JP3532313B2 - 孔版印刷装置及び孔版印刷方法 - Google Patents

孔版印刷装置及び孔版印刷方法

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JP3532313B2
JP3532313B2 JP19968095A JP19968095A JP3532313B2 JP 3532313 B2 JP3532313 B2 JP 3532313B2 JP 19968095 A JP19968095 A JP 19968095A JP 19968095 A JP19968095 A JP 19968095A JP 3532313 B2 JP3532313 B2 JP 3532313B2
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thermoplastic resin
resin film
porous support
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富也 森
和人 八重樫
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Tohoku Ricoh Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、孔版印刷装置及
び孔版印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来使用されている孔版印刷用のマスタ
は、薄い熱可塑性樹脂フィルム(厚み1〜2μm程度)
に和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙繊維と合成繊維と
を混抄したものからなる多孔性支持体を貼り合わせたラ
ミネート構造となっている。このマスタの熱可塑性樹脂
フィルム面を加熱穿孔製版し、多孔性の支持円筒体に樹
脂繊維あるいは金属繊維から構成されたメッシュスクリ
ーン等からなるインキ保持層を有する回転自在な版胴
に、製版されたマスタを巻装して、版胴内部に設けられ
たインキ供給手段よりインキを供給し、プレスローラー
等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押圧して、版胴開孔
部及びマスタ穿孔部よりインキを滲出させて印刷を行う
感熱デジタル孔版印刷装置がよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般的に前述の孔版印
刷装置においては、印刷装置を一定時間放置した後や印
刷を停止した後に再度印刷を再開した場合等に、インキ
が蒸発することに起因して発生する印刷不良の不具合を
防止するため、蒸発しにくい油性インキや油中水型エマ
ルジョンインキが使用されている。
【0004】しかし、このインキは乾燥しにくいため、
印刷時において、印刷用紙に転移したインキが印刷用紙
内へ浸透して指等で擦っても汚れが発生しない、所謂、
浸透乾燥した状態となるまでにはある程度の時間を必要
とする。
【0005】孔版印刷装置では、印刷済みの印刷用紙は
連続的に排紙トレイに排出積載されるが、このときに前
の印刷用紙上に次の印刷用紙がすぐに積載されると、イ
ンキの乾燥時間が短く前の印刷用紙の画像インキが次の
印刷用紙の裏面に付着して汚してしまう、所謂、裏写り
という不具合を発生してしまう。この裏写りは、インキ
転移量の多い画像、とりわけ印刷用紙表面に転移したと
きのインキ層の厚さの厚い(インキ転移高さの高い)画
像の印刷時において発生し易い。
【0006】さらに、従来の孔版印刷装置に用いられて
いるマスタや版胴では、マスタの穿孔径に対して多孔性
支持体やインキ保持層の開孔径(空隙)が大きくなるよ
うに構成されており、転移するインキ量を減少させて裏
写りを防止する効果がほとんど期待できなかった。
【0007】また、従来の多孔性支持体やメッシュスク
リーンでは、流入するインキの流動方向を変化させずに
流出させてしまう部分が多く存在し、この部分において
インキの流出量が大きくなって裏写りを引き起こしてし
まうという問題点がある。
【0008】本発明は、裏写りの発生を効果的に防止す
ることができる孔版印刷装置及び孔版印刷方法を提供す
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと
当接する側の表面粗さが5〜45μmRz、好ましくは
5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRz
あると共にインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有
し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質的
に全量が、前記熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下し
た垂線に沿って流下しないインキ通路を有する多孔性支
持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴
と、前記版胴の内周面より、粘度が0.5Pa・s以上
5Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s以上3
Pa・s以下のインキを供給するインキ供給手段と、前
記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マスタ
の穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを特
徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、熱可塑性樹脂フィ
ルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面
の繊維径が1〜20μm、好ましくは1〜15μm、よ
り好ましくは1〜8μmであると共にインキ流入側の孔
とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔か
ら流入したインキの実質的に全量が、前記熱可塑性樹脂
フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下しないイ
ンキ通路を有する多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ
を外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面より、粘
度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、より好ましく
は0.5Pa・s以上3Pa・s以下のインキを供給す
るインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し、
前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手
段とを具備することを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または請
求項2記載の孔版印刷装置において、さらに、前記多孔
性支持体は、繊維径の異なる2種類以上の繊維から構成
されていることを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1ないし請
求項3のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置におい
て、さらに、前記多孔性支持体は、少なくともその表面
が金属で構成されていることを特徴とする。
【0013】請求項5記載の発明は、熱可塑性樹脂フィ
ルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面
粗さが5〜45μmRzとなるように構成される多孔性
支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴
と、前記版胴の内周面より粘度が0.5Pa・s以上5
Pa・s以下のインキを供給するインキ供給手段と、前
記マスタに印刷用紙を押圧し前記インキを前記マスタの
穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔版印刷装
置において、前記多孔性支持体は、その厚み方向の、前
記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑
性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空隙が小
さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0014】請求項6記載の発明は、熱可塑性樹脂フィ
ルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面
の繊維径が1〜20μmである多孔性支持体とを貼り合
わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内
周面より粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下のイ
ンキを供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用
紙を押圧し前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出さ
せる押圧手段とを具備する孔版印刷装置において、前記
多孔性支持体は、その厚み方向の、前記熱可塑性樹脂フ
ィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィルムと
当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構
成されていることを特徴とする。
【0015】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する
版胴と、前記版胴の内周面より、粘度が0.5Pa・s
以上5Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s以
上3Pa・s以下のインキを供給するインキ供給手段
と、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記
マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔
版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑
性樹脂フィルムのみからマスタと当接する側の表面粗さ
を5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmRz、よ
り好ましくは5〜25μmRzとなるように構成しても
よい。
【0016】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する
版胴と、前記版胴の内周面より、粘度が0.5Pa・s
以上5Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s以
上3Pa・s以下のインキを供給するインキ供給手段
と、前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記
マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備する孔
版印刷装置に適用し、前記インキ保持部材の前記熱可塑
性樹脂フィルムのみからマスタと当接する側の表面の繊
維径を1〜20μm、好ましくは1〜15μm、より好
ましくは1〜8μmとなるように構成してもよい。
【0017】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性
支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、その外周面に
インキ保持部材を有する版胴と、前記版胴の内面より、
粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、より好まし
くは0.5Pa・s以上3Pa・s以下のインキを供給
するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧
し、前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押
圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、前記インキ
保持部材の前記多孔性支持体と当接する側の表面粗さと
前記多孔性支持体との厚みの和を5μm以上45μm以
下、好ましくは5μm以上35μm以下、より好ましく
は5μm以上25μm以下となるように構成してもよ
い。
【0018】上述のインキ保持部材を、繊維径の異なる
2種類以上の繊維から構成してもよい。
【0019】上述のインキ保持部材を、外表面に向かう
に連れて空隙が小さくなるように構成してもよい。
【0020】上述のインキ保持部材を、少なくともその
表面が金属から構成されているものとしてもよい。
【0021】上述のインキ保持部材として、インキ流入
側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側
の孔から流入したインキの実質的に全量が、前記版胴の
外周面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有
するものを用いてもよい。
【0022】請求項記載の発明は、熱可塑性樹脂フィ
ルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面
粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmR
z、より好ましくは5〜25μmRzであると共にイン
キ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ
流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が、前記
熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って
流下しないインキ通路を有する多孔性支持体とを貼り合
わせてなるマスタと、その粘度が0.5Pa・s以上5
Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s以上3P
a・s以下のインキを用いることを特徴とする。
【0023】請求項記載の発明は、熱可塑性樹脂フィ
ルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表面
の繊維径が1〜20μm、好ましくは1〜15μm、よ
り好ましくは1〜8μmであると共にインキ流入側の孔
とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側の孔か
ら流入したインキの実質的に全量が、前記熱可塑性樹脂
フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下しないイ
ンキ通路を有する多孔性支持体とを貼り合わせてなるマ
スタと、その粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以
下、より好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下
のインキを用いることを特徴とする。
【0024】請求項記載の発明は、請求項または請
求項記載の孔版印刷方法において、さらに、前記マス
タとして、前記多孔性支持体が繊維径の異なる2種類以
上の繊維から構成されたものを用いることを特徴とす
る。
【0025】請求項10記載の発明は、請求項7ないし
請求項9のうちの何れか1つに記載の孔版印刷方法にお
いて、さらに、前記マスタとして、前記多孔性支持体の
少なくともその表面が金属で構成されたものを用いるこ
とを特徴とする。
【0026】請求項11記載の発明は、熱可塑性樹脂フ
ィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表
面粗さが5〜45μmRzである多孔性支持体とを貼り
合わせてなるマスタと、その粘度が0.5Pa・s以上
5Pa・s以下のインキを用いる孔版印刷方法におい
て、前記マスタとして、前記多孔性支持体が、その厚み
方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から
前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れ
て空隙が小さくなるように構成されたものを用いること
を特徴とする。
【0027】請求項12記載の発明は、熱可塑性樹脂フ
ィルムと、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表
面の繊維径が1〜20μmである多孔性支持体とを貼り
合わせてなるマスタと、その粘度が0.5Pa・s以上
5Pa・s以下のインキを用いる孔版印刷方法におい
て、前記マスタとして、前記多孔性支持体が、その厚み
方向の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から
前記熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れ
て空隙が小さくなるように構成されたものを用いること
を特徴とする。
【0028】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタと、その外周面にインキ保持部材を有する版
胴と、その粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、
より好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下のイ
ンキを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部
材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからマスタと当接す
る側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜3
5μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとなるよ
うに構成してもよい。
【0029】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタと、その外周面にインキ保持部材を有する版
胴と、その粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、
より好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下のイ
ンキを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部
材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからマスタと当接す
る側の表面の繊維径を1〜20μm、好ましくは1〜1
5μm、より好ましくは1〜8μmとなるように構成し
てもよい。
【0030】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性
支持体とを貼り合わせてなるマスタと、その外周面にイ
ンキ保持部材を有する版胴と、その粘度が0.5Pa・
s以上5Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s
以上3Pa・s以下のインキを用いる孔版印刷方法に適
用し、前記インキ保持部材の前記多孔性支持体と当接す
る側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和を5μ
m以上45μm以下、好ましくは5μm以上35μm以
下、より好ましくは5μm以上25μm以下となるよう
に構成してもよい。
【0031】上述のインキ保持部材として、繊維径の異
なる2種類以上の繊維から構成されたものを用いてもよ
い。
【0032】上述のインキ保持部材として、外表面に向
かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを
用いてもよい。
【0033】上述のインキ保持部材として、少なくとも
その表面が金属で構成されたものを用いてもよい。
【0034】上述のインキ保持部材として、インキ流入
側の孔とインキ流出側の孔とを有し、前記インキ流入側
の孔から流入したインキの実質的に全量が、前記版胴の
外周面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有
するものを用いてもよい。
【0035】
【実施例】図1は、本発明の第1の実施例に用いられる
孔版印刷装置の要部を示している。同図において、回転
自在に支持され、図示しない版胴駆動手段で回転駆動さ
れる版胴1は、インキパイプ2、インキローラー3、ド
クターローラー4等から構成されるインキ供給手段60
をその内部に有している。
【0036】版胴1は、図2に示すように、開孔部1a
を有する多孔性支持板1bと、多孔性支持板1bの外表
面に巻装されたインキ保持層15とから構成されてい
る。インキ保持層15は、テトロンやナイロン等の合成
樹脂繊維またはステンレス繊維等を網目状に交差させて
形成したメッシュスクリーンからなり、インキを通過さ
せるためのインキ通路を有し、インキの拡散、保持、押
し出し等の働きをする。このインキ保持層15は、複数
層設けても、1層だけ設けるように構成してもよく、ま
た設けなくてもよい。
【0037】版胴1の支軸を兼ねたインキパイプ2は図
示しない筐体側板に固着されており、その表面には、版
胴1の内部にインキを供給するための複数の小さな孔が
穿設されている。インキパイプ2は、版胴1の外部に配
設された図示しないインキパック内から図示しないポン
プによって汲上げられたインキを版胴1の内部に供給す
る。
【0038】インキパイプ2の下方には、インキローラ
ー3とドクターローラー4とが配設されている。版胴1
内の図示しない側板に回転自在に支持されたインキロー
ラー3は、その外周面が版胴1の内周面と近接するよう
に設置されており、インキパイプ2より供給されたイン
キを版胴1に供給する。インキローラー3は、図示しな
いギヤあるいはベルト等の駆動力伝達手段によって版胴
駆動手段からの回転力を伝達され、版胴1と同期して図
の時計回り方向に回転駆動される。
【0039】インキローラー3の近傍には、回転自在な
ドクターローラー4が配設されている。ドクターローラ
ー4は、その外周面とインキローラー3の外周面との間
に僅かな間隙が生じるように配設されており、インキロ
ーラー3の外周面との近接部において楔状のインキ溜ま
り5を形成している。
【0040】インキパイプ2よりインキ溜まり5へと供
給されたインキは、インキローラー3とドクターローラ
ー4との間隙を通過することにより均一な層状となりつ
つインキローラー3の表面に供給される。
【0041】版胴1の非開孔部表面には、軸方向に延在
するステージ部6が設けられている。磁性体で形成され
たステージ部6上には、ステージ部6に対して接離自在
に枢着されたマグネットを有するクランパー7が配設さ
れており、クランパー7は図示しない開閉手段によって
回動される。
【0042】版胴1の左上方には、マスタ8をロール状
に巻成してなるマスタロール9と、サーマルヘッド10
及びプラテンローラー11からなる製版手段61と、マ
スタ搬送ローラー対12と、切断手段13と、マスタガ
イド板14とが配設されている。
【0043】この第1の実施例に用いられるマスタ8
は、図3に示すように、和紙繊維等の天然繊維、あるい
はテトロン、ナイロン等の合成樹脂繊維8aでインキを
通過させるためのインキ通路を形成した不織布からなる
多孔性支持体8cと、ポリエステルフィルム等の熱可塑
性樹脂フィルム8bとを接着等によって貼り合わせた構
造となっている。なお、多孔性支持体8cは、楮、三
椏、マニラ麻、亜麻等の天然繊維からなる多孔性薄葉紙
や、レーヨン、ビニロン、フッ素樹脂、ポリエステル等
の合成樹脂繊維からなる不織布、あるいは天然繊維と合
成樹脂繊維とを混抄してなる不織布より構成してもよ
い。
【0044】マスタロール9は、その芯部9aを図示し
ないホルダー手段に回転可能に支持されている。
【0045】サーマルヘッド10とプラテンローラー1
1とは、図示しない孔版印刷装置の側板に取り付けられ
ている。多数の発熱素子を有するサーマルヘッド10
は、図示しない付勢手段によってプラテンローラー11
に付勢されている。プラテンローラー11は回転自在に
設けられており、図示しないステッピングモーターによ
って、図において時計回り方向に回転駆動される。マス
タ8は、その熱可塑性樹脂フィルム8bをサーマルヘッ
ド10に押圧され、サーマルヘッド10によって熱溶融
穿孔製版されつつプラテンローラー11の回転によって
マスタロール9より繰り出される。
【0046】サーマルヘッド10とプラテンローラー1
1とが配設された位置よりもマスタ搬送方向下流側に
は、マスタ搬送ローラー対12が配設されている。図示
しない孔版印刷装置の側板に回転自在に支持されたマス
タ搬送ローラー対12は、図示しない駆動手段によって
プラテンローラー11の周速度よりも僅かに速い周速度
で回転駆動される。また、マスタ搬送ローラー対12に
は図示しないトルクリミッターが取り付けられており、
プラテンローラー11とマスタ搬送ローラー対12との
間で搬送されるマスタ8に対して、予め設定された張力
が一定に作用するように構成されている。
【0047】マスタ搬送ローラー対12の配設位置より
もマスタ搬送方向下流側には、可動刃13aと固定刃1
3bとからなる切断手段13及びマスタガイド板14が
配設されている。切断手段13は、可動刃13aが固定
刃13bに対して回転移動または上下動してマスタ8を
切断する周知の構成である。マスタガイド板14は図示
しない孔版印刷装置の側板に固着されており、搬送され
るマスタ8をガイドする。
【0048】版胴1の下方には、押圧手段としてのプレ
スローラー16が配設されている。回転自在に支持され
たプレスローラー16は、図示しない揺動手段によっ
て、その外周面が版胴1の外周面より離間する位置と版
胴1の外周面と当接する位置とに選択的に揺動される。
【0049】プレスローラー16の右方には、レジスト
ローラー対17が配設されている。レジストローラー対
17は、図示しない給紙手段より給送される印刷用紙1
8の先端を啣え込み、プレスローラー16が版胴1と当
接するタイミングと同期して、印刷用紙18を版胴1と
プレスローラー16との間に向けて給送する。なお、押
圧手段として、プレスローラー16の代わりに版胴1と
略同径の圧胴を設けてもよい。
【0050】上記構成に基づき、以下に動作を説明す
る。図示しない原稿読取部に原稿がセットされ、図示し
ない製版スタートキーが押されると、版胴1が回転し、
図示しない排版装置によって版胴1の外周面に巻装され
ている使用済みマスタが剥離・廃棄され、版胴1はクラ
ンパー7が略真上に位置する給版待機位置で停止する。
版胴1の回転が停止すると、図示しない開閉手段が作動
してクランパー7が開放され、版胴1は図1に示す給版
待機状態となる。
【0051】排版動作が完了すると、これに続いて製版
動作が行われる。読み取られた原稿画像は、原稿読取部
のCCD等で電気信号に変換され、A/D変換器を経由
して製版制御装置に画像データとして送られる。製版制
御装置は、送られた画像データに基づいてサーマルヘッ
ド10の発熱素子に対してパルス状の通電を行い、サー
マルヘッド10はマスタ8の熱可塑性樹脂フィルム8b
に対して熱溶融穿孔製版を行う。サーマルヘッド10の
作動に先立って、プラテンローラー11が図示しないス
テッピングモーターによって回転駆動され、マスタロー
ル9よりマスタ8が引き出される。
【0052】製版画像を形成されたマスタ8は、マスタ
ガイド板14にガイドされつつマスタ搬送ローラー対1
2によってクランパー7へと搬送される。プラテンロー
ラー11を駆動するステッピングモーターのステップ数
より、マスタ8の先端がクランパー7とステージ部6と
の間の所定位置まで達したと判断されると、図示しない
開閉手段が作動してクランパー7を反時計回り方向に回
動させ、ステージ部6とクランパー7とでマスタ8の先
端を挟持した後、版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速
度で時計回り方向に回転を開始し、マスタ8の版胴1へ
の巻装が開始される。
【0053】そして、プラテンローラー11を駆動する
ステッピングモーターのステップ数より、1版分の製版
が完了したと判断されるとプラテンローラー11とマス
タ搬送ローラー対12の回転動作がそれぞれ停止され、
切断手段13によってマスタ8が切断される。切断され
たマスタ8は、版胴1の回転によって引き出されて巻装
動作が完了する。
【0054】巻装動作に引き続き、版付動作が行われ
る。図示しない給紙手段より給送された印刷用紙18は
レジストローラー対17に啣え込まれる。レジストロー
ラー対17は、低速で回転している版胴1に巻装された
マスタ8の画像領域がプレスローラー16と対応する位
置に達するタイミングで、印刷用紙18を版胴1とプレ
スローラー16との間に向けて給送する。給送された印
刷用紙18は、プレスローラー16によって版胴1に巻
装されたマスタ8に押圧される。この押圧動作により、
プレスローラー16と印刷用紙18とマスタ8と版胴1
の外周面とが圧接し、インキローラー3によって版胴1
の内周面に供給されたインキが、開孔部1aとインキ保
持層15のオープンエリアより滲出し、インキ保持層1
5のオープンエリアとマスタ8を構成する多孔性支持体
8cの空隙部8eとに充填された後、熱可塑性樹脂フィ
ルム8bの穿孔部を通過して印刷用紙18に転移され
る。
【0055】インキを転移された印刷用紙18は、図示
しない剥離爪によって版胴1の外周面より剥離され、図
示しない排紙手段によって機外に排出されて版付動作が
完了する。
【0056】版付動作完了後、図示しない印刷スタート
キーが押されると、図示しない給紙手段より印刷用紙1
8が連続的に給送され、版胴1が高速で回転駆動されて
印刷動作が行われる。
【0057】上述の版付動作または印刷動作中におい
て、版胴1の表面から印刷用紙18が剥離されるとき
に、図4、図5及び図6に示すように、マスタ8の表面
のインキと印刷用紙18との接着力によって熱可塑性樹
脂フィルム8bの穿孔部8dよりインキ19が引き出さ
れるが、インキ19が引き出される量は多孔性支持体8
cの構造と関係があり、多孔性支持体8cの表面の凹凸
L(表面粗さ)が大きければ大きいほど穿孔部8dの上
方の空隙8e内のインキ層が厚くなり、引き出されるイ
ンキ量、すなわちインキ転移高さlが増加する。
【0058】図4及び図5に示すように、表面の凹凸L
が大きくなればなるほど、インキが存在する穿孔部8d
の上方の空隙8eが大きくなり、これにより穿孔部8d
を介して多孔性支持体8cからインキ19が多量に引き
出されてしまう。そこで、図6に示すように、合成樹脂
繊維8aの繊維径を細くすればするほど凹凸Lが小さく
なり、引き出されるインキ量(インキ転移高さl)も低
減されるが、凹凸Lをあまり小さくしすぎると引き出さ
れるインキ量が少なくなりすぎて満足な画像が得られな
い。また、通常の孔版印刷装置においては、インキ転移
量を少なくするために比較的粘度の高いインキが使用さ
れているが、粘度の高いインキは印刷速度や環境(特に
温度)等の影響を受け易く、インキ転移量、すなわち画
像濃度が印刷速度や環境の変化に応じて変化してしま
う。さらに、インキの流動性が悪いため、印刷用紙18
上に転移されたインキ19の印刷用紙18内部への浸透
性が悪く、裏写りが発生し易い。
【0059】そこで、厚さ100μm、密度0.4g/
cm3 の多孔性支持体8cにおいて、合成樹脂繊維8a
の繊維径を変化させることにより凹凸Lを調整すると共
に、インキの粘度を変化させて印刷を行い、そのときの
裏写り、画像、濃度差を調査した。
【0060】実験では、デジタル孔版印刷機プリポート
VT3820((株)リコー製)を用いて印刷を行い、
表面粗さ計SEF−30D((株)小坂研究所製)を用
いて多孔性支持体8cの凹凸L(表面粗さ)を測定し
た。このとき、印圧を常用される12kgとし、印刷速
度を常用される下限値の60r.p.m.と常用される
上限値の120r.p.m.とに変えて印刷を行い、印
刷速度の変化による印刷濃度の変化を観察した。また、
表面粗さの測定については、半径7μmのヘッドを使用
して送り速度0.1mm/sec、測定長さ0.8mm
で測定し、この範囲での十点平均粗さを求め、これを1
0箇所測定してその平均より凹凸L(表面粗さRz )を
算出した。
【0061】インキにはW/O型エマルジョンインキを
使用し、オイルの種類を変えることでインキの粘度の調
整を行った。粘度の測定は、コンプレート型粘度計CV
2(HAAKE製)を用いて行い、そのときの測定条件
は、気温20℃、シェアレート100(1/S)であっ
た。
【0062】なお、表面粗さの測定は、多孔性支持体8
cと熱可塑性樹脂フィルム8bとを貼り合わせる前に、
多孔性支持体8cの熱可塑性樹脂フィルム8bと接する
側の面について行い、その後、多孔性支持体8cのその
面に薄く接着剤を塗布し、熱可塑性樹脂フィルム8bを
貼り合わせてマスタ8を得ている。この表面粗さの測定
は、後述する第2ないし第6の実施例においても同様に
行っている。また、熱可塑性樹脂フィルム8bの厚さは
1.5μmである。実験の結果を表1〜表6に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】表1〜表6より明らかなように、表面粗さ
が5〜45μmRz の範囲(繊維径が1〜20μmの範
囲)内においては、インキ粘度が5Pa・s以下である
と、表にBで示すように濃度差がほとんど無くなり、3
Pa・s以下であると、表にAで示すように濃度差が全く
無くなり、さらに、インキ粘度を0.5Pa・s未満とす
ると滲みが多くなり、良好な画像が得られなくなること
も判明した。また、インキ粘度が0.5〜5Pa・sの範
囲内において、表面粗さを45μmRz 以下にすると、
表に三角印で示すように裏写りが少なくなり、35μm
Rz 以下にすると、表に丸印で示すように裏写りがほと
んど無くなり、25μmRz 以下にすると、表に星印で
示すように裏写りが発生しないという結果が得られた。
また、表面粗さを5μmRz 未満とすると満足する画像
が得られないことも判明した。
【0070】さらに、インキ粘度が0.5〜5Pa・sの
範囲内において、合成樹脂繊維8aの繊維径を20μm
以下とすると、表に三角印で示すように裏写りが少なく
なり、15μm以下とすると、表に丸印で示すように裏
写りがほとんど無くなり、8μm以下とすると、表に星
印で示すように裏写りが発生しないという結果が得られ
た。また、繊維径を1μm未満とすると満足する画像が
得られないことも判明した。
【0071】以上のことから、多孔性支持体8cは、熱
可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面粗さを5〜
45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ま
しくは5〜25μmRz に設定される。また、多孔性支
持体8cは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の
表面の繊維径を1μm以上20μm以下、好ましくは1
μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μ
m以下に設定される。
【0072】さらに、インキ供給手段60より版胴1の
内周面へ供給されるインキの粘度を0.5Pa・s以上5
Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下
とすることにより、インキの引き出し量を規制して裏写
りの発生を防止し、良好な画像を得ることができる。ま
た、インキの粘度が低いのでインキが流動性に富み、印
刷速度によってその画像濃度が変化しない良好な画像を
得ることができる。
【0073】また、多孔性支持体8cの密度が低いと繊
維間の空隙8eが広くなり、細い繊維等を使用しても凹
凸Lが大きくなり、裏写りがひどくなる。さらに、密度
が高すぎると繊維間の空隙8eが狭くなり、繊維が数多
く交差する部分ではインキが通過しにくくなって画像に
白抜け(繊維塊跡)が見られ、満足な画像が得られなく
なる。そこで、多孔性支持体8cの密度と裏写りとの関
係を調査した。
【0074】その結果、多孔性支持体8cが、天然また
は合成樹脂系の繊維で構成されている場合の密度は0.
1g/cm3 〜0.6g/cm3 、より好ましくは0.
2g/cm3 〜0.6g/cm3 、金属系の繊維で構成
されている場合であって、ステンレス、鉄の場合の密度
は0.7g/cm3 〜3.0g/cm3 、より好ましく
は0.9g/cm3 〜3.0g/cm3 、チタンの場合
の密度は0.4g/cm3 〜1.7g/cm3 、より好
ましくは0.5g/cm3 〜1.7g/cm3、アルミ
ニウムの場合の密度は0.2g/cm3 〜1.0g/c
3 、より好ましくは0.3g/cm3 〜1.0g/c
3 となった。
【0075】以上のことから、多孔性支持体8cの好ま
しい密度範囲Dwは、以下の式で示される。 Dw=0.09ρ〜0.38ρ(g/cm3 ) ρ:物質の密度(g/cm3 ) なお、上記式は、後述する第2ないし第6の実施例にお
ける各多孔性支持体及び第7ないし第13の実施例にお
ける各インキ保持部材の密度についても適用され得るも
のである。
【0076】上記実施例では、多孔性支持体8cは不織
布からなるものとしたが、マニラ麻や亜麻等の天然繊
維、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維、若しくはス
テンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等
の繊維を網目状に交差させて形成したメッシュスクリー
ン、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チ
タン繊維等からなる不織布、テトロンやナイロン等の合
成樹脂繊維を焼結させて作成した焼結シート、ポリビニ
ルアセタール系またはポリビニルアルコール系の連続気
泡を有する多孔質弾性体、硬質粒子とゴムの混和した連
続気泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレン等の合成樹
脂や無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポリウレ
タン等の液状焼結による多孔質弾性体、または多孔質ゴ
ム等の多孔質弾性体からなるものとしてもよい。
【0077】また、上述したメッシュスクリーン、不織
布、焼結シート、各種の多孔質弾性体等の多孔性支持体
において、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと当接する
側の表面に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着ある
いは接着し、これにより多孔性支持体の表面粗さを小さ
くするようにしてもよい。
【0078】図7は、本発明の第2の実施例に用いられ
るマスタ20を、図8は、第2の実施例の変形例に用い
られるマスタ21をそれぞれ示している。この第2の実
施例及び変形例は、第1の実施例と比較するとマスタ8
に代えてマスタ20またはマスタ21を用いる点におい
てのみ相違し、他の構成は同一である。
【0079】マスタ20は、ステンレス、鉄、銅、ニッ
ケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維20aの焼結
シートからなる多孔性支持体20bに熱可塑性樹脂フィ
ルム8bを貼り合わせて構成されている。マスタ21
は、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維21aの表面
にステンレス、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタ
ン等の金属21bをコーティングした焼結シートからな
る多孔性支持体21cに熱可塑性樹脂フィルム8bを貼
り合わせて構成されている。多孔性支持体20b,21
cは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面粗
さを、それぞれ5〜45μmRz 、好ましくは5〜35
μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設定され
ている。
【0080】また、多孔性支持体20b,21cは、熱
可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面の繊維径
を、それぞれ1μm以上20μm以下、好ましくは1μ
m以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm
以下の同一径に設定されている。さらに、インキ供給手
段60より版胴1の内周面へ供給されるインキの粘度
は、0.5Pa・s以上5Pa・s以下、好ましくは0.5
Pa・s以上3Pa・s以下に設定される。なお、多孔性支
持体20b,21cは、金属繊維20aからなる不織
布、または表面に金属21bをコーティングした合成樹
脂繊維21aからなる不織布をそれぞれ焼結することに
より得られる。
【0081】このように、金属繊維20aの焼結シート
からなる多孔性支持体20bまたは金属21bを合成樹
脂繊維21aの表面にコーティングした焼結シートから
なる多孔性支持体21cを有するマスタ20またはマス
タ21を用いることにより、高エネルギー表面であり、
ぬれ性のよい金属部材からなる多孔性支持体20b,2
1cはインキとの接着力が高くなり、インキが多孔性支
持体20b,21cの内部から引き出されにくくなっ
て、裏写りの発生を防止することができる。
【0082】また、多孔性支持体20b,21cは、天
然繊維部材や合成樹脂部材から構成される多孔性支持体
に比べて高弾性であるので、プレスローラー等の押圧部
材による加圧時において多孔性支持体20b,21cが
圧縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときには多
孔性支持体20b,21cが復元することにより多孔性
支持体20b,21c内にインキを吸い戻す効果が得ら
れ、余分なインキの印刷用紙への転移が防止されて、裏
写りの少ない良好な画像を得ることができる。
【0083】さらに、多孔性支持体20b,21cは、
天然繊維部材や合成樹脂部材から構成される多孔性支持
体に比べて強度が高いので、長時間使用することによる
へたりが少なく、マスタ20,21としては、耐久性が
良く大量印刷に適したものを提供することができる。
【0084】上記実施例及び変形例では、金属繊維20
aからなる焼結シート、あるいは合成樹脂繊維21aの
表面に金属21bをコーティングしたものからなる焼結
シートによって多孔性支持体20b,21cを構成した
が、多孔性支持体を構成するものとしてはこの限りでは
なく、金属繊維からなる不織布、合成樹脂繊維の表面に
金属をコーティングしたものからなる不織布、金属繊維
を網目状に交差させて形成したメッシュスクリーン、金
属の微粉末を焼結した多孔質体等、少なくともその表面
が金属で構成され、インキが通過する通路を有するもの
であれば何でもよい。なお、焼結シートは不織布に比べ
て引張強度が高く、またメッシュスクリーンに比べて低
コストであるので、多孔性支持体として用いるには特に
好適である。
【0085】図9は、本発明の第3の実施例に用いられ
るマスタ22を、図10は、第3の実施例の変形例に用
いられるマスタ23をそれぞれ示している。この第3の
実施例及び変形例は、第1の実施例と比較するとマスタ
8に代えてマスタ22またはマスタ23を用いる点にお
いてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0086】マスタ22では、それぞれ繊維径の異なる
2種の合成樹脂繊維22a,22bからなり、太い合成
樹脂繊維22aと細い合成樹脂繊維22bとを千鳥状に
配置した不織布で、またマスタ23では、それぞれ繊維
径の異なる2種の合成樹脂繊維23a,23bからな
り、太い合成樹脂繊維23a間に細い合成樹脂繊維23
bを1列ずつ配置した不織布で多孔性支持体22c,2
3cをそれぞれ構成しており、各多孔性支持体22c,
23cをそれぞれ熱可塑性樹脂フィルム8bと貼り合わ
せることによりマスタ22及びマスタ23が構成されて
いる。
【0087】この実施例及び変形例では、合成樹脂繊維
22a,23aの繊維径をそれぞれ8μmと15μmと
に、また、合成樹脂繊維22b,23bの繊維径をそれ
ぞれ4μmと5μmとに設定しており、用いられる合成
樹脂繊維の繊維径及び混抄比は、マスタ22,23にお
いて、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の多孔性
支持体22c,23cの表面粗さを5〜45μmRz 、
好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25
μmRz の範囲内に設定し得るものより選択される。
【0088】また、用いられる合成樹脂繊維としては、
熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面の繊維径
が1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上15
μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲
内のものより選択される。この実施例及び変形例では、
組み合わされる合成樹脂繊維を2種類としたが、3種類
以上であってもよい。
【0089】さらに、インキ供給手段60より版胴1の
内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5Pa・s以上
5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以
下に設定される。
【0090】上述のマスタ22またはマスタ23を用い
ることにより、太い繊維の間を細い繊維で埋めることが
でき、多孔性支持体22c,23c表面の凹凸L(表面
粗さRz )を小さくすることができる。
【0091】上記実施例及び変形例では、合成樹脂繊維
22a,22bからなる不織布によって多孔性支持体2
2cを、また、合成樹脂繊維23a,23bからなる不
織布によって多孔性支持体23cを構成したが、各合成
樹脂繊維22a,22b,23a,23bからなる不織
布に代えて、第2の実施例で示した金属繊維からなる焼
結シート、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングし
たものからなる焼結シート、金属繊維からなる不織布や
メッシュスクリーン、表面に金属をコーティングした合
成樹脂繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、ある
いは、これらの焼結シート、不織布、メッシュスクリー
ンの金属繊維、金属表面繊維間に金属や樹脂等の微粉末
を分散させ、溶着または接着させてなるもの等を用い、
これらの多孔性支持体が繊維径の異なる2種類以上の繊
維から構成されるようにしてもよい。
【0092】図11、図12は、本発明の第4の実施例
に用いられるマスタ24と、本発明の第5の実施例に用
いられるマスタ25とをそれぞれ示している。この第4
及び第5の実施例は、第1の実施例と比較するとマスタ
8に代えてマスタ24またはマスタ25を用いる点にお
いてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0093】マスタ24は、同一の合成樹脂繊維24a
を複数層重ね合わせた不織布で多孔性支持体24bを構
成し、この多孔性支持体24bを熱可塑性樹脂フィルム
8bと貼り合わせることにより構成されている。多孔性
支持体24bは、複数層形成された合成樹脂繊維24a
の層が、熱可塑性樹脂フィルム8bと接着される最外殻
層から内層に向かうに従い、合成樹脂繊維24aの密度
が低くなるように形成されている。
【0094】マスタ25は、それぞれ繊維径の異なる合
成樹脂繊維25a,25b,25cを層状に重ね合わせ
た不織布で多孔性支持体25dを構成し、この多孔性支
持体25dを熱可塑性樹脂フィルム8bと貼り合わせる
ことにより構成されている。多孔性支持体25dは、熱
可塑性樹脂フィルム8bと接着される最外殻層が最も繊
維径の小さい合成樹脂繊維25aの層から構成され、内
層に向かうに従い合成樹脂繊維25bの層、合成樹脂繊
維25cの層と徐々に繊維径が大きい合成樹脂繊維の層
となるように構成されている。
【0095】すなわち、多孔性支持体24b,25d
は、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接しない側から熱可
塑性樹脂フィルム8bと当接する側に向かうに連れて、
空隙が小さくなるように構成されている。
【0096】上述の第4の実施例及び第5の実施例に用
いられるマスタ24,25において、熱可塑性樹脂フィ
ルム8bと当接する側の多孔性支持体24b,25dの
表面粗さは、5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μ
mRz 、より好ましくは5〜25μmRz の範囲内のも
のが用いられる。
【0097】また、各合成樹脂繊維24a,25aとし
ては、少なくとも熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する
側の表面の繊維径が、1μm以上20μm以下、好まし
くは1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以
上8μm以下の範囲内のものが用いられる。
【0098】さらに、インキ供給手段60より版胴1の
内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5Pa・s以上
5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以
下に設定される。
【0099】また、上記各実施例では、各多孔性支持体
24b,25dを構成する各合成樹脂繊維24a,25
a,25b,25cの層を3層としたが、2層以上であ
れば何層でもよい。
【0100】上述のマスタ24またはマスタ25を用い
ることにより、インキの流路に沿って、最初は空隙が大
きくインキの供給・拡散が良好であり最終では空隙が小
さく凹凸Lの少ない多孔性支持体24b,25bとする
ことができる。
【0101】上記各実施例では、合成樹脂繊維24aか
らなる不織布によって多孔性支持体24bを、また、合
成樹脂繊維25a,25b,25cからなる不織布によ
って多孔性支持体25dを構成したが、各合成樹脂繊維
24a,25a,25b,25cからなる不織布に代え
て、第2の実施例で示した金属繊維からなる焼結シー
ト、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたもの
からなる焼結シート、金属繊維からなる不織布やメッシ
ュスクリーン、表面に金属をコーティングした合成樹脂
繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、これらの焼
結シート、不織布、メッシュスクリーンの金属繊維、
属表面繊維間に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着
または接着させてなるもの、金属の微粉末を焼結した多
孔質体等、その表面が少なくとも金属で構成された多孔
性支持体を用い、これらの多孔性支持体を、熱可塑性樹
脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと
当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるように構
成してもよい。また、多孔性支持体としては、第1の実
施例中で述べた連続気泡を有する多孔質弾性体や、液状
焼結による多孔質弾性体等を用いてもよい。
【0102】図13は、本発明の第6の実施例に用いら
れるマスタ36を示している。この第6の実施例は、第
1の実施例と比較するとマスタ8に代えてマスタ36を
用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0103】マスタ36を構成する不織布からなる多孔
性支持体36aは、繊維部材36fより主に構成されて
おり、この多孔性支持体36aには、インキ流入側の孔
36bから流入したインキが、熱可塑性樹脂フィルム8
bの多孔性支持体36aとの当接面に対する垂線Sから
少なくとも1回ずれた後に、インキ流出側の孔36cか
ら流出するインキ通路36dが形成されている。
【0104】インキ通路36dは、インキ流入側の孔3
6bから流入したインキの実質的に全量が、垂線S上に
存在する繊維部材36fにより流下を妨げられ、垂線S
に沿って流下しないように構成されている。換言する
と、インキ通路36dは、インキ流入側の孔36bから
流入したインキの実質的に全量が、繊維部材36fによ
ってその流下を妨げられることにより、一旦インキ流入
側の孔36bの垂直下方より外方へ流出し、その後、イ
ンキ流出側の孔36cへ向かって流下するように構成さ
れている。
【0105】印刷用紙18がマスタ36の表面から引き
剥がされるときに、孔36cの天井部36eとインキ1
9との間にはインキ19の粘着力が働き、多孔性支持体
36aから引き出されるインキ19の量が低減される。
【0106】ここで、上述の如きインキ通路36dが多
孔性支持体36aに形成されたかどうかを判断する方法
について述べる。先ず、図14に示すように、多孔性支
持体36aの裏面に多孔性支持体36aとは異なる色の
用紙37を貼り付ける。次に、多孔性支持体36a側か
ら光を照射しながら顕微鏡によって50倍の倍率で観察
し、繊維部材36f間から用紙37が見えなければ、イ
ンキ通路36dが形成されていると判断できる。
【0107】また、図15に示すように、多孔性支持体
36aの一方の面から多孔性支持体36aに対して垂直
な平行光線54を照射し、多孔性支持体36aの他方の
面に到達する光55を光量計(例えば(株)キーエンス
製レーザー式判別センサーLX2−100)で測定して
も判断できる。照射された平行光線54はインキ通路3
6d内で反射するので、他方の面に到達しなくなる。従
って、光量計で光55が測定されなければ、上述のイン
キ通路36dが形成されていると判断できる。
【0108】上記実施例の変形例として、図16に示す
ように、マスタ36に代えて、繊維部材36fと同様の
繊維部材39bを3層以上積み重ねた多孔性支持体39
aを有するマスタ39を用いてもよい。
【0109】上記実施例及び変形例において、多孔性支
持体36a,39aは、熱可塑性樹脂フィルム8bと当
接する側の表面粗さを5〜45μmRz 、好ましくは5
〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μmRz に設
定されている。また、繊維部材36f,39bとして
は、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接する側の表面の繊
維径が、1μm以上20μm以下、好ましくは1μm以
上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下
の範囲内であるものが用いられる。また、上記実施例及
び変形例において、繊維部材36f,39bに代えて2
種類以上の繊維径の異なる繊維部材を用いてもよい。
【0110】さらに、インキ供給手段60より版胴1の
内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5Pa・s以上
5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以
下に設定される。
【0111】上記実施例及び変形例において、第4の実
施例または第5の実施例と同様に、多孔性支持体36
a,39aの密度、あるいは繊維部材36f,39bの
繊維径を変化させて、熱可塑性樹脂フィルム8bと当接
する側に向かうに連れて多孔性支持体36a,39aの
空隙を小さくしたマスタ36,39を構成してもよく、
また、多孔性支持体36a,39aに代えて、金属から
なる繊維部材や金属をコーティングした繊維部材からな
る多孔性支持体、金属の微粉末を焼結した多孔質体等、
その表面が少なくとも金属で構成された多孔性支持体を
用いてもよい。また、多孔性支持体としては、第1の実
施例中で述べた連続気泡を有する多孔質弾性体や、液状
焼結による多孔質弾性体等を用いてもよい。
【0112】図17は、本発明の第7の実施例に用いら
れる版胴43と熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマス
タ27とをそれぞれ示している。この第7の実施例は、
第1の実施例と比較すると、版胴1及びマスタ8に代え
て版胴43及びマスタ27を用いる点においてのみ相違
し、他の構成は同一である。版胴43は、開口部1aを
有する多孔性支持板1bと、インキ保持部材26とから
主に構成されている。
【0113】インキ保持部材26は、テトロンやナイロ
ン等の合成樹脂繊維26aでインキを通過させるための
インキ通路を形成した不織布によって構成されている。
【0114】インキ保持部材26は、密度が高い方が好
ましく、第1の実施例で述べた理由と同様の理由によ
り、例えば、インキ保持部材26が合成樹脂繊維あるい
は天然繊維で構成されている場合、密度は0.1〜0.
6g/cm3 、より好ましくは0.2〜0.6g/cm
3 であり、また、インキ保持部材26が金属系の繊維で
構成されている場合であって、ステンレス、鉄の場合の
密度は0.7〜3.0g/cm3 、より好ましくは0.
9〜3.0g/cm3 、チタンの場合の密度は、0.4
〜1.7g/cm3 、より好ましくは0.5〜1.7g
/cm3 、アルミニウムの場合の密度は、0.2〜1.
0g/cm3 、より好ましくは0.3〜1.0g/cm
3 である。
【0115】本実施例においても、第1の実施例と同様
に、インキ保持部材26の好ましい密度範囲Dwは、次
の式で示される。 Dw=0.09ρ〜0.38ρ(g/cm3 ) ρ:物質の密度(g/cm3 ) この実施例では、使用されるマスタ27が多孔性支持体
を有していないので、第1の実施例における多孔性支持
体8cの代わりにインキ保持部材26によって余分なイ
ンキが引き出されることを防止している。従って、イン
キ保持部材26は、多孔性支持体8cと同様に、マスタ
27を巻装する外表面の表面粗さを5〜45μmRz 、
好ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25
μmRzに設定される。また、インキ保持部材26は、
マスタ27を巻装する外表面の繊維径を1μm以上20
μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、より好
ましくは1μm以上8μm以下に設定される。
【0116】さらに、インキ供給手段60より版胴43
の内周面へ供給されるインキの粘度を0.5Pa・s以上
5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以
下とすることにより、インキの引き出し量を規制して裏
写りの発生を防止し、良好な画像を得ることができる。
また、インキの粘度が低いのでインキが流動性に富み、
印刷速度によってその画像濃度が変化しない良好な画像
を得ることができる。
【0117】この第7の実施例では、インキ保持部材2
6を不織布によって構成したが、インキ保持部材26を
マニラ麻や亜麻等の天然繊維、テトロンやナイロン等の
合成樹脂繊維、若しくはステンレス、鉄、銅、ニッケ
ル、アルミニウム、チタン等の繊維を網目状に交差させ
て形成したメッシュスクリーン、ステンレス、鉄、銅、
ニッケル、アルミニウム、チタン繊維等からなる不織
布、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維を焼結させて
作成した焼結シート、ポリビニルアセタール系またはポ
リビニルアルコール系の連続気泡を有する多孔質弾性
体、硬質粒子とゴムの混和した連続気泡を有する多孔質
弾性体、ポリエチレン等の合成樹脂や無機物の微粉末を
焼結した多孔質弾性体、ポリウレタン等の液状焼結によ
る多孔質弾性体、または多孔質ゴム等の多孔質弾性体か
らなるもの等によって構成してもよい。
【0118】また、上述したメッシュスクリーン、不織
布、焼結シート、各種の多孔質弾性体等のインキ保持部
材において、少なくともマスタを巻装する外表面に金属
や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着あるいは接着し、こ
れによりインキ保持部材の表面粗さを小さくするように
してもよい。
【0119】図18は、本発明の第8の実施例に用いら
れる版胴45を、図19は、第8の実施例の変形例に用
いられる版胴46をそれぞれ示している。この第8の実
施例及び変形例は、第7の実施例と比較すると版胴43
に代えて版胴45または版胴46を用いる点においての
み相違し、他の構成は同一である。
【0120】版胴45は、多孔性支持板1bとインキ保
持部材28とから主に構成され、インキ保持部材28
は、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニ
ウム等の金属繊維28aの焼結シートから構成されてい
る。版胴46は、多孔性支持板1bとインキ保持部材2
9とから主に構成され、インキ保持部材29は、テトロ
ンやナイロン等の合成樹脂繊維29aの表面にステンレ
ス、鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム等の金属
29bをコーティングして構成される焼結シートからな
る。各インキ保持部材28,29は、マスタを巻装され
る外表面の表面粗さを、それぞれ5〜45μmRz 、好
ましくは5〜35μmRz 、より好ましくは5〜25μ
mRz に設定されている。
【0121】また、各インキ保持部材28,29は、マ
スタ27を巻装される外表面の繊維径を、それぞれ1μ
m以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以
下、より好ましくは1μm以上8μm以下の同一径に設
定されている。さらに、インキ供給手段60より版胴4
5,46の内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5
Pa・s以上5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上
3Pa・s以下に設定される。なお、インキ保持部材2
8,29は、金属繊維28aからなる不織布、または表
面に金属29bをコーティングした合成樹脂繊維29a
からなる不織布をそれぞれ焼結することにより得られ
る。
【0122】このように、金属繊維28aの焼結シート
からなるインキ保持部材28または金属29bを合成樹
脂繊維29aの表面にコーティングして構成される焼結
シートからなるインキ保持部材29を用いることによ
り、高エネルギー表面である金属部材から構成されるイ
ンキ保持部材28,29は、ぬれ性がよくインキとの接
着力が高くなり、インキがインキ保持部材28,29の
内部から引き出されにくくなって、裏写りの発生を防止
することができる。
【0123】また、インキ保持部材28,29は、天然
繊維部材や合成樹脂部材から構成されるインキ保持部材
に比べて高弾性であるので、プレスローラー等の押圧部
材による加圧時においてインキ保持部材28,29が圧
縮されてインキを吐出し、圧が解除されたときにはイン
キ保持部材28,29が復元することにより、インキ保
持部材28,29の内部にインキを吸い戻す効果が得ら
れ、余分なインキの印刷用紙への転移が防止されて、裏
写りの少ない良好な画像を得ることができる。
【0124】さらに、インキ保持部材28,29は、天
然繊維部材や合成樹脂部材から構成されるインキ保持部
材に比べて強度が高いので、長時間使用することによる
へたりが少なく、耐久性が良く大量印刷に適した孔版印
刷装置を提供することができる。
【0125】上記実施例では、金属繊維28aからなる
焼結シート、あるいは合成樹脂繊維29aの表面に金属
29bをコーティングしたものからなる焼結シートによ
ってインキ保持部材28,29を構成したが、インキ保
持部材を構成するものとしてはこの限りではなく、金属
繊維からなる不織布、合成樹脂繊維の表面に金属をコー
ティングしたものからなる不織布、金属繊維を網目状に
交差させて形成したメッシュスクリーン、金属の微粉末
を焼結した多孔質体等、少なくともその表面が金属で構
成され、インキが通過する通路を有するものであれば何
でもよい。
【0126】なお、焼結シートは、不織布に比べて引張
強度が高く、また、メッシュスクリーンに比べて低コス
トであるので、インキ保持部材として用いるには特に好
適である。
【0127】図20は、本発明の第9の実施例に用いら
れる版胴47を、図21は、第9の実施例の変形例に用
いられる版胴48をそれぞれ示している。この第9の実
施例及び変形例は、第7の実施例と比較すると版胴43
に代えて版胴47または版胴48を用いる点においての
み相違し、他の構成は同一である。
【0128】版胴47は、多孔性支持板1bとインキ保
持部材30とから主に構成されており、版胴48は、多
孔性支持板1bとインキ保持部材31とから主に構成さ
れている。
【0129】インキ保持部材30は、それぞれ繊維径の
異なる2種の合成樹脂繊維30a,30bからなり、太
い合成樹脂繊維30aと細い合成樹脂繊維30bとを千
鳥状に配置した不織布により、また、インキ保持部材3
1は、それぞれ繊維径の異なる2種の合成樹脂繊維31
a,31bからなり、太い合成樹脂繊維31a間に細い
合成樹脂繊維31bを1列ずつ配置した不織布によりそ
れぞれ構成されている。この実施例及び変形例では、合
成樹脂繊維30a,31aの繊維径をそれぞれ8μmと
15μmとに、また、合成樹脂繊維30b,31bの繊
維径をそれぞれ4μmと5μmとに設定しており、用い
られる合成樹脂繊維の繊維径及び混抄比は、マスタ27
を巻装されるインキ保持部材30,31の外表面の表面
粗さを5〜45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz
、より好ましくは5〜25μmRz の範囲内に設定し
得るものより選択される。
【0130】また、用いられる合成樹脂繊維としては、
マスタ27を巻装されるインキ保持部材30,31の外
表面の繊維径が、1μm以上20μm以下、好ましくは
1μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8
μm以下の範囲内のものより選択される。この実施例及
び変形例では、組み合わされる合成樹脂繊維を2種類と
したが、3種類以上であってもよい。
【0131】さらに、インキ供給手段60より版胴4
7,48の内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5
Pa・s以上5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上
3Pa・s以下に設定される。
【0132】上述のインキ保持部材30またはインキ保
持部材31を用いることにより、太い繊維の間を細い繊
維で埋めることができ、版胴47,48の表面の凹凸L
(表面粗さRz )を小さくすることができる。
【0133】上記実施例及び変形例では、合成樹脂繊維
30a,30bからなる不織布によってインキ保持部材
30を、また、合成樹脂繊維31a,31bからなる不
織布によってインキ保持部材31を構成したが、各合成
樹脂繊維30a,30b,31a,31bからなる不織
布に代えて、第8の実施例で示した金属繊維からなる焼
結シート、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングし
たものからなる焼結シート、金属繊維からなる不織布や
メッシュスクリーン、表面に金属をコーティングした合
成樹脂繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、ある
いは、これらの焼結シート、不織布、メッシュスクリー
ンの金属繊維、金属表面繊維間に金属や樹脂等の微粉末
を分散させ、溶着または接着させてなるもの等を用い、
これらのインキ保持部材が繊維径の異なる2種類以上の
繊維から構成されるようにしてもよい。
【0134】図22、図23は、本発明の第10の実施
例に用いられる版胴49と、本発明の第11の実施例に
用いられる版胴50とをそれぞれ示している。この第1
0及び第11の実施例は、第7の実施例と比較すると版
胴43に代えて版胴49または版胴50を用いる点にお
いてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0135】版胴49は、多孔性支持板1bとインキ保
持部材34とから主に構成されており、インキ保持部材
34は、同一の合成樹脂繊維34aを複数層重ね合わせ
た不織布で構成されている。
【0136】インキ保持部材34は、複数層形成された
合成樹脂繊維34aの層が、熱可塑性樹脂フィルムのみ
からなるマスタ27側から多孔性支持板1b側に向かう
に従い、合成樹脂繊維34aの密度が低くなるように形
成されている。
【0137】版胴50は、多孔性支持板1bとインキ保
持部材35とから主に構成されており、インキ保持部材
35は、それぞれ繊維径の異なる合成樹脂繊維35a,
35b,35cを層状に重ね合わせた不織布で構成され
ている。
【0138】インキ保持部材35は、マスタ27側が最
も繊維径の小さい合成樹脂繊維35aの層から構成さ
れ、内側に向かうに従い合成樹脂繊維35bの層、合成
樹脂繊維35cの層と徐々に繊維径が大きい合成樹脂繊
維の層となるように構成されている。
【0139】すなわち、インキ保持部材34,35は、
マスタ27を巻装される外表面に向かうに連れて、空隙
が小さくなるように構成されている。
【0140】上述の第10の実施例及び第11の実施例
に用いられるインキ保持部材34,35は、マスタ27
を巻装される側のそれぞれの外表面の表面粗さが5〜4
5μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好まし
くは5〜25μmRz の範囲内のものが用いられる。
【0141】また、用いられる各合成樹脂繊維34a,
35aとしては、少なくともマスタ27を巻装されるイ
ンキ保持部材34,35の外表面の繊維径が、1μm以
上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以下、
より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内のものが
用いられる。
【0142】さらに、インキ供給手段60より版胴4
9,50の内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5
Pa・s以上5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上
3Pa・s以下に設定される。
【0143】上記各実施例では、各インキ保持部材3
4,35を構成する各合成樹脂繊維34a,35a,3
5b,35cの層を3層としたが、2層以上であれば何
層でもよい。
【0144】また、各インキ保持部材34,35をそれ
ぞれ構成する各合成樹脂繊維34a,35a,35b,
35cの各層は、一体構造または積層構造(個々を重ね
合わせた構造)でもよい。このように、それぞれ異なる
大きさの空隙を有するインキ保持部材を複数用意し、こ
れらを版胴の外周面に向かうに連れて空隙が小さくなる
ように積層配置して、これをインキ保持部材とすること
もできる。
【0145】上述のインキ保持部材34またはインキ保
持部材35を用いることにより、インキの流路に沿っ
て、最初は空隙が大きくインキの供給・拡散が良好であ
り最終では空隙が小さく凹凸Lの少ないインキ保持部材
34,35とすることができる。
【0146】上記各実施例では、合成樹脂繊維34aか
らなる不織布によってインキ保持部材34を、また、合
成樹脂繊維35a,35b,35cからなる不織布によ
ってインキ保持部材35を構成したが、各合成樹脂繊維
34a,35a,35b,35cからなる不織布に代え
て、第8の実施例で示した金属繊維からなる焼結シー
ト、合成樹脂繊維の表面に金属をコーティングしたもの
からなる焼結シート、金属繊維からなる不織布やメッシ
ュスクリーン、表面に金属をコーティングした合成樹脂
繊維からなる不織布やメッシュスクリーン、これらの焼
結シート、不織布、メッシュスクリーンの金属繊維、
属表面繊維間に金属や樹脂等の微粉末を分散させ、溶着
または接着させてなるもの、金属の微粉末を焼結した多
孔質体等、その表面が少なくとも金属で構成された多孔
性支持体を用い、これらの多孔性支持体からなるインキ
保持部材を、マスタ27を巻装される外表面に向かうに
連れて空隙が小さくなるように構成してもよい。また、
多孔性支持体としては、第1の実施例中で述べた連続気
泡を有する多孔質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性
体等を用いてもよい。
【0147】図24は、本発明の第12の実施例に用い
られる版胴53を示している。この第12の実施例は、
第7の実施例と比較すると版胴43に代えて版胴53を
用いる点においてのみ相違し、他の構成は同一である。
【0148】版胴53は、多孔性支持板1bとインキ保
持部材38とから主に構成されており、インキ保持部材
38は、繊維部材38cより主に構成されている。イン
キ保持部材38には、インキ流入側の孔38a及びイン
キ流出側の孔38bと、インキ流入側の孔38aから流
入したインキ19が、版胴53の外周面に対する垂線
S、すなわちインキ流出側の孔38bの開口を有する面
に対する垂線Sから少なくとも1回ずれた後に、インキ
流出側の孔38bから流出するインキ通路38dとが形
成されている。
【0149】インキ通路38dは、インキ流入側の孔3
8aから流入したインキの実質的に全量が、垂線S上に
存在する繊維部材38cにより流下を妨げられ、垂線S
に沿って流下しないように構成されている。換言する
と、インキ通路38dは、インキ流入側の孔38aから
流入したインキの実質的に全量が、繊維部材38cによ
ってその流下を妨げられることにより、一旦インキ流入
側の孔38aの垂直下方より外方へ流出し、その後、イ
ンキ流出側の孔38bへ向かって流下するように構成さ
れている。
【0150】印刷用紙18がマスタ27の表面から引き
剥がされるときに、孔38bの天井部38eとインキ1
9との間にはインキ19の粘着力が働き、インキ保持部
材38から引き出されるインキ19の量が低減される。
なお、図24中において、符号27dはマスタ27に形
成された穿孔部を示す。
【0151】ここで、上述の如きインキ通路38dがイ
ンキ保持部材38に形成されたかどうかを判断する方法
について述べる。先ず、図25に示すように、インキ保
持部材38の裏面にインキ保持部材38とは異なる色の
用紙37を貼り付ける。次に、インキ保持部材38側か
ら光を照射しながら顕微鏡によって50倍の倍率で観察
し、繊維部材38c間から用紙37が見えなければ、イ
ンキ通路38dが形成されていると判断できる。
【0152】また、第6の実施例における多孔性支持体
36aと同様に、インキ保持部材38の一方の面からイ
ンキ保持部材38に対して垂直な平行光線を照射し、イ
ンキ保持部材38の他方の面に到達する光を光量計で測
定しても判断することができる。
【0153】上記実施例の変形例として、図26に示す
ように、インキ保持部材38に代えて、繊維部材38c
と同様の繊維部材42aを3層以上有するインキ保持部
材42を用いてもよい。
【0154】上記実施例及び変形例において、インキ保
持部材38,42は、熱可塑性樹脂フィルムのみからな
るマスタ27を巻装される側の外表面の表面粗さを5〜
45μmRz 、好ましくは5〜35μmRz 、より好ま
しくは5〜25μmRz に設定されている。また、繊維
部材38c,42aとしては、マスタ27を巻装される
インキ保持部材38,42の外表面の繊維径が、1μm
以上20μm以下、好ましくは1μm以上15μm以
下、より好ましくは1μm以上8μm以下の範囲内であ
るものが用いられる。また、上記実施例及び変形例にお
いて、繊維部材38c,42aに代えて2種類以上の繊
維径の異なる繊維部材を用いてもよい。
【0155】さらに、インキ供給手段60より版胴53
の内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5Pa・s以
上5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s
以下に設定される。
【0156】上記実施例及び変形例において、第10の
実施例または第11の実施例と同様に、インキ保持部材
38,42の密度、あるいは繊維部材38c,42aの
繊維径を変化させ、マスタ27を巻装される外表面に向
かうに連れてインキ保持部材38,42の空隙を小さく
してもよく、また、金属からなる繊維部材や金属をコー
ティングした繊維部材からなる不織布、焼結シート及び
メッシュスクリーン、あるいは金属の微粉末を焼結した
多孔質体等、その表面が少なくとも金属で形成されたイ
ンキ保持部材を用いてもよい。また、インキ保持部材と
しては、第1の実施例中で述べた連続気泡を有する多孔
質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性体等を用いても
よい。
【0157】図27は、本発明の第13の実施例に用い
られる版胴44とマスタ41とをそれぞれ示している。
この第13の実施例は、第7の実施例と比較すると、マ
スタ27に代えて多孔性支持体41aと熱可塑性樹脂フ
ィルム41bとからなるマスタ41を用いた点と、版胴
43に代えて版胴44を用いた点においてのみ相違し、
他の構成は同一である。
【0158】版胴44は、多孔性支持板1bとインキ保
持部材40とから主に構成されており、インキ保持部材
40は、インキ保持部材26と同様に、不織布、メッシ
ュスクリーン、焼結シート、多孔質弾性体等によって構
成されている。
【0159】この実施例に用いられるマスタ41は、テ
トロン、ナイロン、レーヨン、ビニロン、ポリエステル
等の合成樹脂繊維41cからなる不織布で形成した多孔
性支持体41aと、ポリエステルフィルム等の熱可塑性
樹脂フィルム41bとを接着等によって貼り合わせた構
成となっている。なお、多孔性支持体41aは、楮、三
椏、マニラ麻、亜麻等の天然繊維からなる多孔性薄葉
紙、天然繊維と合成樹脂繊維とを混抄してなる不織布、
テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維からなるメッシュ
スクリーン、あるいは合成樹脂繊維や金属繊維からなる
焼結シート等から構成してもよい。
【0160】裏写りを防止することは、第7の実施例よ
り、インキ保持部材の表面粗さに関係することがわか
る。これから、インキ保持部材40と熱可塑性樹脂フィ
ルム41bとの間に多孔性支持体41aが介在する場合
であって、後述するように多孔性支持体41aにインキ
の流動方向を変化させずにインキをストレートに流出さ
せる部分が多く存在し、さらに、そのストレートに流出
させる部分の開孔径41dの大きさが熱可塑性樹脂フィ
ルム41bに形成される穿孔部8d(図4参照)の大き
さよりも大きい場合には、インキ保持部材40の表面粗
さは、熱可塑性樹脂フィルム41bの内面からインキ保
持部材40の外表面凹部までの距離L’と考えることが
できる。従って、裏写りを防止するには、距離L’を5
μm以上45μm以下とする必要がある。
【0161】この実施例では、熱可塑性樹脂フィルム4
1bとインキ保持部材40との間に多孔性支持体41a
が介在する。従って、裏写りの発生を防止するには、多
孔性支持体41aの厚さとインキ保持部材40の表面粗
さとの和が、5μm以上45μm以下となるように構成
する必要がある。例えば、多孔性支持体41aの厚さが
20μmであったら、インキ保持部材40の表面粗さは
25μmRz 以下となる。なお、多孔性支持体41aの
厚さとインキ保持部材40の表面粗さとの和は、好まし
くは5μm以上35μm以下、より好ましくは5μm以
上25μm以下の範囲内である。
【0162】さらに、インキ供給手段60より版胴44
の内周面へ供給されるインキの粘度は、0.5Pa・s以
上5Pa・s以下、好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s
以下に設定される。
【0163】本実施例における多孔性支持体41aと第
1の実施例における多孔性支持体8cとを比較すると、
多孔性支持体41aには、インキの流動方向を変化させ
ずにインキをストレートに流出させる部分が多く存在
し、さらに、インキをストレートに流出させる部分の開
孔径41dの大きさが熱可塑性樹脂フィルム41bに形
成される穿孔部8dの大きさよりも大きいため、インキ
が多孔性支持体41aの内部を通過し易くなり、インキ
はインキ保持部材40の表面で切れるのに対し、多孔性
支持体8cはインキの流動方向を変化させる流路が多い
ため、インキが多孔性支持体8cの表面で切れる。従っ
て、第1の実施例では、裏写りの発生は多孔性支持体8
cの表面粗さに関係するが、本実施例では裏写りの発生
は多孔性支持体41aの厚さとインキ保持部材40の表
面粗さとの和に関係するのである。
【0164】上記実施例において、インキ保持部材40
に代えて、2種類以上の繊維径の異なる繊維部材からな
る不織布によって構成されたインキ保持部材を用いても
よい。また、インキ保持部材40の密度、あるいはイン
キ保持部材40を構成する繊維部材の繊維径を変化さ
せ、マスタ41を巻装される外周面に向かうに連れてイ
ンキ保持部材40の空隙を小さくしてもよく、インキ保
持部材40に代えて、金属からなる繊維部材や金属をコ
ーティングした繊維部材からなる不織布、焼結シート及
びメッシュスクリーン、あるいは金属の微粉末を焼結し
た多孔質体等、その表面が少なくとも金属で形成された
インキ保持部材を用いてもよい。さらに、インキ保持部
材40に代えて、第12の実施例及びその変形例に示し
たインキ保持部材38,42と同様のインキ通路を有す
るインキ保持部材を用いてもよい。また、インキ保持部
材としては、第1の実施例中で述べた連続気泡を有する
多孔質弾性体や、液状焼結による多孔質弾性体等を用い
てもよい。
【0165】第7ないし第13の実施例で用いた各版胴
は、それぞれ多孔性支持板1bと各インキ保持部材とか
ら構成されているが、例えば特開平1−204781号
公報、あるいは特開昭59−218889号公報に開示
されているように、多孔性支持板1bを省略して円筒状
に形成されたインキ保持部材のみを具備してなるもので
あってもよい。この場合、円筒状に形成され、孔版印刷
装置の内部に収められているものを版胴と呼び、シート
状のものをインキ保持部材という。
【0166】さらに、第7ないし第13の実施例におい
て、各版胴の多孔性支持板1bとインキ保持部材との間
に、メッシュスクリーンや不織布等のインキ保持層を介
在させてもよい。
【0167】なお、上記各実施例において用いられる熱
可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタとは、マスタが
熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものの他、熱可塑性
樹脂フィルムに帯電防止剤等の微量成分を含有させてな
るもの、さらには熱可塑性樹脂フィルムの表面及び裏面
のうちの少なくとも一方に、オーバーコート層等の薄膜
層を1層または複数層形成してなるものを含む。
【0168】上記各実施例では、製版手段61、マスタ
ロール9、マスタ搬送ローラー対12、切断手段13及
びマスタガイド板14等を有する製版部を備えた孔版印
刷装置を例示したが、この製版部は孔版印刷装置とは別
体であってもよく、別に設けられた製版部にて穿孔部を
形成されたマスタを版胴の外周面に巻装して印刷を行う
ように構成してもよい。
【0169】また、上記各実施例では、穿孔部を形成さ
れたマスタを円筒状版胴の外周面に巻装して印刷を行う
よう構成したが、マスタを水平に伸展し、押圧ローラー
や押圧板等の押圧手段を用いて印刷を行う印刷装置及び
印刷方法、例えば謄写版印刷や、特開平4−10598
4号公報に開示された、インキを保持した支持枠に取り
付けられたマスタを画像担持体に押圧する印刷技術等に
本発明を適用してもよい。
【0170】また、上記各実施例では、インキとしてエ
マルジョンインキを用いたが、エマルジョンインキ以外
に水性や油性のインキを用いてもよい。
【0171】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、熱可塑性
樹脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の
表面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μm
Rz、より好ましくは5〜25μmRzであると共にイ
ンキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、インキ流
入側の孔から流入したインキの実質的に全量が、熱可塑
性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下し
ないインキ通路を有する多孔性支持体とを貼り合わせた
マスタを外周面に巻装する版胴と、その粘度が0.5〜
5Pa・s、より好ましくは0.5〜3Pa・sのイン
キを供給するインキ供給手段と、マスタに印刷用紙を押
圧する押圧手段とを具備する孔版印刷装置を用いて印刷
を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上
方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小
さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出される
インキ量を低減すると共に、インキの流動性を良好にし
て印刷速度や環境等の変化による影響を受けにくくして
いる。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィ
ルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化すると
共に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇するの
で、浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を
防止できると共に、印刷速度の変化による画像濃度の変
化を防止して良好な画像を得ることができる。さらに、
版胴が、インキ流入側の孔から流入したインキの実質的
に全量が熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線
に沿って流下しないインキ通路を形成された多孔性支持
体を有するマスタを巻装するので、空隙の天井部とイン
キとの間に粘着力が働いて多孔性支持体の内部から熱可
塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ
量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸
透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。
【0172】請求項2記載の発明によれば、熱可塑性樹
脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表
面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μ
m以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm
以下であると共にインキ流入側の孔とインキ流出側の孔
とを有し、インキ流入側の孔から流入したインキの実質
的に全量が、熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した
垂線に沿って流下しないインキ通路を有する多孔性支持
体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴と、
その粘度が0.5〜5Pa・s、より好ましくは0.5
〜3Pa・sのインキを供給するインキ供給手段と、マ
スタに印刷用紙を押圧する押圧手段とを具備する孔版印
刷装置を用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フ
ィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔
性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持
体から引き出されるインキ量を低減すると共に、インキ
の流動性を良好にして印刷速度や環境等の変化による影
響を受けにくくしている。これにより、印刷時におい
て、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるイ
ンキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸
透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮さ
れ、裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度の変化
による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得ること
ができる。さらに、版胴が、インキ流入側の孔から流入
したインキの実質的に全量が熱可塑性樹脂フィルムとの
当接面に下した垂線に沿って流下しないインキ通路を形
成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するので、
空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働いて多孔性支
持体の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して
引き出されるインキ量がさらに少量となり、印刷用紙に
転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われて裏写りが
減少する。
【0173】請求項3記載の発明によれば、請求項1ま
たは請求項2記載の孔版印刷装置において、さらに、版
胴が、繊維径の異なる2種類以上の繊維を組み合わせて
構成された多孔性支持体を有するマスタを巻装するの
で、太い繊維間を細い繊維で埋めることで多孔性支持体
の表面粗さを小さくすることができ、印刷時において、
熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ
量が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速
度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、
裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度の変化によ
る画像濃度の変化を防止して良好な画像を得ることがで
きる。
【0174】請求項4記載の発明によれば、請求項1
いし請求項3のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置
において、さらに、版胴が、少なくともその表面が金属
で構成されている多孔性支持体を有するマスタを巻装す
るので、高エネルギー表面である金属によってその表面
を構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くな
り、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくく
なると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材に
よる加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを
吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元す
ることにより、多孔性支持体の内部にインキを吸い戻す
ため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止さ
れ、裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度の変化
による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得ること
ができる。
【0175】請求項5記載の発明によれば、熱可塑性樹
脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表
面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmR
z、より好ましくは5〜25μmRzとなるように構成
された多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に
巻装する版胴と、その粘度が0.5〜5Pa・s、より
好ましくは0.5〜3Pa・sのインキを供給するイン
キ供給手段と、マスタに印刷用紙を押圧する押圧手段と
を具備する孔版印刷装置を用いて印刷を行うことによ
り、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、イ
ンキの存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部
を介して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減
すると共に、インキの流動性を良好にして印刷速度や環
境等の変化による影響を受けにくくしている。これによ
り、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部よ
り引き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内
部へのインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要
する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共
に、印刷速度の変化による画像濃度の変化を防止して良
好な画像を得ることができる。さらに、版胴が、熱可塑
性樹脂フィルムと当接しない側から熱可塑性樹脂フィル
ムと当接する側に向かうに連れてその空隙が小さくなる
ように構成された多孔性支持体を有するマスタを巻装す
るので、インキ通路に沿って、最初はインキの供給・拡
散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正
化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮される
ため、裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度の変
化による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得るこ
とができる。
【0176】請求項6記載の発明によれば、熱可塑性樹
脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表
面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μ
m以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm
以下となるように構成された多孔性支持体とを貼り合わ
せたマスタを外周面に巻装する版胴と、その粘度が0.
5〜5Pa・s、より好ましくは0.5〜3Pa・sの
インキを供給するインキ供給手段と、マスタに印刷用紙
を押圧する押圧手段とを具備する孔版印刷装置を用いて
印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部
の上方にあって、インキの存在する多孔性支持体の空隙
を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出さ
れるインキ量を低減すると共に、インキの流動性を良好
にして印刷速度や環境等の変化による影響を受けにくく
している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂
フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化す
ると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇する
ので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生
を防止できると共に、印刷速度の変化による画像濃度の
変化を防止して良好な画像を得ることができる。さら
に、版胴が、熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から
熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れてそ
の空隙が小さくなるように構成された多孔性支持体を有
するマスタを巻装するので、インキ通路に沿って、最初
はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出さ
れるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要す
る時間が短縮されるため、裏写りの発生を防止できると
共に、印刷速度の変化による画像濃度の変化を防止して
良好な画像を得ることができる。
【0177】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する
版胴と、粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、よ
り好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下のイン
キを供給するインキ供給手段と、マスタに印刷用紙を押
圧する押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、イ
ンキ保持部材の熱可塑性樹脂フィルムのみからマスタと
当接する側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは
5〜35μmRz、より好ましくは5〜25μmRzと
なるように構成すれば、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部
の上方にあって、インキの存在するインキ保持部材の空
隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き
出されるインキ量を低減すると共に、インキの流動性を
良好にして印刷速度や環境等の変化による影響を受けに
くくしている。これにより、印刷時において、熱可塑性
樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部よ
り引き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内
部へのインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要
する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共
に、印刷速度の変化による画像濃度の変化を防止して良
好な画像を得ることができる。
【0178】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタを巻装し、インキ保持部材を外周面に有する
版胴と、粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、よ
り好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下のイン
キを供給するインキ供給手段と、マスタに印刷用紙を押
圧する押圧手段とを具備する孔版印刷装置に適用し、イ
ンキ保持部材の熱可塑性樹脂フィルムのみからマスタと
当接する側の表面の繊維径を1〜20μm、好ましくは
1〜15μm、より好ましくは1〜8μmとなるように
構成すれば、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあ
って、インキの存在するインキ保持部材の空隙を小さく
し、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出されるイ
ンキ量を低減すると共に、インキの流動性を良好にして
印刷速度や環境等の変化による影響を受けにくくしてい
る。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィル
ムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部より引き出さ
れるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へのイン
キの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が
短縮され、裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度
の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得
ることができる。
【0179】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性
支持体とを貼り合わせたマスタを巻装し、その外周面に
インキ保持部材を有する版胴と、粘度が0.5Pa・s
以上5Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s以
上3Pa・s以下のインキを供給するインキ供給手段
と、マスタに印刷用紙を押圧する押圧手段とを具備する
孔版印刷装置に適用し、インキ保持部材の多孔性支持体
と当接する側の表面粗さと多孔性支持体との厚みの和を
5μm以上45μm以下、好ましくは5μm以上35μ
m以下、より好ましくは5μm以上25μm以下となる
ように構成すれば、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上
方にあって、インキの存在するインキ保持部材の空隙を
小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引き出さ
れるインキ量を低減すると共に、インキの流動性を良好
にして印刷速度や環境等の変化による影響を受けにくく
している。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂
フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部より引
き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へ
のインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する
時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に、印
刷速度の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画
像を得ることができる。
【0180】上述のインキ保持部材を、繊維径の異なる
2種類以上の繊維から構成すれば、太い繊維間を細い繊
維で埋めることによってインキ保持部材の表面粗さを小
さくすることができ、印刷時において、熱可塑性樹脂フ
ィルムの穿孔部を介してインキ保持部材またはインキ保
持部材及び多孔性支持体の内部より引き出されるインキ
量が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速
度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、
熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性
支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写
りの発生を防止できると共に印刷速度の変化による画像
濃度の変化を防止して良好な画像を得ることができる。
また、太い繊維と細い繊維とを混在させることにより、
コストアップすることなく孔版印刷装置の耐久性を向上
させることができる。
【0181】上述のインキ保持部材を、外表面に向かう
に連れて空隙が小さくなるように構成すれば、インキ通
路に沿って最初はインキの供給・拡散を良好に行い、最
終では引き出されるインキ量を適正化することができ、
浸透乾燥に要する時間が短縮されることにより、熱可塑
性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体
を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発
生を防止できると共に、印刷速度の変化による画像濃度
の変化を防止して良好な画像を得ることができる。
【0182】上述のインキ保持部材を、少なくともその
表面が金属から構成されているものとすれば、高エネル
ギー表面である金属からその表面を構成されたインキ保
持部材はインキとの接着力が高くなり、インキ保持部材
の内部からインキが引き出されにくくなると共に、イン
キ保持部材が高弾性であり、押圧部材による加圧時にお
いてインキ保持部材が圧縮されてインキを吐出し、圧が
解除されたときにはインキ保持部材が復元することによ
りインキ保持部材の内部にインキを吸い戻すため、余分
なインキを印刷用紙に転移することが防止され、熱可塑
性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性支持体
を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発
生を防止できると共に、印刷速度の変化による画像濃度
の変化を防止して良好な画像を得ることができる。さら
に、インキ保持部材の強度が高いので長時間の使用によ
るへたりが少なく、また、インキによる腐食を防止する
ことができ、耐久性がよく大量印刷に適した孔版印刷装
置を提供することができる。
【0183】上述のインキ保持部材として、インキ流入
側の孔とインキ流出側の孔とを有し、インキ流入側の孔
から流入したインキの実質的に全量が、版胴の外周面に
下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するもの
を用いれば、空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働
いてインキ保持部材の内部から熱可塑性樹脂フィルムの
穿孔部を介して引き出されるインキ量がさらに少量とな
り、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行
われて裏写りが減少する。
【0184】請求項記載の発明によれば、熱可塑性樹
脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表
面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μmR
z、より好ましくは5〜25μmRzであると共にイン
キ流入側の孔とインキ流出側の孔とを有し、インキ流入
側の孔から流入したインキの実質的に全量が、熱可塑性
樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下しな
いインキ通路を有する多孔性支持体とを貼り合わせてな
マスタと、その粘度が0.5〜5Pa・s、より好ま
しくは0.5〜3Pa・sのインキを用いて印刷を行う
ことにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあ
って、インキの存在する多孔性支持体の空隙を小さく
し、穿孔部を介して多孔性支持体から引き出されるイン
キ量を低減すると共に、インキの流動性を良好にして印
刷速度や環境等の変化による影響を受けにくくしてい
る。これにより、印刷時において、熱可塑性樹脂フィル
ムの穿孔部より引き出されるインキ量が適正化すると共
に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇するので、
浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止
できると共に、印刷速度の変化による画像濃度の変化を
防止して良好な画像を得ることができる。さらに、イン
キ流入側の孔から流入したインキの実質的に全量が熱可
塑性樹脂フィルムとの当接面に下した垂線に沿って流下
しないインキ通路を形成された多孔性支持体を用いるこ
とにより、空隙の天井部とインキとの間に粘着力が働い
て多孔性支持体の内部から熱可塑性樹脂フィルムの穿孔
部を介して引き出されるインキ量がさらに少量となり、
印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥が短時間で行われ
て裏写りが減少する。
【0185】請求項記載の発明によれば、熱可塑性樹
脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の表
面の繊維径が1μm以上20μm以下、好ましくは1μ
m以上15μm以下、より好ましくは1μm以上8μm
以下であると共にインキ流入側の孔とインキ流出側の孔
とを有し、インキ流入側の孔から流入したインキの実質
的に全量が、熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した
垂線に沿って流下しないインキ通路を有する多孔性支持
体とを貼り合わせてなるマスタと、その粘度が0.5〜
5Pa・s、より好ましくは0.5〜3Pa・sのイン
キを用いて印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィル
ムの穿孔部の上方にあって、インキの存在する多孔性支
持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔性支持体か
ら引き出されるインキ量を低減すると共に、インキの流
動性を良好にして印刷速度や環境等の変化による影響を
受けにくくしている。これにより、印刷時において、熱
可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量
が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速度
が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏
写りの発生を防止できると共に印刷速度の変化による画
像濃度の変化を防止して良好な画像を得ることができ
る。さらに、インキ流入側の孔から流入したインキの実
質的に全量が熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下した
垂線に沿って流下しないインキ通路を形成された多孔性
支持体を用いることにより、空隙の天井部とインキとの
間に粘着力が働いて多孔性支持体の内部から熱可塑性樹
脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ量がさ
らに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸透乾燥
が短時間で行われて裏写りが減少する。
【0186】請求項記載の発明によれば、請求項
たは請求項記載の孔版印刷方法において、さらに、繊
維径の異なる2種類以上の繊維を組み合わせた多孔性支
持体を有するマスタを用いて印刷を行うことにより、太
い繊維間を細い繊維で埋めることで多孔性支持体の表面
粗さを小さくすることができ、印刷時において、熱可塑
性樹脂フィルムの穿孔部より引き出されるインキ量が適
正化すると共に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上
昇するので、浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写り
の発生を防止できると共に、印刷速度の変化による画像
濃度の変化を防止して良好な画像を得ることができる。
また、太い繊維径を有する多孔性支持体を使用できるの
でマスタの強度が向上し、マスタの切れや伸びを防止す
ることができる。
【0187】請求項10記載の発明によれば、請求項
ないし請求項9のうちの何れか1つに記載の孔版印刷方
法において、さらに、少なくともその表面が金属で構成
されている多孔性支持体を有するマスタを用いることに
より、高エネルギー表面である金属によってその表面を
構成された多孔性支持体とインキとの接着力が高くな
り、多孔性支持体の内部からインキが引き出されにくく
なると共に、多孔性支持体が高弾性であり、押圧部材に
よる加圧時において多孔性支持体が圧縮されてインキを
吐出し、圧が解除されたときには多孔性支持体が復元す
ることにより、多孔性支持体の内部にインキを吸い戻す
ため、余分なインキを印刷用紙に転移することが防止さ
れ、裏写りの発生を防止できると共に印刷速度の変化に
よる画像濃度の変化を防止して良好な画像を得ることが
できる。さらに、多孔性支持体の強度が高いので長時間
の使用によるへたりが少なく、また、インキによる腐食
を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に適して
いる。
【0188】請求項11記載の発明によれば、熱可塑性
樹脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の
表面粗さが5〜45μmRz、好ましくは5〜35μm
Rz、より好ましくは5〜25μmRzとなるように構
成された多孔性支持体とを貼り合わせてなるマスタと、
その粘度が0.5〜5Pa・s、より好ましくは0.5
〜3Pa・sのインキを用いて印刷を行うことにより、
熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキ
の存在する多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介
して多孔性支持体から引き出されるインキ量を低減する
と共に、インキの流動性を良好にして印刷速度や環境等
の変化による影響を受けにくくしている。これにより、
印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引
き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へ
のインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する
時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共に、印
刷速度の変化による画像濃度の変化を防止して良好な画
像を得ることができる。さらに、熱可塑性樹脂フィルム
と当接しない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側
に向かうに連れて、その空隙が小さくなるように構成さ
れた多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行うこ
とにより、インキ通路に沿って、最初はインキの供給・
拡散を良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適
正化することができ、浸透乾燥に要する時間が短縮され
るため、裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度の
変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得る
ことができる。また、このように構成された多孔性支持
体を有するマスタを用いることにより、通常版胴の外周
面に巻装されているインキ保持層の役割を多孔性支持体
が担うため、インキ保持層を用いなくとも良好な画像を
得ることができ、コストを低減させることができる。
【0189】請求項12記載の発明によれば、熱可塑性
樹脂フィルムと、熱可塑性樹脂フィルムと当接する側の
表面の繊維径が1〜20μm、好ましくは1〜15μ
m、より好ましくは1〜8μmとなるように構成された
多孔性支持体とを貼り合わせてなるマスタと、その粘度
が0.5〜5Pa・s、より好ましくは0.5〜3Pa
・sのインキを用いて印刷を行うことにより、熱可塑性
樹脂フィルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在す
る多孔性支持体の空隙を小さくし、穿孔部を介して多孔
性支持体から引き出されるインキ量を低減すると共に、
インキの流動性を良好にして印刷速度や環境等の変化に
よる影響を受けにくくしている。これにより、印刷時に
おいて、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部より引き出され
るインキ量が適正化すると共に印刷用紙内部へのインキ
の浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に要する時間が短
縮され、裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度の
変化による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得る
ことができる。さらに、熱可塑性樹脂フィルムと当接し
ない側から熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かう
に連れて、その空隙が小さくなるように構成された多孔
性支持体を有するマスタを用いて印刷を行うことによ
り、インキ通路に沿って、最初はインキの供給・拡散を
良好に行い、最終では引き出されるインキ量を適正化す
ることができ、浸透乾燥に要する時間が短縮されるた
め、裏写りの発生を防止できると共に、印刷速度の変化
による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得ること
ができる。また、このように構成された多孔性支持体を
有するマスタを用いることにより、通常版胴の外周面に
巻装されているインキ保持層の役割を多孔性支持体が担
うため、インキ保持層を用いなくとも良好な画像を得る
ことができ、コストを低減させることができる。
【0190】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタと、その外周面にインキ保持部材を有する版
胴と、その粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、
より好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下のイ
ンキを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部
材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからマスタと当接す
る側の表面粗さを5〜45μmRz、好ましくは5〜3
5μmRz、より好ましくは5〜25μmRzとなるよ
うに構成して印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィ
ルムの穿孔部の上方にあって、インキの存在するインキ
保持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持
部材から引き出されるインキ量を低減すると共に、イン
キの流動性を良好にして印刷速度や環境等の変化による
影響を受けにくくしている。これにより、印刷時におい
て、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持
部材の内部より引き出されるインキ量が適正化すると共
に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇するので、
浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止
できると共に、印刷速度の変化による画像濃度の変化を
防止して良好な画像を得ることができる。
【0191】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムのみから
なるマスタと、その外周面にインキ保持部材を有する版
胴と、その粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下、
より好ましくは0.5Pa・s以上3Pa・s以下のイ
ンキを用いる孔版印刷方法に適用し、前記インキ保持部
材の前記熱可塑性樹脂フィルムのみからマスタと当接す
る側の表面の繊維径を1〜20μm、好ましくは1〜1
5μm、より好ましくは1〜8μmとなるように構成し
印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔
部の上方にあって、インキの存在するインキ保持部材の
空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部材から引
き出されるインキ量を低減すると共に、インキの流動性
を良好にして印刷速度や環境等の変化による影響を受け
にくくしている。これにより、印刷時において、熱可塑
性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持部材の内部
より引き出されるインキ量が適正化すると共に印刷用紙
内部へのインキの浸透速度が上昇するので、浸透乾燥に
要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止できると共
に、印刷速度の変化による画像濃度の変化を防止して良
好な画像を得ることができる。
【0192】本発明を、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性
支持体とを貼り合わせてなるマスタと、その外周面にイ
ンキ保持部材を有する版胴と、その粘度が0.5Pa・
s以上5Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s
以上3Pa・s以下のインキを用いる孔版印刷方法に適
用し、前記インキ保持部材の前記多孔性支持体と当接す
る側の表面粗さと前記多孔性支持体の厚みとの和を5μ
m以上45μm以下、好ましくは5μm以上35μm以
下、より好ましくは5μm以上25μm以下となるよう
に構成して印刷を行うことにより、熱可塑性樹脂フィル
ムの穿孔部の上方にあって、インキの存在するインキ保
持部材の空隙を小さくし、穿孔部を介してインキ保持部
材から引き出されるインキ量を低減すると共に、インキ
の流動性を良好にして印刷速度や環境等の変化による影
響を受けにくくしている。これにより、印刷時におい
て、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部を介してインキ保持
部材の内部より引き出されるインキ量が適正化すると共
に印刷用紙内部へのインキの浸透速度が上昇するので、
浸透乾燥に要する時間が短縮され、裏写りの発生を防止
できると共に印刷速度の変化による画像濃度の変化を防
止して良好な画像を得ることができる。
【0193】上述のインキ保持部材として、繊維径の異
なる2種類以上の繊維から構成されたものを用いて印刷
を行うことにより、太い繊維間を細い繊維で埋めること
によってインキ保持部材の表面粗さを小さくすることが
でき、印刷時において、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔部
を介してインキ保持部材またはインキ保持部材及び多孔
性支持体の内部より引き出されるインキ量が適正な量と
なり、浸透乾燥に要する時間が短縮されることにより、
熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタまたは多孔性
支持体を有するマスタを用いて印刷を行う場合に、裏写
りの発生を防止できると共に印刷速度の変化による画像
濃度の変化を防止して良好な画像を得ることができる。
また、太い繊維と細い繊維とを混在させることにより、
コストアップすることなく版胴の耐久性を向上させるこ
とができる。
【0194】上述のインキ保持部材として、外表面に向
かうに連れて空隙が小さくなるように構成されたものを
用いて印刷を行うことにより、インキ通路に沿って、最
初はインキの供給・拡散を良好に行い、最終では引き出
されるインキ量を適正化することができ、浸透乾燥に要
する時間が短縮されることにより、熱可塑性樹脂フィル
ムのみからなるマスタまたは多孔性支持体を有するマス
タを用いて印刷を行う場合に、裏写りの発生を防止でき
ると共に印刷速度の変化による画像濃度の変化を防止し
て良好な画像を得ることができる。
【0195】上述のインキ保持部材として、少なくとも
その表面が金属で構成されたものを用いて印刷を行うこ
とにより、高エネルギー表面である金属からその表面を
構成されたインキ保持部材はインキとの接着力が高くな
り、インキ保持部材の内部からインキが引き出されにく
くなると共に、インキ保持部材が高弾性であり、押圧部
材による加圧時においてインキ保持部材が圧縮されてイ
ンキを吐出し、圧が解除されたときにはインキ保持部材
が復元することによりインキ保持部材の内部にインキを
吸い戻すため、余分なインキを印刷用紙に転移すること
が防止され、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ
または多孔性支持体を有するマスタを用いて印刷を行う
場合に、裏写りの発生を防止できると共に印刷速度の変
化による画像濃度の変化を防止して良好な画像を得るこ
とができる。さらに、インキ保持部材の強度が高いので
長時間の使用によるへたりが少なく、また、インキによ
る腐食を防止することができ、耐久性がよく大量印刷に
適している。
【0196】上述のインキ保持部材として、インキ流入
側の孔とインキ流出側の孔とを有し、インキ流入側の孔
から流入したインキの実質的に全量が、版胴の外周面に
下した垂線に沿って流下しないインキ通路を有するもの
を用いて印刷を行うことにより、空隙の天井部とインキ
との間に粘着力が働いてインキ保持部材の内部から熱可
塑性樹脂フィルムの穿孔部を介して引き出されるインキ
量がさらに少量となり、印刷用紙に転移したインキの浸
透乾燥が短時間で行われて裏写りが減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した孔版印刷装置
要部の概略側面図である。
【図2】本発明の第1ないし第6の実施例に用いられる
版胴及びインキ保持層を示す部分側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に用いられるマスタを示
す部分側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのイ
ンキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのイ
ンキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例における印刷用紙へのイ
ンキの転移状態を説明するための部分側断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例に用いられるマスタを示
す部分側断面図である。
【図8】本発明の第2の実施例の変形例に用いられるマ
スタを示す部分側断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例に用いられるマスタを示
す部分側断面図である。
【図10】本発明の第3の実施例の変形例に用いられる
マスタを示す部分側断面図である。
【図11】本発明の第4の実施例に用いられるマスタを
示す部分側断面図である。
【図12】本発明の第5の実施例に用いられるマスタを
示す部分側断面図である。
【図13】本発明の第6の実施例に用いられるマスタを
示す部分側断面図である。
【図14】本発明の第6の実施例に用いられるマスタを
説明する部分側断面図である。
【図15】本発明の第6の実施例に用いられるマスタを
説明する部分側断面図である。
【図16】本発明の第6の実施例の変形例に用いられる
マスタを示す部分側断面図である。
【図17】本発明の第7の実施例に用いられる版胴及び
インキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図18】本発明の第8の実施例に用いられる版胴及び
インキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図19】本発明の第8の実施例の変形例に用いられる
版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図20】本発明の第9の実施例に用いられる版胴及び
インキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図21】本発明の第9の実施例の変形例に用いられる
版胴及びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図22】本発明の第10の実施例に用いられる版胴及
びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図23】本発明の第11の実施例に用いられる版胴及
びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図24】本発明の第12の実施例に用いられる版胴及
びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図25】本発明の第12の実施例に用いられるインキ
保持部材を説明する部分側断面図である。
【図26】本発明の第12の実施例の変形例に用いられ
るインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【図27】本発明の第13の実施例に用いられる版胴及
びインキ保持部材を示す部分側断面図である。
【符号の説明】
1,43,44,45,46,47,48,49,5
0,53 版胴 8,20,21,22,23,24,25,36,3
9,41 マスタ 8b,41b 熱可塑性樹脂フィルム 8c,20b,21c,22c,23c,24b,25
d,36a,39a, 41a 多孔性支持体 8d,27d 穿孔部 16 押圧手段(プレスローラー) 18 印刷用紙 19 インキ 27 熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ 26,28,29,30,31,34,35,38,4
0,42 インキ保持部材 36b,38a インキ流入側の孔 36c,38b インキ流出側の孔 36d,38d インキ通路 60 インキ供給手段 61 製版手段 S 垂線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−198185(JP,A) 特開 平2−209976(JP,A) 特開 昭60−38193(JP,A) 特開 平5−221175(JP,A) 特開 昭60−87095(JP,A) 特公 昭48−8217(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41L 13/04 B41N 1/24 102 B41M 1/12

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRz
    であると共にインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを
    有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質
    的に全量が、前記熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下
    した垂線に沿って流下しないインキ通路を有する多孔性
    支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴
    と、 前記版胴の内周面より、粘度が0.5Pa・s以上5P
    a・s以下のインキを供給するインキ供給手段と、 前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マス
    タの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを
    特徴とする孔版印刷装置。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1〜20μm
    であると共にインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを
    有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質
    的に全量が、前記熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下
    した垂線に沿って流下しないインキ通路を有する多孔性
    支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に巻装する版胴
    と、 前記版胴の内周面より、粘度が0.5Pa・s以上5P
    a・s以下のインキを供給するインキ供給手段と、 前記マスタに印刷用紙を押圧し、前記インキを前記マス
    タの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備することを
    特徴とする孔版印刷装置。
  3. 【請求項3】前記多孔性支持体は、繊維径の異なる2種
    類以上の繊維から構成されていることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の孔版印刷装置。
  4. 【請求項4】前記多孔性支持体は、少なくともその表面
    が金属で構成されていることを特徴とする請求項1ない
    し請求項3のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRz
    となるように構成される多孔性支持体とを貼り合わせた
    マスタを外周面に巻装する版胴と、前記版胴の内周面よ
    り粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下のインキを
    供給するインキ供給手段と、前記マスタに印刷用紙を押
    圧し前記インキを前記マスタの穿孔部より滲出させる押
    圧手段とを具備する孔版印刷装置において、 前記多孔性支持体は、その厚み方向の、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィル
    ムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるよう
    に構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1〜20μm
    である多孔性支持体とを貼り合わせたマスタを外周面に
    巻装する版胴と、前記版胴の内周面より粘度が0.5P
    a・s以上5Pa・s以下のインキを供給するインキ供
    給手段と、前記マスタに印刷用紙を押圧し前記インキを
    前記マスタの穿孔部より滲出させる押圧手段とを具備す
    る孔版印刷装置において、 前記多孔性支持体は、その厚み方向の、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接しない側から前記熱可塑性樹脂フィル
    ムと当接する側に向かうに連れて空隙が小さくなるよう
    に構成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmRz
    であると共にインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを
    有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質
    的に全量が、前記熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下
    した垂線に沿って流下しないインキ通路を有する多孔性
    支持体とを貼り合わせてなるマス タと、その粘度が0.
    5Pa・s以上5Pa・s以下のインキを用いることを
    特徴とする孔版印刷方法。
  8. 【請求項8】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性樹
    脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1〜20μm
    であると共にインキ流入側の孔とインキ流出側の孔とを
    有し、前記インキ流入側の孔から流入したインキの実質
    的に全量が、前記熱可塑性樹脂フィルムとの当接面に下
    した垂線に沿って流下しないインキ通路を有する多孔性
    支持体とを貼り合わせてなるマスタと、その粘度が0.
    5Pa・s以上5Pa・s以下のインキを用いることを
    特徴とする孔版印刷方法。
  9. 【請求項9】前記マスタとして、前記多孔性支持体が繊
    維径の異なる2種類以上の繊維から構成されたものを用
    いることを特徴とする請求項7または請求項8記載の孔
    版印刷方法。
  10. 【請求項10】前記マスタとして、前記多孔性支持体の
    少なくともその表面が金属で構成されたものを用いるこ
    とを特徴とする請求項7ないし請求項9のうちの何れか
    1つに記載の孔版印刷方法。
  11. 【請求項11】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性
    樹脂フィルムと当接する側の表面粗さが5〜45μmR
    zである多孔性支持体とを貼り合わせてなるマスタと、
    その粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下のインキ
    を用いる孔版印刷方法において、 前記マスタとして、前記多孔性支持体が、その厚み方向
    の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記
    熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空
    隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特
    徴とする孔版印刷方法。
  12. 【請求項12】熱可塑性樹脂フィルムと、前記熱可塑性
    樹脂フィルムと当接する側の表面の繊維径が1〜20μ
    mである多孔性支持体とを貼り合わせてなるマスタと、
    その粘度が0.5Pa・s以上5Pa・s以下のインキ
    を用いる孔版印刷方法において、 前記マスタとして、前記多孔性支持体が、その厚み方向
    の、前記熱可塑性樹脂フィルムと当接しない側から前記
    熱可塑性樹脂フィルムと当接する側に向かうに連れて空
    隙が小さくなるように構成されたものを用いることを特
    徴とする孔版印刷方法。
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