JP3566248B2 - 射出成形機の油圧制御装置及び油圧制御方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の油圧制御装置及び油圧制御方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、射出装置の加熱シリンダ内にスクリューが回転自在に、かつ、進退自在に配設される。そして、計量工程において、前記スクリューを回転させると、ホッパから加熱シリンダ内に供給された樹脂が、加熱され、溶融させられて前進させられ、スクリューの前端に形成されたスクリューヘッドの前方に蓄えられる。また、射出工程において、スクリューを前進させると、前記スクリューヘッドの前方に蓄えられた樹脂が射出ノズルから射出され、金型装置のキャビティ空間に充填（てん）される。その後、保圧工程において、キャビティ空間に充填された樹脂の圧力が保持され、続いて、冷却工程において、前記樹脂が冷却されて成形品になる。
【０００３】
そして、前記スクリューを回転させるために油圧モータを、スクリューを前進させるために射出シリンダを駆動するようにした射出成形機においては、油圧回路が形成され、該油圧回路において油圧ポンプから吐出された油が前記油圧モータ、射出シリンダ等に供給され、前記油圧モータ、射出シリンダ等が駆動されるようになっている。前記油圧回路には、前記油圧モータ、射出シリンダ等に十分な量の油を供給することができるように、また、油圧回路内において所定の圧力が保持されるように、アキュムレータが配設され、該アキュムレータに所定の圧力、すなわち、アキュムレータ圧の油が蓄えられる。
【０００４】
そのために、油圧制御装置が配設され、該油圧制御装置は、アキュムレータに所定のアキュムレータ圧の油を蓄えるほかに、射出工程及び保圧工程において、アキュムレータに蓄えられた油を流量・圧力調整弁を介して前記射出シリンダに供給し、スクリューの速度、すなわち、スクリュー速度及び保圧力を制御する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の油圧制御装置においては、アキュムレータ圧が前記射出工程時に射出シリンダに供給される油によって発生させられる圧力、すなわち、射出シリンダ圧より十分に高い場合、アキュムレータに不要に高いアキュムレータ圧の油が蓄えられることになり、無駄なエネルギーを消費してしまう。
【０００６】
本発明は、前記従来の油圧制御装置の問題点を解決して、無駄なエネルギーを消費することがない射出成形機の油圧制御装置及び油圧制御方法を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の射出成形機の油圧制御装置においては、油が供給されて作動させられるアクチュエータと、油圧供給源と、該油圧供給源から油が供給され、前記アクチュエータに供給する油の量及び圧力のうちの少なくとも一方を調整する調整装置と、アキュムレータと、該アキュムレータのアキュムレータ圧を検出するアキュムレータ圧検出部と、検出されたアキュムレータ圧及び設定値に基づいて、アキュムレータ圧を制御するアキュムレータ圧制御部と、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高いかどうかを判断するアキュムレータ圧判断処理手段と、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高い場合、前記設定値を低くするアキュムレータ圧変更処理手段とを有する。
【０００８】
本発明の他の射出成形機の油圧制御装置においては、さらに、前記アクチュエータを作動させるためのアクチュエータ圧を検出するアクチュエータ圧検出部を有する。そして、前記調整装置は、検出されたアクチュエータ圧に基づいて、前記アクチュエータに供給する油の圧力を調整する。
【０００９】
本発明の更に他の射出成形機の油圧制御装置においては、さらに、前記設定値は、前記アキュムレータ圧制御部をオンにするオン設定圧、及び前記アキュムレータ圧制御部をオフにするオフ設定圧から成る。そして、前記アキュムレータ圧判断処理手段は、検出されたアクチュエータ圧、前記オン設定圧及びオフ設定圧に基づいて、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高いかどうかを判断する。
【００１０】
本発明の更に他の射出成形機の油圧制御装置においては、さらに、前記アキュムレータは、前記調整装置より上流側に接続される。
【００１１】
本発明の射出成形機の油圧制御方法においては、油圧供給源から供給された油の量及び圧力のうちの少なくとも一方を調整してアクチュエータに供給し、アキュムレータのアキュムレータ圧を検出し、検出されたアキュムレータ圧、及び該アキュムレータ圧の設定値に基づいて、アキュムレータ圧を制御し、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高いかどうかを判断し、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高い場合、前記設定値を低くする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１３】
図１は本発明の実施の形態における油圧制御装置の要部を示す図である。
【００１４】
図において、１０は油圧回路、１１は油が供給されて作動させられる第１のアクチュエータとしての射出シリンダであり、該射出シリンダ１１は、シリンダ本体１２内において進退（図において左右方向に移動）自在に配設されたピストン１３を備え、該ピストン１３によって第１、第２の油室１４、１５が形成される。そして、前記ピストン１３はピストンロッド１６を介して図示されないスクリューと連結される。
【００１５】
該スクリューは、射出装置の図示されない加熱シリンダ内に回転自在に、かつ、進退自在に配設され、油が供給されて作動させられる第２のアクチュエータとしての図示されない油圧モータを駆動することによって前記スクリューを回転させたり、前記射出シリンダ１１を駆動することによって前記スクリューを進退させたりすることができるようになっている。
【００１６】
また、１８は油圧供給源としての油ポンプであり、該油ポンプ１８はモータ（Ｍ）１９を備え、該モータ１９を矢印方向に回転させることによって、油ポンプ１８を駆動することができる。そして、２１は油タンク、２２は一方向にだけ油を流すチェック弁、２３は前記射出シリンダ１１に供給される油の量及び圧力のうちの少なくとも一方、本実施の形態においては、油の量及び圧力を調整する調整装置としての流量・圧力調整弁、４１はサックバック弁、４２はサックバック調整弁である。前記流量・圧力調整弁２３のメインのスプールにはフィードバック用の穴が形成される。また、前記サックバック調整弁４２は油路Ｌ−７の圧力をパイロット圧として、パイロット油路４３を介して受ける。なお、前記射出シリンダ１１に供給される油によって発生させられる射出シリンダ圧により、アクチュエータ圧が構成される。
【００１７】
前記油タンク２１と油ポンプ１８とが油路Ｌ−１を介して、前記油ポンプ１８とチェック弁２２とが油路Ｌ−２、Ｌ−３を介して、前記チェック弁２２と流量・圧力調整弁２３とが油路Ｌ−４、Ｌ−２１、Ｌ−５を介して、チェック弁２２とサックバック調整弁４２とが油路Ｌ−４、Ｌ−２２を介して接続される。また、前記流量・圧力調整弁２３と第１の油室１４とが油路Ｌ−６を介して、流量・圧力調整弁２３と油タンク２１とが油路Ｌ−８を介して、サックバック調整弁４２とサックバック弁４１とが油路Ｌ−２３を介して、サックバック弁４１と第２の油室１５とが油路Ｌ−７を介して、サックバック弁４１と油タンク２１とが油路Ｌ−２４を介して接続される。そして、前記射出シリンダ圧を検出するために、油路Ｌ−６にアクチュエータ圧検出部及び第１の圧力検出部としての圧力センサ２４が配設され、該圧力センサ２４によって検出されたアクチュエータ圧は図示されない制御部に送られる。
【００１８】
前記流量・圧力調整弁２３は、ソレノイドＳＬ１に前記制御部からソレノイド信号を受けて切り換えられ、位置Ａ、Ｂ、Ｎを採り、位置Ａにおいて、油路Ｌ−６、Ｌ−８が接続され、位置Ｂにおいて、油路Ｌ−５、Ｌ−６が接続され、位置Ｎにおいて、油路Ｌ−５、Ｌ−６、Ｌ−８が互いに遮断される。また、前記サックバック弁４１は、ソレノイドＳＬ２に前記制御部からソレノイド信号を受けて切り換えられ、位置Ａ、Ｂを採り、位置Ａにおいて、油路Ｌ−７、Ｌ−２４が接続され、位置Ｂにおいて、油路Ｌ−２３、Ｌ−７が接続される。
【００１９】
前記油圧回路１０には、前記油圧モータ、射出シリンダ１１等に十分な量の油を供給することができるように、また、油圧回路１０内において所定の圧力が保持されるように、前記流量・圧力調整弁２３より上流側において、前記油路Ｌ−４に、油路Ｌ−１１を介してアキュムレータ２８が接続される。そして、該アキュムレータ２８のアキュムレータ圧を制御するために、前記油路Ｌ−２に、油路Ｌ−１２を介してアキュムレータ圧制御部としてのチャージ弁３１が接続され、該チャージ弁３１と油タンク２１とが油路Ｌ−１３を介して接続される。
【００２０】
前記チャージ弁３１は、ソレノイドＳＬ３に前記制御部からソレノイド信号を受けて切り換えられ、位置Ａ、Ｂを採り、位置Ａにおいてオフになり、油路Ｌ−１２、Ｌ−１３が接続され、位置Ｂにおいてオンになり、油路Ｌ−１２、Ｌ−１３が遮断させられる。前記チャージ弁３１が位置Ａに置かれた場合、油ポンプ１８によって油路Ｌ−２に吐出された油は、油路Ｌ−１２、チャージ弁３１及び油路Ｌ−１３を介して油タンク２１に排出される。このとき、油路Ｌ−４側から油路Ｌ−３側への油の流れがチェック弁２２によって阻止されるので、チェック弁２２より下流側の部分の油がチャージ弁３１を介して油タンク２１に排出されることはない。
【００２１】
そして、前記油路Ｌ−１１に、アキュムレータ圧を検出するためのアキュムレータ圧検出部及び第２の圧力検出部としての圧力センサ３２が配設され、該圧力センサ３２によって検出されたアキュムレータ圧が前記制御部に送られる。該制御部のアキュムレータ圧制御処理手段は、アキュムレータ圧制御処理を行い、圧力センサ３２によって検出されたアキュムレータ圧及び設定値に基づいて、前記ソレノイドＳＬ３を駆動し、アキュムレータ圧を制御する。なお、前記油圧モータ、射出シリンダ１１、油ポンプ１８、流量・圧力調整弁２３、圧力センサ２４、３２、アキュムレータ２８、チャージ弁３１、制御部等によって油圧制御装置が構成される。
【００２２】
そして、計量工程において、前記油圧モータに油を供給し、スクリューを回転させると、図示されないホッパから加熱シリンダ内に供給された樹脂が、加熱され、溶融させられて前進させられ、前記スクリューの前端に形成されたスクリューヘッドの前方に蓄えられる。これに伴って、スクリューは後退させられる。
【００２３】
続いて、サックバック工程において、前記制御部がソレノイド信号をソレノイドＳＬ１、ＳＬ２に送り、流量・圧力調整弁２３を位置Ａに、サックバック弁４１を位置Ｂに置くと、油ポンプ１８は油タンク２１内の油を吸引し、油路Ｌ−２に吐出する。そして、前記油は、油路Ｌ−３、チェック弁２２及び油路Ｌ−４、Ｌ−２２を介してサックバック調整弁４２に送られ、サックバック調整弁４２によって圧力が調整された後、油路Ｌ−２３を介してサックバック弁４１に送られ、更に油路Ｌ−７を介して第２の油室１５に送られる。一方、第１の油室１４内の油は、油路Ｌ−６にドレーンされて流量・圧力調整弁２３に供給され、その後、油路Ｌ−８を介して油タンク２１に排出される。その結果、スクリューは回転させられることなく、後退させられ、サックバックが行われる。
【００２４】
また、射出工程において、前記制御部がソレノイド信号をソレノイドＳＬ１、ＳＬ２に送り、流量・圧力調整弁２３を位置Ｂに、サックバック弁４１を位置Ａに置くと、油タンク２１内の油は油ポンプ１８によって吸引され、油路Ｌ−２に吐出され、油路Ｌ−３、チェック弁２２及び油路Ｌ−４、Ｌ−２１を流れ、アキュムレータ２８から油路Ｌ−１１を介して送られ、所定のアキュムレータ圧に保持された油と合流して油路Ｌ−５を介して流量・圧力調整弁２３に送られ、油路Ｌ−６を介して第１の油室１４に送られる。一方、第２の油室１５内の油は、油路Ｌ−７にドレーンされてサックバック弁４１に供給され、その後、油路Ｌ−２４を介して油タンク２１に排出される。その結果、スクリューは回転させられることなく、前進させられる。
【００２５】
この場合、前記制御部の射出制御処理手段は、射出制御処理を行い、スクリュー速度が設定されたパターンで変化するように、前記ソレノイドＳＬ１を駆動する。したがって、流量・圧力調整弁２３によって調整された量の油を第１の油室１４に供給することにより、スクリューは所定のスクリュー速度で前進させられる。この場合、射出シリンダ圧に対応する射出力が発生させられる。
【００２６】
そして、前記スクリューヘッドの前方に蓄えられた樹脂が射出ノズルから射出され、図示されない金型装置のキャビティ空間に充填される。その後、保圧工程において、キャビティ空間に充填された樹脂の圧力が保持される。そのために、前記制御部の保圧力制御処理手段は、保圧力制御処理を行い、圧力センサ２４によって検出された射出シリンダ圧に基づいて、前記ソレノイドＳＬ１を駆動する。したがって、流量・圧力調整弁２３によって調整された射出シリンダ圧の油を第１の油室１４に供給することにより、スクリューは前記射出シリンダ圧でキャビティ空間内の樹脂を圧縮し、保圧力を発生させる。
【００２７】
続いて、冷却工程において、前記樹脂が冷却されて成形品になる。
【００２８】
ところで、前記構成の射出成形機においては、前記制御部に接続させて図示されない設定器が配設され、操作者が設定器を操作することによって、通常に射出装置を作動させるための通常モード、及び射出装置を作動させるに当たり、消費されるエネルギーを少なくする省エネモードを選択することができるようになっている。
【００２９】
次に、通常モード及び省エネモードにおける射出装置の動作について説明する。
【００３０】
図２は本発明の実施の形態における通常モード時の射出装置の動作を示すタイムチャート、図３は本発明の実施の形態における省エネモード時の射出装置の動作を示すタイムチャートである。
【００３１】
この場合、通常モードにおいてチャージ弁３１（図１）をオン・オフさせるために、第１のオン設定圧Ｐｎ１、及び第１のオン設定圧Ｐｎ１より高い第１のオフ設定圧Ｐｆ１が設定され、省エネモードにおいてチャージ弁３１をオン・オフさせるために、第２のオン設定圧Ｐｎ２、及び第２のオン設定圧Ｐｎ２より高い第２のオフ設定圧Ｐｆ２が設定される。
【００３２】
なお、射出工程において、前記射出シリンダ圧の最大値をピーク圧Ｐｐとしたとき、前記第１のオン設定圧Ｐｎ１及び第１のオフ設定圧Ｐｆ１とピーク圧Ｐｐとの差をそれぞれα１、β１とし、第２のオン設定圧Ｐｎ２及び第２のオフ設定圧Ｐｆ２とピーク圧Ｐｐとの差をそれぞれα２、β２とすると、
α１＞α２
β１＞β２
にされる。なお、前記ピーク圧Ｐｐは、通常モードにおいて成形を行うことによって測定され、あらかじめ設定される。
【００３３】
そして、通常モードが設定されると、設定値としての第１のオン設定圧Ｐｎ１及び第１のオフ設定圧Ｐｆ１が設定され、検出されたアキュムレータ圧、第１のオン設定圧Ｐｎ１及び第１のオフ設定圧Ｐｆ１に基づいてアキュムレータ圧が制御される。そのために、前記アキュムレータ圧制御処理手段は、計量工程、射出工程等において、油圧モータ、射出シリンダ１１等を作動させるのに伴ってアキュムレータ圧が低くなり、圧力センサ３２によって検出されたアキュムレータ圧が前記第１のオン設定圧Ｐｎ１になると、ソレノイド信号をソレノイドＳＬ３に送り、該ソレノイドＳＬ３を駆動してチャージ弁３１をオンにし、位置Ｂに置く。その結果、油ポンプ１８によって吐出された油は、前述されたように射出シリンダ１１に供給されるとともに、油路Ｌ−２、Ｌ−３、チェック弁２２及び油路Ｌ−４、Ｌ−２１、Ｌ−１１を介してアキュムレータ２８に供給され、アキュムレータ圧を高くする。
【００３４】
そして、圧力センサ３２によって検出されたアクチュエータ圧が前記第１のオフ設定圧Ｐｆ１になると、前記アキュムレータ圧制御処理手段は、ソレノイド信号をソレノイドＳＬ３に送らず、該ソレノイドＳＬ３の駆動を停止させ、チャージ弁３１をオフにして、位置Ａに置く。その結果、油ポンプ１８によって吐出された油は、油路Ｌ−２、Ｌ−１２、チャージ弁３１及び油路Ｌ−１３を介して油タンク２１に排出される。そして、このとき、油路Ｌ−４側から油路Ｌ−３側への油の流れがチェック弁２２によって阻止されるので、チェック弁２２より下流側の部分の油が油タンク２１に排出されることはないが、チェック弁２２より下流側の部分における圧力の自然低下によって、アキュムレータ圧は徐々に低くなる。このように、チャージ弁３１のオン・オフが繰り返され、アキュムレータ圧は、第１のオン設定圧Ｐｎ１と第１のオフ設定圧Ｐｆ１との間に保持される。
【００３５】
続いて、射出工程が開始されるのに伴って、流量・圧力調整弁２３によって調整された量の油が第１の油室１４に供給され、保圧工程が開始されるのに伴って、流量・圧力調整弁２３によって調整された射出シリンダ圧の油が第１の油室１４に供給されるが、その間も、チャージ弁３１のオン・オフが繰り返され、アキュムレータ圧は、第１のオン設定圧Ｐｎ１と第１のオフ設定圧Ｐｆ１との間に保持される。
【００３６】
ところで、省エネモードが設定されると、前記制御部のアキュムレータ圧判断処理手段は、アキュムレータ圧判断処理を行い、アキュムレータ圧が射出シリンダ圧より十分に高いかどうかを判断する。そのために、前記アキュムレータ圧判断処理手段は、前記第１のオン設定圧Ｐｎ１とピーク圧Ｐｐとの差α１、及び第１のオフ設定圧Ｐｆ１と第１のオン設定圧Ｐｎ１とのヒステリシス差（β１−α１）を算出し、前記差α１とヒステリシス差（β１−α１）とを比較し、アキュムレータ圧が射出シリンダ圧より十分に高いかどうかを、前記差α１がヒステリシス差（β１−α１）より十分に大きく、
α１≫（β１−α１）
であるかどうかによって判断する。
【００３７】
そして、アキュムレータ圧が射出シリンダ圧より十分に高く、前記差α１がヒステリシス差（β１−α１）より十分に大きい場合、前記制御部のアキュムレータ圧変更処理手段は、アキュムレータ圧変更処理を行い、設定値としての第２のオン設定圧Ｐｎ２及び第２のオフ設定圧Ｐｆ２を設定し、前記アキュムレータ圧制御処理手段は、検出されたアキュムレータ圧、第２のオン設定圧Ｐｎ２及び第２のオフ設定圧Ｐｆ２に基づいてアキュムレータ圧を制御する。
【００３８】
すなわち、前記アキュムレータ圧制御処理手段は、油圧モータ、射出シリンダ１１等を作動させるのに伴ってアキュムレータ圧が低くなり、圧力センサ３２によって検出されたアクチュエータ圧が前記第２のオン設定圧Ｐｎ２になると、ソレノイド信号をソレノイドＳＬ３に送り、該ソレノイドＳＬ３を駆動してチャージ弁３１をオンにして、位置Ｂに置く。その結果、油ポンプ１８によって吐出された油は、油路Ｌ−２、Ｌ−３、チェック弁２２及び油路Ｌ−４、Ｌ−１１を介してアキュムレータ２８に供給され、アキュムレータ圧を高くする。
【００３９】
そして、圧力センサ３２によって検出されたアクチュエータ圧が前記第２のオフ設定圧Ｐｆ２になると、前記アキュムレータ圧制御処理手段は、ソレノイド信号をソレノイドＳＬ３に送らず、該ソレノイドＳＬ３の駆動を停止させ、チャージ弁３１をオフにして、位置Ａに置く。その結果、油ポンプ１８によって吐出された油は、油路Ｌ−２、Ｌ−１２、チャージ弁３１及び油路Ｌ−１３を介して油タンク２１に排出される。
【００４０】
このように、チャージ弁３１のオン・オフが繰り返され、アキュムレータ圧は、第２のオン設定圧Ｐｎ２と第２のオフ設定圧Ｐｆ２との間に保持される。
【００４１】
なお、一般に、アキュムレータ圧が低くなると、射出工程及び保圧工程における制御性が低下するので、省エネモードが検出された場合、射出工程及び保圧工程における制御ゲインが自動的に切り換えられて大きくされる。したがって、油圧モータ、油圧シリンダ１１等の応答性を高くすることができる。
【００４２】
このように、省エネモードが選択されると、アキュムレータ圧と射出シリンダ圧との差を小さくすることができるので、アキュムレータ２８に不要に高いアキュムレータ圧の油が蓄えられることがなくなる。したがって、油ポンプ１８によって発生させられる油の圧力を低くすることができるので、油ポンプ１８に加わる負荷を小さくすることができる。
【００４３】
また、計量工程、射出工程等において油圧モータ、射出シリンダ１１等に大量の油が供給されると、アキュムレータ２８内の油の量が少なくなるだけでなく、アキュムレータ圧が低くなってしまう。ところが、省エネモードにおいては、オン設定圧及びオフ設定圧が低くされ、アキュムレータ圧と射出シリンダ圧との差が小さくされるので、油ポンプ１８に加わる負荷を小さくすることができる。
【００４４】
その結果、無駄なエネルギーを消費するのを防止することができる。
【００４５】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【００４６】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出成形機の油圧制御装置においては、油が供給されて作動させられるアクチュエータと、油圧供給源と、該油圧供給源から油が供給され、前記アクチュエータに供給する油の量及び圧力のうちの少なくとも一方を調整する調整装置と、アキュムレータと、該アキュムレータのアキュムレータ圧を検出するアキュムレータ圧検出部と、検出されたアキュムレータ圧及び設定値に基づいて、アキュムレータ圧を制御するアキュムレータ圧制御部と、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高いかどうかを判断するアキュムレータ圧判断処理手段と、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高い場合、前記設定値を低くするアキュムレータ圧変更処理手段とを有する。
【００４７】
この場合、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高い場合、前記設定値が低くされるので、アキュムレータに不要に高いアキュムレータ圧の油が蓄えられることがなくなる。したがって、油圧供給源によって発生させられる油の圧力を低くすることができるので、油圧供給源に加わる負荷を小さくすることができる。
【００４８】
また、アクチュエータに大量の油が供給されると、アキュムレータ内の油の量が少なくなるだけでなく、アキュムレータ圧が低くなってしまう。ところが、設定値が低くされ、アキュムレータ圧とアクチュエータ圧との差が小さくされるので、油圧供給源に加わる負荷を小さくすることができる。
【００４９】
その結果、無駄なエネルギーを消費するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態における油圧制御装置の要部を示す図である。
【図２】本発明の実施の形態における通常モード時の射出装置の動作を示すタイムチャートである。
【図３】本発明の実施の形態における省エネモード時の射出装置の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
１１ 射出シリンダ
１８ 油ポンプ
２３ 流量・圧力調整弁
２４、３２ 圧力センサ
２８ アキュムレータ
３１ チャージ弁
Ｐｆ１、Ｐｆ２ 第１、第２のオフ設定圧
Ｐｎ１、Ｐｎ２ 第１、第２のオン設定圧

Claims (5)

1. （ａ）油が供給されて作動させられるアクチュエータと、
   （ｂ）油圧供給源と、
   （ｃ）該油圧供給源から油が供給され、前記アクチュエータに供給する油の量及び圧力のうちの少なくとも一方を調整する調整装置と、
   （ｄ）アキュムレータと、
   （ｅ）該アキュムレータのアキュムレータ圧を検出するアキュムレータ圧検出部と、
   （ｆ）検出されたアキュムレータ圧及び設定値に基づいて、アキュムレータ圧を制御するアキュムレータ圧制御部と、
   （ｇ）前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高いかどうかを判断するアキュムレータ圧判断処理手段と、
   （ｈ）前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高い場合、前記設定値を低くするアキュムレータ圧変更処理手段とを有することを特徴とする射出成形機の油圧制御装置。
2. （ａ）前記アクチュエータを作動させるためのアクチュエータ圧を検出するアクチュエータ圧検出部を有するとともに、
   （ｂ）前記調整装置は、検出されたアクチュエータ圧に基づいて、前記アクチュエータに供給する油の圧力を調整する請求項１に記載の射出成形機の油圧制御装置。
3. （ａ）前記設定値は、前記アキュムレータ圧制御部をオンにするオン設定圧、及び前記アキュムレータ圧制御部をオフにするオフ設定圧から成り、
   （ｂ）前記アキュムレータ圧判断処理手段は、検出されたアクチュエータ圧、前記オン設定圧及びオフ設定圧に基づいて、前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高いかどうかを判断する請求項２に記載の射出成形機の油圧制御装置。
4. 前記アキュムレータは、前記調整装置より上流側に接続される請求項１に記載の射出成形機の油圧制御装置。
5. （ａ）油圧供給源から供給された油の量及び圧力のうちの少なくとも一方を調整してアクチュエータに供給し、
   （ｂ）アキュムレータのアキュムレータ圧を検出し、
   （ｃ）検出されたアキュムレータ圧、及び該アキュムレータ圧の設定値に基づいて、アキュムレータ圧を制御し、
   （ｄ）前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高いかどうかを判断し、
   （ｅ）前記アキュムレータ圧がアクチュエータ圧より十分に高い場合、前記設定値を低くすることを特徴とする射出成形機の油圧制御方法。

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