JP3543772B2 - 圧電振動片の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報通信機器やコンピュータ等のOA機器、電子時計等の民生機器を含む様々な電子機器について使用される圧電振動子の製造方法に関し、特に厚みすべりモードを主振動としかつ圧電体チップの主面に凹設した薄肉振動部に励振電極を形成した所謂逆メサ型圧電振動子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、特に携帯電話等による情報通信分野では、情報伝送の大容量化及び高速化に伴う通信周波数の高周波化、システムの高速化に対応して、従来の数十MHz程度までの周波数よりも高い、90〜200MHz程度の高周波数で動作する圧電振動子が要求されている。ATカットの水晶振動片等を用いた厚みすべりモードを主振動とする圧電振動子は、その周波数が、それと反比例の関係にある圧電振動片の板厚により決定される。例えばATカット水晶振動片の板厚が100μmの場合に振動子の周波数は16.7MHzで、板厚50μmの場合には周波数が33.4MHzとなる。従って、圧電振動子の高周波化を図るためには、水晶その他の圧電材料からなる振動片の、特に振動部の厚さを薄くする必要がある。
【0003】
ところが、圧電振動片の厚さが薄くなるほど研磨等の機械加工が困難で、その機械的強度が低下し、加工中又は使用時に衝撃等により破損し易くなるだけでなく、振動に対する強度も低下する。そこで最近は、例えば特開平11−355094号公報、特開平11−205062号公報、再公表WO98/038736号特許公報に記載されるように、厚さの薄い振動部の周囲に補強枠として厚い外周部を一体に構成し、それにより機械的強度を向上させて、振動片の欠けや割れ等を無くしかつ取扱い及び実装を容易にしつつ、高周波数化を実現できる所謂逆メサ型の圧電振動子が提案されている。
【0004】
図13A及びBは、一般的な逆メサ型圧電振動片の一例を示しており、矩形板状のATカット水晶振動片1の中央部のみが振動部1aとして薄く加工され、その外周部が補強枠1bとして厚く加工されている。振動部1aの表裏両面には、それぞれ励振電極2が形成され、補強枠1bの一端には、各励振電極2からそれぞれ引き出された接続電極3が形成されている。
【0005】
逆メサ型の圧電振動片は、中央部の薄肉化を機械的な研磨加工で行う場合もあるが、多くの場合、エッチング加工で行われる。ATカット水晶振動片を逆メサ型構造に製造する方法としては、一般に以下の2つの方法が知られている。1つは、水晶ウエハから複数の所定寸法のチップをダイシング等で切り出した後に、フォトリソグラフィで各チップにエッチングパターンを形成し、その中央部を所定の厚さまでエッチングする方法である。別の方法は、水晶ウエハにフォトリソグラフィで複数のエッチングパターンを形成し、所定の厚さまでエッチングした後に、複数のチップに分割する方法である。
【0006】
図14〜図16は、この2番目の方法により逆メサ型ATカット水晶振動片を製造する従来方法の工程を詳細に説明している。先ず、所定寸法の水晶ウエハ11を用意し(図14A)、その表裏両面に例えば厚さ500ÅのCr膜12及びその上に厚さ1000ÅのAu膜13を蒸着又はスパッタリングにより成膜して、水晶のエッチング液であるフッ酸に対する耐蝕膜を形成する(図14B)。この耐蝕膜の表面にフォトレジストを塗布しかつ乾燥させて、フォトレジスト膜14を成膜する(図14C)。次に、所望の圧電振動片1の外形に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク15をフォトレジスト膜14の上に配置し、紫外線で露光して該エッチングパターンを転写し(図14D)、フォトレジスト膜14の感光部分を現像除去してAu膜13を露出させる(図14E)。
【0007】
次に、露出させた前記耐蝕膜のAu膜13及びCr膜12をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングして、水晶ウエハ11の表面を露出させる(図15A)。残存するフォトレジスト膜14を全部剥離した(図15B)後、残存する耐蝕膜を含む水晶ウエハ11の全面にフォトレジストを再度塗布しかつ乾燥させて、新たにフォトレジスト膜16を成膜する(図15C)。この上に、圧電振動片の外形及び振動部の形状に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク17を配置し、紫外線で露光して該エッチングパターンを転写し(図15D)、フォトレジスト膜16の感光部分を現像除去して、圧電振動片1の外形に対応する水晶ウエハ11の表面及び振動部1aの形状に対応するAu膜13の表面を露出させる(図16A)。
【0008】
このようにして再び表面を露出させた水晶ウエハ11の部分を、例えばフッ化水素酸とフッ化アンモニウムとの混合液からなる水晶用エッチング液でエッチングし、圧電振動片の外形形状を加工する(図16B)。次に、露出させた前記耐蝕膜のAu膜13及びCr膜12をそれぞれエッチング液で順次エッチングして、振動部の形状に対応する水晶ウエハ11の表面を露出させる(図16C)。これにより露出した水晶ウエハ11の表面を上述した水晶用エッチング液で所定の深さまでハーフエッチングし、振動部1aの凹陥形状を形成する(図16D)。最後に、残存するフォトレジスト膜16及び前記耐蝕膜を剥離して(図16E)、圧電振動片1の振動部1a及び補強枠1bの形状を有する複数のチップを水晶ウエハ11に形成する。各チップは、水晶ウエハ11から分離した後に励振電極を形成し、又はウエハの状態で励振電極を形成した後に個々に分離して、圧電振動片を完成させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の圧電振動片の製造方法では、圧電振動片の外形形状を形成するために最初にウエハに形成したフォトレジスト膜を、そのパターニング後に一旦剥離し、その後、圧電振動片の振動部の凹陥形状を形成するために新たにフォトレジスト膜を形成し、パターニングした後に剥離する。このように従来方法は、フォトレジスト膜の成膜・剥離を2度行う必要があるために作業効率が非常に悪く、そのために生産性を低下させる虞があるという問題があった。しかも、2度目に形成したフォトレジスト膜は、最初のパターニングに用いたフォトマスクとは異なるフォトマスクを用いて、圧電振動片の外形形状を再度転写するので、最初に転写されたパターンとのアライメントが難しく、そのずれにより圧電振動片の加工精度を低下させる虞がある。
【0010】
そこで本発明の目的は、上記課題を解消して、圧電振動片を製造する際にその作業効率が高く、生産性が向上し、しかも高い加工精度を確保し得る圧電振動片の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、圧電材料からなる基板の表面に耐蝕膜及びその上にフォトレジスト膜を成膜し、該フォトレジスト膜に第1のパターニングをして、圧電振動片の外形形状に対応する耐蝕膜の第1領域を露出させ、この露出させた耐蝕膜の第1領域をエッチングにより除去して基板の表面を露出させ、基板表面に残存する前記フォトレジスト膜を剥離することなく、これに第2のパターニングをして、圧電振動片の振動部の凹陥形状に対応する耐蝕膜の第2領域を露出させ、露出させた前記基板の部分をエッチングにより除去して、圧電振動片の外形形状を加工し、露出させた前記耐蝕膜の第2領域をエッチングにより除去して基板の表面を露出させ、この露出させた基板の部分をハーフエッチングして薄肉化し、圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工することを特徴とする圧電振動片の製造方法が提供される。
【0012】
このように、最初に形成したフォトレジスト膜をそのまま剥離することなく使用し、圧電振動片の外形形状と振動部の凹陥形状とを加工するので、従来のように製造工程の途中で新たなフォトレジスト膜を成膜・剥離する必要が無く、製造工程を簡略化して作業効率を向上させることができる。従って、生産性の向上及び作業コストの低減を図ることができる。また、圧電振動片の外形形状を再度パターニングする必要がないので、圧電振動片の外形をエッチングする際に高い加工精度が得られる。
【0013】
フォトレジスト膜は、第1のパターニングでその露光面を現像除去した後、露出した耐蝕膜の第1領域を除去するエッチング液の作用により、残存する非露光部分の表面に、感光性が劣化した変質層が生じる。或る実施例では、フォトレジスト膜のパターニングを露光及び現像除去により行い、第2のパターニングにおけるフォトレジスト膜の露光量を第1のパターニングにおけるフォトレジスト膜の露光量より増大させる。これにより、その表面が変質したフォトレジスト膜でも良好に露光させかつ現像除去することができる。
【0014】
別の実施例は、フォトレジスト膜のパターニングを露光及び現像除去により行い、第2のパターニングにおける露光前に、第1のパターニングで残存したフォトレジスト膜の表面層を除去する過程を更に含む。これにより、第1のパターニングにおけるエッチングで感光性が劣化した表面の変質層をフォトレジスト膜から除去できるので、これを第2のパターニングにおいて精度良く露光することができる。
【0015】
更に別の実施例では、フォトレジスト膜のパターニングを露光及び現像除去により行い、第2のパターニングにおける露光後で現像除去前に、第1のパターニングで残存したフォトレジスト膜の表面層を除去する過程を更に含むことにより、同様に第1のパターニングにおけるエッチングで感光性が劣化した表面の変質層を除去して、フォトレジスト膜を第2のパターニングにおいて精度良く露光することができる。
【0016】
この場合、第2のパターニングにおける露光は、耐蝕膜の第1領域のエッチング後で圧電振動片の外形形状の加工前に行うことができる。圧電振動片外形をエッチングする前の基板表面は、フォトレジスト膜及び耐蝕膜による凹凸があるだけで、全体が略平坦なため、第2のパターニング時にフォトマスクのアライメント精度が良く、より良好な露光及びパターニングが可能になる。
【0017】
また、第2のパターニングにおける露光は、耐蝕膜の第1領域のエッチング前に行うことができる。同様に基板の表面全体が略平坦で、第2のパターニング時にフォトマスクのアライメント精度が良いことに加えて、フォトレジスト膜は、その表面に耐蝕膜のエッチングによる変質層が形成されていないので、露光の感度低下が無く、より良好で高精度な露光及びパターニングが可能になる。
【0018】
或る実施例では、酸素プラズマを用いたドライエッチングにより、フォトレジスト膜の表面層を除去することができる。酸素プラズマによるエッチングは、フォトレジスト膜表面の変質層をアッシングして完全に除去でき、しかもその制御が比較的容易で、変質層より下層のフォトレジスト膜への影響が少ないので、好ましい。
【0019】
また、或る実施例では、圧電振動片の外形形状を加工するためのエッチングを基板の両面について行い、かつ圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するためのハーフエッチングを基板の両面について行うことができる。基板の両面からエッチング加工をすることにより、作業効率が高くかつ加工時間を短縮でき、生産性が向上する。
【0020】
別の実施例では、圧電振動片の外形形状を加工するためのエッチングを基板の片面について行い、かつ同じ基板の片面について、圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するためのハーフエッチングを行うことができる。フォトレジスト膜のパターニングを基板の片面についてのみ行えばよいので、両面でフォトマスクの位置合わせを行う必要が無い。両面でフォトマスクのアライメントにずれが生じると、圧電振動片の振動部の凹陥形状が両面で整合しないため、CI値の劣化やスプリアス発生の虞があるが、このような不都合を生じる虞が無くなるので、好ましい。
【0021】
また、或る実施例では、圧電振動片の外形形状を加工するためのエッチングを、基板の表面をハーフエッチングする第1過程とその残存部分を完全にエッチングする第2過程とに分けて行い、第2過程のエッチングを、圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するためのハーフエッチングと同時に行うことができる。これにより、圧電振動片の外形形状の加工と振動部の凹陥形状の加工とを同時に進行させかつ略同時に終了させることができ、基板のエッチング処理時間を短縮させることができる。基板のエッチング処理時間が長いと、圧電振動片の外形エッジ部分がオーバーエッチングで欠ける虞があり、そのために外周部の補強枠の幅を大きくとることが望ましい。これに対して本発明によれば、基板のエッチング処理時間の短縮により、圧電振動片の外形エッジ部分のオーバーエッチングによる欠けを防止できるから、外周部の補強枠を縮小して中央の振動部を拡大することができ、スプリアスが抑制される。
【0022】
別の実施例では、圧電振動片の外形形状を加工するためのエッチングを、基板の表面をハーフエッチングする第1過程とその残存部分を完全にエッチングする第2過程とに分けて行い、第1過程のエッチングを基板の片面について行い、圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するためのハーフエッチングと同時に基板の反対側の片面全面をエッチングすることにより、第2過程のエッチングを行うことができる。これにより、圧電振動片の外形形状の加工と振動部の凹陥形状の加工とを同時に進行かつ略同時に終了させることに加えて、基板の両面からエッチング加工を行うので、基板のエッチング処理時間を更に短縮させることができる。しかも、圧電振動片は、中央の振動部が両面共エッチング面となるので、振動特性が良好になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の方法を適用して、図11A及びBに示す逆メサ型ATカット水晶振動片を製造する工程を、添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、各図において、同じ構成要素には同じ参照番号を付すことにする。
【0024】
図1〜図3は、本発明による圧電振動片の製造方法の第1の実施形態を工程順に示している。先ず、従来の工程と同様に、所定寸法の水晶ウエハ21を用意し(図1A)、その表裏両面に例えば厚さ500ÅのCr膜22及びその上に厚さ1000ÅのAu膜23を蒸着又はスパッタリングにより成膜して、水晶のエッチング液であるフッ酸に対する耐蝕膜を形成する(図1B)。この耐蝕膜の表面にフォトレジストを塗布しかつ乾燥させて、フォトレジスト膜24を成膜する(図1C)。次に、所望の圧電振動片1の外形に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク25を、ウエハ両面のフォトレジスト膜24の上にそれぞれ配置し、紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する(図1D)。フォトレジスト膜24の感光部分は、現像液で現像して除去し、圧電振動片1の外形に対応する領域のAu膜23を露出させる(図1E)。
【0025】
次に、露出させた前記耐蝕膜のAu膜23及びその下側のCr膜22をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングして、水晶ウエハ21の表面を露出させる(図2A)。本実施例によれば、この上に、圧電振動片の振動部1aの形状に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク26を配置し、残存するフォトレジスト膜24を紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する(図2B)。このフォトレジスト膜24の感光部分を現像液で現像して除去し、残存する前記耐蝕膜の、振動部1aの形状に対応する領域のAu膜23表面を露出させる(図2C)。
【0026】
次に、露出している水晶ウエハ21の部分を両面から、例えばフッ化水素酸とフッ化アンモニウムとの混合液からなる水晶用エッチング液でエッチングし、圧電振動片1の外形形状を形成する(図3A)。露出している前記耐蝕膜のAu膜23及びその下側のCr膜22をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングし、水晶ウエハ21の表面を露出させる(図3B)。この水晶ウエハ21の露出面を両面から、それぞれ上述した水晶用エッチング液で所望の深さまでハーフエッチングし、振動部1aの凹陥形状を形成する(図3C)。最後に、残存するフォトレジスト膜24と前記耐蝕膜とを完全に剥離する(図3D)と、振動部1aと補強枠1bとからなる逆メサ構造を有する複数のチップ27が水晶ウエハ21に形成される。これらチップ27を水晶ウエハ21から分離し、励振電極2及び接続電極3を形成すると、所望のATカット水晶電振動片1が完成する。
【0027】
このように本発明によれば、圧電振動片1の外形形状に対応する水晶ウエハ21の領域を露出させる第1のパターニング後に、残存している未露光のフォトレジスト膜24を再度用いて、圧電振動片1の振動部1aの凹陥形状をパターニングすることができる。従って、図13に関連して上述した従来方法における、2度目のフォトレジスト膜を成膜・剥離する工程を省略することができ、工程を簡略化して工数を少なくし、作業効率の向上及び作業コストの低減を図ることができる。
【0028】
しかし、前記第1のパターニング後のフォトレジスト膜24は、前記耐蝕膜を除去する過程でAu用のエッチング液やCr用のエッチング液に晒されているため、その表面層部分が変質し、未露光であるにも拘わらず、露光感度が低下している。そこで、或る実施例では、振動部1aの凹陥形状に対応する前記耐蝕膜を露出させるための第2のパターニングにおいて、フォトレジスト膜24を紫外線で再度露光する図2Bの過程で、露光時間を通常より長くしたり露光パワーを通常より大きくし、露光量を通常より増大させてパターニングすることにより、フォトレジスト膜24の感度低下を補うことができる。他方、前記耐蝕膜の除去を、上述したウェットエッチング以外の方法で行うことにより、このような表面変質層がフォトレジスト膜に形成されない場合には、露光感度の低下が無いので、通常の露光量で良好にパターニングできる。
【0029】
別の実施例では、感度が低下しているフォトレジスト膜24の表面変質層を現像液等のアルカリ液で除去し、それより下側の通常の感度を有するフォトレジスト膜24の部分露出させる。これによって、新たなフォトレジストを成膜したときと同様の感度を回復させることができ、前記第2のパターニングにおいて、通常の露光量でフォトレジスト膜24を良好にパターニングすることができる。
【0030】
更に別の実施例では、酸素プラズマを用いたドライエッチングにより、フォトレジスト膜24の表面変質層を除去することができる。酸素プラズマによるエッチングは、従来公知の方法及び装置を用いて行う。例えば、水晶ウエハ21を反応室内に配置し、真空又は減圧環境下で放電により酸素プラズマを作り、フォトレジスト膜24の表面に作用させて、有機物からなるフォトレジスト膜表面の変質層28をアッシングすることにより行う。前記変質層を完全に除去できるだけでなく、その制御が比較的容易で、変質層より下層のフォトレジスト膜への影響を少なくできるため、前記第2のパターニングにおいて、同様に通常の露光量でフォトレジスト膜24を良好にパターニングすることができる。また最近は、大気圧又はその近傍圧力下での放電によるプラズマを用いたドライエッチング法が知られており、これを用いて同様にォトレジスト膜24の表面変質層を除去することができる。
【0031】
図4は、この酸素プラズマによりフォトレジスト膜24の表面変質層を除去する過程を含む上記第1の実施形態の変形例を示している。図4Aは、第1の実施形態における図2Aに対応しており、前記第1のパターニングにより圧電振動片1の外形形状に対応する水晶ウエハ21の領域が露出し、残存するフォトレジスト膜24の表面には、Au膜23及びCr膜22のエッチング液による変質層28が形成されている。露出している水晶ウエハ21の部分を両面から、例えばフッ化水素酸とフッ化アンモニウムとの混合液からなる前記水晶用エッチング液でエッチングし、圧電振動片1の外形形状を形成する(図4B)。
【0032】
この水晶ウエハ21を上述したように反応室内に配置し、真空又は減圧雰囲気下で放電により作られた酸素プラズマを作用させて、フォトレジスト膜24表面の変質層28をアッシングする(図4C)。この上に、圧電振動片の振動部1aの形状に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク26を配置し、紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する(図4D)。次に、このフォトレジスト膜24の感光部分を現像液で現像して除去し、第1の実施形態における図3Aと同様に、残存する前記耐蝕膜の、振動部1aの形状に対応する領域のAu膜23表面を露出させる。この後は、第1の実施形態における図3B以下と同じ工程を行う。
【0033】
図5は、酸素プラズマによりフォトレジスト膜24の表面変質層を除去する過程を含む上記第1の実施形態の別の変形例を示している。図5Aは、同様に図2Aに対応しており、前記第1のパターニングにより圧電振動片1の外形形状に対応する水晶ウエハ21の領域が露出し、残存するフォトレジスト膜24の表面には、Au膜23及びCr膜22のエッチング液による変質層28が形成されている。この上に、圧電振動片の振動部1aの形状に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク29を配置し、紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する(図5B)。
【0034】
次に、露出している水晶ウエハ21の部分を両面から、例えばフッ化水素酸とフッ化アンモニウムとの混合液からなる前記水晶用エッチング液でエッチングし、圧電振動片1の外形形状を形成する(図5C)。この水晶ウエハ21を上述したように反応室内に配置し、真空又は減圧雰囲気下で放電により作られた酸素プラズマを作用させて、フォトレジスト膜24表面の変質層28をアッシングする(図5D)。次に、このフォトレジスト膜24の感光部分を現像液で現像して除去し、第1の実施形態における図3Aと同様に、残存する前記耐蝕膜の、振動部1aの形状に対応する領域のAu膜23表面を露出させる。この後は、第1の実施形態における図3B以下と同じ工程を行う。
【0035】
図6は、酸素プラズマによりフォトレジスト膜24の表面変質層を除去する過程を含む上記第1の実施形態の更に別の変形例を示している。図6Aは、圧電振動片1の外形形状に対応してフォトレジスト膜24をパターニングした第1の実施形態における図1Eの後の工程を示しており、前記耐蝕膜を露出させた水晶ウエハ21の上に、圧電振動片の振動部1aの形状に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク29を配置し、紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する。次に、露出している前記耐蝕膜のAu膜23及びその下側のCr膜22をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングして、水晶ウエハ21の表面を露出させる(図6B)。このとき、残存するフォトレジスト膜24の表面には、Au膜23及びCr膜22のエッチング液による変質層28が形成される。
【0036】
次に、この露出した水晶ウエハ21の部分を両面から、例えばフッ化水素酸とフッ化アンモニウムとの混合液からなる前記水晶用エッチング液でエッチングし、圧電振動片1の外形形状を形成する(図6C)。この水晶ウエハ21を上述したように反応室内に配置し、真空又は減圧雰囲気下で放電により作られた酸素プラズマを作用させて、フォトレジスト膜24表面の変質層28をアッシングする(図6D)。次に、このフォトレジスト膜24の感光部分を現像液で現像して除去し、第1の実施形態における図3Aと同様に、残存する前記耐蝕膜の、振動部1aの形状に対応する領域のAu膜23表面を露出させる。この後は、第1の実施形態における図3B以下と同じ工程を行う。
【0037】
次に、図7を用いて、本発明による圧電振動片の製造方法の第2の実施形態を説明する。この実施形態の工程中、図1A〜E及び図2A〜Cに対応する部分は第1の実施形態と同一であるので、それらに関する図面及び説明は省略する。
【0038】
第1の実施形態と同様にして、圧電振動片の振動部1aの形状に対応するエッチングパターンをフォトレジスト膜24に転写した後、その感光部分を現像液で現像除去し、残存する前記耐蝕膜の、該振動部の形状に対応する領域のAu膜23表面を露出させる(図7A)。次に、露出している水晶ウエハ21の部分を両面から、上述した水晶用エッチング液で圧電振動片の外形形状を或る深さまでハーフエッチングする第1過程のエッチングを行う(図7B)。更に、図7Aの工程で露出した前記耐蝕膜のAu膜23及びその下側のCr膜22をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングし、水晶ウエハ21の表面を露出させる(図7C)。
【0039】
この状態で、水晶ウエハ21の露出面を両面から上述した水晶用エッチング液で更にエッチングし、前記ハーフエッチングで残存する水晶ウエハ21の部分を完全にエッチングする第2過程のエッチングを行い、圧電振動片1の外形形状を形成すると同時に、図7Cの工程で新たに露出させた水晶ウエハ21の部分を所望の深さまでハーフエッチングし、振動部1aの凹陥形状を形成する(図7D)。そして、残存するフォトレジスト膜24と前記耐蝕膜とを完全に剥離する(図7E)と、振動部1aと補強枠1bとからなる逆メサ構造を有する複数のチップ27が水晶ウエハ21に形成される。最後に、これらチップ27を水晶ウエハ21から分離し、励振電極2及び接続電極3を形成すると、所望のATカット水晶電振動片1が完成する。
【0040】
この方法によれば、第1の実施形態の作用効果に加えて、圧電振動片1の外形形状の加工と振動部1aの凹陥形状の加工とを同時に進行させて略同時に終了させることができるので、従来に比して水晶ウエハ21のエッチング処理時間を短縮させることができる。例えば、従来は圧電振動片1の外形形状を形成するためのエッチング処理時間が約2時間、振動部1aの凹陥形状を形成するためのエッチング処理時間が約1時間で、全体で合計約3時間のエッチング処理時間を要していた。これに対し、この実施形態では、先に行う圧電振動片1の外形形状をハーフエッチングする第1過程のエッチングに要する処理時間が約1時間、後から同時に行う圧電振動片1の外形形状を完成するための第2過程のエッチング処理と振動部1aの凹陥形状を形成するためのエッチング処理とに要する時間が約1時間であり、水晶ウエハ21のエッチング処理時間が全体で合計約2時間で済むようになる。
【0041】
更に、水晶ウエハ21のエッチング処理時間が長いと、圧電振動片1の外形エッジ部分がオーバーエッチングで欠ける虞があり、そのために外周部の補強枠1bの幅を大きくとることが望ましい。この実施形態によれば、水晶ウエハのエッチング処理時間が短縮されるので、かかる圧電振動片補強枠1bの外形エッジ部分のオーバーエッチングによる欠けを防止することができる。従って、補強枠1bの幅を従来より縮小し、同じ圧電振動片1の外形寸法で振動部1aの寸法を拡大することができ、その結果スプリアスを抑制することができる。
【0042】
上述した各実施形態の圧電振動片の製造方法では、水晶ウエハ21のエッチング処理を両面から行ったが、水晶ウエハ21のエッチング処理を片面から行って振動部の凹陥形状を形成することができる。図8〜図10は、このような水晶ウエハの片面をエッチング処理する本発明の第3の実施形態による圧電振動片の製造方法を工程順に示している。
【0043】
先ず、第1の実施形態について上述したように、所定寸法の水晶ウエハ21を用意し(図8A)、その表裏両面に例えば厚さ500ÅのCr膜22及びその上に厚さ1000ÅのAu膜23を蒸着又はスパッタリングにより成膜して、水晶のエッチング液であるフッ酸に対する耐蝕膜を形成する(図8B)。この耐蝕膜の表面にフォトレジストを塗布しかつ乾燥させて、フォトレジスト膜24を成膜する(図8C)。次に、所望の圧電振動片1の外形に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク25を、水晶ウエハ21の片面のフォトレジスト膜24の上に配置し、紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する(図8D)。フォトレジスト膜24の感光部分は、現像液で現像して除去し、水晶ウエハ21の前記片面に圧電振動片1の外形に対応する領域のAu膜23を露出させる(図8E)。
【0044】
次に、露出させた前記耐蝕膜のAu膜23及びその下側のCr膜22をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングして、水晶ウエハ21の前記片面にその水晶表面を露出させる(図9A)。水晶ウエハ21の同じ片面の上に、圧電振動片1の振動部の形状に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク26を配置し、残存するフォトレジスト膜24を紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する(図9B)。このフォトレジスト膜24の感光部分を現像液で現像除去し、残存する前記耐蝕膜の、振動部の形状に対応する領域のAu膜23表面を水晶ウエハ21の前記片面に露出させる(図9C)。フォトレジスト膜24の表面には、露光感度が低下した前記変質層が形成されているので、上述したように通常より長い露光時間又は通常より大きい露光パワーで紫外線の露光量を通常より増大させて露光処理し、又は現像液等のアルカリ液で若しくは酸素プラズマで前記変質層を予め除去した後に露光処理し、又は酸素プラズマで前記変質層を現像処理前に除去することが望ましい。
【0045】
次に、露出している前記片面の水晶ウエハ21の部分を前記水晶用エッチング液でエッチングし、圧電振動片1の外形形状を形成する(図10A)。露出している前記片面のAu膜23及びその下側のCr膜22をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングし、水晶ウエハ21の表面を露出させる(図10B)。この水晶ウエハ21の露出面を上述した水晶用エッチング液で所望の深さまでハーフエッチングし、水晶ウエハ21の前記片面に振動部の凹陥形状を形成する(図10C)。最後に、残存するフォトレジスト膜24と前記耐蝕膜とを水晶ウエハ21の両面から完全に剥離する(図10D)と、片面に振動部1a´と補強枠1b´とを有する逆メサ構造の複数のチップ29が水晶ウエハ21に形成される。これらチップ29を水晶ウエハ21から分離し、励振電極2及び接続電極3を形成すると、所望のATカット水晶電振動片が完成する。
【0046】
第3の実施形態の方法によれば、第1の実施形態と同様に、最初に成膜したフォトレジスト膜24をそのまま剥離することなく、圧電振動片の外形形状の形成と振動部1a´の凹陥形状の形成とに用いているので、工程を簡略化して工数を少なくし、作業効率の向上及び作業コストの低減を図ることができる。更に、水晶ウエハ21のエッチングをその片面についてのみ行うので、第1の実施形態の場合のように、水晶ウエハの両面でフォトマスクの位置合わせを行なう必要が無く、そのズレによって生じる虞があるCI値の劣化やスプリアスの発生等を防止することができる。
【0047】
また、図示していないが、本発明は、この第3の実施形態に、図5に示す第2の実施形態を組み合わせて実施することができる。即ち、圧電振動片1の外形形状を形成するための図10Aのエッチング処理を、或る深さまでハーフエッチングして一旦止める第1過程と、残存部分を完全に除去する第2過程との2段階に分けて行い、この第2過程のエッチング処理を、振動部の凹陥形状を形成するためのエッチング処理と同時進行させ、略同時に終了させることができる。この方法によれば、第2の実施形態の作用効果に加えて、水晶ウエハ21のエッチング処理時間を従来より短縮できると共に、圧電振動片の特に補強枠1b´の外形エッジ部のオーバーエッチングによる欠けを防止することができる。従って、同じ圧電振動片1の外形寸法で補強枠1b´の寸法を縮小し、振動部1a´の寸法を拡大することができ、スプリアスを抑制することができる。
【0048】
次に、図11〜図12を用いて、本発明による圧電振動片の製造方法の第4の実施形態を説明する。この実施形態の工程中、図8A〜Eに対応する部分は第3の実施形態と同一であるので、それらに関する図面及び説明は省略する。
【0049】
図11Aは、水晶ウエハ21の片面において、圧電振動片1の外形形状を形成するためのパターニングにより露出させた前記耐蝕膜のAu膜23及びその下側のCr膜22をそれぞれ適当なエッチング液で順次エッチングし、水晶ウエハ21の前記片面にその水晶表面を露出させた状態を示している。水晶ウエハ21の同じ片面の上に、圧電振動片1の振動部の形状に対応するエッチングパターンを描画したフォトマスク26を配置し、残存するフォトレジスト膜24を紫外線で露光して該エッチングパターンを転写する(図11B)。この実施形態では、更に水晶ウエハ21の反対側の面についても、フォトレジスト膜44全面に紫外線を露光する。フォトレジスト膜24の表面には、露光感度が低下した前記変質層が形成されているので、第3の実施形態と同様に、通常より長い露光時間又は通常より大きい露光パワーで紫外線の露光量を通常より増大させ、又は現像液等のアルカリ液で前記変質層を予め除去した後に露光処理することが望ましい。
【0050】
これら両面のフォトレジスト膜24の感光部分を現像液で現像除去する。これにより、前記片面については、残存する前記耐蝕膜の、振動部の形状に対応する領域のAu膜23表面を水晶ウエハ21の前記片面に露出させ、かつ前記反対側の面については、耐蝕膜全面を露出させる(図11C)。
【0051】
次に、露出している前記片面の水晶ウエハ21の部分を前記水晶用エッチング液で、圧電振動片1の外形形状に或る深さまでハーフエッチングする第1過程のエッチングを行う(図12A)。更に、図11Cの工程で露出した前記片面の耐蝕膜及び前記反対側の面の耐蝕膜を構成するAu膜23及びその下側のCr膜22を、それぞれ適当なエッチング液で順次エッチングし、前記片面については振動部1aの凹陥形状に対応する水晶ウエハ21の表面を、前記反対側の面ついては水晶ウエハ21の全面を露出させる(図12B)。
【0052】
この状態で、水晶ウエハ21の露出面を両面から上述した水晶用エッチング液で更にエッチングし、前記ハーフエッチングで残存する水晶ウエハ21の部分を完全にエッチングする第2過程のエッチングを行い、圧電振動片1の外形形状を形成すると同時に、直前の工程で新たに露出させた水晶ウエハ21の部分を所望の深さまでハーフエッチングし、振動部の凹陥形状を形成する(図12C)。最後に、残存するフォトレジスト膜24と前記耐蝕膜とを水晶ウエハ21から完全に剥離する(図12D)と、片面に振動部1a´と補強枠1b´とを有する逆メサ構造の複数のチップ29が水晶ウエハ21に形成される。これらチップ29を水晶ウエハ21から分離し、励振電極2及び接続電極3を形成すると、所望のATカット水晶電振動片が完成する。
【0053】
この第4の実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加えて、水晶ウエハ21のエッチング処理時間を更に短縮できると共に、圧電振動片1の特に補強枠1b´の外形エッジ部分のオーバーエッチングによる欠けを防止することができる。従って、同じ圧電振動片1の外形寸法で補強枠1b´の寸法を縮小し、振動部1a´の寸法を拡大することができ、スプリアスを抑制することができる。更に、振動部1a´の両面がエッチング処理面で形成されるので、水晶電振動片の振動特性が良好になるという利点がある。
【0054】
以上、本発明の好適実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記各実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、上記実施例では、ウェットエッチングにより耐蝕膜を除去したが、公知のドライエッチングを用いることもできる。また、図4〜図6に関連して説明した第1の実施形態の各変形例は、第2〜第4の実施形態にも適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、最初に形成した同じフォトレジスト膜をそのまま剥離することなく用いて、圧電材料の基板に圧電振動片の外形形状と振動部の凹陥形状とを加工するので、従来のように別個にフォトレジスト膜を成膜・パターニング・剥離する必要が無く、製造工程を簡略化して作業効率を向上させると共に、生産性の向上及び作業コストの低減を実現することができる。しかも、圧電振動片の外形形状を2度パターニングしないので、圧電振動片の外形をエッチングする加工精度が高くなる。
【0056】
フォトレジスト膜は、第1のパターニングでその露光面を現像除去した後、露出した耐蝕膜の第1領域を除去するエッチング液の作用により、感光性が劣化した変質層が残存する未露光部分の表面に生じるが、特に酸素プラズマを用いたドライエッチングにより、フォトレジスト膜表面の変質層を完全に除去でき、しかも変質層より下層のフォトレジスト膜への影響が少ないので、振動部の凹陥形状の加工をより良好に行うことができる。
【0057】
また、基板の片面のみをパターニングすることにより、両面のフォトマスクの位置合わせを行なう必要が無くなり、両面でのフォトマスクのずれによって振動部の凹陥形状が両面で整合しないために生じるCI値の劣化やスプリアス発生等の虞を防止することができ、高性能かつ高品質の圧電振動片が得られる。更に、振動部の両面をエッチングで加工すると、振動特性がより良好な圧電振動片が得られる。
【0058】
更に、圧電振動片の外形形状を加工するためのエッチングを、ハーフエッチングで止める第1過程と、残存部分を完全に除去する第2過程との2段階に分け、第2過程のエッチングを、振動部の凹陥形状を形成するためのエッチングと同時進行させることにより、従来に比して基板のエッチング処理時間を短縮でき、それによって圧電振動片の外形エッジ部分のオーバーエッチングによる欠けを防止できるから、外周の補強枠を従来より縮小して中央の振動部を拡大でき、スプリアスを抑制できるので、振動特性が向上してより高性能かつ高品質の圧電振動片が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による方法を適用した逆メサ型AT水晶振動片の製造過程の最初の部分をA〜E図の工程順に示す説明図。
【図2】図1の工程に連続する製造過程の中間部分をA〜C図の工程順に示す説明図。
【図3】図2の工程に連続する製造過程の最後の部分をA〜D図の工程順に示す説明図。
【図4】酸素プラズマのドライエッチングによりフォトレジスト膜表面の変質層を除去する工程を含む第1の実施形態の変形例による製造過程の、図2に対応する中間部分をA〜D図の工程順に示す説明図。
【図5】図4の別の変形例による製造過程の、同じく図2に対応する中間部分をA〜D図の工程順に示す説明図。
【図6】図4の更に別の変形例による製造過程の、同じく図2に対応する中間部分をA〜D図の工程順に示す説明図。
【図7】本発明の第2の実施形態による方法を適用した逆メサ型AT水晶振動片の製造過程の、図3に対応する最後の部分をA〜E図の工程順に示す説明図。
【図8】本発明の第3の実施形態による方法を適用した逆メサ型AT水晶振動片の製造過程の最初の部分をA〜E図の工程順に示す説明図。
【図9】図8の工程に連続する製造過程の中間部分をA〜C図の工程順に示す説明図。
【図10】図9の工程に連続する製造過程の最後の部分をA〜D図の工程順に示す説明図。
【図11】本発明の第4の実施形態による方法を適用した逆メサ型AT水晶振動片の製造過程の、図9に対応する中間部分をA〜C図の工程順に示す説明図。
【図12】図11の工程に連続する製造過程の最後の部分をA〜D図の工程順に示す説明図。
【図13】A図は従来の一般的な逆メサ型圧電振動片の一例を示す斜視図、B図はA図のA−A線における断面図。
【図14】従来の方法による逆メサ型AT水晶振動片の製造過程の最初の部分をA〜E図の工程順に示す説明図。
【図15】図14の工程に連続する製造過程の中間部分をA〜D図の工程順に示す説明図。
【図16】図15の工程に連続する製造過程の最後の部分をA〜E図の工程順に示す説明図。
【符号の説明】
1 圧電振動片
1a、1a´ 振動部
1b、1b´ 補強枠
2 励振電極
3 接続電極
11、21 水晶ウエハ
12、22 Cr膜
13、23 Au膜
14、16、24 フォトレジスト膜
15、17、25、26 フォトマスク
27、29 チップ
28 変質層

Claims (11)

  1. 圧電材料からなる基板の表面に耐蝕膜及びその上にフォトレジスト膜を成膜し、
    前記フォトレジスト膜に第1のパターニングをして、圧電振動片の外形形状に対応する前記耐蝕膜の第1領域を露出させ、
    露出させた前記耐蝕膜の第1領域をエッチングにより除去して前記基板の表面を露出させ、
    前記基板の表面に残存する前記フォトレジスト膜を剥離することなく、これに第2のパターニングをして、前記圧電振動片の振動部の凹陥形状に対応する前記耐蝕膜の第2領域を露出させ、
    露出させた前記基板の部分をエッチングにより除去して、前記圧電振動片の外形形状を加工し、
    露出させた前記耐蝕膜の第2領域をエッチングにより除去して前記基板の表面を露出させ、
    露出させた前記基板の部分をハーフエッチングして薄肉化し、前記圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工することを特徴とする圧電振動片の製造方法。
  2. 前記フォトレジスト膜のパターニングを露光及び現像除去により行い、前記第2のパターニングにおけるフォトレジスト膜の露光量を前記第1のパターニングにおけるフォトレジスト膜の露光量より増大させたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。
  3. 前記フォトレジスト膜のパターニングを露光及び現像除去により行い、前記第2のパターニングにおける露光前に、前記第1のパターニングで残存した前記フォトレジスト膜の表面層を除去する過程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。
  4. 前記フォトレジスト膜のパターニングを露光及び現像除去により行い、前記第2のパターニングにおける露光後で現像除去前に、前記第1のパターニングで残存した前記フォトレジスト膜の表面層を除去する過程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。
  5. 前記耐蝕膜の第1領域のエッチング後で前記圧電振動片の外形形状加工前に前記第2のパターニングにおける露光を行うことを特徴とする請求項4に記載の圧電振動片の製造方法。
  6. 前記耐蝕膜の第1領域のエッチング前に前記第2のパターニングにおける露光を行うことを特徴とする請求項4に記載の圧電振動片の製造方法。
  7. 酸素プラズマを用いたドライエッチングにより前記フォトレジスト膜の表面層を除去することを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
  8. 前記圧電振動片の外形形状を加工するための前記エッチングを、前記基板の表面をハーフエッチングする第1過程と残存部分を完全にエッチングする第2過程とに分けて行い、前記第2過程のエッチングを、前記圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するための前記ハーフエッチングと同時に行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
  9. 前記圧電振動片の外形形状を加工するための前記エッチングを前記基板の両面について行い、かつ前記圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するための前記ハーフエッチングを前記基板の両面について行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
  10. 前記圧電振動片の外形形状を加工するための前記エッチングを前記基板の片面について行い、かつ前記圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するための前記ハーフエッチングを前記基板の片面について行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
  11. 前記圧電振動片の外形形状を加工するための前記エッチングを、前記基板の表面をハーフエッチングする第1過程と残存部分を完全にエッチングする第2過程とに分けて行い、前記第1過程のエッチングを前記基板の片面について行い、前記圧電振動片の振動部の凹陥形状を加工するための前記ハーフエッチングと同時に前記基板の反対側の片面全面をエッチングすることにより、前記第2過程のエッチングを行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
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