JP3773349B2 - 位置検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーダ送受信部が媒質中をその媒質中の物体に向かって移動しながら前記物体に波動信号を放射し、その放射した波動信号の前記物体からの反射信号を受信して、その受信した前記反射信号の信号強度データに基づいて前記物体の位置を検出する位置検出方法に関し、更に具体的には、所謂推進工法を用いて地中に各種管路を敷設等する際に、既存の埋設管等の地中構造物の破損を予防するために、その地中構造物の位置検出を可能とする地中推進工法等における位置検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、埋設管等の地中埋設物や地中構造物の位置検出方法としては、地表面を移動しながら地表面から地中に向かって電磁波等の波動信号を放射し、地中の物体から反射してくる反射信号を受信して、受信した前記反射信号の信号強度に対する地表面の移動距離xと前記波動信号の前記物体からの反射時間tを座標(x,t)とする2次元画像データを生成して、その2次元画像データに対して合成開口処理やマイグレーション処理等の画像処理を行い、地中での波動信号の伝搬速度を推定して当該物体の位置検出を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した地表面からの位置検出における従来の伝搬速度推定では、上述の画像処理を精度よく実行するには、本出願時点で有効且つ実用的な計算機処理性能では前記マイグレーション処理の場合で約40秒程の処理時間が必要であり、リアルタイムで前方監視する必要のある地中推進工法では当該処理時間の大幅な短縮が必要である。例えば、地中推進工法の一種であるボアモア工法の場合、推進速度が標準で約30cm/分であるため、当該処理時間として数秒程度で処理できる位置検出方法が必要となる。
【0004】
また、地表面からの位置検出では、地中の推進方向に一致して必ずしも地表面から探査可能でない場合もあり、地中を推進しながらリアルタイムで物体の位置検出が精度よくできることが望まれている。しかしながら、現状では、推進ヘッドに地中探査用レーダの送受信部を設け、単に前方障害物の有無を判断する機能を有するものが実用化されているに止まっている。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点を解消し、地中等の媒質中を推進しながら前方物体の位置検出をリアルタイムで精度よく行える位置検出方法を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る位置検出方法の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如く、レーダ送受信部が媒質中をその媒質中の物体に向かって移動しながら前記物体に波動信号を放射し、その放射した波動信号の前記物体からの反射信号を受信する送受信工程と、前記送受信工程で受信した前記反射信号の信号強度に対する前記物体に向かう移動距離xと前記波動信号の前記物体からの反射時間tを座標(x,t)とする2次元画像データを生成する2次元画像データ生成工程と、前記移動距離xと前記反射時間tで構成されるx−t平面上において、前記2次元画像データ生成工程で生成された前記2次元画像データの前記信号強度を、特定の移動距離xにおける反射時間t毎に、前記波動信号の前記媒質中における予め設定された複数の伝搬速度vi に対応する各傾きに沿って加算する信号強度加算工程と、前記信号強度加算工程で生成された前記各伝搬速度vi 毎の加算反射信号強度の収斂度から前記媒質中の伝搬速度vP を特定し、その伝搬速度vP を用いて前記物体までの距離を算出する物体距離算出工程とを、順次実行して、前記物体の位置を検出する点にある。
【0007】
同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記信号強度加算工程において加算する信号強度の加算範囲を、前記レーダ送受信部の現在位置における移動距離xP と前記現在位置から所定距離だけ後方の有効な信号強度の反射信号を受信可能な移動距離x1 の間とする点にある。
【0008】
同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した如く、上記第一または第二の特徴構成に加えて、前記信号強度加算工程において、ある反射時間tとある伝搬速度vi において加算された加算反射信号強度に対して、同じ伝搬速度vi で所定時間差分遅い一または二以上の反射時間tにおいて加算された加算反射信号強度を加算または減算して新たな加算反射信号強度とする点にある。
【0009】
以下に作用並びに効果を説明する。
本発明の第一の特徴構成によれば、前記2次元画像生成工程で、反射信号強度を例えば輝度表示して得られる2次元画像データにおける極大値、極小値等の特徴点は、前記物体が前記レーダ送受信部の進行方向前方に位置している場合は前記x−t平面上で直線上に配列し、前記物体が前記レーダ送受信部の進行方向から外れて斜め方向に位置する場合は地表面からの探査画像と同様に双曲線上に配列するので、前記反射信号強度の特徴点が直線上に配列している場合に、その配列方向の前記x−t平面上での傾き(Δx/Δt)が前記波動信号の前記媒質中の伝搬速度v、或いは、前記反射時間tが前記レーダ送受信部と前記物体との往復時間の場合は伝搬速度vの二分の一の値に相当し、前記信号強度加算工程を、所定の移動距離xの各反射時間t毎に前記配列方向に所定距離分実行することで、予め設定した伝搬速度vi の内、前記加算反射信号強度の収斂度の最も大きくなる伝搬速度をその媒質中の伝搬速度vP であるとして特定し、前記加算反射信号強度が所定の閾値を超える反射時間tを抽出し、その伝搬速度vP と反射時間tとから前記物体までの距離が算出できるのである。
【0010】
このように簡単な四則演算を繰り返すだけの計算処理で前記物体までの距離が算出できるため、上述の従来方法に比べて処理時間の大幅な短縮が図れると共に、操作者が前記物体までの距離を、前記2次元画像データ前記反射信号強度の極大値、極小値の配列画像から目測等によってマニュアルで求めるのに比べて、当該距離の算出が格段に高精度且つ高速化されるのである。
【0011】
尚、前記波動信号が電磁波の場合、媒質の比誘電率εとその媒質中の伝搬速度vとの間に、c0 を光速として、v=c0 /ε1/2 の関係が成り立つが、前記伝搬速度vi を予め設定する代わりに、媒質中の伝搬速度vと一義的に対応する媒質の比誘電率εや、これらの等価な定数を設定しても同様の作用が得られる。
ところで、例えば媒質が地中の土壌である場合、その土質によって比誘電率εが異なり、通常の川砂の比誘電率が8、粘土の比誘電率が15であるのに対して、地下水を多く含有する土壌では、比誘電率が約80と大きくなる。
従って、本特徴構成によれば、前記物体距離算出工程の前半部分で、前記媒質中の伝搬速度vP から媒質の比誘電率εが特定され、或いは、前記信号強度加算工程で前記複数の伝搬速度vi を設定する代わりに、複数の比誘電率εi を設定する場合は、比誘電率εが直接特定されるため、その比誘電率εより同時に媒質の特性を知ることができ、例えば、地下水を多く含有する土壌である等の媒質自体に不都合がある場合等を事前に検知することもできるのである。
【0012】
同第二の特徴構成によれば、前記物体から遠方になるほど受信する反射信号強度が小さくなり、更に、S/N比が悪くなる反射信号強度を、前記信号強度加算工程における加算処理から除外するため、加算結果である加算反射信号強度自体のS/N比の向上が図れ、加算反射信号強度の収斂度の判定がより明確に成るのである。また、むやみに多くのデータの加算を繰り返さないため、更に処理時間の短縮が図れるのである。
【0013】
同第三の特徴構成によれば、前記信号強度加算工程において、真の伝搬速度vが前記仮設定した伝搬速度vi からずれている場合や、前記レーダ送受信部が受信する反射信号波形が、前記波動信号の変調方法、前記物体からの多重反射、或いは、前記レーダ送受信部で重畳される雑音成分等によって、単一のパルス波形とはならずに所謂リンギング波形となる場合は、前記仮設定した伝搬速度vi に基づいて加算された反射信号強度には正負両極性の信号及び雑音成分が混ざり合うために実際の伝搬速度vに近い伝搬速度vi であっても、その前後の伝搬速度vi における加算反射信号強度に比べ収斂度に明確な差が得られず、伝搬速度vの特定に際して誤差が発生し、前記物体までの距離の算出精度が低下するのを、防止できるのである。即ち、前記反射信号波形のリンギング波形の半波長分に相当する反射時間差、つまり、前記反射信号波形の極大値から極小値までの時間差の間隔で前記加算反射信号強度を重ね合わせることで、リンギング波形の山谷が強調され、前記仮設定した伝搬速度vi に対する前記加算反射信号強度のコントラストが強まり、前記収斂度判定において、前記伝搬速度vP の特定時の誤差発生が抑制され、前記物体までの距離の算出精度の向上が図れるのである。
特に、前記加算反射信号強度を前記時間差で重ね合わせる場合に、減算と加算を交互に繰り返すことで、前記加算反射信号強度のコントラストがより強まり、算出精度の向上が図れるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る位置検出方法(以下、本発明方法という。)を、地中推進工法における地中埋設管等の障害物の位置検出に適用した実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、地中推進工法で使用する推進装置システム10は、先端に掘削用のドリルを設けた地中推進移動用の推進ヘッド11と、この推進ヘッド11の基端側に接続され地上に配置される推進駆動装置12との間を連結する連結ロッド13と、これらの制御を行う制御装置14を搭載した制御車15とから構成される。尚、この構成は、従来のフローモール工法に使用される推進装置と基本的に同構成である。
【0016】
本実施形態では、前記推進ヘッド11に、媒質中(本実施形態においては地中)を低損失で伝送可能な所定の搬送周波数(例えば100MHz〜1GHz)の電磁波を所定周期でパルス変調した波動信号を前記推進ヘッド11の先端部分から前方に向けて放射し、且つ、前記推進ヘッド11の推進方向前方に埋設された埋設管等の物体1に入射してその表面で反射散乱した反射波の一部を前記波動信号の反射信号として受信するレーダ送受信部2が設けられている。前記レーダ送受信部2は具体的には電磁波を送受信するアンテナと送受信用の電子回路を構成する電子回路部から構成されている。
更に、前記レーダ送受信部2が受信した前記反射信号を処理して本発明方法を具体的に実行する位置検出処理装置3が地上の前記制御車15内に前記制御装置14とともに設けられている。この位置検出処理装置3は、後述する本発明方法の主要な工程を、計算機処理によって実行する。また、この計算機処理は通常のストアードプログラム方式のコンピュータシステムで所定の実行プログラムを処理することで行われる。
前記位置検出処理装置3は、図2に示すように、マイクロプロセッサ、半導体メモリ、磁気記憶装置、その他周辺デバイス等からなる一般的なコンピュータシステムと同等のハードウェア構成を有する演算処理部4と、入出力装置として、前記レーダ送受信部2が受信したアナログ信号である前記反射信号を入力可能なアナログ信号入力部5と、そのアナログ信号を所定分解能でリアルタイムに量子化するA/D変換部6、後述する種々の2次元画像データや処理結果を表示するCRTディスプレーや液晶ディスプレー等の画像表示装置7と、各種命令をキー入力可能なキーボード装置8等を具備している。尚、前記位置検出処理装置3の詳細なハードウェア構成は、上記の如く、一般的なコンピュータシステムと同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0017】
図3に示すように、本発明方法の第1実施形態においては、送受信工程S1、2次元画像データ生成工程S2、信号強度加算工程S3、物体距離算出工程S4の各工程を順次実行して、前記推進ヘッド11と前記物体1との間の距離を算出して、前記物体1の位置検出を行う。
【0018】
前記送受信工程S1では、前記推進ヘッド11の推進によって前記レーダ送受信部2が前記物体1に向かって移動しながら、前記物体1に向かって、つまり推進方向前方に前記波動信号を放射し、その放射した波動信号の前記物体1からの反射信号を受信する。尚、受信した反射信号は、必要に応じて増幅処理または雑音除去処理を施して、前記位置検出処理装置3にリアルタイムで伝送する。
【0019】
前記2次元画像データ生成工程S2では、前記送受信工程S1で受信した前記反射信号を前記アナログ信号入力部5で受信した後に、前記A/D変換部6で反射信号の振幅値、つまり、反射信号強度を所定のサンプリング間隔(本実施形態では0.1406ns)で、所定のビット数のバイナリデータに量子化する。従って、ストローク計等により前記受信信号を受信する毎の前記物体1に向かう移動距離xが計算でき、この移動距離xと前記サンプリング間隔で計時される前記波動信号の前記物体1からの反射時間tを座標(x,t)とする2次元画像データを生成する。
【0020】
前記2次元画像データの一例として、図4に示すように、画像サイズが、横軸x(移動距離x)200ピクセル、縦軸y(反射時間t)256ピクセルで構成されている。前記移動距離xについては、実際の移動距離xP 、つまり前記推進ヘッド11の現在位置xP より推進方向側(+x方向)では反射信号を受信していないので反射信号強度は0として前記2次元画像データが生成されている。また、前記反射時間tは実際には前記波動信号放射時点を0nsとする前記波動信号が前記物体1を往復する伝搬時間のサンプリングタイミングを表しており、反射時間tの計測が0nsから36nsまで行われ、各移動距離x毎に256の反射時間tのサンプリング点での受信反射信号の量子化が行われている。
【0021】
また、所定のビット数で量子化された前記反射信号強度は、前記画像表示装置7においては、強度0を中間輝度で表示し、信号強度の極性が正の場合に高輝度で、負の場合に低輝度で表示している。尚、表示輝度の階調数は前記量子化ビット数で決定される。図4では、便宜上、中間輝度を紙面地色で、高輝度部分を破線、低輝度部分を実線で、模擬的に表示してある。
【0022】
図4に示す2次元画像データをより視覚的に理解するために、図5に、前記移動距離xの3点について、反射信号波形を3次元的に図示する。
【0023】
ところで、図4の2次元画像データの場合、受信反射信号の軌跡Tが直線であるため、その直線の延長線上の横軸xとの交点x0 (移動距離xの80ピクセル付近)に前記物体1が存在し、且つ、このまま直進すれば、前記物体1と衝突することが分かる。また、受信反射信号の軌跡Tが直線ではなく双曲線を描いておれば、前記物体1は前記推進ヘッド11の推進方向から斜め方向にずれていることが分かる。例えば、前記推進ヘッド11の推進方向が水平で、前記物体1が埋設管のように水平且つ前記推進方向と垂直に敷設されている場合は、その埋設深さが、前記推進ヘッド11の位置より、浅いか或いは深いことが分かるのである。
このように、前記2次元画像データの画像表示より、推進方向前方に前記物体1が存在すると判明すれば、前記物体1までの距離を正確に計算するために、次工程以降の各処理を行う。
【0024】
前記信号強度加算工程S3を実行する前に、先ず、前記波動信号の前記媒質中の伝搬速度vを複数通り仮設定しテーブル化しておく。ここで、伝搬速度vとある移動距離xでの反射時間tとの関係は、t=2(x0 −x)/vで表され、前記軌跡Tの傾きが伝搬速度vの逆数の2倍に相当する。尚、前記軌跡Tの傾きと伝搬速度vとの関係は、前記2次元画像データの座標軸の取り方や前記反射時間tを往復時間せずに片道の伝搬時間とすることによって変化する。
本実施形態では、前記複数の伝搬速度vi は次式の数1で定義される関係を満足するように予め20通りを仮設定している。iは1〜20の自然数である。
【0025】
【数1】
log10(v/c0 )=−0.4−(i−1)*0.02
【0026】
前記信号強度加算工程S3では、図3に示すように、前記仮設定された20通りの伝搬速度vi をi=1〜20の順に逐次選択する(サブステップ#1)。
尚、前記各伝搬速度vi は予め仮設定したものを選択するのではなく、数1を計算して前記各伝搬速度vi を逐次設定しても構わない。
【0027】
次に、サブステップ#1で選択或いは設定された一つの伝搬速度vi に対して、その伝搬速度vi で特定されるx−t平面上の傾きに沿って、前記2次元画像データ生成工程S2で生成された前記2次元画像データの前記信号強度を加算する加算開始点の設定を行う。具体的には、現在位置である移動距離xP における縦軸y方向の各ピクセルに対応する反射時間tj を設定する(サブステップ#2)。
【0028】
次に、前記移動距離xP とサブステップ#2で設定された前記反射時間tj からなる座標点(xP ,tj )を始点として、サブステップ#1で設定された伝搬速度vi の二分の一に対応する傾き(Δx/Δt)で前記移動距離xP から−x方向へ16ピクセル分の移動距離x1 までの反射信号強度データを加算して、その加算反射信号強度をSijとする(サブステップ#3)。ここで、前記移動距離xP から前記移動距離x1 までの長さは、推進距離にして約20cmとなる。
【0029】
そして、その加算反射信号強度Sijを、横軸を前記伝搬速度vi 、縦軸を前記反射時間tj とするv−t平面上にプロットして、伝搬速度分布画像を生成する(サブステップ#4)。
【0030】
以上の要領で、サブステップ#1〜#4をi=1〜20、j=1〜256の範囲で繰り返し前記伝搬速度分布画像を完成して前記信号強度加算工程S3を終了する。尚、i、jの繰り返しループは特に何れが先であっても構わない。
【0031】
前記伝搬速度分布画像の一例として、図6に示すように、横軸i(伝搬速度vi 、i=1〜20、横軸方向数ピクセルを1データとして表示)、縦軸y(反射時間tj )256ピクセルとして構成されている。また、前記加算反射信号強度Sijは、図4に例示した前記2次元画像データと同様に前記画像表示装置7においては、強度0を中間輝度で表示し、信号強度の極性が正の場合に高輝度で、負の場合に低輝度で表示している。更に、便宜上、中間輝度を紙面地色で、高輝度部分を破線、低輝度部分を実線で、模擬的に表示してある。
【0032】
前記物体距離算出工程S4では、前記信号強度加算工程S3で生成された前記伝搬速度分布画像の前記加算反射信号強度Sijの最大値よりその収斂度を判断し、当該最大値を与える前記媒質中の伝搬速度vP と前記移動距離xP における反射時間tP を決定し、前記物体1までの距離(x0 −xP )を次式の数2により算出する。
【0033】
【数2】
(x0 −xP )=vP *tP /2
【0034】
図6に示す伝搬速度分布画像の場合では、i=11、即ち、vP =7.536cm/ns(7.536*107 m/s)、j=93、即ち、tj =13.08ns、(x0 −xP )=49.28cmと算出される。
【0035】
更に、前記物体1までの距離算出に加えて、波動信号が電磁波であることから、前記伝搬速度vと前記媒質の比誘電率εとの関係は、c0 を光速として、v=c0 /ε1/2 で表され、前記伝搬速度vP の結果から、ε=15.8(粘土質)と判明し、地下水等を多量に含有していないと判定することができる。
【0036】
〔別実施形態〕
以下に別実施形態を説明する。
〈1〉前記信号強度加算工程S3におけるサブステップ#3の前記加算反射信号強度Sijの計算において、前記移動距離x1 は必ずしも前記移動距離xP から−x方向へ16ピクセル分の位置でなくても構わない。
例えば、前記送受信工程S1を開始したx=0の位置であっても構わないし、前記送受信工程S1において初めて有効な信号強度を受信した位置を適宜使用するようにしても構わない。
【0037】
〈2〉前記信号強度加算工程S3における前記加算反射信号強度Sijの算出方法に関し、サブステップ#3の前記加算反射信号強度Sijの計算を、次式の数3によって計算するのも好ましい。
【0038】
【数3】
Sij=|Sij|+|Sij+k|+|Sij+2k |+|Sij+3k |
【0039】
ここで、数2の右辺のSij、Sij+k、Sij+2k 、Sij+3k は夫々、図3に示す前記信号強度加算工程S3のサブステップ#3で算出される加算反射信号強度である。本別実施形態ではk=5で、縦軸y方向での反射信号強度波形の半波長になるように設定してある。このように、前記反射信号波形の極大値から極小値までの時間差の間隔で前記加算反射信号強度を重ね合わせることで、図4に示すリンギング波形の山谷が強調され、前記仮設定した伝搬速度vi に対する前記加算反射信号強度のコントラストが強まり、前記収斂度判定において、前記伝搬速度vP の特定時の誤差発生が抑制され、前記物体までの距離の算出精度の向上が図れるのである。
【0040】
更に、前記反射信号波形は図4に示すように、正負両極性に振幅しているので、その山谷をより強調するためには、数3の代わりに次式の数4を使用するのも好ましい。つまり、前記仮設定した伝搬速度vi が前記伝搬速度vP である場合は、前記反射信号波形の谷に相当する箇所を減算することで、負の反射強度信号の絶対値が全て加算される結果となり、前記加算反射信号強度のコントラストがより強まり、前記物体までの距離の算出精度の更なる向上が図れるのである。
【0041】
【数4】
Sij=|Sij−Sij+k+Sij+2k −Sij+3k |
【0042】
尚、数3または数4においては、サブステップ#3で算出される加算反射信号強度の重ね合わせの数を4、つまり、j、j+k、j+2k、j+3kについて加算または加減算しているが、その数は2、3或いは5以上であっても構わない。但し、数4においては、加減算はjの増加に伴い交互に繰り返す必要がある。
【0043】
図7(イ)、(ロ)、(ハ)の夫々に、前記伝搬速度vP (i=11)における、図3に示す前記信号強度加算工程S3のサブステップ#3で算出される加算反射信号強度Sijと、数3及び数4で計算したSijとを、比較して図示する。図7より、前記加算反射信号強度Sijの収斂度の判定は、数4によるものが他より優れていることが分かる。尚、前記反射時間tP を与えるj値は夫々、92、94、93となり、図3に示す前記信号強度加算工程S3のサブステップ#3で算出される加算反射信号強度Sijによる場合の反射時間tP は実際の値よりも0.1406ns短くなり、数3による場合の反射時間tP が実際の値より0.1406ns長くなり、その結果、前記物体1までの距離(x0 −xP )にして、1.06cmの差が生じている。
【0044】
本別実施形態では、上述の画像サイズでも、全体の計算処理時間が2秒以下と、従来の地表面からの探査レーダによるマイグレーション処理で約40秒要していたものと比較して、大幅な時間短縮が図れ、実時間処理に適した位置検出方法の提供が可能となった。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る位置検出方法を適用する推進装置システムを示す説明図
【図2】本発明に係る位置検出方法を実行する位置検出処理装置を示すブロック図
【図3】本発明に係る位置検出方法の一実施の形態を説明するフローチャート
【図4】2次元画像データ生成工程で生成される2次元画像データの一例を示す説明図
【図5】図4に示す2次元画像データの一部の反射信号波形を3次元的に図示する反射信号波形図
【図6】信号強度加算工程で生成される伝搬速度分布画像の一例を示す説明図
【図7】信号強度加算工程で算出される加算反射信号強度Sijの実施形態別の比較図
【符号の説明】
1 物体
2 レーダ送受信部
3 位置検出処理装置
4 演算処理部
5 アナログ信号入力部
6 A/D変換部
7 画像表示装置
8 キーボード装置
10 推進装置システム
11 推進ヘッド
12 推進駆動装置
13 連結ロッド
14 制御装置
15 制御車
S1 送受信工程
S2 2次元画像データ生成工程
S3 信号強度加算工程
S4 物体距離算出工程
Claims (3)
- レーダ送受信部が媒質中をその媒質中の物体に向かって移動しながら前記物体に波動信号を放射し、その放射した波動信号の前記物体からの反射信号を受信する送受信工程と、
前記送受信工程で受信した前記反射信号の信号強度に対する前記物体に向かう移動距離xと前記波動信号の前記物体からの反射時間tを座標(x,t)とする2次元画像データを生成する2次元画像データ生成工程と、
前記移動距離xと前記反射時間tで構成されるx−t平面上において、前記2次元画像データ生成工程で生成された前記2次元画像データの前記信号強度を、特定の移動距離xにおける反射時間t毎に、前記波動信号の前記媒質中における予め設定された複数の伝搬速度vi に対応する各傾きに沿って加算する信号強度加算工程と、
前記信号強度加算工程で生成された前記各伝搬速度vi 毎の加算反射信号強度の収斂度から前記媒質中の伝搬速度vP を特定し、その伝搬速度vP を用いて前記物体までの距離を算出する物体距離算出工程とを、順次実行して、前記物体の位置を検出する位置検出方法。 - 前記信号強度加算工程において加算する信号強度の加算範囲を、前記レーダ送受信部の現在位置における移動距離xP と前記現在位置から所定距離だけ後方の有効な信号強度の反射信号を受信可能な移動距離x1 の間とすることを特徴とする請求項1記載の位置検出方法。
- 前記信号強度加算工程において、ある反射時間tとある伝搬速度vi において加算された加算反射信号強度に対して、同じ伝搬速度vi で所定時間差分遅い一または二以上の反射時間tにおいて加算された加算反射信号強度を加算または減算して新たな加算反射信号強度とすることを特徴とする請求項1または2記載の位置検出方法。
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JP04197298A Expired - Lifetime JP3773349B2 (ja) | 1998-02-24 | 1998-02-24 | 位置検出方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3773349B2 (ja) |
-
1998
- 1998-02-24 JP JP04197298A patent/JP3773349B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11237482A (ja) | 1999-08-31 |
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