JP3559081B2 - ヒンジキャップ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、スプリングの作用により、蓋がワンタッチで開放されるヒンジキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、容器口部に装着されるキャップ本体に、上蓋を旋回可能に取り付けたヒンジキャップが知られている。この種のキャップにおいて、上蓋にコイルスプリングが巻かれた旋回軸を設け、この旋回軸をキャップ本体と係合させた構造のものは、ワンタッチで上蓋を開けることができ、容器内容物を取り出している際ににも上蓋の開放状態がスプリングにより保持されているため、取り出し操作が容易であり、例えば塩、胡椒等の各種調味料などが入れられた容器のキャップとして広く実用に供されている。
【0003】
このキャップにおいて、上蓋は、その周縁部から下方に延びている旋回係合部を有しており、該係合部は互いに反対方向に延びており且つ実質上同一直線上に位置している第1及び第2の一対の旋回軸を有しており、第1の旋回軸にはコイルスプリングが設けられている。またキャップ本体は、容器内容物排出用の開口を有する天井壁と、天井壁周縁から下方に垂下した筒状のスカート側壁とから構成されており、該天井壁の周縁部からスカート側壁にかけて階段状の凹部が形成されている。この凹部内に上蓋の旋回係合部が収容されるものであり、該凹部の互いに対面する両側面には、それぞれ前記旋回軸が挿入され且つ旋回可能に保持される溝が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上述した構造のヒンジキャップでは、上蓋の旋回係合部をキャップ本体の凹部に挿入して旋回軸を該凹部内の溝と係合させる作業中に、旋回軸に設けられているコイルスプリングが外れてしまったり、或いはコイルスプリングが回転してがたついてしまうため、挿入及び係合作業をスムーズに効率よく行うことが困難となっている。
また、上記溝は、旋回軸が容易に挿入されるような形状に作成されているため、上蓋をキャップ本体に取り付けた状態で旋回軸が溝内でガタツキ易く、このため上蓋がキャップ本体から容易に脱着してしまうという欠点もあった。
【0005】
従って本発明の課題は、上蓋をキャップ本体に装着する際のコイルスプリングのガタツキが防止され、装着作業をスムーズに且つ効率よく行うことができ、しかも上蓋のキャップ本体からの脱着も有効に防止されたコイルスプリング付のヒンジキャップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、容器口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に旋回可能に取り付けられた上蓋とから成り、上蓋は、その周縁部から下方に延びている旋回係合部を有しており、該係合部は互いに反対方向に延びており且つ実質上同一直線上に位置している第1及び第2の一対の旋回軸を有しており、第1の旋回軸にはコイルスプリングが設けられていると共に、キャップ本体は、容器内容物排出用の開口を有する天井壁と、天井壁周縁から下方に垂下した筒状のスカート側壁とから構成され、該天井壁の周縁部からスカート側壁にかけて階段状の凹部が形成されており、該凹部内に上蓋の旋回係合部が収容されるものであって、該凹部の互いに対面する両側面には、それぞれ前記旋回軸が挿入され且つ旋回可能に保持される溝が形成されているヒンジキャップにおいて、
前記上蓋に設けられた旋回係合部は、第1の旋回軸の起点となる壁面を備えた一面開口のボックス形状のスプリング収容室と、第2の旋回軸の起点となる壁面とを有しており、第1の旋回軸に設けられたコイルスプリングは、一部が前記スプリング収容室から飛び出て、且つその先端が第1の旋回軸から離れて延びており、スプリング収容室内のコイルスプリングの先端は、第1の旋回軸から離れて該軸の上方に延びており、前記収容室内には、第1の旋回軸の上部を覆う様な突片が設けられており、該突片により、スプリング収容室内のコイルスプリングの先端の移動が制限されていると共に、
前記キャップ本体の凹部に形成されている各溝は、前記旋回係合部を該凹部に挿入する際に、旋回軸が通過する導入部と、該導入部に連続し且つ導入された旋回軸を旋回可能に保持するための軸支持部とから成っており、
前記軸支持部と導入部との境界部は幅狭に形成されており、
前記旋回軸の先端面が対面する前記溝の底面には、導入部から軸支持部に向かって滑らかに盛り上がり且つ急激に降下している盛り上がり部が形成され、前記旋回軸は、導入部から挿入されて盛り上がり部を乗り越えて軸支持部内に保持され、
前記凹部の正面壁には、切欠き部が形成されており、前記旋回係合部を該凹部内に収容する際に、該切欠き部により、前記コイルスプリングのスプリング収容室内から飛び出している端部が保持され、これにより、前記上蓋が開放状態に賦勢されていることを特徴とするヒンジキャップが提供される。
【0007】
【作用】
本発明においては、スプリング収容室に設けられている突片によって、第1の旋回軸に設けられているコイルスプリングの一端の移動が制限されているため、上蓋をキャップ本体に取り付ける際にコイルスプリングががたついたり、第1の旋回軸から外れたり、或いはさらに正常な装着が困難となるトラブルが有効に抑制され、上蓋のキャップ本体への装着をスムーズに且つ効率よく行うことが可能となる。
【0008】
またキャップ本体に設けられている旋回軸支持用の溝には、導入部から軸支持部に向かって滑らかな面を有する盛り上がり部が形成されているため、該軸を溝内への挿入装着を至って容易に行うことができ、また該溝に係合保持された旋回軸は、盛り上がり部によって、該溝内からの離脱が有効に防止されている。従って、上蓋がキャップ本体から脱着するトラブルも有効に防止できるのである。
【0009】
【実施例】
以下、本発明を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
【0010】
本発明のヒンジキャップの分解斜視図を示す図1において、このキャップは、容器口部(図示せず)に固定されるキャップ本体1と、これに旋回可能に保持される上蓋2とから成る。
キャップ本体1は、天井壁5と、その周縁から下方に垂下したスカート側壁6とから成り、天井壁5には、容器内容物排出用の開口7が少なくとも1個形成されている(図中には3個形成されている)。
上蓋2には、その周縁部から下方に延びている旋回係合部10が形成され、この旋回係合部10には、第1の旋回軸11と第2の旋回軸12とが設けられ、第1の旋回軸11には、コイルスプリング13が挿入される。
【0011】
(キャップ本体の構造)
キャップ本体1の平面図を示す図2及び図2のキャップ本体のA−A断面を示す図3、及びキャップ本体の背面図を示す図4を図1と共に参照して、そのスカート側壁6の内面には、容器口部の外面と螺子係合するための螺子20が形成されており、これにより、キャップ本体1は、容器口部に固定される。スカート側壁6の上端部の一部分には凹み21が形成されているが、これは、上蓋2を閉じた場合、その周縁部を手で引っかけて容易に開放できるようにするために設けられているものである。容器内容物排出用の開口7の内の少なくとも1つには、容器側に向かって先細状のテーパー面が形成されているが(図3参照)、これは、上蓋2を閉じた際に、上蓋2の内面に設けられた筒状突起(後述する)がスムーズに開口部7内に入り込んできっちりと嵌め込まれるようにするためである。
【0012】
本発明においては、天井壁5の周縁部からスカート側壁6にかけて階段状の凹部22が形成されている。この凹部22内に上蓋2の旋回係合部10が収容され、上蓋2が旋回可能に保持される。
【0013】
本発明によれば、上記凹部22の両側面にはそれぞれ溝23が形成されており、この溝23によって、前述した上蓋2の旋回係合部10に設けられている第1及び第2の旋回軸11,12を旋回可能に保持する。この溝23を図5に拡大して示すが、図5(a)はその平面図であり、図5(b)は、そのB−B断面を示す。
【0014】
この図5において、溝23は、旋回軸を旋回可能に保持するための軸支持部30と、旋回軸を、この支持部30に挿入するための案内路となる旋回軸導入部31とから成っている。導入部31は、上端の幅が広く形成されており、第1及び第2の旋回軸11,12を容易に導入部31内に挿入し得るようになっている。また支持部30と導入部31との連結部分は幅狭に形成され(図5(a)参照)、且つ、該部分には、盛り上がり部32が形成されている(図5(b)参照)。この盛り上がり部32は、導入部31側から支持部30に向かってなだらかに上昇しており、支持部30近傍では急激に降下して段差33を形成している。本発明によれば、溝23がこのような形状に構成されているため、旋回軸11,12の装着を容易に行うことができ、しかも支持部30内に入り込んで保持された旋回軸11,12は容易に支持部30から外れることがなく、上蓋2の脱着を有効に防止することができるのである。
【0015】
また図4から明らかな通り、凹部22の正面には、第1の旋回軸11が装着される溝23が形成された側面近傍に、切欠き35が形成される。この切欠き35は、第1の旋回軸11に装着されているコイルスプリング13の一端を係止するためのものである。即ち、切欠き35内のコイルスプリング13の先端が入りこむことにより、その位置決めがされる。
【0016】
(上蓋の構造)
上蓋2の側面を示す図6及び上蓋の下面を示す図7において、上蓋2の内面には、前記開口7に対応して、筒状の突起40が設けられている。即ち、少なくとも1個の突起40の先端は、開口7の径よりも若干大きな外径を有しており、上蓋2を閉じた際に、該開口7と嵌合し、開口7を通って内容物が飛び出ない様にすると共に、開口7との嵌合により上蓋2を固定するものである。
【0017】
旋回係合部10は、上蓋2の外周縁から下方に延びている背面45を有しており、その一方側の側部には、一面が開口されたボックス形状のスプリング収容室46が形成され、他方側の側部には、側壁47が形成されている。スプリング収容室46からは第1の旋回軸11が延びており、また側壁47からは第2の旋回軸12が延びている。図6及び図7から明らかな通り、第1の旋回軸11と第2の旋回軸12とは互いに反対方向の外方に延びており、且つ両者は実質状同一直線上に位置している。
【0018】
旋回係合部10の側面を拡大して示す図8を参照して、第1の旋回軸11は、その先端部がスプリング収容室46から飛び出ており、前述した溝23の支持部30内に収容され、旋回可能に保持される。この旋回軸11には、コイルスプリング13が装着されており、その一方側の先端13aは、スプリング収容室46から飛び出ており、前述した凹部22の正面に設けられている切欠き35内に挿入されて位置決めされる。
また他方側の先端13bは、第1の旋回軸11の根本部分、即ちスプリング収容室46内に位置している。
【0019】
図8において、本発明においては、スプリング収容室46内の旋回軸11の上側に突片48が設けられている。即ち、このような突片48を設けることにより、コイルスプリング13の先端13bは、突片48と背面45との間に位置し、コイルスプリング13の回転が制限される。例えば、このような突片48が設けられていない場合には、コイルスプリング13の回転の幅が大きく、これを旋回軸11に装着して上蓋2をキャップ本体に取り付ける際に、コイルスプリング13が大きく回転し得るため、取り付け作業中にコイルスプリング13が旋回軸11から外れるというトラブルを生じ易いのである。しかるに本発明によれば、上記の突片48により、コイルスプリング13の回転が制限されているため、上蓋2のキャップ本体1への取り付け作業に際してコイルスプリング13が旋回軸11から外れるというトラブルが有効に防止され、その取り付け作業を効率よくスムーズに行うことが可能となる。
【0020】
(ヒンジキャップの組み立て)
本発明のヒンジキャップは、上蓋2の旋回軸11にコイルスプリング13を取り付けた後、該スプリング13の先端13aをキャップ本体1の凹部22に設けられている切欠き35内に通しながら、旋回軸11及び12を溝13内に挿入し、その溝23内の支持部30に係合保持させることにより組み立てられる。
この上蓋2を閉じると、図9に示す様に、コイルスプリング13の先端13aがキャップ本体1の切欠き35で位置決めされているので、上蓋2にはコイルスプリング13により開放方向へのバネ賦勢力が常時作用している。上蓋2が閉じているこの状態は、前述した筒状突起40と開口7との嵌合により保持されているが、上蓋2の先端を持ち上げ、その嵌合を解除すると、コイルスプリング13のバネ賦勢力によって自動的に旋回し、開放状態に保たれる。従って、本発明のヒンジキャップはワンタッチで開放することができ、しかも容器内容物を排出する際に上蓋2が閉じてしまうこともない。
【0021】
(他の態様)
本発明のヒンジキャップは、上述した図面に示す態様に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、上蓋2が閉じた状態を保持するために、筒状突起40と開口7との嵌合を利用する必要はなく、上蓋2とキャップ本体1の天井壁5とに適当な係合突起を設けてもよい。また筒状突起40内に、小径の筒状突起等を設けておけば、開口7の目詰まりを防止することもできる。
更に本発明では、図10に示す様に、コイルスプリング13の先端13aにカール部を形成しておくこともできる。該先端13aをカールしておけば、上蓋2をキャップ本体2に装着する際に、コイルスプリング13の先端13aを切欠き35内にスムーズに挿入することができるので、上蓋2の装着作業性がさらに向上する点で有利となる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、上蓋をキャップ本体に取り付ける際にコイルスプリングががたついたり、第1の旋回軸から外れたりするトラブルが有効に抑制されるため、上蓋の装着作業をスムーズに且つ効率よく行うことができ、しかも、キャップ本体に装着された上蓋がキャップ本体から外れてしまうというトラブルも有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒンジキャップの分解斜視図を示す図。
【図2】図1のヒンジキャップのキャップ本体の平面図。
【図3】図2のA−A断面を示す図。
【図4】キャップ本体の背面図。
【図5】キャップ本体に設けられている溝を拡大して示す図であり、(a)は該溝の平面図、(b)はそのB−B断面を示す図。
【図6】上蓋の側面図。
【図7】上蓋の下面図。
【図8】旋回係合部の側面を拡大して示す図。
【図9】上蓋がキャップ本体に装着された状態の要部を簡略して示す図。
【図10】コイルスプリングの好適例を示す図。
【符号の説明】
1:キャップ本体 2:上蓋 5:天井壁
6:スカート側壁 7:開口 10:旋回係合部
11:第1の旋回軸 12:第2の旋回軸 13:コイルスプリング
20:螺子 21:凹み 22:凹部
23:溝 30:軸支持部 31:旋回軸導入部
32:盛り上がり部 33:段差 35:切欠き
40:筒状突起 45:背面 46:スプリング収容室
47:側壁 48:突片
Claims (4)
- 容器口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に旋回可能に取り付けられた上蓋とから成り、上蓋は、その周縁部から下方に延びている旋回係合部を有しており、該係合部は互いに反対方向に延びており且つ実質上同一直線上に位置している第1及び第2の一対の旋回軸を有しており、第1の旋回軸にはコイルスプリングが設けられていると共に、キャップ本体は、容器内容物排出用の開口を有する天井壁と、天井壁周縁から下方に垂下した筒状のスカート側壁とから構成され、該天井壁の周縁部からスカート側壁にかけて階段状の凹部が形成されており、該凹部内に上蓋の旋回係合部が収容されるものであって、該凹部の互いに対面する両側面には、それぞれ前記旋回軸が挿入され且つ旋回可能に保持される溝が形成されているヒンジキャップにおいて、
前記上蓋に設けられた旋回係合部は、第1の旋回軸の起点となる壁面を備えた一面開口のボックス形状のスプリング収容室と、第2の旋回軸の起点となる壁面とを有しており、第1の旋回軸に設けられたコイルスプリングは、一部が前記スプリング収容室から飛び出て、且つその先端が第1の旋回軸から離れて延びており、スプリング収容室内のコイルスプリングの先端は、第1の旋回軸から離れて該軸の上方に延びており、前記収容室内には、第1の旋回軸の上部を覆う様な突片が設けられており、該突片により、スプリング収容室内のコイルスプリングの先端の移動が制限されていると共に、
前記キャップ本体の凹部に形成されている各溝は、前記旋回係合部を該凹部に挿入する際に、旋回軸が通過する導入部と、該導入部に連続し且つ導入された旋回軸を旋回可能に保持するための軸支持部とから成っており、
前記軸支持部と導入部との境界部は幅狭に形成されており、
前記旋回軸の先端面が対面する前記溝の底面には、導入部から軸支持部に向かって滑らかに盛り上がり且つ急激に降下している盛り上がり部が形成され、前記旋回軸は、導入部から挿入されて盛り上がり部を乗り越えて軸支持部内に保持され、
前記凹部の正面壁には、切欠き部が形成されており、前記旋回係合部を該凹部内に収容する際に、該切欠き部により、前記コイルスプリングのスプリング収容室内から飛び出している端部が保持され、これにより、前記上蓋が開放状態に賦勢されていることを特徴とするヒンジキャップ。 - 前記溝は、導入部の上端が幅広に形成され、導入部から軸支持部にかかる部分において幅狭となっている請求項1に記載のヒンジキャップ。
- 前記コイルスプリングのスプリング収容室内から飛び出している端部は、カールされている請求項1に記載のヒンジキャップ。
- 前記上蓋の内面には、キャップ本体の天井壁に形成されている容器内容物排出用の開口と嵌合する筒状突起が形成されており、この嵌合により、上蓋の閉塞状態が保持される請求項1に記載のヒンジキャップ。
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