JP3557650B2 - テレビジョン信号の補間方法及び補間回路 - Google Patents

テレビジョン信号の補間方法及び補間回路 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、1フィールドのテレビジョン信号から1フレームのテレビジョン信号を生成するテレビジョン信号の補間方法及び回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばテレビジョン画像のハードコピーを得るようなビデオプリンタにおいて、1フレームの画像をプリントした場合、インターレース走査のために、得られる画像がブレる問題が生ずる。
【0003】
したがって、テレビジョン信号の1フィールドから疑似的にフレーム画像を生成し、このフレーム画像をプリントすることが行われる。このように、フィールド信号から疑似的なフレーム信号を形成するためには、不足している情報を補間で生成することが必要である。
【0004】
このようなフィールド信号から疑似的なフレーム信号を形成するための補間の方法としては、例えば、1ライン前のデータをそのまま補間値として使用する方法や、上下の画素の平均値を補間値として扱う方法、補間されることになる画素位置の上下3画素のパターン認識により補間値を演算する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記1ライン前のデータをそのまま補間値として使用する方法では、当該補間値を求める方法を実現するための回路は非常に簡単に構成できるものの、階調性や解像度、ジャーキネス等の点で3つの補間方法の中で最も悪く、画質も良くない。
【0006】
また、上記上下の画素の平均値を補間値として扱う方法では、回路的には比較的簡単に実現でき、階調性にも改善がみられるが、解像度やジャーキネスの点では依然問題が残る。
【0007】
最後の補間画素の上下3画素のパターン認識による補間値を演算する方法では、回路規模が中規模程度で実現でき、階調性やジャーキネスの点でも他の2つの方法よりも改善が見られる。しかし、この方法でも、例えば斜めの解像度やジャーキネスの点で充分とは言えない。また、この方法では、パターン認識する領域が小さいため、パターンの認識ミスが発生するおそれがあり、当該パターン認識ミスが発生すると、補間後の画像にノイズのような箇所が見受けられるようになることがある。さらに、この方法を発展させて、上下3画素以上からパターン認識することも考えられるが、パターン認識のための画素数を増やすと、それに応じて回路規模は指数関数的に大きくなり、実用性に欠けてくる。
【0008】
さらに、従来の補間回路においては、補間演算を行うためのラインバッファメモリと、得られた補間データを格納するためのメモリとが必要となり、このことも回路規模の大型化の原因の一つとなっている。
【0009】
そこで、本発明は、このような実情を鑑みてなされたものであり、回路規模が大型化することなく、さらに、例えば斜めの画像であっても階調性、解像度、ジャーキネスの点で充分な補間画像を得ることもできるテレビジョン信号の補間回路を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、テレビジョン信号の1フィールドの原信号から1フレームの信号を生成するテレビジョン信号の補間方法において、1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の列であって隣接する複数の列からなる所定領域内の複数画素データに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行うと共に、当該パターン分類結果に基づいて上記所定領域の大きさを適応的に制御し、上記パターン分類して大きさを適応制御した所定領域内の複数画素データを用いて、上記パターン分類結果に応じた補間演算を行うことを特徴としている。
【0011】
ここで、上記所定領域の大きさの適応的な制御の際には、上記1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の隣接する複数列からなる小領域内の複数画素のデータに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行い、当該小領域内の複数画素のパターン分類結果に基づいて、当該小領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うか、又は、当該小領域を中心にして拡大した水平方向及び垂直方向の隣接する複数列からなる大領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うかの判別を行う。また、上記小領域は、上記1フィールドの原信号の隣接する水平方向3列及び垂直方向2列の3×2画素のデータからなり、上記大領域は、上記小領域の3×2画素を中心にして拡大した水平方向7列及び垂直方向2列の7×2画素のデータからなる。
【0012】
次に、本発明のテレビジョン信号の補間回路は、テレビジョン信号の1フィールドの原信号から1フレームの信号を生成するものであり、1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の列であって隣接する複数の列からなる第1の領域内の複数画素データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納されている上記第1の領域内であって隣接する水平方向及び垂直方向の複数列からなる第2の領域内の複数画素データに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行うと共に、当該パターン分類結果に基づいて上記第2の領域の大きさを適応的に制御し、当該パターン分類して大きさを適応制御した第2の領域内の複数画素データを用いて、上記パターン分類結果に応じた補間演算を行う補間演算手段とを有することを特徴としている。
【0013】
ここで、上記補間演算手段は、上記第2の領域内の複数画素のデータに対する所定のテーブルに従ったパターン分類結果に基づいて、当該第2の領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うか、又は、上記第1の領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うかの判別を行う。また、上記第1の領域の複数画素データは、上記1フィールドの原信号の隣接する水平方向7列及び垂直方向2列の7×2画素のデータであり、上記第2の領域は、当該第1の領域内の隣接する水平方向3列及び垂直方向2列の3×2画素のデータである。
【0014】
【作用】
本発明の補間方法及び回路によれば、1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の列であって隣接する複数の列からなる領域内の複数画素データに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行い、このパターン分類結果に基づいてパターン分類する領域の大きさを適応的に制御するようにしており、パターン分類の領域を小さくできるときにはこのパターン分類が容易にでき、また、パターン分類の領域が小さいと補間によって得られる画像の質が劣化するときにはパターン分類の領域を大きくすることで、補間画像の質の劣化を防止している。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
本発明のテレビジョン信号の補間方法を実現する本実施例の補間回路は、図1に示すように、テレビジョン信号の1フィールドの原信号から1フレームの信号を生成するものであり、1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の列であって隣接する複数の列からなる第1の領域(本実施例では7×2画素領域)内の7×2画素データを格納する格納手段としてのシフトレジスタ13と、当該シフトレジスタ13に格納されている上記第1の領域内であって隣接する水平方向及び垂直方向の複数列からなる第2の領域(本実施例では3×2画素領域)内の複数画素データに対して、後述する表2〜表10にて示す所定のテーブルに従ったパターン分類(以下パターン認識と言い換える)を行うと共に、当該パターン認識結果に基づいて上記第2の領域の大きさを適応的に制御し、当該パターン認識して大きさを適応制御した第2の領域内の複数画素データを用いて、上記パターン認識結果に応じた補間演算を行う補間演算手段である補間演算回路14及び補間値レジスタ15とを有するものである。
【0017】
すなわちこの図1において、本実施例の補間回路は、例えばテレビジョン画像のハードコピーを得るようなビデオプリンタに適用させるものであり、したがって、端子1にはプリントデータ書き込みクロックが供給され、端子3にはフレームメモリからの8ビットの画像データすなわちプリントデータが、端子4には各色印画状態を示す信号であるヘッドアクティブ信号が、端子5には印画タイミングパルスが供給される。また、端子2からはフレームメモリに対するプリントデータ要求信号が出力される。これら端子1〜5のうち、端子1,2,3は図示を省略しているフレームメモリとインタフェース回路を介して、また、端子4,5は図示を省略しているCPU(中央処理ユニット)とインタフェース回路を介して、入力制御回路6と接続される。なお、入力制御回路6の前段のメモリは、フィールドメモリとすることもできる。
【0018】
上記入力制御回路6は、上記フレームメモリから次段のラインバッファメモリ10a及び10bへのデータの取り込みをコントロールする。
【0019】
メモリ10aと10bは、それぞれ上記端子3に供給されて入力制御回路6を介したプリントデータである画像データを保持するための1ラインバッファメモリであり、例えば、スタティックRAM(SRAM)からなるものである。
【0020】
当該メモリ10aと10bからのデータの取り出しは、ワークテーブル転送制御回路9によりなされる。すなわち、当該ワークテーブル転送制御回路9は、後述する本発明の補間方法が適用される補間演算に必要な画像データを上記メモリ10aと10bから取り出すためのアドレス制御を行う回路である。当該ワークテーブル転送制御回路9によって上記メモリ10a,10bから必要なデータ(本実施例の場合は7×2画素のデータ)が取り出され、例えばシフトレジスタ13からなるワークテーブルに転送される。
【0021】
当該ワークテーブルのシフトレジスタ13に転送された画像データのうち、後述する補間演算に必要な画素データは、補間演算回路14に送られ、ここで当該シフトレジスタ13に転送された画像データを用いたパターン認識を行うと共に、補間値を計算する補間演算を行う。
【0022】
当該補間演算回路14により求められた補間値は、補間値レジスタ15に一時保持される。すなわち、当該補間値レジスタ15は、次の画素の補間演算を行うときに過去の補間画素をデータとして使用するので、当該過去の補間画素のデータを一時的に保持するためのデータレジスタである。
【0023】
補間値レジスタ15に保持された補間画素のデータは、メモリ10a又は10bの記憶領域のうち、補間演算が終了した画素データが記憶されていた領域に、後述するような理由から上書きされる。
【0024】
その後、当該メモリ10a,10bからは、上記補間演算に使用した画素データと上記上書きされた補間画素のデータが順次読み出され、転送制御回路7に送られる。当該転送制御回路7は、端子8を介して次段のプリントのための構成にデータを転送するときのタイミングをコントロールする。
【0025】
ここで、入力制御回路6によってフレームメモリから読み出されてメモリ10a,10bに送られる入力ラインのデータの並びは、以下のようになる。なお、以下に示すiはフィールド画像の第iラインを示す。また、 A,B,C,D,・・・,X,Y,Zはフィールド画像のいずれか1つのライン中の各画素値を示す。
【0026】
Figure 0003557650
【0027】
すなわち、例えば上記メモリ10a,10bのうちの一方のメモリに入力ラインとして第n−2ラインが入力されると、続いてそれと同じデータである第n−1ラインが他方のメモリに入力される。以下同様に、一方のメモリに第nラインのデータが入力されると他方のメモリには同じデータである第n+1ラインのデータが、一方のメモリに第n+2のデータが入力されると他方のメモリには同じデータである第n+3ラインのデータが入力されるような具合に、順次メモリ10a,10bには同じ画像データが入力される。
【0028】
ここで、本実施例回路では、上記メモリ10a或いは10bに対して、保持された2ライン同一の入力画像データの一方を、補間を行ったデータに書き換え、当該補間を行ったデータと、書き換えられていない方の画像データとを順次出力するようにしている。
【0029】
すなわち例えば、メモリ10aに対して既に例えば第n−1ラインのデータが保持されており、メモリ10bに対して第nラインのデータが転送されて来るとする。
【0030】
第nラインの画像データがメモリ10bに入力され、補間演算を行えるデータ数以上のデータが当該メモリ10bに揃い始めると、ワークテーブル転送制御回路9によって演算に必要なデータがメモリ10aと10bからワークテーブルのシフトレジスタ13に転送される。
【0031】
すなわち、シフトレジスタ13は2つのシフトレジスタ13aと13bとからなり、一方のシフトレジスタ13aにはメモリ10aからの第n−1ラインの各画素データが各レジスタa,am+1 ,am+2 ,am+3 ,am+4 ,am+5 ,am+6 に順にシフトされて格納され、他方のシフトレジスタ13bにはメモリ10bからの第nラインの各画素データが各レジスタb,bm+1 ,bm+2 ,bm+3 ,bm+4 ,bm+5 ,bm+6 に順にシフトされて格納される。
【0032】
当該シフトレジスタ13に第n−1ラインと第nラインの所定数の画素データが揃うと、当該シフトレジスタ13からは各画素データが出力されて補間演算回路14に送られる。
【0033】
当該補間演算回路14では、供給された第n−1ラインと第nラインの画素データを用いて後述するパターン認識を行い、当該第n−1ラインと第nラインとの間のラインの補間値を算出する。
【0034】
この補間値のデータは、メモリ10bに転送され、補間演算に必要なくなった部分に上書きされていく。
【0035】
ここで、上記メモリ10bに補間値のデータを上書きしていくことが可能なのは、次の理由による。
【0036】
例えば入力ラインと、入力されるフィールド信号のラインデータと、出力ラインデータとの関係は、表1のようになっている。
【0037】
【表1】
Figure 0003557650
【0038】
すなわち、この表1の入出力データの関係に示すように、次段に引き渡すデータの順番としては、先ず第n−1ラインの画像データ(メモリ10aからの出力)、次に第n−1ラインと第nラインのデータから算出される補間ラインの画像データ、その次に第nラインと同一データの第n+1ライン(又は第nライン自身)の画像データと言う順に、次段に引き渡していくこととなる。
【0039】
このような順番で画像データを次段に引き渡していく場合、先ず必要なデータは、第n−1ライン、補間ライン、第n又は第n+1ラインの順となる。すなわち、第nラインのデータを出力する前に2ライン出力しなければならないデータがある。
【0040】
さらに、次に入力される第n+1ラインは、第nラインと同じものであることを考えると、上述のように補間ラインのデータを、第nラインを保持しているメモリ10bに上書きすることが可能になる。すなわち、第nラインのデータが当該上書きにより消去されてしまっても、当該第nラインのデータと同じデータである第n+1ラインのデータが入力されれば、同じデータを得ることができるからである。
【0041】
なお、上記メモリ10bに第n+1ラインのデータを上書きしているとき、補間データレジスタ15には補間演算回路14での補間結果の過去1画素のデータが書き込まれて保持され、次の補間演算のデータとして使われる。
【0042】
これにより、通常では補間演算に必要なラインバッファは、入力されたフィールドの2ライン分のデータを保持する2個のラインバッファと、補間結果のラインデータを保持する1個のラインバッファとが必要となるのに対して、本実施例の補間回路では、ラインバッファ2個のみで補間演算が可能となっている。すなわち、本実施例回路では、入力されたフィールドの2ライン分のデータを保持するラインバッファのいずれか一方に補間結果のラインデータを上書きすることによって、当該補間ライン用のラインバッファを1個削減できるようになっている。これは、補間演算に用いるデータを2ライン以上としたとしても同様のことが言える。
【0043】
次に、本実施例の補間回路において採用している補間方法について以下に説明する。
【0044】
ここで、上記ラインバッファメモリ10aと10bから出力されてシフトレジスタ13aのレジスタa,am+1 ,am+2 ,am+3 ,am+4 ,am+5 ,am+6 と、シフトレジスタ13bの各レジスタb,bm+1 ,bm+2 ,bm+3 ,bm+4 ,bm+5 ,bm+6 に格納されたデータ(既存ラインのデータ)が、例えば図2に示すように、シフトレジスタ13aにおいてはA,B,C,D,E,F,Gで示すデータとなり、シフトレジスタ13bにおいてはAi+1 ,Bi+1 ,Ci+1 ,Di+1 ,Ei+1 ,Fi+1 ,Gi+1 で示すデータとなっているとする。また、これらシフトレジスタ13a及び13bに格納されたデータを用いて算出される補間画素のデータをXとすると、図2の図中Xは今現在補間する画素を表し、Xk−2 はXの2画素前の補間画素を、Xk−1 はXの1画素前の補間画素を、Xk+1 はXの次に補間する画素を表している。
【0045】
ここで、本実施例補間回路の補間演算回路14では、上記画素xを補間演算によって求める場合、上記2つのシフトレジスタ13a及び13bに格納されている図2のような各7画素(すなわち7×2画素)のデータの内、図2の図中破線で囲った2つの既存ラインの各3つの画素(すなわち3×2画素)のデータを用いてパターン認識を行う。
【0046】
このパターン認識の際には、先ず、上下左右方向において隣合う画素との大小関係を求める。すなわち、画素Xを補間演算によって求める場合、シフトレジスタ13aに格納されている画素データのうちC,D,Eとシフトレジスタ13bに格納されている画素データのうちCi+1 ,Di+1 ,Ei+1 を用いて、上下左右方向に隣合う画素の大小関係を求める。ただし、DとDi+1 との間の大小関係は除外する。
【0047】
この時の隣合う画素の組み合わせは6通りあり、そのそれぞれに対し、等号、不等号の向きの3通りを考えると、図2の図中破線で囲う上記3×2画素領域の大小関係による組み合わせ(すなわちパターン)は、3通り(=729通り)存在する。補間演算回路14では、この729通りのパターンの認識を行い、この認識領域をさらに広げるかどうかを決定する。
【0048】
この時点で、認識されたパターンが、これ以上認識領域を広げてもあまり情報量の変わらないパターンや、最大7×2画素の認識領域では認識しきれないパターンであることがわかれば、上記3×2画素の認識領域から補間値xを求める。
【0049】
一方、上記3×2画素の認識領域をさらに広げることによって、より正確なパターン認識ができると判定されるパターンであれば、当該3×2画素の認識領域よりもさらに広げた認識領域(この場合は最大7×2画素の認識領域まで広げることができる)でパターン認識を行う。
【0050】
図3を用いて上記補間演算のアルゴリズムを概略的に説明する。
この図3において、ステップS1では先ず3×2画素領域でパターン認識を行う。次のステップS2では、認識領域をさらに広げるかどうかの判断を行い、広げる(イエス)と判断した場合にはステップS3へ、広げない(ノー)と判断した場合にはステップS4に進む。
【0051】
ステップS4では、後述する表2〜表10に示すテーブルを参照して3×2画素領域でパターン認識を行い、次のステップS6では、以下の3つの式から最適なものを選択して、補間演算決定を行う。
=(C+Ei+1 )/2
=(D+Di+1 )/2
=(E+Ci+1 )/2
【0052】
また、ステップS3では、後述する表2〜表10に示すテーブルを参照して7×2画素領域でパターン認識を行い、次のステップS5では、以下の8つの式から最適なものを選択して補間演算決定を行う。
=(A+Gi+1 )/2
=(B+Fi+1 )/2
=(C+Ei+1 )/2
=(D+Di+1 )/2
=(D+Di+1 +2Xk−1 )/4
=(E+Ci+1 )/2
=(F+Bi+1 )/2
=(G+Ai+1 )/2
【0053】
すなわち、本実施例では、上述のように、パターン認識する領域を広げてもあまり情報量の変わらないパターンであるときには、後述する表2〜表10に示すテーブルを参照して上記3×2画素の認識領域から補間値を求めるようにし、一方、パターン認識する領域を広げることによってより正確なパターン認識ができると判定されるパターンであるときには、後述する表2〜表10に示すテーブルを参照して7×2画素の領域から補間値を求めることによって、補間後の画質を高画質に保ったままパターン認識する回路の規模の拡大を抑えるようにしている。
【0054】
これは、例えば、上記7×2画素の全領域を最初からパターン認識領域とすると、その隣接画素間の大小関係の組み合わせ(すなわちパターン)は、318(=387420489)通りとなり、この全パターンに対してパターン認識を行い、それぞれ補間演算方法を決定するのは、非常に難しく、回路規模的にも大きくなり過ぎると思われるためであり、したがって、本実施例では、上述のように、先ず3×2画素の領域で認識し、その後適応的に最大7×2画素の領域まで広げることにより、考慮する組み合わせを減らし、さらに7×2画素の領域まで広げたときも補間演算の式を前記8つの式のみとしているため、回路規模が大きくなるのが抑制されている。なお、本実施例の回路では、その組み合わせ(パターン)は、約920通りにまで削減されている。
【0055】
以下、上述した補間演算についてより具体的な例を挙げて説明する。
図2の例において、補間画素Xを求める際には、図2の図中破線内部の画素C,D,EとCi+1 ,Di+1 ,Ei+1 の6個のデータの大小関係から、補間方向が斜めであるか上下であるかを決定する。この大小関係によって決定される補間方向を表したテーブルを、表2〜表10に示す。これらのテーブルは、上記6個の画素の組み合わせの数である3=729と対応している。
【0056】
【表2】
Figure 0003557650
【0057】
【表3】
Figure 0003557650
【0058】
【表4】
Figure 0003557650
【0059】
【表5】
Figure 0003557650
【0060】
【表6】
Figure 0003557650
【0061】
【表7】
Figure 0003557650
【0062】
【表8】
Figure 0003557650
【0063】
【表9】
Figure 0003557650
【0064】
【表10】
Figure 0003557650
【0065】
これらのテーブルに従い、3×2画素の領域のパターン認識により、補間画素Xは、各表中の無印と/印と\印とに応じて、次のように決定される。
無印 X=(D+Di+1 )/2
/印 X=(E+Ci+1 )/2
\印 X=(C+Ei+1 )/2
【0066】
ただし、表中の/印,\印の横又は上にD>Ci+1 ,Di+1 >C,D≦Ei+1 ,・・・等とある場合は、その条件が満たされるときのみ当該斜めの補間を行うことを表している。また、テーブル上の▲1▼〜▲5▼の部分は後述する7×2画素の領域のパターン認識によって補間画像を得る部分を示している。
【0067】
また、表2〜表10のテーブルの行と列には、それぞれ0〜26までの番号を付けており、ここで行番号をqとし、列番号をrとしてテーブルの各マトリクスを座標(r,q)と表現したとき、以下の▲1▼から▲5▼で示すテーブル上の座標部分については、7×2画素のデータから補間を行う。
【0068】
▲1▼
(0,12),(9,12)
(14,2),(14,11)
(14,23),(14,26)
(21,12),(24,12)
【0069】
▲2▼
(17,14),(26,14)
(12,15),(12,24)
(12,0),(12,3)
(2,14),(5,14)
【0070】
▲3▼
(26,0),(0,26)
【0071】
▲4▼
(7,13),(8,14),(12,6),(13,7), (12,19),(13,20),(18,12),(19,13)
【0072】
▲5▼
(0,23),(9,26),(17,0),(26,3)
(0,17),(3,26),(23,0),(26,9)
【0073】
以下、これらテーブル中の▲1▼〜▲5▼の座標部分で示す7×2画素でパターン認識を行う領域での補間アルゴリズムについて説明する。
【0074】
先ず、テーブル中の▲1▼の座標部分の補間の一例として、例えばC<D<E>Ei+1 =Di+1 =Ci+1 <Cの時は、図4のフローチャートの大小判別を行って補間する。すなわち、データの小さい方に探す処理を行って補間する。なお、上記C<D<E>Ei+1 =Di+1 =Ci+1 <Cは、表7の(r,q)=(24,12)の座標に対応する例である。
【0075】
すなわち、この図4において、ステップS10ではB<C及びEi+1 =Fi+1 であるか否かの判断を行い、ノーと判断した場合にはステップS11に、イエスと判断した場合にはステップS12に進む。
【0076】
ステップS11では、X=(C+Ei+1 )/2の演算を行って補間値を求める。ステップS12では、A<Bの判断を行い、ノーと判断した場合にはステップS13に、イエスと判断した場合にはステップS14に進む。
【0077】
ステップS13では、X=(B+Fi+1 )/2の演算を行って補間値を求め、ステップS14では、X=(A+Gi+1 )/2の演算を行って補間値を求める。
【0078】
次に、▲2▼の部分の補間では、例えばC>D>E<Ei+1 =Di+1 =Ci+1 >Cの時、図5のフローチャートの大小判別を行って補間する。すなわち、データの大きい方に探す処理を行って補間する。なお、このC>D>E<Ei+1 =Di+1 =Ci+1 >Cは、表5の(r,q)=(2,14)の座標に対応する例である。
【0079】
すなわち、この図5において、ステップS20ではB>C及びEi+1 =Fi+1 であるか否かの判断を行い、ノーと判断した場合にはステップS21に、イエスと判断した場合にはステップS22に進む。
【0080】
ステップS21では、X=(C+Ei+1 )/2の演算を行って補間値を求める。ステップS22では、A>Bの判断を行い、ノーと判断した場合にはステップS23に、イエスと判断した場合にはステップS24に進む。
【0081】
ステップS23では、X=(B+Fi+1 )/2の演算を行って補間値を求め、ステップS24では、X=(A+Gi+1 )/2の演算を行って補間値を求める。
【0082】
ここで、▲1▼,▲2▼の部分の補間演算においては、これら両方とも補間値Xの上限と下限を設定する。すなわち、D<X<Di+1 又はD>X>Di+1 のように上限と下限を設定し、補間結果Xがこの関係を満たすときは、そのまま補間値Xを採用する。この関係を満たさないときは、最内斜め補間値をXとする。すなわち、▲1▼の部分の補間演算の時はX=(E+Ci+1 )/2を補間結果とし、▲2▼の部分の補間演算の時はX=(C+Ei+1 )/2を補間結果とする。
【0083】
次に、▲3▼の部分の補間演算では、例えばC<D<E>Ei+1 <Di+1 <Ci+1 >Cの時、CとEi+1 との間に大小関係の谷があるか、また、EとCi+1 との間に大小関係の尾根があるか判らない。そこで、次の条件で補間する。なお、当該▲3▼の補間演算における上記C<D<E>Ei+1 <Di+1 <Ci+1 >Cの符号が全て入れ代わったパターンの場合には、CとEi+1 の間で尾根、EとCi+1 の間で谷のようになる。また、C<D<E>Ei+1 <Di+1 <Ci+1 >Cは、表4の(r,q)=(26,0)の座標に対応する例である。
【0084】
このとき、上記大小関係の尾根か谷かの判断は、次の基準で行う。
例えば、A〜Eの大小関係が、以下のような場合に、B又はCに谷があるとする。
【0085】
>B<C<D<E、又は、A>B=C<D<E、又は、A>B>C<D<E
【0086】
したがって、BとCとの間の大小関係はなく、AとBとの間の大小関係がA>Bとなっていれば、谷があると判断する。
【0087】
ここで、第1の条件として、
>B、及びFi+1 <Gi+1 のとき、
又はCに谷があるか、及び、Ei+1 又はFi+1 に谷があるか否かの判断を行い、共に谷があるときはQ=1とし、いずれか一方又はいずれにも谷がないときはQ=0とする。
【0088】
また、第2の条件として、
i+1 <Bi+1 、及びF>Gのとき、
i+1 又はCi+1 に尾根があるか、及び、E又はFに尾根があるか否かの判断を行い、共に尾根があるときはQ=1、いずれか一方又はいずれにも尾根がないときはQ=0とする。
【0089】
この時点で、先ず次のように補間方法を決定する。
=1,Q=1であればX=(D+Di+1 )/2
=1,Q=0であればX=(C+Ei+1 )/2
=0,Q=1であればX=(E+Ci+1 )/2
=0,Q=0であれば次の判定を行う。
【0090】
次に、第3の条件として、
>B、又はFi+1 <Gi+1 のとき、
又はC又はEi+1 又はFi+1 に谷があるか否かの判断を行い、いずれかに谷があるときはQ=1とし、いずれにも谷がないときはQ=0とする。
【0091】
また、第4の上限として、
i+1 <Bi+1 、又はF>Gのとき、
i+1 又はCi+1 又はE又はFに尾根があるか否かの判断を行い、いずれかに尾根があるときはQ=1、いずれにも尾根がないときはQ=0とする。
【0092】
第5の条件として、
=Ei+1 、又はC=Fi+1 、又はB=Ei+1 、又はB=Fi+1 の判断において、イエスのときはQ=1、ノーのときはQ=0とする。
【0093】
第6の条件として、
=Ci+1 、又はE=Bi+1 、又はF=Ci+1 、又はF=Bi+1 の判断において、イエスのときはQ=1、ノーのときはQ=0とする。
【0094】
以上の各条件から、最終的に次のように補間方法を決定する。
すなわち、
=1,Q=1,Q=X,Q=XならばX=(D+Di+1 )/2とし、
=1,Q=0,Q=X,Q=1ならばX=(E+Ci+1 )/2とし、
=0,Q=1,Q=1,Q=XならばX=(C+Ei+1 )/2とし、
=0,Q=0,Q=X,Q=XならばX=(D+Di+1 )/2とする。ただし、Q=Q=0である。
【0095】
次に、▲4▼の部分の補間演算では、補間画素Xの一つ左の画素がXk−1 で、例えばC<D>E>Ei+1 =Di+1 =Ci+1 <Cの時は、次の条件で補間を行う。なお、C<D>E>Ei+1 =Di+1 =Ci+1 <Cは、表7の(r,q)=(18,12)の座標に対応する例である。
【0096】
例えば、当該条件として、Ci+1 =Xk−1 の判断を行い、イエスのときはQ=1、ノーのときはQ=0とする。このときの補間方法は、
=0ならばX=(D+Di+1 )/2とし、
=1ならばX=(D+Ci+1 +2Xk−1 )/4とする。
【0097】
次に、▲5▼の部分の補間では、DとDi+1 の間の補間画素はXであり、例えばC=D<E>Ei+1 <Di+1 <Ci+1 >Cの時は次の条件で補間を行う。なお、C=D<E>Ei+1 <Di+1 <Ci+1 >Cは、表3の(r,q)=(17,0)の座標に対応する例である。
【0098】
例えば、当該条件として、C=Ei+1 、又はC=Fi+1 、又はB=Ei+1 、又はB=Fi+1 の判断において、イエスのときはQ=1、ノーのときはQ=0とする。このときの補間方法は、
=1ならばX=(C+Ei+1 )/2とし、
=0ならばX=(D+Di+1 )/2とする。
【0099】
さらに、上述した各大小判別時の条件として、2つのデータの大小判別は、次の条件で行う。
すなわち、一方のデータをYとし、他方のデータをWとすると、
INT((Y−W)/L)=0であればY=Wとし、
INT((Y−W)/L)>0であればY>Wとし、
INT((Y−W)/L)<0であればY<Wとする。
なお、INTは組み込み関数である。
【0100】
ここで、Lによって±(L−1)の範囲を等号とみる。Lについては、1又は4又は8又は16を使用する。このLの値は、画像の必要とするSN比によって変更し、小さくすると敏感になり、大きくすると7×2画素の領域まで参照することが少なくなる。
【0101】
上述したような▲1▼〜▲5▼の部分の補間演算のアルゴリズムを用いることで、以下のような効果が得られる。
【0102】
先ず、▲1▼及び▲2▼の部分の補間演算のアルゴリズムを用いることで、2つの領域が斜めの境界を持っているとき、その境界が滑らかになるように補間することができる。
【0103】
例えば、図6に補間前後の画像の第1の具体例として、上述した▲1▼の部分の補間演算の効果について説明する。また、図6の各枡目は、図2の各画素データと対応し、当該図6の各枡目の画素データは図1のシフトレジスタ13の各レジスタに格納される画素データの一例でもある。なお、上記▲2▼の部分の補間演算においても、前記表2〜表10のテーブルに従って補間演算を行うことで、同様の効果を得ることができる。
【0104】
この第1の具体例として、図6の(a)に示すような既存ラインの画像(補間前の画像)が存在したとする。このとき、図6の(a)の既存ラインの各画素の色濃度を16進数表現で表し、例えば上側の既存ラインの各画素A,B,C,D,E,F,Gの色濃度の実際のデータが(10)(50)(70)(90)(F0)(F0)(F0)であり、下側の既存ラインの各画素Ai+1 ,Bi+1 ,Ci+1 ,Di+1 ,Ei+1 ,Fi+1 ,Gi+1 の色濃度の実際のデータが(10)(10)(10)(10)(10)(10)(10)であるとする。なお、(10)は濃い色を表し、(F0)に行くにしたがって薄い色を表している。
【0105】
すなわち、図2に対応させて表した補間画素Xと各既存ラインの画素との位置関係が、
既存ライン (10) (50) (70) (90) (F0) (F0) (F0)
補間ライン X
既存ライン (10) (10) (10) (10) (10) (10) (10)
となっているとすると、この補間画素Xに対する上下既存ラインの3×2画素C,D,E及びCi+1 ,Di+1 ,Ei+1 の大小関係は、上側の既存ラインの3画素が左から順に(70)(90)(F0)となり、下側の既存ラインの3画素が(10)(10)(10)となっていることから、(70)<(90)<(F0)>(10)=(10)=(10)<(70)となる。
【0106】
この場合は、パターン認識領域を拡大し、残りの画素の大小関係を認識する。すなわち、この図6の(a)の場合は、A,B,CとE,F,G、及びAi+1 ,Bi+1 ,Ci+1 とEi+1 ,Fi+1 ,Gi+1 の大小関係は、A<B<CとE=F=G、及びAi+1 =Bi+1 =Ci+1 とEi+1 =Fi+1 =Gi+1 となり、7×2画素のマトリクスから、X=(A+Gi+1 )/2の補間式を決定する。
【0107】
すなわち、この図6の(a)の例は、前述した▲1▼の部分の補間演算の一例として前記表7の(r,q)=(24,12)の座標に対応する例であり、C<D<E>Ei+1 =Di+1 =Ci+1 <Cとなっている。したがって、前述の図4のフローチャートの大小判別を行って補間する。
【0108】
具体的には、データの小さい方に向かってパターンを探し、B<C及びEi+1 =Fi+1 であるか否かの判断(図4のステップS10)を行い、この図6の(a)の例では、Bが(50)で、Cが(70)でEi+1 及びFi+1 が共に(10)となっているため、(50)<(70)及び(10)=(10)となってイエスと判断されるので、さらにA<Bの判断を行う(図4のステップS12)。この判断において、図6の(a)の例では、Aが(10)でBが(50)となっているので、図4のステップS12ではイエスと判断され、したがって、図4のステップS14のX=(A+Gi+1 )/2の補間演算を行う。これにより、X=(10+10)/2の演算を行って補間値(この場合は(10))を求める。
【0109】
図6の上記補間画素X以外の補間画素Xk−3 ,Xk−2 ,Xk−1 ,Xk+1 ,Xk+2 ,Xk−3 に対しては、前記表2〜表10のテーブルに従って補間演算を行うことで、図6の(a)の補間前の画像から図6の(b)に示すような補間後の画像を得ることができるようになる。
【0110】
すなわち本実施例の補間演算を行えば、補間前の画像の斜めの線の画像をより滑らかに補間することができる。また、本実施例の補間演算によれば、補間値が上下の既存ラインの画素値の間にあるのが妥当であるだろうから、補間値のとれる値をその上下の画素値の範囲に抑えるようにしているため、ノイズを低減できることになる。例えば、カラー画像の場合、画像のエッジの部分などで、シアン、マゼンダ等のノイズが減少する。
【0111】
次に、▲3▼及び▲5▼の部分の補間演算のアルゴリズムを用いることで、補間前の画像の斜めの線の画像をより滑らかに補間することができる。
【0112】
例えば、図7に補間前後の画像の第2の具体例として、上述した▲3▼の部分の補間演算の効果について説明する。また、この図7も前述の図6と同様に表している。なお、上記▲5▼の部分の補間演算においても、前記表2〜表10のテーブルに従って補間演算を行うことで、同様の効果を得ることができる。
【0113】
この第2の具体例として、図7の(a)に示すような既存ラインの画像(補間前の画像)が存在したとする。このとき、図7の(a)の既存ラインの各画素の色濃度を16進数表現で表し、例えば上側の既存ラインの各画素A,B,C,D,E,F,Gの色濃度の実際のデータが(10)(10)(10)(70)(F0)(70)(10)であり、下側の既存ラインの各画素Ai+1 ,Bi+1 ,Ci+1 ,Di+1 ,Ei+1 ,Fi+1 ,Gi+1 の色濃度の実際のデータが(10)(70)(F0)(70)(10)(10)(10)であるとする。
【0114】
すなわち、図2に対応させて表した補間画素Xと各既存ラインの画素との位置関係が、
既存ライン (10) (10) (10) (70) (F0) (70) (10)
補間ライン X
既存ライン (10) (70) (F0) (70) (10) (10) (10)
となっているとすると、この補間画素Xに対する上下既存ラインの3×2画素C,D,E及びCi+1 ,Di+1 ,Ei+1 の大小関係は、上側の既存ラインの3画素が左から順に(10)(70)(F0)となり、下側の既存ラインの3画素が(F0)(70)(10)となっていることから、(10)<(70)<(F0)>(10)<(70)<(F0)>(10)となる。
【0115】
この場合、当該図7の(a)の例は、前述した▲3▼の部分の補間演算の一例として前記表4の(r,q)=(26,0)の座標に対応する例であり、C<D<E>Ei+1 <Di+1 <Ci+1 >Cとなっている。したがって、前述した▲3▼の部分の補間で述べたように各条件に従って補間演算を行う。
【0116】
具体的には、各既存ラインの画素の大小関係によって尾根か谷かの判断を行う。この図7の(a)の例では、上側の既存ラインの各画素値が(10)(10)(10)(70)(F0)(70)(10)であり、したがって、A=B=C<D<E>F>Gとなり、Eが尾根である。また、下側の既存ラインの各画素値は(10)(70)(F0)(70)(10)(10)(10)であり、したがって、Ai+1 <Bi+1 <Ci+1 >Di+1 >Ei+1 =Fi+1 =Gi+1 となり、Ci+1 が尾根である。
【0117】
すなわち、前述した第1の条件において上側の既存ラインのB又はC、及び下側の既存ラインのEi+1 又はFi+1 に谷がないのでQ=0となり、また、前述した図2の条件において上側及び下側の既存ラインのBi+1 又はCi+1 、及びE又はFに共に尾根があることを示すQ=1となり、したがって、この時点での補間方法は、前述したように、
=0,Q=1なのでX=(E+Ci+1 )/2
の補間演算を行う。
【0118】
これにより、X=(F0+F0)/2の演算を行って補間値(この場合は(F0))を求める。
【0119】
なお、この図7の例では、前記第2の条件までで補間演算式を求めることができたので、前記第3の条件〜第6の条件の判断は行わない。
【0120】
上記図7の上記補間画素X以外の補間画素Xk−3 ,Xk−2 ,Xk−1 ,Xk+1 ,Xk+2 ,Xk−3 に対しては、前記表2〜表10のテーブルに従って補間演算を行うことで、図7の(a)の補間前の画像から図7の(b)に示すような補間後の画像を得ることができるようになる。
【0121】
次に、▲4▼の部分の補間演算のアルゴリズムの効果について、第3の具体例として図8を用いて説明する。この図8の(b)及び(c)も前述の図6の(a)及び(b)と同様に表している。また、この図8の(a)は、全体の画像100を示し、その中の一例の画像102と、シフトレジスタ13に格納される画像領域101を示している。すなわち、当該図9では、例えば三角形の画像100の頂点部分について補間を行う例について説明する。
【0122】
この第3の具体例では、図8の(b)に示すような既存ラインの画像(補間前の画像)が存在することになる。このとき、図8の(b)の既存ラインの各画素の色濃度を16進数表現で表し、上側の既存ラインの各画素A,B,C,D,E,F,Gの色濃度の実際のデータが(F0)(F0)(F0)(F0)(F0)(F0)(F0)であり、下側の既存ラインの各画素Ai+1 ,Bi+1 ,Ci+1 ,Di+1 ,Ei+1 ,Fi+1 ,Gi+1 の色濃度の実際のデータが(F0)(F0)(70)(10)(70)(F0)(F0)であるとする。
【0123】
すなわち、図2に対応させて表した補間画素Xと各既存ラインの画素との位置関係が、
既存ライン (F0) (F0) (F0) (F0) (F0) (F0) (F0)
補間ライン X
既存ライン (F0) (F0) (70) (10) (70) (F0) (F0)
となっているとすると、この補間画素Xに対する上下既存ラインの3×2画素C,D,E及びCi+1 ,Di+1 ,Ei+1 の大小関係は、上側の既存ラインの3画素が左から順に(F0)(F0)(F0)となり、下側の既存ラインの3画素が(70)(10)(70)となっていることから、(F0)=(F0)=(F0)>(70)>(10)<(70)<(F0)となる。
【0124】
すなわち、この図8の(b)の例は、前述した▲4▼の部分の補間演算の一例として、C=D=E>Ei+1 >Di+1 <Ci+1 <Cの場合を示したものであり、前記表3の(r,q)=(12,6)の座標に対応する例であり、したがって、前述した▲4▼の部分の補間で述べたように各条件に従って補間演算を行う。
【0125】
この場合、パターン認識領域を拡大し、補間画素Xの一つ左の先に補間演算で求められている補間画素Xk−1 とCとの関係において、C=Xk−1 の判断を行う。図8の(b)の例では、C=Xk−1 であるため、前記Q=0となり、このときの補間演算は、前述したようにX=(D+Di+1 +2Xk−1 )/4となる。
【0126】
上記図8の上記補間画素X以外の補間画素Xk−3 ,Xk−2 ,Xk−1 ,Xk+1 ,Xk+2 ,Xk−3 に対しては、前記表2〜表10のテーブルに従って補間演算を行うことで、図8の(b)の補間前の画像から図8の(c)に示すような補間後の画像を得ることができるようになる。すなわち、従来の補間方法のように単純補間のみを行った場合には図8の(a)の頂点の分が延びてしまい、さらには強調されることでいわゆるヒゲ状に見えてしまうのに対し、本実施例の補間演算によれば、当該頂点の延びるところの濃度が、ぼかされて薄くなりヒゲ状の画像が目立たなくなる。
【0127】
次に、前記表2〜表10のテーブルに従って前記3×2画素の補間演算を行う具体例について説明する。
【0128】
すなわち第4の具体例として、図9の(a)に示すような既存ラインの画像(補間前の画像)が存在したとする。なお、この図9も前記図6と同様に表している。このとき、図9の(a)の既存ラインの各画素の色濃度を16進数表現で表し、例えば上側の既存ラインの各画素A,B,C,D,E,F,Gの色濃度の実際のデータが(F0)(90)(60)(10)(60)(90)(F0)であり、下側の既存ラインの各画素Ai+1 ,Bi+1 ,Ci+1 ,Di+1 ,Ei+1 ,Fi+1 ,Gi+1 の色濃度の実際のデータが(F0)(90)(60)(10)(60)(90)(F0)であるとする。
【0129】
すなわち、図2に対応させて表した補間画素Xと各既存ラインの画素との位置関係が、
既存ライン (F0) (90) (60) (10) (60) (90) (F0)
補間ライン X
既存ライン (F0) (90) (60) (10) (60) (90) (F0)
となっているとすると、この補間画素Xに対する上下既存ラインの3×2画素C,D,E及びCi+1 ,Di+1 ,Ei+1 の大小関係は、上側の既存ラインの3画素が左から順に(60)(10)(60)となり、下側の既存ラインの3画素が(60)(10)(60)となっていることから、C>D<E=Ei+1 >Di+1 <Ci+1 =Cとなっている。
【0130】
この場合は、パターン認識領域は拡大せず、表2〜表10の3×2画素のマトリクステーブルから補間式を決定する。したがって、表2〜表10のテーブルから、上記C>D<E=Ei+1 >Di+1 <Ci+1 =Cの場合の補間演算式は、X=(D+Di+1 )/2が決定され、これにより、X=(10+10)/2=10を求める。
【0131】
図9の上記補間画素X以外の補間画素Xk−3 ,Xk−2 ,Xk−1 ,Xk+1 ,Xk+2 ,Xk−3 に対しても、前記表2〜表10のテーブルに従って補間演算を行うことで、図9の(a)の補間前の画像から図9の(b)に示すような補間後の画像を得ることができるようになる。
【0132】
また、本実施例の補間回路における上述した補間アルゴリズムによる補間は、副走査方向について行っており、主走査方向については前後の画素の単純平均による補間を行うようにしている。また、補間を行う際の順序は、副走査方向、主走査方向の順としている。さらに、4倍補間が必要なときは、2度補間を行うようにする。
【0133】
ここで、主走査方向には、単純平均としたのは、以下の理由による。
すなわち、副走査方向と同じアルゴリズムにすると7ラインメモリが必要となってコストが大幅に上がること、また、補間を行ってドット数を増やすことは、サンプリング数を増やすことと同等であり、信号の立ち上がりはある程度線型とみなすことができるので、この場合には前後の画素の平均を補間値としても誤りではないはずであるという観点からである。なお、信号の立ち上がりは、約200nsで5fscのサンプリング信号であるとすると、約4ドットがその立ち上がりに使用されることになる。
【0134】
さらに、主走査方向には上述のような理由から単純平均を採用し、副走査方向の補間は、主走査方向の補間を行う前に行う方が実質的なパターン認識領域が広く取れるので、補間方向の順序は、上記のように副走査方向、主走査方向の順としている。
【0135】
なお、パターン認識を行う領域を拡大した場合の認識領域の大きさは、前記7×2画素領域よりも更に大きくすることも可能である。例えば、ライン数を増やす方向での領域の拡大では、例えば7×4画素や、7×6画素を例に挙げることができ、この場合にはよりよい補間を行えることになる。例えばL字の領域などである。
【0136】
上述したように、本発明実施例の補間回路においては、適応的な補間を行っているので、画質がより向上し、特に、斜めの解像度、ジャーキネスの点で画質の向上を図ることができる。また、回路規模はそれほど大きくなっていないので実用的である。さらに静止画出力における画質も格段な向上が期待できる。
【0137】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明のテレビジョン信号の補間方法及び回路によれば、1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の列であって隣接する複数の列からなる領域内の複数画素データに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行い、このパターン分類結果に基づいてパターン分類する領域の大きさを適応的に制御するようにしているため、分類の領域を小さくできるときにはパターン分類が容易にでき、また、パターン分類の領域が小さいと補間によって得られる画像の質が劣化するときにはパターン分類の領域を大きくすることで、補間画像の質の劣化を防止することが可能となる。したがって、本発明のテレビジョン信号の補間方法及び回路においては、回路規模を小型化することが可能で、かつ、斜めの画像であっても階調性、解像度、ジャーキネスの点で充分な補間画像を得ることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例のテレビジョン信号の補間回路の概略構成を示すブロック回路図である。
【図2】ワークテーブルのデータについて説明するための図である。
【図3】補間アルゴリズムのフローチャートである。
【図4】7×2画素のパターン認識により補間演算を行う際の補間アルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【図5】7×2画素のパターン認識により補間演算を行う際の補間アルゴリズムの他の例を示すフローチャートである。
【図6】7×2画素のパターン認識により補間演算を説明するための第1の具体例の画像を示す図である。
【図7】7×2画素のパターン認識により補間演算を説明するための第2の具体例の画像を示す図である。
【図8】7×2画素のパターン認識により補間演算を説明するための第3の具体例の画像を示す図である。
【図9】3×2画素のパターン認識により補間演算を説明するための第4の具体例の画像を示す図である。
【符号の説明】
1 入力制御回路
7 転送制御回路
9 ワークテーブル転送制御回路
10a,10b ラインバッファメモリ
13 シフトレジスタ
14 補間演算回路
15 補間レジスタ

Claims (6)

  1. テレビジョン信号の1フィールドの原信号から1フレームの信号を生成するテレビジョン信号の補間方法において、
    1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の列であって隣接する複数の列からなる所定領域内の複数画素データに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行うと共に、当該パターン分類結果に基づいて上記所定領域の大きさを適応的に制御し、
    上記パターン分類して大きさを適応制御した所定領域内の複数画素データを用いて、上記パターン分類結果に応じた補間演算を行う
    ことを特徴とするテレビジョン信号の補間方法。
  2. 上記所定領域の大きさの適応的な制御の際には、上記1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の隣接する複数列からなる小領域内の複数画素のデータに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行い、当該小領域内の複数画素のパターン分類結果に基づいて、当該小領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うか、又は、当該小領域を中心にして拡大した水平方向及び垂直方向の隣接する複数列からなる大領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うかの判別を行う
    ことを特徴とする請求項1記載のテレビジョン信号の補間方法。
  3. 上記小領域は、上記1フィールドの原信号の隣接する水平方向3列及び垂直方向2列の3×2画素のデータからなり、
    上記大領域は、上記小領域の3×2画素を中心にして拡大した隣接する水平方向7列及び垂直方向2列の7×2画素のデータからなる
    ことを特徴とする請求項2記載のテレビジョン信号の補間方法。
  4. テレビジョン信号の1フィールドの原信号から1フレームの信号を生成するテレビジョン信号の補間回路において、
    1フィールドの原信号の水平方向及び垂直方向の列であって隣接する複数の列からなる第1の領域内の複数画素データを格納する格納手段と、
    当該格納手段に格納されている上記第1の領域内であって隣接する水平方向及び垂直方向の複数列からなる第2の領域内の複数画素データに対して、所定のテーブルに従ったパターン分類を行うと共に、当該パターン分類結果に基づいて上記第2の領域の大きさを適応的に制御し、当該パターン分類して大きさを適応制御した第2の領域内の複数画素データを用いて、上記パターン分類結果に応じた補間演算を行う補間演算手段と
    を有することを特徴とするテレビジョン信号の補間回路。
  5. 上記補間演算手段は、上記第2の領域内の複数画素のデータに対する所定のテーブルに従ったパターン分類結果に基づいて、当該第2の領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うか、又は、上記第1の領域内の複数画素のデータを用いた補間演算を行うかの判別を行う
    ことを特徴とする請求項4記載のテレビジョン信号の補間回路。
  6. 上記第1の領域の複数画素データは、上記1フィールドの原信号の隣接する水平方向7列及び垂直方向2列の7×2画素のデータであり、上記第2の領域は、当該第1の領域内の隣接する水平方向3列及び垂直方向2列の3×2画素のデータである
    ことを特徴とする請求項4記載のテレビジョン信号の補間回路。
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