JP3730141B2 - 油圧回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を、高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、該キャビティ空間内において冷却して固化させることによって成形品を得ることができるようになっている。
【0003】
そのために、前記射出成形機は型締装置及び射出装置を有し、前記型締装置は、固定プラテン及び可動プラテンを備え、型締シリンダによって可動プラテンを進退させることにより金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
【0004】
一方、前記射出装置は、ホッパから供給された樹脂を加熱して溶融させる加熱シリンダ、及び溶融させられた樹脂を射出する射出ノズルを備え、前記加熱シリンダ内にスクリューが回転自在に、かつ、進退自在に配設される。そして、該スクリューを前進させることにより射出ノズルから樹脂が射出され、回転させることにより樹脂の計量が行われる。
【0005】
前記構成の射出成形機においては、例えば、スクリューを回転させたり、進退させたりするために油圧回路が配設され、該油圧回路において、油圧源から吐出された油を、油圧モータに供給してスクリューを回転させたり、射出シリンダに供給してスクリューを前進させるようにしている。
【0006】
ところで、前記油圧モータ、射出シリンダ等のアクチュエータを駆動する場合、アクチュエータを駆動するのに必要な油の量は変化する。そこで、前記油圧源として、回転速度を変化させることによって吐出量が可変にされる固定ポンプ、1回転当たりの吐出量が可変にされる可変ポンプ等を使用したり、あらかじめ所定の圧力を蓄えるようにしたアキュムレータを使用したりして、アクチュエータに供給される油の量を変化させるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の油圧回路においては、前記固定ポンプ、可変ポンプ等を使用する場合、エネルギー効率が高いが、高速でアクチュエータを駆動するのが困難になり、アキュムレータを使用する場合、高速でアクチュエータを駆動することができるが、エネルギー効率が低くなってしまう。
【0008】
本発明は、前記従来の油圧回路の問題点を解決して、エネルギー効率を高くすることができ、高速でアクチュエータを駆動することができる油圧回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の油圧回路においては、駆動部、及び該駆動部によって回転させられるポンプを備え、吐出量が可変にされる主油圧源と、第1の油路を介して前記主油圧源と接続され、該主油圧源から吐出された油を受けて駆動されるアクチュエータと、第2の油路を介して所定の油圧源と接続された副油圧源と、前記第1、第2の油路間を接続する連絡油路と、該連絡油路に配設された開閉弁と、前記アクチュエータに指令値を出力する制御部とを有する。
そして、該制御部は、前記アクチュエータの指令値が閾値以上になり、過負荷条件が成立したときに、前記駆動部の回転速度を高くし、前記開閉弁を開放する。
【0010】
本発明の他の油圧回路においては、さらに、前記副油圧源はアキュムレータである。
【0011】
本発明の更に他の油圧回路においては、さらに、前記主油圧源のポンプは、前記駆動部の回転速度を変化させることによって吐出量が可変にされる固定ポンプである。
【0012】
本発明の更に他の油圧回路においては、さらに、前記主油圧源のポンプは、1回転当たりの吐出量が可変にされる可変ポンプである。
【0013】
本発明の更に他の油圧回路においては、さらに、前記所定の油圧源は前記主油圧源である。
【0014】
本発明の更に他の油圧回路においては、さらに、前記所定の油圧源は、前記副油圧源に流体を供給する専用のポンプを備える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【0018】
図において、11は、油タンクT内の油を吸引して吐出するポンプとしての、回転速度を変化させることによって吐出量が可変にされる固定ポンプ、12は、駆動部としての可変速モータ(M)であり、該可変速モータ12の回転速度を制御部10からの指令信号に基づいて変化させることによって、固定ポンプ11の吐出量が変化させられる。前記固定ポンプ11及び可変速モータ12によって、吐出量が可変にされる主油圧源及び所定の油圧源が構成される。前記固定ポンプ11は、油路L−1、L−2を介して第1の油圧供給部15に、油路L−1、L−3を介して第2の油圧供給部16に接続される。なお、前記主油圧源を、ポンプ内の容量を変化させることによって1回転当たりの吐出量を変化させる可変ポンプ、及び定速のモータ、すなわち、定速モータによって構成することもできる。
【0019】
前記第1の油圧供給部15は、第1の切換弁13、所定の圧力の油を蓄え、副油圧源として機能するアキュムレータ18、射出装置の図示されないスクリューを進退させるための第1のアクチュエータとしての射出シリンダ19、前記射出装置をフレームに対して進退させる第2のアクチュエータとしての移動用シリンダ20、前記射出シリンダ19を駆動するための流量調整弁としてのサーボ弁30、及び移動用シリンダ20を駆動するための切換弁40を備える。なお、前記射出シリンダ19及び移動用シリンダ20は、固定ポンプ11から吐出された油を受けて駆動されるほか、アキュムレータ18から吐出された油を受けて駆動される。
【0020】
前記射出シリンダ19は、シリンダ本体21、該シリンダ本体21内において進退(図における左右方向に移動)自在に配設されたピストン22、及び該ピストン22と一体に形成され、前記スクリューと連結されたロッド25を備え、前記ピストン22によって、ヘッダ側に第1の油室23が、ロッド25側に第2の油室24が形成される。なお、前記ロッド25に位置センサ26が取り付けられ、該位置センサ26は、ピストン22の位置により表されるスクリューの位置、すなわち、スクリュー位置を検出し、検出信号を制御部10に送る。
【0021】
また、移動用シリンダ20は、シリンダ本体90、該シリンダ本体90内において進退自在に配設されたピストン31、及び該ピストン31と一体に形成されたロッド34を備え、前記ピストン31によって、ヘッダ側に第1の油室32が、ロッド34側に第2の油室33が形成される。なお、前記ロッド34は型締装置の図示されない固定プラテンに連結される。
【0022】
前記第1の切換弁13は、ソレノイドs1を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs1が受けると、位置A及びBを採り、位置Aにおいて油路L−2、L−4間を遮断し、位置Bにおいて油路L−2、L−4間を連通させる。
【0023】
そして、前記第1の切換弁13は、油路L−4、L−6、L−7を介してサーボ弁30に、油路L−4、L−6、L−8を介して切換弁40に接続される。また、サーボ弁30は、油路L−11、L−12を介してそれぞれ第1、第2の油室23、24に接続され、切換弁40は、油路L−13、L−14を介してそれぞれ第1、第2の油室32、33に接続される。そして、サーボ弁30は油路L−15、L−16を介して、切換弁40は油路L−17、L−16を介して油タンクTに接続される。
【0024】
また、前記サーボ弁30は、ソレノイドs3を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs3が受けると、位置A、B及びNを採り、位置Aにおいて油路L−7、L−11間、及び油路L−12、L−15間を連通させ、位置Bにおいて油路L−7、L−12間、及び油路L−11、L−15間を連通させ、位置Nにおいて油路L−7、L−12間、及び油路L−11、L−15間を遮断する。なお、前記ソレノイドs3に送られるソレノイド信号を調整することによって、サーボ弁30を流れる油の量を調整することができる。
【0025】
一方、前記切換弁40は、ソレノイドs4を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs4が受けると、位置A、B及びNを採り、位置Aにおいて油路L−8、L−13間、及び油路L−14、L−17間を連通させ、位置Bにおいて油路L−8、L−14間、及び油路L−13、L−17間を連通させ、位置Nにおいて油路L−8、L−14間、及び油路L−13、L−17間を遮断する。
【0026】
また、前記第2の油圧供給部16は、第2の切換弁14及び第3のアクチュエータとしての油圧モータ35を備え、該油圧モータ35と前記スクリューとが連結される。前記第2の切換弁14は、ソレノイドs2を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs2が受けると、位置A及びBを採り、位置Aにおいて油路L−3、L−5間を遮断し、位置Bにおいて油路L−3、L−5間を連通させる。
【0027】
そして、前記第2の切換弁14と油圧モータ35とは、油路L−5、L−21を介して接続され、第2の切換弁14を介して供給された油は、油路L−5、L−21を介して油圧モータ35に供給され、その結果、該油圧モータ35が駆動され、前記スクリューが回転させられる。なお、油圧モータ35を駆動するために使用された油は、油路L−22を介して油タンクTにドレーンされる。また、前記油圧モータ35には、回転速度検出手段としてのエンコーダ39が配設され、該エンコーダ39によって検出された油圧モータ35の回転速度は制御部10に送られる。
【0028】
ところで、前記アキュムレータ18に蓄えられた油を油圧モータ35に供給することができるように、第1の油圧供給部15と第2の油圧供給部16とが、油路L−31、開閉弁としての電磁比例弁37及び油路L−32を介して接続される。なお、油路L−31、L−32によって連絡油路が構成される。そして、前記電磁比例弁37は、ソレノイドs5を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs5が受けると、位置A及びBを採り、位置Aにおいて油路L−31、L−32間を遮断し、位置Bにおいて油路L−31、L−32間を連通させる。なお、ソレノイドs5に供給されるソレノイド信号を調整することによって、電磁比例弁37を流れる油の量を調整することができる。
【0029】
ところで、計量工程において、油圧モータ35を駆動することによって、前記スクリューを回転させ、それに伴って後退させると、前記射出装置の図示されないホッパから図示されない加熱シリンダ内に供給された樹脂は、前記スクリューに形成された溝に沿って前進させられるとともに、図示されないヒータによって加熱され、溶融させられ、図示されないスクリューヘッドの前方に蓄えられる。
【0030】
そのために、計量工程が開始されると、前記制御部10は、可変速モータ12を駆動し、ソレノイドs1、s3〜s5をオフにするとともに、ソレノイドs2をオンにして、第1の切換弁13及び電磁比例弁37を位置Aに、サーボ弁30及び切換弁40を位置Nに、第2の切換弁14を位置Bに置く。固定ポンプ11から吐出された油は、油路L−1、L−3を介して第2の切換弁14に供給され、更に油路L−5、L−21を介して油圧モータ35に供給され、その結果、油圧モータ35が駆動され、スクリューが回転させられる。なお、油路L−1、L−3、L−5、L−21によって、固定ポンプ11と油圧モータ35とを接続する第1の油路が構成される。
【0031】
ところで、前記制御部10は、計量工程において、あらかじめ設定された回転速度の指令値Niに従って油圧モータ35を駆動するようになっているが、指令値Niが小さく、油圧モータ35の回転速度を高くする必要がない場合、固定ポンプ11から吐出された油だけで油圧モータ35を指令値Niで回転させることができる。そこで、前記指令値Niが所定の閾(しきい)値より低い場合、制御部10は、エンコーダ39によって油圧モータ35の回転速度を読み込み、検出値Nsと前記指令値Niとの偏差ΔNi
ΔNi=Ni−Ns
が小さくなるようにフィードバック制御を行う。なお、前記閾値は、前記可変速モータ12を最大の回転速度で駆動しても、固定ポンプ11から吐出された油だけでは油圧モータ35を指令値Niで駆動することができない値に設定される。
【0032】
そして、計量工程が開始された後、指令値Niが前記閾値以上になり、油圧モータ35の過負荷条件が成立して、油圧モータ35の回転速度を高くする必要が生じると、前記制御部10は、可変速モータ12を最大の回転速度で駆動し、ソレノイドs1、s3、s4をオフに、かつ、ソレノイドs2をオンにしたまま、ソレノイドs5をオンにして、第1の切換弁13を位置Aに、サーボ弁30及び切換弁40を位置Nに、第2の切換弁14及び電磁比例弁37を位置Bに置く。固定ポンプ11から吐出された油は、油路L−1、L−3を介して第2の切換弁14に供給され、更に油路L−5、L−21を介して油圧モータ35に供給されるとともに、アキュムレータ18内の油が油路L−31、電磁比例弁37及び油路L−32、L−21を介して油圧モータ35に供給され、その結果、油圧モータ35が指令値Niで駆動される。
【0033】
このように、固定ポンプ11から吐出された油だけでは油圧モータ35を指令値Niで回転させることができない場合に、アキュムレータ18から吐出された油が油圧モータ35に供給されるので、油圧モータ35を指令値Niで回転させることができる。
【0034】
なお、この間も、制御部10は、エンコーダ39によって油圧モータ35の回転速度を読み込み、偏差ΔNiが小さくなるようにフィードバック制御を行う。
【0035】
このようにして、計量工程が完了されると、射出工程が開始される。そして、該射出工程において、射出シリンダ19の第1の油室23に油を供給してスクリューを前進させると、前記スクリューヘッドの前方に蓄えられた樹脂は、図示されない射出ノズルから射出され、図示されない金型装置のキャビティ空間に充填される。
【0036】
そのために、射出工程が開始されると、前記制御部10は、可変速モータ12を駆動し、ソレノイドs2、s4、s5をオフにするとともに、ソレノイドs1、s3をオンにして、第2の切換弁14、サーボ弁30及び電磁比例弁37を位置Aに、切換弁40を位置Nに、第1の切換弁13を位置Bに置く。固定ポンプ11から吐出された油は、油路L−1、L−2を介して第1の切換弁13に供給され、更に油路L−4、L−6、L−7を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−11を介して第1の油室23に供給される。このとき、第2の油室24内の油は、油路L−12を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−15、L−16を介して油タンクTにドレーンされる。なお、油路L−1、L−2、L−4によって、固定ポンプ11とアキュムレータ18とを接続する第2の油路が構成される。
【0037】
ところで、油圧モータ35を駆動する際にアキュムレータ18内の油が消費されるので、油圧モータ35が駆動されていないときに、アキュムレータ18に再び油が蓄えられる。
【0038】
そのために、制御部10は所定のタイミングで、可変速モータ12を所定の回転速度で駆動して回転させ、ソレノイドs2〜s5をオフにするとともに、ソレノイドs1をオンにして、第2の切換弁14及び電磁比例弁37を位置Aに、サーボ弁30及び切換弁40を位置Nに、第1の切換弁13を位置Bに置く。固定ポンプ11から吐出された油は、油路L−1、L−2を介して第1の切換弁13に供給され、更に油路L−4を介してアキュムレータ18に供給され、蓄えられる。
【0039】
そして、油路L−4に図示されない圧力検出手段としての圧力センサが配設され、該圧力センサによって検出された油路L−4内の圧力が一定の値になると、アキュムレータ18内の油の量又は圧力が規定値に達したことが分かる。そこで、制御部10は可変速モータ12の駆動を停止させ、ソレノイドs1をオフにして、第1の切換弁13を位置Aに置く。
【0040】
なお、前記第1の油室23に油を供給する際に、同時にアキュムレータ18に油を供給することもできる。
【0041】
このように、一つの固定ポンプ11を作動させることによって、アキュムレータ18に油を蓄えたり、油圧モータ35を駆動したり、スクリューを前進させたりすることができる。また、固定ポンプ11及びアキュムレータ18から吐出された油を油圧モータ35に供給して油圧モータ35を高速で駆動することができる。
【0042】
すなわち、固定ポンプ11を使用することによって、エネルギー効率を高くすることができ、固定ポンプ11及びアキュムレータ18を使用することによって、高速で油圧モータ35を駆動することができる。
【0043】
なお、サックバックが行われる場合、ソレノイドs1、s3をオンにして、第1の切換弁13及びサーボ弁30を位置Bに置く。固定ポンプ11から吐出された油は、油路L−1、L−2を介して第1の切換弁13に送られ、更に油路L−4、L−6、L−7を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−12を介して第2の油室24に供給される。このとき、第1の油室23内の油は、油路L−11を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−15、L−16を介して油タンクTにドレーンされる。
【0044】
また、ノズルタッチを行うために、射出装置を前進させ、計量が開始されるのに伴って射出装置を後退させることができるようになっている。そのために、ソレノイドs1、s4をオンにして第1の切換弁13を位置Bに、切換弁40を位置Aに置くと、固定ポンプ11から吐出された油は、油路L−1、L−2を介して第1の切換弁13に供給され、更に油路L−4、L−6、L−8を介して切換弁40に供給され、更に油路L−13を介して第1の油室32に供給される。このとき、第2の油室33内の油は、油路L−14を介して切換弁40に供給され、更に油路L−17、L−16を介して油タンクTにドレーンされる。これに伴って、ロッド34が前進させられ、射出装置は後退させられる。
【0045】
また、ソレノイドs1、s4をオンにして第1の切換弁13及び切換弁40を位置Bに置くと、固定ポンプ11から吐出された油は、油路L−1、L−2を介して第1の切換弁13に供給され、更に油路L−4、L−6、L−8を介して切換弁40に供給され、更に油路L−14を介して第2の油室33に供給される。このとき、第1の油室32内の油は、油路L−13を介して切換弁40に供給され、更に油路L−17、L−16を介して油タンクTにドレーンされる。これに伴って、ロッド34が後退させられ、射出装置は前進させられる。
【0046】
次に、アキュムレータ18の容量が小さい場合に適用される本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0047】
図2は本発明の第2の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【0048】
この場合、第1の実施の形態における第1の切換弁13(図1)に代えて逆止弁51が、第2の切換弁14に代えて電磁比例弁52が配設される。また、主油圧源及び所定の油圧源は、ポンプとしての1回転当たりの吐出量が可変にされる可変ポンプ11′、及び駆動部としての定速モータ12′によって構成され、前記可変ポンプ11′の吐出量を制御部10からの指令信号に基づいて変化させることができる。前記逆止弁51は、油路L−4内の油圧が油路L−2内の油圧より低い場合に連通させられ、油路L−2から油路L−4に油が流れるのを許容し、油路L−4内の油圧が油路L−2内の油圧より高い場合に遮断され、油路L−4から油路L−2に油が流れるのを禁止する。
【0049】
そして、電磁比例弁52は、ソレノイドs6を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs6が受けると、位置A及びBを採り、位置Aにおいて油路L−3、L−5間を遮断し、位置Bにおいて油路L−3、L−5間を連通させる。また、15は第1の油圧供給部、16は第2の油圧供給部、19は第1のアクチュエータとしての噴出シリンダ、20は第2のアクチュエータとしての移動用シリンダである。
【0050】
前記構成の油圧回路において、計量工程が開始されると、前記制御部10は、定速モータ12′を駆動し、ソレノイドs3〜s5をオフにするとともに、ソレノイドs6をオンにして、流量調整弁としてのサーボ弁30及び切換弁40を位置Nに、開閉弁としての電磁比例弁37を位置Aに、電磁比例弁52を位置Bに置く。可変ポンプ11′から吐出された油は、油路L−1、L−3を介して電磁比例弁52に供給され、更に油路L−5、L−21を介して第3のアクチュエータとしての油圧モータ35に供給され、その結果、該油圧モータ35が駆動され、図示されないスクリューが回転させられる。なお、油路L−1、L−3、L−5、L−21によって第1の油路が構成される。
【0051】
ところで、前記制御部10は、計量工程において、あらかじめ設定された回転速度の指令値Niに従って油圧モータ35を駆動するようになっているが、指令値Niが小さく、油圧モータ35の回転速度を高くする必要がない場合、可変ポンプ11′から吐出された油だけで油圧モータ35を指令値Niで回転させることができる。そこで、前記指令値Niが所定の閾値より低い場合、制御部10は、回転速度検出手段としてのエンコーダ39によって油圧モータ35の回転速度を検出し、検出値Nsと指令値Niとの偏差ΔNiが小さくなるようにフィードバック制御を行う。なお、前記閾値は、前記可変ポンプ11′の吐出量を最大の値にしても、可変ポンプ11′から吐出された油だけでは油圧モータ35を指令値Niで回転させることができない値に設定される。
【0052】
このとき、可変ポンプ11′から吐出された油が多いので、油路L−2内の油圧が油路L−4内の油圧より高くなる。したがって、逆止弁51が開放され、可変ポンプ11′から吐出された油は、油路L−1、L−2、逆止弁51及び油路L−4を介して副油圧源として機能するアキュムレータ18に供給され、蓄えられる。なお、前記油路L−1、L−2、L−4によって第2の油路が構成される。
【0053】
そして、計量工程が開始された後、指令値Niが前記閾値以上になり、油圧モータ35の回転速度を高くする必要が生じると、前記制御部10は、可変ポンプ11′の吐出量を最大にし、ソレノイドs3、s4をオフに、かつ、ソレノイドs6をオンにしたまま、ソレノイドs5をオンにして、サーボ弁30及び切換弁40を位置Nに、電磁比例弁37、52を位置Bに置く。可変ポンプ11′から吐出された油は、油路L−1、L−3を介して電磁比例弁52に供給され、更に油路L−5、L−21を介して油圧モータ35に供給されるとともに、アキュムレータ18内の油が油路L−31、電磁比例弁37及び油路L−32、L−21を介して油圧モータ35に供給され、その結果、油圧モータ35が指令値Niで駆動される。なお、ソレノイドs5、s6に供給されるソレノイド信号を調整することによって、電磁比例弁37、52を流れる油の量を調整することができる。また、前記油路L−31、L−32によって連絡油路が構成される。
【0054】
このように、可変ポンプ11′から吐出された油だけでは油圧モータ35を指令値Niで回転させることができない場合に、アキュムレータ18から吐出された油が油圧モータ35に供給されるので、油圧モータ35を指令値Niで回転させることができる。
【0055】
また、射出工程が開始されると、前記制御部10は、定速モータ12′を駆動し、ソレノイドs4〜s6をオフにするとともに、ソレノイドs3をオンにして、切換弁40を位置Nに、サーボ弁30、電磁比例弁37、52を位置Aに置く。可変ポンプ11′から吐出された油は、油路L−1、L−2を介して逆止弁51に供給され、更に油路L−4、L−6、L−7を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−11を介して第1の油室23に供給される。このとき、第2の油室24内の油は、油路L−12を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−15、L−16を介して油タンクTにドレーンされる。
【0056】
ところで、油圧モータ35が駆動されていないときに、アキュムレータ18に再び油が蓄えられる。
【0057】
そのために、制御部10は所定のタイミングで、定速モータ12′を所定の回転速度で駆動して回転させ、ソレノイドs3〜s6をオフにして、サーボ弁30及び切換弁40を位置Nに、電磁比例弁37、52を位置Aに置く。可変ポンプ11′から吐出された油は、油路L−1、L−2を介して逆止弁51に供給され、更に油路L−4を介してアキュムレータ18に供給され、蓄えられる。なお、前記第1の油室23に油を供給する際に、同時にアキュムレータ18に油を供給することもできる。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0059】
図3は本発明の第3の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【0060】
図において、61はポンプとしての可変ポンプ、62は駆動部としての定速モータ(M)、63は専用のポンプ、すなわち、専用ポンプ、64は駆動部としての定速モータ(M)であり、専用ポンプ63及び定速モータ64によって所定の油圧源が構成される。前記可変ポンプ61の吐出量を制御部10からの指令信号に基づいて変化させることができる。なお、前記可変ポンプ61及び定速モータ62によって主油圧源が構成される。そして、専用ポンプ63は、油路L−51を介して第1の油圧供給部65と接続され、可変ポンプ61は油路L−52を介して第2の油圧供給部66と接続される。
【0061】
前記第1の油圧供給部65は、逆止弁68、所定の圧力の油を蓄える副油圧源として機能するアキュムレータ18、射出装置の図示されないスクリューを進退させるための第1のアクチュエータとしての射出シリンダ19、前記射出装置をフレームに対して進退させる第2のアクチュエータとしての移動用シリンダ20、前記射出シリンダ19を駆動するための流量調整弁及び開閉弁としてのサーボ弁30、移動用シリンダ20を駆動するための切換弁40、及び余った油をドレーンするためのアンロード弁67を備える。
【0062】
そして、専用ポンプ63は、油路L−51、L−53を介して逆止弁68に、油路L−51、L−61を介してアンロード弁67に接続される。また、アンロード弁67は、油路L−62を介して油タンクTに接続され、ソレノイドs11を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs11が受けると、位置A及びBを採り、位置Aにおいて油路L−61、L−62間を遮断し、位置Bにおいて油路L−61、L−62間を連通させる。専用ポンプ63から吐出された油は、油路L−51、L−61を介してアンロード弁67に供給され、更に油路L−62を介して油タンクTにドレーンされる。
【0063】
また、前記逆止弁68は、油路L−54を介してアキュムレータ18に、油路L−54、L−55、L−57を介してサーボ弁30に、油路L−54、L−55、L−58を介して切換弁40に接続される。そして、サーボ弁30は油路L−63、L−64を介して油タンクTに、切換弁40は油路L−65、L−64を介して油タンクTに接続される。なお、油路L−51、L−53、L−54によって第2の油路が構成される。また、前記専用ポンプ63はアキュムレータ18に油を供給するために駆動される。
【0064】
さらに、前記サーボ弁30は、油路L−59、L−60を介して第1の油室23に、油路L−12を介して第2の油室24に接続され、切換弁40は、油路L−13、L−14を介してそれぞれ第1、第2の油室32、33に接続される。なお、油路L−55、L−57、L−59、L−60によって連絡油路が構成される。
【0065】
また、前記第2の油圧供給部66は、切換弁71、及び第3のアチュエータとしての油圧モータ35を備え、該油圧モータ35と前記スクリューとが連結される。前記切換弁71は、ソレノイドs13を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs13が受けると、位置A及びBを採り、位置Aにおいて油路L−71、L−72間を遮断し、位置Bにおいて油路L−71、L−72間を連通させる。
【0066】
そして、前記切換弁71と油圧モータ35とは、油路L−72を介して接続され、切換弁71を介して供給された油は、油路L−72を介して油圧モータ35に供給され、その結果、該油圧モータ35が駆動され、前記スクリューが回転させられる。なお、油圧モータ35を駆動するために使用された油は、油路L−22を介して油タンクTにドレーンされる。また、前記油圧モータ35には、回転速度検出手段としてのエンコーダ39が配設され、該エンコーダ39によって検出された油圧モータ35の回転速度は制御部10に送られる。
【0067】
前記可変ポンプ61から吐出された油を射出シリンダ19に供給することができるように、第1の油圧供給部65と第2の油圧供給部66とが、油路L−73、切換弁72及び油路L−74を介して接続される。そして、前記切換弁72は、ソレノイドs12を備え、制御部10からのソレノイド信号を前記ソレノイドs12が受けると、位置A及びBを採り、位置Aにおいて油路L−73、L−74間を遮断し、位置Bにおいて油路L−73、L−74間を連通させる。なお、油路L−52、L−73、L−74、L−60によって第1の油路が構成される。また、油路L−51、L−52に圧力検出手段としての圧力センサ75、76がそれぞれ配設される。
【0068】
前記構成の油圧回路において、計量工程が開始されると、前記制御部10は、専用ポンプ63の駆動を停止させたまま、可変ポンプ61を駆動し、ソレノイドs3、s4、s11、s12をオフにするとともに、ソレノイドs13をオンにして、サーボ弁30及び切換弁40を位置Nに、アンロード弁67及び切換弁72を位置Aに、切換弁71を位置Bに置く。可変ポンプ61から吐出された油は、油路L−52、L−71を介して切換弁71に供給され、更に油路L−72を介して油圧モータ35に供給され、その結果、油圧モータ35が駆動され、スクリューが回転させられる。
【0069】
そして、前記計量工程が完了すると、射出工程が開始される。該射出工程において、前記制御部10は、可変ポンプ61を駆動し、ソレノイドs4、s11、s13をオフにするとともに、ソレノイドs3、s12をオンにして、サーボ弁30、アンロード弁67及び切換弁71を位置Aに、切換弁40を位置Nに、切換弁72を位置Bに置く。可変ポンプ61から吐出された油は、油路L−52、L−73を介して切換弁72に供給され、更に油路L−74、L−60を介して第1の油室23に供給されるとともに、アキュムレータ18から吐出された油が、油路L−55、L−57を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−59、L−60を介して第1の油室23に供給される。このとき、第2の油室24内の油は、油路L−12を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−63、L−64を介して油タンクTにドレーンされる。
【0070】
ところで、前記制御部10は、射出工程において、あらかじめ設定された速度パターンに従ってスクリューを前進させるようになっている。そのために、前記制御部10は、スクリューの速度、すなわち、スクリュー速度の指令値Viに従って射出シリンダ19を駆動するようになっているが、指令値Viが小さく、スクリュー速度を高くする必要がない場合、可変ポンプ61から吐出された油だけで射出シリンダ19を駆動させ、指令値Viでスクリューを前進させることができる。そこで、前記指令値Viが所定の閾値より低い場合、制御部10は、位置センサ26によって検出されたスクリューの位置を積分することにより、スクリュー速度を算出し、算出値Vsと前記指令値Viとの偏差ΔVi
ΔVi=Vi−Vs
が小さくなるようにフィードバック制御を行う。なお、前記閾値は、前記可変ポンプ61の吐出量を最大の値にしても、可変ポンプ61から吐出された油だけではスクリューを指令値Viで前進させることができない値に設定される。
【0071】
そして、射出工程が開始された後、指令値Viが前記閾値以上になり、射出シリンダ19の過負荷条件が成立して、スクリュー速度を高くする必要が生じると、前記制御部10は、定速モータ64を駆動して、可変ポンプ61を駆動したまま専用ポンプ63を駆動する。この場合、ソレノイドs4、s11、s13はオフに、ソレノイドs3、s12はオンにされたままであるので、サーボ弁30、アンロード弁67及び切換弁71は位置Aに、切換弁40は位置Nに、切換弁72は位置Bに置かれている。
【0072】
その結果、専用ポンプ63から吐出された油が、油路L−51、L−53を介して逆止弁68に供給され、更に油路L−54、L−55、L−57を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−59、L−60を介して第1の油室23に供給されるとともに、アキュムレータ18から吐出された油が、油路L−55、L−57を介してサーボ弁30に供給され、更に油路L−59、L−60を介して第1の油室23に供給される。
【0073】
このように、可変ポンプ61から吐出された油だけではスクリューを指令値Viで前進させることができない場合に、専用ポンプ63から吐出された油が第1の油室23に供給されるので、スクリューを指令値Viで前進させることができる。
【0074】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0075】
図4は本発明の第4の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【0076】
図において、81はポンプとしての第1の可変ポンプ、82は所定の油圧源及び専用のポンプとしての第2の可変ポンプ、83は駆動部としての定速モータである。前記第1、第2の可変ポンプ81、82の吐出量を、制御部10からの指令信号に基づいて変化させることができる。また、第1の可変ポンプ81及び定速モータ83によって主油圧源が構成される。
【0077】
前記第2の可変ポンプ82は油路L−81を介して第1の油圧供給部85と接続され、第1の可変ポンプ81は油路L−52を介して第2の油圧供給部86と接続される。
【0078】
前記第1の油圧供給部85は、所定の圧力の油を蓄える副油圧源としてのアキュムレータ18、図示されない射出装置のスクリューを進退させるための射出シリンダ19、前記射出装置をフレームに対して進退させる移動用シリンダ20、前記射出シリンダ19を駆動するための流量調整弁としてのサーボ弁30、及び移動用シリンダ20を駆動するための切換弁40を備える。この場合、油路L−52、L−73、L−74、L−60によって第1の油路が、油路L−81によって第2の油路が、油路L−55、L−57、L−59によって連絡油路が構成される。
【0079】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0080】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、油圧回路においては、駆動部、及び該駆動部によって回転させられるポンプを備え、吐出量が可変にされる主油圧源と、第1の油路を介して前記主油圧源と接続され、該主油圧源から吐出された油を受けて駆動されるアクチュエータと、第2の油路を介して所定の油圧源と接続された副油圧源と、前記第1、第2の油路間を接続する連絡油路と、該連絡油路に配設された開閉弁と、前記アクチュエータに指令値を出力する制御部とを有する。
そして、該制御部は、前記アクチュエータの指令値が閾値以上になり、過負荷条件が成立したときに、前記駆動部の回転速度を高くし、前記開閉弁を開放する。
【0081】
この場合、主油圧源から吐出された油だけではアクチュエータを駆動することができない場合に、副油圧源から吐出された油がアクチュエータに供給される。
【0082】
したがって、主油圧源を使用することによって、エネルギー効率を高くすることができ、主油圧源及び副油圧源を使用することによって、高速でアクチュエータを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態における油圧回路を示す図である。
【符号の説明】
11 固定ポンプ
11′、61 可変ポンプ
12 可変速モータ
12′、62、83 定速モータ
18 アキュムレータ
19 射出シリンダ
35 油圧モータ
37 電磁比例弁
63 専用ポンプ
81、82 第1、第2の可変ポンプ
72 切換弁
L−1〜L−5、L−21、L−31、L−32、L−51〜L−55、L−57、L−59、L−60、L−71、L−73、L−74 油路
Claims (6)
- (a)駆動部、及び該駆動部によって回転させられるポンプを備え、吐出量が可変にされる主油圧源と、
(b)第1の油路を介して前記主油圧源と接続され、該主油圧源から吐出された油を受けて駆動されるアクチュエータと、
(c)第2の油路を介して所定の油圧源と接続された副油圧源と、
(d)前記第1、第2の油路間を接続する連絡油路と、
(e)該連絡油路に配設された開閉弁と、
(f)前記アクチュエータに指令値を出力する制御部とを有するとともに、
(g)該制御部は、前記アクチュエータの指令値が閾値以上になり、過負荷条件が成立したときに、前記駆動部の回転速度を高くし、前記開閉弁を開放することを特徴とする油圧回路。 - 前記副油圧源はアキュムレータである請求項1に記載の油圧回路。
- 前記主油圧源のポンプは、前記駆動部の回転速度を変化させることによって吐出量が可変にされる固定ポンプである請求項1に記載の油圧回路。
- 前記主油圧源のポンプは、1回転当たりの吐出量が可変にされる可変ポンプである請求項1に記載の油圧回路。
- 前記所定の油圧源は前記主油圧源である請求項1に記載の油圧回路。
- 前記所定の油圧源は、前記副油圧源に流体を供給する専用のポンプを備える請求項1に記載の油圧回路。
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