JP3562998B2 - リアルタイム探査方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、媒質の表面または媒質中で送受信部を移動させながら、電磁波または音波による波動信号を媒質中へ放射し、その媒質中に存在する物体からの反射信号を受信することにより、媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なリアルタイム探査方法及び装置としては、電磁波の反射を用いて地中にある埋設物または空洞を探査するリアルタイム探査方法及び装置がある。例えば、電子情報通信学会技術研究報告Vol.95,No.191、pp9〜14「地中断面観測パターンに含まれる双曲線形状のリアルタイム認識方法」(1995年7月)に開示されている方法(以下、従来方法という。)が知られている。
この従来方法の場合、図12に示すフローチャートに基づいて、アンテナが1cm移動する毎にステップ3から8までの処理が繰り返し実行される。ステップ4では反射信号を受信し、ステップ5では反射信号の極大値と極小値を抽出し、各々を「1」と「−1」に、それ以外を「0」とする。ステップ6のセグメント化処理では、同一の値となった座標の一定範囲内の近傍(例えば、反射時間で±2ns)にある座標を同一のセグメントとして分類する。そして、ステップ7の加算処理では、ステップ6のセグメント化処理で分類された、同一のセグメントに属する座標の組に対して、反射時間の差が加算され、その加算値が所定の値を超えた時に、ステップ8でブザーを鳴動させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来方法では、ステップ6のセグメント化処理において、同一の値となった座標の一定範囲内の近傍にある座標を同一のセグメントとして分類したうえ、ステップ7の加算処理において、それらを単純に加算しているだけであり、当該セグメントの傾き(双曲線形状の傾きに相当)は全く考慮されていないため、電磁波の地中伝搬速度Vを正しく推定することができない。例えば、伝搬速度V=0.2c (比誘電率25)の地中において、地表から深さ100cmに埋設された物体からの電磁波の反射時間は33nsであるが、平均的な地中の電磁波の伝搬速度V=0.33c (比誘電率9)で深さを計算すると、深さは165cmと大きな誤差を生じてしまう。尚、c は真空中の光速である(以下、本明細書中において同じ。)。従って、埋設物の深さに相当する送受信アンテナからの正確な深さ方向の距離Yをリアルタイムで求めることができないことが分かる。
【0004】
また、かかる深さ検出ができないという問題を解決すべく、反射信号を保存する度に、前記移動方向前方への前記送受信アンテナからの距離X、前記移動方向に垂直な方向への前記送受信アンテナからの距離Y、波動信号の地中における伝搬速度V毎に加算の規則を変更しながら加算処理を行っていては、処理時間が長くなり、探査速度が遅くなってしまうという問題がある。
加えて、ブザーを鳴動させるか否かの判定を行う際に、伝搬速度が遅くなるような土壌(電磁波の減衰が大きい粘土に相当)の場合に、反射信号強度が弱くなり、埋設物を検知できないという問題が生じる。同様に、前記移動方向に垂直な方向への前記送受信アンテナからの距離Yが大きい場合も、距離が遠い分だけ反射信号強度が弱くなるため、同様の問題が発生する。
【0005】
更に、上記従来方法を、媒質中で送受信アンテナを回転させ且つその移動方向を中心軸として回転移動させながら探査する方法に適用する場合、回転に対する認識方法が配慮されていないため、埋設物が存在する方向を検出することができない。また、かかる回転する送受信アンテナを用いた探査に適応したリアルタイム探査方法はなかった。
【0006】
本発明は上述のような従来技術の有する問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、媒質中の物体の存在をリアルタイムで検出でき、同時に、物体までの深さ検出も短時間で行えるリアルタイム探査方法及び装置、更には、媒質中で送受信アンテナを回転移動させながら探査が行えるリアルタイム探査方法及び装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係るリアルタイム探査方法の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した通り、媒質の表面または媒質中で送受信部を移動させながら、前記送受信部から電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を前記送受信部が受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査方法であって、前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を予め作成する配列作成工程と、前記送受信部を移動させながら、所定の時間間隔または所定の移動距離毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存工程と、前記信号保存工程が実行される度に、前記3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存工程で保存された信号強度を単純加算または加重加算する信号加算工程と、前記信号加算工程が実行される度に、前記3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出工程とを備えてなる点にある。
【0008】
尚、本明細書中、座標(X ,Y ,V )とする3次元配列は、X ,Y ,V を夫々引数とする3次元配列と同意である。ここで、i,j,kは夫々座標値X ,Y ,V の添字で例えば自然数であり、i,j,kを夫々特定することで、座標値X ,Y ,V が夫々特定され、更には、3次元配列の一つの配列要素(ボクセルという)が特定される。また、X方向またはX軸方向という場合、添字j,kが共通するボクセル群の配列方向と同意である。+X方向とは、添字iの増加する方向で、−X方向とは、添字iの減少する方向である。Y及びVについても同様である。
【0009】
同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した通り、媒質中で送受信部をその移動方向を中心軸として回転移動させながら、前記送受信部から電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を前記送受信部が受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査方法であって、前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を前記送受信部の所定の複数の回転角に対応させて予め複数作成する配列作成工程と、前記送受信部を回転移動させながら、前記送受信部の回転角が前記所定の回転角となる毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存工程と、前記信号保存工程が実行される度に、前記複数の3次元配列の内の前記信号保存工程実行時の回転角に対応する一の3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存工程で保存された信号強度を単純加算または加重加算する信号加算工程と、前記信号加算工程が実行される度に、前記一の3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出工程とを備えてなる点にある。
【0010】
ここで、送受信部の回転角とは、送受信部の基準回転姿勢からの回転軸芯回りの回転角である。また、送受信部の所定の複数の回転角とは、例えば、基準回転姿勢の回転角0°と、その後30°刻みで30°〜330°の値をとる。尚、刻み幅(角度)は任意であり、また、必ずしも等間隔でなくてもよい。
【0011】
同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記配列作成工程において、前記信号保存工程が実行される各回転角に対応する前記複数の3次元配列以外に、これらと同じ大きさの追加の3次元配列を作成し、前記信号加算工程が実行される度に、前記複数の3次元配列の各ボクセル毎の総和を、前記追加の3次元配列において計算する配列加算工程を実行し、前記信号保存工程実行時の回転角に対応する一の3次元配列を使用する代わりに、前記配列加算工程で得られた前記追加の3次元配列を使用して前記物体検出工程を実行する点にある。
【0012】
同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載した通り、上述の第二または第三の特徴構成に加えて、前記物体検出工程において、前記所定の閾値を超えた前記3次元配列のボクセル値の座標(X ’,Y ’,V ’)に対応する前記各回転角毎の前記複数の3次元配列のボクセル値を比較し、そのボクセル値が最大となる3次元配列に対応する前記回転角を前記物体が存在する方位であると判定する方位検出工程を実行する点にある。
【0013】
同第五の特徴構成は、特許請求の欄の請求項5に記載した通り、上述の第一、第二、第三または第四の特徴構成に加えて前記座標値X ,Y ,V で決定される反射時間は、前記3次元配列と同じ大きさのルックアップテーブルに予め計算されて格納されているものを使用する点にある。
尚、前記座標値X ,Y ,V で決定される反射時間は、前記信号加算工程において使用される反射時間である。
【0014】
同第六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項6に記載した通り、上述の第一、第二、第三、第四または第五の特徴構成に加えて、前記信号加算工程において加重加算を実行する場合、加算するボクセルの座標値X ,Y ,V の内の少なくとも一つの座標値に基づいて一義的に決定される振幅補正値を係数として前記信号強度に乗じてから加算する点にある。
【0015】
同第七の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項7に記載した通り、上述の第一、第二、第三、第四または第五の特徴構成に加えて、前記信号加算工程において単純加算を実行する場合、後続の前記物体検出工程において、前記所定の閾値として、判定対象のボクセルの座標値X ,Y ,V の内の少なくとも一つの座標値に基づいて一義的に決定される閾値を用いる点にある。
【0016】
同第八の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項8に記載した通り、上述の第六または第七の特徴構成に加えて、前記座標値X ,Y ,V の内の少なくとも一つの座標値に基づいて一義的に決定される値は、前記3次元配列と同じ大きさのルックアップテーブルに予め計算されて格納されているものを使用する点にある。
【0017】
前記座標値X ,Y ,V の内の少なくとも一つの座標値に基づいて一義的に決定される値とは、上記第六の特徴構成を備える場合、即ち前記信号加算工程において加重加算を実行する場合は、前記信号加算工程において使用される前記振幅補正値のことであり、上記第七の特徴構成を備える場合、即ち前記信号加算工程において単純加算を実行する場合は、前記物体検出工程において使用される前記閾値のことである。
【0018】
この目的を達成するための本発明に係るリアルタイム探査装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項9に記載した通り、電磁波または音波による波動信号を送受信可能な送受信部を備え、媒質の表面または媒質中で前記送受信部を移動させながら、前記波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査装置であって、前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を作成する配列作成手段と、前記送受信部を移動させながら、所定の時間間隔または所定の移動距離毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存手段と、前記信号保存手段が前記保存処理を実行する度に、前記3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存手段が保存した信号強度を単純加算または加重加算する信号加算手段と、前記信号加算手段が前記加算処理を実行する度に、前記3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出手段とを備えてなる点にある。
【0019】
同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項10に記載した通り、電磁波または音波による波動信号を送受信可能な送受信部を備え、媒質中で前記送受信部をその移動方向を中心軸として回転移動させながら、前記波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査装置であって、前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を前記送受信部の所定の複数の回転角に対応させて複数作成する配列作成手段と、前記送受信部を回転移動させながら、前記送受信部の回転角が前記所定の回転角となる毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存手段と、前記信号保存手段が前記保存処理を実行する度に、前記複数の3次元配列の内のその保存処理実行時の回転角に対応する一の3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存手段が保存した信号強度を単純加算または加重加算する信号加算手段と、前記信号加算手段が前記加算処理を実行する度に、前記一の3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出手段とを備えてなる点にある。
【0020】
以下に上記特徴構成の作用及び効果を説明する。
上記リアルタイム探査方法に係る第一の特徴構成によれば、探査対象の範囲において、且つ、必要となる精度で、前記送受信部の所定個所、例えば送信アンテナと受信アンテナの中間点の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V の三つのパラメータの範囲と刻みを設定して、前記3次元配列を作成し、前記3次元配列に上記した手順で座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存手段が保存した信号強度を加算する加算処理を行うため、この加算処理により、伝搬速度V が媒質中の伝搬速度と一致する場合には、媒質中に物体が存在する場合に反射信号強度の最大値が距離Xと反射時間tを座標とする2次元平面上で形成する双曲線に沿って、当該最大値を加算する処理に相当することから、前記3次元配列のボクセル値が所定の閾値を超えた時に前記媒質中に物体が存在するものと判定することができる。逆に、媒質中に物体が存在しない場合は、反射信号強度の最大値が距離Xと反射時間tを座標とする前記2次元平面上で双曲線を形成しないため、設定範囲内の伝搬速度V では加算処理毎に増加していくボクセル値が存在しないため、前記媒質中に物体が存在するものとは判定されない。
更に、前記閾値を超えたボクセル値に対応する座標値Y ’より、埋設物の深さに相当する前記移動方向に垂直な方向への前記送受信部から物体までの距離Yをリアルタイムで求めることができる。
【0021】
同第二の特徴構成によれば、前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を前記送受信部の所定の複数の回転角に対応させて予め複数作成し、前記送受信部の回転角が前記所定の回転角となる毎に、上記第一の特徴構成と同様の信号保存工程、信号加算工程、物体検出工程を実行することから、各回転角について、上記第一の特徴構成と同様の作用効果を発揮し、回転軸芯回りのどの方向に物体が存在していても、物体の存在をリアルタイムで検出できるとともに、物体の回転軸芯からの離隔距離Y(埋設物の深さに相当)をリアルタイムで求めることができる。
【0022】
更に、同第三の特徴構成によれば、前記波動信号の放射方向の中心から逸れたところに物体が存在しても反射信号を受信することから、前記物体の存在する方位と一致する或いは近い回転角以外の回転角についての信号加算工程においても物体の存在に対応して媒質中の伝搬速度と一致する伝搬速度V のボクセルは加算処理毎にボクセル値が増加するため、配列加算工程により、全ての回転角に対応する3次元配列の処理結果を加算することで、所謂S/N比の向上が図られ、物体の存在の判定をより精度良く行うことができる。
【0023】
また、第四の特徴構成によれば、物体が存在する方位もリアルタイムで検出することができる。
【0024】
第五の特徴構成によれば、前記信号加算工程において、前記反射時間の計算を、その都度実行する必要がなくなり、各工程の処理時間の短縮化が図れるので、探査速度を速くすることができる。
ところで、物体までの距離、特に回転軸芯からの離隔距離Yが遠い場合には反射信号が減衰しているため、前方距離Xが徐々に短くなるにもかかわらず、ボクセル値の加算が十分でない場合があり得る。また、伝搬速度が遅くなるような媒質中(土壌)でも反射信号が減衰しているため、ボクセル値の加算が十分でない場合があり得る。かかる場合は、S/N比が低下することになり、物体の存在の判定精度が低下する。
【0025】
しかし、第六の特徴構成によれば、反射強度が減衰している場合でも、離隔距離Y や伝搬速度V に応じて振幅補正することで、物体までの距離が遠い場合や伝搬速度が遅くなるような媒質中でも、物体の存在の判定を精度良く行うことができる。
【0026】
また、第七の特徴構成によれば、物体までの距離が遠い場合や伝搬速度が遅くなるような媒質中でも、その状況に応じて、前記物体検出工程において使用する閾値を調整することができ、上記第六の特徴構成と同様に物体の存在の判定を精度良く行うことができる。
【0027】
第八の特徴構成によれば、前記信号加算工程において、前記振幅補正値の計算、或いは、前記物体検出工程において前記閾値の計算を、その都度実行する必要がなくなり、各工程の処理時間の短縮化が図れるので、探査速度を速くすることができる。
【0028】
上記リアルタイム探査装置に係る第一の特徴構成は、各手段が対応する上記リアルタイム探査方法に係る第一の特徴構成の各工程を実行可能であるため、上記リアルタイム探査方法に係る第一の特徴構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
また、上記リアルタイム探査装置に係る第二の特徴構成は、各手段が対応する上記リアルタイム探査方法に係る第二の特徴構成の各工程を実行可能であるため、上記リアルタイム探査方法に係る第二の特徴構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のリアルタイム探査方法及び装置実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、媒質である土壌1にガス等の流体を配送する鋼管などの物体2が埋設されており、送受信手段である送受信機10とデータ解析手段であるデータ解析装置20を備えたリアルタイム探査装置3の本体部3aに接続された送受信部16を付帯したボーリング装置の回転先端部17が地中に向かって回転移動しながら、前記物体2の埋設位置を探査する。前記送受信部16は送信アンテナ11と受信アンテナ12からなり、前記送信アンテナ11と前記受信アンテナ12は一定間隔で前記回転推進先端部17の先端部分に配置されている。前記送受信機10は例えば100MHz〜1GHzの図2(1)に例示する単発のパルス信号を送信回路13で発生し、前記送信アンテナ11より電磁波として土壌1に放射する。
【0031】
前記回転推進先端部17はその長手方向の中心軸を回転軸芯として回転しながらその軸芯方向(図1中のx方向)に向かって移動するため、前記回転推進先端部17の回転に伴って、前記送信アンテナ11から放射される電磁波の放射方向も前記回転軸芯回りに回転する。
【0032】
前記送信アンテナ11より放射された電磁波の中の物体に入射した入射波4は物体2表面で反射散乱し、その中の反射波5が前記受信アンテナ12で受信された後、前記送受信機10の受信回路14において、図2(2)に例示するような反射信号として復調増幅される。前記送信アンテナ11より放射され、受信アンテナ12で受信されるまでの時間差ΔTは前記送受信部16の前記送信アンテナ11と前記受信アンテナ12の中間点から物体2までの距離と土壌1の比誘電率εまたは電磁波の伝搬速度vより一義的に決定される。
【0033】
前記送受信機10に、前記受信回路14の増幅部の利得を前記時間差ΔTに応じて変調する信号強度変調手段15を設け、前記時間差ΔTが長くなるにつれて土壌1を伝搬する前記パルス信号の損失が大きくなり、反射信号強度が減衰するのを振幅補正し、前記時間差ΔT、つまりは反射時間tの増加に対して急激に減衰しない反射信号強度分布を得ることができ、次段以降の信号処理に必要な信号強度を確保する。具体的には、前記信号強度変調手段15は前記単発のパルス信号の送信タイミングに同期して、前記時間差ΔTの増加に伴い減衰率を所定の変化率で自動的に低下させる減衰器で構成され、前記増幅部の所定個所に挿入してある。
【0034】
データ解析装置20はマイクロコンピュータや半導体メモリ等によって構成されるデータ処理部21と外部からの操作指示を入力するキーボード等の入力部22と各処理段階での画像データや出力結果を表示する陰極線管ディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示部23と前記各処理段階での画像データや出力結果等を保管格納する磁気ディスク等の外部補助記憶部24から構成されている。受信回路14において反射信号は、前記信号強度変調手段15による振幅補正後に、波形のスムージング等の雑音除去処理やA/D変換処理等の前置処理が施され、ディジタル信号として前記データ処理部21へ出力される。
【0035】
前記データ解析装置20では前記ディジタル化された反射信号より、前記送受信部16の移動距離xと前記反射波5の前記物体2からの反射時間tを座標(x,t)とする2次元画像データが、前記送受信部16の移動に伴い逐次生成される。尚、前記送受信部16は、x方向への移動に伴い回転するので、その回転角αはα=f(x)で表される移動距離xの関数となり、移動距離xに応じて回転角αの方位に埋設された物体2からの反射波を受信することとなる。ここで、反射信号強度を−127〜128の256階調で輝度表示し、図2(2)に示すように、信号強度の正値を白(輝度大)、信号強度の負値を黒(輝度小)、信号強度0を中間階調として表示部23に表示する。
【0036】
図3に、伝搬速度V=0.45c (比誘電率5)の地中において、地表面から深さx=100cm、ボーリング位置から水平距離y=25cmに埋設された物体を、前記送受信部16の移動距離xが0.06cm刻みで地表面から150cm移動した時に探査して得られた2次元画像例を示す。但し、図3では、高輝度部分のみを黒色で表示し、低輝度及び中間階調部分は紙面地色のままである。また、本実施形態の前記回転推進先端部17は移動距離xが0.06cm進む毎に30°回転するので、0.72cm移動した時に丁度1回転する。表1に本実施形態における移動距離xと回転角αの関係の一部を示す。
ところで、図3より、前記送受信部16が前記物体の存在する方位に向いている時に専ら反射信号を受信するため、高輝度部分が断続的に破線状になっていることが分かる。
【0037】
【表1】
Figure 0003562998
【0038】
図4に示すように、前記データ処理部21は、制御部30、配列作成手段31、信号保存手段32、信号加算手段33、配列加算手段34、物体検出手段35、方位検出手段36、2次元画像データ生成手段37、出力処理手段38、内部データバス39、制御・アドレスバス40等を備えて構成されている。
【0039】
前記配列作成手段31、前記信号保存手段32、前記信号加算手段33、前記配列加算手段34、前記物体検出手段35及び前記方位検出手段36は、夫々後述する配列作成工程、信号保存工程、信号加算工程、配列加算工程、物体検出工程及び方位検出工程を個別に実行するための手段である。
前記制御部30は上記各手段及びデータの入出力を管理制御する。前記2次元画像データ生成手段37は図3に例示したような2次元画像データを生成し前記表示部23に出力する。また、前記出力処理手段38は後述する種々の探査結果を前記表示部23へ出力したり、必要に応じて音声出力等するための処理手段である。
尚、上述のように、前記データ処理部21は、マイクロコンピュータや半導体メモリ等によって具体的に構成されるが、図4に示す各機能手段はこれらマイクロコンピュータや半導体メモリ等の一部または全部を使用して、内部データバス39、制御・アドレスバス40によって有機的に結合され、所定のプログラムを実行することで実現される。
【0040】
次に、前記データ処理部21における典型的なデータ処理手順及び各部の動作を、図3に示す探査データの探査対象(媒質及び物体)を探査した実施例(以下、第1実施例という。)について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0041】
図5に示す配列作成工程において、前記配列作成手段31が前記送受信部16の前記中間点を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列D を、前記送受信部16の所定の複数の回転角α (lは自然数)に対応させて複数作成する。
本実施形態では、上述の如く前記回転推進先端部17は移動距離xが0.06cm増加する毎に30°回転するので、前記所定の複数の回転角α は、隣接する回転角の間隔を30°に設定し、0°〜330°の12通りとした。即ち、α=0°、α =30°、…………、α12=330°となる。
【0042】
また、距離X とY の範囲を、25cm≦X ≦49.48cm、0cm≦Y ≦35cmとし、距離X とY の刻みを夫々0.72cmと2.5cmとした。尚、距離X の刻みを0.72cmとしたのは、前記送受信部16の回転角αがある回転角α から同じ回転角α まで1回転するのに要する移動距離xが0.72cmとなるからである。
【0043】
また、伝搬速度V は数1で定義され、kは1〜11の自然数とした。
【0044】
【数1】
=c ×10−0.04k−0.32
【0045】
従って、3次元配列D (X ,Y ,V )の大きさは、35×15×11となり、この大きさの3次元配列D が前記回転角α (l=1〜12)に対応して12個作成される。
【0046】
更に、この配列作成工程において、後述する配列加算工程で使用する3次元配列D (l=1〜12)と同じ大きさの3次元配列D13(X ,Y ,V )を準備しておく。
【0047】
図5に示す信号保存工程において、前記信号保存手段32が、前記移動距離xが0.06cm増加し、前記送受信部16の回転角αが前記回転角α と一致する毎に逐次、図2(2)で表されるような物体からの反射信号の前記受信回路14においてディジタル化された所定の反射時間tの範囲内のものを、サンプリングして保存する。本実施形態では、前記反射信号のサンプリングは、反射時間tが0〜20nsの範囲を0.078nsの時間間隔で行われ、1回の信号保存処理で256点の信号強度が保存される。
【0048】
次に、前記信号保存工程が実行される度に、図5に示す信号加算工程において、前記信号加算手段33が、前記複数の3次元配列D の内の前記信号保存工程実行時の回転角α に対応する一の3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存工程で保存された前記信号強度を加重加算する。
【0049】
上記シフト処理と加重加算は、数2及び数3に示す要領で同時に処理される。尚、数2はi=1〜34の各ボクセルに対する処理を、数3はi=35の各ボクセルの処理を示しており、B(i,j,k)は座標(X ,Y ,V )のボクセル値を表している。ここで、数2の右辺第1項がシフト処理を、数2の右辺第2項が加重加算を夫々表しており、数3の場合は、シフト処理で0が代入されるため、右辺がシフト処理と加重加算を表している。
【0050】
【数2】
B(i,j,k)=B(i+1,j,k)+Ai,j,k ×r(ti,j,k
【数3】
B(35,j,k)=Ai,j,k ×r(t35,j,k
【0051】
数2及び数3において、r(ti,j,k )は、前記信号保存工程において保存された前記反射信号強度の反射時間tにおける信号強度である。また、反射時間ti,j,k は座標値X ,Y ,V で決定される反射時間で、数4で表される。
【0052】
【数4】
i,j,k =2(X +Y 1/2 /V
【0053】
更に、Ai,j,k は加重加算処理における係数で、加算される前記反射信号強度r(ti,j,k )の振幅補正値である。本実施形態では、Ai,j,k は数5で表され、伝搬速度が遅くなるような媒質中で反射信号強度が減衰する場合においても、加算処理が適正に実行できるように対処している。従って、当該振幅補正値Ai,j,k は伝搬速度V のみの関数として表されている。
【0054】
【数5】
i,j,k =V −1.5
【0055】
ところで、数2及び数3の演算処理において、数4及び数5の計算を逐次実行しても構わないが、各座標値X ,Y ,V は、前記配列作成工程において既に決定されているため、前記反射時間ti,j,k と前記振幅補正値Ai,j,k を予めルックアップテーブルとして計算したものを使用することで、加重加算処理の処理時間を短縮化できる。
【0056】
次に、前記信号加算工程が実行される度に、図5に示す配列加算工程において、前記配列加算手段34が、数6に示すように、前記回転角α (l=1〜12)に対応する12個の3次元配列D (X ,Y ,V )の各ボクセル値の総和を求め、前記他の一つの3次元配列D13(X ,Y ,V )に代入する。
【0057】
【数6】
13(X ,Y ,V )=Σl=1−12 (X ,Y ,V
【0058】
次に、図5に示す物体検出工程において、前記物体検出手段35が、前記配列加算工程で得られた前記3次元配列D13の全ボクセル値の最大値が所定の閾値を超えた時に、前記媒質中に物体が存在すると判定する。
【0059】
図6に、前記閾値を60000に設定した場合の前記物体の検出結果を示す。図6において、縦軸は前記物体までの推定離隔距離で距離Y に相当し、横軸は前記物体までの真の距離を示している。図中の◆印は、前記媒質中に物体が存在すると判定されたときの物体との位置関係を、前記3次元配列D13の最大ボクセル値を与える座標値Y に基づいて表している。
図6に示すように、前記送受信部16から前記物体までの真の距離が約−40cmの地点(前記物体の約40cm手前)から前記物体の検出が開始しており、3次元配列D (X ,Y ,V )の距離X の設定範囲内(25cm≦X ≦49.48cm)で正しく検出されている。また、推定された物体までの離隔距離も12.5cm〜30cmと、真の離隔距離25cmに対して妥当な値となっている。
【0060】
次に、図5に示す方位検出工程において、前記方位検出手段36が前記物体検出工程で前記所定の閾値を超えた前記3次元配列D13の最大ボクセル値の座標(X ’,Y ’,V ’)に対応する前記各回転角α 毎の前記複数の3次元配列D のボクセル値B(X ’,Y ’,V ’)を比較し、そのボクセル値が最大となる3次元配列D に対応する前記回転角α を前記物体が存在する方位であると判定する。
図3に示す探査データに適用して得られた物体の方位(回転角α に相当)毎の前記ボクセル値B(X ’,Y ’,V ’)の前記送受信部16の移動距離xに伴う変化を図7に示す。
図7に示すように、全ての移動距離xにおいて、回転角α (=180°)の時に、前記ボクセル値が最大となっている。本第1実施例では、180°の方位に前記物体が存在していることから妥当な結果となっている。
【0061】
次に、本発明に係るリアルタイム探査方法を同じ手順で他の媒質中に適用した第2実施例を示す。
【0062】
図8に、伝搬速度V=0.2c (比誘電率25)の地中(媒質中)において、地表面から深さx=100cm、ボーリング位置から水平距離y=25cmに埋設された物体を、前記送受信部16の移動距離xが0.06cm刻みで地表面から150cm移動した時に探査して得られた2次元画像例を示す。この媒質は伝搬速度が遅くなるような土壌(電磁波の減衰が大きい粘土に相当)であり、図8に示す画像より、反射信号強度が弱くなっており、50cm手前では反射信号が得られていないことが分かる。
【0063】
図9に、第2実施例における物体検出工程における、前記媒質中に埋設された物体の検出結果を示す。図9は上記第1実施例の図6に対応するもので、縦軸、横軸等の設定は同じである。
【0064】
図9に示すように、前記送受信部16から前記物体までの真の距離が約−25cmの地点(前記物体の約25cm手前)から物体の検出が開始しており、3次元配列D (X ,Y ,V )の距離X の設定範囲内(25cm≦X ≦49.48cm)で検出されている。また、推定された物体までの離隔距離も20cm〜35cmと、真の離隔距離25cmに対して略妥当な値となっている。
【0065】
このように、反射信号強度の減衰の大きな媒質中にもかかわらず、物体の検出が可能となっているのは、前記信号加算工程において、数5に示す前記振幅補正値Ai,j,k により振幅補正を行い、数2及び数3に示す加重加算処理を行った効果である。従って、かかる振幅補正を行わずに単純加算処理を行った場合は、閾値を60000に設定したのでは、検出不可能である。尚、この閾値を下げると、伝搬速度が速く減衰が小さい土壌の場合、物体までの距離がかなり遠い時にも検出されてしまい、推定される物体までの離隔距離の算出誤差が大きくなるという問題が発生する。
【0066】
更に、前記方位検出工程を実行した場合における、前記物体の方位(回転角α に相当)毎の前記ボクセル値B(X ’,Y ’,V ’)の前記送受信部16の移動距離xに伴う変化を図10に示す。
図10に示すように、全ての移動距離xにおいて、回転角α (=180°)の時に、前記ボクセル値が最大となっている。本第2実施例では、180°の方位に埋設物が存在していることから妥当な結果となっている。
【0067】
以下に他の実施形態を説明する。
〈1〉上記実施の形態において、前記配列加算工程と前記物体検出工程を実行する代わりに、前記信号加算工程が実行される度に、その加算処理が実行されたときの回転角α に対応する3次元配列D (X ,Y ,V )の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出工程を実行しても構わない。
【0068】
〈2〉前記3次元配列D (X ,Y ,V )の大きさや、距離X 、距離Y 並びに伝搬速度V の範囲及び刻み幅は、必ずしも上記実施の形態の値に限定されるものではない。また、回転角α の総数や設定値も、上記実施の形態の値に限定されるものではない。従って、前記3次元配列D の個数も上記実施の形態の値に限定されるものではない。
【0069】
〈3〉上記実施の形態の前記信号加算工程において、前記振幅補正値Ai,j,k による振幅補正を行わずに、数2及び数3における加重加算の係数Ai,j,k を1とする単純加算であっても構わない。媒質中の伝搬速度が予測可能な場合等においては、上記したような振幅補正を行う必要のない場合がある。
また、かかる振幅補正が必要な場合であっても、前記信号加算工程では単純加算を行い、前記物体検出工程における前記所定の閾値を、例えば、前記振幅補正値Ai,j,k で前記定数の閾値を除した値を使用するようにしてもよい。この場合、この閾値を予めルックアップテーブル化するようにすれば、判定時の計算時間が短縮できる。
更に、前記振幅補正値Ai,j,k は必ずしも数5に示す補正式に依らなくても構わない。例えば、距離Y 、或いは、距離Y と伝搬速度V に応じて変化するものであっても構わない。
【0070】
〈4〉上記実施の形態では、前記送受信部16はボーリング装置の回転推進先端部17に付帯し、媒質中を回転移動しながら、前記物体2の埋設位置を探査する構成のものであったが、媒質表面を回転せずに移動するものであっても構わない。
また、この場合、前記リアルタイム探査装置3の本体部3aと別体で構成されるのではなく、前記本体部と一体化していても構わない。
前記送受信部16が回転しない場合は、上記実施の形態のリアルタイム探査方法は、図11に示すように簡略化することができる。
【0071】
また、図11に示す配列作成工程では、3次元配列は前記送受信部16の回転角に対応させて複数作成する必要がないため、3次元配列を一つだけを作成する。また、3次元配列が一つだけであり、前記回転角を検出する必要がないため、図5に示す前記配列加算工程や前記方位検出工程は設ける必要がない。
【0072】
図5に示す前記信号保存工程が前記送受信部16の回転角αが前記回転角α と一致する毎に実行されるのに対して、図11に示す信号保存工程は、前記送受信部16の所定の移動時間間隔または所定の移動距離毎に実行される点で異なる以外は、基本的に同じ処理を行っている。
また、信号加算工程は、常に同じ3次元配列を使用する点で、図5に示す前記信号加算工程と異なるが、加算処理自体は全く同じ処理を実行すればよい。
更に、図11に示す物体検出工程では、図5に示す前記配列加算工程が不要であるため、当該工程で得られた前記他の一つの3次元配列D13の代わりに、図11に示す信号加算工程で処理した3次元配列を使用すればよく、その他の実質的な処理は図5に示す物体検出工程と同様に処理可能である。
【0073】
従って、前記送受信部16が回転しない場合は、上記実施の形態のリアルタイム探査装置3は、前記配列加算手段34と前記方位検出手段36を必ずしも備えている必要はない。
また、前記配列加算手段34と前記方位検出手段36を備え、前記配列作成手段31、前記信号保存手段32、前記信号加算手段33、及び、前記物体検出手段35が前記送受信部16が回転する場合と回転しない場合の両方に対応できるように構成されているのも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリアルタイム探査装置のブロック構成図
【図2】送信信号と受信信号の波形図
【図3】本発明に係るリアルタイム探査方法のデータ処理手順に使用した2次元探査画像(第1実施例の探査対象を表す)
【図4】本発明に係るリアルタイム探査装置のデータ解析装置の機能ブロック図
【図5】本発明に係るリアルタイム探査方法の一実施の形態のデータ処理手順を示すフローチャート
【図6】本発明に係るリアルタイム探査方法を図3に示す探査対象に適用した物体検出工程における探査結果を示す図
【図7】本発明に係るリアルタイム探査方法を図3に示す探査対象に適用した方位検出工程における探査結果を示す図
【図8】本発明に係るリアルタイム探査方法のデータ処理手順に使用した2次元探査画像(第2実施例の探査対象を表す)
【図9】本発明に係るリアルタイム探査方法を図8に示す探査対象に適用した物体検出工程における探査結果を示す図
【図10】本発明に係るリアルタイム探査方法を図8に示す探査対象に適用した方位検出工程における探査結果を示す図
【図11】本発明に係るリアルタイム探査方法の別実施の形態のデータ処理手順を示すフローチャート
【図12】従来技術のデータ処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
1 媒質
2 物体
3 リアルタイム探査装置
4 入射波
5 反射波
10 送受信手段
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
13 送信回路
14 受信回路
15 信号強度変調手段
16 送受信部
17 回転推進先端部
20 データ解析装置
21 データ処理部
21a メモリ
22 入力部
23 表示部
24 外部補助記憶部
30 制御部
31 配列作成手段
32 信号保存手段
33 信号加算手段
34 配列加算手段
35 物体検出手段
36 方位検出手段
37 2次元画像データ生成手段
38 出力処理手段

Claims (10)

  1. 媒質の表面または媒質中で送受信部を移動させながら、前記送受信部から電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を前記送受信部が受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査方法であって、
    前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を予め作成する配列作成工程と、
    前記送受信部を移動させながら、所定の時間間隔または所定の移動距離毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存工程と、
    前記信号保存工程が実行される度に、前記3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存工程で保存された信号強度を単純加算または加重加算する信号加算工程と、
    前記信号加算工程が実行される度に、前記3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出工程とを備えてなるリアルタイム探査方法。
  2. 媒質中で送受信部をその移動方向を中心軸として回転移動させながら、前記送受信部から電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を前記送受信部が受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査方法であって、
    前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を前記送受信部の所定の複数の回転角に対応させて予め複数作成する配列作成工程と、
    前記送受信部を回転移動させながら、前記送受信部の回転角が前記所定の回転角となる毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存工程と、
    前記信号保存工程が実行される度に、前記複数の3次元配列の内の前記信号保存工程実行時の回転角に対応する一の3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存工程で保存された信号強度を単純加算または加重加算する信号加算工程と、
    前記信号加算工程が実行される度に、前記一の3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出工程とを備えてなるリアルタイム探査方法。
  3. 前記配列作成工程において、前記信号保存工程が実行される各回転角に対応する前記複数の3次元配列以外に、これらと同じ大きさの追加の3次元配列を作成し、
    前記信号加算工程が実行される度に、前記複数の3次元配列の各ボクセル毎の総和を、前記追加の3次元配列において計算する配列加算工程を実行し、
    前記信号保存工程実行時の回転角に対応する一の3次元配列を使用する代わりに、前記配列加算工程で得られた前記追加の3次元配列を使用して前記物体検出工程を実行することを特徴とする請求項2記載のリアルタイム探査方法。
  4. 前記物体検出工程において、前記所定の閾値を超えた前記3次元配列のボクセル値の座標(X ’,Y ’,V ’)に対応する前記各回転角毎の前記複数の3次元配列のボクセル値を比較し、そのボクセル値が最大となる3次元配列に対応する前記回転角を前記物体が存在する方位であると判定する方位検出工程を実行することを特徴とする請求項2または3記載のリアルタイム探査方法。
  5. 前記座標値X ,Y ,V で決定される反射時間は、前記3次元配列と同じ大きさのルックアップテーブルに予め計算されて格納されているものを使用することを特徴とする請求項1、2、3または4記載のリアルタイム探査方法。
  6. 前記信号加算工程において加重加算を実行する場合、加算するボクセルの座標値X ,Y ,V の内の少なくとも一つの座標値に基づいて一義的に決定される振幅補正値を係数として前記信号強度に乗じてから加算することを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のリアルタイム探査方法。
  7. 前記信号加算工程において単純加算を実行する場合、後続の前記物体検出工程において、前記所定の閾値として、判定対象のボクセルの座標値X ,Y ,V の内の少なくとも一つの座標値に基づいて一義的に決定される閾値を用いることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のリアルタイム探査方法。
  8. 前記座標値X ,Y ,V の内の少なくとも一つの座標値に基づいて一義的に決定される値は、前記3次元配列と同じ大きさのルックアップテーブルに予め計算されて格納されているものを使用することを特徴とする請求項6または7記載のリアルタイム探査方法。
  9. 電磁波または音波による波動信号を送受信可能な送受信部を備え、媒質の表面または媒質中で前記送受信部を移動させながら、前記波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査装置であって、
    前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を作成する配列作成手段と、
    前記送受信部を移動させながら、所定の時間間隔または所定の移動距離毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存手段と、
    前記信号保存手段が前記保存処理を実行する度に、前記3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存手段が保存した信号強度を単純加算または加重加算する信号加算手段と、
    前記信号加算手段が前記加算処理を実行する度に、前記3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出手段とを備えてなるリアルタイム探査装置。
  10. 電磁波または音波による波動信号を送受信可能な送受信部を備え、媒質中で前記送受信部をその移動方向を中心軸として回転移動させながら、前記波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信することにより、前記媒質中に存在する物体を探査するリアルタイム探査装置であって、
    前記送受信部の所定個所の現在位置を基準とする前記送受信部の移動方向前方への距離X と前記移動方向に垂直な方向への距離Y 及び前記波動信号の前記媒質中における伝搬速度V を座標(X ,Y ,V )とする3次元配列を前記送受信部の所定の複数の回転角に対応させて複数作成する配列作成手段と、
    前記送受信部を回転移動させながら、前記送受信部の回転角が前記所定の回転角となる毎に前記反射信号の反射時間と信号強度を対応付けて保存する信号保存手段と、
    前記信号保存手段が前記保存処理を実行する度に、前記複数の3次元配列の内のその保存処理実行時の回転角に対応する一の3次元配列の各ボクセル値を−X方向へ1ボクセル分シフトするとともに、前記シフト後の各ボクセル値に対して、座標値X ,Y ,V で決定される反射時間に対応する前記信号保存手段が保存した信号強度を単純加算または加重加算する信号加算手段と、
    前記信号加算手段が前記加算処理を実行する度に、前記一の3次元配列の各(X ,Y )座標におけるV軸方向の最大ボクセル値の何れかまたはその中の最大値が所定の閾値を超えたときに、前記媒質中に物体が存在すると判定する物体検出手段とを備えてなるリアルタイム探査装置。
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