホール移動分子についてであれ、ジフェニルスルホン、フルオレノン、キノンなどの電子移動分子であれ、あるいは光導電体が単一層であろうと多層であろうと、架橋光導電体結合剤を目指す従来の試みがうまく行かなかった理由である。これらの試みはすべて、架橋結合剤における移動分子の相溶性が悪いことを示し、好ましくない光放電特性が得られる結果になる。
【0030】
赤外線感応性光導電体の用途については、多くのフタロシアニン顔料が問題の中心である。今までのところ、α−銅フタロシアニン(CuPc)だけが、電荷移動分子の助けなしに、架橋結合剤系において使用されて好結果を得ると報告されている。しかしながら、銅フタロシアニンは、750nmより短い暴露波長についてのみ適しており、780nmまたは830nmにおいて活性波長を示すレーザーダイオードには適当でないことが知られている。
【0031】
赤外吸収を示す多くのフタロシアニン顔料は、通常は、準安定である。このような結晶形態または形態学は、材料が結合剤の架橋工程で必要な強力な溶媒、または高いエネルギー、特に高温度に暴露されるときに、吸収スペクトルの青色移動(ブルーシフト)とともに、より安定な結晶形態に向って移動する傾向がある。
【0032】
本発明は、長寿命光導電体用途のための架橋性結合剤を使用して、このような種類の赤外線感応性フタロシアニン顔料を得る技術を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、LEDアレイまたはレーザーダイオード・デジタル電子写真システム用の安定で安全なフタロシアニン/結合剤正帯電OPCを発明してきた。本発明者は、X型で金属を含まないフタロシアニン顔料について、水酸基(−OH)と、結合剤中の該水酸基に化学的に結合する反応性添加剤とを含む特定のタイプの結合剤樹脂を使用すると、電気的に安定なOPCが得られる結果となることを見出した。水酸基を含む結合剤は、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、セルロースとその誘導体、ビニルアルコールの共重合体、ヒドロキシル化重合体、および水酸基を含む単量体とシリコン樹脂との共重合体などの水不溶性プラスチックスから選択される。反応性添加剤とは、結合剤の水酸基と反応することのできる添加剤およびフタロシアニン顔料の分散液の安定性を維持することができる添加剤である。
【0034】
水酸基を含む結合剤と反応性添加剤との組合わせは、X型で金属を含まないフタロシアニン顔料が単一層光受容体として結合剤中に分散されるときに、この顔料の電気的安定性を増大させる。この系における不安定性は、おそらく顔料粒子の特定の化学構造または形態学にかかわらず、個々のフタロシアニン顔料粒子間の電気的接触に起因するものであろう。本発明者は、金属を含まないフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、ブロモ−インジウムフタロシアニン、クロロ−インジウムフタロシアニンなどを含む多数のフタロシアニン顔料について、この不安定性を認めてきた。この不安定性は、顔料の粒径が減少するにつれて増大する。また、顔料の充填量が増加するにつれて、不安定性が増大する。本発明者は、添加剤と反応する水酸基含有結合剤を使用すると、粒径がサブミクロン範囲であって、赤外または近赤外領域に吸収極大を有し、準安定結晶形態を示すX型で金属を含まないフタロシアニン顔料を含む光導電体の表面電荷を安定化させることを見出した。
【0035】
水酸基を含む結合剤と反応性添加剤とは、それらが相溶性であり、配合および基材へのコーティング工程中に、フタロシアニン顔料の分散液安定性を維持するように、注意深く選択される。
【0036】
一般的には、水酸基を含む結合剤重合体と架橋剤との反応性は、酸性あるいは塩基性触媒の存在下で、最も良好になると期待される。しかしながら、架橋反応後に残留したこれ等の触媒は、OPC装置のゼログラフィー性能を大いに阻害し、不安定な電荷受容性、暗減衰の増大などとして反映される。
【0037】
酸性あるいは塩基性の触媒を使用しないで架橋反応を起こさせるためには、装置を数時間(例えば、2〜3時間またはそれ以上)、高温度(例えば、100〜300℃)に暴露することが必要である。しかしながら、高温度処理は、100℃以下の温度で処理された試料と比較して、電荷受容性が著しく低下する結果になる。
【0038】
本発明者は、水酸基を含む結合剤/フタロシアニン分散液系に反応性添加剤を添加すると、前述のような高温度での処理後でさえも、光導電体の電荷受容性を著しく向上させる結果になることを見出した。さらに、架橋反応において消費された水酸基含有量の低下が、装置の電気的特性を安定化させる鍵であると思われる。水酸基を含む結合剤架橋剤系における架橋効果は、架橋された物質の溶解度を測定することによって検出される。
【0039】
フタロシアニン顔料は、化1の一般式(A)を有することが好ましい。
【0040】
【化1】
【0041】
フタロシアニン顔料成分は、この群から選ばれた単一の顔料あるいは少なくとも二つの顔料の組合せであればよい。
【0042】
X型で金属を含まないフタロシアニン顔料は、単独で、あるいはチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、ハロインジウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、イットリウムフタロシアニンおよび銅フタロシアニンを含む少なくとも一つの十分に分散されたフタロシアニン顔料と混合して使用される。フタロシアニン顔料成分は、水酸基を含む結合剤成分に対して約8〜約50重量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0043】
水酸基を含む結合剤としては以下のものがある。
1)化2の一般式(I)を有するポリビニルアセタール
【0044】
【化2】
【0045】
ポリビニルアセタールの水酸基含有量Yは、1〜50重量%の範囲にある。二つの好ましいポリビニルアセタールは、化3に示すものである。
【0046】
【化3】
【0047】
2)化4の一般式(II)を有するフェノール系樹脂
【0048】
【化4】
【0049】
3)化5の一般式造(III)または(IV)を有するフェノキシ樹脂
【0050】
【化5】
【0051】
4)セルロースおよびその誘導体(酢酸セルロース、ニトロセルロースおよびブチルセルロースを含む)
【0052】
5)化6の一般式(V)または(VI)を有するビニルアルコールの共重合体
【0053】
【化6】
【0054】
6)ヒドロキシル化重合体、ポリスチレン、ポリエステルおよびポリカーボネート
【0055】
7)水酸基を有する単量体とシリコーン樹脂との共重合体
【0056】
反応性添加剤としては、以下のものがある。
【0057】
a)下記の架橋性樹脂
【0058】
【化7】
【0059】
【化8】
【0060】
【化9】
【0061】
アルキッド樹脂:例えば、グリプタル (X)
【0062】
【化10】
【0063】
ポリエステル樹脂:
ポリイミド樹脂:
シラノール末端基を有するシロキサン:例えば
【0064】
【化11】
【0065】
b)化12の一般式を有する反応性無水カルボン酸
【0066】
【化12】
【0067】
c)化13の一般式を有する反応性アルデヒド
【0068】
【化13】
【0069】
d)化14の一般式を有する反応性ポリオール
【0070】
【化14】
【0071】
e)化15の一般式を有する反応性アルコキシシランカップリング剤
【0072】
【化15】
【0073】
f)例えば、アリルジエチレングリコール−ビスカーボネート単量体またはジイソプロピルペルオキシジカーボネート単量体からの反応性アリル重合体
【0074】
g)ジスマレイミド
【0075】
反応性添加剤成分は、水酸基を含む結合剤成分に対して約0.0015〜約95重量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0076】
水酸基を含む結合剤と反応性添加剤とは、一緒に、あるいは架橋反応に関与しないで、ファンデルワールス力、水素結合などの比較的弱い相互作用によって、遊離の残留水酸基の反応性を減少させると思われる共添加剤成分(co−additive component)とともに使用することができる。これらの共添加剤は、一つの分子中に電子吸引基と電子供与基との両方を有する化学薬品の群から選ばれる。これらの共添加剤の実例としては、化16のものがある。
【0077】
【化16】
【0078】
また、これらの共添加剤は、例えば、アルドリッチケミカル社のCatalog Handbook of Fine Chemicals(1922年)に記載されているもの(表1)を含む。
【0079】
【表1】
【0080】
共添加剤成分は、水酸基を含む結合剤成分に対して、約0.0015〜約95重量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0081】
本発明の光導電体の成分、すなわちX型で金属を含まないフタロシアニン顔料、水酸基を含む結合剤、および反応性添加剤、そして任意に共添加剤を、良好な安定化効果を最大にするために、個々に添加した後、混合させる必要がある。例えば、セラミックス、ガラス、食卓塩または金属ビーズを摩砕媒体として使用することにより、フタロシアニン顔料を、先ず、溶媒および反応性添加剤と予備混合する。顔料粉砕装置は、ボールミル、サンドミル、ペイント振盪機、アトライター(attritor)、ホモジナイザー、Sweeco(登録商標)ミル、スモールメディアミルなどの通常の装置から選択される。これらの摩砕手順は、顔料の平均粒径がサブミクロンの範囲にあると定義される顔料の良好な分散液を提供することができる。
【0082】
反応性添加剤と顔料の予備混合分散液は、顔料の表面に添加剤分子を強く吸着して、光導電体の帯電安定化をより効果的にする傾向がある。
【0083】
そして予備混合されたフタロシアニン顔料/反応性添加剤の分散液を、水酸基を含む結合剤溶液に添加し、緩やかに摩砕して、最終的な塗布溶液を得る。全体の混合物、すなわち顔料/反応性添加剤/水酸基を結む結合剤は、数カ月から1年の間優れた分散液安定性を示す。
【0084】
塗布溶液は、例えば、浸漬またはキャスティングによる通常の方法で、導電性基材に塗布される。それから、塗布されたフィルムは、例えば、約100〜300℃の高温で数時間の架橋条件においてキュアされて、結合剤と反応性添加剤との反応が開始され、かつ完結されなければならない。他の通常の架橋技術、例えば、放射線(UV、E−ビーム、X線など)および/または水分を利用してもよい。
【0085】
水酸基を含む結合剤と反応性添加剤との架橋反応は、苛酷な暴露条件の場合でも、多サイクル用のフタロシアニン/結合剤光導電体の暗減衰の増大を停止させるのに効果的である。しかしながら、添加剤分子が、OPCのバルク中だけでなく、その表面にも存在して完全な保護を付与しない限り、あるサイクルの後に、表面正電荷は減少する。このことは、正電荷がOPCの表面のフタロシアニン顔料の粒子を通って、OPCのバルク中に注入されるためであると推測される。例えば、OPCが100%の添加剤分子を含み、結合剤分子を含まない外面を有して調製されるときには、10万サイクル以上の使用後でさえも、優れた表面電荷安定性が認められることが観察された。
【0086】
以上のように、本発明の電子写真用の正帯電有機光導電体は、(1)導電性基材と、該基材上に厚み約1μm以上の層を形成する水酸基含有結合剤成分と、該結合剤成分全体に均一に分布しているX型の金属を含まないフタロシアニン顔料成分と、架橋性樹脂,無水カルボン酸,アルデヒド,ポリオール,アルコキシシランカップリング剤,反応性アリル重合体およびジスマレイミドよりなる群から選ばれ、上記結合剤成分全体に均一に分布されて、該結合剤成分と架橋結合関係にある反応性添加剤成分とを含むものであり、好ましい実施態様は次の通りである。
【0087】
(2)水酸基を含む結合剤成分は、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、セルロースとその誘導体、ビニルアルコールの共重合体、ヒドロキシル化重合体、および水酸基を含む単量体とシリコン樹脂との共重合体などの水不溶性プラスチックスから選択される。
【0088】
(3)フタロシアニン顔料は、粒径がサブミクロン範囲で、赤外または近赤外領域に吸収極大を有する。
【0089】
(4)フタロシアニン顔料成分は、X型で、金属を含まない二種以上のフタロシアニン顔料の混合体である。
【0090】
(5)金属型のフタロシアニン成分であってもよい。
【0091】
(6)フタロシアニン顔料成分は、水酸基を含む結合剤成分に対して、約8〜約50wt%の範囲で存在する。
【0092】
(7)反応性添加剤成分は、水酸基を含む結合剤成分に対して、約0.0015〜約95wt%の範囲で存在する。
【0093】
(8)一つの分子中に電子引吸基と電子供与基との両方を有する化学薬品の群から選ばれる共添加剤成分であってもよい。
【0094】
(9)表1に挙げられている化学薬品から選ばれる共添加剤成分であってもよい。
【0095】
(10)上記の(8)および(9)の共添加剤成分は、水酸基を含む結合剤成分に対して、約0.0015〜約95wt%の範囲で存在する。
【0096】
(11)フタロシアニン顔料成分は、溶媒との予備混合液から得られる。
【0097】
また、本発明の電子写真用の正帯電有機光導電体の製造する方法は、(12)X型の金属を含まないフタロシアニン顔料成分と、架橋性樹脂,無水カルボン酸,アルデヒド,ポリオール,アルコキシシランカップリング剤,反応性アリル重合体およびジスマレイミドよりなる群から選ばれる反応性添加剤成分と、溶媒とを予備混合し、得られる分散体を水酸基を含む結合剤成分に添加して塗布用溶液を得、この溶液を導電性基材に塗布し、塗布後の基材を架橋結合条件に置くものであり、好ましい実施態様は次の通りである。
【0098】
(13)架橋結合条件は、約100〜300℃での数時間のキュアを含む。
【0099】
【実施例】
〔OPCスクリーニング試験〕
前述のようにして調製した二つのOPCサンプルを、図1に略示したOPCターンテーブル試験台のサンプルホルダーに取付けた。試験台は、モンローエレクトロニクス社のCharge Analyser 276Aであり、その組立てと使用は、電子写真工業においてよく知られている。サンプルは、1000rpmで回転され、その回転の一つの位置で+6000Vのコロナ帯電手段に暴露されて正の電荷を受容した。回転の次の位置で、サンプルは、干渉フィルター、中性フィルター、およびカットフィルターを取付けたハロゲン光源に暴露して、780nmの狭い波長帯の光を供給した。光は、正に帯電されたOPCサンプルを照射した。OPCサンプルの表面電位を測定し、記録した。35秒間帯電させた後に、電荷受容性として電位Voを測定し、暗所で10秒間放電させた後に、暗減衰として電位Veを測定した。
【0100】
〔寿命試験〕
前述のようにして調製したOPCサンプルの電気的安定性を検討するために、サンプルを、ヒューレットパッカード社によって組立てられた図2に略示したレーザー試験台プリンターの直径135mmのアルミニウムドラムの周りに巻きつけた。ドラム上のOPCサンプルは、+400μAでコロナ手段により正に帯電させた後、レーザービームの位置を過ぎて、第1の静電プローブ1(トレック社の#360型)まで時計回りに回転させて、OPCの表面電位を測定した。レーザービームの位置を通過した後、プローブ1における測定を、レーザー0%(レーザー・オフ)およびレーザー100%(レーザー・オン)の条件で行い、それぞれV1(0)およびV1(100)とした。現像剤ステーションに配置した第2の静電プローブ2は、その対応する表面電位V2(0)(レーザー・オフ)およびV2(100)(レーザー・オン)の測定を可能にする。寿命試験台上での1000サイクルの後、使用したサンプルは取除き、スクリーニング試験台上で再び測定して寿命試験の前と後の性能を比較した。
【0101】
〔高温度での寿命試験〕
前述のようにして調製したOPCサンプルの電気的特性を検討するために、サンプルを、東京のゲンテク社製のドラム試験機シンチア型90において、直径30mmのアルミニウムドラムの表面に取付けた。ヒーターは、熱電対で監視されるドラムの内側に取付けて、サンプルの表面温度を調節する。ドラムは、回転(90rpm)して、コロナ帯電手段、780nmレーザー照射器(出力2.6mW)、電気計プローブ(サンプルの表面電位を検出する)、LED消去手段(660nm)に暴露する。デバイスの電気的安定性は、未使用サンプルと使用済みサンプルの4秒後の暗減衰速度(V/S)の変化を測定することによって検知した。
【0102】
1)X型で金属を含まないフタロシアニン顔料(X−H2Pc)4g、ポリビニルブチラール(アルドリッチケミカル社)21.5g、ジクロロメタン(DCM)150g、および直径3mmのステンレス鋼ビーズを、ロールミル装置を使用して、ガラス容器中で、3時間摩砕した。混合物は、ワイヤーバーを使用してアルミニウム基板に塗布し、80℃で2時間乾燥した後、厚み15μmの光導電体を得た。比較のために、同じ試料のもう一つの一片を、135℃と200℃の異なる温度で2〜3時間乾燥した。
【0103】
2)X型で金属を含まないフタロシアニン顔料(X−H2Pc)4g、ポリビニルブチラール(アルドリッチケミカル社)15g、ポリジイソシアナート(モベイケミカル社のMondur 75)6.5g、およびジクロロメタン(DCM)150gを、混合して摩砕し、実施例1と同じ手法を使用して、光導電体を調製した。
【0104】
これらのOPCサンプルを、前述のスクリーニング試験、寿命試験および高温寿命試験によって試験した。結果は、表2に示した。
【0105】
【表2】
【0106】
架橋反応の量を間接的に検討した。本発明者の試験においては、先ず、完成した光導電体を秤量(M1)し、ジクロロメタン(DCM)の浴中に浸漬した。そして、光導電体をこの浴中に数時間保持した後、80℃で約1時間乾燥した。この後、光導電体を再び秤量(M2)し、その差(M1−M2)を測定した。(M1−M2)/M1という式は、減少した光導電体は、DCM中に溶出してしまって架橋によって保護されていないと仮定したときの架橋の程度(%)に関係している。架橋試験の結果を、表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
前述の結果から、ポリビニルブチラール結合剤X−H2Pc系にポリジイソシアナートなどの反応性添加剤を添加すると、
a)架橋効果の向上、
b)電荷受容性および電荷保持能力の向上、および
c)高い操作温度におけるデバイスの熱安定性の向上
を示すことが明らかである。
【0109】
3)〜7)ポリジイソシアナートMondur 75の代わりに、表4の添加剤を使用した以外は、2)と同じ手順を繰返した。結果を、表5に示す。
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
DD変化(%)は、DD(55℃,1)とDD(55℃,1000)との比率として測定される。
【0113】
8)〜15)表6の架橋剤を前述の配合物に対して1gだけ添加した以外は、1)と同じ手順を繰返した。結果を、表7に示す。
【0114】
【表6】
【0115】
【表7】
【0116】
16)ポリイソシアナートの代わりにメラミン樹脂を使用し、共添加剤として1−メチルヒダントイン0.2gを添加した以外は、2)と同じ手順を繰返して光導電体を調製し、表8の試験結果を得た。
【0117】
【表8】
【0118】
これらの結果を、他のサンプルの試験結果と比較すると、この例は、本発明の特に好ましい実施態様であることが理解されるだろう。
【0119】
以上のように本発明の好ましい実施態様を説明したが、本発明は、これらの実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々に変更して実施し得ることが明瞭に理解されるであろう。
【0120】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、高サイクルの極めて苛酷な電子写真法において、電荷受容性、暗減衰、光放電等の安定な電気的特性を示すと共に、耐久性、耐溶剤性、熱安定性等の優れた特性をも有し、これらの結果として永久的に繰返し使用可能なフタロシアニン型の正帯電用有機光導電体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において使用したOPCスクリーニング試験台の略図である。
【図2】本発明の実施例において使用したOPC記録寿命試験台の略図である。
Claims (12)
- 電子写真用の正帯電有機光導電体であって、導電性基材と、前記基材上に厚みが1μmまたはそれ以上である層を形成する、水酸基を含む結合剤成分と、前記結合剤成分全体に均一に分布している、X型で、金属を含まないフタロシアニン顔料成分と、架橋性樹脂、無水カルボン酸、アルデヒド、ポリオール、アルコキシシランカップリング剤、反応性アリル重合体およびジスマレイミドよりなる群から選ばれる、前記結合剤成分全体に均一に分布されて、該結合剤成分と架橋結合関係にある反応性添加剤成分と、一つの分子中に電子吸引基と電子供与基との両方を有する化学薬品の群から選ばれる共添加剤成分と、を含むことを特徴とする正帯電有機光導電体。
- 前記水酸基を含む結合剤成分は、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、セルロースとその誘導体、ビニルアルコールの共重合体、ヒドロキシル化重合体、および水酸基を含む単量体とシリコン樹脂との共重合体からなる群から選択される水不溶性プラスチックスから選択される請求項1記載の正帯電有機光導電体。
- 前記X型で、金属を含まないフタロシアニン顔料は、粒径がサブミクロン範囲で、赤外または近赤外領域に吸収極大を有する請求項1又は2記載の正帯電有機光導電体。
- 前記X型で、金属を含まないフタロシアニン顔料成分は、X型で、金属を含まない二種以上のフタロシアニン顔料の混合体である請求項1〜3の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
- 更に金属型のフタロシアニン顔料成分を含む請求項1〜4の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
- 前記X型で、金属を含まないフタロシアニン顔料成分は、前記水酸基を含む結合剤成分に対して、8〜50重量%の範囲で存在する請求項1〜5の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
- 前記反応性添加剤成分は、前記水酸基を含む結合剤成分に対して、0.0015〜95重量%の範囲で存在する請求項1〜6の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
- 前記共添加剤成分は、下記(1)〜(25)からなる群から選ばれる共添加剤成分である請求項1〜7の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
(1)4−ピリミドン
(2)ピリド−1,4−オキサジン−オン
(3)2,3−ピリジン無水ジカルボン酸
(4)2−(N−プロピルカルバモイル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
(5)アミノフタルイミド
(6)4−アミノ−9−フルオレノン
(7)6−アミノ−3,4−ベンゾクマリン
(8)7−アミノ−4−メチルクマリン
(9)アンチピリン
(10)4−アンチピリンカルボキシアルデヒド
(11)ベンザルフタリド
(12)2−ベンゾキサゾリノン
(13)3−ベンジルフタリド
(14)2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル
(15)2−(4−ビフェニリル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾ−ル
(16)3−シアノインドール
(17)1,4−ジクロロフタラジン
(18)3,4−ジメチル−1−フェニル−3−ピラゾリン−5−オン
(19)2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール
(20)4−ヒドロキシアンチピリン
(21)1−(2−メシチレンスルホニル)−1,2,4−トリアゾ−ル
(22)3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン
(23)テトラヒドロ−2−ピリミドン
(24)フタラジン
(25)1−メチルヒダントイン - 前記共添加剤成分は、前記水酸基を含む結合剤成分に対して、0.0015〜95重量%の範囲で存在する請求項1〜8の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
- 前記X型で、金属を含まないフタロシアニン顔料成分は、溶媒との予備混合液から得られる請求項1〜9の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
- 前記架橋結合条件は、100〜300℃での数時間のキュアを含む請求項1〜10の何れか1項記載の正帯電有機光導電体。
- 電子写真用の正帯電有機光導電体の製造方法であって、X型で、金属を含まないフタロシアニン顔料成分と、架橋性樹脂、無水カルボン酸、アルデヒド、ポリオール、アルコキシシランカップリング剤、反応性アリル重合体およびジスマレイミドよりなる群から選ばれる反応性添加剤成分と、一つの分子中に電子吸引基と電子供与基との両方を有する化学薬品の群から選ばれる共添加剤成分と、溶媒とを予備混合して予備混合分散液を得、該予備混合分散液を、水酸基を含む結合剤成分に添加して塗布用溶液を得、該塗布用溶液を、導電性基材に適用し、該塗布基材を、架橋結合条件に置くことを特徴とする正帯電有機光導電体の製造方法。
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