JP3557077B2 - 可逆性感熱発色組成物およびそれを用いた可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物に関する。また、本発明は、その可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、ファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などのプリンターに使用されている。しかし、これらの実用化されている従来の記録媒体はいずれも不可逆的な発色であり、一度記録した画像を消去して繰り返して使用することはできない。
【0003】
ただ、特許公報によれば発色と消色を可逆的に行うことができる記録媒体も提案されており、たとえば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールを組合せを用いる特開昭60−193691号公報、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いる特開昭61−237684号公報、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有する特開昭62−138556号、特開昭62−138568号および特開昭62−140881号各公報、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いる特開昭63−173684号公報、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いる特開平2−188293号公報および特開平2−188294号公報などが開示されている。しかしながら、以上に示した従来の可逆性感熱記録媒体は、発色の安定性と消色性の両立という点、あるいは発色の濃度や繰り返しにおける安定性という点で問題を残しており、実用的な記録媒体として満足し得るものではない。
【0004】
本発明者らは、先に特開平5−124360号公報において、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料と組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を安定して繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物、およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。これは発色の安定性と消色性のバランスや発色濃度の点で実用レベルの性能を持つものであるが、さらに広範囲な使用環境への対応や発色消色条件の適用範囲の面で改良すべき余地があった。その後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造の使用が提案されているが(特開平6−210954号公報)、これも同様の問題を持っていた。また特に、高速消去特性と耐熱保存安定性を両立する可逆性感熱記録媒体はまだ見い出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、安定な発色性と消色性を保持し、熱に対する保存性が良好でさらに高速消去に対応できる可逆性感熱発色組成物および可逆性感熱記録媒体を提供することである。また、この種の記録媒体に必要とされる耐久性、耐光性も良好な可逆性感熱記録媒体を提供することも課題として挙げられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような発色剤と顕色剤の組成物の可逆的な発色消色現象では、長鎖脂肪族基をもつ顕色剤の発色剤を発色させる能力と分子間の凝集力のバランスが重要であると考え、種々の構造の化合物を検討した。その結果、特定の構造をフェノール化合物を顕色剤として用いることにより、上記の課題が解決できることを見出した。
【0007】
電子供与性呈色性化合物の電子受容性化合物による発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物において、本発明では電子受容性化合物として下記一般式(1)または(2)で表されるフェノール化合物を用いるものである。
【化1】
【化2】
式中、R1およびR3は直鎖脂肪族炭化水素基を示し、R2およびR4は炭素数2以上の直鎖脂肪族炭化水素基を表す。ただし、R1、R2、R3およびR4の炭素数の和は8以上である。また、X、YおよびZは酸素原子または窒素原子を含む2価の基を示し、rは1〜3の整数を、pは1〜4の整数をそれぞれ表す。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の可逆性感熱発色組成物は、電子受容性化合物として、前記(1)または(2)で表されるフェノール化合物を用いることを特徴とする。
上記一般式(1)および(2)において、R1およびR3は直鎖脂肪族炭化水素基を示し、R 2およびR4は直鎖脂肪族炭化水素基を表す。なお、R1、R2、R3およびR4の炭素数の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上であることがより好ましい。
【0009】
R1の好ましい例としては以下の表1に示すものが挙げられる。
【表1】
これらの中でも−(CH2)q−が特に好ましい。尚、式中のq、q′はそれぞれ前記R1、R2、R3、R4の炭素数を満足する整数を表す。
【0010】
また、R2およびR4の好ましい例としては以下の表2に示すものが挙げられる。
【表2】
これらの中でも−(CH2)q−が特に好ましい。尚、式中のq、q′は前記と同じ。
【0011】
また、R3の好ましい例としては以下の表3に示すものが挙げられる。
【表3】
これらの中でも−(CH2)q−CH3が特に好ましい。尚、式中のq、q′は前記と同じ。
【0012】
また、X、YおよびZは酸素原子または窒素原子を含む2価の基を示し、好ましくは
【化3】
で表される基を少なくとも1個以上有する2価の基を表す。
その例としては、次の表4に示すものが挙げられる。
【0013】
【表4】
【0014】
一般式(2)においては、一般式(1)のYの部分が、Yにさらにアルキレン等の炭化水素基を介して、さらに前記の基を1個以上有する2価の基となる。すなわち、以下に示される構造で表される。
【化4】
ここで、R4は前記のR2と同様の2価の基および結合手を示し、ZはXおよびYと同様の2価の基を表す。また、pは1〜4の整数を表す。このとき繰り返されるZおよびR4は、それぞれ同一でも異なっていても良い。
【0015】
本発明で用いられるフェノール化合物は、下記一般式(1)および(2)で表される化合物である。
【化1】
【化2】
式中のR1〜R4、X、Y、Z、rおよびpは前記と同様である。
本発明で用いられるフェノール化合物の好ましい例としては、次の表5に示される化合物が挙げられる。
【0016】
【表5】
【0017】
式中のl、n、oはそれぞれ独立に1〜22を示し、mは2〜22を表す。また、pは1〜4の整数を表し、pが2以上の時に繰り返されるoおよびZは同一であっても異なっていても良い。ただし、l、m、n、oの和は8以上である。
【0018】
本発明におけるフェノール化合物のさらに具体的な例としては、たとえば前記一般式(3)の例として表6に示す化合物が挙げられる。また、他の一般式(4)〜(10)で表される化合物も、これらと同様なものが具体例として挙げられる。しかし、本発明は何等これらに限定されるものではない。
【0019】
【表6−(1)】
【0020】
【表6−(2)】
【0021】
【表6−(3)】
【0022】
【表6−(4)】
【0023】
【表6−(5)】
【0024】
【表6−(6)】
【0025】
【表6−(7)】
【0026】
【表6−(8)】
【0027】
【表6−(9)】
【0028】
【表6−(10)】
【0029】
【表6−(11)】
【0030】
【表6−(12)】
【0031】
【表6−(13)】
【0032】
【表6−(14)】
【0033】
【表6−(15)】
【0034】
【表6−(16)】
【0035】
【表6−(17)】
【0036】
【表6−(18)】
【0037】
また、さらに具体的なフェノール化合物としては、たとえば以下のものが挙げられる。その例として表6中の下記一般式で表される化合物の具体的な例を表7に挙げる。尚、表6中の他の式で表される化合物についても、同様なものが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化5】
【0038】
【表7−(1)】
【0039】
【表7−(2)】
【0040】
【表7−(3)】
【0041】
本発明の可逆性感熱発色組成物は、基本的に前記の顕色剤と発色剤を組み合わせることによって構成されるものである。本発明で用いる発色剤は電子供与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染料前駆体(ロイコ染料)であり、とくに限定されず、従来公知のもの、たとえばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物などから選択できる。その発色剤を以下に示す。
【0042】
本発明に用いる好ましい発色剤として下記の一般式の化合物がある。
【化6】
【化7】
(ただし、R11は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R12は炭素数1〜6アルキル基、シクロアキル基または置換されていてもよいフェニル基を示す。フェニル基に対する置換基としては、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基またはハロゲン原子等が示される。R13は水素原子、炭素数1〜2のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。R14は水素原子、メチル基、ハロゲン原子または置換されていても良いアミノ基を表す。アミノ基に対する置換基としては、例えば、アルキル基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良いアラルキル基を示す。ここでの置換基はアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基などである。)
【0043】
このような発色剤の具体例としては、たとえば次の化合物が挙げられる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメトルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、その他。
【0044】
本発明において好ましく用いられる他の発色剤の具体例を示すと以下の通りである。
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−パルミチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロロ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフロロメチルアニリノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4ベンゾ−4’−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロロフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−6−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−[3,6−ジエチルアミノ)]−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3、3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス−(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4−クロロ−5−メトキシフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、その他。
【0045】
本発明の可逆性感熱発色組成物は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。この基本的な発色・消色現象を説明する。図1は、この組成物の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある組成物を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こり、溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると、発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと、発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので、目的に合わせて選択できる。また、溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0046】
本発明の組成物では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は、顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0047】
本発明の組成物を可逆性感熱記録媒体として用いる場合、発色記録の形成はサーマルヘッドなどによりいったん溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度または結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組合せにより変化する。
【0048】
組成物中の発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組合せにより適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1から20の範囲であり、好ましくは0.2から10の範囲である、この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し問題となる。
【0049】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、支持体上に前記の組成物を主成分として含む記録層を設けたものである。支持体としては、紙、樹脂フィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、記録層を保持できるものであればよい。
【0050】
記録層は本発明の組成物が存在していればどのようなものでもよいが、一般的にはバインダー樹脂中に発色剤と顕色剤が細かく均一に分散した状態が用いられる。発色剤と顕色剤は個々に粒子を形成していてもよいが、より好ましくは複合された粒子として分散された状態を形成する。これは発色剤と顕色剤をいったん溶融したり溶解することによつて達成できる。このような記録層の形成は、各材料をそれぞれ溶剤中で分散溶解したのち混合した液、あるいは各材料を混合して溶剤中で分散または溶解した液を支持体上に塗布し、乾燥することによって行なわれる。発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
【0051】
本発明の可逆性感熱記録媒体には、必要に応じて記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば分散剤、界面活性剤、導電剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。
【0052】
記録層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、たとえばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類などがある。これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。たとえば熱、紫外線、電子線などでバインダー樹脂を架橋させてもよい。
【0053】
架橋可能な樹脂、すなわち硬化性樹脂としては、たとえば架橋剤およびこの架橋剤と反応する活性基を有する樹脂の組合せであり、熱、電子線、紫外線などにより架橋硬化できる樹脂である。熱硬化で用いられる樹脂は、たとえばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど、水酸基、カルボキシル基など架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または水酸基、カルボキシル基などを持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂がある。共重合樹脂には、たとえば塩ビ系、アクリル系、スチレン系などの樹脂があり、具体的には塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等が例示できる。
【0054】
熱架橋の架橋剤としては、たとえばイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。たとえば、イソシアネート類としては、イソシアネート基を複数持つポリイソシアネート化合物であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等、およびこれらのトリメチロールプロパンなどによるアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプおよびブロック化イソシアネート類等が挙げられる。架橋剤の樹脂に対する添加量としては、樹脂中の含まれる活性基の数に対する架橋剤の官能基の比が0.01〜2.0が好ましく、これ以下では熱強度が不足してしまい、またこれ以上添加すると発色・消色特性に悪影響をおよぼす。またさらに、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、たとえば1,4−ジアザービシクロ〔2,2,2〕オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。
【0055】
次に、電子線および紫外線硬化の際に用いられるモノマーとしては、たとえば以下のものが挙げられる。
単官能性モノマーの例
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸2−エトキシエチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジシクロペンテニルエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル等。
【0056】
2官能性モノマーの例
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイド2モル付加物のジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールのエステルのジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテルのジアクリレート等。
【0057】
多官能性モノマーの例
トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のポリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物等。
【0058】
オリゴマーの例
ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物等。
【0059】
また、紫外線を用いて架橋させる場合には、次のような光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。
光重合開始剤の例としては、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のα−アシロキシムエステル;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類;ジエトキシアセトンフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体;ベンゾフェノン、1−クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロベンゾフェノン等のケトン類が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でまたは2種類以上併用して使用される。添加量としてはモノマーまたはオリゴマー1重量部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0060】
光重合促進剤としては、芳香族系の第3アミンや脂肪族系アミンがある。具体的には、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらの光重合促進剤は、単独でまたは2種類以上併用して使用される。添加量としては光重合開始剤1重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。
【0061】
本発明に用いる紫外線照射の際の光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどがあるが、前記した光重合開始剤および光重合促進剤の紫外線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使用すればよい。また、紫外線照射条件としては、樹脂を架橋させるために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度を決めればよい。
【0062】
また、電子線照射装置としては、照射面積、照射線量などの目的に応じて走査形、非走査形いずれかを選べは良く、照射条件としては樹脂を架橋するのに必要な線量に応じて、電子流、照射幅、搬送速度を決めれば良い。
【0063】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、基本的に支持体上に上記の記録層が設けられたものであるが、記録媒体としての特性を向上するため、保護層、接着層、中間層、アンダーコート層、バックコート層などを設けることができる。
【0064】
サーマルヘッドを用いた印字では、熱と圧力のため記録層の表面が変形し、いわゆる打痕ができる場合がある。これを防止するため、表面に保護層を設けることが好ましい。保護層には、ポリビニルアルコール、スチレン無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂のほか、紫外線硬化樹脂および電子線硬化樹脂などが使用できる。また、保護層中には紫外線吸収剤などの添加剤を含有させることができる。
【0065】
記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることも好ましい。また、記録層の上に設置される保護層、中間層には、酸素透過性の低い樹脂を用いることが好ましい。このことにより、記録層中の発色剤および顕色剤の酸化を防止または低減することが可能になる。
【0066】
また、印加した熱を有効に利用するため、支持体と記録層の間に断熱性のアンダーコート層を設けることができる。断熱層は、有機または無機の微小中空体粒子をバインダー樹脂を用いて塗布することにより形成できる。支持体と記録層の接着性の改善や支持体への記録層材料の浸透防止を目的としたアンダーコート層を設けることもできる。
【0067】
中間層、アンダーコート層には、前記の記録層用の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。また、保護層、中間層、記録層およびアンダーコート層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどのフィラーを含有させることができる。その他、滑剤、界面活性剤分散剤などを含有させることもできる。
【0068】
本発明の可逆性感熱記録媒体を用いて発色画像を形成させるためには、いったん発色温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよい。具体的には、たとえばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラー、熱スタンプ、熱風などを用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。記録層を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドへの印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去ができ、いわゆるオーバーライトが可能になる。もちろん、熱ローラー、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消去することもできる。
【0069】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、必要に応じ、1層あるいは多層の着色層を記録媒体の全面もしくは一部分に設けても良く、これらの着色層上にさらに保護層を設けていても良い。このとき着色層および保護層は、繰り返し耐久性を満足するものが好ましい。また、保護層は着色層を覆っていれば良く、着色層が記録媒体の一部分に設けられている場合には着色層を覆う部分だけでも良く、記録媒体全体を覆っていても良い。また、本発明の可逆性感熱記録媒体の表面および裏面の最上層が具備すべき特性としては、前記の繰り返し耐久性に加え、搬送性、耐指紋性などの汚れ・付着物に対する耐性、印字装置のクリーニング性などが挙げられる。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は任意の形状に加工することができ、また、粘着剤などを介して他の媒体に貼り付けることもできる。
【0070】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中の「部」および「%」はいずれも重量を基準とするものである。
【0071】
実施例1
発色剤として、2−アニリノ−3−メチル−6−N−ジブチルアミノフルオランを用い、顕色剤としてN−ステアロイル−β−アラニン−2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアミドを用いて、本発明の組成物を以下のように作成した。まず、発色剤と顕色剤を1:3の混合比(モル比)となるように秤量し、乳鉢で粉砕混合した。厚さ1.2mmのガラス板をホットプレート上で温度170℃に加熱した。続いて、溶融混合物の上からカバーグラスをかぶせ、融液を一様な厚さに広げ、すぐにガラス板ごと全体を用意しておいた氷水中に沈め、急冷した。降温後、すぐに氷水上から取り出し、付着した水を除き、薄膜状の発色した本発明の組成物を得た。次に、上記の発色状態の組成物試料を110℃に加熱したホットプレート上に置くと、瞬時に消色した。再びこの消色した組成物試料を170℃に加熱すると、黒色を呈した。このことから、本発明の組成物は発色消色の繰り返し特性を有することが確認された。
【0072】
実施例2
実施例1中のN−ステアロイル−β−アラニン−2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアミドの代わりに、6−ステアロイルアミノ−カプロイックアシッド−2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアミドを用いた他は、実施例1と同様にして発色消色を確認したところ、実施例1と同様に発色消色の繰り返し特性を有することが確認された。
【0073】
実施例3〜8および比較例1〜4
下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉砕分散して、記録層塗布液を調整した。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン 2部
表8中の顕色剤 8部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
(ユニオンカーバイト社製、VYHH) 20部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
上記組成の記録層塗布液を、厚さ100μmのポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用い塗布し、乾燥して膜厚約6.0μmの記録層を持つ可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0074】
【表8】
【0075】
比較例5
比較例1中の2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランの代わりに2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオランを用いた他は、比較例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0076】
得られた記録媒体を8ドット/mmのサーマルヘッドによって印加電圧13.3V、印加パルス幅1.2ミリ秒の条件で印字し、発色画像を得た。この発色画像および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定した。この測定結果を表9に示す。次に、この発色した記録媒体をホットスタンプにて表9中の温度にて0.5秒および1秒で消色させ、消色濃度を測定した。さらに、上記発色操作とホットスタンプ1秒の消色操作を10回繰り返して行い、発色の可逆性を調べたところ、本発明の記録媒体は発色消色の繰り返しが可能であることを確認できた。また、発色状態にある記録媒体を50℃乾燥条件下で24時間保存して、保存前後の地肌濃度および発色濃度を測定して保存性を調べた。この結果を表9に示す。なお、表中の濃度保持率は下記式で与えられる。
濃度保持率(%)
={(保存後発色濃度−保存後地肌濃度)/(保存前発色濃度−保存前地肌濃度)}×100
【0077】
【表9】
【0078】
実施例9
下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉砕分散して、記録層分散液を調製した。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン 2部
下記の構造の顕色剤 8部
ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製タケラック
U−21)の15%テトラヒドロフラン(THF)溶液 150部
顕色剤構造式
【化8】
得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジアミンジイソシアネート 75%酢酸エチル溶液)20部を加え、良く撹拌し記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、厚さ100μmの白色ポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して膜厚約6μmの記録層を設けた。
【0079】
この記録層上に下記組成からなる中間層塗液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して膜厚約2μmの中間層を設けた。
〈中間層塗液〉
ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製タケラック
U−21)の10%メチルエチルケトン(MEK)溶液 100部
超微粒子窒化珪素(平均粒径70nm) 10部
コロネートHL 15部
【0080】
さらに、中間層上に下記組成からなる保護層塗液をワイヤーバーを用いて塗工した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通し、硬化して膜厚3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
〈保護層塗液〉
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7−157) 10部
シリカ(水沢化学社製 P−527) 0.1部
酢酸エチル 90部
【0081】
以上の様に作製した記録媒体を8ドット/mmのサーマルヘッドによって印加電圧13.3V、印加パルス幅1.2ミリ秒の条件で印字した。この印字部および地肌部の光学濃度をマクべス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度は1.18で、地肌濃度は0.10であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.10であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0082】
実施例10
下記の記録層分散液を用いた他は、実施例9と同様にして記録層を設けた。
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−
アザフタリド 2部
下記の構造の顕色剤 8部
N,N’−ジオクタデシル尿素 0.4部
ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製
タケラックU−21)の15%THF溶液 150部
顕色剤構造式
【化9】
次に、実施例9の中間層塗液中から超微粒子窒化珪素(平均粒径70nm)を除いた他は、実施例9と同様にして中間層を設けた。
【0083】
次に、下記保護層塗液を用いた他は、実施例9と同様にして保護層を設けた。
〈保護層塗液〉
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7−157) 10部
下記の構造の紫外線吸収剤 0.5部
酢酸エチル 90部
紫外線吸収剤構造式
【化10】
次に、大日本インキ社製OPニス(ニューダイキュア OL OPニス)をRIテスターを用い印刷した後、7m/分でUV照射して膜厚1.5μmのOP層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0084】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度は0.98で、地肌濃度は0.09であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、140℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.09であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0085】
実施例11
下記の記録層分散液を用い、コロネートHLを10部用いて記録層塗布液を調製した他は、実施例9と同様にして記録層を設けた。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン 2部
下記の構造の顕色剤 8部
アクリルポリオール樹脂(三菱レーヨン社製LR286)
の15%THF溶液 150部
顕色剤構造式
【化11】
【0086】
次に、下記の中間層塗液を用いた他は、実施例9と同様にして中間層を設けた。
〈中間層塗液〉
アクリルポリオール樹脂(三菱レーヨン社製LR286)
の10%MEK溶液 100部
超微粒子酸化亜鉛(平均粒径20nm) 10部
コロネートHL 5部
【0087】
次に、下記の保護層塗液を用いた他は実施例9と同様にして保護層を設けた後、実施例10と同様にしてOP層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
〈保護層塗液〉
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7−157) 10部
酢酸エチル 90部
【0088】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度は1.19、地肌濃度は0.10であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、120℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.10であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0089】
実施例12
実施例10の記録層分散液中からN,N’−ジオクタデシル尿素を除いた他は、実施例10と同様にして記録層を設けた。
次に、記録層上に実施例10と同様の保護層を設けて、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0090】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度は0.95、地肌濃度は0.10であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、140℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.10であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0091】
実施例13
実施例12と同様にして記録層を設けた後、実施例9と同様にして中間層を設けた。
次に、記録層上に実施例10と同様のOPを設けて、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0092】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度は1.01、地肌濃度は0.09であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、140℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.09であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0093】
実施例14
実施例12と同様にして記録層を設けた。
この記録層上に下記組成からなる中間層塗液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して膜厚約2μmの中間層を設けた。
〈中間層塗液〉
ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製タケラック
U−21)の10%メチルエチルケトン(MEK)溶液 100部
下記の構造の紫外線吸収剤 10部
コロネートHL 15部
紫外線吸収剤構造式
【化10】
次に、中間層上に実施例10と同様のOP層を設けて、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0094】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度は0.97、地肌濃度は0.09であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、140℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.09であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0095】
実施例15
下記の記録層分散液を用いた他は、実施例9と同様にして記録層を設けた。
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−
アザフタリド 2部
下記の構造の顕色剤 8部
ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製タケラック
U−21)の15%THF溶液 150部
顕色剤構造式
【化12】
この記録層上に実施例9と同様の中間層を設けた後、実施例11と同様にして保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0096】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度1.04、地肌濃度は0.11であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、160℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.11であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0097】
実施例16
実施例15と同様にして記録層を設けた後、記録層上に実施例10と同様に保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0098】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度1.01、地肌濃度は0.11であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、160℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.11であった。また、前記の印字・消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0099】
実施例17
下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉砕分散して、記録層塗布液を調製した。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン 2部
下記の構造の顕色剤 8部
ポリn−ブチルメタアクリレート樹脂(三菱レーヨン社製BR102)
の15%THF溶液 150部
顕色剤構造式
【化12】
上記組成の記録層塗布液を、厚さ100μmの白色ポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥して膜厚約6μmの記録層を設けた。
【0100】
この記録層上に下記組成からなる中間層塗液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥して膜厚約2μmの中間層を設けた。
〈中間層塗液〉
ポリn−ブチルメタアクリレート樹脂(三菱レーヨン社製BR102)
の10%メチルエチルケトン(MEK)溶液 100部
超微粒子酸化亜鉛(平均粒径20nm) 10部
次に、中間層上に実施例9と同様の保護層を設けて、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0101】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度は1.11、地肌濃度は0.11であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、160℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.11であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0102】
実施例18
実施例17と同様にしての中間層を設けた後、実施例10と同様の保護層を設けて、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0103】
以上の様に作製した記録媒体を実施例9と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、印字濃度1.05、地肌濃度は0.11であった。次に、この印字部をホットスタンプを用い、160℃0.5秒で消去したところ消去濃度は0.11であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux100時間照射したところ、印字部・地肌部共に良好な状態であった。
【0104】
【発明の効果】
本発明の可逆性感熱発色組成物は、安定な発色状態と良好な消色状態を繰り返して形成できるため、これを用いた可逆性感熱記録媒体はコントラストの高い画像の形成と消去が容易な操作により可能になる。また、発色画像は高速消去が可能でさらに高温での保存性に優れたものであり、実用性の高い書替え型記録が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性感熱発色組成物の発色・消色特性を示す図である。
Claims (10)
- 請求項1の可逆性感熱発色組成物を主成分として含有する記録層を支持体上に設けたことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
- バインダーを含有し、該バインダーが架橋されていることを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 磁気記録層および/または非可逆性感熱記録層が設けられたことを特徴とする請求項2または3に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 保護層、接着層、断熱層および/またはアンダーコート層が設けられたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 請求項2〜5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の表面の少なくとも一部を、発色開始温度以上に加熱した後急冷して発色画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項6に記載の発色画像が形成された可逆性感熱記録媒体を、発色開始温度よりも低い温度で加熱して発色画像を消色することを特徴とする画像消去方法。
- 請求項2〜5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の表面の少なくとも一部を、発色開始温度以上に加熱した後急冷して発色画像を形成し、次いで発色開始温度よりも低い温度で加熱して前記発色画像を消色することを特徴とする画像形成消去方法。
- サーマルヘッドまたはレーザー光で加熱して発色画像を形成することを特徴とする請求項6または8に記載の画像形成方法。
- サーマルヘッド、熱ローラー、熱スタンプまたは熱風で加熱して前記発色画像を消色することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像消去方法。
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