JP3560797B2 - ロックアップクラッチ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの出力をトルクコンバータと分配してトランスミッションの入力軸側に伝達させるロックアップクラッチの締結容量を制御するロックアップクラッチ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの出力をトルクコンバータと分配して入力軸側に伝達させるロックアップクラッチの締結容量を制御するロックアップクラッチ制御装置として、例えば特開平7−332479号公報に開示されたものがある。この種のロックアップクラッチ制御装置の従来のものにおいては、予め車速およびアクセルペダル開度に対し設定されたマップにしたがってその制御が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のマップは、上記のように車速およびアクセルペダル開度に対し設定されているものであるため、アクセルペダルの踏込み・戻し等の動的な操作変化量すなわちドライバの加減速の意志が反映されていない。このため、ドライバが加速するべくアクセルペダルを踏み込んでいるときにマップ制御によりロックアップクラッチがタイトになってエンジン回転が下がることがあり、これにより、変速以外の回転低下による違和感をドライバに感じさせドライバビリティを低下させてしまうという問題があった。
したがって、本発明の目的は、アクセルペダルの踏込み・戻し等の動的な操作変化量すなわちドライバの加減速の意志を反映させることができ、ドライバビリティを向上させることができるロックアップクラッチ制御装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載のロックアップクラッチ制御装置は、エンジンの出力をトルクコンバータと分配してトランスミッションの入力軸側に伝達させるロックアップクラッチの締結容量を制御するロックアップクラッチ制御装置において、より低速側のシフト位置になればなる程、絶対値は大きくする傾向として、シフト位置毎に予め定められたアクセルペダルの戻し側への操作変化量の基準値を有し、現在のシフト位置に対する前記基準値とアクセルペダルの戻し側への操作変化量とを比較した結果により、前記アクセルペダルの戻し側への操作変化量が前記基準値よりも小さい場合には、前記ロックアップクラッチのタイト側への移行の許可を判定するタイト側移行許可判定を行う移行許可判定手段を具備することを特徴としている。
このように、移行許可判定手段が、現在のシフト位置に対する基準値とアクセルペダルの操作変化量とを比較した結果に応じてロックアップクラッチのタイト側への移行の許可および禁止を判定するため、アクセルペダルの操作変化量からドライバの加減速の意志を反映させることができる。
【0005】
また、本発明の請求項2記載のロックアップクラッチ制御装置は、車両の加減速状態を判定する加減速状態判定手段を有し、前記移行許可判定手段が、前記加減速状態判定手段で車両が加速状態にあると判定されたときに前記タイト側移行許可判定を行うとともに、前記加減速状態判定手段で車両が減速状態にあると判定されたときに前記タイト側移行許可判定を行わずにタイト側への移行の許可することを特徴としている。
このように、移行許可判定手段が、加減速状態判定手段で車両が減速状態にあると判定されたときに、タイト側移行許可判定を行わずにタイト側への移行を許可する。このため、車両が減速状態にあってロックアップクラッチをタイト側へ移行しても違和感がない状態にあるにも拘わらず、アクセルペダルの操作変化量の判定でタイト側への移行が禁止されてしまうことを防止でき、ロックアップクラッチが可能な限りタイト側に制御されることになって、燃費を向上させることができるとともに次にアクセルペダルを踏み込んだ場合にエンジン回転のみが吹け上がってしまうことを防止できる。
そして、本発明の請求項3記載のロックアップクラッチ制御装置は、アクセルペダル開度および車速の検出値に基づき、運転者の加速意志に基づく車両の目標駆動力を割り出す目標駆動力割り出し手段を有し、前記加減速状態判定手段は、変速し或いは車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域にはいった後、前記目標駆動力割出手段により割り出された目標駆動力が予め定められた所定値以上である場合は、車両が加速状態にあると判定する一方、前記目標駆動力が前記所定値より小さくなった後、変速せず、且つ車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域にはいらない場合、車両が減速状態にあると判定することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のロックアップクラッチ制御装置の一の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。
図1中符号11は図示せぬエンジンの出力軸であるクランクシャフトに連結されるカバー、符号12はカバー11に固定されて該カバー11と一体にエンジンの駆動力で回転させられるポンプインペラ、符号13はポンプインペラ12と対向配置されたタービンランナ、符号14はタービンランナ13に固定されたトランスミッションの入力軸、符号15はポンプインペラ12およびタービンランナ13の内側部分に配置されたステータをそれぞれ示している。なお、ポンプインペラ12、タービンランナ13およびステータ15でトルクコンバータ16が構成されている。
【0007】
そして、図1中符号18で示されるロックアップクラッチは、エンジンの出力をトルクコンバータ16と分配してトランスミッションの入力軸14側に伝達させるもので、カバー11とタービンランナ13との間に配置されるとともにトランスミッションの入力軸14に固定されており、そのカバー11側とタービンランナ13側との液圧差でカバー11に対し接触および離間する。
ここで、ロックアップクラッチ18は、カバー11に対し接触し固定状態(タイトと以下称す)となることでエンジンから入力される駆動力をトルクコンバータ16を介することなくトランスミッションの入力軸14に直接伝達させる。他方、ロックアップクラッチ18は、カバー11に対し完全に離間状態(OFFと以下称す)となることで、エンジンから入力される駆動力をすべてポンプインペラ12に伝達させ該ポンプインペラ12の回転によるフルードの移動でタービンランナ13を回転させて(すなわちトルクコンバータ16を介して)トランスミッションの入力軸14に伝達させる。
そして、ロックアップクラッチ18は、上記した液圧差が制御されカバー11に対する接触状態すなわち締結容量が制御されることで、エンジンから入力される駆動力の入力軸14への該ロックアップクラッチ18を介しての直接の伝達量とトルクコンバータ16を介しての伝達量との配分を制御する。なお、上記した液圧差は図示せぬ二つのデューティソレノイドまたはリニアソレノイド等により制御される。
【0008】
ロックアップクラッチ制御装置20は、図示せぬ二つのデューティソレノイドを制御し上記した液圧差を制御してロックアップクラッチ18のカバー11に対する締結容量を制御するものであり、図2に示すように、目標駆動力割出手段21に接続されている。
この目標駆動力割出手段21は、アクセルペダル開度APおよび車速Vの検出値に基づき、運転者の加速意志に基づく車両の目標駆動力を、例えば図3に示す特性のマップにしたがって割り出し、該目標駆動力を表す信号を出力する。ここで、図3においては、横軸が車速Vを、縦軸が目標駆動力を、各線が各アクセルペダル開度をそれぞれ示している。なお、アクセルペダル開度は右上になるほど大きくなり、目標駆動力が一番大きい最も右上側の線が、アクセルペダル開度AP=WOT(ワイドオープンスロットル。すなわち全開)の状態である。
【0009】
この目標駆動力割出手段21は、図2に示すように、目標駆動力の信号をロックアップクラッチ制御装置20とともに、目標駆動力を発生させるようにエンジン側を制御するエンジン制御装置22に対して出力する。ここで、エンジン制御装置22は、入力された上記目標駆動力に応じてスロットル(TH)を電気的に制御するとともに、目標駆動力に応じてフューエルインジェクション(FI)を電気的に制御する。
【0010】
ロックアップクラッチ制御装置20は、基本的には、図4に示すように、車速V(横軸)とアクセルペダル開度AP(縦軸の0から上)または減速時の減速度ΔV(縦軸の0から下)とに基づいてロックアップクラッチ18を制御する。なお、アクセルペダル開度に代えてスロットル開度等のエンジン負荷を用いることもできる。この図4において符号Aで示す領域では制御がOFF(締結容量=0)の状態とされ、符号Bで示す領域では、ロックアップクラッチ18に対し目標スリップ率が得られるようフィードバック制御を行い、符号Bの領域ではロックアップクラッチ18をタイト(締結容量最大)とする。さらに、図4において符号Cで示す領域で制御がOFF(締結容量=0)の状態とされ、符号Dの領域ではロックアップクラッチ18に対し目標スリップ率が得られるようフィードバック制御を行い、Dの領域ではロックアップクラッチ18をタイトとする。なお、符号Eで示す範囲は、減速度が大きい状態であり、所定の減速度を越えたとき、例えばパニックブレーキと判断できるような状態のときには制御がOFF(締結容量=0)の状態とされる。
符号Fで示す領域は、加減速の切り替えの際に生じるショックを低減するためにロックアップクラッチの締結容量を低下させる制御を行う。なお、符号Fで示す領域と符号B,Bで示す領域との境界線は、目標駆動力が0のラインである。
【0011】
また、ロックアップクラッチ制御装置20は、図5に示すフローチャートにしたがって、フラグF_ADECを設定する。
まずフラグF_ADECが1であるか否かを判定する(ステップSA1)。このステップSA1でフラグF_ADECが1でない場合すなわちF_ADEC=0の場合、目標駆動力が予め定められた所定値(例えば0)より小さいか否かを判定する(ステップSA2)。このステップSA2で目標駆動力が予め定められた所定値(例えば0)より小さい場合、フラグF_ADEC=1とする(ステップSA3)。一方、ステップSA2で目標駆動力が予め定められた所定値(例えば0)より小さくない場合、F_ADEC=0のまま終了する。
【0012】
また、ステップSA1でフラグF_ADECが1であった場合、変速しているか否かを判定する(ステップSA4)。このステップSA4で変速していると判定した場合、フラグF_ADECを0とする(ステップSA5)。一方、ステップSA4で変速していないと判定した場合、図4に示す車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域に入っているか否かを判定する(ステップSA6)。そして、ロックアップクラッチをOFFする領域に入っている場合には、ステップSA5でフラグF_ADECを0とする一方、ロックアップクラッチをOFFする領域に入っていない場合には、F_ADEC=1のまま終了する。
【0013】
さらに、ロックアップクラッチ制御装置20は、加減速状態判定手段24と移行許可判定手段25とを有している。
加減速状態判定手段24は、フラグF_ADECから車両の加減速状態を判定するもので、フラグF_ADEC=0の場合、すなわち変速し或いは車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域に入った後、目標駆動力が予め定められた所定値(例えば0)以上である場合は、車両が加速状態にあると判定する一方、フラグF_ADEC=1の場合すなわち目標駆動力が前記所定値より小さくなった後、変速せず、かつ車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域に入らない場合、車両が減速状態にあると判定する。
【0014】
移行許可判定手段25は、シフト位置毎に予め定められたアクセルペダルの単位時間当りの操作変化量(以下操作変化量と称す)の基準値DAPLCTのテーブルを図6に示すように有している。このテーブルは、4段変速のオートマチックトランスミッションに対応するもので、横軸が1速、2速、3速、4速の各シフト位置を、縦軸がアクセルペダルの操作変化量の基準値DAPLCTを示している。なお、アクセルペダルの操作変化量DAPおよび基準値DAPLCTは、+でアクセルペダルが踏込み側であることを、−でアクセルペダルが戻し側であることを表している。
【0015】
そして、この実施の形態では、シフト位置が4速の場合のアクセルペダルの操作変化量の基準値DAPLCTは0である4速用所定値、シフト位置が3速の場合のアクセルペダルの操作変化量の基準値DAPLCTは4速用所定値すなわち0より小さい3速用所定値、シフト位置が2速の場合のアクセルペダルの操作変化量の基準値DAPLCTは3速用所定値より小さい2速用所定値、シフト位置が1速の場合のアクセルペダルの操作変化量の基準値DAPLCTは2速用所定値より小さい1速用所定値とされている。ここで、4速用所定値から3速用所定値を減算した値と3速用所定値から2速用所定値を減算した値とはほぼ等しく、これらの値より、2速用所定値から1速用所定値を減算した値の方が小さく設定されている。
これは、低速側のシフト位置においても、なるべくロックアップクラッチをタイト側へ移行させて燃費の向上を図ろうとする際に、ドライバビリティを損なわないために、シフト位置に基づく走行中のアクセルペダルの操作変化量に対するエンジン回転数の変化の傾向、また、低速側のシフト位置では、一度、少し、アクセルペダルを戻した後で、再度、加速するためにアクセルペダルを踏み込む可能性が高いことから、すなわち、加減速を繰り返す頻度が高いことが想定されることから、より低速側のシフト位置になればなる程、基準値の絶対値は大きくする傾向として設定され、十分に予めテスト走行等を重ねてドライバの加減速意志を反映し、違和感を与えることの無いように設定されている。
このようにアクセルペダル操作変化量の基準値DAPLCTは、ロックアップクラッチをタイト側へ移行するときにエンジン回転数が低下する状態が、ドライバにあまり違和感を与えない状態と判断するための値としてシフト位置毎に予め設定されている。
【0016】
この移行許可判定手段25は、現在のシフト位置に対する基準値DAPLCTとアクセルペダルの操作変化量DAPとを比較した結果に応じてロックアップクラッチ18のタイト側への移行の許可および禁止を判定するタイト側移行許可判定を行う。すなわち、目標駆動力割出手段21から出力される信号に含まれるアクセルペダル開度APからアクセルペダルの操作変化量DAPを算出するとともに、該アクセルペダルの操作変化量DAPが現在のシフト位置に対する基準値DAPLCTより小さい場合に、アクセルペダルを戻していると判定してロックアップクラッチ18のタイト側への移行を許可し、それ以外の場合はロックアップクラッチ18のタイト側への移行を禁止するようにする。そして、タイト側への移行を許可すると判定した場合、タイト側移行フラグF_LCTGAPをセット(F_LCTGAP=1)し、タイト側への移行を禁止すると判定した場合、タイト側移行フラグF_LCTGAPをリセット(F_LCTGAP=0)する。
【0017】
そして、ロックアップクラッチ制御装置20は、移行許可判定手段25でフラグF_LCTGAPがセットされ、かつロックアップクラッチ18のタイト側への他の移行条件が整った場合に、ロックアップクラッチ18をタイト側すなわち締結容量最大側にするよう図示せぬ二つのデューティソレノイドを制御する一方、移行許可判定手段25でフラグF_LCTGAPがリセットされた場合には、ロックアップクラッチ18をタイト側にすることのない範囲で図示せぬ二つのデューティソレノイドを制御する。
【0018】
以上の構成のロックアップクラッチ制御装置20は、図7のフローチャートに示すように、まず、加減速状態判定手段24が、フラグF_ADEC=1であるか否かを判定する(ステップSB1)。フラグF_ADEC=1でない場合(フラグF_ADEC=0である場合)、すなわち変速し或いは車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域に入った後、目標駆動力が予め定められた所定値(例えば0)以上であって、加速状態にある場合、移行許可判定手段25が、タイト側移行許可判定を行う。すなわち、現在のシフト位置に対する基準値DAPLCTを図6に示すテーブルから検索し(ステップSB2)、アクセルペダルの操作変化量DAPが現在のシフト位置に対する基準値DAPLCTより小さいか否かを判定し(ステップSB3)、小さい場合にはアクセルペダルを戻していると判定してF_LCTGAPをセットし(ステップSB4)、ロックアップクラッチ18のタイト側への移行を許可する一方、それ以外の場合はタイト側移行フラグF_LCTGAPをリセットして(ステップSB5)、ロックアップクラッチ18のタイト側への移行を禁止する。
【0019】
また、ステップSB1で、加減速状態判定手段24が、フラグF_ADEC=1と判定した場合、すなわち目標駆動力が前記所定値より小さくなった後、変速せず、かつ車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域に入らない場合、車両が減速状態にあると判定して、移行許可判定手段25が、ステップSB2,SB3のタイト側移行許可判定を行うことなく、アクセルペダルの操作変化量とは無関係にF_LCTGAPをセットし(ステップSB4)、タイト側への移行を許可する。
【0020】
このようなロックアップクラッチ制御装置20によれば、移行許可判定手段25が、現在のシフト位置に対する基準値DAPLCTとアクセルペダルの操作変化量DAPとを比較した結果に応じてロックアップクラッチ18のタイト側への移行の許可および禁止を判定するため、アクセルペダルの操作変化量DAPからドライバの加減速の意志を反映させることができる。
すなわち、アクセルペダルの操作変化量DAPが基準値DAPLCTより小さい場合に、アクセルペダルを戻していると判定してロックアップクラッチ18のタイト側への移行を許可し、それ以外の場合はロックアップクラッチ18のタイト側への移行を禁止するようにすれば、ドライバが加速するべくアクセルペダルを踏み込んでいるときにロックアップクラッチ18がタイトになる等のドライバにとって違和感のあるロックアップクラッチ制御が行われることがなくなる。
したがって、ドライバビリティを向上させることができる。
【0021】
しかも、シフト位置毎に、ロックアップクラッチ18のタイト側への移行を許可および禁止するしきい値としての基準値DAPLCTを設定することになるため、上記のように高いギアほどタイト側へ移行しやすくなり、このようにシフト位置毎の特性に合わせて最適に判定を行うことができる。
【0022】
また、移行許可判定手段25が、加減速状態判定手段24で車両が減速状態にあると判定されたときに、アクセルペダルの操作変化量とは無関係にタイト側への移行を許可する。このため、車両が減速状態にあってロックアップクラッチ18をタイト側へ移行しても違和感がない状態にあるにも拘わらず、アクセルペダルが十分に戻されていないと判定してタイト側への移行が禁止されてしまうことを防止でき、ロックアップクラッチ18が可能な限りタイト側に制御されることになって、燃費を向上させることができるとともに次にアクセルペダルを踏み込んだ場合にエンジン回転のみが吹け上がってしまうことを防止してドライバビリティを向上させることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載のロックアップクラッチ制御装置によれば、移行許可判定手段が、現在のシフト位置に対する基準値とアクセルペダルの操作変化量とを比較した結果に応じてロックアップクラッチのタイト側への移行の許可および禁止を判定するため、アクセルペダルの操作変化量からドライバの加減速の意志を反映させることができる。したがって、ドライバビリティを向上させることができる。
すなわち、アクセルペダルの操作変化量が基準値より小さい場合に、アクセルペダルを戻していると判定してロックアップクラッチのタイト側への移行を許可し、それ以外の場合はロックアップクラッチのタイト側への移行を禁止するようにすれば、ドライバが加速するべくアクセルペダルを踏み込んでいるときにロックアップクラッチがタイトになる等のドライバにとって違和感のあるロックアップクラッチ制御が行われることがなくなり、ドライバビリティを向上させることができるのである。
しかも、シフト位置毎に、ロックアップクラッチのタイト側への移行を許可および禁止するしきい値としての基準値を設定することになるため、高いギアほどタイト側へ移行しやすくする等、シフト位置毎の特性に合わせて最適に判定を行うことができる。
【0024】
また、本発明の請求項2記載のロックアップクラッチ制御装置によれば、移行許可判定手段が、加減速状態判定手段で車両が減速状態にあると判定されたときに、タイト側移行許可判定を行わずにタイト側への移行を許可する。このため、車両が減速状態にあってロックアップクラッチをタイト側へ移行しても違和感がない状態にあるにも拘わらず、アクセルペダルの操作変化量の判定でタイト側への移行が禁止されてしまうことを防止でき、ロックアップクラッチが可能な限りタイト側に制御されることになって、燃費を向上させることができるとともに次にアクセルペダルを踏み込んだ場合にエンジン回転のみが吹け上がってしまうことを防止してドライバビリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロックアップクラッチ制御装置の一の実施の形態により制御されるロックアップクラッチおよびトルクコンバータを示す断面図である。
【図2】本発明のロックアップクラッチ制御装置の一の実施の形態等を示すブロック図である。
【図3】目標駆動力割出手段における目標駆動力を割り出すためのマップである。
【図4】本発明のロックアップクラッチ制御装置の一の実施の形態の各制御領域を示す図である。
【図5】本発明のロックアップクラッチ制御装置の一の実施の形態のフラグF_ADECの設定手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明のロックアップクラッチ制御装置の一の実施の形態のシフト位置に対するアクセルペダルの操作変化量の基準値を示すテーブルである。
【図7】本発明のロックアップクラッチ制御装置の一の実施の形態の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
14 入力軸
16 トルクコンバータ
18 ロックアップクラッチ
20 ロックアップクラッチ制御装置
24 加減速状態判定手段
25 移行許可判定手段

Claims (3)

  1. エンジンの出力をトルクコンバータと分配してトランスミッションの入力軸側に伝達させるロックアップクラッチの締結容量を制御するロックアップクラッチ制御装置において、より低速側のシフト位置になればなる程、絶対値は大きくする傾向として、シフト位置毎に予め定められたアクセルペダルの戻し側への操作変化量の基準値を有し、現在のシフト位置に対する前記基準値とアクセルペダルの戻し側への操作変化量とを比較した結果により、前記アクセルペダルの戻し側への操作変化量が前記基準値よりも小さい場合には、前記ロックアップクラッチのタイト側への移行の許可を判定するタイト側移行許可判定を行う移行許可判定手段を具備することを特徴とするロックアップクラッチ制御装置。
  2. 車両の加減速状態を判定する加減速状態判定手段を有し、
    前記移行許可判定手段は、前記加減速状態判定手段で車両が加速状態にあると判定されたときに前記タイト側移行許可判定を行うとともに、前記加減速状態判定手段で車両が減速状態にあると判定されたときに前記タイト側移行許可判定を行わずにタイト側への移行の許可することを特徴とする請求項1記載のロックアップクラッチ制御装置。
  3. アクセルペダル開度および車速の検出値に基づき、運転者の加速意志に基づく車両の目標駆動力を割り出す目標駆動力割り出し手段を有し、
    前記加減速状態判定手段は、変速し或いは車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域にはいった後、前記目標駆動力割出手段により割り出された目標駆動力が予め定められた所定値以上である場合は、車両が加速状態にあると判定する一方、前記目標駆動力が前記所定値より小さくなった後、変速せず、且つ車速とアクセルペダル開度の領域マップにおいて予め定められたロックアップクラッチをOFFする領域にはいらない場合、車両が減速状態にあると判定することを特徴とする請求項2に記載のロックアップクラッチ制御装置。
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