JP3568689B2 - ディスクカートリッジ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等の記録媒体であるディスクがハードケースに出し入れ可能に収容されているディスクカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のディスクカートリッジに、特開平5−242626号公報がある。そこでは、本体ケースの後側端部にディスクを交換の為に出し入れ可能にするための開口部を設け、この開口部を蓋で塞いでいる。蓋は本体ケースの平面と平行な面上で枢軸まわりに水平回動自在に装着されている。蓋の回動先端部には弾性アームを設け、この弾性アーム先端の係止爪を本体ケース側の係止孔に係合させることで開口部の閉じ状態を保持し、ピン等の押圧具を前記係止孔に差し込んで前記係止爪の係合状態を解除することにより、蓋を開き操作することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記蓋を持つディスクカートリッジでは、蓋を一度開閉したか否かを検知する手段(以下、本明細書において蓋開閉検知手段という。)を備えていないため、ディスクドライブ側に装填したとき、本体ケース内のディスクが他のディスクと交換されているか否かを判別することができなかった。
【0004】
そこで本発明の目的は、本体ケース内のディスクが交換されているか否かをハード側で検知できる蓋開閉検知手段を備えたディスクカートリッジを提供するにある。本発明の目的は、蓋開閉検知手段の検知孔の開閉の簡易化を図れるディスクカートリッジを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のディスクカートリッジは、記録媒体のディスク2が回転自在に収容される本体ケース1にディスク出し入れ用の開口部5を設ける。この開口部5は、本体ケース1の一側面8の全長にわたって開口された主面開口5aと、該一側面8の両端に隣接する本体ケース1の他側壁6・6の該一側面8寄り端部に開口された側面開口5b・5bとからなる。本体ケース1に、開口部5を開閉する蓋7が本体ケース1の平面と平行な面上で枢軸20まわりに水平回動自在に装着されている。
【0006】
かかるディスクカートリッジにおいて、本発明は、蓋7が閉じ状態で該蓋7の上下面と対向する本体ケース1の上壁22または下壁28に、蓋開閉検知孔27を開口する。蓋7は、主面開口5aをこれの内部に入り込んで塞ぐ主面壁9と、この主面壁9の一端部から略直角に延出形成されて側面開口5bをこれの内部に入り込んで塞ぐ側面壁10と、主面壁9の内面側にディスク2の円周に沿うよう円弧状に形成された内周壁11とを有し、前記側面壁10の延出側端部と内周壁11の一端部とは一体につなぐ。前記主面壁9と内周壁11との間に肉抜き空間部17を設ける。蓋7の肉抜き空間部17内に、閉蓋状態で蓋開閉検知孔27と連通する中空部31を有する縦筒部30を設け、その中空部31内に蓋開閉検知孔27を開閉する弁体29を組み込む。弁体29は、蓋開閉検知孔27に突入して該蓋開閉検知孔27を閉じる位置と、中空部31の内奥へ押し込まれて蓋開閉検知孔27を開ける位置とにわたって中空部31内に上下移動可能に組み込まれ、蓋開閉検知孔27の開位置では弁体29の位置決め固定手段を設けてある。前記位置決め固定手段は、弁体29の外周に縦筒部30の中空部31の内周面に対し摺接自在な弾性逆止爪37を設け、縦筒部30の中空部31の内奥に前記弾性逆止爪37が係合する係合溝34を設けている。
【0007】
【作用】
本体ケース1内のディスク2を交換するときは、蓋開閉検知孔27内に突入している弁体29を縦筒部30の中空部31内に押し込んで位置決め固定手段で開位置に停止保持することで蓋開閉検知孔27を開けることができるとともに、蓋7の開き操作を可能にする。従って、蓋7を開いてディスク2を開口部5から取り出し、他の単体ディスクと入れ替えることができる。このように一旦ディスク2が入れ替えられたディスクカートリッジは蓋開閉検知孔27が開き状態にあるので、ディスクドライブに装填したとき該ドライブ側の検出部材を蓋開閉検知孔27に挿入することで、蓋7が一度開閉されてディスク2の入れ替えが行われていることを自動的に判別できる。
【0008】
蓋開閉検知手段としては、蓋7および本体ケース1とは別体の弁体29を採用するに代えて、その他に、例えば、弁体を本体ケース1または蓋7に薄肉ヒンジを介して折り取り可能に一体に連設しておいて、本体ケース1内のディスク2を交換するときその弁体の薄肉ヒンジ部を折り取るようにすることも考えられるが、これでは弁体の折り取りに手間がかかるばかりか、折り取った弁体を本体ケース1から外部へ排出させる必要があり、この排出にも手間がかかり、本体ケース1内に残したままにしておくと、蓋7の開閉回動時にかみ込むなどの不具合が生じる。これに対し、上記構成のように弁体29を中空部31の内奥へ押し込んで停止保持させておくと、折り取り方式のごとき折り取りや排出の手間を省くことができ、また蓋7の開閉回動時にかみ込むなどの不具合が無くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は本発明に係るディスクカートリッジの一実施例を示す。図2においてディスクカートリッジは、薄型四角形状の本体ケース1の内部に、上下両面に映像・音声・情報等の信号が記録される光ディスク等のディスク2を回転自在に収容する。本体ケース1はプラスチック製の上ケース1aと下ケース1bとを突き合わせて一体的に結合してなり、上ケース1aおよび下ケース1bの前側部の左右方向中央部から後方に向けて信号読み書き用の窓3を開口し、この窓3を左右にスライド開閉するシャッター4で塞いでいる。
【0010】
図2および図3において、本体ケース1の後端部にはディスク2を出し入れするための開口部5を設けてある。ディスクカートリッジはこれ全体のコンパクト化を図るために、本体ケース1の左右幅寸法とディスク2の直径寸法とを可及的に接近して設定する。このため、開口部5は、本体ケース1の後側面8の左右全長にわたって形成される主面開口5aと、本体ケース1の左右側壁6・6の後端側のみに開口した側面開口5b・5bとで、平面視においてコ字状に開口する。この開口部5はプラスチック製の蓋7で開閉できる。
【0011】
図3において、蓋7は主面開口5aの内部に入り込んでこれを塞ぐ形に形成された主面壁9を有し、更に主面壁9の左右方向の両端部から前方へ略直角に延出形成されて、左右の側面開口5b・5bの内部に入り込んでこれを塞ぐ側面壁10・10を有する。側面壁10の外側面には、本体ケース1の後端寄りに設けた位置決め用の凹部15に対応するコ字状の切欠部16を設ける。主面壁9には開蓋時に指先を掛けることのできる指掛け用の凹部14を設ける。主面壁9の内面側には、ディスク2の円周に沿うよう円弧状に形成されて該ディスク2の開口部5方向への移動を規制するための内周壁11が一体に形成される。この内周壁11の左右の前端部と左右の側面壁10・10の各前端部とは、前記主面壁9と略平行な回動基端壁12および回動先端壁13でそれぞれ一体につながれる。この蓋7は、重量軽減および材料節減のために主面壁9、内周壁11および側面壁10で囲まれる部分に肉抜き空間部17が形成され、この肉抜き空間部17の内部は補強リブ19で縦横に仕切られる。
【0012】
蓋7は片方の側面壁10と回動基端壁12の交わるコーナ部またはこの近傍位置から上下方向へ一体に突出成形した枢軸20を有し、この枢軸20の上下端を上下ケース1a・1bの左右側壁6の後端の近傍位置に凹設した軸孔(図示省略)に可回動に係合することにより、本体ケース1に組み込まれる。かくして蓋7は、開口部5の主面開口5aおよび側面開口5bを塞ぐ閉じ姿勢と、枢軸20を中心にして本体ケース1の平面と平行な面上で90度以上、水平回動して主面開口5aを開放する全開姿勢とにわたって切り換え自在である。
【0013】
蓋7と本体ケース1間には、蓋7が不用意に開かないように閉じ姿勢に保持する蓋ロック手段と、ディスクドライブ側の検出部材で蓋7が一度開閉されたか否かを検知する蓋開閉検知手段とが備えられる。図3および図4に示すように、蓋ロック手段は回動先端壁13の上端から弾性変形自在なロック片21を前方へ一体に延出し、このロック片21の先端に係止爪21aを上向きに設ける。一方、上ケース1aの上壁22の内面には、蓋7が閉じたとき前記係止爪21aが係合する係合凹部23を設ける。上壁22の前記係合凹部23の後方部位には、スリット24をコの字形状に入れて押圧壁片25を本体ケース1の内外方向に弾性変形自在に上壁22につなぎ部26を介して一体形成する。
【0014】
蓋7の開閉判別手段は、図1および図2に示すように、本体ケース1の開口部5の下壁28に蓋開閉検知孔27を開口する一方、蓋7側に蓋開閉検知孔27を開閉する弁体29を組み込む。蓋7側に弁体29を組み込むに際しては、蓋7の肉抜き空間部17内の補強リブ19、内周壁11あるいは主面壁9に縦筒部30を一体に形成し、この縦筒部30の内部の中空部31に弁体29を組み込む。縦筒部30の中空部31はこれの上端を上壁32で塞ぎ、下方は開放する有底筒形状に形成し、閉蓋状態でその中空部31が前記蓋開閉検知孔27の上方に連通状態に位置するように設けてある。この中空部31の下端寄り部位および上端寄り部位にはそれぞれ係合溝33・34を互いに平行に設けてある。一方、弁体29は蓋開閉検知孔27の内径よりも大きい頭部35を有し、この頭部35の外周に上方狭まり状のテーパ36を外周に持つ弾性逆止爪37を形成し、頭部35の下方に蓋開閉検知孔27の内径よりも少し小さい凸部39を一体形成してなる。この弁体29は、縦筒部30の中空部31内において弾性逆止爪37が下端側の係合溝33に係合し、凸部39を蓋開閉検知孔27内に突入して該検知孔27を閉じる閉位置(図1の実線状態)と、この閉位置から押し込まれることで弾性逆止爪37が上端側の係合溝34に係合して蓋開閉検知孔27を開ける位置(図1の二点鎖線状態)とにわたって上下移動可能に組み込まれる。
【0015】
しかるときは、常態時、図2および図4に示すごとく弁体29は縦筒部30の中空部31内の閉位置に弾性逆止爪37と係合溝33との係合で以て停止保持されていて凸部39で蓋開閉検知孔27を閉じており、蓋7はロック片21の係止爪21aが係合凹部23に係合することで閉じ状態に保持され、不用意に開くことがない。ディスク2を交換等のために出し入れするときは、図1に示すごとく蓋開閉検知孔27の下方から指先、あるいはピンや鉛筆などで弁体29を上方へ押し込む。すると、弁体29は弾性逆止爪37を下端側の係合溝33との係合を解除したのち中空部31の内面を摺接しながら上昇して上端側の係合溝34に係合し、この係合により位置決め固定される。当該位置では凸部39が蓋開閉検知孔27から完全に抜け出て該検知孔27が開かれる。次いで、蓋ロック手段の押圧壁片25を本体ケース1の内方へ押圧することで係止爪21aが係合凹部23から外れ、蓋7を回動先端側の指掛け用凹部14に指先を掛けて枢軸20まわりに90度以上水平回動させることで主面開口5aが全開し、ディスク2の出し入れを可能にする。ディスク2の交換後、蓋7は前記と反対向きに水平回動させることにより、ロック片21の弾性変形を介して係止爪21aが係合凹部23に係合する閉じロック状態を得る。
【0016】
上記のようにディスク2が交換されたディスクカートリッジはディスクドライブに装填されると、ディスクドライブ側の検出部材が蓋開閉検知孔27に挿入することで蓋開閉検知孔27が開き状態であることを検知し、ディスク2が既に交換された後のディスクカートリッジであることを判別できる。弁体29は押し込むだけで足りるため、折り取り式の弁体などに比べて簡単に蓋開閉検知孔27を開けることができる。押し込まれた弁体29は弾性逆止爪37を係合溝34に係合させることで閉位置に戻るようなことはなくて蓋開閉検知孔27の開状態を維持できる。
【0017】
蓋開閉検知孔27は本体ケース1の上壁22に設け、これに対応して弁体29を蓋7側に組み込むこともできる。縦筒部30が上壁32で塞がれる有底筒形状のものに限られないが、上壁32で塞がれている場合はこの上壁32に空気抜き孔(図1中、破線Fで示す)を設けておけば、弁体29の押し込みがスムーズに行える。なお、開口部5は本体ケース1の後側面8以外に、左右側壁6・6のいずれか一方に設けることもできる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、ディスク出し入れ用の開口部5を開閉する蓋7は肉抜き空間部17を設けて蓋7全体を軽量にして開閉操作を軽快にし、しかも該肉抜き空間部17を蓋開閉検知用の弁体29の設置スペースに利用することでこの弁体29を蓋7にコンパクトに簡単に組み込むことができる。
【0019】
本体ケース1内のディスク2を交換するとき弁体29を蓋開閉検知孔27から開位置へ押し込み移動させておけば、ディスクドライブ側の検出部材が蓋開閉検知孔27に挿入することで該検知孔27の開状態を検出することができ、ディスク交換後のディスクカートリッジであるか否かを容易に判別できる。押し込まれた弁体29は当該開位置に位置決め固定手段で確実に停止保持されるため閉位置に戻るようなことがなく、誤検出を防止でき、蓋7の開閉回動時にかみこむ等の不具合な問題をも解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2におけるA−A線拡大断面図である。
【図2】ディスクカートリッジ全体の一部破断平面図である。
【図3】蓋半開き状態で示す要部の平面図である。
【図4】図2におけるB−B線拡大断面図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
2 ディスク
5 開口部
5a 主面開口
5b 側面開口
7 蓋
9 主面壁
10 側面壁
11 内周壁
12 回動基端壁
17 肉抜き空間部
20 枢軸
22 本体ケースの上壁
27 蓋開閉検知孔
28 本体ケースの下壁
29 弁体
30 縦筒部
31 中空部
34 係合溝
37 弾性逆止爪

Claims (3)

  1. 記録媒体のディスク2が回転自在に収容される本体ケース1にディスク出し入れ用の開口部5が設けられており、
    この開口部5は、本体ケース1の一側面8の全長にわたって開口された主面開口5aと、該一側面8の両端に隣接する本体ケース1の他側壁6・6の該一側面8寄り端部に開口された側面開口5b・5bとからなり、
    本体ケース1に、開口部5を開閉する蓋7が本体ケース1の平面と平行な面上で枢軸20まわりに水平回動自在に装着されているディスクカートリッジにおいて、
    蓋7が閉じ状態で該蓋7の上下面と対向する本体ケース1の上壁22または下壁28に、蓋開閉検知孔27が開口されており、
    蓋7が、主面開口5aをこれの内部に入り込んで塞ぐ主面壁9と、この主面壁9の一端部から略直角に延出形成されて側面開口5bをこれの内部に入り込んで塞ぐ側面壁10と、主面壁9の内面側にディスク2の円周に沿うよう円弧状に形成された内周壁11とを有し、前記側面壁10の延出側端部と内周壁11の一端部とが一体につながれ、前記主面壁9と内周壁11との間に肉抜き空間部17が設けられており、
    蓋7の肉抜き空間部17内に、蓋開閉検知孔27を開閉する弁体29が、蓋開閉検知孔27に突入して該蓋開閉検知孔27を閉じる位置と、蓋開閉検知孔27を開ける位置とにわたって上下移動可能に組み込まれ、蓋開閉検知孔27の開位置では弁体29の位置決め固定手段を設けてあるディスクカートリッジ。
  2. 前記蓋7の肉抜き空間部17内に、該蓋7の閉じ状態で蓋開閉検知孔27と連通する中空部31を有する縦筒部30が設けられており、
    前記縦筒部30の中空部31内に、前記弁体29が、蓋開閉検知孔27に突入して該蓋開閉検知孔27を閉じる位置と、中空部31の内奥へ押し込まれて蓋開閉検知孔27を開ける位置とにわたって上下移動可能に組み込まれ、蓋開閉検知孔27の開位置では弁体29の位置決め固定手段を設けてある請求項1記載のディスクカートリッジ。
  3. 前記位置決め固定手段は、弁体29の外周に縦筒部30の中空部31の内周面に対し摺接自在な弾性逆止爪37を設け、縦筒部30の中空部31の内奥に前記弾性逆止爪37が係合する係合溝34を設けている請求項2記載のディスクカートリッジ。
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