JP3599853B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は孔版印刷装置に関し、特にその印圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来使用されている孔版印刷用のマスタは、薄い熱可塑性樹脂フィルム(厚み1〜2μm程度)に和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙繊維と合成繊維とを混抄したものからなる多孔性支持体を貼り合わせたラミネート構造となっている。このマスタの熱可塑性樹脂フィルム面を加熱穿孔製版し、円筒状の多孔性支持板に樹脂繊維あるいは金属繊維から構成されたメッシュスクリーン等からなるインキ保持層を有する回転自在な版胴に、製版されたマスタを巻装して、版胴内部に設けられたインキ供給手段よりインキを供給し、プレスローラー等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押圧して、版胴開孔部及びマスタ穿孔部よりインキを滲出させて印刷を行う感熱デジタル孔版印刷装置がよく知られている。また、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とからなるマスタに代えて、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装して印刷を行う印刷方法の考案もなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に前述の孔版印刷装置においては、印刷装置を一定時間放置した後や印刷を停止した後に再度印刷を再開した場合等に、インキが蒸発することに起因して発生する印刷不良の不具合を防止するため、蒸発しにくい油性インキや油中水型エマルジョンインキが使用されている。
【0004】
しかし、このインキは乾燥しにくいため、印刷時において、印刷用紙に転移したインキが印刷用紙内へ浸透して指等で擦っても汚れが発生しない、所謂、浸透乾燥した状態となるまでにはある程度の時間を必要とする。
【0005】
孔版印刷装置では、印刷済みの印刷用紙は連続的に排紙トレイに排出積載されるが、この時に前の印刷用紙上に次の印刷用紙がすぐに積載されると、インキの乾燥時間が短く前の印刷用紙の画像インキが次の印刷用紙の裏面に付着して汚してしまう、所謂、裏写りという不具合を発生してしまう。この裏写りは、インキ転移量の多い画像、とりわけ印刷用紙表面に転移したときのインキ層の厚さの厚い(インキ転移高さの高い)画像の印刷時において発生し易い。
【0006】
さらに、従来の孔版印刷装置に用いられているマスタや版胴では、マスタの穿孔径に対して多孔性支持体やインキ保持層の開孔径(空隙)が大きくなるように構成されており、転移するインキ量を減少させて裏写りを防止する効果がほとんど期待できなかった。
【0007】
また、従来の多孔性支持体やメッシュスクリーンでは、流入するインキの流動方向を変化させずに流出させてしまう部分が多く存在し、この部分においてインキの流出量が大きくなって裏写りを引き起こしてしまうという問題点がある。
【0008】
さらに、インキ保持部材として、細い繊維等で構成された弾性の少ないものや圧縮強さの弱いものを用い、プレスローラーとして硬度の高いものを用い、特殊な形状や厚さの厚い印刷物、特にハガキや封筒等に印刷を行った場合に、インキ保持部材が潰れてしまい、次の印刷に際して良好な画像を得ることができないという問題点がある。
【0009】
本発明は、裏写りの発生を防止すると共に、ハガキ等の特殊な印刷物を用いた場合においてもインキ保持部材の圧潰を防止し、常に良好な画像を得ることができる孔版印刷装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzであると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴と、前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、その外表面の硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下であり、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzであると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に印刷用紙の形状に応じて変形する可撓性の多孔性層を有する版胴と、前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに前記印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置であって、前記インキ供給手段または前記押圧手段の少なくとも一方の外表面の硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和が5μm以上45μm以下、好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴と、前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、その外表面の硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下であり、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和が5μm以上45μm以下、好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に印刷用紙の形状に応じて変形する可撓性の多孔性層を有する版胴と、前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに前記印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置であって、前記インキ供給手段または前記押圧手段の少なくとも一方の外表面の硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴と、前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、その外表面の硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下であり、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に印刷用紙の形状に応じて変形する可撓性の多孔性層を有する版胴と、前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに前記印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置であって、前記インキ供給手段または前記押圧手段の少なくとも一方の外表面の硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下であることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記インキ保持部材は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記インキ保持部材は繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし請求項7のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記インキ保持部材は外表面に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
【実施例】
図1は、本発明の第1の実施例に用いられる孔版印刷装置の要部を示している。同図において、回転自在に支持され、図示しない版胴駆動手段で回転駆動される円筒状の版胴1は、インキパイプ2、インキローラー3、ドクターローラー4等から構成されるインキ供給手段60をその内部に有している。
【0021】
版胴1は、図2に示すように、開孔部1aを有し、剛性を有する多孔性支持板1bと、多孔性支持板1bの外表面に巻装されたインキ保持部材15とから構成されている。多孔性支持板1bは、ステンレス等の金属板にエッチングやプレスによって開孔部1aを形成したものであり、厚み0.1〜1.0mmのものが好ましく用いられる。ここでいう剛性を有する多孔性支持板1bとは、多孔性支持板1bとインキローラー3との間に隙間がある場合、若しくはインキローラー3が弾性体から構成されている場合においては、多孔性支持板1bが印刷用紙(印刷物)の形状(特に幅方向の大きさ)に対応して変形するのではなく、一様に反り返るように変形するもの、また、多孔性支持板1bとインキローラー3との間に隙間がなく、かつ、インキローラー3が実質的に剛体から構成されている場合においては、変形しないものをいう。また、版胴1の画像形成領域における開孔率は、10〜20%である。
【0022】
インキ保持部材15は、インキを通過させるためのインキ通路を有し、インキの拡散、保持、押し出し等の働きをする。インキ保持部材15は、図2に示すように、和紙繊維等の天然繊維、あるいはテトロン、ナイロン、レーヨン、ビニロン、フッ素樹脂、ポリエステル等の合成樹脂繊維15aでインキを通過させるためのインキ通路を形成した不織布によって構成される。インキ保持部材15は、上記の他に、楮、三椏、マニラ麻、亜麻等の天然繊維からなる多孔性薄葉紙や、天然繊維と合成樹脂繊維とを混抄してなる不織布等から構成してもよい。このインキ保持部材15は、複数層設けても、1層だけ設けるように構成してもよく、本発明以外の構成のインキ保持層をインキ保持部材15と多孔性支持板1bとの間に設けてもよい。
【0023】
版胴1の支軸を兼ねたインキパイプ2は図示しない筐体側板に固着されており、その表面には、版胴1の内部にインキを供給するための複数の小さな孔が穿設されている。インキパイプ2は、版胴1の外部に配設された図示しないインキパック内から図示しないポンプによって汲上げられたインキを版胴1の内部に供給する。
【0024】
インキパイプ2の下方には、インキローラー3とドクターローラー4とが配設されている。版胴1内の図示しない側板に回転自在に支持されたインキローラー3は、その外周面が版胴1の内周面と近接するように設置されており、インキパイプ2より供給されたインキを版胴1に供給する。インキローラー3は、図示しないギヤあるいはベルト等の駆動力伝達手段によって版胴駆動手段からの回転力を伝達され、版胴1と同期して図の時計回り方向に回転駆動される。インキローラー3は、アルミニウム等の金属、あるいは比較的硬度の高い(JIS A80度程度)のゴム等で構成されている。
【0025】
なお、本実施例では、インキローラー3は、その外周面が版胴1の内周面と近接するように設置されているが、その外周面を版胴1の内周面に当接するようにインキローラー3を配してもよく、また、インキローラー3は、比較的硬度の低い弾性体から構成されてもよい。
【0026】
また、インキ供給手段としては、インキローラー3に代えて、ブレードを有するもの等、各種のインキ供給手段を採用してもよい。さらに、インキ供給手段として、図28に示すように、本願出願人が特願平6−162313号で提案しているような、プレスローラー16と対向しない版胴1の内部にインキローラー3bを配置し、プレスローラー16と対向する版胴1の内部に、プレスローラー16の圧力を受け止める受けローラー31を設けたインキ供給手段60aを採用してもよい。なお、この場合は、受けローラー31が金属あるいは比較的高硬度のゴム等で構成される。
【0027】
インキローラー3の近傍には、回転自在なドクターローラー4が配設されている。ドクターローラー4は、その外周面とインキローラー3の外周面との間に僅かな間隙が生じるように配設されており、インキローラー3の外周面との近接部において楔状のインキ溜まり5を形成している。
【0028】
インキパイプ2よりインキ溜まり5へと供給されたインキは、インキローラー3とドクターローラー4との間隙を通過することにより均一な層状となりつつインキローラー3の表面に供給される。
【0029】
版胴1の非開孔部表面には、軸方向に延在するステージ部6が設けられている。磁性体で形成されたステージ部6上には、ステージ部6に対して接離自在に枢着されたマグネットを有するクランパー7が配設されており、クランパー7は図示しない開閉手段によって回動される。
【0030】
版胴1の左上方には、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ8をロール状に巻成してなるマスタロール9と、サーマルヘッド10及びプラテンローラー11からなる製版手段61と、マスタ搬送ローラー対12と、切断手段13と、マスタガイド板14とが配設されている。
【0031】
ここで用いられる熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ8とは、マスタ8が熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものの他、熱可塑性樹脂フィルム内、または表面に帯電防止剤や熱融着防止剤等の微量成分を有してなるもの、あるいは熱可塑性樹脂フィルムの両主面、すなわち表面及び裏面のうちの少なくとも一方にオーバーコート層等の薄膜層を1層または複数層形成してなるものを含む。熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステル(好ましくは共重合ポリエステル)系、ナイロン(好ましくは共重合ナイロン)系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、塩化ビニル系、アクリル酸誘導体系、エチレン・ビニルアルコール系、ポリカーボネート系共重合体等が用いられる。熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm〜20μm、より好ましくは1μm〜10μmである。
【0032】
マスタロール9は、その芯部9aを図示しないホルダー手段に回転可能に支持されている。
【0033】
サーマルヘッド10とプラテンローラー11とは、図示しない孔版印刷装置の側板に取り付けられている。多数の発熱素子を有するサーマルヘッド10は、図示しない付勢手段によってプラテンローラー11に付勢されている。プラテンローラー11は回転自在に設けられており、図示しないステッピングモーターによって、図において時計回り方向に回転駆動される。マスタ8はサーマルヘッド10に押圧され、サーマルヘッド10によって熱溶融穿孔製版されつつプラテンローラー11の回転によってマスタロール9より繰り出される。
【0034】
サーマルヘッド10とプラテンローラー11とが配設された位置よりもマスタ搬送方向下流側には、マスタ搬送ローラー対12が配設されている。図示しない孔版印刷装置の側板に回転自在に支持されたマスタ搬送ローラー対12は、図示しない駆動手段によってプラテンローラー11の周速度よりも僅かに速い周速度で回転駆動される。また、マスタ搬送ローラー対12には図示しないトルクリミッターが取り付けられており、プラテンローラー11とマスタ搬送ローラー対12との間で搬送されるマスタ8に対して、予め設定された張力が一定に作用するように構成されている。
【0035】
マスタ搬送ローラー対12の配設位置よりもマスタ搬送方向下流側には、可動刃13aと固定刃13bとからなる切断手段13及びマスタガイド板14が配設されている。切断手段13は、可動刃13aが固定刃13bに対して回転移動または上下動してマスタ8を切断する周知の構成である。マスタガイド板14は図示しない孔版印刷装置の側板に固着されており、搬送されるマスタ8をガイドする。
【0036】
版胴1の下方には、押圧手段としてのプレスローラー16が配設されている。回転自在に支持されたプレスローラー16は、図示しない揺動手段によって、その外周面が版胴1の外周面より離間する位置と版胴1の外周面と当接する位置とに選択的に揺動される。
【0037】
プレスローラー16の右方には、レジストローラー対17が配設されている。レジストローラー対17は、図示しない給紙手段より給送される印刷用紙18の先端を啣え込み、プレスローラー16が版胴1と当接するタイミングと同期して、印刷用紙18を版胴1とプレスローラー16との間に向けて給送する。なお、押圧手段として、プレスローラー16の代わりに版胴1と略同径の圧胴を設けてもよい。
【0038】
上記構成に基づき、以下に動作を説明する。
図示しない原稿読取部に原稿がセットされ、図示しない製版スタートキーが押されると、版胴1が回転し、図示しない排版装置によって版胴1の外周面に巻装されている使用済みマスタが剥離・廃棄され、版胴1はクランパー7が略真上に位置する給版待機位置で停止する。版胴1の回転が停止すると、図示しない開閉手段が作動してクランパー7が開放され、版胴1は図1に示す給版待機状態となる。
【0039】
排版動作が完了すると、これに続いて製版動作が行われる。読み取られた原稿画像は、原稿読取部のCCD等で電気信号に変換され、A/D変換器を経由して製版制御装置に画像データとして送られる。製版制御装置は、送られた画像データに基づいてサーマルヘッド10の発熱素子に対してパルス状の通電を行い、サーマルヘッド10はマスタ8に対して熱溶融穿孔製版を行う。サーマルヘッド10の作動に先立って、プラテンローラー11が図示しないステッピングモーターによって回転駆動され、マスタロール9よりマスタ8が引き出される。
【0040】
製版画像を形成されたマスタ8は、マスタガイド板14にガイドされつつマスタ搬送ローラー対12によってクランパー7へと搬送される。プラテンローラー11を駆動するステッピングモーターのステップ数より、マスタ8の先端がクランパー7とステージ部6との間の所定位置まで達したと判断されると、図示しない開閉手段が作動してクランパー7を反時計回り方向に回動させ、ステージ部6とクランパー7とでマスタ8の先端を挟持した後、版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で時計回り方向に回転を開始し、マスタ8の版胴1への巻装が開始される。
【0041】
そして、プラテンローラー11を駆動するステッピングモーターのステップ数より、1版分の製版が完了したと判断されるとプラテンローラー11とマスタ搬送ローラー対12の回転動作がそれぞれ停止され、切断手段13によってマスタ8が切断される。切断されたマスタ8は、版胴1の回転によって引き出されて巻装動作が完了する。
【0042】
巻装動作に引き続き、版付動作が行われる。
図示しない給紙手段より給送された印刷用紙18は、レジストローラー対17に啣え込まれる。レジストローラー対17は、低速で回転している版胴1に巻装されたマスタ8の画像領域がプレスローラー16と対応する位置に達するタイミングで、印刷用紙18を版胴1とプレスローラー16との間に向けて給送する。給送された印刷用紙18は、プレスローラー16によって版胴1に巻装されたマスタ8に押圧される。この押圧動作により、プレスローラー16と印刷用紙18とマスタ8と版胴1の外周面とが圧接し、インキローラー3によって版胴1の内周面に供給されたインキが、開孔部1aとインキ保持部材15のインキ通路より滲出し、インキ保持部材15のインキ通路の空隙15bに充填された後、マスタ8の穿孔部を通過して印刷用紙18に転移される。
【0043】
インキを転移された印刷用紙18は、図示しない剥離爪によって版胴1の外周面より剥離され、図示しない排紙手段によって機外に排出されて版付動作が完了する。
【0044】
版付動作完了後、図示しない印刷スタートキーが押されると、図示しない給紙手段より印刷用紙18が連続的に給送され、版胴1が高速で回転駆動されて印刷動作が行われる。
【0045】
上述の版付動作または印刷動作中において、マスタ8の表面から印刷用紙18が剥離されるときに、図3、図4に示すように、マスタ8の表面のインキと印刷用紙18との接着力によってマスタ8の穿孔部8aよりインキ19が引き出されるが、インキ19が引き出される量は熱可塑性樹脂フィルムの内側の層であるインキ保持部材15の構造と関係があり、インキ保持部材15の表面の凹凸L(表面粗さ)が大きければ大きいほど穿孔部8aの上方の空隙15b内のインキ層が厚くなり、引き出されるインキ量、すなわちインキ転移高さlが増加する。
【0046】
図3に示すように、表面の凹凸L(表面粗さ)が大きくなればなるほど、インキが存在する穿孔部8aの上方の空隙15bが大きくなり、これにより穿孔部8aを介してインキ保持部材15からインキ19が多量に引き出されてしまう。そこで、図4に示すように、インキ保持部材15の表面の凹凸L(表面粗さ)を小さくすればするほど引き出されるインキ量(インキ転移高さl)も低減されるが、表面の凹凸L(表面粗さ)をあまり小さくしすぎると引き出されるインキ量が少なくなりすぎて満足な画像が得られない。
【0047】
また、プレスローラーによる加圧時において、図5に示すように、ハガキや封筒等、比較的厚みがあって幅の狭い印刷物18aを印刷する場合であって、プレスローラー16が金属や硬度の高いゴム等からなる場合には、プレスローラー16の形状が圧縮変形しにくく、さらに多孔性支持板1bが剛性を有しているので変形しにくいため、インキ保持部材15は、それぞれ変形しにくい多孔性支持板1bとプレスローラー16とで押圧される状態となり、プレスローラー16とマスタ8との間にギャップGが生じる。これにより、プレスローラー16が印刷物18aを介してのみマスタ8を押圧し、プレスローラー16の印圧(図6に矢印で示す)が印刷物18aの幅に対応する部分Aのみに集中するため、マスタ8を介してインキ保持部材15により多くの力が加わって、図6に示すように、インキ保持部材15が圧縮変形し、この圧縮変形された部分ではインキの通過性が悪化して画像が出なくなる。
【0048】
この押圧時において、インキ保持部材15を構成する繊維径が太ければ弾性が高く、圧が解除されたときに元の状態に復元するが、表面の凹凸L(表面粗さ)を小さくするためにインキ保持部材15を構成する繊維径を細くした場合には、弾性と圧縮強さとが共に低下し、図7に示すように、インキ保持部材15は塑性変形を起こして潰れてしまう。
【0049】
上述の問題点を解決するため、プレスローラー16に代えて、図8に示すように、硬度の低いゴムで構成されたプレスローラー16aを用いると、図9に示すように、印刷物18aの厚さに対応した分だけプレスローラー16a側が圧縮変形することにより、プレスローラー16aの、印刷物18aの幅に対応しない部分Bが、マスタ8を介してインキ保持部材15に接触するようになり、印圧が分散されることによってインキ保持部材15側の圧縮変形量が減少し、繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材15を用いても、図10に示すように、インキ保持部材15の潰れを防ぐことができる。
【0050】
そこで、インキ保持部材15の合成樹脂繊維15aの繊維径を変化させることにより、凹凸L(表面粗さ)を調整すると共に、プレスローラー16のゴム硬度を変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材15の潰れの状態等を調査した。
【0051】
実験では、デジタル孔版印刷機プリポートVT3820((株)リコー製)を改良したものを用いて印刷を行った。なお、裏写り及び画像を調査する場合は、王子上質55kg紙・A3サイズに印刷し、潰れを調査する場合は、ハガキを1000枚印刷し、その後、王子上質55kg紙・A3サイズに印刷し、インキ保持部材15の潰れの画像への影響を見た。表面粗さの測定は、表面粗さ計SEF−30D((株)小坂研究所製)を用いてインキ保持部材15の表面の凹凸Lを測定した。また、プレスローラー16は、硬度の異なるゴム製のものを複数試作して用いた。プレスローラー16の硬度を測定するための試験機は、JIS K6301(1975の5.2.2)に規定されたゴム硬さ試験機(市販品としては、例えば(株)テクロック製GS−706型(JIS A型)がある)であり、プレスローラー16の表面に接触する截頭円錐形押針の寸法は、垂直部分の直径が1.3±0.1mm、截頭先端の直径が0.79±0.02mmである。また、目盛に対して押針に加わる荷重は、0゜目盛で55g、100゜目盛で855gである。測定は、プレスローラー16の表面に押針を接触させてから10秒後に目盛を読んで行った。測定は、気温20℃の環境下で5箇所行い、その平均を算出した。
【0052】
印刷は、印圧を常用の9.8N/cm 、印刷速度を60r.p.m.で行い、表面粗さの測定については、半径7μmのヘッドを使用して送り速度0.1mm/sec、測定長さ0.8mmで測定し、この範囲での十点平均粗さを求め、これを10箇所測定してその平均より凹凸L(表面粗さRz )を算出した。
【0053】
なお、インキ保持部材15としては、厚さ100μm、密度0.4g/cm のテトロン製の不織布を試作して用い、プレスローラー16として外径30mmのものを、また、インキローラー3として、実質的に剛体であるアルミニウムから構成され、外径40mmのものを用いた。実験の結果を表1〜表7に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0003599853
【0055】
【表2】
Figure 0003599853
【0056】
【表3】
Figure 0003599853
【0057】
【表4】
Figure 0003599853
【0058】
【表5】
Figure 0003599853
【0059】
【表6】
Figure 0003599853
【0060】
【表7】
Figure 0003599853
【0061】
表1〜表7より明らかなように、インキ保持部材15の表面粗さを45μmRz 以下にすると、表に三角印で示すように裏写りが少なくなり、35μmRz 以下にすると、表に丸印で示すように裏写りがほとんど無くなり、25μmRz 以下にすると、表に星印で示すように裏写りが発生しないという結果が得られた。また、表面粗さを5μmRz 未満とすると満足する画像が得られないことも判明した。
【0062】
さらに、合成樹脂繊維15aの繊維径を20μm以下とすると、表に三角印で示すように裏写りが少なくなり、15μm以下とすると、表に丸印で示すように裏写りがほとんど無くなり、8μm以下とすると、表に星印で示すように裏写りが発生しないという結果が得られた。また、繊維径を1μm未満とすると満足する画像が得られないことも判明した。
【0063】
また、プレスローラー16の硬度を50度以下とすると、画像に影響しない程度のインキ保持部材15の潰れが見られ、硬度を40度以下とするとインキ保持部材15の潰れが見られなくなるという結果が得られた。さらに、硬度を15度未満とすると、満足する画像が得られにくい場合があることが判明した。
【0064】
以上のことから、インキ保持部材15は、マスタ8と当接する側の表面粗さを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定される。また、インキ保持部材15は、マスタ8と当接する側の表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下に設定される。
【0065】
インキ保持部材15の潰れを防止するためには、印刷物18aの厚みを吸収すること、換言するとインキ保持部材15が圧縮変形されるのではなくて、他の部分(本実施例ではプレスローラー16)が圧縮変形されることが必要であり、そのためにはプレスローラー16の硬度を50度以下とする必要があり、インキ保持部材15の潰れを全くなくすためには、プレスローラー16の硬度を40度以下とする必要があることがわかった。また、プレスローラー16の硬度を15度より小さくすると、プレスローラー16の圧縮変形が大きくなりすぎて、面圧が低下することにより満足する画像が得られにくい場合があることがわかった。
【0066】
また、インキ保持部材15の密度が低いと繊維間の空隙15bが広くなり、細い繊維等を使用しても凹凸Lが大きくなって裏写りがひどくなる。さらに、密度が高すぎると繊維間の空隙15bが狭くなり、繊維が数多く交差する部分ではインキが通過しにくくなって画像に白抜け(繊維塊跡)が見られ、満足な画像が得られなくなる。そこでインキ保持部材15の密度と裏写りとの関係を調査した。
【0067】
その結果、インキ保持部材15が、天然または合成樹脂系の繊維で構成されている場合の密度は0.1〜0.6g/cm 、より好ましくは0.2〜0.6g/cm 、金属系の繊維で構成されている場合であって、ステンレス、鉄の場合の密度は0.7〜3.0g/cm 、より好ましくは0.9〜3.0g/cm 、チタンの場合の密度は0.4〜1.7g/cm 、より好ましくは0.5〜
1.7g/cm 、アルミニウムの場合の密度は0.2〜1.0g/cm 、より好ましくは0.3〜1.0g/cm となった。
【0068】
以上のことから、インキ保持部材15の好ましい密度範囲Dwとより好ましい密度範囲Dw1とは、それぞれ以下の式で示される。
Dw=0.09ρ〜0.38ρ(g/cm
Dw1=0.11ρ〜0.38ρ(g/cm
ρ:物質の密度(g/cm
なお、上記式は、後述する各実施例及び変形例における各インキ保持部材の密度についても適用され得るものである。
【0069】
図11は、本発明の第2の実施例に用いられる版胴20、プレスローラー16b、インキローラー3をそれぞれ示している。この第2の実施例は、第1の実施例と比較すると、版胴1に代えて版胴20を用いる点と、プレスローラー16に代えてプレスローラー16bを用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0070】
版胴20は、版胴1と比較すると、剛性を有する多孔性支持板1bに代えて、可撓性の多孔性層20aを有している点において相違している。ここでいう可撓性の多孔性層とは、多孔性層が印刷用紙の形状(特に幅方向の大きさ)に対応して変形するものをいう。多孔性層20aとしては金属メッシュスクリーン、不織布、焼結シート、メッシュスクリーンと焼結シートとを一体に積層したもの等が好適である。プレスローラー16bは弾性体によって構成されている。
【0071】
上記構成とすることにより、図12に示すように、押圧時において印刷物18aの厚さに対応した分だけプレスローラー16b側が圧縮変形することにより、印圧が分散されてインキ保持部材15側の圧縮変形量が減少し、あるいはなくなり、繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材15を用いてもインキ保持部材15は図11に示す状態に再び復帰し、インキ保持部材15の潰れを防ぐことができる。なお、このとき多孔性層20aは、硬度の高いインキローラー3によってその変形が防止されている。
【0072】
この第2の実施例においても、インキ保持部材15の合成樹脂繊維15aの繊維径を0.8μm〜30μmの範囲で変化させることにより、凹凸L(表面粗さ)を4〜49μmRz の範囲で調整すると共に、プレスローラー16bのゴム硬度を10〜60度(JIS A)の範囲で変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材15の潰れの状態等を調査した結果、第1の実施例と同様に、合成樹脂繊維15aの繊維径を1〜20μm、好ましくは1〜15μm、より好ましくは1〜8μmに、凹凸Lを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz として裏写りの発生を防止し、プレスローラー16bの硬度を15〜50度とするとインキ保持部材15の潰れが画像に影響を及ぼさない程度となり、プレスローラー16bの硬度を15〜40度としたときには、インキ保持部材15に潰れが全く見られないという結果が得られた。
【0073】
図13は、本発明の第3の実施例に用いられる版胴20、プレスローラー16c、インキローラー3aをそれぞれ示している。この第3の実施例は、第2の実施例と比較すると、プレスローラー16bに代えてプレスローラー16cを用いる点と、インキローラー3に代えてインキローラー3aを用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0074】
インキローラー3aは弾性体によって構成されており、プレスローラー16cは、実質的に剛体である金属から構成されている。
【0075】
上記構成とすることにより、図14に示すように、インキローラー3aが圧縮変形することにより押圧時において印刷物18aの厚さに対応した分だけ多孔性層20aが変形し、マスタ8及びインキ保持部材15も変形し、インキローラー3aの圧縮変形によって印刷物18aの厚さを吸収する。これにより、繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材15を用いてもインキ保持部材15は図13に示す状態に再び復帰し、インキ保持部材15の潰れを防ぐことができる。また、プレスローラー16bとインキローラー3aとを併用した場合にも上述と同様の効果が得られる。
【0076】
この第3の実施例においても、インキ保持部材15の合成樹脂繊維15aの繊維径を0.8μm〜30μmの範囲で変化させることにより、凹凸L(表面粗さ)を4〜49μmRz の範囲で調整すると共に、インキローラー3aのゴム硬度を10〜60度(JIS A)の範囲で変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材15の潰れの状態等を調査した結果、第1の実施例と同様に、合成樹脂繊維15aの繊維径を1〜20μm、好ましくは1〜15μm、より好ましくは1〜8μmに、凹凸Lを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz として裏写りの発生を防止し、インキローラー3aの硬度を15〜50度とするとインキ保持部材15の潰れが画像に影響を及ぼさない程度となり、インキローラー3aの硬度を15〜40度としたときには、インキ保持部材15に潰れが全く見られないという結果が得られた。
【0077】
上記第1ないし第3の実施例において、インキ保持部材15に代えて、繊維径の異なる2種類以上の繊維部材からなる不織布によって構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、太い繊維間を細い繊維で埋めることができ、インキ保持部材表面の凹凸L(表面粗さ)を小さくすることができると共に、太い繊維を使用しているため、インキ保持部材の強度を向上させ、インキ保持部材の切れや伸びの発生を防止することができる。
【0078】
また、インキ保持部材の密度あるいは繊維径が版胴の外周面、すなわちインキ保持部材の外表面に向かうに連れて小さくなるように構成され、繊維間の空隙が外表面に向かうに連れて小さくなるように構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、インキ通路に沿って、最初は空隙が大きくインキの供給・拡散が良好であり最終では空隙が小さく凹凸L(表面粗さ)の少ないインキ保持部材とすることができ、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。
【0079】
また、上記第1ないし第3の実施例では、インキ保持部材15を不織布からなるものとしたが、マニラ麻や亜麻等の天然繊維、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維、若しくはステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維からなる不織布や焼結シート、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維を焼結させて作成した焼結シート、ポリビニルアセタール系またはポリビニルアルコール系の連続気泡を有する多孔質弾性体、硬質粒子とゴムの混和した連続気泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレン等の合成樹脂や無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポリウレタン等の液状焼結による多孔質弾性体、または金属の微粉末を焼結した多孔質体、多孔質ゴム等の多孔質弾性体からなるものとしてもよい。
【0080】
また、上述したメッシュスクリーン、不織布、焼結シート、各種の多孔質弾性体等のインキ保持部材において、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着あるいは接着し、これによりインキ保持部材の表面粗さを小さくするように構成してもよい。
【0081】
図15は、本発明の第4の実施例に用いられる版胴21、マスタ23、プレスローラー16bをそれぞれ示している。この第4の実施例は、第1の実施例と比較すると、版胴1に代えて版胴21を用いる点、プレスローラー16に代えてプレスローラー16bを用いる点、及びマスタ8に代えて多孔性支持体23cを有するマスタ23を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0082】
版胴21は、版胴1と比較すると、インキ保持部材15に代えてインキ保持部材22を有している点において相違している。インキ保持部材22は、インキ保持部材15と同様に、和紙繊維等の天然繊維、あるいはテトロン、ナイロン、レーヨン、ビニロン、フッ素樹脂、ポリエステル等の合成樹脂繊維22aでインキを通過させるためのインキ通路を形成した不織布によって構成される。インキ保持部材22は、上記の他に、楮、三椏、マニラ麻、亜麻等の天然繊維からなる多孔性薄葉紙や、天然繊維と合成樹脂繊維とを混抄してなる不織布等から構成してもよい。このインキ保持部材22は、複数層設けても、1層だけ設けるように構成してもよく、本発明以外の構成のインキ保持層をインキ保持部材22と多孔性支持板1bとの間に設けてもよい。インキ保持部材22は、その表面粗さと後述するマスタ23の多孔性支持体23cの厚みとの和が5〜45μmとなるように構成されている。
【0083】
マスタ23は、図16に示すように、テトロン、ナイロン、レーヨン、ビニロン、ポリエステル等の合成樹脂繊維23aからなる不織布で形成した多孔性支持体23cと、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルム23bとを接着等によって貼り合わせた構成となっている。なお、多孔性支持体23cは、楮、三椏、マニラ麻、亜麻等の天然繊維からなる多孔性薄葉紙、天然繊維と合成繊維とを混抄してなる不織布、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維からなるメッシュスクリーン、あるいは合成樹脂繊維や金属繊維からなる焼結シート等から構成してもよい。
【0084】
裏写りを防止することは、第1の実施例より、インキ保持部材の表面粗さに関係することが判る。これから、インキ保持部材22と熱可塑性樹脂フィルム23bとの間に多孔性支持体23cが介在する場合であって、多孔性支持体23cに、インキの流動方向を変化させずにインキをストレートに流出させる部分が多く存在し、さらに、そのストレートに流出させる部分の開孔径(空隙)23dの大きさが熱可塑性樹脂フィルム23bに形成される穿孔部の大きさよりも大きい場合には、インキ保持部材22の表面粗さは、熱可塑性樹脂フィルム23bの内面からインキ保持部材22の外表面凹部までの距離L’と考えることができる。従って、裏写りを防止するには、距離L’を5μm以上45μm以下とする必要がある。
【0085】
この実施例では、熱可塑性樹脂フィルム23bとインキ保持部材22との間に多孔性支持体23cが介在する。従って、裏写りの発生を防止するには、多孔性支持体23cの厚さとインキ保持部材22の表面粗さとの和が、5μm以上45μm以下となるように構成する必要がある。例えば、多孔性支持体23cの厚さが20μmであったら、インキ保持部材22の表面粗さは25μmRz 以下となる。なお、多孔性支持体23cの厚さとインキ保持部材22の表面粗さとの和は、好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下の範囲内である。
【0086】
上記構成とすることにより、図17に示すように、押圧時において印刷物18aの厚さに対応した分だけプレスローラー16b側が圧縮変形することにより、印圧が分散されてマスタ23及びインキ保持部材22側の圧縮変形量が減少し、あるいはなくなり、多孔性支持体23cの厚みが薄いマスタ23及び繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材22を用いても、マスタ23及びインキ保持部材22は図15に示す状態に再び復帰し、マスタ23とインキ保持部材22の潰れを防ぐことができる。
【0087】
この第4の実施例においても、インキ保持部材22の表面粗さと多孔性支持体23cの厚みとの和を4〜49μmの範囲で調整すると共に、プレスローラー16bのゴム硬度を10〜60度(JIS A)の範囲で変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材22の潰れの状態等を調査した結果、第1の実施例と同様に、インキ保持部材22の表面粗さと多孔性支持体23cの厚みとの和を5〜45μm、好ましくは5〜35μm、より好ましくは5〜25μmとして裏写りの発生を防止し、プレスローラー16bの硬度を15〜50度とするとインキ保持部材22及びマスタ23の潰れが画像に影響を及ぼさない程度となり、プレスローラー16bの硬度を15〜40度としたときには、インキ保持部材22及びマスタ23に潰れが全く見られないという結果が得られた。
【0088】
図18は、本発明の第5の実施例に用いられるインキローラー3、版胴24、マスタ23、プレスローラー16bをそれぞれ示している。この第5の実施例は、第2の実施例と比較すると、版胴20に代えてインキ保持部材22を有する版胴24を用いる点と、マスタ8に代えて多孔性支持体23cを有するマスタ23を用いる点とにおいてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0089】
版胴24は、インキ保持部材22と可撓性の多孔性層24aとから主に構成されている。多孔性層24aとしては金属メッシュスクリーン、不織布、焼結シート、メッシュスクリーンと焼結シートとを一体に積層したもの等が好適である。
【0090】
上記構成とすることにより、図19に示すように、押圧時において印刷物18aの厚さに対応した分だけプレスローラー16b側が圧縮変形することにより、印圧が分散されてマスタ23及びインキ保持部材22側の圧縮変形量が減少し、あるいはなくなり、多孔性支持体23cの厚みが薄いマスタ23及び繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材22を用いても、マスタ23及びインキ保持部材22は図18に示す状態に再び復帰し、マスタ23とインキ保持部材22の潰れを防ぐことができる。なお、このとき多孔性層24aは、硬度の高いインキローラー3によってその変形が防止されている。
【0091】
この第5の実施例においても、インキ保持部材22の表面粗さと多孔性支持体23cの厚みとの和を4〜49μmの範囲で調整すると共に、プレスローラー16bのゴム硬度を10〜60度(JIS A)の範囲で変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材22の潰れの状態等を調査した結果、第4の実施例と同様に、インキ保持部材22の表面粗さと多孔性支持体23cの厚みとの和を5〜45μm、好ましくは5〜35μm、より好ましくは5〜25μmとして良好な画像を得る場合に、プレスローラー16bの硬度を15〜50度とするとインキ保持部材22及びマスタ23の潰れが画像に影響を及ぼさない程度となり、プレスローラー16bの硬度を15〜40度としたときには、インキ保持部材22及びマスタ23に潰れが全く見られないという結果が得られた。
【0092】
図20は、本発明の第6の実施例に用いられるインキローラー3a、版胴24、マスタ23、プレスローラー16cをそれぞれ示している。この第6の実施例は、第5の実施例と比較すると、インキローラー3に代えてインキローラー3aを用いる点と、プレスローラー16bに代えてプレスローラー16cを用いる点とにおいてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0093】
上記構成とすることにより、図21に示すように、押圧時において印刷物18aの厚さに対応した分だけインキローラー3aが圧縮変形することにより多孔性層24aが変形し、マスタ23及びインキ保持部材22も変形し、このインキローラー3aの圧縮変形によって印刷物18aの厚さを吸収する。これにより、印圧が分散され、多孔性支持体23cの厚みが薄いマスタ23及び繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材22を用いても、マスタ23及びインキ保持部材22は図20に示す状態に再び復帰し、マスタ23とインキ保持部材22の潰れを防ぐことができる。また、プレスローラー16bとインキローラー3aとを併用した場合にも上述と同様の効果が得られる。
【0094】
この第6の実施例においても、インキ保持部材22の表面粗さと多孔性支持体23cの厚みとの和を4〜49μmの範囲で調整すると共に、インキローラー3aのゴム硬度を10〜60度(JIS A)の範囲で変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材22の潰れの状態等を調査した結果、第4の実施例と同様に、インキ保持部材22の表面粗さと多孔性支持体23cの厚みとの和を5〜45μm、好ましくは5〜35μm、より好ましくは5〜25μmとして裏写りの発生を防止し、インキローラー3aの硬度を15〜50度とするとインキ保持部材22及びマスタ23の潰れが画像に影響を及ぼさない程度となり、インキローラー3aの硬度を15〜40度としたときには、インキ保持部材22及びマスタ23に潰れが全く見られないという結果が得られた。
【0095】
上記第4ないし第6の実施例において、インキ保持部材22に代えて、繊維径の異なる2種類以上の繊維部材からなる不織布によって構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、太い繊維間を細い繊維で埋めることができ、インキ保持部材表面の凹凸L(表面粗さ)を小さくすることができると共に、太い繊維を使用しているため、インキ保持部材の強度を向上させ、インキ保持部材の切れや伸びの発生を防止することができる。
【0096】
また、インキ保持部材の密度あるいは繊維径が版胴の外周面、すなわちインキ保持部材の外表面に向かうに連れて小さくなるように構成され、繊維間の空隙が外表面に向かうに連れて小さくなるように構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、インキ通路に沿って、最初は空隙が大きくインキの供給・拡散が良好であり最終では空隙が小さく凹凸L(表面粗さ)の少ないインキ保持部材とすることができ、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。
【0097】
また、上記第4ないし第6の実施例では、インキ保持部材22を不織布からなるものとしたが、マニラ麻や亜麻等の天然繊維、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維、若しくはステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維からなる不織布や焼結シート、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維を焼結させて作成した焼結シート、ポリビニルアセタール系またはポリビニルアルコール系の連続気泡を有する多孔質弾性体、硬質粒子とゴムの混和した連続気泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレン等の合成樹脂や無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポリウレタン等の液状焼結による多孔質弾性体、または金属の微粉末を焼結した多孔質体、多孔質ゴム等の多孔質弾性体からなるものとしてもよい。
【0098】
また、上述したメッシュスクリーン、不織布、焼結シート、各種の多孔質弾性体等のインキ保持部材において、マスタと当接する側の表面に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着あるいは接着し、これによりインキ保持部材の表面粗さを小さくするように構成してもよい。
【0099】
図22は、本発明の第7の実施例に用いられるインキ保持部材25を示している。この第7の実施例は、第1ないし第6の実施例と比較すると、インキ保持部材15,22に代えてインキ保持部材25を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0100】
インキ保持部材25は、合成樹脂繊維等の繊維部材25aからなる不織布によって構成されている。そしてインキ保持部材25には、インキ流入側の孔25b及びインキ流出側の孔25cと、インキ流入側の孔25bから流入したインキ19が熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ8の面に対する垂線S、すなわち版胴の外周面に対する垂線Sから少なくとも1回ずれた後にインキ流出側の孔25cから流出するインキ通路25dとが形成されている。
【0101】
インキ通路25dは、インキ流入側の孔25bから流入したインキの実質的に全量が、垂線S上に存在する繊維部材25aにより流下を妨げられ、垂線Sに沿って流下しないように構成されている。換言すると、インキ通路25dは、インキ流入側の孔25bから流入したインキの実質的に全量が、繊維部材25aによってその流下を妨げられることにより、一旦インキ流入側の孔25bの垂直下方より外方へ流出し、その後、インキ流出側の孔25cへ向かって流下するように構成されている。
【0102】
印刷用紙18がマスタ8の表面から引き剥がされるときに、孔25cの天井部25eとインキ19との間にはインキ19の粘着力が働き、インキ保持部材25から引き出されるインキ19の量が低減される。
【0103】
ここで、上述の如きインキ通路25dがインキ保持部材25に形成されたかどうかを判断する方法について述べる。
先ず、図23に示すように、インキ保持部材25の裏面に、インキ保持部材25とは異なる色の用紙26を貼り付ける。次に、インキ保持部材25側から光を照射しながら顕微鏡によって50倍の倍率で観察し、繊維部材25a間から用紙26が見えなければ、インキ通路25dが形成されていると判断できる。
【0104】
また、図24に示すように、インキ保持部材25の一方の面からインキ保持部材25に対して垂直な平行光線27を照射し、インキ保持部材25の他方の面に到達する光28を光量計(例えば(株)キーエンス製レーザー式判別センサーLX2−100)で測定しても判断できる。照射された平行光線27は、インキ通路25d内で反射するので、他方の面には到達しなくなる。従って、光量計で光28が測定されなければ、上述のインキ通路25dが形成されていると判断できる。
【0105】
この第7の実施例においても、インキ保持部材25の繊維部材25aの繊維径を0.8μm〜30μmの範囲で変化させることにより、凹凸L(表面粗さ)を4〜49μmRz の範囲で調整すると共に、プレスローラーあるいはインキローラーの硬度を10〜60度(JIS A)の範囲で変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材25の潰れの状態等を調査した結果、第1の実施例と同様に、繊維部材25aの繊維径を1〜20μm、好ましくは1〜15μm、より好ましくは1〜8μmに、凹凸Lを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz として裏写りの発生を防止し、プレスローラーあるいはインキローラーの硬度を15〜50度とするとインキ保持部材25の潰れが画像に影響を及ぼさない程度となり、プレスローラーあるいはインキローラーの硬度を15〜40度としたときには、インキ保持部材25に潰れが全く見られないという結果が得られた。
【0106】
上記第7の実施例において、インキ保持部材25に代えて、繊維径の異なる2種類以上の繊維部材からなる不織布によって構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、太い繊維間を細い繊維で埋めることができ、インキ保持部材表面の凹凸L(表面粗さ)を小さくすることができると共に、太い繊維を使用しているため、インキ保持部材の強度を向上させ、インキ保持部材の切れや伸びの発生を防止することができる。
【0107】
また、インキ保持部材の密度あるいは繊維径が版胴の外周面、すなわちインキ保持部材の外表面に向かうに連れて小さくなるように構成され、繊維間の空隙が外表面に向かうに連れて小さくなるように構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、インキ通路に沿って、最初は空隙が大きくインキの供給・拡散が良好であり最終では空隙が小さく凹凸L(表面粗さ)の少ないインキ保持部材とすることができ、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。
【0108】
また、上記第7の実施例では、インキ保持部材25を不織布からなるものとしたが、マニラ麻や亜麻等の天然繊維、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維、若しくはステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維からなる不織布や焼結シート、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維を焼結させて作成した焼結シート、ポリビニルアセタール系またはポリビニルアルコール系の連続気泡を有する多孔質弾性体、硬質粒子とゴムの混和した連続気泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレン等の合成樹脂や無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポリウレタン等の液状焼結による多孔質弾性体、または金属の微粉末を焼結した多孔質体、多孔質ゴム等の多孔質弾性体からなるものとしてもよい。
【0109】
また、上述したメッシュスクリーン、不織布、焼結シート、各種の多孔質弾性体等のインキ保持部材において、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着あるいは接着し、これによりインキ保持部材の表面粗さを小さくするように構成してもよい。
【0110】
さらに、上記実施例において、マスタ8に代えて、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを用いてもよい。
【0111】
図25は、本発明の第8の実施例に用いられるインキ保持部材29を、図26は、第8の実施例の変形例に用いられるインキ保持部材30をそれぞれ示している。この第8の実施例及び変形例は、第1ないし第7の実施例と比較すると、インキ保持部材15,22,25に代えてインキ保持部材29またはインキ保持部材30を用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0112】
インキ保持部材29は、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム等の金属繊維29aの焼結シートから構成されている。インキ保持部材30は、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維30aの表面にステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属30bをコーティングして形成された焼結シートから構成されている。各インキ保持部材29,30は、マスタを巻装される外表面の表面粗さを、それぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定されている。
【0113】
また、各インキ保持部材29,30は、マスタを巻装される外表面の繊維径を、それぞれ1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の同一径に設定されている。なお、インキ保持部材29,30は、金属繊維29aからなる不織布、または表面に金属30bをコーティングした合成樹脂繊維30aからなる不織布をそれぞれ焼結することにより得られる。
【0114】
このように、少なくともその表面が金属からなるインキ保持部材29,30を用いることにより、高エネルギー表面である金属部材から構成されるインキ保持部材29,30は、ぬれ性がよくインキとの接着力が高くなり、インキがインキ保持部材29,30の内部から引き出されにくくなって、裏写りの発生を防止することができる。
【0115】
さらに、インキ保持部材29,30が天然繊維部材や合成樹脂部材から構成されるインキ保持部材に比べて強度が高いので長時間使用することによるへたりが少なく、耐久性が良く大量印刷に適した孔版印刷装置を提供することができる。
【0116】
この第8の実施例及び変形例においても、インキ保持部材29の金属繊維29a及びインキ保持部材30の合成樹脂繊維30aの繊維径を0.8μm〜30μmの範囲で変化させることにより、凹凸L(表面粗さ)を4〜49μmRz の範囲で調整すると共に、プレスローラーあるいはインキローラーの硬度を10〜60度(JIS A)の範囲で変えて印刷を行い、そのときの裏写りやインキ保持部材29,30の潰れの状態等を調査した結果、第1の実施例と同様に、金属繊維29a及び合成樹脂繊維30aの繊維径を1〜20μm、好ましくは1〜15μm、より好ましくは1〜8μmに、凹凸Lを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz として裏写りの発生を防止し、プレスローラーあるいはインキローラーの硬度を15〜50度とするとインキ保持部材29,30の潰れが画像に影響を及ぼさない程度となり、プレスローラーあるいはインキローラーの硬度を15〜40度としたときには、インキ保持部材29,30に潰れが全く見られないという結果が得られた。
【0117】
上記実施例及び変形例では、焼結シートによってインキ保持部材29,30を構成したが、インキ保持部材を構成するものとしてはこの限りではなく、金属繊維からなる不織布、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたものからなる不織布、金属繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、金属の微粉末を焼結した多孔質体等、少なくともその表面が金属で構成され、インキが通過する通路を有するものであれば何でもよい。なお、焼結シートは不織布に比べて引張強度が高く、またメッシュスクリーンに比べて低コストであるので、インキ保持部材として用いるには特に好適である。
【0118】
上記第8の実施例及び変形例において、インキ保持部材29,30に代えて、繊維径の異なる2種類以上の繊維部材からなる不織布によって構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、太い繊維間を細い繊維で埋めることができ、インキ保持部材表面の凹凸L(表面粗さ)を小さくすることができると共に、太い繊維を使用しているため、インキ保持部材の強度を向上させ、インキ保持部材の切れや伸びの発生を防止することができる。
【0119】
また、インキ保持部材の密度あるいは繊維径が版胴の外周面、すなわちインキ保持部材の外表面に向かうに連れて小さくなるように構成され、繊維間の空隙が外表面に向かうに連れて小さくなるように構成されたインキ保持部材を用いてもよい。これにより、インキ通路に沿って、最初は空隙が大きくインキの供給・拡散が良好であり最終では空隙が小さく凹凸L(表面粗さ)の少ないインキ保持部材とすることができ、裏写りの発生を防止すると共に良好な画像を得ることができる。
【0120】
また、図27に示すように、上記実施例で用いたプレスローラー16bに代えて、軸方向に太さの異なる芯金16dの周りに弾性体16eを有するプレスローラー16b’を用いることもできるが、この場合、芯金16dの太い部分である両端部では、芯金16dの細い部分である中央部に比べて弾性体16eの厚みが薄くなるため、プレスローラー16b’の硬度としては中央部よりも両端部の方が高くなる。このような場合でも、プレスローラー16b’の硬度は、一番高いところでも50度以下に、より好ましくは40度以下に、また、一番低いところでも15度以上に設定される。インキローラー3aにおいても同様である。
【0121】
上記各実施例では、製版手段61、マスタロール9、マスタ搬送ローラー対12、切断手段13及びマスタガイド板14等を有する製版部を備えた孔版印刷装置を例示したが、この製版部は孔版印刷装置とは別体であってもよく、別に設けられた製版部にて穿孔部を形成されたマスタを版胴の外周面に巻装して印刷を行うように構成してもよい。
【0122】
さらに、上記各実施例において、図28に示したインキ供給手段60aを用いる場合には、インキローラー3,3aにおける硬度設定は、同様に受けローラー31に対して適用される。
【0123】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとなるように構成されたインキ保持部材を外周面に有し、その内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴を用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化されインキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるので、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。またインキ保持部材が、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量がインキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有しているので、インキ保持部材の内部からマスタの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。さらに押圧手段としてその硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下の弾性体で構成されたものを用いることにより、裏写りを防止する手段として繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材を用いた場合においても押圧手段自体が圧縮変形することで印圧の集中を防止し、これによりインキ保持部材の圧縮変形を抑制してインキ保持部材が潰れることに起因する画像の悪化を防止することができる。
【0124】
請求項2記載の発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとなるように構成されたインキ保持部材を外周面に有し、その内側に可撓性の多孔性層を有する版胴を用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化されインキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるので、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。またインキ保持部材が、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量がインキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有しているので、インキ保持部材の内部からマスタの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。さらに押圧手段とインキ供給手段の少なくとも一方に硬度15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下の弾性体で構成されたものを用いることにより、裏写りを防止する手段として繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材を用いた場合においても押圧手段及び/またはインキ供給手段自体が圧縮変形することで印圧の集中を防止し、これによりインキ保持部材の圧縮変形を抑制してインキ保持部材が潰れることに起因する画像の悪化を防止することができる。
【0125】
請求項3記載の発明によれば、多孔性支持体と当接する側の表面粗さと多孔性支持体の厚みとの和が5μm以上45μm以下、好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下となるように構成されたインキ保持部材を外周面に有し、その内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴を用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化されインキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるので、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。またインキ保持部材が、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量がインキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有しているので、インキ保持部材の内部からマスタの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。さらに押圧手段としてその硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下の弾性体で構成されたものを用いることにより、裏写りを防止する手段として繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材を用いた場合においても押圧手段自体が圧縮変形することで印圧の集中を防止し、これによりインキ保持部材の圧縮変形を抑制してインキ保持部材が潰れることに起因する画像の悪化を防止することができる。
【0126】
請求項4記載の発明によれば、多孔性支持体と当接する側の表面粗さと多孔性支持体の厚みとの和が5μm以上45μm以下、好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下となるように構成されたインキ保持部材を外周面に有し、その内側に可撓性の多孔性層を有する版胴を用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化され、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるので、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。またインキ保持部材が、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量がインキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有しているので、インキ保持部材の内部からマスタの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。さらに押圧手段とインキ供給手段の少なくとも一方に硬度15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下の弾性体で構成されたものを用いることにより、裏写りを防止する手段として繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材を用いた場合においても押圧手段及び/またはインキ供給手段自体が圧縮変形することで印圧の集中を防止し、これによりインキ保持部材の圧縮変形を抑制してインキ保持部材が潰れることに起因する画像の悪化を防止することができる。
【0127】
請求項5記載の発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下となるように構成されたインキ保持部材を外周面に有し、その内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴を用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化されてインキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるので、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。またインキ保持部材が、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量がインキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有しているので、インキ保持部材の内部からマスタの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。さらに押圧手段としてその硬度が15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下の弾性体で構成されたものを用いることにより、裏写りを防止する手段として繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材を用いた場合においても押圧手段自体が圧縮変形することで印圧の集中を防止し、これによりインキ保持部材の圧縮変形を抑制してインキ保持部材が潰れることに起因する画像の悪化を防止することができる。
【0128】
請求項6記載の発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下となるように構成されたインキ保持部材を外周面に有し、その内側に可撓性の多孔性層を有する版胴を用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部の上方にあってインキの存在するインキ保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるインキ量を低減している。これにより、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化されインキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるので、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。またインキ保持部材が、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量がインキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有しているので、インキ保持部材の内部からマスタの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。さらに押圧手段とインキ供給手段の少なくとも一方に硬度15度以上50度以下、より好ましくは15度以上40度以下の弾性体で構成されたものを用いることにより、裏写りを防止する手段として繊維径が細く弾性が低いインキ保持部材を用いた場合においても押圧手段及び/またはインキ供給手段自体が圧縮変形することで印圧の集中を防止し、これによりインキ保持部材の圧縮変形を抑制してインキ保持部材が潰れることに起因する画像の悪化を防止することができる。
【0129】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに版胴が、少なくともその表面が金属で構成されているインキ保持部材を有するので、高エネルギー表面である金属によりその表面を構成されたインキ保持部材はインキとの接着力が高くなり、インキ保持部材の内部からインキが引き出されにくくなるため余分なインキの印刷用紙への転移が防止され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。さらにインキ保持部材の強度が高いので長時間の使用によるへたりが少なく、またインキによる腐食を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に適した孔版印刷装置を提供することができる。
【0130】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし請求項7のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに繊維径の異なる2種類以上の繊維を組み合わせて構成されたインキ保持部材を有する版胴を用いることにより、太い繊維間を細い繊維で埋めることによってインキ保持部材の表面粗さを小さくすることができ、印刷時において熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材またはインキ保持部材及び多孔性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正化されてインキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるので、裏写りの発生を防止できると共に良好な画像を得ることができる。また太い繊維と細い繊維とを混在させることにより、コストアップすることなくインキ保持部材の耐久性を向上させることができる。
【0131】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし請求項7のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに外表面に向かうに連れてその空隙が小さくなるように構成されたインキ保持部材を有する版胴を用いることにより、インキ通路に沿って最初はインキの供給・拡散が良好であり最終では引き出されるインキ量を適正化することができ、インキの浸透乾燥に要する時間が短縮されるため、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に裏写りの発生を防止して良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した孔版印刷装置要部の概略側面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に用いられる版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのインキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのインキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例における版胴と押圧手段との初期状態を示す部分側断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例における版胴と押圧手段との圧接状態を示す部分側断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例における塑性変形したインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例の変形例における版胴と押圧手段との初期状態を示す部分側断面図である。
【図9】本発明の第1の実施例の変形例における版胴と押圧手段との圧接状態を示す部分側断面図である。
【図10】本発明の第1の実施例の変形例における版胴と押圧手段との圧接後の状態を示す部分側断面図である。
【図11】本発明の第2の実施例における版胴と押圧手段との離間状態を示す部分側断面図である。
【図12】本発明の第2の実施例における版胴と押圧手段との圧接状態を示す部分側断面図である。
【図13】本発明の第3の実施例における版胴と押圧手段との離間状態を示す部分側断面図である。
【図14】本発明の第3の実施例における版胴と押圧手段との圧接状態を示す部分側断面図である。
【図15】本発明の第4の実施例における版胴と押圧手段との離間状態を示す部分側断面図である。
【図16】本発明の第4の実施例に用いられるマスタ及びインキ保持部材を説明する部分側断面図である。
【図17】本発明の第4の実施例における版胴と押圧手段との圧接状態を示す部分側断面図である。
【図18】本発明の第5の実施例における版胴と押圧手段との離間状態を示す部分側断面図である。
【図19】本発明の第5の実施例における版胴と押圧手段との圧接状態を示す部分側断面図である。
【図20】本発明の第6の実施例における版胴と押圧手段との離間状態を示す部分側断面図である。
【図21】本発明の第6の実施例における版胴と押圧手段との圧接状態を示す部分側断面図である。
【図22】本発明の第7の実施例に用いられるインキ保持部材を説明する部分側断面図である。
【図23】本発明の第7の実施例に用いられるインキ保持部材を説明する部分側断面図である。
【図24】本発明の第7の実施例に用いられるインキ保持部材を説明する部分側断面図である。
【図25】本発明の第8の実施例に用いられるインキ保持部材を説明する部分側断面図である。
【図26】本発明の第8の実施例の変形例に用いられるインキ保持部材を説明する部分側断面図である。
【図27】本発明の他の実施例に用いられる押圧手段としてのプレスローラーを示す部分側断面図である。
【図28】本発明の他の実施例に用いられるインキ供給手段を示す図である。
【符号の説明】
1,20,21,24 版胴
1b 多孔性支持板
3,3a,3b インキローラー
8 熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ
8a 穿孔部
15,22,25,29,30 インキ保持部材
16,16a,16b,16c 押圧手段(プレスローラー)
18,18a 印刷用紙(印刷物)
19 インキ
20a,24a 多孔性層
23 マスタ
23b 熱可塑性樹脂フィルム
23c 多孔性支持体
25b インキ流入側の孔
25c インキ流出側の孔
25d インキ通路
29a,30b 金属(金属繊維)
60,60a インキ供給手段
S 垂線

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzであると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴と、
    前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、
    その外表面の硬度が15度以上50度以下であり、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面粗さが5〜45μmRzであると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に印刷用紙の形状に応じて変形する可撓性の多孔性層を有する版胴と、
    前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、
    前記マスタに前記印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置であって、
    前記インキ供給手段または前記押圧手段の少なくとも一方の外表面の硬度が15度以上50度以下であることを特徴とする孔版印刷装置。
  3. 熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和が5μm以上45μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴と、
    前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、
    その外表面の硬度が15度以上50度以下であり、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを特徴とする孔版印刷装置。
  4. 熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和が5μm以上45μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に印刷用紙の形状に応じて変形する可撓性の多孔性層を有する版胴と、
    前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、
    前記マスタに前記印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置であって、
    前記インキ供給手段または前記押圧手段の少なくとも一方の外表面の硬度が15度以上50度以下であることを特徴とする孔版印刷装置。
  5. 熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に剛性を有する多孔性支持板を有する版胴と、
    前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、
    その外表面の硬度が15度以上50度以下であり、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを特徴とする孔版印刷装置。
  6. 熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを巻装し、前記マスタと当接する側の表面の繊維径が1μm以上20μm以下であると共に、そのインキ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が前記インキ流入側の孔の垂直下方より外方へ流出した後にインキ流出側の孔へ向かって流下するインキ通路を有するインキ保持部材を外周面に有し、前記インキ保持部材の内側に印刷用紙の形状に応じて変形する可撓性の多孔性層を有する版胴と、
    前記版胴の内周面よりインキを供給するインキ供給手段と、
    前記マスタに前記印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装置であって、
    前記インキ供給手段または前記押圧手段の少なくとも一方の外表面の硬度が15度以上50度以下であることを特徴とする孔版印刷装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
    前記インキ保持部材は少なくともその表面が金属で構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
    前記インキ保持部材は繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  9. 請求項1ないし請求項7のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
    前記インキ保持部材は外表面に向かうに連れて空隙が小さくなるように構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
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