JP3556339B2 - 孔版印刷装置及び孔版印刷方法 - Google Patents

孔版印刷装置及び孔版印刷方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、孔版印刷装置及び孔版印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来使用されている孔版印刷用のマスタは、薄い熱可塑性樹脂フィルム(厚み1〜2μm程度)に和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙繊維と合成繊維とを混抄したものからなる多孔性支持体を貼り合わせたラミネート構造となっている。このマスタの熱可塑性樹脂フィルム面を加熱穿孔製版し、多孔性の支持円筒体に樹脂繊維あるいは金属繊維から構成されたメッシュスクリーン等からなるインキ保持層を有する回転自在な版胴に、製版されたマスタを巻装して、版胴内部に設けられたインキ供給手段よりインキを供給し、プレスローラー等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押圧して、版胴開孔部及びマスタ穿孔部よりインキを滲出させて印刷を行う感熱デジタル孔版印刷装置がよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に前述の孔版印刷装置においては、印刷装置を一定時間放置した後や印刷を停止した後に再度印刷を再開した場合等に、インキが蒸発することに起因して発生する印刷不良の不具合を防止するため、蒸発しにくい油性インキや油中水滴型エマルジョンインキが使用されている。
【0004】
しかし、このインキは乾燥しにくいため、印刷時において、印刷用紙に転移したインキが印刷用紙内へ浸透して指等で擦っても汚れが発生しない、所謂、浸透乾燥した状態となるまでにはある程度の時間を必要とする。
【0005】
孔版印刷装置では、印刷済みの印刷用紙は連続的に排紙トレイに排出積載されるが、このときに前の印刷用紙上に次の印刷用紙がすぐに積載されると、インキの乾燥時間が短く前の印刷用紙の画像インキが次の印刷用紙の裏面に付着して汚してしまう、所謂、裏写りという不具合を発生してしまう。この裏写りは、インキ転移量の多い画像、とりわけ印刷用紙表面に転移したときのインキ層の厚さの厚い(インキ転移高さの高い)画像の印刷時において発生し易い。
【0006】
さらに、従来の孔版印刷装置に用いられているマスタや版胴では、マスタの穿孔径に対して多孔性支持体やインキ保持層の開孔径(空隙)が大きくなるように構成されており、転移するインキ量を減少させて裏写りを防止する効果がほとんど期待できなかった。
【0007】
また、従来の多孔性支持体やメッシュスクリーンでは、流入するインキの流動方向を変化させずに流出させてしまう部分が多く存在し、この部分においてインキの流出量が大きくなって裏写りを引き起こしてしまうという問題点がある。
【0008】
そこで、インキの転移量を少なくするため、孔版印刷装置では比較的粘度の高いインキが使用されているが、粘度の高いインキは、流動性が悪いため印刷用紙内部への浸透性が悪く、浸透乾燥に時間がかかり裏写りをさらに悪化させていた。また、このように浸透乾燥に時間がかかる場合では、印刷用紙の毛細管力により液体成分のみが先に印刷用紙内に浸透する割合が高くなり、固体成分である着色剤がより多く紙面上に蓄積され、消しゴム等で擦った場合に着色剤がはぎ取られて画像品質が低下してしまい、定着性が悪くなるという問題点がある。
【0009】
また、インキ重量に対する着色剤重量の割合、すなわち着色剤のコンテント量が多いと、印刷用紙表面に着色剤がより多く蓄積するので、より定着性が悪化してしまう。
【0010】
逆にインキの粘度が低い場合には、着色剤の印刷用紙内への浸透量が多く定着性は良好であるが、前述の如くインキの転移量が多く、それに加えて着色剤の印刷用紙内への浸透量も増加するため、印刷用紙の裏面にまで着色剤が及ぶ、所謂、裏抜けが増加し、用紙の裏面が使用できないという問題点を生じる。
【0011】
本発明は、裏写りの発生を効果的に防止すると共に、裏抜けが少なく、定着性の良好な印刷物を得ることができる孔版印刷装置及び孔版印刷方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、前記多孔性支持体はインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、前記多孔性支持体はインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有していることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の孔版印刷装置において、さらに、前記多孔性支持体は繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の孔版印刷装置において、さらに、前記多孔性支持体は、その厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、前記多孔性支持体はその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、前記多孔性支持体はその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記多孔性支持体は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、前記多孔性支持体は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、前記多孔性支持体は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、前記マスタとして、前記多孔性支持体がインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いることを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、前記マスタとして、前記多孔性支持体がインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いることを特徴とする。
【0023】
請求項12記載の発明は、請求項10または請求項11記載の孔版印刷方法において、さらに前記マスタとして前記多孔性支持体が繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されたものを用いることを特徴とする。
【0024】
請求項13記載の発明は、請求項10または請求項11記載の孔版印刷方法において、さらに前記マスタとして前記多孔性支持体がその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特徴とする。
【0025】
請求項14記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、前記マスタとして、前記多孔性支持体がその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特徴とする。
【0026】
請求項15記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、前記マスタとして、前記多孔性支持体がその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特徴とする。
【0027】
請求項16記載の発明は、請求項10ないし請求項15のうちの何れか1つに記載の孔版印刷方法において、さらに前記マスタとして前記多孔性支持体の少なくともその表面が金属で構成されたものを用いることを特徴とする。
【0028】
請求項17記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、前記マスタとして、前記多孔性支持体の少なくともその表面が金属で構成されたものを用いることを特徴とする。
【0029】
請求項18記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、前記マスタとして、前記多孔性支持体の少なくともその表面が金属で構成されたものを用いることを特徴とする。
【0030】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面粗さを5〜45μmRzとなるように構成してもよい。
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面の繊維径を1〜20μmとなるように構成してもよい。
【0031】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、インキ保持部材を外遊面に有する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和をを5〜45μmRzとなるように構成してもよい。
上述のインキ保持部材を繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成してもよい。
【0032】
上述のインキ保持部材を外表面に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成してもよい。
上述のインキ保持部材を少なくともその表面が金属で構成されているものとしてもよい。
【0033】
上述のインキ保持部材として、インキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が、前記版胴の外周面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いてもよい。
【0034】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面粗さを5〜45μmRzとなるように構成してもよい。
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面の繊維径を1〜20μmとなるように構成してもよい。
【0035】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、インキ保持部材を外遊面に有する版胴と、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部材の前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和をを5〜45μmRzとなるように構成してもよい。
上述のインキ保持部材として繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されたものを用いてもよい。
【0036】
上述のインキ保持部材として外表面に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いてもよい。
上述のインキ保持部材として少なくともその表面が金属で構成されているものを用いてもよい。
【0037】
上述のインキ保持部材として、インキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が、前記版胴の外周面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いてもよい。
【0038】
【実施例】
本発明で用いるインキは、鉱物油または植物油中に着色剤、乳化剤及び水を分散させて構成され、油相約10〜90重量%と水相90〜10重量%によって構成されるW/O(油中水滴)型エマルジョンインキである。
【0039】
本発明で用いる鉱物油としては、例えば石油系溶剤、流動パラフィン、スピンドル油、軽油、灯油、マシン油、ギヤ油、潤滑油、モーター油等が、また植物油としては、例えばあまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、菜種油、ひまし油、大豆油、脱水ひまし油等が挙げられる。
【0040】
また、ポリイソブチレン類、水素化ポリデセン類、トリメチロールプロパンエステル類、ネオペンチルエステル類、ペンタエリスリトールエステル類、シロキサン類、シリコン類、フロロカーボン類、アルキル置換ジフェニルエーテル類、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の合成油も使用可能である。なお、石油系溶剤としては、エクソン社のアイソパー(商品名)や日本石油社の日石ソルベント(商品名)等の混合溶剤を使用してもよい。また、これらの油は、単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0041】
着色剤としては、従来周知のものが任意に使用でき、例えばカーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、建染染料系顔料、媒染染料系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料及び天然染料系顔料等が挙げられる。これらの顔料類は、単独で添加しても2種以上混合して添加してもよい。
【0042】
乳化剤としては、非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、具体的にはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物等が例示される。これらは単独あるいは2種以上混合して添加すればよく、添加量はインキ重量の1〜8重量%、好ましくは2〜5.5重量%とすればよい。
【0043】
本発明においては、上記の他、油相にはエマルジョンの形成を妨害しない範囲で樹脂、着色剤の分散剤、ゲル化剤及び酸化防止剤等を添加することができる。なお、上述した着色剤や乳化剤も油相に含まれる。また、水相にはエマルジョンの形成を妨害しない範囲で水溶性高分子、防腐・防黴剤、水の蒸発抑制剤、凍結防止剤、pH調整剤、電解質等を添加することができる。水に関しては清浄であればよく、具体的には水道水、イオン交換水、蒸留水等を用いればよい。
【0044】
油相に添加される樹脂は、着色剤と被印刷物との固着、着色剤の分散及びインキの経時安定性向上等のために、従来から添加されているバインダー樹脂である。従って、従来から添加されている樹脂を添加すればよく、具体的にはロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂、ゴム誘導体、重合ひまし油等を1種または2種以上混合して添加すればよい。添加量はインキ重量の20重量%以下、好ましくは1〜7重量%とすればよい。
【0045】
カーボンブラック等の着色剤用分散剤には、上述の乳化剤用非イオン界面活性剤を使用することができる。この他、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、脂肪族多価カルボン酸、ポリエーテル、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミド、リン酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等も使用可能である。これらの分散剤は、単独または2種以上混合して添加すればよく、その添加量は着色剤重量の40重量%以下、好ましくは2〜35重量%とすればよい。
【0046】
ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性等を向上させる役割を持ち、本発明に用いられるインキに添加されるゲル化剤としては、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。このような化合物を例示すると、リチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、コバルト、鉄、マンガン、マグネシウム、鉛、亜鉛、ジルコニウム等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等であり、具体的にはオクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種または2種以上を油相に添加すればよく、その添加量は油相中の樹脂の15重量%以下、好ましくは5〜10重量%である。
【0047】
油相に添加される酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール等であり、これらの添加によって油相中のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキ粘度の上昇等が防止される。その添加量は、インキ中の油の2重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量%である。この酸化防止剤は、単独で使用してもあるいは2種以上混合して使用してもよい。
【0048】
エマルジョンインキの水相に添加される水溶性高分子は、保湿や増粘のために添加されるものであり、具体的には次の天然または合成高分子が添加される。デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のアクリル樹脂誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル等の合成高分子、その他。これらの水溶性高分子は、単独で添加しても2種以上混合して添加してもよく、インキに含まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重量%添加される。
【0049】
水相に添加される防腐・防黴剤は、エマルジョン内での細菌や黴の繁殖を防止するために添加され、エマルジョンを長期間保存する場合等に用いられる。その添加量は、インキ中に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量%とするのがよい。防腐・防黴剤としては、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物及びその塩素化合物の他、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が使用され、これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0050】
水の蒸発抑制剤と凍結防止剤とは兼用可能であり、これらの目的で添加される薬品は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール、グリセリンやソルビトール等の多価アルコール等である。これらの薬品は1種または2種以上添加すればよく、添加量はインキ中の水重量の15重量%以下、好ましくは4〜12重量%である。
【0051】
水に添加されるpH調整剤は、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等であり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHがこの範囲から外れると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にその効果が損なわれる等の問題がある。
【0052】
水相に添加される電解質は、エマルジョンの安定性を高めるために添加されるものである。従って、その電解質には、エマルジョンの安定性向上に有効な離液順列が高いイオンで構成された電解質を添加するのがよい。離液順列が高い陰イオンは、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等であり、離液順列が高い陽イオンは、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンであるから、ここで添加される電解質としては、少なくとも陰イオンか陽イオンの一方が前記イオンよりなる塩が好ましい。従って、ここで添加される電解質としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、硼酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が好ましく、添加量は水相の0.1〜2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%である。
【0053】
上述の他、本発明の孔版印刷装置及び孔版印刷方法に用いられるエマルジョンインキには、印刷時において印刷用紙と版胴との分離を促すため、あるいは印刷用紙の巻き上がりを防止する等のために、油相にワックスを添加することができる。また、水相には、トリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等を添加して水溶性高分子添加による高粘度化をさらに増進させることができる。さらに、水相に防錆剤や消泡剤を添加して、印刷の際に印刷装置がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されている周知の物質を必要に応じて添加すればよく、添加量は従来品と同等でよい。
【0054】
本発明に用いられるエマルジョンインキは、従来のエマルジョンインキ製造時と同様に油相及び水相液を調整し、両者を周知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。すなわち、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物をよく分散させた油を常法にて調整し、これに防腐・防黴剤や水溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化させればよい。
【0055】
図1は、本発明の第1の実施例に用いられる孔版印刷装置の要部を示している。同図において、回転自在に支持され、図示しない版胴駆動手段で回転駆動される版胴1は、インキパイプ2、インキローラー3、ドクターローラー4等から構成されるインキ供給手段60をその内部に有している。
【0056】
版胴1は、図2に示すように、開孔部1aを有する多孔性支持板1bと、多孔性支持板1bの外表面に巻装されたインキ保持層15とから構成されている。インキ保持層15は、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維またはステンレス繊維等を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーンからなり、インキを通過させるためのインキ通路を有し、インキの拡散、保持、押し出し等の働きをする。このインキ保持層15は、複数層設けても、1層だけ設けるように構成してもよく、また設けなくてもよい。
【0057】
版胴1の支軸を兼ねたインキパイプ2は図示しない筐体側板に固着されており、その表面には、版胴1の内部にインキを供給するための複数の小さな孔が穿設されている。インキパイプ2は、版胴1の外部に配設された図示しないインキパック内から図示しないポンプによって汲上げられたインキを版胴1の内部に供給する。
【0058】
インキパイプ2の下方には、インキローラー3とドクターローラー4とが配設されている。版胴1内の図示しない側板に回転自在に支持されたインキローラー3は、その外周面が版胴1の内周面と近接するように設置されており、インキパイプ2より供給されたインキを版胴1に供給する。インキローラー3は、図示しないギヤあるいはベルト等の駆動力伝達手段によって版胴駆動手段からの回転力を伝達され、版胴1と同期して図の時計回り方向に回転駆動される。
【0059】
インキローラー3の近傍には、回転自在なドクターローラー4が配設されている。ドクターローラー4は、その外周面とインキローラー3の外周面との間に僅かな間隙が生じるように配設されており、インキローラー3の外周面との近接部において楔状のインキ溜まり5を形成している。
【0060】
インキパイプ2よりインキ溜まり5へと供給されたインキは、インキローラー3とドクターローラー4との間隙を通過することにより均一な層状となりつつインキローラー3の表面に供給される。
【0061】
版胴1の非開孔部表面には、軸方向に延在するステージ部6が設けられている。磁性体で形成されたステージ部6上には、ステージ部6に対して接離自在に枢着されたマグネットを有するクランパー7が配設されており、クランパー7は図示しない開閉手段によって回動される。
【0062】
版胴1の左上方には、マスタ8をロール状に巻成してなるマスタロール9と、サーマルヘッド10及びプラテンローラー11からなる製版手段61と、マスタ搬送ローラー対12と、切断手段13と、マスタガイド板14とが配設されている。
【0063】
この第1の実施例に用いられるマスタ8は、図3に示すように、和紙繊維等の天然繊維、あるいはポリエステル、テトロン、ナイロン等の合成樹脂繊維8aでインキを通過させるためのインキ通路を形成した不織布からなる多孔性支持体8cと、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム8bとを接着等によって貼り合わせた構造となっている。
【0064】
なお、多孔性支持体8cは、楮、三椏、マニラ麻、亜麻等の天然繊維からなる多孔性薄葉紙や、レーヨン、ビニロン、フッ素樹脂、ポリエステル等の合成樹脂繊維からなる不織布、あるいは天然繊維と合成樹脂繊維とを混抄してなる不織布より構成してもよい。
【0065】
マスタロール9は、その芯部9aを図示しないホルダー手段に回転可能に支持されている。
サーマルヘッド10とプラテンローラー11とは、図示しない孔版印刷装置の側板に取り付けられている。多数の発熱素子を有するサーマルヘッド10は、図示しない付勢手段によってプラテンローラー11に付勢されている。プラテンローラー11は回転自在に設けられており、図示しないステッピングモーターによって、図において時計回り方向に回転駆動される。マスタ8は、その熱可塑性樹脂フィルム8bをサーマルヘッド10に押圧され、サーマルヘッド10によって熱溶融穿孔製版されつつプラテンローラー11の回転によってマスタロール9より繰り出される。
【0066】
サーマルヘッド10とプラテンローラー11とが配設された位置よりもマスタ搬送方向下流側には、マスタ搬送ローラー対12が配設されている。図示しない孔版印刷装置の側板に回転自在に支持されたマスタ搬送ローラー対12は、図示しない駆動手段によってプラテンローラー11の周速度よりも僅かに速い周速度で回転駆動される。また、マスタ搬送ローラー対12には図示しないトルクリミッターが取り付けられており、プラテンローラー11とマスタ搬送ローラー対12との間で搬送されるマスタ8に対して、予め設定された張力が一定に作用するように構成されている。
【0067】
マスタ搬送ローラー対12の配設位置よりもマスタ搬送方向下流側には、可動刃13aと固定刃13bとからなる切断手段13及びマスタガイド板14が配設されている。切断手段13は、可動刃13aが固定刃13bに対して回転移動または上下動してマスタ8を切断する周知の構成である。マスタガイド板14は図示しない孔版印刷装置の側板に固着されており、搬送されるマスタ8をガイドする。
【0068】
版胴1の下方には、押圧手段としてのプレスローラー16が配設されている。回転自在に支持されたプレスローラー16は、図示しない揺動手段によって、その外周面が版胴1の外周面より離間する位置と版胴1の外周面と当接する位置とに選択的に揺動される。
【0069】
プレスローラー16の右方には、レジストローラー対17が配設されている。レジストローラー対17は、図示しない給紙手段より給送される印刷用紙18の先端を啣え込み、プレスローラー16が版胴1と当接するタイミングと同期して、印刷用紙18を版胴1とプレスローラー16との間に向けて給送する。なお、押圧手段として、プレスローラー16の代わりに版胴1と略同径の圧胴を設けてもよい。
【0070】
上記構成に基づき、以下に動作を説明する。
図示しない原稿読取部に原稿がセットされ、図示しない製版スタートキーが押されると、版胴1が回転し、図示しない排版装置によって版胴1の外周面に巻装されている使用済みマスタが剥離・廃棄され、版胴1はクランパー7が略真上に位置する給版待機位置で停止する。版胴1の回転が停止すると、図示しない開閉手段が作動してクランパー7が開放され、版胴1は図1に示す給版待機状態となる。
【0071】
排版動作が完了すると、これに続いて製版動作が行われる。読み取られた原稿画像は、原稿読取部のCCD等で電気信号に変換され、A/D変換器を経由して製版制御装置に画像データとして送られる。製版制御装置は、送られた画像データに基づいてサーマルヘッド10の発熱素子に対してパルス状の通電を行い、サーマルヘッド10はマスタ8の熱可塑性樹脂フィルム8bに対して熱溶融穿孔製版を行う。サーマルヘッド10の作動に先立って、プラテンローラー11が図示しないステッピングモーターによって回転駆動され、マスタロール9よりマスタ8が引き出される。
【0072】
製版画像を形成されたマスタ8は、マスタガイド板14にガイドされつつマスタ搬送ローラー対12によってクランパー7へと搬送される。プラテンローラー11を駆動するステッピングモーターのステップ数より、マスタ8の先端がクランパー7とステージ部6との間の所定位置まで達したと判断されると、図示しない開閉手段が作動してクランパー7を反時計回り方向に回動させ、ステージ部6とクランパー7とでマスタ8の先端を挟持した後、版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で時計回り方向に回転を開始し、マスタ8の版胴1への巻装が開始される。
【0073】
そして、プラテンローラー11を駆動するステッピングモーターのステップ数より、1版分の製版が完了したと判断されるとプラテンローラー11とマスタ搬送ローラー対12の回転動作がそれぞれ停止され、切断手段13によってマスタ8が切断される。切断されたマスタ8は、版胴1の回転によって引き出されて巻装動作が完了する。
【0074】
巻装動作に引き続き、版付動作が行われる。
図示しない給紙手段より給送された印刷用紙18はレジストローラー対17に啣え込まれる。レジストローラー対17は、低速で回転している版胴1に巻装されたマスタ8の画像領域がプレスローラー16と対応する位置に達するタイミングで、印刷用紙18を版胴1とプレスローラー16との間に向けて給送する。給送された印刷用紙18は、プレスローラー16によって版胴1に巻装されたマスタ8に押圧される。この押圧動作により、プレスローラー16と印刷用紙18とマスタ8と版胴1の外周面とが圧接し、インキローラー3によって版胴1の内周面に供給されたインキが、開孔部1aとインキ保持層15のオープンエリアより滲出し、インキ保持層15のオープンエリアとマスタ8を構成する多孔性支持体8cの空隙部とに充填された後、熱可塑性樹脂フィルム8bの穿孔部を通過して印刷用紙18に転移される。
【0075】
インキを転移された印刷用紙18は、図示しない剥離爪によって版胴1の外周面より剥離され、図示しない排紙手段によって機外に排出されて版付動作が完了する。
【0076】
版付動作完了後、図示しない印刷スタートキーが押されると、図示しない給紙手段より印刷用紙18が連続的に給送され、版胴1が高速で回転駆動されて印刷動作が行われる。
【0077】
上述の版付動作または印刷動作中において、版胴1の表面から印刷用紙18が剥離されるときに、図4、図5及び図6に示すように、マスタ8の表面のインキと印刷用紙18との接着力によって熱可塑性樹脂フィルム8bの穿孔部8dよりインキ19が引き出されるが、インキ19が引き出される量は多孔性支持体8cの構造と関係があり、多孔性支持体8cの表面の凹凸L(表面粗さ)が大きければ大きいほど穿孔部8dの上方の空隙8e内のインキ層が厚くなり、引き出されるインキ量、すなわちインキ転移高さlが増加する。
【0078】
図4及び図5に示すように、表面の凹凸Lが大きくなればなるほど、インキが存在する穿孔部8dの上方の空隙8eが大きくなり、これにより穿孔部8dを介して多孔性支持体8cからインキ19が多量に引き出されてしまう。そこで、図6に示すように、合成樹脂繊維8aの繊維径を細くすればするほど凹凸Lが小さくなり、引き出されるインキ量(インキ転移高さl)も低減されるが、凹凸Lをあまり小さくしすぎると引き出されるインキ量が少なくなりすぎて満足な画像が得られない。
【0079】
従来の孔版印刷装置においては、インキ転移量を少なくするために比較的粘度の高いインキが使用されているが、粘度の高いインキは印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受け易く、インキ転移量、すなわち画像濃度が印刷速度や環境の変化に応じて変化してしまう。
【0080】
さらに、上述のインキでは流動性が悪いため、転移したインキ19の印刷用紙18の内部への浸透速度が遅く、印刷用紙18の毛細管力によりインキ19の液体成分のみが先に浸透するため、固体成分である着色剤がより多く印刷用紙18の表面上に蓄積され、定着性が悪くなるという不具合が発生する。これは、着色剤のコンテント(インキ重量に対する着色剤量の割合)に比例し、着色剤のコンテントが多いほど印刷用紙18の表面に着色剤が多く蓄積するため、定着性がより悪化する。
【0081】
逆にインキの粘度が低い場合には、印刷用紙18の表面に転移したインキ19は、その流動性がよいために素早く印刷用紙18の内部に浸透するので、インキ19の着色剤の印刷用紙18内への浸透速度も速く定着性は良好であるが、前述のようにインキの転移量が多く、それに加えて着色剤の印刷用紙18内への浸透量が多くなるために裏抜けが多くなり、印刷用紙18の裏面が使用できないという不具合を生じる。これも着色剤のコンテントに比例し、コンテントが多くなるに連れて裏抜けが増加する傾向にある。
【0082】
そこで、厚さ100μm、密度0.4g/cm の多孔性支持体8cにおいて、合成樹脂繊維8aの繊維径を変化させることにより凹凸Lを調整すると共に、W/O型エマルジョンインキの粘度、さらに着色剤のコンテントを変化させて印刷を行い、そのときの裏写り、裏抜け、画像濃度、定着性、速度差をそれぞれ調査した。
【0083】
実験では、デジタル孔版印刷機プリポートVT3820((株)リコー製)を用いて印刷を行い、表面粗さ計SEF−30D((株)小坂研究所製)を用いて多孔性支持体8cの凹凸L(表面粗さ)を測定した。表面粗さの測定については、半径7μmのヘッドを使用し、送り速度0.1mm/sec、測定長さ0.8mmで測定し、この範囲での十点平均粗さを求め、これを10箇所測定してその平均より凹凸L(表面粗さRz )を算出した。なお、表面粗さの測定は、多孔性支持体8cと熱可塑性樹脂フィルム8bとを貼り合わせる前に、多孔性支持体8cの熱可塑性樹脂フィルム8bと接する側の面について行い、その後、多孔性支持体8cのその面に薄く接着剤を塗布し、熱可塑性樹脂フィルム8bを貼り合わせてマスタ8を得ている。この表面粗さの測定は、後述する第2ないし第6の実施例及びその変形例においても同様に行っている。また、熱可塑性樹脂フィルム8bの厚さは1.5μmである。インキ粘度の測定は、コンプレート型粘度計CV2(HAAKE製)を用いて行い、そのときの測定条件は、気温20℃、シェアレート100 1/sであった。以下に示す部は、重量基準である。
【0084】
(実施例A)
カーボンブラック(着色剤) 3.0重量部
アルミキレート 0.2重量部
アイソパーG油(粘度 0.8mPa・s 25℃) 13.0重量部
アイソパーV油(粘度11.9mPa・s 25℃) 14.8重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 65.0重量部
上記割合にてカーボンブラック、アルミキレート、アイソパーG油、アイソパーV油、ソルビタンモノオレートを混合し、三本ロールにて分散処理を行って油相を得た。この油相を撹拌機で撹拌しながら水を徐々に添加し、乳化させてW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度0.52Pa・s)を得た。多孔性支持体8cは、繊維径1μm、表面粗さ5μmRz 、密度0.4g/cm で材質がポリエステルの不織布を試作して用いた。
【0085】
上述のエマルジョンインキと多孔性支持体8cとを使用して印刷、評価を行った。印刷条件は、気温20℃、印圧は常用されている1kgf/cm 、印刷速度は常用される最低速度の60r.p.m.と常用される最高速度の120r.p.m.である。
【0086】
(実施例B)
実施例Aに示したエマルジョンインキを使用し、多孔性支持体8cとして、繊維径20μm、表面粗さ45μmRz 、密度0.4g/cm 、材質ポリエステルの不織布を試作して印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0087】
(実施例C)
実施例Aに示したエマルジョンインキを使用し、多孔性支持体8cとして、繊維径15μm、表面粗さ35μmRz 、密度0.4g/cm 、材質ポリエステルの不織布を試作して印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0088】
(実施例D)
実施例Aに示したエマルジョンインキを使用し、多孔性支持体8cとして、繊維径8μm、表面粗さ25μmRz 、密度0.4g/cm 、材質ポリエステルの不織布を試作して印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0089】
(実施例E)
カーボンブラック(着色剤) 3.0重量部
アルミキレート 0.2重量部
アイソパーG油(粘度 0.8mPa・s 25℃) 2.0重量部
アイソパーV油(粘度11.9mPa・s 25℃) 20.8重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 70.0重量部
上記割合にて実施例Aと同様に乳化してW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度4.95Pa・s)を得た。このエマルジョンインキと、実施例Bに示した多孔性支持体8cとを用いて印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0090】
(実施例F)
実施例Eに示したエマルジョンインキと、実施例Cに示した多孔性支持体8cとを使用して印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0091】
(実施例G)
実施例Eに示したエマルジョンインキと、実施例Dに示した多孔性支持体8cとを使用して印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0092】
(実施例H)
カーボンブラック(着色剤) 8.0重量部
アルミキレート 0.4重量部
アイソパーG油(粘度 0.8mPa・s 25℃) 14.0重量部
アイソパーV油(粘度11.9mPa・s 25℃) 10.6重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 63.0重量部
上記割合にて実施例Aと同様に乳化してW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度0.64Pa・s)を得た。このエマルジョンインキと、実施例Bに示した多孔性支持体8cとを用いて印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0093】
(実施例I)
カーボンブラック(着色剤) 8.0重量部
アルミキレート 0.4重量部
アイソパーG油(粘度 0.8mPa・s 25℃) 4.0重量部
アイソパーV油(粘度11.9mPa・s 25℃) 15.6重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 68.0重量部
上記割合にて実施例Aと同様に乳化してW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度4.70Pa・s)を得た。このエマルジョンインキと、実施例Aに示した多孔性支持体8cとを用いて印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0094】
(比較例A)
実施例Aに示したエマルジョンインキを使用し、多孔性支持体8cとして、繊維径0.8μm、表面粗さ4μmRz 、密度0.4g/cm 、材質ポリエステルの不織布を試作して印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0095】
(比較例B)
実施例Iに示したエマルジョンインキを使用し、多孔性支持体8cとして、繊維径30μm、表面粗さ49μmRz 、密度0.4g/cm 、材質ポリエステルの不織布を試作して印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0096】
(比較例C)
カーボンブラック(着色剤) 3.0重量部
アルミキレート 0.2重量部
アイソパーG油(粘度 0.8mPa・s 25℃) 16.0重量部
アイソパーV油(粘度11.9mPa・s 25℃) 15.8重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 61.0重量部
上記割合にて実施例Aと同様に乳化してW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度0.41Pa・s)を得た。このエマルジョンインキと、実施例Aに示した多孔性支持体8cとを用いて印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0097】
(比較例D)
カーボンブラック(着色剤) 3.0重量部
アルミキレート 0.2重量部
日石A油(粘度80mPa・s 20℃) 18.8重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 74.0重量部
上記割合にて実施例Aと同様に乳化してW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度5.60Pa・s)を得た。このエマルジョンインキと、実施例Aに示した多孔性支持体8cとを用いて印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0098】
(比較例E)
カーボンブラック(着色剤) 2.0重量部
アルミキレート 0.1重量部
アイソパーG油(粘度 0.8mPa・s 25℃) 13.0重量部
アイソパーV油(粘度11.9mPa・s 25℃) 14.9重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 66.0重量部
上記割合にて実施例Aと同様に乳化してW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度0.51Pa・s)を得た。このエマルジョンインキと、実施例Aに示した多孔性支持体8cとを用いて印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0099】
(比較例F)
カーボンブラック(着色剤) 10.0重量部
アルミキレート 0.6重量部
アイソパーG油(粘度 0.8mPa・s 25℃) 15.0重量部
アイソパーV油(粘度11.9mPa・s 25℃) 10.4重量部
ソルビタンモノオレート 4.0重量部
水 60.0重量部
上記割合にて実施例Aと同様に乳化してW/O型エマルジョンインキ(インキ粘度0.55Pa・s)を得た。このエマルジョンインキと、実施例Aに示した多孔性支持体8cとを用いて印刷を行い、実施例Aと同様に評価を行った。
【0100】
上記各実施例A〜I及び比較例A〜Fの結果を表1に示す。また、各評価のランク決定基準を表1の後ろに示す。
【0101】
【表1】
Figure 0003556339
【0102】
(裏写りランク測定)
10%の画像面積を有するテストチャートを原稿として用いて印刷し、そのサンプルの裏写りをランク見本によりランク付けする。
【0103】
(裏抜けランク測定)
10%の画像面積を有するテストチャートを原稿として用いて印刷し、そのサンプルの裏抜け度合いを反射式濃度測定器(マクベス社製)にて、画像面の裏側から濃度測定してランク付けを行う。
【0104】
(画像濃度測定)
10%の画像面積を有するテストチャートを原稿として用いて印刷し、そのサンプルの画像濃度を反射式濃度測定器(マクベス社製)にて測定してランク付けを行う。
【0105】
(定着率測定)
10%の画像面積を有するテストチャートを原稿として用いて印刷し、そのサンプルを12時間放置した後、画像濃度を反射式濃度測定器(マクベス社製)にて測定して、その測定値をID1とする。さらに、画像を消しゴムにて消去し、消し残りの画像濃度を測定して、その測定値をID2とする。これを基に、下式にて定着率を定める。
定着率(%)=(測定値ID2/測定値ID1)×100
(速度差測定)
10%の画像面積を有するテストチャートを原稿として用いて、印刷速度60r.p.m.及び120r.p.m.でそれぞれ印刷し、そのサンプルの画像濃度を反射式濃度測定器(マクベス社製)にて測定し、これを基に下式にてランク付けを行う。
(60r.p.m.の画像濃度)−(120r.p.m.の画像濃度)
表1の結果から明らかなように、実施例A〜Iに示す本発明に係る孔版印刷装置では、表面粗さRz (または繊維径)、着色剤コンテント及びインキ粘度の何れもが本発明で規定する範囲内にあり、裏写り、裏抜け、画像濃度、定着性及び速度差がいずれも良好であることがわかる。しかし、比較例A〜Fに示す孔版印刷装置では、表面粗さRz (または繊維径)、着色剤コンテントまたはインキ粘度の何れかが本発明で規定する範囲を外れており、結果として、表に×またはCで示すように、裏写り、裏抜け、画像濃度、定着性または速度差の何れかが不具合を生じている。
【0106】
この実験により、実施例Iと比較例Dとを比較して、エマルジョンインキの粘度を5Pa・s以下とすると、速度差が少なく定着性が良好となり、実施例Hと比較例Fとを比較して、着色剤コンテントを8重量%以下とすると定着性及び裏抜けが良好となることや、実施例Aと比較例Cとを比較して、インキ粘度を0.5Pa・s未満とすると裏抜けが多くなり、実施例Aと比較例Eとを比較して、着色剤コンテントを3重量%未満とすると、良好な画像濃度が得られなくなること等がわかった。
【0107】
また、実施例Eと比較例Bとを比較して、表面粗さを45μmRz 以下にすると裏写りが少なくなり、実施例Bと実施例C、または実施例Eと実施例Fとを比較して、表面粗さを35μmRz 以下にすると裏写りがほとんど無くなり、実施例Cと実施例D、または実施例Fと実施例Gとを比較して、表面粗さを25μmRz 以下にすると裏写りが全く発生しないという結果が得られ、実施例Aと比較例Aとを比較して、表面粗さを5μmRz 未満とすると満足する画像濃度が得られないことも判明した。
【0108】
さらに、実施例Eと比較例Bとを比較して、合成樹脂繊維8aの繊維径を20μm以下とすると裏写りが少なくなり、実施例Bと実施例C、または実施例Eと実施例Fとを比較して、繊維径を15μm以下とすると裏写りがほとんど無くなり、実施例Cと実施例D、または実施例Fと実施例Gとを比較して、繊維径を8μm以下とすると裏写りが全く発生しないという結果が得られ、実施例Aと比較例Aとを比較して、繊維径を1μm未満とすると満足する画像濃度が得られないことも判明した。
【0109】
以上のことから、多孔性支持体8cは、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定される。また、多孔性支持体8cは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下に設定される。さらに、インキ供給手段60より版胴1の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その濃度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。本発明の条件を満たすことによって、画像濃度や定着性が高く、裏写り、裏抜け、速度差の少ない良好な画像を得ることができる。
【0110】
また、多孔性支持体8cの密度が低いと繊維間の空隙8eが広くなり、細い繊維等を使用しても凹凸Lが大きくなって裏写りがひどくなる。さらに、密度が高すぎると繊維間の空隙8eが狭くなり、繊維が数多く交差する部分ではインキが通過しにくくなって画像に白抜け(繊維塊跡)が見られ、満足な画像が得られなくなる。そこで、多孔性支持体8cの密度と裏写りとの関係を調査した。
【0111】
その結果、多孔性支持体8cが天然または合成樹脂系の繊維で構成されている場合、その密度は0.1〜0.6g/cm 、より好ましくは0.2〜0.6g/cm 、金属系の繊維で構成されている場合であって、ステンレス、鉄の場合の密度は0.7〜3.0g/cm 、より好ましくは0.9〜3.0g/cm 、チタンの場合の密度は0.4〜1.7g/cm 、より好ましくは0.5〜1.7g/cm 、アルミニウムの場合の密度は0.2〜1.0g/cm 、より好ましくは0.3〜1.0g/cm となった。
【0112】
以上のことから、多孔性支持体8cの好ましい密度範囲Dw、より好ましい密度範囲Dw1は、それぞれ下式で示される。
Dw=0.09ρ〜0.38ρ(g/cm
Dw1=0.11ρ〜0.38ρ(g/cm
ρ:物質の密度(g/cm
なお、上式は後述する第2ないし第6の実施例及びその変形例における各多孔性支持体、並びに第7ないし第13の実施例及びその変形例における各インキ保持部材の密度についても適用され得るものである。
【0113】
上記実施例では、多孔性支持体8cは不織布からなるものとしたが、マニラ麻や亜麻等の天然繊維、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維、若しくはステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン繊維等からなる不織布、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維を焼結させて作成した焼結シート、ポリビニルアセタール系またはポリビニルアルコール系の連続気泡を有する多孔質弾性体、硬質粒子とゴムの混和した連続気泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレン等の合成樹脂や無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポリウレタン等の液状焼結による多孔質弾性体、または多孔質ゴム等の多孔質弾性体からなるものとしてもよい。
【0114】
また、上述したメッシュスクリーン、不織布、焼結シート、各種の多孔質弾性体等の多孔性支持体において、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着あるいは接着し、これにより多孔性支持体の表面粗さを小さくするようにしてもよい。
【0115】
図7は、本発明の第2の実施例に用いられるマスタ20を、図8は、第2の実施例の変形例に用いられるマスタ21をそれぞれ示している。この第2の実施例及び変形例は、第1の実施例と比較するとマスタ8に代えてマスタ20またはマスタ21を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0116】
マスタ20は、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維20aの焼結シートからなる多孔性支持体20bに熱可塑性樹脂フィルム8bを貼り合わせて構成されている。マスタ21は、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維21aの表面にステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属21bをコーティングした焼結シートからなる多孔性支持体21cに熱可塑性樹脂フィルム8bを貼り合わせて構成されている。多孔性支持体20b,21cは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面粗さを、それぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定されている。
【0117】
また、多孔性支持体20b,21cは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面の繊維径を、それぞれ1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の同一径に設定されている。さらに、インキ供給手段60より版胴1の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。なお、多孔性支持体20b,21cは、金属繊維20aからなる不織布、または表面に金属21bをコーティングした合成樹脂繊維21aからなる不織布をそれぞれ焼結することにより得られる。
【0118】
このように、金属繊維20aの焼結シートからなる多孔性支持体20bまたは金属21bを合成樹脂繊維21aの表面にコーティングした焼結シートからなる多孔性支持体21cを有するマスタ20またはマスタ21を用いることにより、高エネルギー表面であり、ぬれ性のよい金属部材からなる多孔性支持体20b,21cはインキとの接着力が高くなり、インキが多孔性支持体20b,21cの内部から引き出されにくくなって、裏写りの発生を防止することができる。
【0119】
また、多孔性支持体20b,21cは、天然繊維部材や合成樹脂部材から構成される多孔性支持体に比べて高弾性であるので、プレスローラー等の押圧部材による加圧時において多孔性支持体20b,21cが圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体20b,21cが復元することにより多孔性支持体20b,21c内にインキを吸い戻す効果が得られ、余分なインキの印刷用紙への転移が防止されて、裏写りの少ない良好な画像を得ることができる。
【0120】
さらに、多孔性支持体20b,21cは、天然繊維部材や合成樹脂部材から構成される多孔性支持体に比べて強度が高いので、長時間使用することによるへたりが少なく、マスタ20,21としては、耐久性がよく大量印刷に適したものを提供することができる。
【0121】
上記実施例及び変形例では、金属繊維20aからなる焼結シート、あるいは合成樹脂繊維21aの表面に金属21bをコーティングしたものからなる焼結シートによって多孔性支持体20b,21cを構成したが、多孔性支持体を構成するものとしてはこの限りではなく、金属繊維からなる不織布、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものからなる不織布、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものまたは金属繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、金属の微粉末を焼結した多孔質体等、少なくともその表面が金属で構成され、インキが通過する通路を有するものであれば何でもよい。なお、焼結シートは不織布に比べて引張強度が高く、またメッシュスクリーンに比べて低コストであるので、多孔性支持体として用いるには特に好適である。
【0122】
図9は、本発明の第3の実施例に用いられるマスタ22を、図10は、第3の実施例の変形例に用いられるマスタ23をそれぞれ示している。この第3の実施例及び変形例は、第1の実施例と比較するとマスタ8に代えてマスタ22またはマスタ23を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0123】
マスタ22では、それぞれ繊維径の異なる2種の合成樹脂繊維22a,22bからなり、太い合成樹脂繊維22aと細い合成樹脂繊維22bとを千鳥状に配置した不織布で、またマスタ23では、それぞれ繊維径の異なる2種の合成樹脂繊維23a,23bからなり、太い合成樹脂繊維23a間に細い合成樹脂繊維23bを1列ずつ配置した不織布で多孔性支持体22c,23cをそれぞれ構成しており、各多孔性支持体22c,23cをそれぞれ熱可塑性樹脂フィルム8bと貼り合わせることによりマスタ22及びマスタ23が構成されている。
【0124】
この実施例及び変形例では、合成樹脂繊維22a,23aの繊維径をそれぞれ8μmと15μmとに、また、合成樹脂繊維22b,23bの繊維径をそれぞれ4μmと5μmとに設定しており、用いられる合成樹脂繊維の繊維径及び混抄比は、マスタ22,23において、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の多孔性支持体22c,23cの表面粗さをそれぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz の範囲内に設定し得るものより選択される。
【0125】
また、用いられる合成樹脂繊維としては、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の多孔性支持体22c,23cの表面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内のものよりそれぞれ選択される。さらに、インキ供給手段60より版胴1の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。この実施例及び変形例では、組み合わされる合成樹脂繊維を2種類としたが、3種類以上であってもよい。
【0126】
上述のマスタ22またはマスタ23を用いることにより、太い繊維の間を細い繊維で埋めることができ、多孔性支持体22c,23c表面の凹凸L(表面粗さRz )を小さくすることができる。さらに、太い繊維を使用できるので、多孔性支持体22c,23cの引張強度を向上させることができる。
【0127】
上記実施例及び変形例では、合成樹脂繊維22a,22bからなる不織布によって多孔性支持体22cを、また、合成樹脂繊維23a,23bからなる不織布によって多孔性支持体23cを構成したが、各合成樹脂繊維22a,22b,23a,23bからなる不織布に代えて、第2の実施例で示した金属繊維からなる焼結シート、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものからなる焼結シート、金属繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、表面に金属をコーティングした合成樹脂繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、あるいは、これらの焼結シート、不織布、メッシュスクリーンの金属繊維、金属表面繊維間に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着または接着させてなるもの等を用い、これらの多孔性支持体が繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されるようにしてもよい。
【0128】
図11、図12は、本発明の第4の実施例に用いられるマスタ24と、本発明の第5の実施例に用いられるマスタ25とをそれぞれ示している。この第4及び第5の実施例は、第1の実施例と比較するとマスタ8に代えてマスタ24またはマスタ25を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0129】
マスタ24は、同一の合成樹脂繊維24aを複数層重ね合わせた不織布で多孔性支持体24bを構成し、この多孔性支持体24bを熱可塑性樹脂フィルム8bと貼り合わせることにより構成されている。多孔性支持体24bは、複数層形成された合成樹脂繊維24aの層が、熱可塑性樹脂フィルム8bと接着される最外殻層から内層に向かうに従い、合成樹脂繊維24aの密度が低くなるように形成されている。
【0130】
マスタ25は、それぞれ繊維径の異なる合成樹脂繊維25a,25b,25cを層状に重ね合わせた不織布で多孔性支持体25dを構成し、この多孔性支持体25dを熱可塑性樹脂フィルム8bと貼り合わせることにより構成されている。多孔性支持体25dは、熱可塑性樹脂フィルム8bと接着される最外殻層が最も繊維径の小さい合成樹脂繊維25aの層から構成され、内層に向かうに従い合成樹脂繊維25bの層、合成樹脂繊維25cの層と徐々に繊維径が大きい合成樹脂繊維の層となるように構成されている。
【0131】
すなわち、多孔性支持体24b,25dは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側に向かうに連れて、空隙が小さくなるように構成されている。
【0132】
上述の第4の実施例及び第5の実施例に用いられるマスタ24,25において、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の多孔性支持体24b,25dの表面粗さは、5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz の範囲内のものがそれぞれ用いられる。
【0133】
また、各合成樹脂繊維24a,25aとしては、少なくとも熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面の繊維径が、1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内のものがそれぞれ用いられる。さらに、インキ供給手段60より版胴1の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。
【0134】
また、上記各実施例では、各多孔性支持体24b,25dを構成する各合成樹脂繊維24a,25a,25b,25cの層を3層としたが、2層以上であれば何層でもよい。
【0135】
上述のマスタ24またはマスタ25を用いることにより、インキの流路に沿って、最初は空隙が大きくインキの供給・拡散が良好であり最終では空隙が小さく凹凸Lの少ない多孔性支持体24b,25dとすることができる。
【0136】
上記各実施例では、合成樹脂繊維24aからなる不織布によって多孔性支持体24bを、また、合成樹脂繊維25a,25b,25cからなる不織布によって多孔性支持体25dを構成したが、各合成樹脂繊維24a,25a,25b,25cからなる不織布に代えて、第2の実施例で示した金属繊維からなる焼結シート、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものからなる焼結シート、金属繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、表面に金属をコーティングした合成樹脂繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、これらの焼結シート、不織布、メッシュスクリーンの金属繊維、金属繊維間に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着または接着させてなるもの、金属の微粉末を焼結した多孔質体等、その表面が少なくとも金属で構成された多孔性支持体を用い、これらの多孔性支持体を、熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成してもよい。また、多孔性支持体としては、第1の実施例中で述べた連続気泡を有する多孔質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性体等を用いてもよい。
【0137】
図13は、本発明の第6の実施例に用いられるマスタ36を示している。この第6の実施例は、第1の実施例と比較するとマスタ8に代えてマスタ36を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0138】
マスタ36を構成する不織布からなる多孔性支持体36aは、繊維部材36fより主に構成されており、この多孔性支持体36aには、インキ流入側の孔36bから流入したインキが、熱可塑性樹脂フィルム8bの多孔性支持体36aとの当接面に対する垂線Sから少なくとも1回ずれた後に、インキ流出側の孔36cから流出するインキ通路36dが形成されている。
【0139】
インキ通路36dは、インキ流入側の孔36bから流入したインキの実質的に全量が、垂線S上に存在する繊維部材36fにより流下を妨げられ、垂線Sに沿って流下しないように構成されている。換言すると、インキ通路36dは、インキ流入側の孔36bから流入したインキの実質的に全量が、繊維部材36fによってその流下を妨げられることにより、一旦インキ流入側の孔36bの垂直下方より外方へ流出し、その後、インキ流出側の孔36cへ向かって流下するように構成されている。
【0140】
印刷用紙18がマスタ36の表面から引き剥がされるときに、孔36cの天井部36eとインキ19との間にはインキ19の粘着力が働き、多孔性支持体36aから引き出されるインキ19の量が低減される。
【0141】
ここで、上述の如きインキ通路36dが多孔性支持体36aに形成されたかどうかを判断する方法について述べる。
先ず、図14に示すように、多孔性支持体36aの裏面に多孔性支持体36aとは異なる色の用紙37を貼り付ける。次に、多孔性支持体36a側から光を照射しながら顕微鏡によって50倍の倍率で観察し、繊維部材36f間から用紙37が見えなければ、インキ通路36dが形成されていると判断できる。
【0142】
また、図15に示すように、多孔性支持体36aの一方の面から多孔性支持体36aに対して垂直な平行光線54を照射し、多孔性支持体36aの他方の面に到達する光55を光量計(例えば(株)キーエンス製レーザー式判別センサーLX2−100)で測定しても判断できる。照射された平行光線54はインキ通路36d内で反射するので、他方の面に到達しなくなる。従って、光量計で光55が測定されなければ、上述のインキ通路36dが形成されていると判断できる。
【0143】
上記実施例の変形例として、図16に示すように、マスタ36に代えて、繊維部材36fと同様の繊維部材39bを3層以上積み重ねた多孔性支持体39aを有するマスタ39を用いてもよい。
【0144】
上記実施例及び変形例において、多孔性支持体36a,39aは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面粗さをそれぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定されている。また、繊維部材36f,39bとしては、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面の繊維径が、1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内であるものがそれぞれ用いられる。さらに、インキ供給手段60より版胴1の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。
【0145】
また、上記実施例及び変形例において、繊維部材36f,39bに代えて2種類以上の繊維径の異なる繊維部材を用いてもよい。
【0146】
さらに、上記実施例及び変形例において、第4の実施例または第5の実施例と同様に、多孔性支持体36a,39aの密度、あるいは繊維部材36f,39bの繊維径を変化させて、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側に向かうに連れて多孔性支持体36a,39aの空隙を小さくしたマスタ36,39を構成してもよく、また、多孔性支持体36a,39aに代えて、金属からなる繊維部材や金属をコーティングした繊維部材からなる多孔性支持体、金属の微粉末を焼結した多孔質体等、その表面が少なくとも金属で構成された多孔性支持体を用いてもよい。また、多孔性支持体としては、第1の実施例中で述べた連続気泡を有する多孔質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性体等を用いてもよい。
【0147】
図17は、本発明の第7の実施例に用いられる版胴43と熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ27とをそれぞれ示している。この第7の実施例は、第1の実施例と比較すると、版胴1及びマスタ8に代えて版胴43及びマスタ27を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。版胴43は、開口部1aを有する多孔性支持板1bと、インキ保持部材26とから主に構成されている。
【0148】
インキ保持部材26は、ポリエステルやテトロン、ナイロン等の合成樹脂繊維26aでインキを通過させるためのインキ通路を形成した不織布によって構成されている。
【0149】
インキ保持部材26は、密度が高い方が好ましく、第1の実施例で述べた理由と同様の理由により、例えば、インキ保持部材26が合成樹脂繊維あるいは天然繊維で構成されている場合、密度は0.1〜0.6g/cm 、より好ましくは0.2〜0.6g/cm であり、また、インキ保持部材26が金属系の繊維で構成されている場合であって、ステンレス、鉄の場合の密度は0.7〜3.0g/cm 、より好ましくは0.9〜3.0g/cm であり、チタンの場合の密度は、0.4〜1.7g/cm 、より好ましくは0.5〜1.7g/cm 、アルミニウムの場合の密度は、0.2〜1.0g/cm 、より好ましくは0.3〜1.0g/cm である。
【0150】
本実施例においても、第1の実施例と同様に、インキ保持部材26の好ましい密度範囲Dw、より好ましい密度範囲Dw1は、それぞれ次の式で示される。
Dw=0.09ρ〜0.38ρ(g/cm
Dw1=0.11ρ〜0.38ρ(g/cm
ρ:物質の密度(g/cm
この実施例では、使用されるマスタ27が多孔性支持体を有していないので、第1の実施例における多孔性支持体8cの代わりにインキ保持部材26によって余分なインキが引き出されることを防止している。従って、インキ保持部材26は、多孔性支持体8cと同様に、マスタ27を巻装する外表面の表面粗さを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定される。また、インキ保持部材26は、マスタ27を巻装する外表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下に設定される。さらに、インキ供給手段60より版胴43の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。
【0151】
この第7の実施例では、インキ保持部材26を不織布によって構成したが、インキ保持部材26をマニラ麻や亜麻等の天然繊維、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維、若しくはステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン繊維等からなる不織布、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維を焼結させて作成した焼結シート、ポリビニルアセタール系またはポリビニルアルコール系の連続気泡を有する多孔質弾性体、硬質粒子とゴムの混和した連続気泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレン等の合成樹脂や無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポリウレタン等の液状焼結による多孔質弾性体、または多孔質ゴム等の多孔質弾性体からなるもの等によって構成してもよい。
【0152】
また、上述したメッシュスクリーン、不織布、焼結シート、各種の多孔質弾性体等のインキ保持部材において、少なくともマスタを巻装する外表面に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着あるいは接着し、これによりインキ保持部材の表面粗さを小さくするようにしてもよい。
【0153】
図18は、本発明の第8の実施例に用いられる版胴45を、図19は、第8の実施例の変形例に用いられる版胴46をそれぞれ示している。この第8の実施例及び変形例は、第7の実施例と比較すると版胴43に代えて版胴45または版胴46を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0154】
版胴45は、多孔性支持板1bとインキ保持部材28とから主に構成され、インキ保持部材28は、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム等の金属繊維28aの焼結シートから構成されている。版胴46は、多孔性支持板1bとインキ保持部材29とから主に構成され、インキ保持部材29は、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維29aの表面にステンレス、鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム等の金属29bをコーティングして構成される焼結シートからなる。各インキ保持部材28,29は、マスタを巻装される外表面の表面粗さを、それぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定されている。
【0155】
また、各インキ保持部材28,29は、マスタ27を巻装される外表面の繊維径を、それぞれ1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の同一径に設定されている。さらに、インキ供給手段60より版胴45,46の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。なお、インキ保持部材28,29は、金属繊維28aからなる不織布、または表面に金属29bをコーティングした合成樹脂繊維29aからなる不織布をそれぞれ焼結することにより得られる。
【0156】
このように、金属繊維28aの焼結シートからなるインキ保持部材28または金属29bを合成樹脂繊維29aの表面にコーティングして構成される焼結シートからなるインキ保持部材29を用いることにより、高エネルギー表面である金属部材から構成されるインキ保持部材28,29は、ぬれ性がよくインキとの接着力が高くなり、インキがインキ保持部材28,29の内部から引き出されにくくなって、裏写りの発生を防止することができる。
【0157】
また、インキ保持部材28,29は、天然繊維部材や合成樹脂部材から構成されるインキ保持部材に比べて高弾性であるので、プレスローラー等の押圧部材による加圧時においてインキ保持部材28,29が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときにはインキ保持部材28,29が復元することにより、インキ保持部材28,29の内部にインキを吸い戻す効果が得られ、余分なインキの印刷用紙への転移が防止されて、裏写りの少ない良好な画像を得ることができる。
【0158】
さらに、インキ保持部材28,29は、天然繊維部材や合成樹脂部材から構成されるインキ保持部材に比べて強度が高いので、長時間使用することによるへたりが少なく、耐久性が良く大量印刷に適した孔版印刷装置を提供することができる。
【0159】
上記実施例では、金属繊維28aからなる焼結シート、あるいは合成樹脂繊維29aの表面に金属29bをコーティングしたものからなる焼結シートによってインキ保持部材28,29を構成したが、インキ保持部材を構成するものとしてはこの限りではなく、金属繊維からなる不織布、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものからなる不織布、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものまたは金属繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、金属の微粉末を焼結した多孔質体等、少なくともその表面が金属で構成され、インキが通過する通路を有するものであれば何でもよい。
【0160】
なお、焼結シートは、不織布に比べて引張強度が高く、また、メッシュスクリーンに比べて低コストであるので、インキ保持部材として用いるには特に好適である。
【0161】
図20は、本発明の第9の実施例に用いられる版胴47を、図21は、第9の実施例の変形例に用いられる版胴48をそれぞれ示している。この第9の実施例及び変形例は、第7の実施例と比較すると版胴43に代えて版胴47または版胴48を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0162】
版胴47は、多孔性支持板1bとインキ保持部材30とから主に構成されており、版胴48は、多孔性支持板1bとインキ保持部材31とから主に構成されている。
【0163】
インキ保持部材30は、それぞれ繊維径の異なる2種の合成樹脂繊維30a,30bからなり、太い合成樹脂繊維30aと細い合成樹脂繊維30bとを千鳥状に配置した不織布により、また、インキ保持部材31は、それぞれ繊維径の異なる2種の合成樹脂繊維31a,31bからなり、太い合成樹脂繊維31a間に細い合成樹脂繊維31bを1列ずつ配置した不織布によりそれぞれ構成されている。この実施例及び変形例では、合成樹脂繊維30a,31aの繊維径をそれぞれ8μmと15μmとに、また、合成樹脂繊維30b,31bの繊維径をそれぞれ4μmと5μmとに設定しており、用いられる合成樹脂繊維の繊維径及び混抄比は、マスタ27を巻装されるインキ保持部材30,31の外表面の表面粗さをそれぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz の範囲内に設定し得るものより選択される。
【0164】
また、用いられる合成樹脂繊維としては、マスタ27を巻装されるインキ保持部材30,31の外表面の繊維径が、1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内のものよりそれぞれ選択される。さらに、インキ供給手段60より版胴47,48の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。この実施例及び変形例では、組み合わされる合成樹脂繊維を2種類としたが、3種類以上であってもよい。
【0165】
上述のインキ保持部材30またはインキ保持部材31を用いることにより、太い繊維の間を細い繊維で埋めることができ、版胴47,48の表面の凹凸L(表面粗さRz )を小さくすることができる。さらに、太い繊維を使用できるので、インキ保持部材30,31の引張強度を向上させることができる。
【0166】
上記実施例及び変形例では、合成樹脂繊維30a,30bからなる不織布によってインキ保持部材30を、また、合成樹脂繊維31a,31bからなる不織布によってインキ保持部材31を構成したが、各合成樹脂繊維30a,30b,31a,31bからなる不織布に代えて、第8の実施例で示した金属繊維からなる焼結シート、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものからなる焼結シート、金属繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、表面に金属をコーティングした合成樹脂繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、あるいは、これらの焼結シート、不織布、メッシュスクリーンの金属繊維、金属表面繊維間に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着または接着させてなるもの等を用い、これらのインキ保持部材が繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されるようにしてもよい。
【0167】
図22、図23は、本発明の第10の実施例に用いられる版胴49と、本発明の第11の実施例に用いられる版胴50とをそれぞれ示している。この第10及び第11の実施例は、第7の実施例と比較すると版胴43に代えて版胴49または版胴50を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0168】
版胴49は、多孔性支持板1bとインキ保持部材34とから主に構成されており、インキ保持部材34は、同一の合成樹脂繊維34aを複数層重ね合わせた不織布で構成されている。
【0169】
インキ保持部材34は、複数層形成された合成樹脂繊維34aの層が、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ27側から多孔性支持板1b側に向かうに従い、合成樹脂繊維34aの密度が低くなるように形成されている。
【0170】
版胴50は、多孔性支持板1bとインキ保持部材35とから主に構成されており、インキ保持部材35は、それぞれ繊維径の異なる合成樹脂繊維35a,35b,35cを層状に重ね合わせた不織布で構成されている。
【0171】
インキ保持部材35は、マスタ27側が最も繊維径の小さい合成樹脂繊維35aの層から構成され、内側に向かうに従い合成樹脂繊維35bの層、合成樹脂繊維35cの層と徐々に繊維径が大きい合成樹脂繊維の層となるように構成されている。
【0172】
すなわち、インキ保持部材34,35は、マスタ27を巻装される外表面に向かうに連れて、空隙が小さくなるように構成されている。
【0173】
上述の第10の実施例及び第11の実施例に用いられるインキ保持部材34,35は、マスタ27を巻装される側のそれぞれの外表面の表面粗さが5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz の範囲内のものがそれぞれ用いられる。
【0174】
また、用いられる各合成樹脂繊維34a,35aとしては、少なくともマスタ27を巻装されるインキ保持部材34,35の外表面の繊維径が、1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内のものがそれぞれ用いられる。さらに、インキ供給手段60より版胴49,50の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。
【0175】
上記各実施例では、各インキ保持部材34,35を構成する各合成樹脂繊維34a,35a,35b,35cの層を3層としたが、2層以上であれば何層でもよい。
【0176】
また、各インキ保持部材34,35をそれぞれ構成する各合成樹脂繊維34a,35a,35b,35cの各層は、一体構造または積層構造(個々を重ね合わせた構造)でもよい。このように、それぞれ異なる大きさの空隙を有するインキ保持部材を複数用意し、これらを版胴の外周面に向かうに連れて空隙が小さくなるように積層配置して、これをインキ保持部材とすることもできる。
【0177】
上述のインキ保持部材34またはインキ保持部材35を用いることにより、インキの流路に沿って、最初は空隙が大きくインキの供給・拡散が良好であり最終では空隙が小さく凹凸Lの少ないインキ保持部材34,35とすることができる。
【0178】
上記各実施例では、合成樹脂繊維34aからなる不織布によってインキ保持部材34を、また、合成樹脂繊維35a,35b,35cからなる不織布によってインキ保持部材35を構成したが、各合成樹脂繊維34a,35a,35b,35cからなる不織布に代えて、第8の実施例で示した金属繊維からなる焼結シート、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものからなる焼結シート、金属繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、表面に金属をコーティングした合成樹脂繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、これらの焼結シート、不織布、メッシュスクリーンの金属繊維、金属繊維間に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着または接着させてなるもの、金属の微粉末を焼結した多孔質体等、その表面が少なくとも金属で構成された多孔性支持体を用い、これらの多孔性支持体からなるインキ保持部材を、マスタを巻装される外表面に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成してもよい。また、多孔性支持体としては、第1の実施例中で述べた連続気泡を有する多孔質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性体等を用いてもよい。
【0179】
図24は、本発明の第12の実施例に用いられる版胴53を示している。この第12の実施例は、第7の実施例と比較すると版胴43に代えて版胴53を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0180】
版胴53は、多孔性支持板1bとインキ保持部材38とから主に構成されており、インキ保持部材38は、繊維部材38cより主に構成されている。インキ保持部材38には、インキ流入側の孔38a及びインキ流出側の孔38bと、インキ流入側の孔38aから流入したインキ19が、版胴53の外周面に対する垂線S、すなわちインキ流出側の孔38bの開口を有する面に対する垂線Sから少なくとも1回ずれた後に、インキ流出側の孔38bから流出するインキ通路38dとが形成されている。
【0181】
インキ通路38dは、インキ流入側の孔38aから流入したインキの実質的に全量が、垂線S上に存在する繊維部材38cにより流下を妨げられ、垂線Sに沿って流下しないように構成されている。換言すると、インキ通路38dは、インキ流入側の孔38aから流入したインキの実質的に全量が、繊維部材38cによってその流下を妨げられることにより、一旦インキ流入側の孔38aの垂直下方より外方へ流出し、その後、インキ流出側の孔38bへ向かって流下するように構成されている。
【0182】
印刷用紙18がマスタ27の表面から引き剥がされるときに、孔38bの天井部38eとインキ19との間にはインキ19の粘着力が働き、インキ保持部材38から引き出されるインキ19の量が低減される。なお、図24中において、符号27dはマスタ27に形成された穿孔部を示す。
【0183】
ここで、上述の如きインキ通路38dがインキ保持部材38に形成されたかどうかを判断する方法について述べる。
先ず、図25に示すように、インキ保持部材38の裏面にインキ保持部材38とは異なる色の用紙37を貼り付ける。次に、インキ保持部材38側から光を照射しながら顕微鏡によって50倍の倍率で観察し、繊維部材38c間から用紙37が見えなければ、インキ通路38dが形成されていると判断できる。
【0184】
また、第6の実施例における多孔性支持体36aと同様に、インキ保持部材38の一方の面からインキ保持部材38に対して垂直な平行光線を照射し、インキ保持部材38の他方の面に到達する光を光量計で測定しても判断することができる。
【0185】
上記実施例の変形例として、図26に示すように、インキ保持部材38に代えて、繊維部材38cと同様の繊維部材42aを3層以上有するインキ保持部材42を用いてもよい。
【0186】
上記実施例及び変形例において、インキ保持部材38,42は、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ27を巻装される側の外表面の表面粗さをそれぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定されている。また、繊維部材38c,42aとしては、マスタ27を巻装されるインキ保持部材38,42の外表面の繊維径が、1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内であるものがそれぞれ用いられる。さらに、インキ供給手段60より版胴53の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。
【0187】
また、上記実施例及び変形例において、繊維部材38c,42aに代えて2種類以上の繊維径の異なる繊維部材を用いてもよい。
【0188】
さらに、上記実施例及び変形例において、第10の実施例または第11の実施例と同様に、インキ保持部材38,42の密度、あるいは繊維部材38c,42aの繊維径を変化させ、マスタ27を巻装される外表面に向かうに連れてインキ保持部材38,42の空隙を小さくしてもよく、また、金属からなる繊維部材や金属をコーティングした繊維部材からなる不織布、焼結シート及びメッシュスクリーン、あるいは金属の微粉末を焼結した多孔質体等、その表面が少なくとも金属で形成されたインキ保持部材を用いてもよい。また、インキ保持部材としては、第1の実施例中で述べた連続気泡を有する多孔質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性体等を用いてもよい。
【0189】
図27は、本発明の第13の実施例に用いられる版胴44とマスタ41とをそれぞれ示している。この第13の実施例は、第7の実施例と比較すると、マスタ27に代えて多孔性支持体41aと熱可塑性樹脂フィルム41bとからなるマスタ41を用いた点と、版胴43に代えて版胴44を用いた点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0190】
版胴44は、多孔性支持板1bとインキ保持部材40とから主に構成されており、インキ保持部材40は、インキ保持部材26と同様に、不織布、メッシュスクリーン、焼結シート、多孔質弾性体等によって構成されている。
【0191】
この実施例に用いられるマスタ41は、テトロン、ナイロン、レーヨン、ビニロン、ポリエステル等の合成樹脂繊維41cからなる不織布で形成した多孔性支持体41aと、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム41bとを接着等によって貼り合わせた構成となっている。なお、多孔性支持体41aは、楮、三椏、マニラ麻、亜麻等の天然繊維からなる多孔性薄葉紙、天然繊維と合成樹脂繊維とを混抄してなる不織布、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維からなるメッシュスクリーン、あるいは合成樹脂繊維や金属繊維からなる焼結シート等から構成してもよい。
【0192】
裏写りを防止することは、第7の実施例より、インキ保持部材の表面粗さに関係することがわかる。これから、インキ保持部材40と熱可塑性樹脂フィルム41bとの間に多孔性支持体41aが介在する場合であって、後述するように多孔性支持体41aにインキの流動方向を変化させずにインキをストレートに流出させる部分が多く存在し、さらに、そのストレートに流出させる部分の開孔径41dの大きさが熱可塑性樹脂フィルム41bに形成される穿孔部8d(図4参照)の大きさよりも大きい場合には、インキ保持部材40の表面粗さは、熱可塑性樹脂フィルム41bの内面からインキ保持部材40の外表面凹部までの距離L’と考えることができる。従って、裏写りを防止するには、距離L’を5μm以上45μm以下とする必要がある。
【0193】
この実施例では、熱可塑性樹脂フィルム41bとインキ保持部材40との間に多孔性支持体41aが介在する。従って、裏写りの発生を防止するには、多孔性支持体41aの厚さとインキ保持部材40の表面粗さとの和が、5μm以上45μm以下となるように構成する必要がある。例えば、多孔性支持体41aの厚さが20μmであったら、インキ保持部材40の表面粗さは25μmRz 以下となる。なお、多孔性支持体41aの厚さとインキ保持部材40の表面粗さとの和は、好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下の範囲内である。さらに、インキ供給手段60より版胴44の内周面へ供給されるエマルジョンインキは、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤量がインキ重量の3〜8重量%の範囲となるように設定される。
【0194】
本実施例における多孔性支持体41aと第1の実施例における多孔性支持体8cとを比較すると、多孔性支持体41aには、インキの流動方向を変化させずにインキをストレートに流出させる部分が多く存在し、さらに、インキをストレートに流出させる部分の開孔径41dの大きさが熱可塑性樹脂フィルム41bに形成される穿孔部8dよりも大きいため、インキが多孔性支持体41aの内部を通過し易くなり、インキはインキ保持部材40の表面で切れるのに対し、多孔性支持体8cはインキの流動方向を変化させる流路が多いため、インキが多孔性支持体8cの表面で切れる。従って、第1の実施例では、裏写りの発生は多孔性支持体8cの表面粗さに関係するが、本実施例では、裏写りの発生は多孔性支持体41aの厚さとインキ保持部材40の表面粗さとの和に関係するのである。
【0195】
上記実施例において、インキ保持部材40に代えて、2種類以上の繊維径の異なる繊維部材からなる不織布によって構成されたインキ保持部材を用いてもよい。また、インキ保持部材40の密度、あるいはインキ保持部材40を構成する繊維部材の繊維径を変化させ、マスタ41を巻装される外周面に向かうに連れてインキ保持部材40の空隙を小さくしてもよく、インキ保持部材40に代えて、金属からなる繊維部材や金属をコーティングした繊維部材からなる不織布、焼結シート及びメッシュスクリーン、あるいは金属の微粉末を焼結した多孔質体等、その表面が少なくとも金属で形成されたインキ保持部材を用いてもよい。
【0196】
さらに、インキ保持部材40に代えて、第12の実施例及びその変形例に示したインキ保持部材38,42と同様のインキ通路を有するインキ保持部材を用いてもよい。また、インキ保持部材としては、第1の実施例中で述べた連続気泡を有する多孔質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性体等を用いてもよい。
【0197】
第7ないし第13の実施例及びその変形例で用いた各版胴は、それぞれ多孔性支持板1bと各インキ保持部材とから構成されているが、例えば特開平1−204781号公報、あるいは特開昭59−218889号公報に開示されているように、多孔性支持板1bを省略して円筒状に形成されたインキ保持部材のみを具備してなるものであってもよい。この場合、円筒状に形成され、孔版印刷装置の内部に収められているものを版胴と呼び、シート状のものをインキ保持部材という。
【0198】
さらに、第7ないし第13の実施例及びその変形例において、各版胴の多孔性支持体1bとインキ保持部材との間に、メッシュスクリーンや不織布等のインキ保持層を介在させてもよい。
【0199】
なお、上記第7ないし第13の実施例及びその変形例において用いられる熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタとは、マスタが熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものの他、熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止剤等の微量成分を含有させてなるもの、さらには熱可塑性樹脂フィルムの表面及び裏面のうちの少なくとも一方に、オーバーコート層等の薄膜層を1層または複数層形成してなるものを含む。
【0200】
上記各実施例では、製版手段61、マスタロール9、マスタ搬送ローラー対12、切断手段13及びマスタガイド板14等を有する製版部を備えた孔版印刷装置を例示したが、この製版部は孔版印刷装置とは別体であってもよく、別に設けられた製版部にて穿孔部を形成されたマスタを版胴の外周面に巻装して印刷を行うように構成してもよい。
【0201】
また、上記各実施例では、穿孔部を形成されたマスタを円筒状版胴の外周面に巻装して印刷を行うよう構成したが、マスタを水平に伸展し、押圧ローラーや押圧板等の押圧手段を用いて印刷を行う印刷装置及び印刷方法、例えば謄写板印刷や、特開平4−105984号公報に開示された、インキを保持した支持枠に取り付けられたマスタを画像担持体に押圧する印刷技術等に本発明を適用してもよい。
【0202】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。さらに版胴が、インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を形成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働いて多孔性支持体の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りや裏抜けが減少する。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
【0203】
請求項2記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りを発生することなく良好な画像を得ることができる。さらに版胴が、インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を形成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働いて多孔性支持体の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りや裏抜けが減少する。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
【0204】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の孔版印刷装置において、さらに、版胴が、繊維径の異なる2種類以上の繊維を組み合わせて構成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、太い繊維間を細い繊維で埋めることで多孔性支持体の表面粗さを小さくすることができ、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
【0205】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の孔版印刷装置において、さらに、版胴が、熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れてその空隙が小さくなるように構成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、インキ通路に沿って、最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されるため、裏写りや裏抜けの発生を防止できる共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
【0206】
請求項5記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに版胴が、熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れてその空隙が小さくなるように構成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されるため、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
【0207】
請求項6記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りを発生することなく良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに版胴が、熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れてその空隙が小さくなるように構成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されるため、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
【0208】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに版胴が、少なくともその表面が金属で構成されている多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、高エネルギー表面である金属によってその表面を構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くなり、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくくなると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材による加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元することにより多孔性支持体の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
【0209】
請求項8記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに版胴が、少なくともその表面が金属で構成されている多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、高エネルギー表面である金属によってその表面を構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くなり、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくくなると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材による加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元することにより多孔性支持体の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
【0210】
請求項9記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りを発生することなく良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに版胴が、少なくともその表面が金属で構成されている多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、高エネルギー表面である金属によってその表面を構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くなり、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくくなると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材による加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元することにより多孔性支持体の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
【0211】
請求項10記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。さらに、インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を形成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、多孔性支持体の空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働いて多孔性支持体の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りや裏抜けが減少する。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
【0212】
請求項11記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。さらに、インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を形成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、多孔性支持体の空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働いて多孔性支持体の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りや裏抜けが減少する。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
【0213】
請求項12記載の発明によれば、請求項10または請求項11記載の孔版印刷方法において、さらに繊維径の異なる2種類以上の繊維を組み合わせた多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行うことにより、太い繊維間を細い繊維で埋めることで多孔性支持体の表面粗さを小さくすることができ、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。また、太い繊維径を有する多孔性支持体を使用できるのでマスタの強度が向上し、マスタの切れや伸びを防止することができる。
【0214】
請求項13記載の発明によれば、請求項10または請求項11記載の孔版印刷方法において、さらに熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れてその空隙が小さくなるように構成された多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行うことにより、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されるため、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。また、このように構成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、通常版胴の外周面に巻装されているインキ保持層の役割を多孔性支持体が担うため、インキ保持層を用いなくとも良好な画像濃度を得ることができ、コストを低減させることができる。
【0215】
請求項14記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れてその空隙が小さくなるように構成された多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行うことにより、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されるため、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。また、このように構成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、通常版胴の外周面に巻装されているインキ保持層の役割を多孔性支持体が担うため、インキ保持層を用いなくとも良好な画像濃度を得ることができ、コストを低減させることができる。
【0216】
請求項15記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れてその空隙が小さくなるように構成された多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行うことにより、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されるため、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。また、このように構成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、通常版胴の外周面に巻装されているインキ保持層の役割を多孔性支持体が担うため、インキ保持層を用いなくとも良好な画像濃度を得ることができ、コストを低減させることができる。
【0217】
請求項16記載の発明によれば、請求項10ないし請求項15のうちの何れか1つに記載の孔版印刷方法において、さらに少なくともその表面が金属で構成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、高エネルギー表面である金属によってその表面を構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くなり、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくくなると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材による加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元することにより多孔性支持体の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に、印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像濃度を得ることができる。さらに、多孔性支持体の強度が高いので長時間の使用によるへたりが少なく、また、インキによる腐食を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に適している。
【0218】
請求項17記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに少なくともその表面が金属で構成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、高エネルギー表面である金属によってその表面を構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くなり、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくくなると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材による加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元することにより多孔性支持体の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に、印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像濃度を得ることができる。さらに、多孔性支持体の強度が高いので長時間の使用によるへたりが少なく、また、インキによる腐食を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に適している。
【0219】
請求項18記載の発明によれば、多孔性支持体の、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。また、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。さらに少なくともその表面が金属で構成された多孔性支持体を有するマスタを用いることにより、高エネルギー表面である金属によってその表面を構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くなり、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくくなると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材による加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元することにより多孔性支持体の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に、印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像濃度を得ることができる。さらに、多孔性支持体の強度が高いので長時間の使用によるへたりが少なく、また、インキによる腐食を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に適している。
【0220】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面粗さを5〜45μmRzとなるように構成すれば、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減することにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。さらに、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面の繊維径を1〜20μmとなるように構成すれば、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減することにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。さらに、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
【0221】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、インキ保持部材を外遊面に有する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和をを5〜45μmRzとなるように構成すれば、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材及び多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって、画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。さらに、インキの流動性がよく、凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに、着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
上述のインキ保持部材を繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成すれば、太い繊維間を細い繊維で埋めることによってインキ保持部材の表面粗さを小さくすることができ、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材またはインキ保持部材及び多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。また、太い繊維と細い繊維とを混在させることにより、コストアップすることなく孔版印刷装置の耐久性を向上させることができる。
【0222】
上述のインキ保持部材を外表面に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成すれば、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されることにより、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して、良好な画像濃度を得ることができる。
上述のインキ保持部材を少なくともその表面が金属で構成されているものとすれば、高エネルギー表面である金属からその表面を構成されたインキ保持部材はインキとの接着力が高くなり、インキ保持部材の内部からインキが引き出されにくくなると共に、インキ保持部材が高弾性であり、押圧部材による加圧時においてインキ保持部材が圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときにはインキ保持部材が復元することによりインキ保持部材の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像濃度を得ることができる。さらにインキ保持部材の強度が高いので長時間の使用によるへたりが少なく、また、インキによる腐食を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に適した孔版印刷装置を提供することができる。
【0223】
上述のインキ保持部材として、インキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が、前記版胴の外周面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いれば、インキ保持部材の空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働いてインキ保持部材の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りや裏抜けが減少する。
【0224】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面粗さを5〜45μmRzとなるように構成すれば、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減することにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。さらにインキの流動性がよく凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと、インキ保持部材を外周面に有する版胴と、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面の繊維径を1〜20μmとなるように構成すれば、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減することにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。さらにインキの流動性がよく凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
【0225】
本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、インキ保持部材を外遊面に有する版胴と、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部材の前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和をを5〜45μmRzとなるように構成すれば、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材及び多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮され、多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。また、インキの粘度を0.5〜5Pa・sとすることでインキの流動性がよくなり、印刷速度や環境(特に温度)等の影響を受けにくくなって画像濃度が印刷速度や環境の変化に依存せず、インキの印刷用紙内への浸透乾燥が素早くなされて裏写りの発生を防止し、さらに裏抜けを防止している。さらにインキの流動性がよく凹凸の多い印刷用紙でもその表面にインキが流れ込み易くなり、どんな種類の印刷用紙でも埋まりのよい良好な画像を得ることができる。さらに着色剤のコンテントを3〜8重量%とすることにより、固体成分である着色剤が過剰に印刷用紙表面上に蓄積しないので定着性がよく、着色剤の印刷用紙内への浸透量も少ないので裏抜けを防止することができ、さらに良好な画像濃度を得ることができる。
上述のインキ保持部材として繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されたものを用いれば、太い繊維間を細い繊維で埋めることによってインキ保持部材の表面粗さを小さくすることができ、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材またはインキ保持部材及び多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正な量となり、浸透乾燥に要する時間が短縮されることにより、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像濃度を得ることができる。また、太い繊維と細い繊維とを混在させることにより、コストアップすることなく版胴の耐久性を向上させることができる。
【0226】
上述のインキ保持部材として外表面に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いれば、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されることにより、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像濃度を得ることができる。
上述のインキ保持部材として少なくともその表面が金属で構成されているものを用いれば、高エネルギー表面である金属からその表面を構成されたインキ保持部材はインキとの接着力が高くなり、インキ保持部材の内部からインキが引き出されにくくなると共に、インキ保持部材が高弾性であり、押圧部材による加圧時においてインキ保持部材が圧縮されてインキを吐出し、が解除されたときにはインキ保持部材が復元することによりインキ保持部材の内部にインキを吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りや裏抜けの発生を防止できると共に印刷速度や環境の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像濃度を得ることができる。さらにインキ保持部材の強度が高いので長時間の使用によるへたりが少なく、また、インキによる腐食を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に適している。
【0227】
上述のインキ保持部材として、インキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が、前記版胴の外周面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いれば、インキ保持部材の空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働いてインキ保持部材の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りや裏抜けが減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した孔版印刷装置要部の概略側面図である。
【図2】本発明の第1ないし第6の実施例に用いられる版胴及びインキ保持層を示す部分側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのインキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのインキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのインキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図8】本発明の第2の実施例の変形例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図10】本発明の第3の実施例の変形例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図11】本発明の第4の実施例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図12】本発明の第5の実施例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図13】本発明の第6の実施例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図14】本発明の第6の実施例に用いられるマスタを説明する部分側断面図である。
【図15】本発明の第6の実施例に用いられるマスタを説明する部分側断面図である。
【図16】本発明の第6の実施例の変形例に用いられるマスタを示す部分側断面図である。
【図17】本発明の第7の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図18】本発明の第8の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図19】本発明の第8の実施例の変形例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図20】本発明の第9の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図21】本発明の第9の実施例の変形例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図22】本発明の第10の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図23】本発明の第11の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図24】本発明の第12の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図25】本発明の第12の実施例に用いられるインキ保持部材を説明する部分側断面図である。
【図26】本発明の第12の実施例の変形例に用いられるインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図27】本発明の第13の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【符号の説明】
1,43,44,45,46,47,48,49,50,53 版胴
8,20,21,22,23,24,25,36,39,41 マスタ
8b,41b 熱可塑性樹脂フィルム
8c,20b,21c,22c,23c,24b,25d,36a,39a,41a 多孔性支持体
8d,27d 穿孔部
16 押圧手段(プレスローラー)
18 印刷用紙
19 エマルジョンインキ
20a,21b,28a,29b 金属(金属繊維)
26,28,29,30,31,34,35,38,40,42 インキ保持部材
27 熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ
36b,38a インキ流入側の孔
36c,38b インキ流出側の孔
36d,38d インキ通路
60 インキ供給手段
S 垂線

Claims (18)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、
    前記多孔性支持体はインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有していることを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、
    前記多孔性支持体はインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有していることを特徴とする孔版印刷装置。
  3. 前記多孔性支持体は、繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の孔版印刷装置。
  4. 前記多孔性支持体はその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の孔版印刷装置。
  5. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、
    前記多孔性支持体はその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  6. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、
    前記多孔性支持体はその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  7. 前記多孔性支持体は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする請求 項1ないし請求項6のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置。
  8. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、
    前記多孔性支持体は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  9. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記エマルジョンインキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、
    前記多孔性支持体は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  10. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、
    前記マスタとして、前記多孔性支持体がインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いることを特徴とする孔版印刷方法。
  11. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、
    前記マスタとして、前記多孔性支持体がインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔から流入した前記エマルジョンインキの実質的に全量が前記多孔性支持体に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するものを用いることを特徴とする孔版印刷方法。
  12. 前記マスタとして前記多孔性支持体が繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されたものを用いることを特徴とする請求項10または請求項11記載の孔版印刷方法。
  13. 前記マスタとして前記多孔性支持体がその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特徴とする請求項10または請求項11記載の孔版印刷方法。
  14. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、
    前記マスタとして、前記多孔性支持体がその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特徴とする孔版印刷方法。
  15. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、
    前記マスタとして、前記多孔性支持体がその厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特徴とする孔版印刷方法。
  16. 前記マスタとして前記多孔性支持体の少なくともその表面が金属で構成されたものを用いることを特徴とする請求項10ないし請求項15のうちの何れか1つに記載の孔版印刷方法。
  17. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、
    前記マスタとして、前記多孔性支持体の少なくともその表面が金属で構成されたものを用いることを特徴とする孔版印刷方法。
  18. 熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせたマスタと、その粘度が0.5〜5Pa・sであって着色剤がインキ重量の3〜8重量%を占めるエマルジョンインキとを用いる孔版印刷方法において、
    前記マスタとして、前記多孔性支持体の少なくともその表面が金属で構成されたものを用いることを特徴とする孔版印刷方法。
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