JP3563445B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、サイド部の剛性を高めることができ、かつ、サイド部の柔軟性も兼ね備えた空気入りタイヤに関するものであり、特に二輪車用空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤのカーカスは、タイヤ形状を維持するという重要な役割を担っている。このカーカスを形成するプライは、ビードコアの内側から外側に折り返し、その端部がサイド部位置にあるのが一般的である。しかし、プライの端部がサイド部位置にあると、この付近で曲げ剛性の異なる段差部分が生じるため、サイド部の柔軟性を悪化させる傾向にある。この場合に、サイド部の柔軟性を向上させるには、例えば、サイドゴムの厚みを薄くすればよいが、プライの折り返し端は、タイヤ負荷転動時の繰り返し変形による応力集中によってクラック等を生じてサイド部の外面に露出するおそれがあるためサイドゴムの厚みを薄くすることはできなかった。そのため、良好なサイド部の柔軟性を有するためには他の手段を必要とした。
一方、コーナリング走行時における良好な操縦安定性を有するためには、サイド部の剛性を高める必要がある。サイド部の剛性を高めるには、1.サイドゴムを厚くすること、2.プライの枚数を増やすこと、3.巻き返したプライ同士をオーバーラップさせるカーカス構造にすることが有用である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に関して、上掲1による場合は、前述したようにサイド部の柔軟性を悪化させることにつながり、2による場合は、成形能率を大幅に悪化させて生産性が低下するので好ましくない。また、3による場合も問題点を有していた。すなわち、1プライの単なるオーバーラップ構造では十分なタイヤ剛性が得られがたい。
【0004】
そこで本発明では、少数プライをビードコアの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部で互いにオーバーラップさせてカーカスを形成することによりサイド部の剛性を高める上掲3の手段を採用し、このオーバーラップ構造の上述した問題点を解決し、かつサイド部の柔軟性をも兼ね備えた空気入りタイヤを開発することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第一の発明は、タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコア及びフィラーゴムの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部で互いにオーバーラップさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカスの周りに少なくとも一層の補強層を有し、この補強層が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなることを特徴とする空気入りタイヤである。
第二の発明は、タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコア及びフィラーゴムの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部で互いにオーバーラップさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカスの周りに少なくとも一層の補強層を有し、この補強層が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなり、一方のビードコア上から他方のビードコア上にわたるプライ間にダウンプライを備えることを特徴とする空気入りタイヤである。
第三の発明は、タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコアの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部で互いにオーバーラップさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカスの周りに前記平面に対してそれぞれ10〜30°の範囲の角度で交差コード配列した二層のベルト層からなる補強層を有することを特徴とする空気入りタイヤである。
第四の発明は、タイヤ円周を含む平面に対し25〜45°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコアの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部でオーバーラップさせさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカス周りに前記平面に対し15〜35°の範囲の角度でコード配列した少なくとも2層のベルト層からなる補強層を有することを特徴とする空気入りタイヤである。
なお、ここでいうスパイラル状の巻回とは、1〜5本のコードをタイヤ幅方向にスパイラル状に巻回した場合や、10本以上のコードを平行配列したゴム引き層をタイヤ半径方向にスパイラル状に巻回した場合の双方を意味する。
また、第一〜第四の発明では、前記プライのオーバーラップ幅がトレッド幅の1/2以上であること、プライのオーバーラップ部分と補強層との間に、前記平面に対し60〜90°の範囲の角度でコード配列した1枚もしくは少数枚の補助層を備えて、前記オーバーラップ幅が20mm以上であることフィラーゴムは厚さが4mm以上の比較的厚い軟質ゴムからなり、このフィラーゴムは、プライ間のビードコア上、かつ、サイドウォール高さよりも低い位置に高さ配置してなること、および、フィラーゴムがその外周を包み込むフリッパーを備え、各フリッパーの外側端位置がサイドウォール高さの1/2以上にあること、がより好ましい。なおここでいうサイドウォール高さHとは、ビードベースラインからトレッド端までをタイヤ赤道面に対して平行に測った高さを意味する。
【0006】
第一の発明の代表的な空気入りタイヤの一例を図1に示す。図1は、コード配列が分かるように外皮ゴムを剥がした状態のタイヤを斜め上方から眺めたものであり、図中1は空気入りタイヤ、2はプライのコード、3はプライ、4はビードコア、5はフィラーゴム、6はクラウン部、7はカーカス、8は補強層のコード、9は補強層である。
図1の空気入りタイヤ1は、タイヤ円周を含む平面に対し90°の角度で配列したコード2のゴム引き層の1枚のプライ3をビードコア4及びフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップさせたカーカス7の周りに少なくとも一層の補強層9を有し、この補強層9が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコード8のゴム引き層からなっている。なお、この空気入りタイヤは、プライ3のオーバーラップ部分10と補強層9との間に、前記平面に対して75°の角度で傾斜配列したコードを有する補助層11を配設している。この補助層11は、カーカス7をより補強するために配置したものであるので必要に応じて適宜設けることができる。この補助層11のコードは、前記平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列するのが好ましい。また、この補助層11は、プライ3のオーバーラップ部分10のずれを防止することができ、必要最小限のオーバーラップ幅Lを狭くすることができることから必要に応じて設けることが好ましい。具体的には、補助層11を備えていない場合のオーバーラップ幅Lはトレッド幅Wの1/2以上であるのが好ましいのに対して、補助層11を備えているときは、20mm以上であることが好ましい。2輪車用空気入りタイヤは、トレッド幅Wがサイド部の最大幅Mよりも大きいという一般的な特徴を有している。ここで、トレッド幅W、サイド部の最大幅Mおよびオーパラップ幅は、図2に示すように軸方向距離とする。
【0007】
また、より高いサイド剛性が必要な場合は、図2に示すように、カーカス7を2枚のプライの折り返しによって形成してもよいが、この場合は、これら折り返しプライは、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端12、13相互にて、外層のプライ端12が内層のプライ端13に被さって段差を形成していることがセパレーション防止のために好ましく、具体的には、外層のプライ端12が内層のプライ端13よりも5mm以上離れた位置に配置するのが好ましい。図1および図2に示すように本発明のカーカスは1枚もしくは少数枚のプライから形成される。
【0008】
サイド部の柔軟性を調節する必要な場合は、図3aに示すように、比較的厚い軟質ゴムからなるフィラーゴム5を、プライ3間のビードコア4上、かつ、サイドウォール高さH(図2)よりも低い位置に高さ配置するか、あるいは図3bに示すように、比較的薄い軟質ゴムからなるフィラーゴム5を、プライ3間のビードコア4上、かつ、サイドウォール高さHよりも幾分高い位置で補強層9の端部とオーバーラップする位置に高さ配置することが好ましい。このフィラーゴム5の厚みは、図3aの場合が4mm以上、図3bの場合が2mm以上にするのが好ましく、このフィラーゴム5の硬さは、従来のフィラーゴム(70〜80°)よりも軟らかく50〜60°の範囲が好ましい。なお、ゴム硬さは、ショアーA法により測定した。また、サイド剛性の強さを重視する場合は、図4に示すように、フィラーゴム5がその外周を実質上包み込むフリッパー14を備え、各フリッパー14の外側端位置15をサイドウォール高さHの1/2以上に配置することが好ましい。
【0009】
第二の発明にしたがう代表的な空気入りタイヤの一例を図5に示す。図5に示す空気入りタイヤは、タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコード2のゴム引き層の1枚のプライ3をビードコア4及びフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップさせたカーカス7の周りに少なくとも一層の補強層9を有し、この補強層9が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなり、一方のビードコア4上から他方のビードコア4上にわたるプライ間にダウンプライ16を備えている。このダウンプライ16は、サイド剛性不足の場合、サイドを補強するため設けるので、カーカス7を形成するプライ3と同質のコードゴム引き層からなるのが好ましいが、これには限定されない。
【0010】
第三の発明にしたがう代表的な空気入りタイヤの一例を図6に示す。図6に示す空気入りタイヤは、タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の1枚もしくは少数枚のプライ3をビードコア4及びフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップさせたカーカス7の周りに、前記平面に対してそれぞれ10〜30°の範囲の角度で交差コード配列した二層のベルト層17からなる補強層9を備えている。この補強層9は、プライ3のオーバーラップ部分10をたが締めするとともに、トレッド部を補強してタイヤ剛性を高めている。
【0011】
第四の発明にしたがう代表的な空気入りタイヤの一例を図7に示す。図7に示す空気入りタイヤは、タイヤ円周を含む平面に対し25〜45°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の1枚もしくは少数枚のプライ3をビードコア4及びフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で広い範囲でオーバーラップさせたカーカス周りに、前記平面に対し15〜35°の範囲の角度でコード配列した一層のベルト層17からなる補強層9を備えている。この補強層17は、プライ3と同種のコードゴム引き層であるか、あるいはプライ3よりも高モジュラスを有するコードゴム引き層からなるのが好ましい。
【0012】
【作用】
本発明は、1枚もしくは少数枚のプライ3からなるカーカス7をビードコア4及びフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップする構造にすることにより、プライ3の折り返し端がサイド部に位置する従来タイヤに比べてサイド剛性が高く、この従来タイヤで2プライのカーカス構造にしたときとほぼ同等程度のサイド剛性が得られ、しかも、プライ3の折り返し端が、従来タイヤのようにサイド部に位置せず、サイド部に段差部分が生じないため良好なサイド部の柔軟性が得られる。この場合、従来タイヤでは十分なタイヤ剛性を得るには2プライ以上必要であったが、発明タイヤでは1プライで済み、成形作業工程も簡単である。また、補強層にクロスコードを使用した従来構造の場合は、加硫前後でタイヤの半径方向への拡張率が比較的大きくなるためプライ3のオーバーラップ部分10で互いにずれを生じてコード配列が乱され、製品化できなかったが、本発明では、オーバーラップさせたカーカス7の周りに少なくとも一層の補強層9を有し、この補強層が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなることにより、前述した拡張率をかなり小さくできるため、オーバーラップ部分10のずれを小さくできる。このオーバーラップ部分10と補強層9の間に補助層11を配設すれば、オーバーラップ部分10のずれを一層抑制できるので、オーバーラップ幅Lを小さくすることができる。さらに、従来よりも軟質なフィラーゴム5を配設すればサイド部の柔軟性を調節することができる。
【0013】
【実施例】
第一の発明にしたがう空気入りタイヤの実施例を図面を参照しながら説明する。なお、実施例は400ccのスポーツタイプの二輪車の後輪に装着して走行し、性能評価を行った。
実施例1に使用した空気入りタイヤ1は、タイヤサイズが160/60R17であり、タイヤ円周を含む平面に対し90°の範囲の角度で配列した1260d/2のナイロンコード2のゴム引き層の1プライ3をビードコア4及びフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップさせたカーカス7を有する。フィラーゴム5は、厚さを5mm、ゴム硬さを70°の従来の硬質フィラーゴムを用い、ビードコア4上から50mmの高さ位置の範囲に配置した。プライ3のオーバーラップ幅Lは130mmでありトレッド幅W160mmよりも狭く、プライ3の折り返し端はトレッド端18からそれぞれ15mmだけタイヤ幅方向内側に位置するよう配置した。プライ3のナイロンコード2は、50mm当たり60本を平行配置した。前記の構造のカーカス7の周りに、1500d/2のケブラー単線コード8を前記平面に対しほぼ0°の角度でタイヤ幅方向にスパイラル状に巻回してなる一層の補強層9とを有している。補強層9の両端は、トレッド端18からそれぞれ5mmだけタイヤ幅方向内側に位置するよう配置した。
実施例2に使用した空気入りタイヤ1は、図1に示す構造を有し、カーカス7と補強層9との間に、前記平面に対して75°の角度で傾斜配列した1260d/2のナイロンコードを有する一層の補助層11をトレッド幅Wとほぼ同幅で配置したこと以外は、実施例1に使用したタイヤとほぼ同様な構造を有する。なお、この補助層11は、50mm当たり41本のナイロンコードをを平行配置したものである。
【0014】
実施例3は、図2に示す空気入りタイヤによるものであり、この空気入りタイヤは、カーカスが2プライの折り返しによってオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライは、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端12、13相互にて、外層のプライ端12が内層のプライ端13よりも10mmだけ幅方向外側にあり段差を形成していること以外は実施例1と同様である。
実施例4は、図3aに示す空気入りタイヤによるものであり、この空気入りタイヤは、ゴム硬さが50°の軟質フィラーゴム5をビードコア4上、かつ、ビードベースラインから30mmの高さ位置に配置したこと以外は実施例1と同様である。
実施例5は、図4に示す空気入りタイヤによるものであり、この空気入りタイヤは、フィラーゴム5がその外周を実質上包み込むフリッパー14を備え、各フリッパー14の外側端位置15がビードベースラインBから40mmだけ半径方向外方に離れた位置にあること以外は実施例1と同様である。
【0015】
また、実施例6は、図5に示すような第二の発明にしたがう空気入りタイヤによるものであり、このタイヤは、タイヤ円周を含む平面に対し75°の角度で配列したナイロンコードのゴム引き層の1プライをビードコア4及びゴム硬さが70°のフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップさせたカーカス7の周りに一層の補強層9を有し、この補強層9が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなり、一方のビードコア4上から他方のビードコア4上にわたるプライ3間に前記プライ3と同質のコードゴム引き層からなるダウンプライ16を備えている。
【0016】
実施例7は、図6に示すような第三の発明にしたがう空気入りタイヤによるものであり、このタイヤは、タイヤ円周を含む平面に対し75°の角度で配列したナイロンコードのゴム引き層の1プライをビードコア4及びゴム硬さが70°のフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップさせたカーカス7の周りに、前記平面に対してそれぞれ±15°の角度で交差コード配列した二層のベルト層17からなる補強層9を有している。ベルト層17のコードには、ケブラーコードを用いた。
【0017】
実施例8は、図7に示すような第四の発明にしたがう空気入りタイヤによるものであり、このタイヤは、タイヤ円周を含む平面に対し30°の角度で配列したナイロンコードのゴム引き層の1プライをビードコア4及びゴム硬さが70°のフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6でオーバーラップさせたカーカス7の周りに、前記平面に対し20°の角度でコード配列した1枚のベルト層17からなる補強層9を有している。ベルト層17のコードには、ケブラーコードを用いた。
【0018】
従来例1は、カーカスが2枚のプライからなり、これらプライ端がサイドウォール部位置にあり、ベルトが二層である従来タイヤである。
従来例2は、カーカスが1枚のプライからなり、このプライ端がサイドウォール部位置にあり、ベルトが一層である従来タイヤである。
従来例1〜2及び実施例1及び2についてタイヤの諸性能を調べた結果を表1に示し、他の実施例3〜8については実施例2に対して相対的に評価した。
【0019】
【表1】
Figure 0003563445
【0020】
表1の結果から、実施例1及び2は、従来例1〜2に比べて総合性能で優れ、特に、サイド部の剛性と関係する旋回安定性及び剛性バランスに優れている。また、実施例3〜7については、実施例2に比較して、実施例3(図2)は、剛性が大きいので、ツアラー用(例えば1100cc)等の大型二輪車用タイヤに適している。実施例4(図3a)は、サイド部の柔軟性とサイド部のしっかりした剛性感を得たい場合に適している。なおサイド部の柔軟性と全体的にしっかりした剛性感を得たい場合には図3bに示す空気入りタイヤが適している。実施例5(図4)は、実施例2と実施例3の中間の性能を有しているため、図1と図2の中間サイズの二輪車用タイヤに好適である。実施例6(図5)は、偏平率の低い二輪車タイヤ(80,90)に好適である。実施例7(図6)は、前輪用タイヤに好適である。また実施例8(図7)は、従来のバイアスタイヤに比較し、1st成形での補強層の枚数の半減が可能で、生産性の向上が図れる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、少数プライ3からなるカーカス7をビードコア4及びフィラーゴム5の内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部6で互いにオーバーラップする構造にすることにより、プライ3の折り返し端がサイド部に位置する従来タイヤに比べてサイド剛性が高く、この従来タイヤで2プライにしたときとほぼ同等程度のサイド剛性が得られ、しかも、プライ3の折り返し端が、従来タイヤのようにサイド部に位置しないためサイド部に段差部分が生じないため良好な柔軟性が得られ、しかも、従来タイヤでは2プライを有していたものが、発明タイヤでは1プライで済むので、成形作業工程も簡単であることから、生産性についても有利である。また、オーバーラップさせたカーカス7の周りに少なくとも一層の補強層9を有し、この補強層9がスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなることにより、加硫成形前後におけるタイヤの径方向拡張率を極めて小さくできるため、オーバーラップ部分10のずれの発生を抑制できるので、従来できなかった製品化を可能にした。また、従来よりも軟質なフィラーゴム5を配設することにより、サイド部の剛性と柔軟性のバランスをよりよくすることができる。これらのことから、本発明は、操縦安定性に優れ他の性能についても良好なバランスのとれた空気入りタイヤの提供を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明にしたがう代表的な空気入りタイヤの幅方向断面図であり、特に、コード配列が分かるように外皮ゴムを剥がした状態のタイヤを斜め上方から眺めたものである。
【図2】カーカスが2プライからなる、第一の発明にしたがう他の空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【図3】aは、第一の発明にしたがう他の空気入りタイヤの幅方向断面図であり、bは、第一の発明にしたがう別の空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【図4】第一の発明にしたがう他の空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【図5】第二の発明にしたがう他の空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【図6】第三の発明にしたがう他の空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【図7】第四の発明にしたがう他の空気入りタイヤの幅方向断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 プライのコード
3 プライ
4 ビードコア
5 フィラーゴム
6 クラウン部
7 カーカス
8 補強層のコード
9 補強層
10 オーバーラップ部分
11 補助層
12 外層のプライ端
13 内層のプライ端
14 フリッパー
15 フリッパーの外側端位置
16 ダウンプライ
17 ベルト層
18 トレッド端

Claims (8)

  1. タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコア及びフィラーゴムの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部で互いにオーバーラップさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカスの周りに少なくとも一層の補強層を有し、この補強層が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコア及びフィラーゴムの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部で互いにオーバーラップさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカスの周りに少なくとも一層の補強層を有し、この補強層が前記平面に対し実質上平行配列にてスパイラル状に巻回したコードのゴム引き層からなり、一方のビードコア上から他方のビードコア上にわたるプライ間にダウンプライを備えることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. タイヤ円周を含む平面に対し60〜90°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコアの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部で互いにオーバーラップさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカスの周りに前記平面に対してそれぞれ10〜30°の範囲の角度で交差コード配列した二層のベルト層からなる補強層を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  4. タイヤ円周を含む平面に対し25〜45°の範囲の角度で配列したコードのゴム引き層の枚のプライをビードコアの内側から外側にそれぞれ折り返しクラウン部でオーバーラップさせさせてオーバーラップ部分を形成し、各折り返しプライが、同一方向に折り返した内層と外層のプライ端相互にて、それぞれ外層のプライ端が内層のプライ端に被さって段差を形成してなるカーカス周りに前記平面に対し15〜35°の範囲の角度でコード配列した少なくとも2層のベルト層からなる補強層を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  5. 前記プライのオーバーラップ幅がトレッド幅の1/2以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
  6. プライのオーバーラップ部分と補強層との間に、前記平面に対し60〜90°の範囲の角度でコード配列した少なくとも1層の補助層を備えて、前記オーバーラップ幅が20mm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に請求項1に記載した空気入りタイヤ。
  7. フィラーゴムは、厚さが4mm以上の軟質ゴムからなり、プライ間のビードコア上、かつ、サイドウォール高さよりも低い位置に高さ配置してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
  8. フィラーゴムがその外周を包み込むフリッパーを備え、各フリッパーの外側端位置がサイドウォール高さの1/2以上にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載した空気入りタイヤ。
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