JP3561484B2 - 車両のリヤゲート構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のルーフの後縁にヒンジを介して開閉自在に支持されたリヤゲートが、トランクルームの後部を覆うトランクリッドと車室後部に臨むリヤガラスとを一体に備え、かつトランクルームの前部を覆うリヤシェルフを着脱自在に備えた車両のリヤゲート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のルーフの後縁にヒンジを介して開閉自在に支持されるリヤゲートにおいて、トランクリッドとリヤガラスとリヤシェルフとを一体に備えたものが、実開平2−100852号公報、実開昭62−127045号公報により公知である。上記従来のものは、トランクリッドと協働してトランクルームの開口を覆うリヤシェルフが、トランクリッドの下面に重なる位置にスライドして収納されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リヤシェルフをステーを介してリヤゲートに着脱自在に取り付け、リヤシェルフの不使用時にステーとリヤシェルフとの係合を解除してリヤシェルフをリヤゲートから取り外せるように構成した場合、リヤシェルフを取り外した後にリヤゲート側に残ったステーが邪魔になる問題がある。この場合、不要になったステーをリヤゲート側から取り外してしまうと、小さな部品であるステーを紛失する虞がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、リヤゲートにリヤシェルフを支持するステーが、リヤシェルフを取り外した後に邪魔にならないようにするとともに、そのステーの紛失を防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両のルーフの後縁にヒンジを介して開閉自在に支持したリヤゲートが、トランクルームの後部を覆うトランクリッドと車室後部に臨むリヤガラスとを一体に備え、かつトランクルームの前部を覆うリヤシェルフを着脱自在に備えた車両のリヤゲート構造であって、リヤゲートの左右の側部内面を覆うサイドガーニッシュに左右のステーの一端の支持部を枢支し、これらのステーの他端にリヤシェルフの左右の側縁に係合可能な係止部を設け、これらの係止部の係合を解除してリヤシェルフをリヤゲートから取り外したとき、左右のステーを支持部まわりに回転させてサイドガーニッシュに沿う位置に格納可能に構成したことを特徴とする車両のリヤゲート構造が提案される。
【0006】
上記構成によれば、一端の支持部をリヤゲートのサイドガーニッシュに枢支した左右のステーの他端の係止部とリヤシェルフとの係合を外し、そのリヤシェルフをリヤゲートから取り外したとき、不要になったステーを支持部まわりに回転させてサイドガーニッシュに沿う位置に格納することができるので、ステーがサイドガーニッシュから突出して邪魔になるのを防止することができ、しかもステーがサイドガーニッシュに保持されるため、その紛失が確実に防止される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、ステーがサイドガーニッシュに沿う位置に格納されたとき、ステー自体の弾発力でサイドガーニッシュとに間に摩擦力を発生させることで該ステーの移動を阻止することを特徴とする車両のリヤゲート構造が提案される。
【0008】
上記構成によれば、ステーをサイドガーニッシュに沿う位置に格納すると、ステー自体の弾発力でサイドガーニッシュとに間に摩擦力が発生するため、車両の振動等でステーが格納位置から勝手に移動するのを防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図15は本発明の一実施例を示すもので、図1はリヤゲートを開いた車両の斜視図、図2はリヤゲートの縦断面図、図3は図2の3方向矢視図、図4は図2の4−4線拡大断面図、図5は図4の5−5線断面図、図6は図4の6−6線断面図、図7はステーとガーニッシュとの取付部の斜視図、図8は図3の8−8線拡大断面図、図9はリヤシェルフの平面図、図10は図9の10方向矢視図、図11はリヤゲートのガーニッシュを車室側から見た図、図12は展開状態のステーの正面図、図13は図12の13方向矢視図、図14は図2に対応する作用説明図、図15は図14の15−15線拡大断面図である。
【0011】
図1に示すように、四輪の車両Vはルーフ11の後縁に開閉自在に支持されたリヤゲート12を備える。リヤゲート12はトランクルーム13の後部を覆うトランクリッド14と車室15の後部に臨むリヤガラス16とを一体に備えており、その下面にリヤシェルフ17が着脱自在に設けられる。リヤゲート12を閉じた状態で、リヤシェルフ17はその前縁が後部シート18の上部後縁に接してトランクルーム13の前部を閉鎖する。
【0012】
図2、図3および図11を併せて参照すると明らかなように、ルーフ11の後縁にヒンジ19を介して枢支されたリヤゲート12は、トランクリッド14の内面を覆うリヤガーニッシュ20と、このリヤガーニッシュ20に接続されてリヤガラス16の左右両側縁を覆う一対のサイドガーニッシュ21,21とを備える。リヤシェルフ17は、その後縁に突設した2本の係止ピン22,22がリヤガーニッシュ20の2個の係止孔23,23(図11参照)に係合し、かつ左右の側縁が一対のステー24,24を介してサイドガーニッシュ21,21の中間部に連結されることにより、リヤゲート12に着脱自在に支持される。
【0013】
図4、図8、図9および図10から明らかなように、リヤシェルフ17のフレーム31は何れも合成樹脂で形成されたC字状のアッパーフレーム32とロアフレーム33とから構成され、アッパーフレーム32に下向きに突設したボス32a…をロアフレーム33に上向きに突設したボス33a…の内部に嵌合させた状態で、ロアフレーム33のボス33a…側から挿入された複数本のボルト25…がアッパーフレーム32側のボス32a…に締結される。尚、アッパーフレーム32およびロアフレーム33のボス32a…,33a…は全てがボルト25…で締結されるわけではなく、嵌合による位置決めだけを行う部分もある(図8参照)。
【0014】
フレーム31の開放端の間は合成樹脂製のパイプ34で架橋され、そのパイプ34は左右各2本のボルト35…で固定される。パイプ34に巻き付けられて固定されたネット36の周縁がアッパーフレーム32およびロアフレーム33間に挟まれて固定される。具体的には、ネット36の周縁に縫製37されたホルダ38…の開口38a…が、前記アッパーフレーム32のボス32a…の外周に嵌合して固定される。これにより、フレーム31およびパイプ34により囲まれたD字状の空間にネット36が張設される。
【0015】
フレーム31の後縁に一体に突設される左右一対の係止ピン22,22は、先端が尖った膨大部を有しており、この係止ピン22,22が嵌合するリヤガーニッシュ20の係止孔23,23には、ゴム製のブッシュ39,39(図8参照)が装着される。従って、リヤシェルフ17の係止ピン22,22をブッシュ39,39を弾性変形させながら挿入することにより、係止ピン22,22が振動等で抜け落ちるのを防止することができる。
【0016】
フレーム31の左右両側部には、前記ステー24,24の下端が係合する係止孔40,40が形成される。係止孔40,40はロアフレーム33の一部に切欠33b,33b(図4参照)を設けることにより形成され、従って、この係止孔40,40は下向きに開口する。
【0017】
図12および図13に示すように、各々のステー24は、本体41と蓋42とから構成されており、蓋42はヒンジ43で本体41に枢支される。本体41は蓋42に隣接する位置にカップ状の支持部41aを備えており、その底面にはネジ孔41bが形成されるとともに、その外周面にはストッパ突起41cおよびクリック突起41dが突設される。また本体41の支持部41aから蓋42と反対側に延びる腕部41eの先端には、J字状に屈曲した係止部41fが形成されており、係止部41fの内面および外面には、それぞれ凸部41g,41hが形成される。係止部41fの内面の凸部41gは、係止部41fが係止孔40に係合したとき、係止孔40との間に適度の摩擦力を与えて係止部41fが抜け難くする。蓋42をヒンジ43回りに回転させて支持部41aの開口を塞いだとき、蓋42の突起42a,42aが支持部41aの溝41i,41iに嵌合して蓋42を固定する。
【0018】
図4および図7から明らかなように、サイドガーニッシュ21の内側面に、ステー24の支持部41aが嵌合するカップ状の支持孔21aが形成される。支持孔21aの周囲には部分円弧状に突出したリブ21bが形成されており、そのリブ21bの両端にステー24の支持部41aのストッパ突起41cに当接可能な一対のストッパ面21c,21c′が形成される。また支持孔21aの内周面にはステー24の支持部41aのクリック突起41dが嵌合可能な一対のクリック溝21d,21d′が形成され、更に支持孔21aの底面にはネジ孔21eが形成される。
【0019】
ステー24の蓋42を開いた状態で、ネジ44をステー24の支持部41aのネジ孔41bと、サイドガーニッシュ21の支持孔21aのネジ孔21eとリヤゲート12のフレーム45とを貫通させ、フレーム45の裏面に設けた合成樹脂製のナット46に螺合する。その結果、合成樹脂製のナット46がフレーム45の裏面側で膨大して抜けなくなり、ステー24の支持部41aがサイドガーニッシュ21の支持孔21aに回転自在に支持される。
【0020】
図5および図6に示すように、ステー24がリヤシェルフ17を支持しているとき、ステー24の支持部41aのストッパ突起41cがサイドガーニッシュ21の一方のストッパ面21cに当接し(図5参照)、かつテー24の支持部41aのクリック突起41dがサイドガーニッシュ21の一方のクリック溝21dに係合することにより(図6参照)、サイドガーニッシュ21に対するステー24の角度が固定される。
【0021】
リヤシェルフ17を使用しないときには、左右のステー24,24の他端の係止部41f,41fをリヤシェルフ17の係止孔40,40から外した後に、リヤシェルフ17を引いて係止ピン22,22をリヤガーニッシュ20の係止孔23,23から引き抜けば良い。このようにして取り外されたリヤシェルフ17は、図14に示すようにトランクルーム13に収納することができる。この状態で左右のステー24,24がサイドガーニッシュ21,21から下方に突出していると邪魔になるため、ステー24,24を図5および図6における矢印A方向に回転させ、図14および図15に示すように、サイドガーニッシュ21,21の内面に沿う位置に収納する。
【0022】
このとき、ステー24の支持部41aのストッパ突起41cがサイドガーニッシュ21の他方のストッパ面21c′(図7参照)に当接し、かつテー24の支持部41aのクリック突起41dがサイドガーニッシュ21の他方のクリック溝21d′に係合することにより(図15参照)、サイドガーニッシュ21に対するステー24の角度が固定される。更に、ステー24の腕部41eは弾性を有しており、図15に鎖線で示す自由状態から実線で示す格納状態に強制的に弾性変形させられることで、その凸部41hがサイドガーニッシュ21に強く押し付けられ、車両Vの振動等で勝手に移動するのが防止される。
【0023】
またリヤシェルフ17の両側縁の係止孔40,40が下向きに開口しており、この係止孔40,40に係合するステー24,24の係止部41f,41fが上向きに延びているため、リヤシェルフ17を表裏逆に装着すると係止部41f,41fが係止孔40,40に係合できなくなり、これによりリヤシェルフ17を表裏逆に装着する事態を確実に防止することができる。
【0024】
以上のように、リヤゲート12に支持されるリヤシェルフ17を、2本の係止ピン22,22と2個のステー24,24とを用いて簡単に着脱することができるので、利便性が大幅に向上する。しかもリヤシェルフ17を取り外したときに不要になったステー24,24をサイドガーニッシュ21,21に沿う位置に格納することができるので、ステー24,24が邪魔にならないだけでなく、ステー24,24の紛失を防止することができる。
【0025】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0026】
例えば、実施例ではステー24に設けたJ字状の係止部41fをリヤシェルフ17に設けた係止孔40に凹凸係合させているが、その凹凸係合部の構造は実施例のものに限定されず、着脱が容易なものであれば任意の構造を採用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、一端の支持部をリヤゲートのサイドガーニッシュに枢支した左右のステーの他端の係止部とリヤシェルフとの係合を外し、そのリヤシェルフをリヤゲートから取り外したとき、不要になったステーを支持部まわりに回転させてサイドガーニッシュに沿う位置に格納することができるので、ステーがサイドガーニッシュから突出して邪魔になるのを防止することができ、しかもステーがサイドガーニッシュに保持されるため、その紛失が確実に防止される。
【0028】
また請求項2に記載された発明によれば、ステーをサイドガーニッシュに沿う位置に格納すると、ステー自体の弾発力でサイドガーニッシュとに間に摩擦力が発生するため、車両の振動等でステーが格納位置から勝手に移動するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リヤゲートを開いた車両の斜視図
【図2】リヤゲートの縦断面図
【図3】図2の3方向矢視図
【図4】図2の4−4線拡大断面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】ステーとガーニッシュとの取付部の斜視図
【図8】図3の8−8線拡大断面図
【図9】リヤシェルフの平面図
【図10】図9の10方向矢視図
【図11】リヤゲートのガーニッシュを車室側から見た図
【図12】展開状態のステーの正面図
【図13】図12の13方向矢視図
【図14】図2に対応する作用説明図
【図15】図14の15−15線拡大断面図
【符号の説明】
V 車両
11 ルーフ
12 リヤゲート
13 トランクルーム
14 トランクリッド
15 車室
16 リヤガラス
17 リヤシェルフ
19 ヒンジ
21 サイドガーニッシュ
24 ステー
41a 支持部
41f 係止部
Claims (2)
- 車両(V)のルーフ(11)の後縁にヒンジ(19)を介して開閉自在に支持したリヤゲート(12)が、トランクルーム(13)の後部を覆うトランクリッド(14)と車室(15)後部に臨むリヤガラス(16)とを一体に備え、かつトランクルーム(13)の前部を覆うリヤシェルフ(17)を着脱自在に備えた車両のリヤゲート構造であって、
リヤゲート(12)の左右の側部内面を覆うサイドガーニッシュ(21)に左右のステー(24)の一端の支持部(41a)を枢支し、これらのステー(24)の他端にリヤシェルフ(17)の左右の側縁に係合可能な係止部(41f)を設け、これらの係止部(41f)の係合を解除してリヤシェルフ(17)をリヤゲート(12)から取り外したとき、左右のステー(24)を支持部(41a)まわりに回転させてサイドガーニッシュ(21)に沿う位置に格納可能に構成したことを特徴とする車両のリヤゲート構造。 - ステー(24)がサイドガーニッシュ(21)に沿う位置に格納されたとき、ステー(24)自体の弾発力でサイドガーニッシュ(21)とに間に摩擦力を発生させることで該ステー(24)の移動を阻止することを特徴とする、請求項1に記載の車両のリヤゲート構造。
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