JP3544339B2 - 車両用発電機の電圧制御装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、イグニッションスイッチとチャージランプを直列接続してこれらの入力端子を共通化した車両用発電機の電圧制御装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
イグニッションスイッチとチャージランプを介してバッテリ電圧を入力する入力端子を有し、この入力端子の電圧が所定値を越えた時に動作を開始する車両用交電機の電圧制御装置として、例えば特許第２７０７６１６号に示すものがあり、その回路図を図３に示す。
【０００３】
図３に示す電圧制御装置１は、互いに直列に接続されたイグニションスイッチ３とチャージランプ４を介してバッテリ５の電圧を入力する入力端子Ｌを有し、この入力端子Ｌの電圧が所定値を越えた時に車両用発電機２のロータコイル２１の励磁を開始するように構成されている。そして、電圧制御装置１には、入力端子Ｌの電圧が上記所定値よりも低い他の所定値を越えた時に出力信号を発する比較手段１２と、この出力信号により作動して入力端子Ｌとアース間にリーク補償抵抗１４３を接続するスイッチ手段１４とを備えている。
【０００４】
更に詳しく説明すると、図３の電圧制御装置１はコンパレータ１２、１３を有しており、それぞれの「−」端子にＬ端子の電圧が入力している。各コンパレータ１２、１３の「＋」端子には定電圧Ｖ1、Ｖ2が入力しており、Ｖ1＜Ｖ2としてある。コンパレータ１２の出力端にはトランジスタ１６が接続され、このトランジスタ１６の出力により抵抗１４２を介してスイッチ手段たるトランジスタ１４がＯＮ作動する。一方、コンパレータ１３の出力端にはトランジスタ１１１２が接続され、トランジスタ１１１２は抵抗１１１４を介してパワートランジスタ１１をＯＮ作動する。
【０００５】
また、トランジスタ１４、１５２は、それぞれトランジスタ１４１、１５１を介してコンパレータ１５に接続されており、車両発電機２が発電を開始するとその発電電圧は定電圧Ｖ3を越えるためにコンパレータ１５によりトランジスタ１４、１５２はＯＦＦ作動する。図中、２２、２３はそれぞれ車両用発電機２のステータコイルおよび全波整流器である。また、Ｌ端子とアース間に設けた抵抗１４４は、イグニションスイッチ３の通常開放作動時にＬ端子をアースレベルへ引下げるものである。
【０００６】
なお、発電中の上記パワートランジスタ１１のＯＮ−ＯＦＦ制御は、ベース側にツェナーダイオード１１１３を設けたトランジスタ１１１１によりなされる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、チャージランプとして例えば発光ダイオードのような低消費電力で駆動する発光素子を使用した場合の適用例を図４に示す。図４のようにチャージランプに発光ダイオード等を用いた場合、発光ダイオード等を点灯させるトランジスタ１５２が過電流によって破壊されるのを防止するため、発光ダイオード等と直列に電流制限用の抵抗を車両側に搭載する必要がある。
【０００８】
しかし、電流制限用の抵抗を車両側に搭載すると車両側の構成が複雑になり、また、車両側に電流制限抵抗を挿入した場合においても、車両配線等の異常によって入力端子Ｌにバッテリ電圧等の高電圧が直接印加された場合において、低消費電力で駆動する発光素子（発光ダイオード等）を駆動させるためのトランジスタが過電流によって破壊するという問題があった。
【０００９】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、高電圧が直接電圧制御装置の入力端子Ｌに印加された場合の異常時においても、電圧制御装置が破壊されることなく、安定した起動回路を提供することを目的とする。
【００１０】
また、上記発光素子を点灯／消灯させるためだけに使用されていた専用のトランジスタ等の素子を不要として、簡単な回路で上記発光素子を点灯／消灯するようにする。
【００１１】
さらに、電圧制御装置の動作を開始させるために上記発光素子を介して入力端子から電圧制御装置内へ流れ込む電流によって上記発光素子が点灯したままの状態になることを防止する。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、イグニッションスイッチおよび低消費電力で駆動される発光素子を介してバッテリ電圧を入力する入力端子を有するとともに、この入力端子の電圧が所定値を越えた時に車両用発電機の発電電圧の制御を開始する発電電圧制御回路を備えた車両用発電機の電圧制御装置において、次の構成を採る。
【００１３】
すなわち、請求項１記載に係る発明は、上記イグニッションスイッチのオンに応じて上記発光素子を点灯すると共に上記発電電圧制御回路への電力供給を開始し、かつ上記車両用発電機の発電開始後に上記車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出して上記発光素子を消灯する起動回路を備え、この起動回路と上記入力端子との間に上記起動回路に流れる電流を制限する電流制限抵抗を直列に配置しており、上記起動回路は、上記入力端子に上記電流制限抵抗を介して直列に接続されたツェナーダイオードと、このツェナーダイオードにベースが接続されたＮＰＮトランジスタと、車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出するコンパレータと、このコンパレータの検出出力によって上記発光素子に流れる電流を制限するとともに上記ＮＰＮトランジスタへのベース電流供給を維持するスイッチ回路とを含むことを特徴とする。
【００１４】
請求項２記載に係る発明は、上記イグニッションスイッチのオンに応じて上記発光素子を点灯すると共に上記発電電圧制御回路への電力供給を開始し、かつ上記車両用発電機の発電開始後に上記車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出して上記発光素子を消灯する起動回路を備え、この起動回路と上記入力端子との間に上記起動回路に流れる電流を制限する電流制限抵抗を直列に配置しており、上記起動回路は、上記入力端子と直列にゲート端子が接続された電界効果トランジスタと、車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出するコンパレータと、このコンパレータの検出出力によって上記発光素子に流れる電流を制限するとともに上記電界効果トランジスタのゲート端子への電圧印加を維持するスイッチ回路とを含むことを特徴とする。
【００１５】
【発明の実施の形態】
実施の形態１．
図１は本発明の実施の形態１における車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【００１６】
図１に示す電圧制御装置は、イグニッションスイッチ３およびチャージランプとして低消費電力で駆動される発光素子４を介してバッテリ電圧を入力する入力端子Ｌを有するとともに、この入力端子Ｌの電圧が所定値を越えた時に車両用発電機２の発電電圧の制御を開始する発電電圧制御回路Ａと、イグニッションスイッチ３のオンに応じて発光素子４を点灯すると共に上記発電電圧制御回路Ａへの電力供給を開始し、かつ車両用発電機２の発電開始後に車両用発電機２の１相出力によって発電電圧を検出して発光素子４を消灯する起動回路Ｂ２と、を備えている。
【００１７】
上記の発電電圧制御回路Ａは、トランジスタ１０１，１０３、ツェナーダイオード１０５、ダイオード１０２、および抵抗１０４，１０７から構成されている。
【００１８】
また、上記の起動回路Ｂ２は、ツェナーダイオード１２０、トランジスタ１１０，１２１，１２２，１２３、ダイオード１１１、コンデンサ１１２、コンパレータ１０９，および抵抗１２４，１２５，１２６，１２７，１２８，１２９，１３０により構成されている。
【００１９】
そして、入力端子Ｌと起動回路Ｂ２との間に、起動回路Ｂ２に流れる電流を制限するための電流制限抵抗１１５が設けられており、上記ツェナーダイオード１２０、電流制限抵抗１１５、入力端子Ｌ、発光素子としての発光ダイオード４、イグニッションスイッチ３が順次直列に接続されている。また、ＮＰＮのトランジスタ１２２のベースは抵抗１２６を介してツェナーダイオード１２０に接続されている。
【００２０】
ここに、コンパレータ１０９は、車両用発電機２の１相出力によって発電電圧を検出するものである。また、上記のトランジスタ１２１，１２３および抵抗１２４，１２５によ り、コンパレータ１０９の出力によってツェナーダイオード１２０に流れる電流を制限するとともにＮＰＮトランジスタ１２２へのベース電流供給を維持するスイッチ回路が構成されている。
【００２１】
上記構成において、イグニッションスイッチ３が閉じられると、チャージランプとしての発光ダイオード４、電流制限抵抗１１５、ツェナーダイオード１２０、抵抗１２６を介してトランジスタ１２２にベース電流が流れ、トランジスタ１２２およびトランジスタ１１０は導通し、トランジスタ１０１に抵抗１０４を介してベース電流が流れ、トランジスタ１０１は導通し、ロータコイル２０１に界磁電流が流れて車両用発電機２は発電可能な状態になる。
【００２２】
また、トランジスタ１２２を駆動させるためにイグニッションスイッチ３を介してＬ端子へ流入したトランジスタ１２２のベース電流によって、発光ダイオード４は点灯する。
【００２３】
車両用発電機２が発電を開始すると、発電機の１相電圧の出力をダイオード１１１とコンデンサ１１２によって受けることにより、コンパレータ１０９の「＋」端子の電圧が「−」端子の電圧Ｖｘよりも大きくなり、コンパレータ１０９の出力はＬｏｗからＨｉｇｈへ反転する。その結果、トランジスタ１２１が導通するためトランジスタ１２３も導通し、トランジスタ１２３のコレクタ端子にはバッテリ電圧が印加されるため、ツェナーダイオード１２０の両端間電圧はツェナー電圧以下になって発光ダイオード４には電流は流れなくなり発光ダイオード４は消灯する。
【００２４】
また、トランジスタ１２３の導通によってトランジスタ１２２にベース電流が供給され続けるためトランジスタ１１０も導通状態を維持し、したがって、発電電圧制御回路Ａへの電力供給が遮断されることはない。
【００２５】
また、電圧制御装置１のＬ端子配線の異常や発光ダイオード４の短絡等によって、Ｌ端子に直接バッテリ５の電圧が印加された場合においても、ツェナーダイオード１２０に流れる電流は、抵抗１１５によって制限されるため起動回路Ｂ２を構成するトランジスタ１２２が破壊することはなくなる。
【００２６】
車両用発電機２の出力電圧は、抵抗１０６、抵抗１０７とツェナーダイオード１０５によってあらかじめ定められた所定の電圧でトランジスタ１０３およびトランジスタ１０１がスイッチングすることにより、ロータコイル２０１に流れる電流が断続制御され、所定の値に制御される。
【００２７】
以上のように、実施の形態１による車両用発電機の電圧制御装置によれば、チャージランプに発光ダイオードのような低消費電力で駆動される発光素子４を用いた場合において、起動回路Ｂ１に流れる電流を制限するための抵抗１１５を電圧制御装置１内のツェナーダイオード１２０と入力端子Ｌ間に配置したので、バッテリ５が直接入力端子Ｌに印加された場合等の異常時において電圧制御回路２を構成する起動回路Ｂ１が破壊されることはなく、安定した動作を行うことができる。
【００２８】
また、車両用発電機２が発電を開始すると起動回路Ｂ２によって発光素子４が消灯されるので、発光素子４を介して入力端子Ｌから電圧制御装置１内へ流れ込む電流によって上記発光素子４が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。しかも、この実施の形態１では、ツェナーダイオード１２０を設けることで、低消費電力で駆動する発光素子を点灯させるためだけに使用される専用のコンパレータ等の素子が不要になり、起動回路Ｂ２を一層簡単な回路で構成することができる。
【００２９】
実施の形態２．
図２は本発明の実施の形態２における車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図であり、図１に示した実施の形態１と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【００３０】
この実施の形態２おいて、起動回路Ｂ４は、電界効果トランジスタ１５１、トランジスタ１１０，１１３，１１４、ダイオード１１１、コンデンサ１１２、コンパレータ１０９、および抵抗１１５，１１６，１１７，１２８，１２９，１５２により構成されている。そして、上記の電界効果トランジスタ１５１はそのゲート端子が電流制限用の抵抗１１５を介して入力端子Ｌに直列に接続されている。
【００３１】
ここに、コンパレータ１０９は、車両用発電機２の１相出力によって発電電圧を検出するものである。また、上記のトランジスタ１１３，１１４および抵抗１５２により、コンパレータ１０９の出力によって発光素子４に流れる電流を制限するとともに電界効果ランジスタ１５１へのゲート端子への電圧印加を維持するスイッチ回路が構成されている。
その他の構成は実施の形態１と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【００３２】
上記構成において、イグニッションスイッチ３が閉じられると、チャージランプとしての発光ダイオード４、抵抗１５２を介して、電界効果トランジスタ（ＦＥＴ）１５１に電圧が印加される。そして、ＦＥＴ１５１が導通すると同時に、トランジスタ１１０も導通し、トランジスタ１０１，トランジスタ１１４にはそれぞれ抵抗１０４，抵抗１１６を介してベース電流が流れる。そして、トランジスタ１０１が導通し、ロータコイル２０１に界磁電流が流れて、車両用発電機２は発電可能な状態になる。また、トランジスタ１１４にも導通するので、発光ダイオード４は点灯する。
【００３３】
車両用発電機２が発電を開始すると、実施の形態１と同様に、コンパレータ１０９の出力はＬｏｗからＨｉｇｈへ反転し、トランジスタ１１３が導通するためトランジスタ１１４は遮断され、発光ダイオード４には電流は流れなくなり発光ダイオード４は消灯する。
【００３４】
また、起動回路Ｂ４は、電界効果トランジスタ（ＦＥＴ）１５１を備えているため、電流制限抵抗１５２に電流が流れなくなって発光ダイオード４が消灯しても、ＦＥＴ１５１はそのゲートに一定以上の電圧が加わることで導通状態を保持し、そのため起動回路Ｂ４は、発電電圧制御回路Ａへの電力供給を維持できる。 なお、電圧制御動作に関しては実施の形態１と同様であるので説明を省略する。
【００３５】
以上のように、実施の形態２による車両用発電機の電圧制御装置によれば、車両用発電機２が発電を開始すると発光素子４が消灯されるので、発光素子４を介して入力端子Ｌから電圧制御装置１内へ流れ込む電流によって上記発光素子４が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。また、起動回路Ｂ４は、電界効果トランジスタ１５１を備えているので、車両用発電機２が発電を開始した後においても発電電圧制御回路Ａへの電力供給が維持される。このため、発電電圧制御回路Ａの発電電圧制御動作を確実に補償することができる。
【００３６】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項１記載の発明によれば、低消費電力で駆動する発光素子に流れる電流を制限するための抵抗を電圧制御装置内の発光素子を駆動する起動回路と入力端子間に設けているため、バッテリ等が直接入力端子に印加された場合等の異常時においても起動回路が破壊されることはなく、安定した電圧制御装置を簡単に構成することができる。
【００３７】
また、車両用発電機が発電を開始すると起動回路によって発光素子が確実に消灯される ので、発光素子を介して入力端子から電圧制御装置内へ流れ込む電流によって発光素子が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。さらに、車両用発電機が発電を開始した後においても起動回路は発電電圧制御回路への電力供給を維持するため、発電電圧制御回路の発電電圧制御動作を確実に補償することができる。
【００３８】
しかも、起動回路はツェナーダイオードを備えた構成としたので、発光素子を点灯させるためだけに使用されるコンパレータ等の専用の駆動素子が不要になり、簡単な回路で上記発光素子を点灯することができる。
【００３９】
請求項２記載の発明によれば、バッテリ等が直接入力端子に印加された場合等の異常時においても起動回路が破壊されることが防止でき、また、発光素子が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。しかも、車両用発電機が発電を開始した後においても起動回路は発電電圧制御回路への電力供給を維持するため、発電電圧制御回路の発電電圧制御動作を確実に補償することができる。さらに、起動回路は電界効果トランジスタを備えた構成としたので、発光素子を点灯させるためだけに使用される専用の駆動素子が不要になり、簡単な回路で上記発光素子を点灯することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の実施の形態１による車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【図２】この発明の実施の形態２による車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【図３】従来の車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【図４】従来の車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【符号の説明】
１ 電圧制御装置、２ 車両用発電機、
３ イグニッションスイッチ、４ 発光ダイオード、５ バッテリ、
Ｌ 電圧制御装置の入力端子、Ａ 発電電圧制御回路、
Ｂ２，Ｂ４ 起動回路、１０９ コンパレータ、１１５ 電流制限抵抗、
１２０ ツェナーダイオード、１５１ 電界効果トランジスタ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、イグニッションスイッチとチャージランプを直列接続してこれらの入力端子を共通化した車両用発電機の電圧制御装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
イグニッションスイッチとチャージランプを介してバッテリ電圧を入力する入力端子を有し、この入力端子の電圧が所定値を越えた時に動作を開始する車両用交電機の電圧制御装置として、例えば特許第２７０７６１６号に示すものがあり、その回路図を図３に示す。
【０００３】
図３に示す電圧制御装置１は、互いに直列に接続されたイグニションスイッチ３とチャージランプ４を介してバッテリ５の電圧を入力する入力端子Ｌを有し、この入力端子Ｌの電圧が所定値を越えた時に車両用発電機２のロータコイル２１の励磁を開始するように構成されている。そして、電圧制御装置１には、入力端子Ｌの電圧が上記所定値よりも低い他の所定値を越えた時に出力信号を発する比較手段１２と、この出力信号により作動して入力端子Ｌとアース間にリーク補償抵抗１４３を接続するスイッチ手段１４とを備えている。
【０００４】
更に詳しく説明すると、図３の電圧制御装置１はコンパレータ１２、１３を有しており、それぞれの「−」端子にＬ端子の電圧が入力している。各コンパレータ１２、１３の「＋」端子には定電圧Ｖ1、Ｖ2が入力しており、Ｖ1＜Ｖ2としてある。コンパレータ１２の出力端にはトランジスタ１６が接続され、このトランジスタ１６の出力により抵抗１４２を介してスイッチ手段たるトランジスタ１４がＯＮ作動する。一方、コンパレータ１３の出力端にはトランジスタ１１１２が接続され、トランジスタ１１１２は抵抗１１１４を介してパワートランジスタ１１をＯＮ作動する。
【０００５】
また、トランジスタ１４、１５２は、それぞれトランジスタ１４１、１５１を介してコンパレータ１５に接続されており、車両発電機２が発電を開始するとその発電電圧は定電圧Ｖ3を越えるためにコンパレータ１５によりトランジスタ１４、１５２はＯＦＦ作動する。図中、２２、２３はそれぞれ車両用発電機２のステータコイルおよび全波整流器である。また、Ｌ端子とアース間に設けた抵抗１４４は、イグニションスイッチ３の通常開放作動時にＬ端子をアースレベルへ引下げるものである。
【０００６】
なお、発電中の上記パワートランジスタ１１のＯＮ−ＯＦＦ制御は、ベース側にツェナーダイオード１１１３を設けたトランジスタ１１１１によりなされる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、チャージランプとして例えば発光ダイオードのような低消費電力で駆動する発光素子を使用した場合の適用例を図４に示す。図４のようにチャージランプに発光ダイオード等を用いた場合、発光ダイオード等を点灯させるトランジスタ１５２が過電流によって破壊されるのを防止するため、発光ダイオード等と直列に電流制限用の抵抗を車両側に搭載する必要がある。
【０００８】
しかし、電流制限用の抵抗を車両側に搭載すると車両側の構成が複雑になり、また、車両側に電流制限抵抗を挿入した場合においても、車両配線等の異常によって入力端子Ｌにバッテリ電圧等の高電圧が直接印加された場合において、低消費電力で駆動する発光素子（発光ダイオード等）を駆動させるためのトランジスタが過電流によって破壊するという問題があった。
【０００９】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、高電圧が直接電圧制御装置の入力端子Ｌに印加された場合の異常時においても、電圧制御装置が破壊されることなく、安定した起動回路を提供することを目的とする。
【００１０】
また、上記発光素子を点灯／消灯させるためだけに使用されていた専用のトランジスタ等の素子を不要として、簡単な回路で上記発光素子を点灯／消灯するようにする。
【００１１】
さらに、電圧制御装置の動作を開始させるために上記発光素子を介して入力端子から電圧制御装置内へ流れ込む電流によって上記発光素子が点灯したままの状態になることを防止する。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、イグニッションスイッチおよび低消費電力で駆動される発光素子を介してバッテリ電圧を入力する入力端子を有するとともに、この入力端子の電圧が所定値を越えた時に車両用発電機の発電電圧の制御を開始する発電電圧制御回路を備えた車両用発電機の電圧制御装置において、次の構成を採る。
【００１３】
すなわち、請求項１記載に係る発明は、上記イグニッションスイッチのオンに応じて上記発光素子を点灯すると共に上記発電電圧制御回路への電力供給を開始し、かつ上記車両用発電機の発電開始後に上記車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出して上記発光素子を消灯する起動回路を備え、この起動回路と上記入力端子との間に上記起動回路に流れる電流を制限する電流制限抵抗を直列に配置しており、上記起動回路は、上記入力端子に上記電流制限抵抗を介して直列に接続されたツェナーダイオードと、このツェナーダイオードにベースが接続されたＮＰＮトランジスタと、車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出するコンパレータと、このコンパレータの検出出力によって上記発光素子に流れる電流を制限するとともに上記ＮＰＮトランジスタへのベース電流供給を維持するスイッチ回路とを含むことを特徴とする。
【００１４】
請求項２記載に係る発明は、上記イグニッションスイッチのオンに応じて上記発光素子を点灯すると共に上記発電電圧制御回路への電力供給を開始し、かつ上記車両用発電機の発電開始後に上記車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出して上記発光素子を消灯する起動回路を備え、この起動回路と上記入力端子との間に上記起動回路に流れる電流を制限する電流制限抵抗を直列に配置しており、上記起動回路は、上記入力端子と直列にゲート端子が接続された電界効果トランジスタと、車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出するコンパレータと、このコンパレータの検出出力によって上記発光素子に流れる電流を制限するとともに上記電界効果トランジスタのゲート端子への電圧印加を維持するスイッチ回路とを含むことを特徴とする。
【００１５】
【発明の実施の形態】
実施の形態１．
図１は本発明の実施の形態１における車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【００１６】
図１に示す電圧制御装置は、イグニッションスイッチ３およびチャージランプとして低消費電力で駆動される発光素子４を介してバッテリ電圧を入力する入力端子Ｌを有するとともに、この入力端子Ｌの電圧が所定値を越えた時に車両用発電機２の発電電圧の制御を開始する発電電圧制御回路Ａと、イグニッションスイッチ３のオンに応じて発光素子４を点灯すると共に上記発電電圧制御回路Ａへの電力供給を開始し、かつ車両用発電機２の発電開始後に車両用発電機２の１相出力によって発電電圧を検出して発光素子４を消灯する起動回路Ｂ２と、を備えている。
【００１７】
上記の発電電圧制御回路Ａは、トランジスタ１０１，１０３、ツェナーダイオード１０５、ダイオード１０２、および抵抗１０４，１０７から構成されている。
【００１８】
また、上記の起動回路Ｂ２は、ツェナーダイオード１２０、トランジスタ１１０，１２１，１２２，１２３、ダイオード１１１、コンデンサ１１２、コンパレータ１０９，および抵抗１２４，１２５，１２６，１２７，１２８，１２９，１３０により構成されている。
【００１９】
そして、入力端子Ｌと起動回路Ｂ２との間に、起動回路Ｂ２に流れる電流を制限するための電流制限抵抗１１５が設けられており、上記ツェナーダイオード１２０、電流制限抵抗１１５、入力端子Ｌ、発光素子としての発光ダイオード４、イグニッションスイッチ３が順次直列に接続されている。また、ＮＰＮのトランジスタ１２２のベースは抵抗１２６を介してツェナーダイオード１２０に接続されている。
【００２０】
ここに、コンパレータ１０９は、車両用発電機２の１相出力によって発電電圧を検出するものである。また、上記のトランジスタ１２１，１２３および抵抗１２４，１２５によ り、コンパレータ１０９の出力によってツェナーダイオード１２０に流れる電流を制限するとともにＮＰＮトランジスタ１２２へのベース電流供給を維持するスイッチ回路が構成されている。
【００２１】
上記構成において、イグニッションスイッチ３が閉じられると、チャージランプとしての発光ダイオード４、電流制限抵抗１１５、ツェナーダイオード１２０、抵抗１２６を介してトランジスタ１２２にベース電流が流れ、トランジスタ１２２およびトランジスタ１１０は導通し、トランジスタ１０１に抵抗１０４を介してベース電流が流れ、トランジスタ１０１は導通し、ロータコイル２０１に界磁電流が流れて車両用発電機２は発電可能な状態になる。
【００２２】
また、トランジスタ１２２を駆動させるためにイグニッションスイッチ３を介してＬ端子へ流入したトランジスタ１２２のベース電流によって、発光ダイオード４は点灯する。
【００２３】
車両用発電機２が発電を開始すると、発電機の１相電圧の出力をダイオード１１１とコンデンサ１１２によって受けることにより、コンパレータ１０９の「＋」端子の電圧が「−」端子の電圧Ｖｘよりも大きくなり、コンパレータ１０９の出力はＬｏｗからＨｉｇｈへ反転する。その結果、トランジスタ１２１が導通するためトランジスタ１２３も導通し、トランジスタ１２３のコレクタ端子にはバッテリ電圧が印加されるため、ツェナーダイオード１２０の両端間電圧はツェナー電圧以下になって発光ダイオード４には電流は流れなくなり発光ダイオード４は消灯する。
【００２４】
また、トランジスタ１２３の導通によってトランジスタ１２２にベース電流が供給され続けるためトランジスタ１１０も導通状態を維持し、したがって、発電電圧制御回路Ａへの電力供給が遮断されることはない。
【００２５】
また、電圧制御装置１のＬ端子配線の異常や発光ダイオード４の短絡等によって、Ｌ端子に直接バッテリ５の電圧が印加された場合においても、ツェナーダイオード１２０に流れる電流は、抵抗１１５によって制限されるため起動回路Ｂ２を構成するトランジスタ１２２が破壊することはなくなる。
【００２６】
車両用発電機２の出力電圧は、抵抗１０６、抵抗１０７とツェナーダイオード１０５によってあらかじめ定められた所定の電圧でトランジスタ１０３およびトランジスタ１０１がスイッチングすることにより、ロータコイル２０１に流れる電流が断続制御され、所定の値に制御される。
【００２７】
以上のように、実施の形態１による車両用発電機の電圧制御装置によれば、チャージランプに発光ダイオードのような低消費電力で駆動される発光素子４を用いた場合において、起動回路Ｂ１に流れる電流を制限するための抵抗１１５を電圧制御装置１内のツェナーダイオード１２０と入力端子Ｌ間に配置したので、バッテリ５が直接入力端子Ｌに印加された場合等の異常時において電圧制御回路２を構成する起動回路Ｂ１が破壊されることはなく、安定した動作を行うことができる。
【００２８】
また、車両用発電機２が発電を開始すると起動回路Ｂ２によって発光素子４が消灯されるので、発光素子４を介して入力端子Ｌから電圧制御装置１内へ流れ込む電流によって上記発光素子４が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。しかも、この実施の形態１では、ツェナーダイオード１２０を設けることで、低消費電力で駆動する発光素子を点灯させるためだけに使用される専用のコンパレータ等の素子が不要になり、起動回路Ｂ２を一層簡単な回路で構成することができる。
【００２９】
実施の形態２．
図２は本発明の実施の形態２における車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図であり、図１に示した実施の形態１と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【００３０】
この実施の形態２おいて、起動回路Ｂ４は、電界効果トランジスタ１５１、トランジスタ１１０，１１３，１１４、ダイオード１１１、コンデンサ１１２、コンパレータ１０９、および抵抗１１５，１１６，１１７，１２８，１２９，１５２により構成されている。そして、上記の電界効果トランジスタ１５１はそのゲート端子が電流制限用の抵抗１１５を介して入力端子Ｌに直列に接続されている。
【００３１】
ここに、コンパレータ１０９は、車両用発電機２の１相出力によって発電電圧を検出するものである。また、上記のトランジスタ１１３，１１４および抵抗１５２により、コンパレータ１０９の出力によって発光素子４に流れる電流を制限するとともに電界効果ランジスタ１５１へのゲート端子への電圧印加を維持するスイッチ回路が構成されている。
その他の構成は実施の形態１と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【００３２】
上記構成において、イグニッションスイッチ３が閉じられると、チャージランプとしての発光ダイオード４、抵抗１５２を介して、電界効果トランジスタ（ＦＥＴ）１５１に電圧が印加される。そして、ＦＥＴ１５１が導通すると同時に、トランジスタ１１０も導通し、トランジスタ１０１，トランジスタ１１４にはそれぞれ抵抗１０４，抵抗１１６を介してベース電流が流れる。そして、トランジスタ１０１が導通し、ロータコイル２０１に界磁電流が流れて、車両用発電機２は発電可能な状態になる。また、トランジスタ１１４にも導通するので、発光ダイオード４は点灯する。
【００３３】
車両用発電機２が発電を開始すると、実施の形態１と同様に、コンパレータ１０９の出力はＬｏｗからＨｉｇｈへ反転し、トランジスタ１１３が導通するためトランジスタ１１４は遮断され、発光ダイオード４には電流は流れなくなり発光ダイオード４は消灯する。
【００３４】
また、起動回路Ｂ４は、電界効果トランジスタ（ＦＥＴ）１５１を備えているため、電流制限抵抗１５２に電流が流れなくなって発光ダイオード４が消灯しても、ＦＥＴ１５１はそのゲートに一定以上の電圧が加わることで導通状態を保持し、そのため起動回路Ｂ４は、発電電圧制御回路Ａへの電力供給を維持できる。 なお、電圧制御動作に関しては実施の形態１と同様であるので説明を省略する。
【００３５】
以上のように、実施の形態２による車両用発電機の電圧制御装置によれば、車両用発電機２が発電を開始すると発光素子４が消灯されるので、発光素子４を介して入力端子Ｌから電圧制御装置１内へ流れ込む電流によって上記発光素子４が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。また、起動回路Ｂ４は、電界効果トランジスタ１５１を備えているので、車両用発電機２が発電を開始した後においても発電電圧制御回路Ａへの電力供給が維持される。このため、発電電圧制御回路Ａの発電電圧制御動作を確実に補償することができる。
【００３６】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項１記載の発明によれば、低消費電力で駆動する発光素子に流れる電流を制限するための抵抗を電圧制御装置内の発光素子を駆動する起動回路と入力端子間に設けているため、バッテリ等が直接入力端子に印加された場合等の異常時においても起動回路が破壊されることはなく、安定した電圧制御装置を簡単に構成することができる。
【００３７】
また、車両用発電機が発電を開始すると起動回路によって発光素子が確実に消灯される ので、発光素子を介して入力端子から電圧制御装置内へ流れ込む電流によって発光素子が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。さらに、車両用発電機が発電を開始した後においても起動回路は発電電圧制御回路への電力供給を維持するため、発電電圧制御回路の発電電圧制御動作を確実に補償することができる。
【００３８】
しかも、起動回路はツェナーダイオードを備えた構成としたので、発光素子を点灯させるためだけに使用されるコンパレータ等の専用の駆動素子が不要になり、簡単な回路で上記発光素子を点灯することができる。
【００３９】
請求項２記載の発明によれば、バッテリ等が直接入力端子に印加された場合等の異常時においても起動回路が破壊されることが防止でき、また、発光素子が点灯したままの状態になるのを確実に防止することができる。しかも、車両用発電機が発電を開始した後においても起動回路は発電電圧制御回路への電力供給を維持するため、発電電圧制御回路の発電電圧制御動作を確実に補償することができる。さらに、起動回路は電界効果トランジスタを備えた構成としたので、発光素子を点灯させるためだけに使用される専用の駆動素子が不要になり、簡単な回路で上記発光素子を点灯することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の実施の形態１による車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【図２】この発明の実施の形態２による車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【図３】従来の車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【図４】従来の車両用発電機の電圧制御装置を示す回路図である。
【符号の説明】
１ 電圧制御装置、２ 車両用発電機、
３ イグニッションスイッチ、４ 発光ダイオード、５ バッテリ、
Ｌ 電圧制御装置の入力端子、Ａ 発電電圧制御回路、
Ｂ２，Ｂ４ 起動回路、１０９ コンパレータ、１１５ 電流制限抵抗、
１２０ ツェナーダイオード、１５１ 電界効果トランジスタ。
Claims (2)
- イグニッションスイッチおよび低消費電力で駆動される発光素子を介してバッテリ電圧を入力する入力端子を有するとともに、この入力端子の電圧が所定値を越えた時に車両用発電機の発電電圧の制御を開始する発電電圧制御回路を備えた車両用発電機の電圧制御装置であって、
上記イグニッションスイッチのオンに応じて上記発光素子を点灯すると共に上記発電電圧制御回路への電力供給を開始し、かつ上記車両用発電機の発電開始後に上記車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出して上記発光素子を消灯する起動回路を備え、この起動回路と上記入力端子との間に上記起動回路に流れる電流を制限する電流制限抵抗を直列に配置しており、
上記起動回路は、上記入力端子に上記電流制限抵抗を介して直列に接続されたツェナーダイオードと、このツェナーダイオードにベースが接続されたＮＰＮトランジスタと、車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出するコンパレータと、このコンパレータの検出出力によって上記発光素子に流れる電流を制限するとともに上記ＮＰＮトランジスタへのベース電流供給を維持するスイッチ回路とを含むことを特徴とする車両用発電機の電圧制御装置。 - イグニッションスイッチおよび低消費電力で駆動される発光素子を介してバッテリ電圧を入力する入力端子を有するとともに、この入力端子の電圧が所定値を越えた時に車両用発電機の発電電圧の制御を開始する発電電圧制御回路を備えた車両用発電機の電圧制御装置であって、
上記イグニッションスイッチのオンに応じて上記発光素子を点灯すると共に上記発電電圧制御回路への電力供給を開始し、かつ上記車両用発電機の発電開始後に上記車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出して上記発光素子を消灯する起動回路を備え、この起動回路と上記入力端子との間に上記起動回路に流れる電流を制限する電流制限抵抗を直列に配置しており、
上記起動回路は、上記入力端子と直列にゲート端子が接続された電界効果トランジスタと、車両用発電機の１相出力によって発電電圧を検出するコンパレータと、このコンパレータの検出出力によって上記発光素子に流れる電流を制限するとともに上記電界効果トランジスタのゲート端子への電圧印加を維持するスイッチ回路とを含むことを特徴とする車両用発電機の電圧制御装置。
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